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サイラトロンの実験 [ラジオ]

2016年3月16日の日記

サイラトロン整流器3.jpg 動作中のサイラトロン。とてもきれいです。 

いつも大変お世話になっている河童さんから,昨年,サイラトロンをいただきました。

サイラトロンは水銀ガス入りの整流管です。大型のものはグリッドのバイアスを変化させて位相制御もできるようになっていて,出力の直流電圧を変化させたりすることができます。1960年代に入って,シリコンダイオードが実用化するまでは割に大規模な整流装置としてセレン整流器とともによく使われました。一般的な用途としては溶接機だったでしょうか。溶接機は低圧大電流の上,出力を調整するため電圧調整が必要だったので,サイラトロンが最適でした。もっとも,セレン+スライダックという組み合わせの方が多かったと思いますけどね。

シリコンDiのほか,サイリスタが実用化されるに及んで御用済みとなり,歴史の彼方に忘れ去られてしまいました。それに,今じゃ水銀が入っているので,RoHs規制に引っかかっちゃいますし,米国のアマチュア無線ののみの市などでも持ち込み禁止になっていたりして,なんかすっかり厄介者扱いになっているのは残念です。

でもアマチュアが使用するのは自由ですし,オーディオマニアの人も83をはじめとして8662H66)など,水銀入り整流管を愛用している方も多いと思います。 83なんかST16バルブなので2A3とか300Bと同じ大きさでぴったりですね。とはいえ,これらは主として民生用の整流管として開発されていて取り扱いも簡単ですが,大型のサイラトロンは図体も大きいし,ヒータ電力も大きいし,ソケットもないし,ということで使う人は少ないと思います。

でも,以前から一度は動作させてみたいと思っていました。私は83で経験しましたけど,管壁が青く光ってとても美しいですしね。 

さて,いただいたサイラトロンをどうやって使うか,なんですが,まず問題なのはヒータトランスです。

サイラトロンは扱う電力が大きい分,ヒータ電力も大きく,今回使用した米Westinghouse社製のWL672AだとEh=5V,Ih=6Aと大食いです。 まだこれなんか小さい方で,FG105だと10Aも食います。これだとトランスが大変ですが,河童さんから米Chicago Transformer製の米軍向けヒータトランスもあわせていただいたので使わせていただきます。

WL672AはWestinghouseの型番で,ほかにRCAやGEなど各社が672の番号で作っています。割にサイラトロンの中ではポピュラーな球のようです。最大で1500V,2.5Aが扱えます。

ソケットも問題で,最初,211などと同じ大型UVソケットだと思いましたが,211用のものはそのまま使えません。同じ1インチの直径にピンが配置されていますが,間隔が微妙に異なります。それに,ハカマとなる金属部分が邪魔をします。幸い,中国製のもののハカマを外してみたらなんとか使えました。 専用の米軍向けのソケットを米国のサープラスショップで見つけたので発注しました。今ごろ,米国から太平洋を船に乗って渡っているでしょう。

211,672base.jpgベース部分の比較です。 

回路は下記の通りです。とりあえずテストなので単純な半波整流回路にしています。

サイラトロン整流装置.jpg テスト回路です。

なお,サイラトロンは3極管ないし4極管構造をしていますが,効率の点でスクリーングリッドを持っているものが多く,WL672Aも4極管構造となっています。

どちらのグリッドもバイアスをかけて使用しますが,スクリーングリッドはたいていはバイアスなしで0Vでよく,コントロールグリッドの方は位相制御をする場合,カットオフする電圧があるので,それを利用して位相制御しますのでバイアス電圧は変化しますが,位相制御しない場合でもそれ以前に放電するかどうかという電圧がありますので,事前に検討が必要です。

今回は位相制御まで考えてなくて,単に半波整流すればよいだけですが,プレート電圧が低いので,バイアスが必要かどうか,というのは実験で確かめないといけません。0Vでもよいのではないか,と考えられるのですが,一応,WestinghouseのWL672Aの規格表を見ると0Vでは放電するかどうかわからない感じです。実際,斜線部は球のばらつきおよび寿命により放電するかどうかは不明という意味の記述があります。

WH 672特性曲線.jpg WL672Aのプレート特性曲線 

プレート電源はAC100Vを直接使用することを考えていますので,ピーク電圧は141Vです。この場合,Eg=-6~+8Vの間はこのグレーゾーンで,放電するかどうかはビミョー,という感じです。"CERTAIN CONDUCTION" (導通確実)とある領域は+8V以上の領域です。

と言う次第で,ヒータトランスの余った巻線をつかってプラスのバイアスをかけました。6.3Vの巻線を半波整流して,実測約+7.7Vをかけました。もう少し高い電圧の方がよいと思います。

さっそく,電源を投入します。水銀入り整流管のおきまりで,内部の水銀は冷えている間に液化して電極の隙間などに固まっていますので,それが十分熱せられてガス化するまで高圧はかけてはいけません。Westinghouseの規格表ではCathode Heating Time 5 minutesと書かれていますが,実験してみたら5分では全然だめで,15分くらいは予熱しないといけない感じでした。

十分に加熱しないまま高圧をかけると全く放電しませんし,中途半端にガス化した状態だと内部でスパークして球の寿命を縮めますのでご注意ください。

83などの民生用整流管だと予熱時間は1分で,タイマーリレーなどを使ってもいいのですが,たいていの人は高圧用に別のスイッチを設けておられると思います。私もそうしました。わざわざタイマーで自動化しなくても,と言う気もしますし,それに真空管アンプなんで手間を楽しむようなものですしね。

サイラトロン整流器.jpg 電球は負荷です。

スイッチは2個設け,1個はヒータ余熱用で,もう1個は高圧用です。高圧用は15分くらいたってから投入します。 

いただいたヒータトランスは米Chicagoのトランスで,ちょっと塗装がはげていたので塗り直しました。米軍用だし,カーキ色だよな~,と言うことで一生懸命似た色を探してみても米陸軍用は緑系で,全然違う色で変です。おかしいなぁと思ったらなんとタミヤの日本自衛隊用TS-90がぴったりでした。 茶系だそうです。以前からChicagoのトランスとUTCじゃ色が違うな,と思っていましたが,こういう具合で,Chicagoのトランスは茶系なんですね。

シャシー内部.jpg シャシー内部

WL672 ヒータ点灯状況.jpg ヒータは点灯してるかわからないくらいです。

ヒータは工業用らしく,セラミックヒータとなっています。うっすらと赤くなる程度で,明るいところでは点灯しているかどうかわからないくらいです。

それにしてもこの真空管,date codeらしき表記があり"76-17" と書いてあります。ひょっとして1976年の17週? そんな最近まで作っていたのか,という気がしますが,米国だと軍で使っていたのかもしれませんし,溶接機など,未だに現役のものもあると言う話なので,割に最近まで作っていたようです。 

サイラトロン整流器1.jpg 動作すると内部が青く光ります。

高圧スイッチを入れると内部がパッと青く光り,負荷の電球も明るく光ります。まあ,半波整流だし,サイラトロン内部の電圧降下もあるのでそれほど明るいわけではありませんけど。

薄暗い部屋に持って行くと内部がボウッと青く光り,とてもきれいです。もう真空管マニアにとってはまるで夢の世界.....。うっとりと見とれてしまいました......。

現在はAC100Vを整流しているだけなので使い道はありませんけど,1000V位を整流させて211とか超大型3極出力管の212のアンプに使ってやるとよいかと......夢想しています。 

なお,サイラトロンにはオシロスコープの掃引用の弛張発振回路を構成するための2D21T66-GTなどの球もあります。これらは当然整流用じゃありませんのでご注意ください。 もっとも,これらの球を使ってサイラトロンをon,offする回路もあり,ややこしいです。今で言えばUJTやPUTと言った素子の役割をしていました。もっとも,今じゃUJTやPUTもとうに製造中止なんですけどね......。

お世話になった河童さんからコメントをいただきました。「屋根裏で寝ていた球を活用していただき感謝。」 どうもこちらこそありがとうございました。

 

【サイラトロンコレクション】 

C6M.jpg 米Electrons inc.製のC6M

Eh=2.5V, Ih=21A(!), Epmax=1000V, Ipave=6.4A 

なんかとてもできがよく,ガラスも平滑度がよくて表面はとてもきれいです。陽極はタンタルで,キセノンガス入りのようです。米軍放出品を扱っている店で1本$4で買いました。211と組み合わせるとかっこうよさそうですが,ヒータ電流21Aに驚き! 間に小数点が入っていると思いそうですが,ありませんのでご注意ください。

GE FG105.jpg GE製のFG105

Eh=5V, Ih=10A, Epmax=2500V, Ipave=6.4A。サイドの電極はSGです。

三菱5G72.jpg 三菱製5G72。規格は672と同じだと思います。 

東芝4G23.jpg 東芝製4G23。ソケットはUXです。 

Motorola KS19699 Thyristor.jpg モトローラ製KS19699-L

実はサイラトロンじゃなく,サイリスタです。箱に "SOLID STATE THYRATRON" とあります。WEへ納入されているので,KS番号となっています。なお,Western Electricと書かれていても,KS番号のものは外部調達品です。これは製造はモトローラです。

おそらく,672などのサイラトロンの代用品として1970年代に製造されたものでしょう。シリコンDiが実用化されると,整流管の置換用として真空管のソケットを持ったシリコンDiが発売されました。私も5R4GYの代用品とか,WEの412Aの代用品を持っています。増幅用にFETを用いたFETRONなんかも有名ですが,サイラトロンにこんな代用品があるとは知りませんでした。 

Motorola KS19699 Thyristor箱.jpg 箱です。


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ワイドFMがはじまった~既存のラジオのFMバンドの変更~ [ラジオ]

2015年12月7日の日記

ニッポン放送聴取位置.jpg FMでニッポン放送を聴いてます。

今日,関東地区でもFMでのAM局の放送が始まりました。TBS,文化放送,ニッポン放送のAM3局がFMで同時放送を開始しました。昨日から東京へ出張だったので聴いてみました。

これは,2011年7月にTVがデジタル放送に完全に移行し,それまでアナログのTV放送の1ch.~3ch.が使っていた90~108MHzが空いたため,その有効活用として民放各局が求めていたものです。

実際,都市部ではマンションなどの鉄筋構造の建物に住む人が多いこともあり,家の中でラジオが聴けない,という苦情が寄せられていたこともあります。特に,近年ではインバータ制御のエアコンやデジタル機器が増え,これらの機器は中のクロックにより動作するため盛大なノイズを発しますし,ACアダプタなども昔はトランスを使った3端子レギュレータなどのアナログ電源? だったのに近年ではスイッチング電源が主流となっては家中ノイズだらけという状況で,家の中で元々ノイズに弱いAMは聴けないという状況です。

私の家は木造ですが,それでもこれらのノイズにより満足にAMは聴けない状況です。マンションだと電波が遮られるし,余計ひどいでしょう。鉄骨を伝わってノイズがばらまかれる,ということもあると思います。

一方,そもそもラジオが聴けない,という状況では聴取者が減り,CM収入に頼る民放では聴取者の減少は広告料の減少につながり,死活問題です。なおさらインターネットの普及で既存の電波メディアの存在価値が下がり,特に音質の悪いAMラジオはそれこそ存亡の危機というべき状況ですからね。それでAM局がFMでの放送を望むこととなったのだと思います。

ということもあったところへ,東日本大震災もあり,総務省では災害発生時の電波メディアによる情報提供も重要だと考え,2014年1月にAM局のFM帯での放送についての指針をまとめ公表しました。

確かに,radikoなど,ネット放送も普及している状況では今さら電波メディアでラジオを聴く必要もないですし,私もパソコンで仕事しながらラジオをradikoで聴くのが普通になっています。 といって,災害時にスマホやパソコンが動くか,というとそんなことは考えられず,やはり昔ながらのラジオが災害には断然強いので,電波メディアの存続を図る,ということも政策のひとつなのでしょう。当然のことだと思います。

ということで,2014年12月の北日本放送と南海放送を皮切りに各地で民放AM局のFM帯での同時放送が始まっています。3大都市圏では名古屋が一番早く,今年10月1日の本放送開始です。関東は今日です。関西地区は来春というところまでは決まっているようですがまだ具体的な期日は決まっていないようです。

さっそく,ラジオマニアの私は聴いてみようと思いました。

ところが,ラジオマニアなのにFM帯で108MHzまで入るラジオは手持ちがありません.......orz。

実はラジオのコレクションは全部実家においてあり,今,手元にあるラジオで108MHzまで聴けるのはありません。

海外のラジオだとほとんどFMは88~108MHzのもので,海外で買ったラジオだとワイドFMを聴くことができます。私も何台か持っています。FMはバンドの変更をしないとあまり日本の局は聴けません。特に,日本のFMはすぐ上にTVがあったこともあり,IFによるイメージ妨害を警戒してか85MHz以下の局が多すぎて,海外のFMラジオは日本に持ってくるとほとんど使えません。85MHz以上の局がある地域はTVの1ch.がなかった地域でしょう。実際,α-STATIONエフエム京都が89.4MHzなんてかなり高い周波数にあるのに対し,愛知県ではNHK FMの82.5MHzが最高です。 関西は1ch.はありませんでしたが,中京地区は東海TVが1ch.を使っていたせいでしょうか。なお,TVは関西が偶数のチャンネルで,中京地区が奇数というのはもちろん,混信を避けるためでした。

それに,余談ですけどNHKのFM局はどんな基準で置局されているか,というと驚くべき事実に気がつきました。

ラジオ深夜便で1:00以降はFMでもやっていますが,ある日,アナウンサーが "ラジオのバンドをFMに切り替えてください。ダイヤルを少し右に回すとお近くのFM局があります" なんて言ってました。そ~ゆ~決め方だったんですくゎあ~~っ!?

確かにダイヤル式のラジオでやってみるとどこでもこんな感じです。昔は民放のFMなんてほとんどなくて,FM帯はがらがらだったからNHKが勝手にこんな風に決めたのでしょう。 

ちょっと脱線しちゃいました。 

一方,海外製のラジオのAMはフィルタの帯域幅が広く,とてもHiFiなので愛用しています。なお,FM帯のバンド変更はアナログチューニング(バリコン)のものは可能で,自分でバンド変更をして聴いています。 

ところが,このせいでせっかく海外製のカナダMagnasonic社製のMM176Kというラジオを持っているのに,バンド変更をしてしまったので,今はワイドFMが聴けません。

このバンド変更は日本のラジオ用に88~108MHzだったのを76~90MHzにするもので,私のMM176Kでの改造で77.4~90.9MHzが受信できます。いずれこいつもきちんとワイドFM対応の周波数変更をしたいと思います。

また,TVが聴けると称して,76~108MHzになっているラジオが昔ありました。これだとワイドFMは聴くことができます。ただ,PLLシンセサイザ式のものだとTV帯でも0.1MHzピッチで移動できるものはOKですが,1ch. 2ch. 3ch. となっていて周波数が固定されているものはだめです。ちなみにTVの音声周波数はそれぞれ95.75,101.75,107.75MHzでした。これじゃ聴けません。 

ほかに聴けるラジオはないかと探してみますと,ソニーのSRF-18がありました。小型でありながらスピーカを2つ搭載し,スピーカでステレオで聴けるのはとてもうれしいです。感度も音もよくお気に入りです。ただ,これ,AMステレオに改造しようと買ったのですが,残念ながらAMのIFを取り出すことができず,あきらめました。

しかし,このラジオ,FMは76~90MHzで,ワイドFMに対応したものではありません。もっとも,アナログチューニングのFMラジオの場合,少し余裕があり,90MHzより少し上まで聴けるはずです。というのはFMもAMも電波には帯域幅があり,ぎりぎりの同調範囲とすると周波数帯ぎりぎりの局は聴けなくなってしまうからです。 

実際,ダイヤルを回してみますと90.5MHzのTBS,91.6MHzの文化放送までは聴くことができます。 とてもHiFiで,美しい音を楽しめました。残念ながら93.0MHzのニッポン放送は聴くことができません。もしかして,TBSと文化放送はこれを狙っていた......? のでしょうか。

という次第で,今日は本格的にソニーのSRF-18を調整してワイドFM対応ラジオにしたいと思います。 

アナログチューニングのラジオの場合,最終的に同調範囲の調整をして出荷されています。最近は部品代より人件費の方が高いので,アナログチューニングのラジオの方が部品代ではPLLシンセサイザ式のラジオより安いのに非常に数が減っているのはそのせいです。今回,その調整をやり直してFM帯を拡張したいと思います。

でも,これは非常に大変です。相当電気に詳しい人でないと勧めません。メーカの保証もなくなりますし,調整を誤ると使い物にならなくなりますので,自信のある人以外はおやめください。

まずはばらします。フタにねじがありますので,それを外します。ソニーは親切にねじの位置が "" で示されているので楽です。電池箱の中にもねじがあることが多いので気をつけます。やはり電池箱の中に4本ねじがありました。

SRF-18内部.jpg 電池箱の中にもねじがあります。

ただ,ねじを外してからが大変で,なかなかフタが外れません。なんと,表側のボディと両面テープで貼り付けてありました....。

SRF-18 FM antenna.jpg  FMアンテナの電線を外します。

SRF-18内部1.jpg ようやくフタが外せましたが.....。

ようやくフタが外れますがこれでも調整はできません。残念ながら,基板はボディ表側に固定されていて,表のボディを外さないとバリコンが調整できません。

何とか基板を外して,バリコンのトリマを見つけます。調整するのはただ1カ所,基板上に "FM OSC" と書かれたバリコンのトリマコンデンサです。

SRF-18バリコン周辺'.jpg

   このトリマです。今の羽根の位置に印をつけておきませう。

FMに限らず,スーパーヘテロダイン方式のラジオは同調回路が2つあり,ひとつはアンテナ入力部で,もうひとつは中間周波数だけ離れた周波数を発振する局部発振器の同調回路です。

ラジオの受信周波数 fin は局発の周波数 fosc で決まります。 fin=fosc±fif です。fifはIFの周波数で,AMは455kHzで,FMは10.7MHzと決められています。AMの場合,PLLシンセサイザ式のラジオなどでは450kHzのことが多いですし,カーラジオでは半分の227.5kHzのこともありますが,FMは10.7MHzがほとんどです。

また,±の符号は普通は-のみです。これを上側ヘテロダインと言います。受信周波数より高い周波数を発振させるのが普通です。AMだと990~2060kHzを発振させるわけです。これが逆に下側ヘテロダインだと80~1150kHzを発振させることになり,周波数は14倍です。バリコンの容量はこの2乗に反比例しますので,約200倍の容量変化が必要です。こうなると1個のバリコンでは無理で,2個以上のバリコンを組み合わせないとAM帯全部がカバーできないことになります。上側ヘテロダインだと容量変化は4倍程度でOKですから,AM帯では上側ヘテロダインが使われます。

ところが,FMの場合,諸外国は+で上側ヘテロダインを用いて98.7~118.7MHzを発振させますが,日本だけはFM帯が76~90MHzと変な周波数帯なのにもかかわらず,さらに局発は-を使い,下側ヘテロダインで設計されています。という次第で,日本で使用されるFMラジオの局発は65.3~79.3MHzで調整されています。

何でこうなのか,というと日本の場合,すぐ上にTVの周波数帯があり,FMラジオの局発がTVの受信周波数に影響を与えてしまうからなのです。でした,というべきでしょうけどね。

なんか本当に日本だけ,FMの周波数はおかしいのに,局発まで変な設計になっていて困ってしまいます。

そこで,今回はこの調整をやり直すわけですが,受信周波数の上限を高くするだけなので,局発の周波数を少し上まで発振させればよい,ということになります。

さて,ワイドFM対応にするには実際,どこまで周波数を上げればよいか,ということになります。

総務省はワイドFMには95MHzまで割り当てており,そこから上はマルチメディア放送といって映像や双方向通信を行う放送が始まる予定です。地デジで使われている方式と同じものです。

といって,95~108MHz帯でマルチメディア放送が始まるからといって,従来のFMラジオで聴けるようにはなっていません。変調方式はデジタル変調で,周波数変調(FM)ではないので聴くことができません。

という次第なので,FMは76~95MHzにできればそれでよい,ということになると思います。 

そうは思うのですが,ソニーやPanasonicなど,ワイドFM対応と謳っているラジオのFMは76~108MHzとなっています。何でかわかりません。

私も一応,108MHzまで対応できれば,と思いましたが,実際はそこまでは調整できませんでした。ここまで対応するには局発コイルの調整か,あるいは取り替えが必要で,あきらめました。うっかりコイルまでいじってしまうと全部の調整をやり直しになってしまいますので。なお,本記事を読んで,オレもやってみよう,と思われた方は測定器がない限り,コイルの調整までは考えない方が無難ですので,ご注意ください。

テストオシレータ.jpg 

テストオシレータで90MHzを発振させ,まずはラジオのダイヤルを一番高い方に回して90MHzを受信することを確認します。特にラジオと接続するまでもありません。テストオシレータに送信アンテナ代わりの短い電線をつけて発信させるだけでOKです。

実際,SRF-18でも一番右に回して90MHzがきれいに受信できることを確認しました。

次はバリコンのトリマをいじります。その前に,FM OSCと書かれたトリマの現在の羽根の位置に印をつけておきます。うっかり調整し損なっても元に戻せるようにしておきます。

これをすこし左に回し,できるだけ上の方の周波数が高くなるようにします。本機では98MHzくらいまであげることができました。

あとはこの状態で,基板にANTとあるところに1mくらいの電線をつないで実際に放送を聴いてみます。

無事にニッポン放送が聴けます。さらにダイヤルを高い方に回すことができますので,成功です。98MHzくらいまでは受信できそうです。

こうしてふたを閉めて完了です。無事にワイドFMが聴けるようになりました。

なお,こうすると当然ながらダイヤルがずれてしまい,いままで聴いていた位置とは異なる位置で受信しますので,ご注意ください。ダイヤルをプリンタで印刷して書き直す,ということとも考えましたが,まあ上限が95MHzになったくらいで,ずれはたいしたことないのでやめました。 

また,この調整法はアナログチューニングのラジオ共通の調整法です。ほかのラジオで無事にバリコンにアクセスできる状態ならこの調整法でワイドFMを聴くことができます。もっとも,最初にお断りしたとおり,よほど自信のある方でないとおすすめしません。 

それにしてもAM局がFMで,しかもステレオで聴けるので最高です。来年の夏はナイターをステレオで聴くことができるでしょう。AMステレオ開始時にはTBSが大相撲の中継をやっていて,折から若貴全盛の頃で,大相撲がとても人気があった頃でしたから,私もTBSのAMステレオ中継を聴いて楽しんでいました。またステレオで聴けるようにならないでしょうか。

でも,ちょっぴりラジオマニアとしてはAMの地位が下がりそうで,残念です。ワイドFMを聴いた人はもうAMには戻れないらしいですが,確かに,という気がします。

今後,AM帯での放送をやめてFMに移行する局も出てきそうです。 実際,日本の民放は戦後の開始なので,古い局だとAMの送信塔が経年60年といったところで,減価償却が終わる頃です。送信塔を建て替えるくらいならAMやめちゃえ,と考える局が出てきてもおかしくありません。とはいえ,AMの送信エリアとFMじゃ,断然AMの方が広いので,FMで中継するにはたくさんの中継局が必要になるのでそう簡単じゃない,という気はするのですが,今,日本中にボコボコ建っている携帯電話の基地局を借用すればFM中継局の問題は解決します。もしかして,携帯電話の会社と結託してAMやめちゃうところが出てくるかも.......。そのうち,AMはNHKだけ,という時代が来るのではないかと危惧しています。そして,誰もいなくなった......。

日本を含むアジア圏やアフリカ圏のAM局の混信や周波数不足が問題となり, 1978年11月,国際電気通信連合の国際主管庁会議でアジア,アフリカ,欧州圏はAM局の置局間隔が従来の10kHzから9kHzに移行することが決まりました。そのとき,先進国はAMをやめてFMに移行する,という議論がありました。あれから30年を経て,先進国はFMへ移行していくのでしょうか。実際,英BBCもAMで5局あったのを順次,FMに移行しています。ちょっと調べてみたらAMはもう1局だけのようです。なんか,英国のアマチュアラジオの団体BVWSがBBC-4のFMへの移行について反対していたのが昨日のことのように思い出されますけど。それに,そもそも欧州ではFMすらやめてデジタル放送(DAB)に移行することになっています。

日本ではFMのデジタルへの移行は断念することとなりました。FM東京ではマルチメディア放送を開始する予定です。将来,FMをやめてマルチメディア1本にする戦略があるのでは,と思います。と言っても,マルチメディアの先駆け,NTTのNOTTVは私の予想通り赤字続きで来年夏には早々に放送終了です。儲かるわけないと思ってました。ネット配信もあるし,単純にマルチメディアが成長する,というわけでもなさそうで,FMの次の世代は不透明です。そんな混乱の中,AM局は今後どうなるのだろうと考える今日この頃です。

2018年5月1日追記

親切な方からご教示いただきました。

今年初め,本機のワイドFM対応版がソニーから発売されたようです。型番はSRF-19とひとつ上がっています....(^^;)。

FMバンドは76~108MHzまでになっています。ワイドFMだけなら95MHzまでで十分なんですけど......。▲のマルチメディア放送対応じゃありません。これはFMでは同時放送されませんから,たとえ受信できても普通のFMラジオじゃ,聴けませんので。おそらく,海外向け仕様のもののFM下限を少し下げたのではないかと思います。 

正直言って,今どきアナログチューニングのラジオを製造する,っていったら組み立てや調整に非常に手間がかかりますし,SRF-18もワイドFM開始とともに製造中止か,と思っていたのでうれしいです。

さすがはソニー!! って思った次第です。 


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AMステレオラジオ 積水化学ミニオの紹介 [ラジオ]

2014年11月3日の日記

積水ミニオ.jpg 元箱と説明書です。

AMステレオが好きで,ラジオを集めたり自作したりしています。1992年から始まった日本のAMステレオ放送は20年を経過し,放送終了する局が増え,消えていこうとしています。radikoも普及し,スマホでノイズもなくステレオで聴けるようになったので不要となったかもしれませんが災害の時は携帯はつながりませんし,ラジオというメディアでやはりHiFi化を目指してほしいものです。 また,在京の放送局などはFMでのサイマル放送も進めていて,先頃,ニッポン放送などに予備免許が交付されました。もっとも,アナログTVの放送終了で空いた90~108MHzのバンドでの放送なので,普通のFMラジオでは聞くことができません。

と言うことで昔からAMステレオのラジオを集めていますが,どうしてもまだ入手できていないのが積水化学が発売したミニオです。たくさん売られていたし,割に人気があったラジオだと思いますが,うっかり入手し損ねました。

ラジオ自体は中国製で,ツインバード工業のプチオと似たスタイルですが,こちらの方が小型です。また,プチオはオーディオ出力に新日本無線のNJM2073Dを使っていて,このICはとてもポピュラーなICで入手も容易なのですが,どうもイヤホンのインピーダンスがあわないとノイズが出るようで,付属のイヤホンを使う場合は問題ないのですが,手持ちのを使ったらホワイトノイズのような広帯域のノイズが出ました。ミニオはそんなことはなくHiFiでした。

早速分解して中を調べます.....(^^;)。

積水ミニオ2.jpg 中は中国製部品で占められています

製造は中国で,この場合でも日本製の部品が多かったりするのですが,ケミコンやバリコンなどは中国製でした。IFのフィルタはムラタのようです。

残念ながらここまでバラしましたが,AMステレオのICやヘッドホンアンプのICは基板の裏側に取りつけられているようです。AMステレオのICはモトローラのMC13024DWで間違いないと思いますが,ヘッドホンアンプは何かわかりません。どうも基板は接着されているのか,外すことができませんでした。

バーアンテナは▲の写真のように小型のものですが,なかなか感度よく,快適です。肝腎のAMステレオもちゃんと安定して再生できました。

積水ミニオ3.jpg 外観です。

積水ミニオ1.jpg スイッチはステレオ/モノの切り替えSWと兼用です

なかなかステレオだと拡がりもあり,臨場感もあって,音楽などもとても聴きやすいです。このような素晴らしい技術が廃れていくのはとても残念です。

 


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Cherry 6石スーパートランジスタラジオキットCK-606の組み立て 【シリコントランジスタ版】 [ラジオ]

2014年9月7日の日記

2年前,Cherryの6石キットCK-606をゲルマニウムトランジスタで作りました。もちろん,オリジナルはシリコントランジスタ使用で,2SC1815を使用しています。天の邪鬼な私はそれじゃおもしろくない,ということでゲルマニウムトランジスタを使って組み立てました。多少の回路変更が必要ですが,無事に動作し,今も楽しんでいます。

私が作ったゲルマニウム版のTrのラインナップは 

2SA49(Osc.)--2SA49×2(IF)--1K60(det.)--2SB400(audio)--2SB134(output)

です。いずれもまだ比較的入手しやすいゲルマニウムTrを使いました。メタルキャンの円筒形のTrが並ぶ姿はとても懐かしく,またラジオ自体の感度も非常によかったので,お気に入りのラジオとなりました。改造に関する内容は上記リンクをご参照ください。

ところが,まだシリコンTrでは作ったことがありません。ラジオはゲルマニウムTrの方が音がよい,と言う話もあり,一度,シリコン版を作って比較したいと思っていました。

そこで,週末に秋葉原ラジオデパート3Fのシオヤ無線へ行ってキットを購入してきました。

ところが,開けてびっくり。Trは2SC1815から2SC3198に変わっています。どうも韓国KEC製のようです。TO-92タイプの小信号用Trがどんどん製造中止になっていて,とうとうここまで来たか,という感じがします。2SC1815は昨年,製造中止になりました。そのせいでしょうか。もっとも,前回のブログにも書いたとおり,2SC1815の東芝の代替推奨品は2SC2712で, リードタイプのTO-92型じゃなく,表面実装のTrになっています。2SC1815が製造中止になったので,急遽,リードタイプで入手可能な品番に変わったようです。

と言って,天の邪鬼な私は最初からキットに付属しているTrで作るつもりはなく,シリコンTrでも古い物を使おうと考えていました.......。なんてやつ!

トランジスタラジオと言えば.....,やはり2SC372ですよね! (じじいだな....。)

私が中学生の頃,電子工作と言えば2SC372が万能で,ラジオをはじめとしてインタホンやトランシーバ,風呂の湯面計などありとあらゆる電子工作の定番でした。メーカが東芝で,私の住んでいる北陸の田舎のようなラジオ屋さんでも簡単に手に入る,と言うことも理由の一つだったと思います。当時,地方のラジオ屋では扱っている半導体は東芝が主体で,NECですら入手は難しかったくらいです。もちろん,松下やソニーの半導体なんて手に入るはずもなく,こういう半導体を使っていると東芝の同等品を使わざるを得ませんでした。10WのA級アンプを作ったとき,2段目の主要なTrにソニーの2SC1124が指定されていましたが,手に入らず,結局,東芝の代替品(型番は忘れてしまいましたが,CQ出版のトランジスタ互換表を見ると2SC1625だったようです)を使った記憶があります。ソニーファンの私はこれがおもしろくなく,できあがったアンプも気に入らなくてそのうちに解体してしまいました。

まあ,極端な話,TrはPNPかNPNかを間違わなければたいてい,問題なく動くものなんですけどね.....。2SC1124の代わりにNECの2SC959でも使っておけばよかった,と言う気がします。

と言う次第で,このCherryのキットに使用するTrは何にしようかと迷いましたが,やっぱり2SC372にしました。部品箱を探すと,いにしえのTrが出てきました。ハンダ跡のついた中古品もあり,昔遊んだんだな,と感慨深いものがありました。

驚いたことに,私が中学の頃買った2SC372は銅のリード線を使い,表面には金メッキが施されていました。もちろん,TO-92のようなかまぼこ形のモールドじゃなく,シルクハットみたいにつばのついた懐かしい形です。ロゴもToshibaの筆記体で書かれている物でした。懐かし~~!

私が大学に入った頃にはもう忘れられた存在になっていて,形状も普通のかまぼこ形のTO-92に変わり,リード線も鉄になって表面のメッキもスズメッキに変わっていました。リード線が鉄のものは打ち抜きで作るので断面がになります。丸い銅線の方がいいですね。オーディ用のTrだとなおさらで,断面がだと憂鬱になります。おそらく,シルクハットタイプは70年代の物だと思います。

2SC372, 2SC3198.jpg 

   昔懐かしい2SC372。一番右はキット同梱の2SC3198

いくつかバリエーションがあるようで,シルクハットタイプでもロゴが単にTとだけ表記されているようになったものや,リード線もスズメッキの物もあるようです。 

それにしても,こういう安い半導体にもわざわざ金メッキを施していた時代があったとは驚きです。コストのためか,銀メッキしたTrも出てきますが,空気中の硫黄酸化物と反応して硫化銀を生じて表面が真っ黒になり,それがモールド内部にまで侵食するのか導通不良になることも多く,ラジオの故障の原因になります。BCLラジオに多用された三菱の2SC710なんか,そうですね。私の手持ちのソニーのV-FET2SK79もそうです。

2SC372は万能の低周波用Trとして,AMラジオやトランシーバなどに使われました。もちろん,低周波用なのでHiFi用としても使われるTrで,実際,あるときHiFiアンプに使用されている記事が出ましたが,さすがに2SC372=ラジオというイメージがあって敬遠してしまいました。やはり低雑音のHiFi用なら2SC1000とか,2SC1222(古っ~!)とかじゃない,と思ったものです。

さて,Cherryのキットは今でこそ新しい品番の物になっていますが,説明書に載っている写真を見る限り,やはりシルクハットの形状のTrが使用されていて,初期の頃は2SC372だったと思います。ただ,局発は2SC371で,出力は2SC735かもしれません。2SC371はfTが150MHzで,むしろ2SC372より低いのですが,規格表を見ると中波帯周波数変換用となっています。残念ながら部品箱をひっくり返したら2SC371は出てきましたが死亡していました........orz。2SC735は出てこなかったので,仕方なくオール2SC372にしました。ちなみに▼を見ると2SC372はfTが200MHzもあるので,FM用としても使えるはずですが,FMラジオに使われているのは見た記憶がありません。

VCBO  IC  PC  fT       用 途

2SC372 60V 0.15A 0.4W 200MHz 高周波,低周波増幅

2SC735 35V 0.4A 0.3W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

2SC1959 35V 0.5A 0.5W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

この規格を見る限り,出力用には2SC735の方がICが大きいのでよさそうですが,2SC372でも問題ありませんでした。将来,シルクハットの2SC735が手に入ったら差し替えてみようと思います。なお,2SC19592SC735の互換品です。2SC1959でもよいのですが,形状がTO-92です。やはりシルクハットのものを,と考えました。こだわりすぎ!

さて,組み立てはゲルマニウムTrの場合は電源やバイアス回路の変更などが必要ですが,今回はシリコンTrを使っていますので,まずはキットの通り組み立ててみますが,調整のため,局発やIF出力の波形がモニタできるよう,テスト端子を設けておくと後々,便利です。

素直に組むことにすると大体1時間半~2時間くらいで全部の配線が終わってしまいます。 

基板2.jpg 内部

T.P.とあるのはオシロのプローブ用のテスト端子です。あらかじめ設置しておくと後が楽です。 バーアンテナのコイルは調整前の状態で,調整後はずっとバリコン寄りになりました。

基板1.jpg 懐かしいTrたちの姿です

さて,配線が終わったらここでコーヒーでも飲むか,昼寝でもして(おぃ),休憩します。このまま即通電,なんてことをやるとロクなことはないと思います。ところが,今日はこのまま先に進んだらやっぱりロクなことはありませんでした......。

最後に配線チェックしていよいよ電池をつないで通電します。

ガリッとスピーカから音がしますので,低周波部はOKのようです。ところが,バリコンを回してもウンともスンとも言いません。いやな予感がします。普通,AMラジオ特有のガー,ガー,バリ,バリというような雜音がするはずですが,それもしません。

こういう場合,まず疑ってかかるのはスーパーのラジオだと局発が動作しているかどうかです。

早速,先ほど設けておいたテスト端子にオシロのプローブをさして確認します。オシロのプローブ自体に容量があり,局発の周波数に影響を与えますので,今回はTr1のコレクタにテスト端子をつけておきました。

局発波形.jpg オシロでの確認状態

オシロで見てみると局発はちゃんと動作しているようです。う~ん,原因はほかのようです。とりあえず,局発は動作していることがわかったので,この状態でトラッキング調整をしてしまいます。

バリコンを一番低周波に回し,OSCコイル(赤)を回して985kHzを発振するようにします。今回,IFは450kHzにしましたので,535+450で985kHzです。

次に,バリコンを一番,高周波の状態にし,OSCコイルにパラに入っているバリコンのトリマ(O)を回して2055kHzにします。

これを何回か繰り返して局発が985~2055kHzの範囲で発振するよう調整すればOKです。

次に,シグナルジェネレータを接続し,450kHzで発振させます。この状態でオシロをIF出力につなぎます。検波段のIFTは黒です。セラミックフィルタを使っているとこの調整は楽で,放送局を聞きながら音量が最大になる位置に固定すれば自動的にIFは450kHzとなりますが,セラミックフィルタを使っていない場合はSGが必要となります。SGをお持ちでない場合はC-MOS ICとセラミック発振子を使った簡単な発振器を作っておくとよいと思います。

正常ならばIF出力が最大になるよう,各IFTのコアを回せばIFTの調整は終わりです。

この状態でIFの出力を順に局発から見ていくと,2段目の出力が0でした。

電源を切って,Trが死んでいるかもしれないのでチェックします。今回は私が中学の頃使っていた古いTrを使っていますので,前回,飛ばしてしまった物を使っている可能性があります。

基板の裏から,各Trのピンにテスターのリードを当て,ダイオードチェックをします。P-N接合の順方向電圧をチェックすればDiやTrが生きているかどうかわかるので,デジタルのテスターにはたいてい,この機能があります。ダイオードの記号がついた位置にダイヤルを合わせて,P-N接合電圧をチェックします。

具体的には,NPNのTrの場合,ベースに赤リード線を当て,エミッタ,コレクタに黒のリード線を当ててチェックします。Trが生きていればベース~エミッタ,ベース~コレクタ間の電圧は0.6Vくらいになるはずです。PNPだとリード線は逆になります。

こうやってチェックしますと無事にTrは生きていました。となると.....。

結局,原因はハンダ付け不良でした。中古のTrを使っていたので,リード線が少々短く,基板の裏側にあまり顔を出していなくてハンダがあまり着いていなかったようです。ガクッ。

あまりに簡単な原因でした。ガキの頃からハンダ付けやってますが,いまだにミスをします.....(^^;) 。

これでラジオが動作するようになりました。IFTのコアを調整してとりあえず終了です。

この時点でどこか局が入るはずです。静かにバリコンを回してみると元気に地元の民放が入りました。

ただ,バリコンを回していくとところどころでビュッ,ビュッと大きな音がしますし,無音になるところもあります。発振です。

たいていはIF段の発振なので,IFTの1次側の負荷抵抗を下げてやります。パラに100kΩ位の抵抗を配線してやると直ります。実際,前回のゲルマ版はIFT-1,IFT-2ともに100kΩをパラにしています。今回は両方やるとゲイン不足で音量が小さくなりましたので,IFT-2のみパラにしました。こうやって発振は止まりました。なお,検波段のIFT-3はもとからQが低く,ここは抵抗をパラにしなくても問題はないはずです。

それと,特にやる必要はないのですが,バーアンテナのQも下げてやります。バーアンテナとバリコンの間に30Ωを挿入しました。▲の内部写真で30Ωとある抵抗です。こうやるとQが下がって帯域幅が広くなり高音が出るようになります。また,同調もやりやすくなります。これを入れないと同調はきわめてピンポイントで,やりにくいと思います。 

また,CK-606はバーアンテナが途中で変わったらしく,前回のゲルマ版では発振に手こずりましたが,今回は大丈夫でした。 

このあと,バーアンテナのコイルの位置を調整して終わりですが, これが難航しました。1300kHzくらいの民放はガンガン入るのに,700kHzくらいのNHK第1が入りません。やはり高周波になるほどバーアンテナのQが上昇するのでこうなるのは仕方ないですが,NHKが入らないのは困ります。

原因がわからず,しばらく放置していましたが,気を取り直してもう一度トラッキングを調べてみます。

なんと,局発の下限を885kHzで調整していました。100kHz間違えていたわけです。とうとう算数までできなくなってきたようです.....。 

ここまできたらバーアンテナのコイル(L)の位置を変化させて,低い周波数の局も高い周波数の局もまんべんなく感度よく入る位置に固定します。この調整を辛抱強くやらないと特に低い周波数にある放送局がきれいに入りません。これが終わったらコイルをエポキシか何かで固定しておきましょう。 最後にバリコンのアンテナ側トリマ(A)を調整して一番音量が大きくなる位置で固定します。

さて,ようやく無事に動作するようになりました。

ただ,これじゃちょっとおもしろくない。相変わらず天の邪鬼な私はパイロットのLEDをつけることにしました。ゲルマ版と差をつけたいですしね。と言って,単純に電池から抵抗で電流制限してLEDを挿入するだけだと電池の消耗につながりますので,以前,英国Mullard社の初期の黒いロケット型のTrを使ったラジオで試した方法を使います。 局発~低周波増幅の間のA級増幅段向けの電流を供給する回路に,このキットで言うとR11に220Ωの抵抗が入っていますが,この抵抗の代わりにLEDを挿入しました。この部分の電流値は2mAくらいですので,十分LEDが点灯します。本当言うと同調指示用のLEDの方がよいかと思いましたが,これは宿題とします。でも,結構,こういう "光り物" があると楽しいものです。

完成写真.jpg  完成しました。パイロットランプをつけました。

やはり前回のゲルマニウムTr版同様,やはり非常に感度がよいです。キットとはいえ,十分に実用ラジオになる感度です。市販のラジオでもこれくらいの感度があるものはなかなかないと思います。肝心の音の方は先月のブログのソニーSRF-18はなかなかいい音でしたが,このラジオはスピーカがあまりよくなく,キャンキャンとトランジスタラジオ特有の音がします。ゲルマニウム版と聞き比べをしようと思いますが,片付けてしまったのでまた次回です。

では,皆様,ごきげんやう,さやうなら。

 

2014年9月15日追記

同調指示LEDをつけることにしました。単なるパイロットランプじゃつまらないですからね。

でもかなり難航しました。AVCラインから取ればいいかと思いましたが,実測してみると数mV~100mV程度の電圧で,LEDを点灯できるほどの電圧じゃありません。Trを用いてスイッチングしようとしてもまだ電圧が足りません。それに,AVCの電圧は-で,ちょっと利用できるものじゃありませんでした。

仕方ないので,別途,検波回路を設けることとし,1段増幅して2段目のTrをスイッチングすることとしました。初段のTrで増幅した後,検波し,1MΩと10μFの時定数で平滑化して2段目のTrをonします。Trはいらない子? の2SC3198を使いました。 

LED同調指示回路1.jpg 同調指示回路です

LED基板.jpg 基板を作りました

LED基板実装状況.jpg 実装状況です

残念ながら,Tr1段ではまだゲイン不足で,もう1段ないと感度よく点灯してくれません。Trを追加してもよいですが,実装が厳しくなるので,やはり ICを使った方が楽な感じです。ICを使った感度よい同調指示回路を検討してみます。

 

2014年12月1日追記

2SC371および2SC735を入手しました。オリジナルのシルクハットタイプでした。まだ入手可能です。

2SC369,371,372,734,735.jpg 懐かしいTrたち

左から2SC3692SC3712SC372(2種),2SC7342SC735 

早速,取り替えて使っています。全部2SC372というのもちょっとね~と思っていたので満足です。 ただ,部品屋さんの廃業もあいついでいますし,ディスクリートの部品もどんどん製造中止になっているので,こんな贅沢ができるのも今のうちのようで,残念です。


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モトローラMC13028を使ったAMステレオデコーダの製作 [ラジオ]

2014年8月23日の日記

MC13028A1.jpg モトローラ最後のAMステレオデコーダMC13028です。

モトローラが開発したMC13028を使ったAMステレオのデコーダを作ることにしました。AMステレオはAMラジオの音質改善につながる画期的な技術だったと思いますが,セットの普及が進まず,放送開始から20年を経過して放送終了が近い感じで,非常に残念です。

私の住んでいる地域ではまだ聞くことができますので,今のうちにラジオを作っておこうと思います。

今まで,MC13020を使ったラジオ東芝のTA-8124Pを使ったチューナを作っていますが,モトローラが最後に作ったMC13028を使ったものはまだ作ったことがありません。MC13028は主としてカーラジオやポータブルラジオ用に作られたものと思われますが,幅広い電源電圧に対応し,また,AMステレオに必要なPLLのロックも容易で,とても使いやすいICです。もっとも,高級なHiFiチューナ用にはMC13022が用意されていたので,せっかくオークションで入手した国産某社のチューナにMC13028が使われているのを見たとき,がっかりしました。あとで新品で購入した社の高級チューナにはMC13022が使われていました。

ただ,自作することを考えるとMC13028は外付け部品も少なく,また,調整箇所がないのはほかのICと同じですが,PLLのロックがしやすく,使いやすいICだと思います。

MC13028 AMS decoder.jpg回路図。クリックで拡大します。 

しかしながら,私が入手したのはMC13028ADで,表面実装タイプです。DIPタイプのMC13028APは入手が難しいと思います。 基板もとても小さく作れますが,さすがに表面実装タイプだとハンダ付けが面倒そうです。

仕方ないので,いつも通り "花子" でパターンを作り,OHPシートに印刷して感光基板を作りました。

表面実装のハンダ付けパターンを作って画面上に配置していきます。花子にはグリッドという機能がありますし,単位もインチに変換できますので,0.1インチピッチ(2.54mm)でグリッドを描画すると部品の配置がやりやすいです。ちなみに,DIPだと0.1インチピッチですが,SMDだとその半分の0.05インチピッチです......orz。 

基板作成画面.jpg PCでパターンを作ります。

     画面のグリッドピッチは0.1インチに設定してあります。 

プリントパターンチェック.jpg 一度,紙に印刷してチェックします 

0.001μF(1608size).jpg こんなのどうやってハンダ付けしろって言うの~~っ!

今回,ICがSMDなので,ほかのCR部品もチップ部品にしました。3216サイズ(3.2×1.6mm)や2012サイズ(2.0×1.2mm)だと割に楽ですが,最近は1608サイズ(1.6×0.8mm)のものしか売っていません。 幸い,コンデンサも0.001μFが20個で100円とか,値段が安いので助かりますが,しかし,吹けば飛ぶようなもので,くしゃみすれば一瞬にして終わり....です。そのうち,SMDの部品も花粉みたいに小さくなると思います。春になると中国からチップ部品が風に乗って飛んできたりして......。怖っ!

MC13028A PCB2.jpg 基板ができました。基板サイズは32mm×32mmです。

ハンダ付けは大変で,ピンセットで部品を押さえながらIC用のハンダごてでハンダ付けしますが,やはり専用のピッチ部品用のコテが必要な感じです。ハンダも,通常のヤニ入りのハンダではヤニが多すぎて,いわゆる "テンプラ" ハンダになりやすいので注意が必要です。結局,私は鉄道模型マニアでもあるので,フラックスとして塩化亜鉛を持っているので少し基板に塗りました。塩化亜鉛はハンダのヤニと違ってできるだけ薄く広がるように作用するので,SMDの部品のハンダ付けにはもってこいだと思います。楽にハンダ付けできます。ただ,あとでパターンを腐食する可能性がありますので,完成後,きれいに水洗いしておきました。

MC13028A PCB.jpg  と言って何とかできました.....。

青い部品が3.6MHzのセラミック共振子(ムラタの商品名でセラロック)です。 10μFや47μFは電解コンデンサを使いましたが,実は,セラミックでこの容量のものがあります。あまりにサイズが小さいのと,やはりこれくらいの容量のものだと電解コンというイメージなので,電解にしましたが,ちょっとこれだけの大容量でセラミックとは驚きます。技術が進歩しているでしょうけどね....。すごく違和感があります。

MC13028A test.jpg テストの様子

自作のラジオからIFを取り出してつないでみます。IFは3.6MHzのセラロックを使ったので450kHzにしておかないといけませんが,私はトランジスタやICの自作ラジオはIFは450kHzで作ることにしているので問題ありません。

さて,無事にデコーダができました。これを何に組み込むことにしましょうか.....。

MC13028A PCB1.jpg ステレオLEDも点灯しました。 

【ソニー SRF-18の紹介】

sony SRF-18.jpg ソニーSRF-18

実はこのラジオにデコーダを組み込むつもりでした。

Amazonで本やラジオを買ったりするので,おすすめの商品としてこれが出ていました。2つのスピーカがついたアナログチューニングのAM/FM 2バンドラジオです。今どき,アナログチューニングというのは珍しいですし,なかなかデザインもよいです。それに,使ってみるとAM,FMともに感度がよく,同調LEDもついていて便利です。スピーカがついていますが,さすがに口径が小さいので,低音があまり出ないのでそこそこの音質でしかありませんが,なかなか高音もよく伸びて音もよいです。それと,もう一つ,このラジオのよいのは外部入力がついていることで,ここにスマホやウォークマンを接続するとスピーカから音が出ます。まあ,口径が小さいので,たいした音で聞けませんが,私のようにラジオの実験をしたりする人にはモニタ用のアンプと考えてもいいですし,なかなか使い勝手がよいです。

さすがにもうAMステレオの時代じゃないので,FMはステレオですが,AMはモノラルです。これにデコーダを接続してAMステレオ対応にしようと考えました。

sony SRF-18-1.jpg 大きなバーアンテナが使われています。

AMの感度がよいのはこのように大きなバーアンテナが使われているせいですね。意外にこの辺がお粗末で筐体は大きいのにバーアンテナは小さいのしか入ってなくてAMの感度が足りないラジオが多いのですが,ちゃんと気を配っているのはさすがはソニーさん,と言う気がします。

ただ,どこを見てもAMのIFTやセラミックフィルタが見つかりません。いやな予感がします....。

sony SRF-18-2.jpg 基板の裏側

ICは基板の裏側についています。ソニー製のCXA1129NとA1522という型番が見えます。後者はCXA1522でしょう。

ネットで調べてみるとCXA1129Nはラジオ用のICですが,AMのIFは内部で検波段に接続され,外部へ取り出されていません。こういうICは結構多く,このようなICはAMステレオのデコーダが接続できません。

と言う次第で,残念ながらAMステレオ改造は無理です。改造は可能だと思ったんですけどね....。しかたないので,音のよいラジオと言うことで使わせていただきます。


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ソニーAMステレオラジオ SRF-A100~FMバンド変更~ [ラジオ]

2014年5月13日の日記

昨年,eBayでソニーが1983年に米国で発売したSRF-A100というラジオを落札しました。前回はラジオの紹介だけでしたが,今回は整備します。1年も放ったらかしにしてしまいましたが,せっかくのAMステレオが聴けるラジオですしね。

1982年,米国でAMステレオの放送が開始され,その放送が聴けるラジオとして最初にソニーが発売したラジオです。米国ではAMステレオの方式は5方式が乱立することとなったため,側面に切り替えスイッチがあります。その後,カナダやメキシコでもAMステレオ放送が開始されましたので,これらの国でも発売されています。また,豪州向けにSRF-A200というラジオがあったようですが,見たことがありません。外観はA100とほとんど同じらしく,豪州はモトローラ方式オンリーだったので側面の方式切り替えスイッチがないだけだと思います。

10年後,日本でもAMステレオ放送が始まりますが,そのときに発売されたのはSRF-A300というラジオでした。A100よりずっと大きく,また筐体だけではなく,ツマミ類も大きく,高齢者向けということもあったように思います。正直なところ,A100の国内向けを発売してほしかったと思いますが,A100は多方式対応で日本向けとしてはコスト高になりますし,すでに発売から10年を経過し,新しく設計しなおそう,ということだったのだと思います。

という次第で,貴重なラジオですし,きちんと清掃して整備したいと思います。

やはり問題はFM。AMステレオは日本は米国と同じモトローラ方式なので問題ありませんが,FM放送までも日本はガラパゴス化? していて,バンドが世界標準の88~108MHzとは異なりますので,バンド変更が必要となります。 何でこうなのか,というと90~108MHzにアナログTVの1~3ch.があったためです。そのさらに上の周波数にもとは米軍向けの周波数帯があり,そのせいでTVも含め全体に下の方にずれていました。そういえば,TV放送も1953年の放送開始当初は1~6ch.しかなかったのも米軍が使用している帯域が開放されていなかったためです。

さて,このラジオのバンド変更については,比較的楽です。裏ぶたも簡単に開けられます。

SRF-A100裏ぶた.jpg 6カ所のねじを外します

例によってバリコンのFM局発用端子を探します。

SRF-A100内部.jpg 

内部です。バリコンは基板中央上部にあります。ICはAMステレオデコード用のCXA1017Mと思います。

FMの局発はバリコンの6個ある端子のうちの1つですが,幸い,基板上に "FM OSC" と書いてありますのですぐにわかりました。トリマは普通は端子と反対側にありますが,これもちゃんと基板上に穴を開けて顔を出していて,とても調整しやすいラジオだと思います。

という次第なので,本格的にトラッキング調整をして76~90MHzの日本バンドに変更することも簡単なのですが,後で述べる理由もあり,いつものコンデンサパラ付けで対処することにしました。これだとすぐに元に戻せますしね。 

SRF-A100 15pF.jpg ここに15pFをパラにします

FMの局発周波数は米国の場合,98.7~118.7MHzになっていますので,これを86.7~100.7MHzに変更できれば日本の放送が受信できます。本当なら日本のFMラジオは下側ヘテロダインなので65.3~79.7MHzにしないといけないのですが,こうするときちんとトラッキング調整をしないといけないので,上側ヘテロダインでごまかしてしまいます。世界的なFMラジオは上側ヘテロダインですし,もうアナログTVは放送していないので問題ないと思います。

局発の周波数を13MHzほど下げればよいので,局発のバリコンに単純に15pFをパラにハンダ付けしました。本当いうと13pFくらいの方がよいようですが,77.8MHzの局が入ったのでよしとしました。

ようやくこれで日本のFMが聞けるようになりました。外国向けラジオの例に漏れず,音もよく,なかなかいいラジオだと思います。

SRF-A100外観.jpg FMも聞けてゴキゲンです。

ところで,最近,驚いたのですが,AM局が戦後の民放開始時に建設された送信アンテナなどの放送設備の償却が終わるのと,都会のマンションなどで聞くことができなくなっているため,FMへの移行を検討している,というニュースが出ています。総務省も震災後の電波メディアの存続を図るため,推進の意向らしいです。確かに,鉄筋で囲まれたマンションだとAMラジオは聴けませんし,家中インバータやスイッチング電源だらけ,という現状ではノイズだらけでAMラジオは聞くのが難しいので,個人的にFMでも聞けるというのはうれしく思っています。

そういえば,1970年代にアジア各国でAM局の混信が問題になったとき,先進国はFMへ移行しよう,などという話があり,その時は結局アジア地域はAMを9kHzピッチにしてチャンネルを確保することで決着して先進国のAM局は維持され,実際に1978年に移行していますが,どうもまたその話がでてきたか,と言う気がします。また,DAB(デジタルラジオ)の普及を図るため,英国では2015年には全面的にデジタルラジオに移行することが決まっていましたが,業界の反対もあり,多少延期されるようです。幸い? 日本ではデジタルラジオへの移行はまったく不透明で,民放各局も広告収入が伸び悩んでいるのに巨額の投資が必要でどの局も及び腰なので,近くデジタルラジオについては移行を断念するという声明が民放連からも出るようです。

まあ,これはこれで世界の大勢と帝國の現状? を考えると逆行しているという気もして残念なのですが.....。 

それと,先の朝日新聞の記事を見ると,AM局とサイマル放送する中継局は90~108MHz帯とのこと。何でこんなことするんでしょうか。要はアナログTVの1~3ch.が放送終了し,電波が空いたから,ということなんでしょうが,今のFMラジオで聴けない放送なんて意味があるのでしょうか。AM局を防災用として維持する,というんだったら通常の76~90MHz帯に置局すべきではないかと思います。そもそも,今時,新しいバンドのラジオをソニーさんやPanasonicさんが作ってくれるとでも思っているのでしょうか。

このSRF-A100はこのバンドが聴けるラジオなので,トラッキング調整でバンド変更せず,コンデンサでごまかしたのはこのコンデンサを撤去するともとのバンドに戻せるからです。 

昔は "TVが聴ける" といって,76~108MHzというバンドを持ったラジオがありました。ソニーのAMステレオのついたSRF-AX51VなんてラジオにいたってはTVのハイチャンネル(170~222MHz)まで聞けるようになっていました。今時もうこんなラジオはありません。FMの新バンドのラジオを作ってくれないと,AM局が聴けないなんて,おかしいと思いませんか総務省さん。 


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英Roberts社製Revival 200ラジオのFMバンド変更 [ラジオ]

2014年5月10日の日記

R200 exterior.jpg Roberts revival 200 radio

嫁さんがラジオを聞きたい,というので実家においてあった英Roberts社のラジオを持って帰ってきました。このラジオ,20年ほど前に最初にロンドンへ行ったとき,トッテナムコートロードの電器屋で買ってきた記憶があります。

ラジオが好きなので,海外へ行ったとき,電器屋へ行って,ラジオを買ってくることがあります。海外のラジオはデザインがいいですからね。もっとも,実際に日本に持って帰って使えるかどうか,というのは大きな問題で,FMはまず無理です。というのも世界的にFMのバンドは88~108MHzであり,日本の76~90MHzというバンドと異なるためです。ちょっと前までならアナログTVの1ch.~3ch.を聞くことができましたが,今ではこれすらできませんね。 それに,一応,88MHz~90MHzの範囲なら日本のFMバンドと重なっているのでこのあたりにある局なら聞くことができますが,FMのIFが10.7MHzなので,特にTVの1ch.があったところではIFによるイメージ妨害が出る関係でこれくらいの周波数にFM局があるところはほとんどないと思います。これを避けるため,日本ではFMラジオは下側ヘテロダインになっているのですが,まあ,日本のFMは全然多局化してなかったので,無理に問題が出そうな周波数を選ばなくても,ということもあったのだと思います。

また,海外のラジオの場合,AMも問題があり,欧州は日本と同じ9kHzステップなので問題ないですが,北米地域は10kHzステップなのでPLLシンセサイザ(いわゆるボタン式)のものは日本では微妙に周波数がずれて聞きにくいです。 

ということでアナログ式のものならなんとかAMだけは日本では聞くことができます。もちろん,電源がAC電源の場合は電圧の変換やプラグの変換が必要となります。

さて,このRobertsのラジオは,という次第でもちろんアナログチューニングのもので,デザインもいいので買ってきました。

Robertsという会社は1932年創業の英国のポータブルラジオの名門で,現在でも存続しています。ホームページをみると今でもたくさんのラジオを作っています。ラジオ専業でありながらいまも存続しているということはそれなりに利益を上げているわけですし,欧州ではまだラジオの存在感が高いのでしょう。また,今ではデジタルラジオ(DAB)のラジオをも作っています。日本ではデジタルラジオの将来は混沌としており,いまだに本放送の時期は未定です。自作派としてはアナログのFMが存続してくれないと困るので都合がよいのですが,高音質のデジタルラジオがスタートしないのはちょっと残念な気がします。もっとも,英国の場合も2015年に完全にデジタル放送に移行する予定でしたが,業界の反対もあり,2018年に延期されたようです。

このラジオはrevival 200という型名で,もとは同社が戦後発売した2バンド(中波,長波)トランジスタラジオR200の復刻版です。さらにさかのぼると同様のデザインで真空管式のものがあります。オリジナルのR200は1961年に発売されていて,MullardのゲルマニウムTrOC44OC45を使っています。出力はOC78のプッシュプルです。 これらのMullardの初期のTrはガラス封じの頭が丸いTrで,とてもかっこうよいものです。以前,これらを使って6石のスーパーラジオを作りました。また,後期のものはシリコン化され,AF115AC127といったTrが使われています。よほどこのラジオは人気があったのか,ICを使って復刻版が出て,今ではDABのバンドをつけて4バンドラジオになってR250という型番で売られているようです。私が買ったのはまだデジタルラジオなんて影も形もなかった頃のものなので,FM付の3バンドラジオ(中波,長波,FM)となっています。中は日本製のケミコンが使われていたり,基板は日本製かもしれません。ICを使っていて,ラジオICは東芝のTA8117Nを使っていました。残念ながら,TA8122類似のAM/FMチューナICということがわかりますが,規格表を見つけることができませんでした。

こういう古いデザインを大事にするのはイギリスだな~と感心します。今でも人気があるからなのでしょうが,こういった古いデザインのラジオを復刻するあたり,古いものを大事にする国民性には敬意を払いたいと思います。 

何よりデザインもいいですが,音がよく,AMはとてもAMとは思えないいい音がします。実は,米国製もそうですが,海外のラジオはとても音がよいです。日本はアジア近隣の強力局の妨害を避けるため,極端に狭帯域になったラジオが多く,音が悪くて困ります。それにスピーカも小さく,これじゃニュースを聞くのがやっと,という音質のラジオが多いのは残念です。Robertsのラジオは筐体も大きいし,スピーカはアルニコをおごっていて,とても音がよいです。ただ,残念ながら上記のような理由でFMが聞けません。また,長波はアジア地域では放送されていないので,これも聞くことができません。ただ,ロシア語の放送が入りますので,調べてみるとハバロフスクあたりに長波局があるようです。

欧米のラジオは音もよく,また,欧州のものはこのRobertsのラジオのように筐体が大きく,据置型というような感じのものも多いです。日本は小さくしすぎた,という感じがします。これじゃあまり大きなスピーカが使えないし,音もキャン,キャンと低音が出ず,いい音がしませんね。これはどう言ったところからくるのでしょうか。

日本では所詮ラジオ,という考え方があるようで,ラジオは小型で持ち運びができればよい,ということなんでしょうね。おそらく日本はラジオデイズだった時代が短く,おまけに戦前は官製メディアしかなく,ウソの情報を流したり,政府のプロパガンダに利用されたり,戦後はしばらくしてTV放送が始まったのでラジオが国民の友という意識が低かったためではないか,という気がします。欧米では国王や大統領が直接メディアを通じて国民に話しかけたりすることが多く,ラジオというメディアの地位も非常に高かったので,リスナーのラジオの品質に対する要求が厳しいのだと思います。 ルーズベルト大統領の "Fireside chat" は有名ですし,最近,BSでやっていましたが,映画 "英国王のスピーチ" で,吃音障害のあった英国のジョージ6世が1939年9月3日,対独開戦に際して国民に団結を呼びかけたラジオ放送はとても感動的でした。おそらくたくさんの人がRobertsのラジオでこの放送を聞いたことと思います。

R200 dial.jpg 長波のバンドがあります 

ということで,ちょっと脱線してしまいましたが,やっぱりFMが聞けないのは残念なので,バンド変更を試みます。

R200 inside.jpg 中身です。SPはアルニコです。

電池交換が容易になるよう,裏ぶたが簡単に開く構造になっています。これはオリジナルがバッテリー式の真空管ラジオだったため,A電池やB電池が必要で,その交換が頻繁だったためのようです。基板は裏側になっているので詳しい状況がわかりません....。

ちなみに本機は9Vの電池仕様ですが,英国はPP9という巨大な9Vの電池があり,買ってきたときについていた電池にはびっくりさせられました。スーパーで売っているような小型の豆腐くらいのサイズがあります。今でも売っているようで,また買ってみたいと思います。 日本では売っていないので,006P用に改造してあります。

ただ,残念ながら基板を引っ張り出そうとするとダイヤルの糸が切れそうで,うっかり切ってしまうと後が大変ですから,無理せず,このままの状態でバンド変更できないかと考えました。幸い,▲のように,基板のハンダ面が見えていますので何とかなりそうです。 

国外バンドのFMを変更するにはもちろん,FMの局発のトラッキング調整をすればよいのですが,かなり面倒です。特にFMの場合は空芯コイルになっているので,ドライバーで広げたりして調整しないといけませんし,うっかり変な調整をしてしまうともう元に戻せなくなります。

という次第で,簡単にやる方法として,バリコンの局発側にパラに小さなセラミックコンデンサを配線する方法をとっています。詳しくは私のブログをご覧ください。

ちょっと面倒でしたが,多バンド用バリコンのFM局発用端子を見つけたので,パラに15pFをハンダ付けしました。

capacitor.jpg こんな感じです

無事にNHK FMが入りました。近隣の民放FMも全部入りましたのでOKとしました。本当ならアンテナ入力側の同調回路を調整しないといけませんが,FM帯ではQが低く,特に調整しなくてもよいと思います。また,アンテナ入力回路にバンドパスフィルタが入っていることが多く,本機も松下のPFW84を使っていました。本来ならこれの交換が必要ですが,残念ながら部品屋さんで売っていないのでこれもしてません。あと,米国の場合,プリエンファシスの時定数75μsecなので異なりますが,欧州は日本と同じ50μsecなので問題ありません。米国製のもHiFiのステレオチューナでもなければしなくても,いいでしょう。とても音がよく,デザインもいいので嫁さんも気に入ってくれました。


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日立プラズマTVの修理 [ラジオ]

2014年4月27日の日記

いよいよゴールデンウィークですね。残念ながら仕事が忙しく,どこへも出かけることができません。

そこで,ちょっとたまったビデオでも見ようかとTVをつけると,電源が入らず,画面が出てきません。そろそろ寿命でしょうか。

このTVはW37P-H9000という型番の日立製プラズマTV で,もう,日立はプラズマTVは作っていません。最後まで頑張っていたPanasonicもやはり路線修正でプラズマTVの製造を取りやめると発表したばかりです。 

我が家が地デジに移行するとき,液晶にするか,プラズマにするか迷いましたが,やはり自発光しない素子はダメ,と考えてプラズマにしました。液晶は要は影画で,後ろから白い光を当てて色のついたフィルタで色をつけているようなもので,どうしても黒い部分は少し明るくなり,コントラストをあげようとすると余計に黒い部分が明るくなる,という具合で,あまり映像がきれいではありません。 実際,パソコンの画面なども部屋の灯りを全部消して真っ暗にして黒い部分を観察するとかなり明るく光っているのがわかると思います。これが嫌でプラズマにしました。プラズマTVは画素そのものが光るため,黒い部分は真っ黒です。それに,液晶だと視野角の問題があり,横から見ると色がおかしくなるとか,画が見えなくなるとか,いやな現象がありました。

ところが,液晶の技術も進み,こういった問題は解決されたと言っていいと思いますし,プラズマTV自体のコスト高の方は改善されず,液晶の方が断然,TVセット自体の価格も安くなって差が開く一方であったことから富士通や,それこそプラズマTVのパイオニアでもあったパイオニアが撤退し,日立も2008年度に撤退しました。42インチの液晶TVが3万円ほどで売られているような現状ではしかたないでしょう。それに,その3万円の液晶TVも,私のプラズマTVと比べてみると,そっちの方が画がきれい,という状況ではどうしようもありません。

そのほか,FED(電界放出ディスプレイ)をソニーが,その一種のSEDをキヤノンが開発しようとしていましたが,商品化していません。これらはプラズマTVと同じく,自発光する素子だったので期待していましたが,韓台勢の液晶価格攻勢に太刀打ちできませんでした。

しかし,液晶の天下もあと何年,と言うところですね。早く有機ELのパネルを使ったTVが実用化されてほしいと思います。これが薄型TVの本命でしょう。 

ということで,我が家のTVは今は貴重となってしまったプラズマTVなので,もう少し頑張ってもらいたいと思いました。なにより,貴重なMade in Japanですしね。しかし,嫁はんがTVの買い換えに賛成してくれませんでした。それに,そもそも液晶じゃなくてプラズマ,と主張したのは私でしたしね.....orz。

さて,現象です。

リモコンで電源のボタンを押すと,本体のLEDが赤から緑に変わり,数秒すると画が出てくるのですが,LEDが赤のままで,緑に変わらず,また,画も出てきません。そのうち,LEDも消灯してしまいます。 最初はマイコンが誤動作し,電源を切ってしまうのだ,と思い,TV本体の電源ボタンを入切するとまたちゃんと映るのでしばらくはこうしていました。

ところが,そのうち,全く映らなくなってしまいました。となるとやはり電源の問題ですね。

すぐにピンときました。プラズマTVは発熱がひどく,実際,TVの天板? 部分に手をかざすと夏はもうっと熱気がくるくらいなので,おそらく,ケミコン(電解コンデンサ)が熱で劣化して容量抜けしているのだと思いました。結構,プラズマTVのケミコンを交換した,という話も聞きますしね。

ということで,修理に出そうかと思ったのですが,やはり何日か修理にかかりそうですし,お金も結構かかると思いました。じゃ,自分で交換しようかと考えました。

といって,闇雲にコンデンサを交換するのは面倒です。なにか,ピンポイントでこのコンデンサ取り替え,という具合に一発で修理がすむようにしないと大変です。

それでネットで調べてみると日立のこのプラズマTVの同じ現象で悩んでいる人は多いようで, ブログにも書いている人がいるようです。結局,どのコンデンサかわかりました。

という次第でTVの裏ぶたを外します。感電する危険性があるので,必ずプラグを抜いておき,しばらく放置してからにします。ケミコンに電荷がチャージされていますので,十分ご注意ください。 

あまりにも裏ぶたを留めているねじの数が多いのに閉口します。TV台に固定する部分は六角穴つきボルトなので,六角レンチも必要です。

W37P-H9000内部.jpg 内部 

内部に何枚もの基板がありますが,原因は中央の上部分にあるスイッチング電源です。コネクタの電線を外し,固定しているねじを外し,また,ピン留めされているので,白いピンをラジオペンチでつぶすようにして基板を外します。 

基板(コンデンサ交換前).jpg もとの基板

この現象は中央下の450V,47μFのコンデンサが原因のようです。これが容量抜けして電源が立ち上がらなくなるようです。

また,そのすぐ下に1kV,1000pFのセラミックコンデンサがありますが,日立に連絡するとこのコンデンサを取り替えるようです。どうもリコールのようなことになっているのか,場合によっては無償で交換してくれるようです。

ただ,あまりセラミックコンデンサが容量抜けしたり,耐圧が足りなくて壊れた,なんて経験はありません。ラジオでも結構真空管ラジオだと高圧がかかりますが,耐圧不足で壊れたりしたことはありませんし,相当古いラジオでも容量を量ってみるとちゃんともとの容量があったりしますので,セラミックコンデンサが原因とは考えにくいのですが,念のため,交換しておきます。

C131.jpg C131セラミックコンデンサ(左:オリジナル,右:交換用)

capacitor.jpg 容量はちゃんと表記通りありました。

基板上にC131と表示があるコンデンサです。青色の高圧用セラミックコンデンサです。 耐圧不足で壊れたと思われますので,耐圧3kVのものに交換しました。耐圧が高いと大きくなるのはやむを得ません。ただ,テスターで容量を計ってみますと1015pFあり,表記通りです。絶縁破壊すると容量が出ないと思いますので,やはりこのコンデンサは壊れていないようです。 

そのほか,上の方に2つある,450V,270μFの電解コンデンサも天井部分が膨らんでいて,内部の液体が気化して圧力が高くなった形跡があります。最悪,この天板が破れて破裂し,ブシューッと音がして煙が出る,という状況になります(ふなっしーかよ)。

一応,ケミコンは防爆弁がついていて,内部が高い圧力になるとこれが破れて割におとなしく破裂するはずですが,昔のケミコンや今でも出来の悪いケミコンは大音響とともにものすごい勢いで破裂しますので,ご注意ください。 

当然,容量も抜けていると思われますので,これも交換しておきます。すぐ下に放熱器が見えるので,熱であぶられている状態なのでしょう。

450V, 270μF.jpg 左:オリジナル,右:交換用

メーカは左は日ケミ,右はニチコンでした。高さが違うので要注意ですが,裏ぶたにつかえたりするようなことはありませんでした。 

右上に頭に●がついているコンデンサがあり,これも頭が膨らんでいます。100V,3300μFの電解コンですが,秋葉で3,000円以上するので交換はあきらめました。

基板(コンデンサ交換後).jpg コンデンサを交換しました。

あと,元通り配線を取りつけて裏ぶたを固定して終わりです。無事にLEDも緑に変わり,画が出るようになりました。パチ,パチ.....。

combat1.jpg 何を見とるんじゃ....。(2006年7月)

我が家にこのプラズマTVが来た頃の写真がありました。この子は小三になりました。 画面右上にBS2とあるのも時代を感じさせますね。 "コンバット" を見てます。昔,よく見てたな~。TVも昔は白黒だったなんて覚えている人はもう少ないでしょう。そのうちカラーTVが普及してきますが,番組自体,白黒の放送も多く,「この番組は白黒です。」なんてキャプションが出ることも多かったですね。当時のカラーTVは真空管式で故障が多く,「俺の家はカラーにしたけど,今,白黒で放送しているのか? 」と放送局に問い合わせが来るためだったのだと思います。このコンバットも後のシリーズでカラーになりました。私はサンダース軍曹のファンでした。ヴィック・モローはその後,映画撮影中の事故で亡くなりました。そのときの夕刊の記事を今も覚えています。

2014年6月7日追記

残念ながら,せっかく直ったと思ったのにまた同じ現象が出ました。放っておくとひどくなり,電源が入らなくなります。

さんざん調べてみるとコンデンサをさらに追加しないといけないようです。

基板裏のこの場所に2kV47pFを追加します。修理マニュアルにあるようです。残念ながら47pFがなかったので,27pFをパラに配線しました。そもそも,DIPのピン間隔(2.54mm)のところに耐圧2kVのコンデンサをハンダ付けするというのは絶縁離隔の点から変で,こんな電圧はかかってないやろ,と言う気がしますが,一応,指示の通りハンダ付けします。

基板裏コンデンサ.jpg のところにハンダ付けします

基板裏コンデンサ1.jpg ここです。

こうすると完璧にこの現象が出なくなりました。何でか,よくわかりませんが。おそらく,サージ電圧を吸収するのだと思います。電源を入れてしばらくするとキューッとと言う甲高い音がかすかにして何か発振しているのがわかりますが,このコンデンサをつけると発振音がするまで時間が長くなるので,なにか立ち上がりを遅くする作用があるようです。

 


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大人の科学 パタパタ電波時計の製作 [ラジオ]

2013年10月20日の日記

前回,自作のニキシー管時計について書きましたが,先週,大人の科学 vol.38 "パタパタ電波時計" を作りました。パタパタと駅の電車の行先表示(あれは正式には "発車標" というのだそうです)みたいな表示方式のデジタル時計というのがかつてありました。懐かしくなってこれも作ってしまいました。電波時計にもなっているので時間は正確です。

パタパタ時計3.jpg 大人の科学vol.38

内部はPICを使った電波時計と,ステッピングモータ代わりのマブチモータを使っています。

基板.jpg 電波時計の基板。

マイコンチップIC自体はダイボンディングという方法で基板にチップごとハンダ付けされ,上から樹脂でカバーされているのでわかりません。I2Cバスで電波時計からの信号を受信し,時刻表示させているのだと思います。 

パタパタ時計1.jpg フリップの取付は大変です

時刻を表示するためのフリップが分,時ともに60枚もあり,取りつけは大変です。おまけに,あとで動作させてみると時の表示がおかしく,正しく時を表示するのは20分ほどで,それ以外は前と後の時刻を表示します。最初の1枚目の取付位置を間違え,全部ずれているとわかりました。しかたなく,また1枚ずつ外して取りつけ直しました。

パタパタ時計2.jpg 完成しました。

とりあえず,電池を入れて00:00に表示が変わるまで待ちます。同時に基板上の赤いLEDが点滅し,電波時計を受信していることがわかります。うまく受信すると数分でバタバタと表示が変わり,正確な今の時刻を表示すればOKです。あとは1分ごとに表示が変わります。

なかなか電波時計はうまく受信せず,苦労することが多いですが,この電波時計は一発でうまく受信しました。バーアンテナ周辺の設計がよいのだ,と思いました。

ただ,みんな書いていますが,パタパタとフリップが動作する音が非常にうるさい。▲の写真でわかるように,モータが回転し,ラチェットが歯車を回しますが,それがバネの作用で落ちてくるときの衝撃音がかなりのものです。フリップ部分にカバーがなく,むき出しなのも原因ですね。寝室では使えない,という人が多いようで,確かにこれでは眠れません。

また,電池式のため,寿命は2ヶ月程度のようです。ACアダプタ式にしたいと思っています。音対策は東急ハンズで売っている,アクリルケースに収めてしまうのが良いそうです。

SEIKOパタパタ時計.jpg うちで現役のSEIKO製パタパタ時計。静か~~!

何より真空管式ラジオとか,古いものが好きなので,パタパタ時計も現役で使っています。これはフリップが動くときもコトリという程度で,とても静かです。この時計がライカだとすると大人の科学はニコンFというくらいうるさいです。せめてミラーレス一眼くらいの音になってほしい.....。

これはもちろん,電波時計なんてない時代のものですし,水晶式ですらなく,電源同期式ですが,非常に正確です。今でも十分使えます。


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ニキシー管の思い出 [ラジオ]

2013年10月20日の日記

nixie.jpg 20年前に作ったニキシー管時計

真空管が大好きで,中学生の頃からアンプやラジオを作っています。といって,実を言うとアンプというのは低周波信号を増幅するだけなので,どうも飽き足らず,ラジオを作ることが多いです。こんな風なので,ニキシー管を使った時計にも興味を持ち,20年ほど前に作りました。

今はニキシー管がとても人気で,webを探すといろんな人が作っていますし,キットも売られているようです。You Tubeにもたくさん出てきますね。ニキシー管は真空管みたいにガラスの容器に入って,排気用のツノまで生えていて,まるで真空管です。オレンジ色に光るのも真空管みたいだし,また,You Tubeの動画を見てもわかりますが,刻々と表示が変わる様子はまるで生き物みたいで,今どきの時計にはない魅力を感じる人が多いのだと思います。

私もそう思って,20年ほど前に作りました。某雑誌にも発表して,それなりに反響がありました。

ニキシー管は1960年代に米国のバローズ社が開発した数値表示用のデバイスで,ダイレクトに数値を表示するデバイスとしては最初のものです。0~9までの形状をした電極(-)が積み重ねるように並び,これらを取り囲むようにメッシュ状の円筒形の電極(+)が配置されています。内部にはネオンのガスが充填され,放電電圧以上の電圧をかけると数字の形をした陰極がオレンジ色に光って数字を示すようになっています。放電管なので,放電中は陽極と陰極の間は定電圧の特性を示すため,LEDのように電流制限の抵抗を入れて使います。高圧は150~200Vくらいの電圧が必要です。

当時,TTLなどのデジタルICが実用化された時期で,電卓や計測器,券売機や速度計,タクシーやガソリンスタンドの料金メータなどに使用されました。私がよく覚えているのは国鉄の券売機や肉屋のはかりです。そうそう,名鉄のパノラマカーの展望席の上に取りつけられていた速度計もニキシー管です。国鉄の0系のビュフェや167系についていたのはアナログ式ですが,名鉄はデジタル表示でした。

パノラマカーが発車し,だんだんと数字が上がってぴたっと110という数字が表示されると歓声を上げたものです。名鉄の最高速度は当時,110km/hで,数値も110で止まるようになっていましたが,表示がその数値で止まってもモータがうなりを上げていた,という証言? を今も聞きます。

ニキシー管自体は長寿命で,10万時間くらいの寿命はあったはずですが,電車に搭載すると振動で壊れたり,10万時間と言ってもつけっぱなしだと11年間という訳ですからそのうちに点灯しなくなり,保守用のニキシー管自体も入手困難になったことから,パノラマカーの速度計はそのうちフタをして使われなくなってしまいました。

ただ,ニキシー管は家電にはあまり使われなかったようで,デジタル時計なども製品としては見かけた記憶がありません。デジタル時計というとコパルが液晶の7セグメント表示器を使ったものはよく覚えていますが,ニキシー管時計というと記憶にありません。あとから述べるようにニキシー管用のLSIもなかったと思います。コパルのデジタル時計はバカ売れしたらしく,今もよく覚えていますが,デジタル時計というのが非常に斬新だった時代がありました。腕時計にも液晶のデジタル時計が発売されるとすごく人気が出て,誰も彼もデジタル時計をはめていた,という時代がありました。時計はずっと長い間,針を持ったアナログ式だったわけで,そんな中で登場したデジタル時計が人気を博したというのは今じゃ笑い話ですが,当時はそんな感じでした。わざわざ自作する人も多く,デジタル時計の製作なんて本もたくさんありました。

さて,ニキシー管を使ったデジタル時計を実際に作るとなると結構難しい問題があります。

時計用のLSIがすでに当時,入手困難になっていました。ナショセミのMM5311なんて有名なLSIですが,当時でも難しい状況でした。2年前に作った秋月電子のデジタル時計キットは沖のMSM5509RSを使っていました。

といって,このような時計用のLSIはニキシー管で使うには問題があります。

というのもニキシー管は0~9までの電極が出ていて,LSIには各桁ごとにBCD(2進化10進数)の出力が必要です。BCDは0から9までの数値を4bitの2進数にしたもので,たとえば7が0111となっています。ニキシー管の場合は各カウンタのBCD出力を10進に変換するICがありますので,これを使えばニキシー管が使えます。

ところが,時計用のLSIは出力がBCDではなく,7セグ用のa~gまでの信号になっています。ということで直接ニキシー管は使えません。7セグ→BCDにデコードするICがあればいいのですが,逆は多いのですが,7セグ→BCD変換というICはありません。

もっとも,これらの時計用LSIはLED用なので,ニキシー管のような高圧をon,offできるわけではないので,やはり使えません。onの時は問題なくても,offの時は静電誘導でICの端子に直接高圧がかかるので,だめです。実を言うと,全ての配線が終わり,いよいよICを全部さして動作させようと思ったときにニキシー管が点灯していないのに74141のソケットの端子電圧が140Vとかになっていて,配線ミスかと焦った記憶があります。静電誘導でこうなる,ということに気づくのに時間がかかりました。

ということで,TTLの6進や10進,12進のカウンタを使ってディスクリートのTTLで作りました。全部で17個もICを使いました。万能基板の裏側でラッピングワイヤを使って丸2日くらいかかって配線した記憶があります。配線は大変でしたが,このおかげでカウンタや分周回路,フリップフロップなど,デジタルICの基本がとても勉強になったように思います。

今じゃPICを使って簡単にできるのでしょうけどね。今発売されているニキシー管時計のキットも大部分,PICを使っています。ただ,PICも直接ニキシー管をドライブできるわけじゃないので,高耐圧のTrを使ってドライブしています。 

nixie1.jpg TTL ICで作りました。秒の表示は省きました。

デジタル時計というのは水晶で発振した信号をDフリップフロップをつかって周波数を1/2ずつに減らし(分周と言います),最後は1Hzのパルス信号に変換します。これを10進カウンタでカウントすると0~10秒までのカウントができ,さらに10進カウンタは全部の桁がいっぱいになると出力で10秒ごとのパルスが出ますので,それを6進カウンタでカウントすると1分間の計時ができます。これを順にやれば時,分,秒の表示ができるわけですね。

表示は4桁にし,hh:mmの時刻を表示します。74141とニキシー管を追加すれば秒の表示も可能です。 いつか追加したいと思います。

まず,ニキシー管の入手についてですが,20年前は楽勝でした。当時,ニキシー管はジャンク扱いで,どこの真空管屋さんでも非常に安かったです。1個100円くらいだったのではないでしょうか。今は1個,1,000円以上するので驚きです。それ以上に,当時は中古がたくさん入手できました。私は英国の球屋でITTの5853Sというタテ型のニキシー管を買いました。ニキシー管は真空管のように丸い電極配置になっているものが多いのですが,5853SはIC時代になって製造されたもののようで,ICピッチのインライン配置になっていました。ハンダ付けするのが楽ですね。それと,5853Sは外国製だけ,と思っていましたが,岡谷などでも作っていたようです。

また,ICについても,カウンタや分周用のICは定番の74LS92などなので今でも簡単ですが,ニキシー管ドライブ用の74141は現在では入手不能です。でも,当時は簡単でした。オリジナルのテキサスのものはあとで入手しましたが,私は日立製のHD74141を入手しました。74141はBCD→10進変換の機能のほか,ニキシー管ドライブ用に高耐圧のTrを内蔵していて,ニキシー管をドライブすることができます。ニキシー管自体はIN-2IN-12Aなどロシア製のものが最近はよく使われているようです。ただ,5が2を逆さにした電極で代用しているものが多く,見にくいので注意してください。2を上下逆にしても5には見えず,どうしても2に見えてしまいます。

残念ながら私が作ったデジタル時計の回路図は当時使っていたCADのソフトがもう使えないので載せることができません。 

ニキシー管用の高圧については直接AC100Vを半波倍電圧整流して得ました。5Vラインも対地電圧が100Vになったりして危険ですので,注意してください。今だとNJM2360などの昇圧コンバータICを使うようがよいでしょう。

nixie2.jpg こんな感じです。

銀座の伊東屋で買ったアクリルケースに収めています。 高いですが,高級感があっていい感じです。

ニキシー管は1970年代にLEDの7セグメント表示器が実用化されるとまもなく消えていきました。ニキシー管の方が字体が自然だし,表示が変化している場合は7セグメント表示より見やすいのですが,メッシュ状の陽極や点灯していない電極の数字が邪魔をして見にくいのも原因でしょう。変化しているときは数字が前後に動いて見えるのも当時,ちょっと気持ち悪い感じがしました。

ロシアでは今も真空管が使われているように,すでに真空管同様,外貨稼ぎ以外の意味はなくなっているかもしれませんが今もニキシー管が製造されているようです。eBayなどでよく売られているので,興味があれば買ってみるとよいと思います。74141についても今はロシア製の互換IC K155ИД1が手に入るようです。

ニキシー管が製造中止になってからも使用していた機械自体はしばらく残っていたので,今でも古い周波数カウンタなどの機械で使われているのを見かけることがありますが,倉庫で寝ていたりして,もう現役では使われてないでしょう。どこか田舎の自動販売機とか,何か現役で使われているところがあれば見てみたい,と思っています。と思っていたら北朝鮮の寧辺にある核開発施設のニュース映像の中にニキシー管を見つけました。ぜひ,一度,見に行きたいと思っています.......(^^;)。

 


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