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デジタルアンプLepy(旧Lepai) LP-2020A+の改造~ヘッドホン端子の取り付け~ [オーディオ]

2017年1月31日の日記 

中国Lepai社のデジタルアンプLP-2020A+にヘッドホン端子をつけました。  
 
LP-2020A+ヘッドホン改造.jpg 
 
 ヘッドホンで聴けるようになりました。下は自作のアナログ式専用電源です。
 
デジタルアンプは出力段がBTL方式になっていることもあり,ヘッドホン端子を取り付けるのは難しいのですが,なんとか使用できるようになりましたので,手持ちのLP-2024A+を先に改造しました。先週末は残ったLP-2020A+を改造しました。 
 
改造の中身については,前回のLP-2024A+の改造と同じですので,そちらをご覧ください。
 
LP-2020A+フロントパネル加工.jpg パネルの穴開けのけがき
 
正面のパネルに穴を開けるので慎重にやらないといけませんが,まあ,所詮はアルミだし,きちんとポンチを使って位置決めをし,最初はΦ2~3mmくらいの下穴を開けてΦ6mmの穴を開ければ傷もつかず,きれいに穴開けできると思います。 
 
電源SWの横にヘッドホン用の穴を開けます。ボリウムの左側の穴はスピーカoffのプッシュスイッチ用です。ヘッドホン使用時はそのスイッチを押してスピーカをoffにします。残念ながら,回路はもとからついているミューティングリレーの制御回路を利用してスピーカをoffにしていますが,ヘッドホンを挿したら自動的にスピーカをoffにする,ということはできませんでした。 
 
LP-2020A+ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板
 
 
ヘッドホン基板は前回作ったLP-2024A+のものですが,LP-2020A+ではやはり放熱器が邪魔をして多少,改造しました。
 
LP-2020A+に使用されているTripathのTA2020は出力がBTL方式ですが,それぞれ,ホットとコールド端子はGNDに対して6Vくらいの直流電圧が出ていて,スピーカから見たら等電位なので問題ないのですが,ヘッドホンは対GNDで動作させるため,これをカットする必要があり,ストッピングコンデンサが必須です。今回,小型のOSコンにしました。 
 
やはり小型なので十分,スペースに収まりました。コンデンサは100μFにしました。
 
なお,OSコンは導電性高分子アルミ固体コンデンサ,と言うのが正式名称ですが,従来の電解コンデンサと異なり,電解液を使っていません。キャリアが重いイオンじゃなく,軽い電子ですので,非常に高周波特性がよく,ESRも低いし,長寿命という特長もあるのですが,陽極と陰極がポリマーを介して接しているため,故障時にショートモードで故障する場合があります。そのため,メーカはカップリングコンデンサとしては非推奨なので本来,こういう使い方はNGなんですけど,問題はないと思います。
 
一方,高周波特性がよいことから電源のデカップリングコンデンサへの使用は推奨されているのですが,iruchanはこっちこそ危ない,と思います。もし故障したら電源をショートすることになりますからね。OSコンじゃないですけど,同じ故障モードになるタンタルコンデンサをデカップリングに使った'80年代の某社製高級プリアンプはトランスが焼ける,と言う故障が出ています。
 
でも,OSコンはやはり音がよいです。今回もヘッドホンで聴いてみて,明らかに従来の電解コンデンサとは異なる音でした。
 
おかげで非常に評判のよいLepai社のデジタルアンプですが,ヘッドホンでも聴けるようになりました。
 

コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その1~ [模型]

2017年1月21日の日記

3年前の年末,KATOからD51がリニューアル発売され,iruchanもギースルエジェクター装備機を購入しました。

門デフ同様,ギースルエジェクターはとてもかっこよいし,何より北海道用の機関車なのでキャブは乗務員扉がついているし,スノープラウもいかめしくてなかなかいいスタイルをしていて,お気に入りの機関車になりました。

また,動力の性能も素晴らしく,低速からスムーズに起動するのは感動的です。

ただ,少し困った問題に気づきました。

iruchanはPWM式のコントローラを昔から自作していますが,PWM式のコントローラを使って低いデューティでパルスを出力すると,モータが回転しない状態で前照灯が点灯する,いわゆる常点灯を実現することができます。

このとき,うまくやらないと反対側の前照灯や尾灯まで点灯してしまうので,iruchanはスナバ回路を考案していつも改造しています。この回路を使うと,無事に所定の向きの前照灯のみ点灯させることができます。

ところが,このKATOのギースル機は前照灯が点灯すると同時に機関車が起動してしまい,停車中に前照灯を点灯させることができませんでした。詳しい改造状況は前回のブログをご参照ください。

原因は使用されているコアレスモータのせいだと思います。

コアレスモータは従来,星形の鉄芯を用いて,その出っ張った凸極にコイルを巻いていたのをやめて,コイルをハニカム巻きにしてコイル自体を回転子としたもので,鉄芯(コア)がないのでコアレスモータと呼ばれます。

回転子がコイルと軸だけなので非常に軽くて機械的な時定数が小さい上,普通のモータはフェライト磁石を使っていますが,コアレスモータは磁力の強い希土類磁石を使うため高磁束密度となり,きわめてハイトルクです。また,凸極の部分は磁石に吸いつくし,谷間(スロット)の部分はトルクを生じないのでどうしてもコアつきモータはカクカクと動きます。軸を手で回してもそういう抵抗を感じますよね。コアレスモータはトルクムラが非常に小さく,ブラシ付DCモータとしては最高の性能を持つモータです。

それにコアつきモータの場合は界磁は回転子の外側に配置するのに,コアレスモータは回転子の内側に配置するのでサイズも小さく,鉄道模型にはぴったりだと思います。もっとも,外側界磁のコアレスモータというのも存在しますが,それじゃ回転子の内側ががらんどうになっちゃってスペースがムダなので,省スペース化を図るため内側界磁にしているので小型になる,という理由もありますけど.....。

まあ,こうやって書くといいことばかりなんですけど,何より最大の問題はコスト。巻線構造が複雑なのと,希土類磁石が高いので,今までは鉄道模型に使用することは考えられませんでした。

ところが,近年はスマホの普及などで小型のコアレスモータが大量生産されるようになり,コスト低減も進んで,徐々に鉄道模型にも使用されるようになってきています。特に蒸機ではいままで,日本の蒸機のボイラが細すぎることも相まってキャブ部分にモータを収納せざるを得ず,さらにはキャブをはみ出して炭水車ギリギリにおしりが来る,なんてのが普通で,いったい,乗務員はどこに乗るんだ? と言いたくなるような状態でしたけど,KATOの新D51では見事にボイラ内にモータが収まっており,キャブ内に焚火口や圧力計などのディティールまで施してあります。

と言う次第で,いいことばかりなんですけど,iruchanを含めて模型屋にはちょっと困った事象が出ています。

それが,常点灯に対応しない,と言う問題です。モータがハイトルクになったのはいいのですが,少しでもコントローラからパルスが出力されるとモータが回転してしまうようです。また,このせいで少々,ラピッドスタート気味で,超低速状態で走行させると言うことが難しくなっているようにも思われます。

でも,前回,常点灯については少し,解決策がありました。

実は,iruchanは201系電車のファンなので,201系用のPWM式コントローラを300Hz/20kHzでスイッチング周波数切替式で作ってあり,201系を運転するときは300Hzで運転して,実車同様のチョッパ音を楽しんでいます....(^^;)。

結構,これ,笑っちゃうんですよね。本物そっくりにプーッという音を出して201系が走ります....!!

で,前回のKATO D51ギースル機ではスイッチング周波数を300Hzにしたら,前照灯が点灯している状態で停止することができたので,それでよいと思いました。

ただ,猛烈にモータが唸ります。まあ,機関車のスピードが上がってくるとうなり音が止まりますけどね....。それに蒸機なのにチョッパ電車みたいな音を出して走る,と言うのも何だかな~という感じです。なんとか,常点灯にも対応して静かに発車できるようにしたいと思いました。

でも,これ,難しいんですね。しばらく研究してみたいと思いました。いずれ,電車にもコアレスモータが使われるようになると思いますしね。今のうちにコアレスモータ対応のコントローラを開発しておきたいと思います。

まずは,PWM式コントローラのスイッチング周波数について検討してみます。

一般に,スイッチング時の電磁音を聞こえないようにするため,DCモータの制御用のPWM制御コントローラではスイッチング周波数を人間の可聴帯域外にすることが普通です。実際,KATOやTomixのPWM式コントローラは20kHzくらいの周波数でスイッチングしています。

iruchanは最初,10kHzで作っていました。多少,ピーッという音がするんですけど,気にならないくらいですし,むしろ,レイアウトの途中で機関車が停車した場合,導通不良でそこに電気が来ているか,来ていないかを判断することもできたので,10kHzでもよいと思っていました。機関車が停車してもピーッという音がしていれば,原因は軌道ではなく,機関車だとわかりますからね。

でもやはりピーッという音がするのも何だなぁ,と言うことで最近は20kHzで設計しています。ついでに300Hz切替もできるようにしていますけどね。

一方,純粋に電気的な性能で考えるとスイッチング周波数は高い方がよく,損失も低下しますし,実際,PWM制御の教科書にもそのように書いてあります。

えぇ~~っ,そうなの? という感じでした。むしろ,iruchanは低周波のスイッチングの方が今まで,損失は少ないと思っていました。高周波だとスイッチング回路の応答特性が悪くなってきて,損失が増えてくるはずです。スイッチング周波数を20kHzなんかにするのは,音のせいだけじゃない,と思っていました。

と思ったのですが,一度,Spiceでシミュレーションして調べてみました。モータは20Ωの抵抗と1mHのインダクタンスで模擬しています。

PWM simulation circuit.jpg シミュレーション回路

今まで,ずっとiruchanが作ってきたPWM式コントローラの基本回路です。タイマIC555で三角波を作り,コンパレータで基準電圧と比較してPWM波を作っています。

20kHz(duty=11%、1mH).jpg 20kHzのとき

300Hz(duty=11%).jpg 300Hzのとき

同じ低いデューティで比較してみます。

モータの電流にご注目ください。fs=20kHzのときはモータ電流は三角波みたいになっていますが,連続しています。一方,300Hzだとパルスの幅だけ電流が流れていていて,制御Trがoffのときは電流が流れていません。

これですね,モータが唸る原因は。制御Trがonしているときだけモータの電流が流れ,offの時はモータの電流は0となっています。つまり,回転と停止をきわめて短時間に繰り返している状態で,それでモータが振動して音が出ます。よく,PWM制御というのはON-OFF制御をきわめて高速でやっている,と説明することが多いですけど(iruchanもそんな説明をしていました。どうもすみません),実は間違いで,高周波でスイッチングするとモータを流れる電流は連続していて切れ目がありません。もっとも,低周波でスイッチングしてもデューティが高くなってくると電流は切れなくなります。300Hzで模型を運転していて高速になるとモータが静かになる,というのはこのためです。

PWM循環電流.jpg モータの循環電流

  → の実線の時が制御TrなりFETがonの時で,点線の時はoffの時です。

スイッチング周波数が20kHzのときはモータのインダクタンス分で逆起電力が発生し,フリーホイールDi(FWD)を介して電流が逆流してモータの電流は切れていません。

このダイオードは結構重要で,今まで,直流用のスナバ回路の一種だと思っていましたし,実際,そうなんですけど,モータを負荷にした場合はモータの電流を切らない,という重要な役割もあるのですね。ただ,iruchanはTomixの5001パワーユニットをPWM化していますが,これに使ったHブリッジドライバは機能上,FWDをつけることができません。モータを流れる電流が逆転するので,ダイオードは両方向につけないといけないのですが,そうするとモータを短絡することになっちゃうからです。Hブリッジはマイコンでモータの正逆転を制御できるので広く使われますが,これもどちらかと言えば高めのデューティ固定で使われ,この電流が切れない領域で使用されることが多いと思います。

この電流を循環電流と言います。なんか,昔は還流電流と言った気もしますけどね....。

PWM制御の教科書を読むと,この循環電流が切れない領域でモータを制御するのがよい状態で,このとき,モータは静かに回転します。一方,この循環電流が切れてしまうとモータは発停を繰り返すため,振動してしまいます。こういう領域でモータを使用しない,というのがPWM制御方式の条件のようです。

スイッチング周波数が低いとこの循環電流が切れてしまう領域が広いので,スイッチング周波数は高い方がよいのです。

とはいえ,鉄道模型はデューティが0%から起動しますし,ごく低いデューティで低速運転することも多く,循環電流が切れる領域を使うのは当たり前だと思います。工作機械や自動車用のモータなんかだったらある程度,一定の速度で使用するから循環電流が切れない領域で使えるんでしょうけど,鉄道模型はそういうわけにはいきません。

次に,モータ電流の値を見てみると,スイッチング周波数が300Hzのときはモータを流れる平均電流は20kHzの時の倍くらいですし,ピーク電流に至っては10倍くらい大きな値となっています。トルクはモータ電流に比例しますので,つまり,同じデューティではスイッチング周波数が低いほどモータのトルクが大きい,と言うことがわかります。

また,損失についても,Spiceは回路の損失を計算してくれますので,こちらもシミュレーションしてみました。

損失(duty30%).jpgモータと制御Trの損失

出力のパルスのデューティは33%くらいでシミュレーションした結果です。555ICはR1とR2で周波数を可変できますが,同時にデューティも変わっちゃうので,デューティのグラフは少し変化します。

やはり高周波ほどモータの損失は小さくなり,低周波のPWMはよくないことがわかります。100HzくらいでPWM制御すると最大損失は2W近くまで上がっちゃいます。このまま走行させるとモータが発熱してきます。

もっとも,今回のシミュレーションはモータの逆起電力を考慮していない結果なので,実際の走行状態ではもっと損失は小さくなるのでそんなに大きな問題ではないと思います。ただ,うっかり脱線したりして機関車が停車した状態で放置するとこの熱が発生しますので,脱線したらすぐにボリウムは絞る必要があります。

それにしても,スイッチング周波数が20kHzというのは根拠がある数値,と言うことがわかりますね。

でも,なぜか,一度,損失が20kHzくらいを底にして上がってきたり,また急激に下がっちゃう理由がわかりませんけど。

ただ,iruchanの設計した回路では50kHzくらいが限度で,ここまでスイッチング周波数を上げちゃうとパルスの波形が崩れてしまいました。

コアレスモータのメーカのホームページなどを見ると100~200kHzくらいでスイッチングするのがよい,なんて書いてあるところもありますけど,そんな高い周波数で方形波を扱うのは困難です。iruchanの回路だと全く無理で,三角波の発振は555だと日本無線のNJM555の規格表を見ても発振周波数が100kHzまでのグラフしか出ていなくて,無理そうです。コンパレータももっと高速のコンパレータを使わないといけません。制御TrもfTの高いものが必要ですし,MOS-FETを使うと高速スイッチングができますけど,入力容量が大きいため,ドライバ回路の工夫が必要です。

iruchanはオーディオマニアなのでわかりますけど,方形波は10倍以上の周波数領域が必要なので,仮に100kHzでスイッチングすると考えると1MHzくらいまで応答性能が必要です。これはちょっと難しい話です。

と言う次第で,100kHzを超えるPWMコントローラは自作は難しそうです。一度,やってみたい気はしますけどね。

それで,コアレスモータの場合はどうなるか,考えてみます。

コアレスモータはインダクタンスが小さいことが特徴です。インダクタンス分を仮に1/5としてみるとこんな感じです。

20kHz(duty=11%、0.2mH).jpg インダクタンスが小さいとき

やはりスイッチング周波数20kHzの時でも,モータのインダクタンスが小さくなると循環電流が切れる領域となってしまいます。

一方,電流値の方は平均電流は1.2倍,ピーク電流は4倍になっていて,インダクタンスが小さい方がトルクは大きい,と言うことがわかります。コアレスモータがハイトルクなのはインダクタンスが小さいことにも起因しているようです。

そんな解析結果ですが,どうも300Hzの方がハイトルクだし,モータが唸ることをのぞけばコアレスモータの制御に適している感じがします。

また,LEDが点灯しているのに,機関車が起動しないのは回転子が微妙に動いてもスイッチング周波数が低いと電流の休止期間が長いため,すぐに停止してしまうため,と考えられます。

こう考えてくると,コアレスモータ式鉄道模型のPWM制御は低周波のスイッチングの方がよさそうです。あとはどうやってモータが唸るのを抑えるか,なんですけどね......。

ということで,ひとつの対策としてはPWMの代わりにPFMを使う,と言うのが考えられます。

PFMとはPWMがパルス幅変調(pulse width modulation)なのに対し,パルス周波数変調(pulse frequency modulation)の略で,要はパルスの幅は一定値で固定して,offの期間を可変して制御するものです。見方を変えると周波数を変化させるのでPFM,と言うわけです。

具体的にはたとえば,パルスの幅を300Hzと同じ,3.33msec. 固定とし,休止期間を∞~0 sec.としてやればPFMができます。実際には休止期間が無限大だとボリウムが作れませんし,ある程度,休止期間を小さくしてやらないとボリウムを右にいっぱい回した状態でモータが回る,と言うことになっちゃうので,実験で最大休止期間を決めないといけません。まあ,1sec.くらいのものか,と思いますけど。

応用例としては,スイッチング電源の制御方法で,低いデューティの時はPFMの方が有利で,スイッチング電源のコントローラICには最初,起動時はPFMでスタートし,後でPWMに移行する,というICが増えてきています。

PWM原理.jpg PWMの原理。パルス周期が固定です。

PFM原理.jpg PFMの原理。パルス幅が固定です。

いずれ,iruchanもPFM式のコントローラを作ってみたいと思っていますが,これがひとつの解決策かもしれません。もっとも,やってみないことにはうまくいくかどうかわからないので,なんとも言えないんですけど。

もう一つはPWMで,低周波と高周波の2つのPWMコントローラを組み合わせる,と言うやり方だと思います。低周波をモータ制御に使い,高周波を前照灯&室内灯の制御に使うわけです。低周波パルスの間隙に高周波のパルスが出ているので,循環電流が切れる領域を小さくすることができるはずです。

これって......,もしかしてKATOのKC-1と同じじゃない?

と思われた方も多いと思います。そうです,実際,KATOのKC-1はこういうパワーパックでした。それに,今でも超低速はKC-1がよいと思っている方が多いようで,某掲示板にもそう書き込みがあります。また,コアレスモータとの相性もよい,という情報も耳にします。

と言う次第で,iruchanはKATOのKC-1を研究することとしました。続きはまたその2で。


LUXKIT A3600復活への道~その4・調整編~ [オーディオ]

2017年1月14日の日記

Luxkit A3600.jpg 完成しました。 

とうとう,この2年ほど取り組んでいた,ラックスキットのA3600アンプが本日,試運転の日を迎えました!!!

LUXKITのA3600というアンプはNECと共同開発した,大出力3極出力管8045Gをプッシュプルで使った,50W×2のアンプです。発売は1975年のようなので,もう発売から40年経っています。

と言う次第で,いつも大変お世話になっている河童さんからいただいた後,いろいろとメンテナンスと設計変更をしておりました。

まずはコンデンサやソケット,錆びた端子などの老朽化した部品の交換に始まり,トランスやボンネットの塗装や回路の設計変更をして時間がかかってしまいました。

プリント基板.jpg プリント基板改良後

基板ソケットはQQQのものを使いたかったのですが,基板用が手に入らなかったので,中国製の金メッキ品を使っています。

案の定,ソケットが渋くて真空管がスムーズに差さりませんでした。こういうときは無理をすると真空管を割っちゃうので,一度小さなマイナスドライバー(#0)を突っ込んでコンタクト部分を拡げておきます。 

カップリングコンデンサはすべて新品のフィルムコンに変更します。なお,真空管アンプのカップリングコンには必ずフィルムコンを使うようにしてください。オイルコンやペーパーコンは経年劣化でリークしますので不可です。オイルコンは歴史があるし,音がよいから,ということで愛用している方も多いと思うんですが,安全面を考えると要注意です。リークすると出力管の寿命に直結しますので,フィルムコンにしてください。iruchanは独EROを愛用しています。すでに製造中止ですけどね....。A3600はオリジナルは日通工のフィルムコンでした。これなら安心ですけど,やはり年月が経っていますし,リード線が錆びているので交換しました。

そのほか,位相補正用のセラミックはディップマイカに交換しました。出力管の動作点が変更となり,バイアスが少し浅くなったので-C電源も少し定数をいじっています。 

なお,残念ながら,50C-A10PPのKMQ60はオイルコンが使われています。お使いの方はすぐに交換した方がよいと思います。 

このアンプははわざわざ8045Gなんて大出力の真空管を開発したところからもわかるように,大出力指向のアンプで,この前も書きましたように,公称50Wのアンプですけど,実は実測で66Wも取れちゃいます。

そんな大出力はいらん,という気がしますし,何より8045Gは寿命が短いことで知られているので,もっとB電圧を下げて楽をさせてやりたいと思っていました。

今回,トランスの2次側出力にAC用コンデンサを挿入してB電圧を60Vほど下げることにしました。 また,これに伴い,ドライバ段の定数変更が必要となりますので,Spiceでシミュレーションして定数を決定しています。

それに,8045Gドライブ専用として6240Gという真空管も採用されていますが,これも入手困難なため,6FQ7で代用します。 特性が異なりますので,こちらも前回,あわせて検討しました。

回路の変更箇所を示します。赤字が今回の変更箇所です。6240Gがない,と言う方も6FQ7で代用可能ですので,ご参考にしてください。 オリジナルの回路はこちらをご覧ください。また,本機はA3300プリアンプの電源供給用にGTソケットがついていますが,電源のフィルタコンデンサの周辺がすごく混み合っているので廃止しました。もう,A3300プリアンプを入手して使うこともないでしょうしね。 

LUXKIT A3600回路図改造後.jpg 改造後の回路 

なお,電源部は少し,元の状態が変わっていて,オリジナルだと2連の電解コンデンサを使っているのですが,どういうわけか3連のものが使われていました。もとの所有者の方が改造したのか,それともA3600のバージョンのひとつなのかわかりませんけど。もはやブロック電解コンデンサは国産のものはなくなっていますし,テストしてOKだったのでもとのものを使っています。オリジナルの回路はこちらをご参照ください。 

今日はいよいよ通電して調整していきます。

まずは電源部のテスト。一番危険な箇所ですし,回路を間違っていると大変なことになりますので,まずはここからテストします。案の定,フィルタコンデンサのはんだが一部,テンプラになっていてうまく高圧が出ませんでした。ついでに電解コンデンサのテストをしておきます。古いケミコンはリークしたり,容量抜けしたりしてハムが出たりしますので,少し低めの電圧をかけてテストします。

まずはスライダックで1次側にAC10~20Vの電圧をかけ,各電解コンデンサにちゃんと電圧がかかっているか調べます。うっかり,極性を逆に配線していてもこれくらいの電圧なら助かりますので。特に,今回,A3600は固定バイアスのアンプなので,バイアス用のケミコンにちゃんとマイナスの電圧が出ることを確認します。

ダイオードが発熱したりしないかも調べておきます。問題なければAC50Vくらいにしてしばらく放置します。このとき,B電圧は250Vくらいになるはずです。

これで電解コンデンサの絶縁皮膜が回復するのを待ちます。フォーミングというのですが,米国製の電解コンを使った場合などは必ずこの状態で数時間放置してください。日本製のケミコンはいきなり高圧をかけても何の問題もないですけど,MalloryやSpragueなどの米国製の場合,いきなり高圧をかけるとヒューズが飛ぶことがあります。

なお,まだ現在は全く無負荷の状態なので,絶対にAC100Vにしないでください。ドライバ用の電解コンデンサなどの耐圧をオーバしちゃいますので。

さて,次はドライバ用の6AQ86FQ7だけ挿して,また徐々に高圧を加えます。プレート電圧などに異常がなそうならAC90Vくらいまで電圧を上げます。

ここで,一応,出力段のバイアス電圧を調べておきます。

8045Gのカソード(#8ピン)に黒,グリッド(#5)ピンに赤のリードを当ててみて,ちゃんと-90Vくらいの電圧が出るのを確認します。また,各半固定ボリウムを回してみて,スムーズに変化することを確認します。すべての8045Gのバイアスが-90Vくらいになるようにセットしていよいよ出力管を挿します。

さて,いよいよ出力管のプレート電流を調整します。

スライダックで再度,徐々に電圧をかけていきます。カソード~GND間に10Ωが入っていますので,この両端の電圧を計測して750mVとなるようにします。

今回,8045Gの動作点は前回のブログにもあります通り,EP=430V,Eg=-85V,IP=75mAとしましたので,この抵抗の電圧は750mVです。

残念ながら,8045Gの1本が少しエミ減気味で,R ch.はIP=70mAであわさざるを得なかったので,B電流が少し小さく,B電圧は450Vになりました。ほぼSpiceのシミュレーションどおりです。

オリジナルのA3600はEP=495V,Eg=-100V,IP=80mAですので,もう少しプレート電流は流した方がよいのかもしれませんが,プレート損失を抑えて33Wにしました。オリジナルだと39Wですから,▲15%としました。 

プレート電圧も含め,プレート損失も出力管の寿命を考えると,もう少し小さい方がよいと思います。 

これで4本すべてのプレート電流をあわせます。各ch.の上下の出力管のアンバランスは1mAを目標に調整しました。

さて,ここまで来たらf特と出力を見ておきます。

LUXKIT A3600 f特.jpg 周波数特性(1W)です。

ちょっと驚いちゃいました。10Hz~50kHz(-1dB)と言ったところで,非常に広帯域です。特に,低域のレスポンスがよいのはプッシュプルアンプの特長ですけど,それにしても10Hzでも-0.7dBで,実際には-1dBも行っていないのですから。iruchanの持っている低周波発振器は10Hzまでなので,それ以下はわかりませんけど,カットオフは非常に低いはずです。高域も50kHzとは驚きで,手持ちのLUXKITのKMQ60より非常に広帯域です。

出力は53.6Wとなりました。まだ少し大きいですが,まあこんなのものでしょうか。 

10kHz方形波応答.jpg 10kHz方形波応答

  リンギングやオーバーシュートもなく,素直な方形波応答です。  

さあ,いよいよお楽しみ.......。音を聴いてみます。

まずはいつも聴いている,アナ雪。まだはまっちゃってます。

う~~ん,最近は "君の名は。" が大受けで,そろそろアナ雪も抜かされそう,と心配しちゃっているんですけど。それに,昔からiruchanは学園ものが嫌いなので,今年の正月は子供と "君の名は。" じゃなくて, "この世界の片隅に" を見に行きました。これ,本当にいい映画です。悲しい結末だけれど,戦時下にも前向きに生きようとしている主人公に共感を覚えましたし,とても勇気づけられました。それに,悲劇を描いているけれど,妙に明るくて,笑いながら最後まで楽しめます。さすがに,あまりに悲しいと,某戦争アニメみたいに,とても最後まで見ていられないということになっちゃいますので。 日本映画って,誰かもFMで話していましたけど,こういう見たらトラウマになりそうなのが多くて困ります。実は,iruchanはそのチョ~有名な戦争アニメは今まで,一度も最後まで見たことがありません......(^^;)。

アナ雪2.jpg 

松たか子さんの高音の伸びた澄んだ歌声に魅了されます。やっぱ,いい曲だな~~~!!

それにしてもずいぶん寒くなってきましたけど,このアンプはストーブ代わりになります。なにせ200Wもの熱を出しているのですから,小型ストーブ並みです。実際,調整中は寒いので8045Gに手をかざしながらやっていました。火鉢かよって!?。これやったらストーブいらへんやん,と言う次第で,やっぱ....

画像3.jpg

   ♪ 少しも寒くないわ~ (松たか子さんの声で!!) 

アンプはとてもノイズが少なく,ハムが全く聞こえません。こういう点はプッシュプルのアンプですね。シングルのアンプはどうしてもハムが残っちゃいますけど。音も左右の分離がよく,豊かな低音が魅力です。それほど高音は伸びている感じはしませんが,やはり真空管特有の暖かくて柔らかな音だと思います。半導体のアンプじゃ味わえませんね。 

さて,お次はお約束のフルヴェンの第九。本当は年末に完成させて,師走に聴きたかったですけどね.....。

ご存じ,言わずと知れた1951年7月29日のバイロイト音楽祭の初日の演奏録音です。やはりこれしかない!!という感じのチョ~名演です。

聴いたのは東芝EMIがSACDのハイブリッドで出した盤。紙ジャケだし,SACDになったし,と言うことで買ったものです。

ただ,ちょっと驚いたのはフルトヴェングラーが壇上に登場する音が入った,いわゆる "足音入り" の盤なんですけど,なぜか以前の盤に入っていた,第1楽章冒頭の耳障りな聴衆の咳払いや,マスターテープの劣化による第2楽章のドロップアウトがなくなっています。

後者は耳障りなのでなくなってよかったですけど,どうにも冒頭の咳払いがなくなっているのは変。何をやって消したのかわからないんですけど,これがないとフルヴェンじゃない,という感じです。演奏と一体化しちゃっているので,iruchanはちょっと変な感じがします。

やはり一番の聞きどころは第4楽章のバリトンのエーデルマンが歌い出す前後。 おぼろげに低音がこもったような響きのホールにオケの演奏が盛り上がって彼が歌い出すところは秀逸。

     ♪ おお、友よ! このような調べではない!........

と言う次第で,今年はフルヴェンの第九からはじまりました。また本年もどうぞよろしくお願いします。

Furtwangler Beethoven sym.9.jpg 

        Beethoven Symphony No.9 (TOCE-11005) 


LED調光器のパワーアップ [電子工作]

2017年1月2日の日記

皆様,どうも明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

さて,今日は正月休みなので少し工作をします。

実は,以前,LED照明を購入して自作の調光器でワークベンチで使っています。とてもサイズがコンパクトで,磁石でくっつくし,明るいし,何より電球色というのも気に入って愛用しています。

使っているのはAmazonで購入したイルミカ東京さんが発売している,TK-12-600WWという照明で,全長600mmのものです。本来はショーウィンドウなど,店舗内の照明に使われるものですが,非常にスリムでコンパクトなのでワークベンチで使っています。 

ただ,もちろん,パソコン作業や読書には十分すぎる明るさなんですが,すでに老眼が進んでいるiruchanがアンプを作ったりすると少し手元が暗く,もう少し明るくしたい,と思っていました。

これは連結して使えるようになっていて,どんどんつないで長~く使えるようになっているので,もう1つ接続したら明るくなるはずです。

ところが,困ったことに前回製作した調光器が意外に発熱して,このまま2つ連結すると結構厳しそう,という感じです。

これは,前回の回路にあるとおり,原因はスイッチング用の制御素子にバイポーラTrを使っているためです。

残念ながら,このような電力制御に今,バイポーラTrを使うことはほとんどないと思います。鉄道模型のコントローラもMOS-FETを使うのが普通でしょう。

理由は簡単。断然MOS-FETの方が性能がよいし,値段も安いからです。

MOS-FETの方がスイッチング速度は10~100倍くらい速いし,また,損失の点でもバイポーラTrの1/10~1/100くらいと非常に小さいので,バイポーラを使う理由なんてありません。おまけにMOS-FETは電圧制御なので,Trよりドライブ回路が簡単です。そのほか,温度補償の点や2次破壊がないなど,メリットは多いです。昔だと,MOS-FETが高かったのでバイポーラを使う理由になりましたけど,今じゃ,MOS-FETの方が安いくらいで,あえてMOS-FETを使わない理由なんてないと思います。

iruchanはそれこそ中学の頃からはんだごて握っていますけど,その頃はまだMOS-FETが出たばかりで,非常に高くてとても中学生の小遣いじゃ買えなかったし,その上,静電気で壊れやすいとか,発振しやすいとか,いろいろあって素人には使いにくく,その辺が今でも気になって敬遠しちゃいます。

アンプに使っても,どうしてもMOS-FETは眠い音がするし,今でもあまり好きじゃありません。それに,何よりiruchanは何でも古いものが好きなので......。 やっぱ,電車といえば475系,機関車はEF81だし,アンプはもちろん,真空管。それも452A3のようなのが好きなので。半導体だとTO-3型の2SA627D188とか,V-FETの2SJ18K60がお気に入りですね!!!!

と言う次第で,いつも半導体や鉄道模型のコントローラを作るときはバイポーラTrを愛用しています。

ただ,今回は発熱を減らすのが目的なので,もはやバイポーラTrの出番じゃありません。

バイポーラTrはエミッタ~コレクタ間飽和電圧VCEsatが0.2~1.5V程度あります。アンプの設計だと1Vで計算したりします。このVCEsat×コレクタ電流が損失になるわけですし,今回のように1Aくらい流れる回路だと1W以上,熱が発生します。厄介なことに,VCEsatはコレクタ電流が増えるほど大きくなるので,損失がどんどん増えちゃいます。

また,PWM式コントローラを使うと,方形波のパルスを出力して理想的には損失は0なのですが,スイッチング速度が遅い,と言うことは,その立ち上がり,立ち下がりに時間がかかるので,その間,損失が出ます。

この点,MOS-FETだとスイッチング速度がきわめて高速なのでスイッチング損失は小さいし,また,飽和状態だとオン抵抗×ドレイン電流2 が損失になりますけど,オン抵抗は普通,mΩ単位なので非常に小さいです。

ちょっとシミュレーションして確かめてみませう。負荷電流は0.5Aとなるようにしました。スイッチング周波数は約20kHz,デューティ50%でシミュレーションしてみます。

PWM調光器(バイポーラTr).jpg 

       バイポーラTrのシミュレーション回路

PWM調光器(2sk442).jpg 

      MOS-FETのシミュレーション回路

結果はこうなりました。

PWM調光器(バイポーラTr)損失.jpg バイポーラTr

PWM調光器(2SK442)損失.jpg MOS-FET

やはり損失はMOS-FETはバイポーラTrの約1/16です。ヒゲのように立ち上がりと立ち下がりで損失が出るのはどちらもスイッチング速度のせいです。Spiceは平均損失も簡単に表示してくれますが,バイポーラTrだと484mWになっていますけど,これはデューティがほぼ50%だからで,もし,100%だと平均損失で約1Wと言うことになっちゃいます。なんでこうか,というと,やはりVCEsatのせいで,素子がONのときにもバイポーラだとこうやって損失が発生しちゃいます。一方,MOS-FETだとこの間の損失がほぼ0です。2SK442だと少し,出てますけどね。もっと最新のMOS-FETだと無視できるくらい小さくなります。 やはり問題はPWMのON状態のときです。

と言う次第で,今回,出力の素子をMOS-FETに変更しました。

なお,素子は手元にたくさんある,東芝の2SK442を考えたのですが,やはり最新の同じ東芝製TK34E10N1を使いました。なんか,もう2SK○○○というJIS型番じゃないのに驚いちゃいますけどね。 とうとうディスクリート半導体なんて儲からなくなって,EIAJに登録するのも面倒くさくなっちゃったんでしょうか。おまけに,最近のTO-220パッケージはフルモールドといってコレクタやドレインが金属で露出してないものが多いんですけど,これは昔ながらのやつ。これだと絶縁のマイカやデンカシートが必要ですが,これがあると取付がめんどくさいため,自動車屋さんからクレームがついて最近はフルモールドばかりになったんじゃなかったでしょうか......。

VDS(V) ID(A)  PD(W) VDSon(V) オン抵抗(mΩ) 

2SK442  70 10  30 1.4    記載なし

TK34E10N1  100 75 103 0.2    7.9

TK34E10N1 & 2SK442.jpg TK34E10N1(左)と2SK442(右)

2SK442は1980年代の製造だと思いますけど,それに比べると,なんか,あまりに技術が進歩しているのに驚いちゃいますね。同じTO-220なのに,TK34E10N1はドレイン損失が100Wを超えています。昔だったらTO-3型のパッケージになるんですけどね。

おまけにドレイン~ソース間飽和電圧が非常に小さく,わずか0.2Vです。ここに2SK442を使うとバイポーラ並みかそれ以上の損失を発生しちゃいます。

と言う次第で,やはり最新のTK34E10N1を使います。値段もせいぜい100円程度で,非常に安いです。 

PWM式LED調光器回路3.jpg 今回の回路

出力のTK34E10N1のソースに入っている0.47Ωは保護抵抗です。これを入れない人が多いですが,これを入れておくと過電流の時にTK34E10N1がカットオフするようになっていますので,入れておく方がよいと思います。 

12Vの出力なので逆転SWをつければもちろん,鉄道模型のPWM式コントローラとしても使えます.......(^^;)。

さて,実際に組み上がったら点灯してみます。

ダブル照明.jpg 

やっぱ,非常に明るい~~!!

それと,驚いたのは発熱。ほとんど発熱しません。一応,TO-220用の小型放熱器をつけてあるんですけど,ダブルで照明を点灯させてもほとんど熱くなりません。よく使われるTO-220型用の放熱器の熱抵抗は大体,20℃/Wなので,使えるのは2Wくらいまででしょう。前回の回路だと,照明1本でも結構熱くなりました。 これだと安心です。

と言う次第で,ワークベンチも明るくなったので,また真空管アンプでも組み立てることにしませう。 

調光器.jpg 調光器

調光器もネオジム磁石で棚にくっつくようにしてあります。 


謹賀新年

2017年1月1日の日記

どうも皆様,明けましておめでとうございます。今年でブログ開設10年目を迎えます。おかげさまで皆様のご支援をいただき,ここまで工作の成果を発表することができました。また本年もどうぞよろしくお願いいたします。

謹賀新年'17.jpg iruchan

 


デジタルアンプLepy(旧Lepai) LP-2024A+の改造~ヘッドホン端子の取り付け・つづき~ [オーディオ]

2016年12月31日の日記 
 
LP-2024A+ head phone1.jpg
 
とうとう,今年も今日で最後です。一年,ご愛読ありがとうございました。今年,最後の投稿です。
 
今日は前回の続きで,Lepy(旧Lepai)のデジタルアンプLP-2024A+のヘッドホン端子追加についてです。前回はいつもお世話になっている方からの依頼でした。今回は自分のを改造します。
 
まず,前回で課題になったのは,少し改造が大変だと言うことです。回路自体は簡単なんですけど,アンプの出力とスピーカ端子の間にスイッチを挿入しなければならないので,一度,スピーカ端子を外す,と言う大工事が必要でした。
 
回路は簡単なんだけれど,実際にやるのは大変,ということが結構ありますね。
 
今回,もっと簡単にできないかと考えました。
 
また,前回はスピーカ⇔ヘッドホンの切り替えをできるように考えていたため,スイッチは双極双投(DPDT)のスイッチが必要で,その配線が結構面倒でした。
 
でも,よく考えてみると,スピーカとヘッドホンの切り替えが必ずしも必要ではなく,あくまでもスピーカをOFFにできればよいのでは,と思いました。ヘッドホンがつなぎっぱなしで,ヘッドホンから音が出ている状態でも音量が小さければ問題ないし,普通はちゃんとヘッドホンを抜いておけばよいだけの話です。つまり,ヘッドホンを使っているときはスピーカをOFFにすればよいのです。
 
と言う次第で,今回はヘッドホンを使えるようにすると同時に,スピーカをOFFにする回路を追加することにします。
 
スピーカをOFFにする回路,というのはもちろん,ミューティング回路なんですが,もとからLepyのアンプにはミューティング回路がついていて,リレーでスピーカをON/OFFしています。
 
と言うことはこのリレーを別途,制御できればスピーカをOFFにすることができますね! 
 
これを使わない手はありません。 
 
ということから,改めてLP-2020の回路を検討します。LP-2020の回路については,以前も紹介したHamlinさんが発表しておられるので参考にさせていただきました。LP-2024A+も本体のTA2024周辺の回路をのぞけば,ほぼ同じと考えられます。
 
アンプの電源投入時にスピーカからボコッと言う不快な音がするので,その音をシャットダウンするため,アンプにはミューティング回路が入っています。真空管のアンプだともとからスロースタートなので問題になることはないのですが,半導体のアンプは立ち上がりが早いため,この問題が出ます。特にACアンプだと至る所にカップリングコンデンサやデカップリングコンデンサが入っているので過渡特性が悪く,ポップノイズが出ます。デジタル時代になってから,逆にアナログ部分はACアンプになっていることが多く,困ったものです。
 
特にデジタルアンプの時代になるとPWM信号プロセッサの立ち上がり時にノイズが出ることもあり,ミューティングが必要です。LP-2020も初期の頃,このノイズが問題となり,後期のものはかなり改善されています。LP-2024A+はLP-2020の後継機なので,改良点が継承されています。
 
アンプのミューティング回路は次のようなものです。
 
ミューティング回路1.jpg アンプのミューティング回路 
 
CとRの時定数回路が入っていて,この場合,コンデンサの端子電圧は最初は当然0Vですけど,徐々に充電されて電圧が立ち上がっていきます。よく言われるんですが,C×Rが物理的に時間(sec.)の次元となり,おおよそ t=C(F)×R(Ω) のとき,電源電圧の6割くらいの電圧になります。このC×Rの値を時定数と言います。
 
▲の回路ではコンデンサの端子電圧が大体,0.6VになるとTrがONし,リレーを動作させるようになっています。
 
Lepyのアンプのミューティング回路はこの通りとなっています。ついでに,ヘッドホン周辺の回路も一緒に示します。─ 部分が今回の追加部分です。 
 
LP-2024A+スピーカーoff&ミューティング回路.jpg 今回の回路
 
やはり,普通のミューティング回路同様,CとRの時定数でTrをONさせることによってリレーを動作させています。なお,リレーの駆動Tr Q4, Q5はダーリントン接続となっています。
 
ほかに,LepyのアンプはQ1とQ3が付加されています。
 
まず, Q1は過電圧保護で,入力のDC電圧が何Vかわかりませんが,限界を超えるとQ1がONしてアンプ全体をミューティングさせるようになっています。 

Tripathの規格表を見ると,TA2024の#12ピンはミューティングとなっていて,このピンが high の場合はアンプが動作せず,low になるとアンプがONするようになっています。 
 
また,リレーの後ろにQ3がついていますが,これのコレクタ電位は通常は high で,アンプの電源が入ると,ミューティング回路と同じ電圧でQ3がONし,#12ピンを low にするようになっています。
 
なんか,スピーカのミューティング回路と二重になっていてムダな気もするのですが,こうしないとポップ音がひどいのでしょう。初期のLP-2020アンプなんかはこの対策がしていないのではないかと思います。
 
さて,今回,ちょっとこのせいで困った問題が出てしまいます。
 
普通だったら▲の回路でC15をショートしておけば(=Q5のベースを接地する),ミューティング回路が動作せず,リレーが動かないのでスピーカはOFFにできます。
 
ところが,このやりかただと,スピーカはOFFにできるんですが,Q3もONしないのでいつまで経ってもアンプがミューティング状態となってしまい,ヘッドホンから音が出ません。
 
と言う次第で,この方法は使えません。
 
次の手で,Q4が動作してもリレーが動作しないようにします。Q4のコレクタとリレーのコイルの間にパターンを切ってスイッチを挿入します。場所は▼の写真の 部分です。
 
実は実装上はこの方法の方が簡単でした。それに安全です。うっかり,Q5のベースを接地するべく,スイッチを配線しようとしてはんだがブリッジしてしまってQ4やQ5を壊しちゃうこともあり得ますので。小さな表面実装のTrなので,配線をはんだづけするだけでも大変です。
 
SP OFFスイッチ挿入部.jpg ルーターでパターンを切ります。
 
一度,ルーターを持ち出してパターンを切らないといけませんし,切った端の部分の塗装をはがしておかないと配線をはんだづけできないんですが,こちらの方が楽だと思います。
 
また,スイッチは単極単投(SPST)のものがつかえるので配線も簡単です。
 
SP OFFスイッチテスト中.jpg ただいまテスト中。
 
使用したスイッチは6Pのどこ製だかわからないものですが,Lepyのアンプで使われているのとほぼ同じものだと思います。いつもお世話になっているサトー電気さんで見つけました。単極単投でよいので2Pのスイッチでいいのですけど,普通は3Pか6Pのものだと思います。
 
ただ,残念ながら,適当なキャップがありません。一般に売られているものはΦ8mmくらいのものです。LepyのアンプのはΦ7mmなので大きいのです。また,色もシルバーというのはありません。グレーでもいいかとは思ったのですが.....。
 
このスイッチを押すとリレーの接点が外れ,スピーカがOFFとなります。 
 
結局,Ali Expressで割に似たのを見つけたので注文しました。届くのに2週間くらいかかると思いますが届いたら取り付けてみます。
 
さて,実際の工事の様子です。
 
SP OFFスイッチ部.jpg パネルに穴を開けました。
 
ちなみに,ご覧の通り音量調節のボリウムの照明はオリジナルは品の悪そうな? 青色LEDを使っていますが,iruchanはいつも電球色LEDに換装しています。こっちの方がずっと品がいいと思います。 
 
Lepy LP-2024A+フロントパネル加工図.jpg パネル加工図です。
 
ヘッドホン端子はそれほどじゃないですけど,SP OFFスイッチは基板にはりつけるので,慎重に検討しないとうまく基板に載せてパネルから顔を出すようにできないので一度, "花子" で図面を描いて検討しました。が今回の穴開け位置です。 
 
 
ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板
 
前回は万能基板を使いましたが,今回は基板はきちんとエッチングで作りました。ヘッドホンジャックはICピッチじゃないので万能基板を使っても結局,穴開けをやり直さないといけませんでしたので。
 
回路は▲の図の通りです。今回,ストッピングコンデンサはELNAのシルミック220μF 25Vを使いました。あまりに大きいのに驚き。同じ容量,耐圧のものの倍はあります。でも,音は非常にいい感じです。もう1枚作りました。こちらはニチコンMUSEにしました。
 
 
Lepyアンプヘッドホンジャック基板1.jpg プリント基板 
 
 
プリント基板用ヘッドホンジャックは配線が面倒なのでプリント基板図を示します。これを50mm×15.3mmで感光基板に焼き付けると基板を作ることができます。 
 
本当言うとiruchanはお気に入りのサンヨーのOSコンを使いたいのですが,OSコンは導電性高分子アルミ固体電解コンデンサで,内部に電解液が使われておらず,直接,電子で電荷をチャージする仕組みになっています。電荷を運ぶ素子が普通の電解コンデンサだとイオンですけど,OSコンは電子のため,非常に軽く,そのため高周波特性がよいので音もよいのですが,残念ながら普通の電解コンデンサと違って電解液を使わないので故障時にショートモードで故障するくせがあります。そのため,故障すると直流が漏れてヘッドホンが壊れる可能性があるため,使用は避けました。この故障モードはタンタルコンデンサも同じで,iruchanはタンタルは使わないことにしています。
 
ヘッドホン&スピーカOFF回路配線.jpg 
    
   ヘッドホン基板とスピーカOFFスイッチの取り付け 
 
ヘッドホンの配線はスピーカ端子に行います。前回はスピーカ端子を外さないと配線できませんでしたが,今回は基板の裏にはんだづけするだけなので楽です。
 
ヘッドホン配線はんだづけ1.jpg 2芯シールド線を使いました。
 
前回,ヘッドホンのGNDは電源のフィルタコンデンサを使いましたが,今回はSP端子近くのGNDプレーンに直接ハンダづけしました。ただ,このあたりにある,はんだ部分はとても小さいので,スピーカOFF回路同様,ルーターで塗装をはがしてそこにはんだづけしました。
 
これだと簡単です。
 
ようやくこれでヘッドホンが使えるようになりました。いい音で聴くことができますね。
 
では,今年も皆様,どうもご愛読ありがとうございました。また来年もどうぞよろしくお願いします。よいお年を。 
 
 
 
2017年1月15日追記
 
年末にAli Expressに注文していた,プッシュSWのキャップが届きました。どうしても日本で入手できるプッシュSWはキャップがなかったり,あっても色がシルバーなんてのはなくて,結局,中国から取り寄せました。このキャップは "つば" 部分がΦ9mmで,円筒形の部分がΦ5mmでした。もう少し円筒部分は太くて長い方がいいんですけどね。
 
push switch.jpg 20個で$8.16でした。
 
さっそく,使用しているプッシュSWに取り付けます。残念ながら,このキャップにセットになっているプッシュSWは入手できなかったので,今使っているやつにははまりません。
 
軸をルーターでΦ3mmに削って差し込みました。
 
push switch1.jpg 上面にプラ板を貼りました。
 
普通は端子部を下にしてはんだづけするんですけど,さすがに今のプリント基板に穴を開けて差し込もうとは思いません。危険ですよね~。
 
と言う次第で,普通はあり得ないんですけど,上面を下にして,プリント基板にエポキシ接着剤で貼りつけちゃいました。もちろんこの場合でも絶縁しておかないと危ないので,t1.0mmのプラ板を貼りつけてから接着しました。
 
LP-2024A+ head phone2.jpg こんな感じです。
 
出っ張った部分はΦ5mmなので,もとのフロントパネルに開けた穴が少し大きすぎますけど,まあ,違和感ないと思います。ついでに,インレタで表示を追加しました。
 
これで,無事に正面でスピーカのon/offができるようになりました。非常に便利です。これでLepyのデジタルアンプもヘッドホンで聴くことができるようになりました。
 

 
 

デジタルアンプLepy(旧Lepai) LP-2024A+の改造~ヘッドホン端子の取り付け~ [オーディオ]

2016年12月24日の日記

ヘッドホン端子.jpg ヘッドホンで聴けるようになりました。

どうも今年も押し詰まってきました。昨年の今日は北の果ての雪の遠軽駅で鉄をしておりました......(^^;)。

さて,今日はしばらくぶりで中国製のデジタルアンプLepy(旧Lepai)のLP-2024A+の改造です。前回からほぼ1年ぶりです。

実は,以前からヘッドホンをつなぎたいと思っておりまして,一度,検討したのですが最終的に重大なあることに気がついてあきらめていました。そのあることとはまた後ほど申し上げるとして,今回はいつもお世話になっている方からの依頼で,真剣に検討することにしました。

というのは,このアンプが音がよいと勧めたら,ぜひ,ほしいとのことでさっそくAmazonに注文されたのですが,ヘッドホンで聴くことが多いので改造してほしい,ということでした。確かに,今だとヘッドホンも音がいいのがたくさん出ていますし,スマホも普及したので音楽を聴くのにスピーカよりもヘッドホン,と言う人も多いと思います。 Lepyのデジタルアンプはとても音もよいので,これでヘッドホンで聴ければよい音で音楽が聴けるな,と思います。

ただ,これは非常に面倒な問題なのです。

デジタルアンプは多くの場合,出力upのため,出力段が通常のシングルエンドではなく,BTL接続になっているものが多いのです。

で,これがどういう問題なのか,と言うと,ヘッドホンを接続することができないのです。

理由はスピーカのコールド端子(黒)が普通はグランド(GND)なのですが,BTLのアンプの場合,GNDじゃないのです。そのため,普通のヘッドホンは端子が3つしかなく,GNDが左右共通になっているのですが,こういうヘッドホンをつなぐと▼の図のように,左右のアンプの出力のコールド側をショートしてしまうためなのです。普通のシングルエンドのアンプだとコールドはGNDなので,ショートしてもなんの問題もないのですけど。

       BTLアンプヘッドホン接続誤り.jpg  こんな配線はできません。 

ここで,BTL接続について説明しておきましょう。

BTLとはBridged Transformer Lessの略で,その名からもわかるとおり,アンプの出力段にはその昔,出力トランスが必要だったのですが,これを不要とするための回路の一種です。真空管アンプはもちろん,半導体のアンプでもゲルマニウム時代なんかは出力トランスが必要でした。

BTLアンプは初段に位相反転段が入っていて,入力と逆位相の信号を作り,それぞれ正相と逆相の2組のアンプを使って信号を増幅します。 これをそのまま,スピーカの端子につなぐと出力トランスが不要となり,また,普通のシングルエンドのアンプの4倍の出力が得られるというものです。

回路自身はそもそも出力トランスがあった頃に検討されたくらいですから,かなり古いものです。もちろん,デジタルアンプなんて影も形もない頃から使われていました。特に電源電圧が低い,ラジオやカーステレオの出力段によく利用されていました。

普通はアンプが2組も必要になるので,HiFiオーディオの世界で使われることはほとんどありません。コストも倍かかる,と言うわけですからね。

1980年代にラジオ技術誌に山梨大学? の先生がずっとBTLアンプの記事を連載しておられて,iruchanもいつかは作りたいと思っていましたけど,さすがにディスクリートでBTLアンプというとアンプを4台作ることになるので面倒であきらめました。 

ただ,回路がIC化されてしまうと部品点数が2倍になるわけじゃなし,コストもそれほど変わらないのでアナログ時代のパワーアンプICなどによく利用されていましたし,デジタルアンプもBTLのものが多いです。Lepyのアンプで使われている米Tripath社のTA2020TA2024も出力はBTLとなっています。

BTLアンプ.jpg BTLアンプ回路(片ch.のみ)

このため,もし,ヘッドホンをつなぐ場合は左右のコールドが別々になっている,4端子のものでないと使えません。でも,自分で改造でもしない限り,こんなヘッドホンはありませんから,BTLのアンプにはヘッドホンはつなげないのです。 

ただ,一応,方法としては2つあると思います。

1つはよくネットにも出ている方法で,トランスを使ってバランス→アンバランスの変換をするものです。▼のような接続をすると,BTLのアンプでもヘッドホンが使えます。

       ヘッドホン接続(トランス式)1.jpg トランス方式

しかし,この方法だとせっかく出力トランスがいらなくなったのに,またトランスがいるのか,と思っちゃいますね。

iruchanは真空管アンプマニアなのでよくわかりますが,出力トランスはそれなりにお金をかけていいものを使わないと音が悪いのです。

大きくて思いし,何よりアンプの音や性能が出力トランスで決まってしまうので,できれば出力トランスなんてない方がいい,といつもiruchanは思っています。だから,いつも半導体のアンプはうらやましく思っています。と言って,真空管のOTLアンプはまだ作ったことがないのですけれど.....。

それに,出力トランスを使うと言っても1次側インダクタンスが十分大きくないと低音がカットされてしまうのですが,そのインダクタンスを増やすには巻数を増やさないといけないので,いい出力トランス,というのはサイズが大きくなってしまうのです。かと思うと,今度は逆に高音域は巻線がキャパシタンス分を持つのでカットされてしまので,巻数の多いトランスは不利で,結局,HiFi用の広帯域な出力トランスというのは非常に設計が難しいのです。 

そんなわけで,Lepyのアンプに出力トランスを接続する,というのはなんとか避けたいと思いました。Lepyのアンプは非常にコンパクトにできているのに,いいトランスは大きくて,トランスを外付けにしなくちゃいけないので意味なくなっちゃいます。と言って,この小さなケースに収まるような出力トランスはありません。あっても上記の理由でロクなものじゃないでしょう。LP-2024A+の方は割にケース内にスペースがあるのでなんとかなりそうなんですけどね。LP-2020A+のほうはTA2020の放熱器が邪魔をして絶対に入らないと思います。

と言う次第で,別の方法を考えます。

要は,BTLアンプというのは▲のように正相と逆相のアンプがあるので,正相側だけ出力を利用すればよいのです。こうすればコールド側をGNDに落とせるので,GNDが左右共通となっているヘッドホンでも接続できます。

と言うことで回路は次の通りです。

       ヘッドホン接続(コンデンサ式).jpg 今回の回路

抵抗は普通のスピーカを鳴らすためのアンプにヘッドホンをつなぐための減衰抵抗で,ヘッドホンの保護抵抗です。昔,まだ専用のヘッドホンアンプなんてなかった頃,よくこういう方法が使われました。真空管アンプでも,この前,修理した,三栄無線の6BX7シングルのSA-523もこのようになっています。

また,コンデンサは直流分をカットするためのストッピングコンデンサです。アナログのHiFi用アンプなどだと正負両電源を使用していて,SP端子は直流電位は0Vなので不要なのですが,本機では出力に直流が出てヘッドホンを壊してしまうため,直流をカットしておくためのものです。

今回改造したLepyのアンプは出力端子に5~6Vの直流が出ていますので,必ずコンデンサを入れてください。 

これならヘッドホンが接続できます。 

ところが,ここで前回,重大なことに気がついて,あきらめちゃいました。

なんと,ヘッドホンを挿すと自動的にスピーカがoffにすることができないのです!! 当たり前なんですけどね......。

ラジオやTV,アンプなど,普通のセットではヘッドホンを挿すと自動的にスピーカがoffとなるようになっています。これは,▼のような回路となっています。

      シングルエンドアンプ+ヘッドホン2.jpg 普通のパワーアンプへのヘッドホン接続 

BTLのアンプはスピーカのコールドが左右別々なので,こういうことができないのです。

ヘッドホンで聴いてんのにスピーカも鳴っているんやったらあかんやんか.....ということで前回はヘッドホン取り付けはあきらめちゃいました。

今回もどうしようかと,悩んだのですが......。

いい解決法を思いつきました。

なんのことはない,スピーカとヘッドホンの切替SWをつければええだけやんか,と思いつきました。▲の回路についているスイッチがそれです。なんだ,こんな簡単にできちゃうんですね。 

さて,次に減衰抵抗をいくつにするか,というのはちょっと難しい問題で,真空管のアンプなどに取り付ける場合は数百Ωといったところで,最初,iruchanは100Ωを入れてみました。

ところが......。

ものすごいホワイトノイズで,とても音楽なんて聴けたものじゃありません。

オシロで見てみますと実効値で24mVもあります。普通,アンプの残留雑音は1mV以下にしないとノイズが気になりますから,これじゃダメです。

LP-2024A+ホワイトノイズ.jpg げっ~~!!

原因が最初,思い浮かびませんでした。ハムなら電源に起因するので,電源のリップルやアースラインの引き回し,2点接地なんかが原因ですが,ホワイトノイズというのは原因は半導体や抵抗など,電流が流れる素子が必ず持っている熱擾乱雑音が原因で,ボルツマン定数を使った式で表されます。広帯域のノイズで,フィルタで落とせるものじゃありませんし,対策は面倒です。

ちょっと困ったな~と思ったのですが,以前,AMステレオのラジオのヘッドホンアンプで同じ経験をしたことを思い出し,原因はヘッドホンのインピーダンスが低すぎて感度がよすぎるため,と気がつきました。

と言う次第で,インピーダンスを上げればよいので減衰抵抗を100Ωから1kΩに増量したらホワイトノイズが消え,とても静かになりました。やた~~!!!!!

ついでに,1kΩにしてしまうと低域のカットオフ周波数も低くなるので,好都合です。

低域のカットオフ周波数は1/2πCRで表されます。ちょっと計算が面倒なのでiruchanはいつも下式を使っています。

      カットオフ周波数.jpg

もし,本機に採用するのでしたら47μF~100μFくらいでOKです。iruchanは最初,100Ωで考えていたので,1,000μFを使っています。これじゃ,カットオフ1.59Hzなんでオーバースペックですが,面倒なのでそのままにしています。

ここまで来たらようやく基板を作って実装していきます。ヘッドホン端子はプリント基板用を使います。それにCとRをつなぎますが面倒なので万能基板で済ませました。

ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板です。 

パネルにΦ6mmの穴を開けて固定します。場所は電源スイッチの横にしました。ボリウムの左側でもよいと思います。

スイッチは6Pのものが必要です。こちらも穴径はφ6mmですので,後ろのパネルに穴開けしました。普段使うスイッチじゃなし,フロントパネルにつけなくてもよいと思います。 

なお,中の配線は結構厄介で,一度,Lepyのスピーカ端子を外してはんだづけしました。L+とR+の端子を外してその間にスイッチの接点が入るようにします。外した端子の跡にφ1mmのスズメッキ銅線をはんだづけして配線をつなぎます。

sp端子.jpg SP端子の改造 

ヘッドホン配線.jpg ヘッドホン配線

スイッチは後面のパネルに取り付けるので,10cmほどコードは余長を持たせておかないと基板が外せなくなってしまいますので,ご注意ください。 

LP-2024A+ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板の取付 

スペース的にはギリギリですが,何とかなりました。コンデンサは100μFくらいでも十分です。また,もとから直流がかかっているところなので,無極性(バイポーラ)のものでなく,普通の有極性のものでOKです。もちろん,アンプ側が+です。また,基板上には進工業の75Ωが載っていますが,これは実験中のものです。本番? は1kΩにしました。 

この基板から出ている黒い電線がGNDで,基板の裏にある,→ のところにはんだづけしました。 ▲の写真に写っている金色のニチコンの電解コンデンサのマイナス端子です。

GND位置.jpg GND位置

rear panel.jpg パネルにはインレタで表示を追加しました。 

AUDIO INPUTの囲みの中にあるなんて変ですけどね........(^^;)。 

Lepy LP-2024A+.jpg 正面。ヘッドホン端子つき。

照明のLEDは本来は青色ですが,まぶしすぎるし,色もちょっとあまりにも品がない感じなので,いつもの通り,電球色LEDに交換してあります。 

Lepy LP-2024A+1.jpg 背面。スイッチがついてます。

あとはいつもどおりの改造です。

何より最初にやらないといけないのは入力のカップリングコンデンサ。これの容量が小さすぎ,低域が200Hzくらいから下がり始めます。

今回,無極性電解の3.3μFが使われていました。ここはいつもお気に入りのサンヨーのOSコンをつけました。39μF16Vのものをつけました。これ以上の大容量のものはサイズが大きく,基板に取り付けられませんので,これが限界だと思います。

コンデンサ.jpg 交換したコンデンサ 

あと,TA2024の入力にも同じ電解が使われていましたので,ここにはニッセイの積層フィルム3.3μFをつけました。ここはそんな大容量のものは不要ですし,いくらOSコンが音がよいと言っても電解コンデンサの仲間ですから,小さな容量でよいならやはりフィルムコンにした方がよいと思います。

内部基板(コンデンサ取替後).jpg コンデンサの交換

電源のフィルタコンデンサもニチコンのFGに交換しました。ここは一番重要なところですからね。

電源フィルタコンデンサ跡.jpg おや?

ところでもとのコンデンサを取り外してびっくり。端子用の穴が3つも開いています。私のはこんなことありませんでした。

おそらく,前も書きましたけど,Lepai社は部品メーカと直接取引して購入しているわけじゃなくて,スポット市場に大量に安い部品が出たらそれを買い付けているんでしょう。OPアンプが機種によって違うとか,コンデンサも微妙に違っているのもそのためだと思います。ただ,これが悪いかというと,むしろ中国製の質の低い部品を使うよりもスポット市場だと日米欧の高級部品が流れてきたりすることも多いので,そういう部品を買い付けて使ってくれた方がよいと思います。

ここも,2,000μFくらいの大容量電解コンデンサはピン間隔が10mmのものと12.5mmのものがあるので,どちらか合う方にとりつける,なんてことやっているんだろうと思いました。  

お次はこれ。

OPアンプはiruchanのはテキサスのNE5532が使われていましたが,今回のはロームのBA4560が使われていました。 ロームのDIPのICは脚が少し変わったデザインになっているので,これは間違いなくローム製でしょう。ただ,BA4560なんて知らないOPアンプだったので規格表を見てみますと,一応,ローノイズ各種オーディオ用と書いてありましたが,確かにノイズこそ8nV/√Hzと低いのですが,GB積が10MHz,スルーレートが4V/μsと,あまりパッとしない数字が並んでいます。これならNE5532の方がよい感じです。NE5532は音がよいOPアンプとして有名ですよね。

BA4560.jpg ROHMのBA4560

それに,規格表にある内部の等価回路を見てがっかり。初期のOPアンプでも米国製のものはこういう単純な回路構成は少なく,むしろ今も使われているμPC812など日本独自のOPアンプに多い回路です。

アナデバが出しているOPアンプの歴史の本がありますが,OPアンプの設計ができるのは世界でも数えるほどなんて書いてあってホンマか? と思いましたけど,確かに米国製のOPアンプの内部の等価回路はきわめて複雑でびっくりするんですが,案外,本当なのかもしれません。純国産のOPアンプの内部等価回路はシンプルと言えば聞こえはいいですけど,なんかとても貧弱な印象を受けます。iruchanはもちろん,戦後の生まれなんですけど,電子部品,特に半導体に対しては米国製を絶対的に信奉してしまいます。やはり半導体は米国製が一番だと思います。GIたちに "Give me operational amplifier!" なんてねだっていた世代じゃないですけど.....。

BA4560はOPアンプなので,初段は差動アンプなのは当然ですけど,2段目はレベルシフトを兼ねたエミッタフォロア,3段目が実質的な2段目増幅段ですが,定電流負荷のエミッタ接地シングルアンプとなっています。そのあと,SEPPのバッファアンプがつながっています。

シングルアンプはやはり多量の偶数次のひずみを発生するし,OPアンプは2段目がゲインの大半を稼ぎますから,ここは低ノイズの差動アンプにしておかないとアンプのひずみが増えてしまいます。差動アンプは左右ペアになったTrがプッシュプル動作をするので,偶数時のひずみは打ち消してくれるので低ひずみです。実際,LME49720などの規格表に載っているひずみ率のグラフと比較してもBA4560はかなり悪いです。

アンプがACアンプの頃は初段差動,2段目シングルという回路構成が多くて, DCアンプになってから2段目も差動アンプとなりますが,やはり低ひずみのアンプというのは2段差動アンプだと思います。

米国製のOPアンプは最初期のLH0032などから2段差動アンプというのが定石で,3段差動アンプというのもの多いのです。

と言う次第で,依頼者の方の承諾を得て, BA4650は即撤去と決まりました。後継はナショセミのLME49720HAですね。数少ない現行のメタルキャンOPアンプです。音のよいOPアンプというのはたくさんあるのですが,メタルキャンはなかなかありませんので貴重だと思います。メタルキャンの半導体はやはり高音が美しく,澄んだ音が魅力でとてもいい音がします。

改造に当たってはまず,もとのBA4560を撤去しないといけませんが,残念ながらはんだごてで裏から熱して外す,というのは無理で,ニッパーで脚を切って撤去した方が早いです。その後,残った脚をピンセットとはんだごてで外します。

そのあと,うまく穴が開いてくれればいいのですがたいていは穴がふさがったままなので,ドリルで穴を開け直します。このとき,間違ってもΦ0.8mmより大きいドリルは使わないでください。両面スルーホール基板のため,上下面をつなぐように金属製のスリーブが入っています。Φ1mmなどのドリルだとこのスリーブまで削ってしまうのでご注意ください。

DIP穴開け.jpg はんだだけ除去します。

  必ずΦ0.8mmのドリルを使ってください。 

その後,DIP8ピンのソケットを挿して,LME49720HAを挿したらOKです。

LME49720HA.jpg LME49720HAを挿しました(^^)。 

さて,いよいよ音を聴いてみます。

まずはスピーカから。いつものLP-2024A+の音がします。高音まで澄み切った,分離度が高く,ノイズが全くしない,よい音に感心します。

次は背面のスイッチを切り替えてPhonesにします。スピーカから音が切れてヘッドホンに切り替わります。

Lepy LP-2024A+ Sennheiser MX80.jpg SennheiserのMX80と。

ノイズもなく,とてもよい音で聴くことができました。下にあるのはトロイダルトランスを使った自作の専用電源です。

使っているヘッドホンはSennheiserです。最近,MX80を買いました。驚くほど音がよいのにびっくり。結構,ヘッドホンってものによって音が変わりますよね。最近,娘に国産某社のを買ってあげたのですが,本人は満足しているものの,オヤジはとても満足できない音質。 全然,低音が出ないし,音もひずみっぽい。

その点,やはりSennheiserはいいです。こんなコンパクトなボディなのに重低音が出ます。

とはいえ,一方,世間のおばはんたち同様,今,うちの嫁はんが熱を上げている某スケート選手が使っているヘッドホンは30万円もするそうです(驚)。

オヤジなんてたった3,000円のヘッドホンですけど.......。2桁も値段が違うやないか!!!! 

 

2016年12月31日追記 

スピーカの切替SWをフロントパネルに移行させました。こちらをご参考にしてください。 


KATO EF70 1000番台入線 [模型]

2016年12月10日の日記

EF70 1007.jpg 整備後の姿です。 

今日は久しぶりに模型ネタです........(^^;)。

KATOのEF70 1000番台をようやく入手しました。本当は10月に発売になっているんですけど,うっかり予約を忘れてしまい,Joshin webを見てみたら在庫切れになっていて,ちょっとあわてました。

まあ,KATOの製品だし,十分な数量を作ってあるはずですから,すぐに市場から消えてしまうとは考えにくいので,地元のJoshinの実体店? で取り寄せをお願いしてゲットできました。webの方は何のことはない,一時的に品切れだけだっただけで,今も在庫はあるようです。

EF70は地元の機関車だし,昔からなじみのある機関車なので何台も持っています。KATOも最初の電機ですしね。

実物は北陸本線福井電化を控え,1961年から製造されました。

ここでいつも話題になるのはED74ですね。

北陸本線は敦賀がネックで,この街の出入りに急勾配のトンネルができてしまいます。有名な米原方の鳩原(はつはら)ループも複線化する際に新設する上り線を急勾配緩和のために1957年から建設がはじまって63年に完成したものですし,北陸トンネルも従来の杉津回りの旧本線の最急勾配25‰を緩和する目的で建設され,延長13kmと1962年の完成当時,日本最長でした。

しかし,緩和されたと言っても最急勾配11.5‰で,下り列車に対して延々11.4kmも勾配が続く片勾配のトンネルのため,従来のD形機では出力が不足するため,F形機としてEF70が計画されました。

iruchanは電気のエンジニアなのでわかりますが,モータの出力というのはもちろん,最高速度で決められるのですが,もう一つ,温度上昇でも決まります。 だから,ED74は国鉄の電機標準型のMT52形主電動機を使っていますが,D形機だとモータの温度上昇が375kwのMT52を上回ってしまうためF形機にした,と言うわけです。

実を言うとモータや変圧器など,電気機械は温度上昇を考えないと定格以上に大きな出力が出るもので,その点,エンジンとは異なります。モータの最大出力というのは温度上昇で決められ,1時間定格とか15分定格というのはこれらの時間の間に温度上昇が限度内に収まる,と言う意味です。

といって,北陸トンネルで問題になったのは11.5‰の勾配途中で1,000tの貨物を牽引し,2回引き出しをする,という条件だったようで,これは過酷な条件じゃない? という気もするのですが.....。 

ただ,今庄から先は北陸線はすでに勾配緩和されていた倶利伽羅峠を含めてほぼ糸魚川まで平坦であるため,福井以遠はED74で牽引することが考えられていました。蒸機時代も今庄まではD51なのに,そこから先はC57でしたよね。

もっとも,北陸線は重要な線区で,貨物列車も将来,1,100t牽引することが考えられていましたし,途中で機関車の付け替えをするよりも大出力の機関車で通し運転をした方がよいと考えられ,ED74の量産は6両で打ち切られました。 余剰となったED74は1968年には九州に異動となりますが,九州は客車はSG仕様のため,SGを搭載していないED74は20系客車&貨物専用となりましたが,6両じゃ面倒がられ,九州で活躍したのは5,6年という感じのようです。

う~ん,それにしても国鉄時代ってDD54とか1両しかないDE50とかそうですけど,こういうムダな投資をよくやっていますね~。

EF70 1000番台はご存じ,ヨンサントオの改正で特急 "日本海" が登場するため,20系固定客車用にもと空気だめ管の引通しや電磁弁用の引通し線を増設したものです。と言う次第で,新造ではなく,22号機から28号機の7両を改造したものです。

ブレーキは鉄道は列車分離時に,双方の車両に自動的にブレーキがかかるよう,自動ブレーキを長年使用していました。米国のウェスティングハウスが発明したものですね。それまで,列車分離して残った車両が暴走して事故となることが多かったのですが,これで解決できました。引通しもブレーキ管(BP)のみで済むので簡単でした。

ところが,自動ブレーキはブレーキ指令はブレーキ管の排気によって行いますが,どれだけ速くても音速より速くはできないため,200mくらいの列車だと最後尾の車両にブレーキがかかるまで1秒弱かかることになります。おまけに,客車や気動車などで,床下からシューと音がしたと思うとしばらくしてゴーッとブレーキがかかる音がしますけど,自動ブレーキはこのように,もともとブレーキ指令が来てもブレーキ弁(三動弁)が応答するのに1秒くらい時間がかかりますから,応答性が低いのです。それで各車両に排気用の電磁弁を設け,電気でブレーキを指令するようにし,さらに,ブレーキ距離を短縮するため増圧ブレーキを採用して,もと空気だめ管(MR)を追加したのが20系のCLE自動ブレーキです。 あと,応荷重装置なんかもついています。結局,ブレーキの指令線とMR管が追加になっちゃったわけですね。

まあ,自動ブレーキは応答速度が低いし,ブレーキの強弱はハンドル角度ではなく,ブレーキ弁を開けている時間に比例するため,操作性も悪いので電車ではより操作性のよい電磁直通ブレーキが採用されましたが,列車分離時にはノーブレーキとなってしまうため,自動ブレーキをバックアップとして持っています。

いまじゃ全電気指令ブレーキが主流になりましたので,列車分離時も電気で検知して非常ブレーキをかける仕組みになっていますけどね。 

こういった改造をした機関車がEF70の1000番台です。EF58もP型改造といって,CLEブレーキに対応していますね。EF65も500番台がそうです。 

その後,1974年には湖西線が開業し, "日本海" も湖西線まわりになるとEF81の方が効率がよく,1000番台も通常の仕業に就くようになります。1000番台だけではなく,田村~糸魚川間に運用が限られるEF70自体,余剰となって敦賀や田村に留置されていたのを思い出します。

そもそも,北陸線自体,なんで入口も出口も直流電化なのに交流電化したのか......新幹線開業の人身御供? のためだったようですが,ムダな投資だった気がします。いまじゃ,敦賀まで直流電化しているくらいですからね。もっとも,直流化の費用は車両代も含めて地元が全額負担したので,日本で一番古い交流電化設備を地元負担で交換できた1,000億円も経常利益があるのにビンボーを装っているどっかのJRさんはウハウハだったと思いますけど......。

また,とうとう,例の整備新幹線のおきまりで北陸本線も第3セクター化されていますが,交流区間しか運用がないのに3セク各社に521系が入っているのもムダな気がします。まあ,インバータ式になったので,交直流電車と言ってもそんなにムダじゃないのかもしれませんが。

残念ながらiruchanは地元だけれど,大阪に行くときなんか,途中の米原にいたEF58やEH10の方が興味があって,そっちばかり見ていました。北陸線を走る機関車はあまり興味がなく,EF70はよく覚えていますが,1000番台はあまりよく覚えていません。 ちょっと残念に思っています。

模型の方はすでにマイクロエースが発売していて,iruchanも持っています。でも,今回はKATOだし,純粋に日本製なのでとても楽しみにしていました。

さて,ようやくEF70を引き取ってきたのでさっそく,改造します。

いつもの通り,まずはスナバ回路の設置です。

スナバ回路はインダクタンス分を含む回路で電流を遮断するときなど,逆起電力を抑えるためのもので,iruchanがNゲージに応用することを思いついたものです。これを使うと,停車中にも前照灯が点灯する,いわゆる常点灯に対応します。ただ,残念ながらコントローラはPWM(パルス)式のものが必要なんですけど。 詳しくはこのブログをご参考にしてください。

まずはボディをばらします。乗務員扉近くでつまようじを使ってボディを広げるとうまくボディが外れます。

停車中に前照灯が点灯しない原因である,コンデンサをまずは撤去します。このコンデンサは低速時に反対側の前照灯が点灯しないように挿入されているものですが,これがあるため,停車中に点灯しなくなってしまいます。これを撤去し,その後,モータの端子間すなわちレールをまたぐようにスナバ回路を挿入します。

snubber circuit.jpg スナバ回路の設置状況

なお,いつも書いていますが,スナバ回路のCとRの値は,もちろんモータのインダクタンス分のほか,使用しているコントローラのスイッチング周波数によって変わりますので,毎回テストが必要です。今回,10Ω+0.47μFとしました。損失を考えると抵抗値はもっと大きくないとまずいのですが,今回は結構厄介で,なかなか反対側のLEDが消えませんでした。

昔は表面実装の部品も大きかったので途中にリード線はいらなかったのですが,最近のは小さいのでリード線でCとRをつなぎます。今回,ロジックICの配線なんかに使われるラッピングワイヤを使いました。絶縁被覆がありますし,使いやすいです。 

flux.jpg フラックスを塗ります。

表面実装(SMD)の抵抗とコンデンサをはんだづけするにはフラックスがあるときれいに行きます。普通,電子工作ではフラックスははんだの中に含まれているので使わないのですが,表面実装の部品の場合はフラックスを塗るのが常識だそうです。使っているフラックスは金属模型をはんだづけするときに使うものですが,うまくいきます。なお,フラックスを塗るとはんだがその部分までさーっと広がっちゃいますので,必要最小限の範囲にとどめてください。 

全点灯(スナバ回路なし).jpg スナバ回路なし

単に,左側の前照灯のすぐ後ろにあるコンデンサを撤去しただけでも常点灯になるのですが,この場合,▲のように反対側の前照灯も点灯しちゃいます。電車の場合は尾灯が点灯します。 

片側点灯(スナバ回路あり).jpg スナバ回路あり

スナバ回路をつけるとこのように,反対側のLEDは点灯しなくなります。スナバ回路を設置したら,必ずこのようにボディを外した状態でチェックしてください。

次はナックルカプラーを取り付けます。

実は,これ,非常にやりにくいんですけど,このようにボディを外してカプラーセットごと外しちゃうと楽です。スナバ回路を設置するのでボディを外すので,一緒にやっちゃいます。 

ナックルカプラー取付.jpg ナックルカプラー取付

KATOの電機に付属してくるナックルカプラーは毎回,首が長すぎて普通のナックルカプラーに取り替えていましたけど,今回は首が短いのでそのまま付属品を使いました。

ナックルカプラー取付1.jpg こんな感じです。

EF70 1007-1.jpg とてもいい感じです。

どうもデジカメのホワイトバランスが悪いのか,かなりオレンジ色になっちゃいましたが,実物はきれいな電球色です。もう少し明るいといいのですけどね.....。 といって,これを明るくするのは困難で,KATOの基板には電流制限用として560Ωの抵抗が載っていますが,これだとLEDの電流は20mAくらいになってほぼ最大定格だと思います。と言う次第で,この抵抗を小さくすることはできません。

EF70 1007-2.jpg サイドビュー

残念ながら,EF70の1000番台はiruchanの嫌いなH社しか製造していないため,製造銘板はH社のものがすでにプリントされています......orz。 

屋上機器.jpg 精密な屋上配管 

以前,KATOのEF81で屋上配管が金属線となり,なかなかディテールがアップしましたが,残念ながらパンタからの引出線だけプラのモールドだったため,金属線に交換していますが,今回はすべて金属線になっていて,非常に素晴らしいです。走行もKATOの動力は素晴らしく,低速からスムーズに起動します。さあ,次は "日本海" でも引っ張らせてみましょうか。 来年にはED70も発売されるようですし,楽しみです......(^^)。

 

おまけ

iruchanは先週まで,かやうなところに行つてをりました。

高岡大仏1.jpg ハンサムな高岡の大仏様

仕事で久しぶりに高岡へ行っておりました。

高岡は何度も来ていて,前回は5年前ですが,まだ大仏様を拝んだことがなく,仕事に行く前に拝んできました。日本で一番男前との評判の高い仏様です。1933年建立だそうですが,よく戦時中に供出されなかったな,と思います。朝日を浴びて神々しいお姿に感動しました。雪が降ったお姿も素晴らしいようなので,また雪が降ったらお参りしたいと思います。

瑞龍寺.jpg 国宝の山門

帰りは新高岡の駅まで歩いて行きました。Googleでは旧高岡? の駅から(旧白滝じゃないってば)1.6kmと出るのでまあ,30分も歩けば着きますね。途中で瑞龍寺にお参りしてきました。立派なお寺に驚き。仏殿,法堂,山門が国宝に指定されています。 

533D.jpg 氷見線533D

キハ40も貴重です。あまり旧国鉄色のものはないのですが,旧国鉄色のが来ました。

2091レ.jpg 2091レ

残念ながら,城端線・二塚までの貨物は廃止になってしまい,高岡発の貨物列車は氷見線の2往復だけになってしまいました。 

3095レ('16.12.3)s.jpg 3095レ

さすがに16:00過ぎの通過なのでもう夕日も沈みかけている時間ですけどね.....。青色の506号機が来ました。 


LUXKIT A3600復活への道~その3・アンプ編~ [オーディオ]

2016年11月23日の日記

今日は勤労感謝の日でお休みです。戦前なら新嘗(にいなめ)祭ですね~~。われわれ下々の者はこの日まで新米を食べちゃいけない,という決まりになっていました。

本当に最近は3連休ばかりで嫌になっていますが,このように週の真ん中にポコンと休みがある方がよっぽど身体が休まっていい,とiruchanは思います。そういえば,3連休にならないのは11月3日の文化の日もそうですけど,この日は戦前は明治節(明治天皇の誕生日)で,戦前の皇室の祭日に関連するものばかり,と気がついたのはiruchanだけでしょうか。 10月10日なんて,東京オリンピックの開催日だから祝日になったのに,と思います。また,晴れの特異日とされ,気象学的にも意味のあるだったんですけどね。だから,最近は体育の日ったって雨の日ばかり,という気がしますけどね。昔は体育の日はほとんど晴れでした。

と言う次第で,ハッピーマンデー法なんて早く廃止して,昔の祝日に戻してほしいと思っています。やはり祝日というのは伝統や歴史があるわけですからね。 

さて,前回に引き続いて,今日はアンプ部の設計変更を試みたいと思います。

ラックスキットのA3600というアンプは大出力の8045Gをプッシュプルで用い,最大出力50W×2と言うアンプです。3極管のアンプでこのような大出力,というのはあり得ないくらいで,845か,英国のDA60くらいしか思い浮かびません。

しかも,前回も書きましたが,MJ'83.2号に森川忠勇氏の記事があり,最大出力は公称50W×2ですが,実測66Wも出るようです。実際はもっと大出力なんですね。

それで,ちょっと調べてみたいと思います。

まず,ラックスが発表した8045Gの規格表にはEbb=500V,RL=3.6kΩで出力60Wと書かれています。ロードラインを引いて調べてみます。と,思ったのですが,見事にロードラインは特性図をはみ出しちゃいました.....。グリッド電圧Ec=0Vの線も延長しています。某美人の科学者? じゃないけど,今は簡単に画像が編集できちゃいますので,データをねつ造正規に利用するのは簡単ですね......(^^;)。

8045G-1.jpg8045Gの500V動作

負荷抵抗は3.6kΩとなっていますが,どういうわけか,プッシュプルのアンプの場合,負荷抵抗は2つの出力管のプレート~プレート(P-P)間の巻線インピーダンスで表すのが長年の習慣? で,出力管1本あたりだとプレート~B電源(P-B)間で,巻線が半分ですから,インピーダンスは巻線の2乗に比例するので,3.6kΩの1/4で900Ωとなります。なんで,こんな習慣なのか,ちょっと昔から疑問に思うのですが,長年の習慣なので仕方ありませんね。

横軸はEbb=500Vのところに起点があり,縦軸の終点は500(V)÷900(Ω)で,555mAのところに来ます。これを合成ロードラインと言います。本当はシングルアンプ同様,真空管1本ずつで考えないといけないのですが,プッシュプルのアンプの場合は2本の出力管の動作を合成した合成ロードラインで考えます。半導体のアンプの場合も同じです。

出力管1本ずつのロードラインは▼の図の  線のように湾曲していて,EC=0Vのところから, 印のある動作原点を通ってすっと右の方へ伸びていきますが,どこかでIP=0となってカットオフするのがAB1級やB級です。A級だと最後までカットオフしません。ちなみに,AB級は真空管の場合,グリッドをマイナスの領域のみで動作させるのがAB1級で,プラスの領域まで動作させるのがAB2級です。半導体はV-FET以外はエンハンスメントモードのものばかりなので,AB級と言います。また,真空管の場合は普通はグリッドをプラス領域まで使うことはないので,ほとんどAB1級です。

一方,反対側の出力管が上下対称の動作をするのでプッシュプル出力段の動作はのように直線となります。AB1級やB級は1本ずつの動作はたくさんのひずみを含んでいますが,合成するとこのようにきれいな直線となり,ひずみが打ち消されます。2本のロードラインを合成した,と言う意味で合成ロードラインと言います。まあ,いちいち,合成ロードラインというのも面倒なので,単にロードラインと言えばプッシュプルのアンプでは合成ロードラインのことを指します。それに,出力を求めるのには合成ロードラインで考えればよいので十分です。 

半導体のアンプの場合は負荷はスピーカですので,一応,純抵抗と考えて1本あたりのロードラインは直線となりますが,真空管は負荷はトランスですからAB1級やB級の場合,このようにゆったりと湾曲します。

時折,縦軸の555mAのところから動作原点を通る, のような直線でロードラインを引いている人を見かけますが,これは誤りです。MJのレギュラー執筆者の方でもこんな描き方をする人がいるので困りますね。昔,iruchanも真空管アンプを勉強し始めた頃,結構,悩んじゃいました。おそらく,このようなロードラインを描く人は出力管1本あたりのロードラインと,合成ロードラインをごっちゃにしてしまっているのでしょう。もちろん,森川氏は技術的にきわめて正確な先生なので,こんなことはありません。 

正しい合成ロードライン.jpg 間違ったロードライン

さて,8045Gに戻ると,実際に真空管が出力するのはEC=0Vまでの領域ですから,▲の図の通り,EP=120V, IP=430mAまでです。半導体だとほぼ,VCE=0Vまで使えますから,やはり真空管は出力が小さくなってしまいます。

さて,このときが最大出力ですが,そのとき,AB1級やB級などのプッシュプル回路では正弦波の半波とみてよいので,これらはピーク値です。実効値にするにはそれぞれ1/√2にしないといけないので,出力は下記となります。さすがに最大出力の時は波形がひずんでくるので正確に1/√2じゃないですけど,誤差は無視できる範囲です。

        出力計算式1.jpg  

結局,よく教科書に書いてあるとおり,Ec=0Vの線と合成ロードラインの交点から垂線を下ろしてできる三角形の面積と同じ,ということになりますね。 

それで,8045Gなんですけど,なんと,81.7Wもの出力が得られることになります。

えぇ~~って感じでびっくりしちゃいました。iruchanは何か間違ったか? と思っちゃったくらいです。

それならなんでラックスの規格表に60Wと書いてあるの? という気がしますが,おそらく,ラックスは真空管メーカじゃなく,セットを作る会社なので,あくまでもスピーカに加えられる正味の出力,ということで60Wと書いているのじゃないかと思います。

真空管の規格表に記されている動作例はあくまでも真空管のプレートに現れた信号電圧をダイレクトに出力に換算したもので,実際には出力トランスの損失だけ出力が減りますし,メーカのテスト時には定電圧電源を使ったりして,500Vなら正確に500Vの電圧がプレートにかけられていますが,実際のアンプではトランスのレギュレーションで電圧が下がってしまいますので,ラックス発表の数値はそういうことも考慮に入れた数値だと思います。 ただ,それにしても80Wと60Wじゃ,OPTの損失がそんなには大きくないので,やはりかなり控えめな数値,という気がします。

A3600の場合は,Ebb=490Vですから,下記のようになります。  の線がA3600のオリジナルの状態です。

出力はやはり,77.3Wにもなります。動作原点● はEC=-100V,I0=75mAです。森川氏も同様にロードラインを引いて,最大出力75Wという計算結果を示しておられます。

8045G-3.jpg 

   森川氏の検証結果と今回のiruchan改造の場合

出力トランスのOY-15-3.6KHPは損失が-0.4dBですので,91.2%です。とすると,出力は70.5Wとなります。実際には真空管のアンプの場合,クリップ点は半導体のアンプのように明確じゃないし,トランスのレギュレーションのこともあるので,もう少し小さく,やはり森川氏の実測結果どおり,66Wくらいが妥当なところでしょう。

それにしてもやはり出力が大きすぎますね。

と言う次第で,前回,8045Gの寿命も考えてB電圧を60Vほど下げることにしましたので,この場合の動作は  線の通りです。出力は58.7W,OPTの損失を考えれば,53Wといったところで,ラックス発表の数値くらいになります。これでよいのではないでしょうか。

なお,動作原点 ● はB電圧が下がった分,若干,左の方へずれますから,EC=-85Vくらいでしょうか。この電圧は重要ですから,覚えておきましょう。これが8045Gの入力電圧,すなわちドライバ段の出力電圧(のピーク値)となります。

オリジナルの状態でドライブ電圧が100VP,今回のiruchanの改造でも85VPもの電圧が必要なのに驚きます。多極管ならせいぜい10~20Vくらいと言ったところですから.....。

これほどの高電圧が必要というのは驚いちゃいますが,このため,ラックスは専用のドライブ管として6240Gを開発しています。実際,ピークで100Vもの電圧を出力させるにはプレートに400Vくらいの電圧をかけないといけないので,高耐圧の真空管が必要となります。

ただ,6240Gはいまじゃ,8045Gより希少なくらいで,Yahoo!などでも1本,7,000円以上するようです。実はiruchanも6240Gは1本しか持っていません。

6240G, NEC 6FQ7.jpg NECの6FQ7 (左)と6240G (右)

ついでに,6240Gを買ったとき,箱の中に入っていた規格表をupしておきます。

6240G規格表.jpg 6240G.pdf

と言う次第で,昔からこの球は代用球として6FQ7が使われています。実は▲の写真をご覧いただいてもおわかりになるとおり,外観もそっくりでした。おそらく,6240Gは電極も6FQ7と同じだと思います。NECの一木吉典氏も電波科学で書いておられましたが,真空管の最後の頃はコストダウンのため,もとからある管種の電極や製造用の金型などを流用することが多かったようです。東芝の6G-A46BX7の電極を流用していますし,6240G6FQ7の電極や金型を流用していたとしてもおかしくありません。

6FQ7は古くはGT管の6SN7と同特性で,昔から6SN7はタフなことで知られ,ドライバ管はもちろん,出力管としても使われました。ただ,A3600で6SN7を代用に使おう,なんて思いもしませんけどね。シャシーが鉄なんでGT管用の穴を開けるのは非常に大変です。

ちなみに特性を比較すると次のような感じです。

EP(V) PP(W) μ gm(μS)  rp(kΩ)

6240G 800 3 35 3500 10

6FQ7     330 4 20 2600 7.7

6SN7  300 2.5 20 2600 7.7

やはり,耐圧が800Vもあるのに驚かされます。 改めて調べてみると,6SN7より6FQ7の方が耐圧が高いんですね。特性はやはり同じですけど。

特性を比較しておきます。NECやSYLVANIAなどの規格表から手読みしてExcelでプロットしてみました。

6240G特性曲線.jpg 6240G 

6FQ7特性曲線.jpg 6FQ7

う~ん,確かによく似ているような気もするんですけどね......。

6240G, 6FQ7特性曲線.jpg6240G6FQ7

重ねて描いてみるとこんな感じです。何だ,やっぱりよく似ているじゃん,と思ってしまうのですが,よく見ると6FQ7の方が同じバイアスだと倍くらいの電流が流れます。 重なっている曲線の各バイアス電圧は6FQ76240Gの倍くらいの電圧です。

これはとりもなおさず,6240Gの方がgmが3割以上大きいためで,gm=IPECですから,バイアス電圧の変化に対してプレート電流の変化が大きいということで,6240Gの方がゲインが取れることがわかりますが,NFBをかけて使うので,それほど問題ではありません。やはり問題は耐圧と出力電圧です。

まず,真っ先にチェックしないといけないのがプレート損失。A3600は2段目のドライバはEP(プレート~カソード間)=265Vで,損失2.85Wですので問題ありません。

と言うことで次はいくら出力が取れるか,と言うことです。本来なら出力管同様,ここで特性曲線にロードラインを引いて,と言うところだと思います。

でも,iruchanはSpiceで真空管を使う方法を採りました。こちらはひずみ率まで計算してくれるのでとても助かります。昔はロードラインからひずみを読み取ったりしていましたけど......。先日の記事に書いたように,Spiceだとボタン1発でひずみ率が出てきますから,やはりSpiceは楽です。

おまけに,前回ご紹介した,Ayumiさんが6240GのSpiceモデルもご用意してくださっているので簡単です。

A3600 original driver.jpgオリジナル回路

先のMJ '83.2号で,森川氏は6FQ7を代用として使う場合として,共通カソード抵抗を10kΩにするよう,推奨されています。

A3600 driver(森川氏).jpg森川忠勇氏の改良

以上の回路でシミュレーションしてみます。いまはこんなことができちゃうんですね~~(^^;)。

オリジナルの回路と森川氏のモディフィケーションをシミュレーションしてみました。

A3600 original driver THD.jpgオリジナル回路 6240G

A3600 森川氏 driver THD.jpg 森川忠勇氏 6FQ7

6FQ7を使ってもオリジナルと遜色ないどころか,むしろひずみが少ないことがわかります。さすがは森川さん,ですね!! 

さて,オリジナルの状態で6FQ7を代用として使用する場合,森川氏の設計で共通カソード抵抗を10kΩとすればよいことがわかりました。もし,A3600をお持ちの場合,6240Gがない場合はこのように抵抗を1本(ステレオだと2本)交換するだけでOKです。

今回,iruchanはドライバは同じ6FQ7を使うつもりですが,B電圧が60Vほど下がっています。これで問題ないか,確認しておきます。 

A3600 driver(iruchan)1.jpg iruchan改造

実は,少し問題があることがわかりました。

やはりB電圧が下がったことにより,最大出力電圧が80VPくらいになってしまいました。これじゃ,8045Gがクリップする前にドライバがクリップしてしまっている,と言うことになります。まあ,クリップとは言っても,先ほども言いましたように,真空管じゃ本当に頭が平らになってクリップしちゃうわけじゃなく,ひずみが数%になって急上昇してくる,と言う程度なんですけど。

原因はドライバの6FQ7のプレート電圧不足か,と思い,6FQ7のプレート電源の電圧を上げてシミュレーションをしてみたら,全然出力電圧が変わりません。なんと,初段の6AQ8がクリップしていました。何のことはない,初段のプレート電圧が足りないんです。これなら簡単です。

と言う次第で,初段の電圧を少しupしてやりました。 クリップ時のドライバ出力電圧74.1Vrmsでした。ピーク電圧だと104.9VPなので,先ほど,8045Gの新しい動作点はEC=-85Vと決めましたから十分な値です。

A3600 iruchan driver THD.jpgiruchan mod 6FQ7

さて,以上でアンプのすべての回路の設計変更が済みましたので,実際に配線していきます。次回は調整編です。なんとか12月だし,完成したA3600でフルトヴェングラーの第九を聴きたいと思います。


LUXKIT A3600復活への道~その2・電源編~ [オーディオ]

2016年11月19日の日記

前回から1年も経ってしまいました。せっかく,貴重なアンプをいただいたのに申し訳ないことです。

実は少し悩んでおりました。

というのは,電源をどうしようか,と言うことなんです。 

LUXKITのA3600は出力管が8045Gで,最大出力50W×2という強力なアンプです。

ただ,そのためプレートには490Vもかけてあります。8045Gの最大定格は550Vなので,まあ,ぎりぎりというわけではないんですが,この球は寿命が短いことで知られていて,少し電圧を下げてやりたいと思っています。

ラックスの真空管アンプはどれも,設計上の問題としてB電圧が高すぎる,と思っています。少しでも出力を大きくしよう,と考えられたのでしょう。当時は真空管は消耗品で,寿命が来たら取り替えればいい,という時代でしたし,世の中何でも大きいことはいいことだ,と言うことからアンプも大出力のものが人気がありましたからしかたないですが,今だともっと寿命を考えた設計にしたいところです。実際,前回,修理した50C-A10PPのKMQ60は最大定格いっぱいの450Vをプレートにかけています。 これはギリギリ。NECの規格表を見てもEp=450Vの動作例は載っていないくらいです。iruchanも完成して電源を入れたとたん,内部で火花が飛んであわててスイッチを切った記憶があります。その50C-A10は新品でしたけど,新品でもこうなるんじゃ危ないと考え,結局,B電圧を50Vほど下げて使っています。詳しくはKMQ60の記事をご覧ください。

今回のA3600も電圧が高すぎ,次回ご報告しますが,"無線と実験" '83.2号に森川忠勇氏の記事があり,最大出力は公称50W×2ですが,実測66Wも出るようです。両ch.動作時でも62W×2のようです。こんなに大出力はいらない,と言う気もしますので,B電圧は50V程度,下げたいと思います。 

方法としてはいくつか考えられます。

① チョークインプット整流にする

② 抵抗またはコンデンサで電圧を下げる

③ トランスのタップ(1次 or 2次)を切り替える

④ Trによるリップルフィルタを使う 

⑤ 自己バイアスにする 

もちろん,もし,2次側のB巻線に低い電圧のタップが出ていればそれに切り替えればOKです。前回,修理したLUXKITの50C-A10PPのKMQ60はトランスの1次側に117Vの端子があったので,それを使ってB電圧を50Vほど下げています。

ところが,メーカ製真空管パワーアンプはこのようなタップがないことが多いのです。市販もされているトランスを使っているものはいいのですが,メーカ製のアンプの場合は最初から特注のトランスになっているので,あまりタップがありません。実際,KMQ60は後期型は1次側の117V端子がなくなっていて,この方法が使えません。A3600もタップは1次側も2次側も別のタップはなく,この方法が使えません。

②は普通にオームの法則で抵抗で電圧を下げればよいのですが,単純に抵抗でやるとかなりワット数の大きな抵抗となります。実際,A3600だとB電流は320mAなので,抵抗は160Ωほどですが,50V下げるとなると16Wもの熱を発生します。

これを避けるにはコンデンサを使う方法が有効で,下記のように使用するとコンデンサを抵抗の代用に使えます。ご存じの通り,コンデンサだと電流と電圧の位相が90゜ずれますので,理論上,発熱は0です。  

ACコンデンサ挿入1.jpg コンデンサによる電圧降下

もっとも,コンデンサも実際にはESRと呼ばれるわずかな抵抗分があり,電流を流して使用すると発熱するので,実際に電流を流して使用する場合には,最初から電流を流すことを想定して製造されている,AC用コンデンサを使用する必要があります。誘導電動機などの始動用に使われているものです。そのため,スターター用なんて書いてあることが多いです。また, 一般に,電子部品のお店で売られているコンデンサはDC用なので使えません。ご注意ください。

コンデンサによる電圧降下はi/2πfCで表されますが,残念ながら交流に対するもので,直流出力に対しては90゜位相がずれていますので,たとえば,50V低下させるからと言って,この式で50Vになればよいわけではありません。

なお,最近,これらのAC用のコンデンサを真空管アンプのフィルタ用として販売している店があるようです。フィルムコンなので,電解コンデンサより音がよい,と思われるからでしょう。

残念ながら,これらのAC用コンデンサを直流回路で使うことはできません。そもそも,AC用は交流回路専用で,直流に対しての耐圧が規定されていないためです。実際,AC用コンデンサには "AC 450V" とは書いてあっても, "DC ***V" という具合にDC電圧に対する耐圧は記載されていません。だから,そもそも直流回路での耐圧がわかりませんし,また,仮に直流回路で使用しても,メーカは責任を負いません,ということですので,実際にDC回路で使用する場合は自己責任,と言うことになります。もっとも,”AC***V DC○○○V" と言う具合に両論併記で書いてあればもちろんOKです。

なお,コンデンサの電圧の位相が-90゜であることを考慮して計算すれば必要な容量がわかりますが,実際にはSpiceでシミュレーションして決めました。シミュレーション上は15~25μFくらいであればよいとわかります。

ただ,AC用コンデンサは一般に経年変化と容量誤差を考慮してフィルムコンが使われるのですが,AC400V耐圧くらいで25μFものフィルムコンデンサは大きくなります。 前々回,KMQ60を修理したとき,15μFのコンデンサを使うと50V下げられるとわかったのですが,KMQ60はシャシー内のスペースが小さく,これですら収まらない状況でした。幸い,A3600は割にシャシー内にスペースがあるので何とかなりそうです。

⑤の自己バイアスはg1をグリッド抵抗を介して接地し,8045Gのカソード~GND間に620Ωの抵抗を挿入します。ただ,これも損失が15Wにもなります。余裕を見て20Wくらいの抵抗が必要で,やはり大きくなりますし,放熱のことも考えると結構面倒です。やはり,8045Gは固定バイアスで使うことが前提で設計されているようです。

①のチョークインプット整流は一番簡単で,発熱もないし,いい方法です。

チョークインプットはレギュレーションがいいことでも知られていますので,最大出力時の電圧降下を小さくできるのがメリットです。 

しかし,A3600をチョークインプット整流にするとハムが出る,と言う話を聞きました。実際,Spiceでシミュレーションしてみますと,ドライバ段のリップル電圧が300mVP-Pを超えます。B電圧も390Vと,少し下がりすぎ,という気がします。改造が少しで済むのでいい方法だと思うのですけどね.....。もっとも,球の寿命という観点からはこれくらい電圧を下げた方がよいと思いますけど。

ただ,チョークインプットはいい方法なんですが電圧が自由に決められないのがネックです。また,A3600は0.35Hという小さなインダクタンスのチョークコイルが使われていて,B電圧の降下は100Vほどで済むので電圧調整にはいいくらいですが,普通のアンプのように5Hくらいのインダクタンスを持っているものだと電圧降下が大きすぎ,B電圧は250Vくらいになってしまいます。

A3600はプッシュプルのアンプで,出力部に行くB電流はリップルがあっても出力トランスで打ち消されるので問題ありませんが,ドライバ段以前は抵抗結合のアンプなのでリップルの影響を受けますから,この電圧だとハムが出ると思います。

と言う次第で,もし,A3600でチョークインプット整流にする場合はドライバ部の電源フィルタを増強しないといけません。 ついでに,Spiceでシミュレーションしましたが,150μFくらいにするとオリジナルと同じリップル電圧となりました。

最後に,今回は使用しませんでしたが,6G-A4シングルアンプなどで使ったTrを使った④のリップルフィルタはベースに接続した抵抗の値による自由にB電圧を変化させることができますのでよい方法です。ただ,大出力パワーアンプだと制御Trの損失が大きくなりますので,やはり放熱には気をつかう必要があります。実際,今回は16Wもの熱を放熱する必要があるので見送りました。レギュレーションという観点では抵抗と違って非常に優れているのですが,熱については同じです。

以上を勘案し,結局,iruchanはコンデンサを使って電圧を下げる方法を採ることにしました。これならコンデンサの容量で自由にB電圧を設定できますし,リップルの点からも有利です。

さっそく,Spiceでシミュレーションしてみます。まずはオリジナルの状態から。

A3600 original電源回路.jpgオリジナルの電源部

A3600 original.jpg Spiceシミュレーション結果

回路図どおりの電圧となることがわかります。B電源のリップルは4VP-Pくらいで,ドライバ段は119mVP-Pでした。これを目標にします。なお,出力段はプッシュプルなので,シングルアンプならアウトですけど,これくらいのリップルは平気です。ちなみに米国製のアンプなんか,電源部のフィルタにチョークコイルを使っていないものがありますけど,それは出力段がプッシュプルだからです。

挿入するコンデンサは20μFとします。この場合,電圧は431Vで,ドライバ段のリップル電圧は111mVP-Pとなりました。B電圧を60Vほど下げられます。

A3600 20μF.jpg 挿入コンデンサ20μFのとき

ついでに,15μFとすると,もう少し電圧を下げられます。コンデンサのサイズも小さくて済みますので,15μFでもよいと思います。

A3600 15μF.jpg 15μFのとき

ついでにチョークインプットの場合も一応,検討してみます。

A3600 original電源回路(L input改造)1.jpg チョークインプット改造

B電圧は100V程度下げられますが,少し下げすぎ,という感じがします。出力は50W以下に低下するはずです。また,ドライバ段の出力電圧も小さくなっちゃいますので,アンプ部の変更も必要になります。

なお,ドライバ段のフィルタコンデンサを▲のように150μF以上にしないと,オリジナルのリップル電圧と同じになりません。フィルタコンデンサはオリジナルは47μFでしたから,チューブラの電解コンデンサを100~200μFくらい追加してください。

一応,iruchanはAC用コンデンサを挿入する方法としました。 これだと自由に電圧を決められますし,リップル電圧も問題ないようです。

さて,お次はこのコンデンサをどうやって入手するかなんですが.....。

普通に秋葉原を探してもAC用のコンデンサは入手しにくいと思います。また,RSコンポーネンツを探してみたのですが,どれも高いです。

結局,Amazonで買いました。なんでAmazonがこんなの売っとるんや~~!?

UXCELという会社が販売している,AC450V,20μFのポリプロピレンフィルムコンデンサにしました。値段は800円ほどでした。サイズは50×31×44mmです。A3600のシャシー高さは35mmでしたから,中に入ることがわかります。

20μFAC用フィルムコン.jpg SENJUって!?

どうにも日本製みたいなブランド名をつけた,あやしげなブランドの中国製コンデンサですが,作りはとてもしっかりしていて,エポキシ樹脂で固められていて信頼性は高そうです。 

ちなみにフィルムコンデンサは何種類もありますが,普通に入手できるものは大体2種類です。ポリプロピレンフィルムを使ったもの高級品です。そのほか,よくマイラーコンデンサと言われるのはPET樹脂を使っていて,安価なコンデンサです。高信頼のフィルムコンはポリプロピレンを使っています。 

本来は進相コンデンサと呼ばれるもので,誘導モータの始動用です。誘導モータは3相交流のものは自動的に回転磁界ができるので不要ですが,単相の誘導モータの場合はこのコンデンサを使って90゜位相の進んだ電流を作って別の巻線で磁界を生じさせて回転磁界を作ります。起動時のみ必要なので,始動用コンデンサとも言いますが,一般的に始動後も切り離さず,つけっぱなしにしています。数年前,古い扇風機が発火する事故が相次ぎましたが,このコンデンサの劣化が原因です。長年の使用で液漏れしてESRが増大し,発熱したんです。もし,ご使用の扇風機が回らないとか,回転数が低くなった,と言う場合は使用を中止してください。

もともとモータの始動用なので電流を流して使用するのが前提のコンデンサなので,問題ないと思います。Amazonのは洗濯機用と書いてありました。もう,国産の洗濯機はインバータ式なので進相コンデンサは使用してないと思いますけどね。

さて,以上で電源部の設計ができましたので,実際に配線していきます。まずは古い部品の交換から。

電源部 前.jpg B電源の整流Di。オリジン製RA-1

なぜか前回修理した,同じラックスキットのKMQ60でもそうでしたが,古いシリコンDiのリード線は真っ黒になってしまいますね。表面の銀メッキが空気中の硫黄分と反応して硫化銀になるからですが,特に整流用のダイオードはひどいです。 通常は問題にならないと考えていたのですが,三菱のオーディオ用で有名なデュアルの2SA798や,BCLラジオなどに多用されている2SC710などはノイズの原因になるようです。どうも硫化銀がチップ表面まで侵食するようです。

こういう問題があるので表面の銀メッキというのは廃れてしまい,今ではあまりやっていないと思うのですが,どうも整流用ダイオードだけはやっているようですね。もっとも,Trや抵抗などに使われているスズメッキというのも要注意で,これはウィスカとよばれる樹脂状の再結晶が成長して隣の電極とショートしたりする故障が出ますので,問題になっています。昔は少し鉛を加えるとウィスカを抑えられたのでよかったらしいのですが,最近のRoHS指令などで鉛が使えなくなってまたウィスカの問題が出てきています。 

A3600 電源部改良後.jpg 電源部改良後

ブリッジになっているDiをトランスのピンひとつずらして取り付け,部にコンデンサを挿入しました。

使ったのはGeneral Semiconductor(今はVishayのようです)のUF5408です。1kV,3Aで,trr=75nsという優れものです。 やはりファーストリカバリはノイズも少なく,オーディオ用には最適だと思います。なお,ファーストリカバリDiは通常のシリコンDiと違って,若干,順方向電圧が大きめで,発熱が大きくなりますので注意してください。今回のアンプだと負荷電流は0.3Aくらいですが,規格表を見ると,このとき,順方向電圧は0.9Vくらいになりますので,放熱には留意することが必要です。リードを長めに切り,トランスからは浮かせて配置するようにしてください。

また,バイアス設定用およびバランス調整用の半固定抵抗は普通の小型のボリウムが使われていましたので,どちらもコパルのRJ13Bに交換しました。500円もする高価なものですけど,アンプの安全を考えたら安いものです。

RJ13半固定.jpg 半固定抵抗(左:RJ13B,右:オリジナル) 

さて,次はB電圧降下用のコンデンサを追加します。非常にサイズが大きいので苦労しますが,なんとかOPTの隣にスペースがあるのでそこに設置しました。

コンデンサ設置位置.jpg OPTの横に置きました。 

端子部,入力VR.jpg 入力端子は錆びちゃってます

ついでに,入力のRCA端子と音量設定のボリウムを交換しました。

入力端子はKMQ60などだと秋葉でも売られている2Pの端子ですが,A3600はちょっと特殊な端子なので,アルミ板で自作しました。ついでに,黒く塗りました。ボリウムは信頼性の高いJIS規格のRV24YNを使います。 

RCAジャック.jpg アルミ板で固定します。

端子部,入力VR(改良後).jpg 取替後です。

次はアンプ部を修復したいと思います。 B電圧が60Vほど下がりますので,8045Gの出力がどれくらいになるか,事前に検討しておきましょう。また,電圧増幅段も再度,定数の変更を含めて検討が必要です。また,オリジナルの6240Gの代わりに6FQ7を使用したドライバ段の修正についても検討したいと思います。