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モトローラMC13028を使ったAMステレオデコーダの製作 [ラジオ]

2014年8月23日の日記

MC13028A1.jpg モトローラ最後のAMステレオデコーダMC13028です。

モトローラが開発したMC13028を使ったAMステレオのデコーダを作ることにしました。AMステレオはAMラジオの音質改善につながる画期的な技術だったと思いますが,セットの普及が進まず,放送開始から20年を経過して放送終了が近い感じで,非常に残念です。

私の住んでいる地域ではまだ聞くことができますので,今のうちにラジオを作っておこうと思います。

今まで,MC13020を使ったラジオ東芝のTA-8124Pを使ったチューナを作っていますが,モトローラが最後に作ったMC13028を使ったものはまだ作ったことがありません。MC13028は主としてカーラジオやポータブルラジオ用に作られたものと思われますが,幅広い電源電圧に対応し,また,AMステレオに必要なPLLのロックも容易で,とても使いやすいICです。もっとも,高級なHiFiチューナ用にはMC13022が用意されていたので,せっかくオークションで入手した国産某社のチューナにMC13028が使われているのを見たとき,がっかりしました。あとで新品で購入した社の高級チューナにはMC13022が使われていました。

ただ,自作することを考えるとMC13028は外付け部品も少なく,また,調整箇所がないのはほかのICと同じですが,PLLのロックがしやすく,使いやすいICだと思います。

MC13028 AMS decoder.jpg回路図。クリックで拡大します。 

しかしながら,私が入手したのはMC13028ADで,表面実装タイプです。DIPタイプのMC13028APは入手が難しいと思います。 基板もとても小さく作れますが,さすがに表面実装タイプだとハンダ付けが面倒そうです。

仕方ないので,いつも通り "花子" でパターンを作り,OHPシートに印刷して感光基板を作りました。

表面実装のハンダ付けパターンを作って画面上に配置していきます。花子にはグリッドという機能がありますし,単位もインチに変換できますので,0.1インチピッチ(2.54mm)でグリッドを描画すると部品の配置がやりやすいです。ちなみに,DIPだと0.1インチピッチですが,SMDだとその半分の0.05インチピッチです......orz。 

基板作成画面.jpg PCでパターンを作ります。

     画面のグリッドピッチは0.1インチに設定してあります。 

プリントパターンチェック.jpg 一度,紙に印刷してチェックします 

0.001μF(1608size).jpg こんなのどうやってハンダ付けしろって言うの~~っ!

今回,ICがSMDなので,ほかのCR部品もチップ部品にしました。3216サイズ(3.2×1.6mm)や2012サイズ(2.0×1.2mm)だと割に楽ですが,最近は1608サイズ(1.6×0.8mm)のものしか売っていません。 幸い,コンデンサも0.001μFが20個で100円とか,値段が安いので助かりますが,しかし,吹けば飛ぶようなもので,くしゃみすれば一瞬にして終わり....です。そのうち,SMDの部品も花粉みたいに小さくなると思います。春になると中国からチップ部品が風に乗って飛んできたりして......。怖っ!

MC13028A PCB2.jpg 基板ができました。基板サイズは32mm×32mmです。

ハンダ付けは大変で,ピンセットで部品を押さえながらIC用のハンダごてでハンダ付けしますが,やはり専用のピッチ部品用のコテが必要な感じです。ハンダも,通常のヤニ入りのハンダではヤニが多すぎて,いわゆる "テンプラ" ハンダになりやすいので注意が必要です。結局,私は鉄道模型マニアでもあるので,フラックスとして塩化亜鉛を持っているので少し基板に塗りました。塩化亜鉛はハンダのヤニと違ってできるだけ薄く広がるように作用するので,SMDの部品のハンダ付けにはもってこいだと思います。楽にハンダ付けできます。ただ,あとでパターンを腐食する可能性がありますので,完成後,きれいに水洗いしておきました。

MC13028A PCB.jpg  と言って何とかできました.....。

青い部品が3.6MHzのセラミック共振子(ムラタの商品名でセラロック)です。 10μFや47μFは電解コンデンサを使いましたが,実は,セラミックでこの容量のものがあります。あまりにサイズが小さいのと,やはりこれくらいの容量のものだと電解コンというイメージなので,電解にしましたが,ちょっとこれだけの大容量でセラミックとは驚きます。技術が進歩しているでしょうけどね....。すごく違和感があります。

MC13028A test.jpg テストの様子

自作のラジオからIFを取り出してつないでみます。IFは3.6MHzのセラロックを使ったので450kHzにしておかないといけませんが,私はトランジスタやICの自作ラジオはIFは450kHzで作ることにしているので問題ありません。

さて,無事にデコーダができました。これを何に組み込むことにしましょうか.....。

MC13028A PCB1.jpg ステレオLEDも点灯しました。 

【ソニー SRF-18の紹介】

sony SRF-18.jpg ソニーSRF-18

実はこのラジオにデコーダを組み込むつもりでした。

Amazonで本やラジオを買ったりするので,おすすめの商品としてこれが出ていました。2つのスピーカがついたアナログチューニングのAM/FM 2バンドラジオです。今どき,アナログチューニングというのは珍しいですし,なかなかデザインもよいです。それに,使ってみるとAM,FMともに感度がよく,同調LEDもついていて便利です。スピーカがついていますが,さすがに口径が小さいので,低音があまり出ないのでそこそこの音質でしかありませんが,なかなか高音もよく伸びて音もよいです。それと,もう一つ,このラジオのよいのは外部入力がついていることで,ここにスマホやウォークマンを接続するとスピーカから音が出ます。まあ,口径が小さいので,たいした音で聞けませんが,私のようにラジオの実験をしたりする人にはモニタ用のアンプと考えてもいいですし,なかなか使い勝手がよいです。

さすがにもうAMステレオの時代じゃないので,FMはステレオですが,AMはモノラルです。これにデコーダを接続してAMステレオ対応にしようと考えました。

sony SRF-18-1.jpg 大きなバーアンテナが使われています。

AMの感度がよいのはこのように大きなバーアンテナが使われているせいですね。意外にこの辺がお粗末で筐体は大きいのにバーアンテナは小さいのしか入ってなくてAMの感度が足りないラジオが多いのですが,ちゃんと気を配っているのはさすがはソニーさん,と言う気がします。

ただ,どこを見てもAMのIFTやセラミックフィルタが見つかりません。いやな予感がします....。

sony SRF-18-2.jpg 基板の裏側

ICは基板の裏側についています。ソニー製のCXA1129NとA1522という型番が見えます。後者はCXA1522でしょう。

ネットで調べてみるとCXA1129Nはラジオ用のICですが,AMのIFは内部で検波段に接続され,外部へ取り出されていません。こういうICは結構多く,このようなICはAMステレオのデコーダが接続できません。

と言う次第で,残念ながらAMステレオ改造は無理です。改造は可能だと思ったんですけどね....。しかたないので,音のよいラジオと言うことで使わせていただきます。


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ソニーAMステレオラジオ SRF-A100~FMバンド変更~ [ラジオ]

2014年5月13日の日記

昨年,eBayでソニーが1983年に米国で発売したSRF-A100というラジオを落札しました。前回はラジオの紹介だけでしたが,今回は整備します。1年も放ったらかしにしてしまいましたが,せっかくのAMステレオが聴けるラジオですしね。

1982年,米国でAMステレオの放送が開始され,その放送が聴けるラジオとして最初にソニーが発売したラジオです。米国ではAMステレオの方式は5方式が乱立することとなったため,側面に切り替えスイッチがあります。その後,カナダやメキシコでもAMステレオ放送が開始されましたので,これらの国でも発売されています。また,豪州向けにSRF-A200というラジオがあったようですが,見たことがありません。外観はA100とほとんど同じらしく,豪州はモトローラ方式オンリーだったので側面の方式切り替えスイッチがないだけだと思います。

10年後,日本でもAMステレオ放送が始まりますが,そのときに発売されたのはSRF-A300というラジオでした。A100よりずっと大きく,また筐体だけではなく,ツマミ類も大きく,高齢者向けということもあったように思います。正直なところ,A100の国内向けを発売してほしかったと思いますが,A100は多方式対応で日本向けとしてはコスト高になりますし,すでに発売から10年を経過し,新しく設計しなおそう,ということだったのだと思います。

という次第で,貴重なラジオですし,きちんと清掃して整備したいと思います。

やはり問題はFM。AMステレオは日本は米国と同じモトローラ方式なので問題ありませんが,FM放送までも日本はガラパゴス化? していて,バンドが世界標準の88~108MHzとは異なりますので,バンド変更が必要となります。 何でこうなのか,というと90~108MHzにアナログTVの1~3ch.があったためです。そのさらに上の周波数にもとは米軍向けの周波数帯があり,そのせいでTVも含め全体に下の方にずれていました。そういえば,TV放送も1953年の放送開始当初は1~6ch.しかなかったのも米軍が使用している帯域が開放されていなかったためです。

さて,このラジオのバンド変更については,比較的楽です。裏ぶたも簡単に開けられます。

SRF-A100裏ぶた.jpg 6カ所のねじを外します

例によってバリコンのFM局発用端子を探します。

SRF-A100内部.jpg 

内部です。バリコンは基板中央上部にあります。ICはAMステレオデコード用のCXA1017Mと思います。

FMの局発はバリコンの6個ある端子のうちの1つですが,幸い,基板上に "FM OSC" と書いてありますのですぐにわかりました。トリマは普通は端子と反対側にありますが,これもちゃんと基板上に穴を開けて顔を出していて,とても調整しやすいラジオだと思います。

という次第なので,本格的にトラッキング調整をして76~90MHzの日本バンドに変更することも簡単なのですが,後で述べる理由もあり,いつものコンデンサパラ付けで対処することにしました。これだとすぐに元に戻せますしね。 

SRF-A100 15pF.jpg ここに15pFをパラにします

FMの局発周波数は米国の場合,98.7~118.7MHzになっていますので,これを86.7~100.7MHzに変更できれば日本の放送が受信できます。本当なら日本のFMラジオは下側ヘテロダインなので65.3~79.7MHzにしないといけないのですが,こうするときちんとトラッキング調整をしないといけないので,上側ヘテロダインでごまかしてしまいます。世界的なFMラジオは上側ヘテロダインですし,もうアナログTVは放送していないので問題ないと思います。

局発の周波数を13MHzほど下げればよいので,局発のバリコンに単純に15pFをパラにハンダ付けしました。本当いうと13pFくらいの方がよいようですが,77.8MHzの局が入ったのでよしとしました。

ようやくこれで日本のFMが聞けるようになりました。外国向けラジオの例に漏れず,音もよく,なかなかいいラジオだと思います。

SRF-A100外観.jpg FMも聞けてゴキゲンです。

ところで,最近,驚いたのですが,AM局が戦後の民放開始時に建設された送信アンテナなどの放送設備の償却が終わるのと,都会のマンションなどで聞くことができなくなっているため,FMへの移行を検討している,というニュースが出ています。総務省も震災後の電波メディアの存続を図るため,推進の意向らしいです。確かに,鉄筋で囲まれたマンションだとAMラジオは聴けませんし,家中インバータやスイッチング電源だらけ,という現状ではノイズだらけでAMラジオは聞くのが難しいので,個人的にFMでも聞けるというのはうれしく思っています。

そういえば,1970年代にアジア各国でAM局の混信が問題になったとき,先進国はFMへ移行しよう,などという話があり,その時は結局アジア地域はAMを9kHzピッチにしてチャンネルを確保することで決着して先進国のAM局は維持され,実際に1978年に移行していますが,どうもまたその話がでてきたか,と言う気がします。また,DAB(デジタルラジオ)の普及を図るため,英国では2015年には全面的にデジタルラジオに移行することが決まっていましたが,業界の反対もあり,多少延期されるようです。幸い? 日本ではデジタルラジオへの移行はまったく不透明で,民放各局も広告収入が伸び悩んでいるのに巨額の投資が必要でどの局も及び腰なので,近くデジタルラジオについては移行を断念するという声明が民放連からも出るようです。

まあ,これはこれで世界の大勢と帝國の現状? を考えると逆行しているという気もして残念なのですが.....。 

それと,先の朝日新聞の記事を見ると,AM局とサイマル放送する中継局は90~108MHz帯とのこと。何でこんなことするんでしょうか。要はアナログTVの1~3ch.が放送終了し,電波が空いたから,ということなんでしょうが,今のFMラジオで聴けない放送なんて意味があるのでしょうか。AM局を防災用として維持する,というんだったら通常の76~90MHz帯に置局すべきではないかと思います。そもそも,今時,新しいバンドのラジオをソニーさんやPanasonicさんが作ってくれるとでも思っているのでしょうか。

このSRF-A100はこのバンドが聴けるラジオなので,トラッキング調整でバンド変更せず,コンデンサでごまかしたのはこのコンデンサを撤去するともとのバンドに戻せるからです。 

昔は "TVが聴ける" といって,76~108MHzというバンドを持ったラジオがありました。ソニーのAMステレオのついたSRF-AX51VなんてラジオにいたってはTVのハイチャンネル(170~222MHz)まで聞けるようになっていました。今時もうこんなラジオはありません。FMの新バンドのラジオを作ってくれないと,AM局が聴けないなんて,おかしいと思いませんか総務省さん。 


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英Roberts社製Revival 200ラジオのFMバンド変更 [ラジオ]

2014年5月10日の日記

R200 exterior.jpg Roberts revival 200 radio

嫁さんがラジオを聞きたい,というので実家においてあった英Roberts社のラジオを持って帰ってきました。このラジオ,20年ほど前に最初にロンドンへ行ったとき,トッテナムコートロードの電器屋で買ってきた記憶があります。

ラジオが好きなので,海外へ行ったとき,電器屋へ行って,ラジオを買ってくることがあります。海外のラジオはデザインがいいですからね。もっとも,実際に日本に持って帰って使えるかどうか,というのは大きな問題で,FMはまず無理です。というのも世界的にFMのバンドは88~108MHzであり,日本の76~90MHzというバンドと異なるためです。ちょっと前までならアナログTVの1ch.~3ch.を聞くことができましたが,今ではこれすらできませんね。 それに,一応,88MHz~90MHzの範囲なら日本のFMバンドと重なっているのでこのあたりにある局なら聞くことができますが,FMのIFが10.7MHzなので,特にTVの1ch.があったところではIFによるイメージ妨害が出る関係でこれくらいの周波数にFM局があるところはほとんどないと思います。これを避けるため,日本ではFMラジオは下側ヘテロダインになっているのですが,まあ,日本のFMは全然多局化してなかったので,無理に問題が出そうな周波数を選ばなくても,ということもあったのだと思います。

また,海外のラジオの場合,AMも問題があり,欧州は日本と同じ9kHzステップなので問題ないですが,北米地域は10kHzステップなのでPLLシンセサイザ(いわゆるボタン式)のものは日本では微妙に周波数がずれて聞きにくいです。 

ということでアナログ式のものならなんとかAMだけは日本では聞くことができます。もちろん,電源がAC電源の場合は電圧の変換やプラグの変換が必要となります。

さて,このRobertsのラジオは,という次第でもちろんアナログチューニングのもので,デザインもいいので買ってきました。

Robertsという会社は1932年創業の英国のポータブルラジオの名門で,現在でも存続しています。ホームページをみると今でもたくさんのラジオを作っています。ラジオ専業でありながらいまも存続しているということはそれなりに利益を上げているわけですし,欧州ではまだラジオの存在感が高いのでしょう。また,今ではデジタルラジオ(DAB)のラジオをも作っています。日本ではデジタルラジオの将来は混沌としており,いまだに本放送の時期は未定です。自作派としてはアナログのFMが存続してくれないと困るので都合がよいのですが,高音質のデジタルラジオがスタートしないのはちょっと残念な気がします。もっとも,英国の場合も2015年に完全にデジタル放送に移行する予定でしたが,業界の反対もあり,2018年に延期されたようです。

このラジオはrevival 200という型名で,もとは同社が戦後発売した2バンド(中波,長波)トランジスタラジオR200の復刻版です。さらにさかのぼると同様のデザインで真空管式のものがあります。オリジナルのR200は1961年に発売されていて,MullardのゲルマニウムTrOC44OC45を使っています。出力はOC78のプッシュプルです。 これらのMullardの初期のTrはガラス封じの頭が丸いTrで,とてもかっこうよいものです。以前,これらを使って6石のスーパーラジオを作りました。また,後期のものはシリコン化され,AF115AC127といったTrが使われています。よほどこのラジオは人気があったのか,ICを使って復刻版が出て,今ではDABのバンドをつけて4バンドラジオになってR250という型番で売られているようです。私が買ったのはまだデジタルラジオなんて影も形もなかった頃のものなので,FM付の3バンドラジオ(中波,長波,FM)となっています。中は日本製のケミコンが使われていたり,基板は日本製かもしれません。ICを使っていて,ラジオICは東芝のTA8117Nを使っていました。残念ながら,TA8122類似のAM/FMチューナICということがわかりますが,規格表を見つけることができませんでした。

こういう古いデザインを大事にするのはイギリスだな~と感心します。今でも人気があるからなのでしょうが,こういった古いデザインのラジオを復刻するあたり,古いものを大事にする国民性には敬意を払いたいと思います。 

何よりデザインもいいですが,音がよく,AMはとてもAMとは思えないいい音がします。実は,米国製もそうですが,海外のラジオはとても音がよいです。日本はアジア近隣の強力局の妨害を避けるため,極端に狭帯域になったラジオが多く,音が悪くて困ります。それにスピーカも小さく,これじゃニュースを聞くのがやっと,という音質のラジオが多いのは残念です。Robertsのラジオは筐体も大きいし,スピーカはアルニコをおごっていて,とても音がよいです。ただ,残念ながら上記のような理由でFMが聞けません。また,長波はアジア地域では放送されていないので,これも聞くことができません。ただ,ロシア語の放送が入りますので,調べてみるとハバロフスクあたりに長波局があるようです。

欧米のラジオは音もよく,また,欧州のものはこのRobertsのラジオのように筐体が大きく,据置型というような感じのものも多いです。日本は小さくしすぎた,という感じがします。これじゃあまり大きなスピーカが使えないし,音もキャン,キャンと低音が出ず,いい音がしませんね。これはどう言ったところからくるのでしょうか。

日本では所詮ラジオ,という考え方があるようで,ラジオは小型で持ち運びができればよい,ということなんでしょうね。おそらく日本はラジオデイズだった時代が短く,おまけに戦前は官製メディアしかなく,ウソの情報を流したり,政府のプロパガンダに利用されたり,戦後はしばらくしてTV放送が始まったのでラジオが国民の友という意識が低かったためではないか,という気がします。欧米では国王や大統領が直接メディアを通じて国民に話しかけたりすることが多く,ラジオというメディアの地位も非常に高かったので,リスナーのラジオの品質に対する要求が厳しいのだと思います。 ルーズベルト大統領の "Fireside chat" は有名ですし,最近,BSでやっていましたが,映画 "英国王のスピーチ" で,吃音障害のあった英国のジョージ6世が1939年9月3日,対独開戦に際して国民に団結を呼びかけたラジオ放送はとても感動的でした。おそらくたくさんの人がRobertsのラジオでこの放送を聞いたことと思います。

R200 dial.jpg 長波のバンドがあります 

ということで,ちょっと脱線してしまいましたが,やっぱりFMが聞けないのは残念なので,バンド変更を試みます。

R200 inside.jpg 中身です。SPはアルニコです。

電池交換が容易になるよう,裏ぶたが簡単に開く構造になっています。これはオリジナルがバッテリー式の真空管ラジオだったため,A電池やB電池が必要で,その交換が頻繁だったためのようです。基板は裏側になっているので詳しい状況がわかりません....。

ちなみに本機は9Vの電池仕様ですが,英国はPP9という巨大な9Vの電池があり,買ってきたときについていた電池にはびっくりさせられました。スーパーで売っているような小型の豆腐くらいのサイズがあります。今でも売っているようで,また買ってみたいと思います。 日本では売っていないので,006P用に改造してあります。

ただ,残念ながら基板を引っ張り出そうとするとダイヤルの糸が切れそうで,うっかり切ってしまうと後が大変ですから,無理せず,このままの状態でバンド変更できないかと考えました。幸い,▲のように,基板のハンダ面が見えていますので何とかなりそうです。 

国外バンドのFMを変更するにはもちろん,FMの局発のトラッキング調整をすればよいのですが,かなり面倒です。特にFMの場合は空芯コイルになっているので,ドライバーで広げたりして調整しないといけませんし,うっかり変な調整をしてしまうともう元に戻せなくなります。

という次第で,簡単にやる方法として,バリコンの局発側にパラに小さなセラミックコンデンサを配線する方法をとっています。詳しくは私のブログをご覧ください。

ちょっと面倒でしたが,多バンド用バリコンのFM局発用端子を見つけたので,パラに15pFをハンダ付けしました。

capacitor.jpg こんな感じです

無事にNHK FMが入りました。近隣の民放FMも全部入りましたのでOKとしました。本当ならアンテナ入力側の同調回路を調整しないといけませんが,FM帯ではQが低く,特に調整しなくてもよいと思います。また,アンテナ入力回路にバンドパスフィルタが入っていることが多く,本機も松下のPFW84を使っていました。本来ならこれの交換が必要ですが,残念ながら部品屋さんで売っていないのでこれもしてません。あと,米国の場合,プリエンファシスの時定数75μsecなので異なりますが,欧州は日本と同じ50μsecなので問題ありません。米国製のもHiFiのステレオチューナでもなければしなくても,いいでしょう。とても音がよく,デザインもいいので嫁さんも気に入ってくれました。


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日立プラズマTVの修理 [ラジオ]

2014年4月27日の日記

いよいよゴールデンウィークですね。残念ながら仕事が忙しく,どこへも出かけることができません。

そこで,ちょっとたまったビデオでも見ようかとTVをつけると,電源が入らず,画面が出てきません。そろそろ寿命でしょうか。

このTVはW37P-H9000という型番の日立製プラズマTV で,もう,日立はプラズマTVは作っていません。最後まで頑張っていたPanasonicもやはり路線修正でプラズマTVの製造を取りやめると発表したばかりです。 

我が家が地デジに移行するとき,液晶にするか,プラズマにするか迷いましたが,やはり自発光しない素子はダメ,と考えてプラズマにしました。液晶は要は影画で,後ろから白い光を当てて色のついたフィルタで色をつけているようなもので,どうしても黒い部分は少し明るくなり,コントラストをあげようとすると余計に黒い部分が明るくなる,という具合で,あまり映像がきれいではありません。 実際,パソコンの画面なども部屋の灯りを全部消して真っ暗にして黒い部分を観察するとかなり明るく光っているのがわかると思います。これが嫌でプラズマにしました。プラズマTVは画素そのものが光るため,黒い部分は真っ黒です。それに,液晶だと視野角の問題があり,横から見ると色がおかしくなるとか,画が見えなくなるとか,いやな現象がありました。

ところが,液晶の技術も進み,こういった問題は解決されたと言っていいと思いますし,プラズマTV自体のコスト高の方は改善されず,液晶の方が断然,TVセット自体の価格も安くなって差が開く一方であったことから富士通や,それこそプラズマTVのパイオニアでもあったパイオニアが撤退し,日立も2008年度に撤退しました。42インチの液晶TVが3万円ほどで売られているような現状ではしかたないでしょう。それに,その3万円の液晶TVも,私のプラズマTVと比べてみると,そっちの方が画がきれい,という状況ではどうしようもありません。

そのほか,FED(電界放出ディスプレイ)をソニーが,その一種のSEDをキヤノンが開発しようとしていましたが,商品化していません。これらはプラズマTVと同じく,自発光する素子だったので期待していましたが,韓台勢の液晶価格攻勢に太刀打ちできませんでした。

しかし,液晶の天下もあと何年,と言うところですね。早く有機ELのパネルを使ったTVが実用化されてほしいと思います。これが薄型TVの本命でしょう。 

ということで,我が家のTVは今は貴重となってしまったプラズマTVなので,もう少し頑張ってもらいたいと思いました。なにより,貴重なMade in Japanですしね。しかし,嫁はんがTVの買い換えに賛成してくれませんでした。それに,そもそも液晶じゃなくてプラズマ,と主張したのは私でしたしね.....orz。

さて,現象です。

リモコンで電源のボタンを押すと,本体のLEDが赤から緑に変わり,数秒すると画が出てくるのですが,LEDが赤のままで,緑に変わらず,また,画も出てきません。そのうち,LEDも消灯してしまいます。 最初はマイコンが誤動作し,電源を切ってしまうのだ,と思い,TV本体の電源ボタンを入切するとまたちゃんと映るのでしばらくはこうしていました。

ところが,そのうち,全く映らなくなってしまいました。となるとやはり電源の問題ですね。

すぐにピンときました。プラズマTVは発熱がひどく,実際,TVの天板? 部分に手をかざすと夏はもうっと熱気がくるくらいなので,おそらく,ケミコン(電解コンデンサ)が熱で劣化して容量抜けしているのだと思いました。結構,プラズマTVのケミコンを交換した,という話も聞きますしね。

ということで,修理に出そうかと思ったのですが,やはり何日か修理にかかりそうですし,お金も結構かかると思いました。じゃ,自分で交換しようかと考えました。

といって,闇雲にコンデンサを交換するのは面倒です。なにか,ピンポイントでこのコンデンサ取り替え,という具合に一発で修理がすむようにしないと大変です。

それでネットで調べてみると日立のこのプラズマTVの同じ現象で悩んでいる人は多いようで, ブログにも書いている人がいるようです。結局,どのコンデンサかわかりました。

という次第でTVの裏ぶたを外します。感電する危険性があるので,必ずプラグを抜いておき,しばらく放置してからにします。ケミコンに電荷がチャージされていますので,十分ご注意ください。 

あまりにも裏ぶたを留めているねじの数が多いのに閉口します。TV台に固定する部分は六角穴つきボルトなので,六角レンチも必要です。

W37P-H9000内部.jpg 内部 

内部に何枚もの基板がありますが,原因は中央の上部分にあるスイッチング電源です。コネクタの電線を外し,固定しているねじを外し,また,ピン留めされているので,白いピンをラジオペンチでつぶすようにして基板を外します。 

基板(コンデンサ交換前).jpg もとの基板

この現象は中央下の450V,47μFのコンデンサが原因のようです。これが容量抜けして電源が立ち上がらなくなるようです。

また,そのすぐ下に1kV,1000pFのセラミックコンデンサがありますが,日立に連絡するとこのコンデンサを取り替えるようです。どうもリコールのようなことになっているのか,場合によっては無償で交換してくれるようです。

ただ,あまりセラミックコンデンサが容量抜けしたり,耐圧が足りなくて壊れた,なんて経験はありません。ラジオでも結構真空管ラジオだと高圧がかかりますが,耐圧不足で壊れたりしたことはありませんし,相当古いラジオでも容量を量ってみるとちゃんともとの容量があったりしますので,セラミックコンデンサが原因とは考えにくいのですが,念のため,交換しておきます。

C131.jpg C131セラミックコンデンサ(左:オリジナル,右:交換用)

capacitor.jpg 容量はちゃんと表記通りありました。

基板上にC131と表示があるコンデンサです。青色の高圧用セラミックコンデンサです。 耐圧不足で壊れたと思われますので,耐圧3kVのものに交換しました。耐圧が高いと大きくなるのはやむを得ません。ただ,テスターで容量を計ってみますと1015pFあり,表記通りです。絶縁破壊すると容量が出ないと思いますので,やはりこのコンデンサは壊れていないようです。 

そのほか,上の方に2つある,450V,270μFの電解コンデンサも天井部分が膨らんでいて,内部の液体が気化して圧力が高くなった形跡があります。最悪,この天板が破れて破裂し,ブシューッと音がして煙が出る,という状況になります(ふなっしーかよ)。

一応,ケミコンは防爆弁がついていて,内部が高い圧力になるとこれが破れて割におとなしく破裂するはずですが,昔のケミコンや今でも出来の悪いケミコンは大音響とともにものすごい勢いで破裂しますので,ご注意ください。 

当然,容量も抜けていると思われますので,これも交換しておきます。すぐ下に放熱器が見えるので,熱であぶられている状態なのでしょう。

450V, 270μF.jpg 左:オリジナル,右:交換用

メーカは左は日ケミ,右はニチコンでした。高さが違うので要注意ですが,裏ぶたにつかえたりするようなことはありませんでした。 

右上に頭に●がついているコンデンサがあり,これも頭が膨らんでいます。100V,3300μFの電解コンですが,秋葉で3,000円以上するので交換はあきらめました。

基板(コンデンサ交換後).jpg コンデンサを交換しました。

あと,元通り配線を取りつけて裏ぶたを固定して終わりです。無事にLEDも緑に変わり,画が出るようになりました。パチ,パチ.....。

combat1.jpg 何を見とるんじゃ....。(2006年7月)

我が家にこのプラズマTVが来た頃の写真がありました。この子は小三になりました。 画面右上にBS2とあるのも時代を感じさせますね。 "コンバット" を見てます。昔,よく見てたな~。TVも昔は白黒だったなんて覚えている人はもう少ないでしょう。そのうちカラーTVが普及してきますが,番組自体,白黒の放送も多く,「この番組は白黒です。」なんてキャプションが出ることも多かったですね。当時のカラーTVは真空管式で故障が多く,「俺の家はカラーにしたけど,今,白黒で放送しているのか? 」と放送局に問い合わせが来るためだったのだと思います。このコンバットも後のシリーズでカラーになりました。私はサンダース軍曹のファンでした。ヴィック・モローはその後,映画撮影中の事故で亡くなりました。そのときの夕刊の記事を今も覚えています。

2014年6月7日追記

残念ながら,せっかく直ったと思ったのにまた同じ現象が出ました。放っておくとひどくなり,電源が入らなくなります。

さんざん調べてみるとコンデンサをさらに追加しないといけないようです。

基板裏のこの場所に2kV47pFを追加します。修理マニュアルにあるようです。残念ながら47pFがなかったので,27pFをパラに配線しました。そもそも,DIPのピン間隔(2.54mm)のところに耐圧2kVのコンデンサをハンダ付けするというのは絶縁離隔の点から変で,こんな電圧はかかってないやろ,と言う気がしますが,一応,指示の通りハンダ付けします。

基板裏コンデンサ.jpg のところにハンダ付けします

基板裏コンデンサ1.jpg ここです。

こうすると完璧にこの現象が出なくなりました。何でか,よくわかりませんが。おそらく,サージ電圧を吸収するのだと思います。電源を入れてしばらくするとキューッとと言う甲高い音がかすかにして何か発振しているのがわかりますが,このコンデンサをつけると発振音がするまで時間が長くなるので,なにか立ち上がりを遅くする作用があるようです。

 


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大人の科学 パタパタ電波時計の製作 [ラジオ]

2013年10月20日の日記

前回,自作のニキシー管時計について書きましたが,先週,大人の科学 vol.38 "パタパタ電波時計" を作りました。パタパタと駅の電車の行先表示(あれは正式には "発車標" というのだそうです)みたいな表示方式のデジタル時計というのがかつてありました。懐かしくなってこれも作ってしまいました。電波時計にもなっているので時間は正確です。

パタパタ時計3.jpg 大人の科学vol.38

内部はPICを使った電波時計と,ステッピングモータ代わりのマブチモータを使っています。

基板.jpg 電波時計の基板。

マイコンチップIC自体はダイボンディングという方法で基板にチップごとハンダ付けされ,上から樹脂でカバーされているのでわかりません。I2Cバスで電波時計からの信号を受信し,時刻表示させているのだと思います。 

パタパタ時計1.jpg フリップの取付は大変です

時刻を表示するためのフリップが分,時ともに60枚もあり,取りつけは大変です。おまけに,あとで動作させてみると時の表示がおかしく,正しく時を表示するのは20分ほどで,それ以外は前と後の時刻を表示します。最初の1枚目の取付位置を間違え,全部ずれているとわかりました。しかたなく,また1枚ずつ外して取りつけ直しました。

パタパタ時計2.jpg 完成しました。

とりあえず,電池を入れて00:00に表示が変わるまで待ちます。同時に基板上の赤いLEDが点滅し,電波時計を受信していることがわかります。うまく受信すると数分でバタバタと表示が変わり,正確な今の時刻を表示すればOKです。あとは1分ごとに表示が変わります。

なかなか電波時計はうまく受信せず,苦労することが多いですが,この電波時計は一発でうまく受信しました。バーアンテナ周辺の設計がよいのだ,と思いました。

ただ,みんな書いていますが,パタパタとフリップが動作する音が非常にうるさい。▲の写真でわかるように,モータが回転し,ラチェットが歯車を回しますが,それがバネの作用で落ちてくるときの衝撃音がかなりのものです。フリップ部分にカバーがなく,むき出しなのも原因ですね。寝室では使えない,という人が多いようで,確かにこれでは眠れません。

また,電池式のため,寿命は2ヶ月程度のようです。ACアダプタ式にしたいと思っています。音対策は東急ハンズで売っている,アクリルケースに収めてしまうのが良いそうです。

SEIKOパタパタ時計.jpg うちで現役のSEIKO製パタパタ時計。静か~~!

何より真空管式ラジオとか,古いものが好きなので,パタパタ時計も現役で使っています。これはフリップが動くときもコトリという程度で,とても静かです。この時計がライカだとすると大人の科学はニコンFというくらいうるさいです。せめてミラーレス一眼くらいの音になってほしい.....。

これはもちろん,電波時計なんてない時代のものですし,水晶式ですらなく,電源同期式ですが,非常に正確です。今でも十分使えます。


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ニキシー管の思い出 [ラジオ]

2013年10月20日の日記

nixie.jpg 20年前に作ったニキシー管時計

真空管が大好きで,中学生の頃からアンプやラジオを作っています。といって,実を言うとアンプというのは低周波信号を増幅するだけなので,どうも飽き足らず,ラジオを作ることが多いです。こんな風なので,ニキシー管を使った時計にも興味を持ち,20年ほど前に作りました。

今はニキシー管がとても人気で,webを探すといろんな人が作っていますし,キットも売られているようです。You Tubeにもたくさん出てきますね。ニキシー管は真空管みたいにガラスの容器に入って,排気用のツノまで生えていて,まるで真空管です。オレンジ色に光るのも真空管みたいだし,また,You Tubeの動画を見てもわかりますが,刻々と表示が変わる様子はまるで生き物みたいで,今どきの時計にはない魅力を感じる人が多いのだと思います。

私もそう思って,20年ほど前に作りました。某雑誌にも発表して,それなりに反響がありました。

ニキシー管は1960年代に米国のバローズ社が開発した数値表示用のデバイスで,ダイレクトに数値を表示するデバイスとしては最初のものです。0~9までの形状をした電極(-)が積み重ねるように並び,これらを取り囲むようにメッシュ状の円筒形の電極(+)が配置されています。内部にはネオンのガスが充填され,放電電圧以上の電圧をかけると数字の形をした陰極がオレンジ色に光って数字を示すようになっています。放電管なので,放電中は陽極と陰極の間は定電圧の特性を示すため,LEDのように電流制限の抵抗を入れて使います。高圧は150~200Vくらいの電圧が必要です。

当時,TTLなどのデジタルICが実用化された時期で,電卓や計測器,券売機や速度計,タクシーやガソリンスタンドの料金メータなどに使用されました。私がよく覚えているのは国鉄の券売機や肉屋のはかりです。そうそう,名鉄のパノラマカーの展望席の上に取りつけられていた速度計もニキシー管です。国鉄の0系のビュフェや167系についていたのはアナログ式ですが,名鉄はデジタル表示でした。

パノラマカーが発車し,だんだんと数字が上がってぴたっと110という数字が表示されると歓声を上げたものです。名鉄の最高速度は当時,110km/hで,数値も110で止まるようになっていましたが,表示がその数値で止まってもモータがうなりを上げていた,という証言? を今も聞きます。

ニキシー管自体は長寿命で,10万時間くらいの寿命はあったはずですが,電車に搭載すると振動で壊れたり,10万時間と言ってもつけっぱなしだと11年間という訳ですからそのうちに点灯しなくなり,保守用のニキシー管自体も入手困難になったことから,パノラマカーの速度計はそのうちフタをして使われなくなってしまいました。

ただ,ニキシー管は家電にはあまり使われなかったようで,デジタル時計なども製品としては見かけた記憶がありません。デジタル時計というとコパルが液晶の7セグメント表示器を使ったものはよく覚えていますが,ニキシー管時計というと記憶にありません。あとから述べるようにニキシー管用のLSIもなかったと思います。コパルのデジタル時計はバカ売れしたらしく,今もよく覚えていますが,デジタル時計というのが非常に斬新だった時代がありました。腕時計にも液晶のデジタル時計が発売されるとすごく人気が出て,誰も彼もデジタル時計をはめていた,という時代がありました。時計はずっと長い間,針を持ったアナログ式だったわけで,そんな中で登場したデジタル時計が人気を博したというのは今じゃ笑い話ですが,当時はそんな感じでした。わざわざ自作する人も多く,デジタル時計の製作なんて本もたくさんありました。

さて,ニキシー管を使ったデジタル時計を実際に作るとなると結構難しい問題があります。

時計用のLSIがすでに当時,入手困難になっていました。ナショセミのMM5311なんて有名なLSIですが,当時でも難しい状況でした。2年前に作った秋月電子のデジタル時計キットは沖のMSM5509RSを使っていました。

といって,このような時計用のLSIはニキシー管で使うには問題があります。

というのもニキシー管は0~9までの電極が出ていて,LSIには各桁ごとにBCD(2進化10進数)の出力が必要です。BCDは0から9までの数値を4bitの2進数にしたもので,たとえば7が0111となっています。ニキシー管の場合は各カウンタのBCD出力を10進に変換するICがありますので,これを使えばニキシー管が使えます。

ところが,時計用のLSIは出力がBCDではなく,7セグ用のa~gまでの信号になっています。ということで直接ニキシー管は使えません。7セグ→BCDにデコードするICがあればいいのですが,逆は多いのですが,7セグ→BCD変換というICはありません。

もっとも,これらの時計用LSIはLED用なので,ニキシー管のような高圧をon,offできるわけではないので,やはり使えません。onの時は問題なくても,offの時は静電誘導でICの端子に直接高圧がかかるので,だめです。実を言うと,全ての配線が終わり,いよいよICを全部さして動作させようと思ったときにニキシー管が点灯していないのに74141のソケットの端子電圧が140Vとかになっていて,配線ミスかと焦った記憶があります。静電誘導でこうなる,ということに気づくのに時間がかかりました。

ということで,TTLの6進や10進,12進のカウンタを使ってディスクリートのTTLで作りました。全部で17個もICを使いました。万能基板の裏側でラッピングワイヤを使って丸2日くらいかかって配線した記憶があります。配線は大変でしたが,このおかげでカウンタや分周回路,フリップフロップなど,デジタルICの基本がとても勉強になったように思います。

今じゃPICを使って簡単にできるのでしょうけどね。今発売されているニキシー管時計のキットも大部分,PICを使っています。ただ,PICも直接ニキシー管をドライブできるわけじゃないので,高耐圧のTrを使ってドライブしています。 

nixie1.jpg TTL ICで作りました。秒の表示は省きました。

デジタル時計というのは水晶で発振した信号をDフリップフロップをつかって周波数を1/2ずつに減らし(分周と言います),最後は1Hzのパルス信号に変換します。これを10進カウンタでカウントすると0~10秒までのカウントができ,さらに10進カウンタは全部の桁がいっぱいになると出力で10秒ごとのパルスが出ますので,それを6進カウンタでカウントすると1分間の計時ができます。これを順にやれば時,分,秒の表示ができるわけですね。

表示は4桁にし,hh:mmの時刻を表示します。74141とニキシー管を追加すれば秒の表示も可能です。 いつか追加したいと思います。

まず,ニキシー管の入手についてですが,20年前は楽勝でした。当時,ニキシー管はジャンク扱いで,どこの真空管屋さんでも非常に安かったです。1個100円くらいだったのではないでしょうか。今は1個,1,000円以上するので驚きです。それ以上に,当時は中古がたくさん入手できました。私は英国の球屋でITTの5853Sというタテ型のニキシー管を買いました。ニキシー管は真空管のように丸い電極配置になっているものが多いのですが,5853SはIC時代になって製造されたもののようで,ICピッチのインライン配置になっていました。ハンダ付けするのが楽ですね。それと,5853Sは外国製だけ,と思っていましたが,岡谷などでも作っていたようです。

また,ICについても,カウンタや分周用のICは定番の74LS92などなので今でも簡単ですが,ニキシー管ドライブ用の74141は現在では入手不能です。でも,当時は簡単でした。オリジナルのテキサスのものはあとで入手しましたが,私は日立製のHD74141を入手しました。74141はBCD→10進変換の機能のほか,ニキシー管ドライブ用に高耐圧のTrを内蔵していて,ニキシー管をドライブすることができます。ニキシー管自体はIN-2IN-12Aなどロシア製のものが最近はよく使われているようです。ただ,5が2を逆さにした電極で代用しているものが多く,見にくいので注意してください。2を上下逆にしても5には見えず,どうしても2に見えてしまいます。

残念ながら私が作ったデジタル時計の回路図は当時使っていたCADのソフトがもう使えないので載せることができません。 

ニキシー管用の高圧については直接AC100Vを半波倍電圧整流して得ました。5Vラインも対地電圧が100Vになったりして危険ですので,注意してください。今だとNJM2360などの昇圧コンバータICを使うようがよいでしょう。

nixie2.jpg こんな感じです。

銀座の伊東屋で買ったアクリルケースに収めています。 高いですが,高級感があっていい感じです。

ニキシー管は1970年代にLEDの7セグメント表示器が実用化されるとまもなく消えていきました。ニキシー管の方が字体が自然だし,表示が変化している場合は7セグメント表示より見やすいのですが,メッシュ状の陽極や点灯していない電極の数字が邪魔をして見にくいのも原因でしょう。変化しているときは数字が前後に動いて見えるのも当時,ちょっと気持ち悪い感じがしました。

ロシアでは今も真空管が使われているように,すでに真空管同様,外貨稼ぎ以外の意味はなくなっているかもしれませんが今もニキシー管が製造されているようです。eBayなどでよく売られているので,興味があれば買ってみるとよいと思います。74141についても今はロシア製の互換IC K155ИД1が手に入るようです。

ニキシー管が製造中止になってからも使用していた機械自体はしばらく残っていたので,今でも古い周波数カウンタなどの機械で使われているのを見かけることがありますが,倉庫で寝ていたりして,もう現役では使われてないでしょう。どこか田舎の自動販売機とか,何か現役で使われているところがあれば見てみたい,と思っています。と思っていたら北朝鮮の寧辺にある核開発施設のニュース映像の中にニキシー管を見つけました。ぜひ,一度,見に行きたいと思っています.......(^^;)。

 


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AMステレオラジオキットの組み立て~エレキットJE7514~ つづき [ラジオ]

2013年6月2日追記

昨日,カホ無線のAMステレオラジオキットを組み立てて無事に完成しました。ただ,ちょっと音質が悪い気がするので,今日は改良を試みました。セラミックフィルタを取り換えました。

残念ながら,エレキットJKE7514に使われているセラフィルの型番は当時のムラタのカタログを見ても記載がなく,わかりませんでした。ただ,前回の写真を見る限り,***-450Jという型番であることは明らかです。

末尾のJは帯域幅を表しており,ムラタのカタログを見ると,PFW-455Jというのが類似品のようです。形状も近いのですが,大きさから判断して別物のようです。ただ,これの帯域幅は5.5kHz±1.5kHz(-6dB)となっていて,帯域幅が同じだとすると,かなり狭いです。ただ,正直なところ,AMラジオとしてはごく標準的な帯域幅で,9kHzピッチのアジア地域ではこれくらいの帯域幅にしてあるものが多いと思います。普通にAMラジオとして考えるとこれくらいでもいいのかもしれませんが,AMステレオだともっと広い帯域幅のものにしたいと思います。

実際,当時,AMステレオ用として販売されていたSFG-450Dだとfn±10kHz以上(-6dB)となっていますから,ずいぶんと広いです。ちょっと表記のしかたがわかりにくいですが,PFW-455Jと同じ表記だと20kHz以上の帯域幅があることになります。

また,形状がPFWシリーズの方が小型なのは素子が1つしかないためで,SFGシリーズなどAMステレオ向けの広帯域のものは4素子以上になっていて,形状も大きくなっています。ご存じの通り,セラミックフィルタは圧電素子を用いてフィルタを形成していますが,SFGなどのタイプはちょうどTVのスタガ増幅回路のように,微妙に中心周波数の異なる素子を複数使って帯域を広げているのだと思います。単純に,1素子タイプのもので帯域を広げようとすると特性の裾が広がりすぎ,混信が増えるので,HiFiとフィルタ特性を両立させるには多素子のものが必要なのだと思います。

と言う次第で,手持ちのSFG-450Dに取り換えてしまいます。SFGシリーズは4素子構造のため,形状が大きいし,ピン配置が異なるので,プリント基板の改造が必要になります。

SFG-450D.jpg SFG-450D

SFG-450D-1.jpg セラミックフィルタを取り換えました。

残念ながら,SFG-450Dはサイズが大きすぎ,隣のケミコンと干渉するので,斜めになってしまいました。

ついでに,この際アンテナ同調回路のQもダンプしておきます。この回路のQが高すぎるとせっかくIFの帯域幅を広くしても意味がありませんのでやっておきます。

elekit am stereo radio7.jpg チップの22Ωを入れました

アンテナコイルとパラにバリコンが入っていますが,一度,パターンを切って,その回路の途中に22Ωを入れました。LとCで同調回路を構成していますが,その回路の直列抵抗分が大きいほど,Qが低くなるので,帯域幅が広がります。抵抗値としては数Ω~50Ωくらいです。あまり大きな抵抗を入れるとQダンプしすぎて混信したり,感度が低下しますのでご注意ください。

さて,結果は.....。

思わず,おぉ~っ! と思いました。非常にHiFiになりました。アナウンサーの声も非常に自然に聞こえます。音楽もFMとまではいきませんが,非常にHiFiです。やはりAMステレオはこうじゃなくちゃ,という感じのいい音です。

実を言いますとSFG-450Dでも帯域幅が狭く,米国向けのAMステレオのラジオではもっと広いものが使われていると思います。ちなみに,ソニーの米国向けSRF-42(AMステレオ)を持っていますが,このラジオの音のよいのには驚かされます。セラフィルはもっと帯域幅の広いものが使われていると思います。

米国ではメキシコなどの大出力の混信が南部であるくらいで,広い大陸だし,もともとコミュニティFMのようなラジオ局が多く,出力も小さいということもあり,混信も少なく,また音質にも厳しいので昔からラジオの音はHiFiでした。AMステレオじゃなくても米国でラジオを買うと,音のよいのに驚かされます。もっと日本のラジオメーカやAM局も早くから音質に気をつけてくれていれば,と思う今日この頃です。

 


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AMステレオラジオキットの組み立て~エレキットJE7514~ その1 [ラジオ]

2013年6月1日の日記

AMステレオが大好きで,放送開始の頃から対応ラジオや本を集めています。残念ながら,東京,名古屋,大阪で各1局ずつ残っているだけとなり,非常に残念です。本国? の米国ではとうに絶滅してしまっています。臨場感はもちろんのこと,AMラジオの音質改善に劇的な効果があるのですが,NHKが対応しなかったこともあり,十分に普及する前に消えていくのは残念です。

と言う次第ですが,昔からAMステレオ対応のラジオを集めています。前回はソニーの1号機SRF-A100のことを書きました。今回は九州のカホ無線が発売したAMステレオラジオのキットについてです。

おそらく,古今東西,AMステレオのラジオのキットが発売されたのはこのキットが唯一だと思います。米国でもキットというのはなかったと思います。1992年の発売のようですから,国内での放送開始と同時くらいに発売されているようです。当時,秋葉原のパーツ屋さんなんかで売られていたのを記憶しています。買っておけばよかったのですが,値段が¥7,210(税込み。もちろん,消費税は3%です)と高く,ちょっと躊躇しているうちに品切れとなってしまいました。今から考えてみると,7,210円という値段は部品を1個ずつ集めていたらこれくらいになってしまいますし,秋葉への交通費なんかを考えたらずいぶんと安い値段でしたが,後の祭りです。ICはモトローラが発売したAMのフロントエンドとAMステレオデコーダが入った1チップタイプのMC13024Pを使っています。

以来,ずっと探していましたが,なかなかパーツ屋さんでは売れ残りを見つけることができず,結局,Yahoo!で落札しました。20年ぶりに入手できました。

さすがに20年も経っているので,部品の劣化が心配でしたが,ヘッドホンのウレタンが劣化して,ぼろぼろになっていたくらいで,何の問題もありませんでした。

未使用キット,と言うことなので,そのまま組み立てずに保存する方がコレクションとしての価値は高いかと思いますが,私は工作屋さんなので,組み立ててしまいました。

カホ無線は部品類の販売の他,エレキットのブランドで各種電子キットを発売していました。その後,キット部門が独立してイーケイジャパンとなっていますが,本社所在地はカホ無線時代と同じのようです。いまもキットを発売しているので,非常にありがたいと思います。やはり,青少年の科学に対する興味を満たすにはキットが一番だと思います。私もずいぶん,こういったキットには昔からお世話になりました。

elekit am stereo radio1.jpg エレキットのAMステレオラジオキット

elekit am stereo radio2.jpg パーツと説明書です。

説明書は全部漢字にはふりがながうってあり,図も丁寧で,わかりやすくなっています。でも,さすがに小学生でこのキットを組み立てるのはむずかしいんではないかと.....。また,説明書にはAMステレオに使われているモトローラの方式はL-Rが位相変調だと書かれていますが,これだとマグナボックス方式。モトローラ方式はL-Rが直交変調なので,たしかに位相が変化しますが,単に位相検波してもL-Rにはならないので,注意が必要です。

回路自体は自作のMC13024を使ったAMステレオラジオとほとんど同じです。ヘッドホンアンプも同じ東芝のTA7376APでした。ただ,本機はスピーカがついていて,モノラルですけどスピーカから音が出るのがおもしろいところです。ステレオで聞くにはヘッドホンが必要ですが,この点,ソニーの名機SRF-M100と同じですね。TA7376APでスピーカをドライブできるとは思いませんでした。

elekit am stereo radio3.jpg プリント基板

プリント基板はシルク印刷で丁寧に部品の位置や番号が書かれていて,とても親切です。上の黒い部分は切り離してラジオのパネルになります。

elekit am stereo radio5.jpg バーアンテナ。ソケットつきです。

バーアンテナはリッツ線が切れやすく,特に,いざ完成して調整,と言う段階になると切れたりして,今度は作っている人が切れたりしますが,これはわざわざICピッチの台座をつけて切れにくくなっています。また,リッツ線の配線を間違えたりして動作しない原因になりますが,これなら配線を間違えませんね。

elekit am stereo radio4.jpg 何かちょっと見たことがないセラミックフィルタ

セラフィルはムラタのものが使われていますが,SFGシリーズなどの四角い大きなタイプではなく,FM用みたいな小さなタイプです。ちょっと今まで見かけたことがありません。

elekit am stereo radio6.jpg 

基板が完成しました。ICはソケットをつけました。

さて,配線自体は仕事から帰ってきてからやったので,二晩と言う程度です。休日なら楽勝で1日で完成すると思います。

あらかじめ,コイルやバリコンは調整済みであるので,コアを回したりしないで下さい,と注意書があります。ラジオの調整はやはりAMと言ってもむずかしく,オシロやテストオシレータがない小中学生には無理でしょう。

ということで,とりあえずはこのままの状態で組み立てて鳴らしてみます。

やはりうまく調整されているようで,トラッキングは問題ないようです。バリコンのアンテナ側のトリマを若干回してOKでした。

ただ,なかなかチューニング用のLEDが点灯しません。IFが450kHzでないとステレオにならないどころか,LEDも点灯しないのでこの辺り調整がむずかしいです。セラミックフィルタがついているので,IFが450kHzになるよう,各IFTの出力が最大になる点を探します。

と言う次第で,やはりテストオシレータを持ち出して調整しました。2つあるIFTも調整が必要でした。

elekit am stereo radio8.jpg 完成しました。スケルトンのケースがいいですね。

elekit am stereo radio9.jpg 背面。Made in Japanと書いてあります。

使ってみると,ちょっと音が悪いです。きれいに高域が伸びていません。どうも使用しているセラミックフィルタの帯域が狭すぎるようです。そもそも,同調点も非常に狭く,チューニングがやりにくいくらいですから,かなり帯域が狭いようです。これじゃ音も悪いはずです。型番不明なので,あとで調べることとします。

MC13024の特徴である,LEDが同調時に点灯し,ステレオになるとさらに明るくなるのですが,無事に明るく点灯し,ステレオに移行しました。ただ,すぐにモノラルに戻ってしまいます。調べてみると,3.6MHzのVCOにはLC同調回路が使われているのですが,そのL1(SOL1)というコイルも若干調整が必要でした。完全に同調した状態でLEDが点灯するようにして下さい。組み上げたままの状態では微妙にずれた位置でLEDが点灯するので,調整が必要です。VCOがロックする位置もずれてしまうので,音が歪みますし,安定していないのですぐにロックが外れます。また,音が悪いのはセラフィルの交換も必要のようですね....。

とりあえず,完成しました。まだ調整が必要な感じですが,AMステレオのラジオがまた1台増えました。ナイターを聞くと最高です。今日も阪神が勝ってくれるといいんですが.......。あ~~っ!,負けたぁ~!。井川なんかに負けるなよ~~....orz。

 


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モトローラMC13024を使ったポータブルAMステレオラジオの製作~その1~ [ラジオ]

2013年3月16日の日記

この前,ソニーの最初のAMステレオラジオSRF-A100を入手した話を書きました。今回はモトローラのMC13024を使ったポータブルAMステレオラジオを作ります。

MC13024P.jpg モトローラのMC13024P

モトローラが作った唯一のフロントエンドつきのAMステレオラジオ用ICです。それまで,デコーダとして元祖のMC13020のほか,高級機用のMC13022を発売していましたが,ラジオとしてフロントエンドもついたものが発売されていませんでした。やはりラジオというとソニーのSRF-A100のように据置型に近いラジオより,ヘッドホンで聴くポータブルラジオの需要も大きいので,それに応えたものだと思います。以前紹介した,ツインバードのプチオのほか,ANDOのSS-100,積水化学のミニオなどに使われています。SS-100はデコーダは東芝のTA8124かもしれませんが,確認していません。

MC13024は電源電圧1.8~8Vと低電圧で動作し,また,消費電流も6mAと,ポータブルラジオ用に低消費電力となっています。MC13020はカーステ用で,Vcc=6~10V,30mAですから,自作するときはAC電源にしないと動作しません。

もっとも,MC13022よりMC13024の方が先に発売されているようです。MC13024は香港製で,こちらのほうが工場の立ち上がりは早かったようです。

KENWOODやソニー,DENONなどの高級チューナにはMC13022が使われていました。ところが,某社のチューナをYahoo!で買ってフタを開けたらMC13028だったのでがっかりした記憶があります。MC13028は最後に主としてカーステ用に作られた廉価版です。

いままで,MC13020を使った据置型ラジオTA8124Pを使ったチューナを作ったことがありますので,今度はヘッドホン用のMC13024を使ったラジオを作ろうと思います。

ただ,このICはいろいろ指摘されていますが,ちょっと厄介なICで,作るのは少し躊躇していました。でも作ってみると案外簡単でした。

製作記事は "Ham Journal" や "ラジオの製作" で発表されています。特に,後者はかなり作るのに手こずったらしく,製作記事は完成してなくて,未完になった記事が発表されていたりします。やはりフロントエンドつきのラジオはむずかしいようです。

ただ,これらの記事にあったように,入力がないと局発が動作しない,というのはウソのようです。本当だったらスーパーのラジオにもなりませんので,変だと思っていました。問題はAMステレオ復調用のPLL回路に使われている3.6MHzのVCOがモトローラの規格表にあるとおり,LCの共振回路にしないと動作しない,と言うことにあります。通常のMC13020などのデコーダICはセラミック共振子を使っていますが,MC13024はLC回路でないとダメです。これは,#22ピンに電源を供給する必要があるためのようです。

一応,製作記事としては,HJ(No.64)の記事を参考にさせていただきました。ほかに,以前はweb上にTDKが電子工作のイベントで使ったと思われるPDFが出ていましたが,最近は見つからないようです。TDKのはアンプが大出力で,電源もAC電源となっています。これだったらMC13020でいい訳で,せっかくMC13024を使うのですから電池を使ったポータブルにしたいと思います。ほかに,モトローラの規格表に推奨回路があります。HJとモトローラの規格表はヘッドホンアンプに東芝のTA7376APを使っています。SIPのパッケージでノイズも少なく,なかなかいいICでしたが,最近は入手難です。最近,秋葉で見つけたので買いだめしておきました。MC13024自体も入手難ですが,まだ探せばあるようです。VCOの3.6MHzの共振回路はFCZ研究所の7S3R5を使いました。同社もコイルの製造をやめていますので,早めに確保しておきたいと思います。

MC13024 AMステレオラジオ.jpg回路です。

プリント基板は感光基板で作りました。ケースはタカチのLM-100を使いますので,基板は57×50mmの大きさにします。ちなみにLM-100のサイズは61(W)×100(H)×18.5(D)mmです。

MC13024 AMステレオラジオ基板.jpg 完成した基板。

ICは表面実装タイプのMC13024DWというのがありますが,さすがに表面実装では配線しにくいので,DIPのパッケージのMC13024Pを使っています。

また,アンテナコイルはこのケースに収まらないといけないので,小さいものが必要ですが,マルツでBA670というコイルがあったのでそれを使いました。インダクタンスも670μHなので,スーパー用にいいです。ただ,2次巻線がないので,リッツ線で10Tほど巻いて2次巻線としました。

BA670.jpg BA670改。中央のピンク色のリッツ線が巻き足した2次巻線です。

MC13024 AMステレオラジオ内部.jpg ケースに収めました

さて,配線チェックをしてまずはTA7376Pからチェックします。電池をつないでヘッドホンからサーッと言うノイズが聞こえればOKです。ボリウムを回してノイズが大きくなればOKですが,ところどころでモーターボーティング発振します。どこかで信号が回り込んでいるようです。TA7376Pの規格表にあるように,入力に0.0047μFをつけたら止まりました。

次にMC13024Pを差してテストします。

AM特有のガーッと言うノイズが聞こえればまずは成功です。うまく行くとバリコンを回すとどこかで放送が入ります。バリコンを回してもキューッとか,ノイズが変化しない場合は局発周辺に問題があります。ウンともスンとも言わない場合は配線ミスか,局発が停止していると思われます。

今回は最初からガーッとものすごい雑音がし,近くの民放が入りました。すぐにIFTのコアを調整し,音声が最大になるようにします。450kHzのセラミックフィルタを使っているので,これでIFTの調整は終わりです。もとからIFTは455kHz近辺に調整されているはずですので,そんなにコアをぐるぐる回さなくても同調が取れるはずです。セラミックフィルタはムラタのAMステレオ用広帯域のSFG450Dを使いました。

次はトラッキング調整をします。幸い,MC13024は▲の回路図を見るとOSCコイルの2次側を使っていませんので,そこに周波数カウンタをつないで985kHz~2055kHzで発振するようにします。バリコンを一番低い周波数にし,OSCコイルのコアで低い方で985kHzにします。次にバリコンを一番高い方にして,バリコンのトリマで高い方をあわせます。これを何度もくり返してあわせます。周波数カウンタがなければ,バリコンのダイヤルで600kHz付近の局と1400kHz付近の局で一致するようにすればOKです。ただ,あまりうまく行かないと思うので,ある程度で妥協するしかありません。

ちょっと今週はこれで時間切れです。また来週,AMステレオデコーダ部分を調整します。

 


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ソニーのAMステレオラジオ SRF-A100 [ラジオ]

2013年3月8日の日記

SRF-A100.jpg

どうも今年も昨年に続いて寒い冬で,3月に入っても寒い日が続いています。かと思うとここ数日,ものすごく暖かくなり,花粉も舞っています。皆さん,お身体ご自愛ください。

2月は猛烈に忙しく,ほとんど何もできませんでした。せいぜい,ネットでラジオ関連の記事を見ているくらいでした。

ですが,たまたまeBayで検索してみるとソニーのSRF-A100が出ていました。

ソニー初のAMステレオラジオで,1982年7月,米国でAMステレオ放送が開始され,その受信機として1983年に発売されています。ということで,米国向けなので日本では発売されていません。 

長い間,米国ではAM局が幅を利かせていて,戦後のFM放送再開後もFM放送がなかなか普及せず,FCC(米連邦通信委)はFMを支援していました。米国では戦前からFM放送が始まっていましたが,戦時中はVHF帯は軍事用に使われたため,FM放送は中断しています。戦後,FMが再開されてもなかなか普及しなかったのですが,そのFM局がようやく収益を上げるようになると,今度は逆にAM局が脅威を感じるようになったため,AM側をてこ入れする目的でAMステレオ放送が検討されました。FMは1961年からステレオ化していましたが,FMステレオの方式はGE-Zenith方式で一本化されていたのに,前回のブログにあるように,AMは5方式全部が認可され,混乱が広がりました。実際にはベラー方式は特許問題もあり,早々に消えたため,4方式が残りました。ハリス方式も同様です。当初,FCCがAMステレオの標準方式として選定したマグナボックス方式も消え,結局,最後はモトローラとカーンの2強によるステレオ方式が残ることになります。

SRF-A100-1.jpg 側面のAMステレオ方式切替SW

SRF-A100-2.jpg A:モトローラ,ハリス,マグナボックス,B:カーン方式

当初は受信機メーカはこの4方式すべてを再生できる必要があり,デコーダのICを含め,開発は大変だったと思います。

ソニーのSRF-A100はこの4方式すべてを再生できるラジオとして発売されています。10年後,日本でもAMステレオ放送が始まりますが,日本ではモトローラ方式で一本化されたため,再生切り替えは必要なく,日本で発売されたのはモトローラ方式のみのSRF-A300でした。A100よりもずいぶんと大きく,使いやすくなっています。じゃ,A200というラジオもあったんじゃないの?と言うことになりますが,豪州向けにSRF-A200というラジオが発売されていて,A100とほとんど同じで,AMステレオは豪州ではモトローラ方式だけだったので,切替SWがないだけ,という話ですが,見たことがありません。

SRF-A100は最初のAMステレオのラジオとして,左右に2つスピーカを持ち,SRF-A300よりずいぶんと小型なので,ぜひほしいと思っていました。10年ほど前,米国の友人に1台譲ってもらいました。eBayでは非常に高くなり,100ドル以上するのが普通です。ところが,今回,35ドルで落札してしまいました。程度はよく,30年も前のラジオとは思えないくらいです。ただ,やはりアルミのスピーカグリルはところどころへこんでいて,また,このアルミグリルの接着がはがれているのは前の1台と同じです。

完動,と言うことでしたのでテストしてみると問題ありません。ちょっとボリウムがガリっていましたが,何回か動かすと直りました。

肝心のAMステレオも,ソニーは3.6MHzのVCOにセラミック共振子じゃなく,LCの共振回路を使っているので,経年劣化が小さく,無事にAMステレオを再生できました。他社のAMステレオラジオだとセラミック共振子が長年の経年変化でQが低下したり,周波数がずれたりしてうまくAMステレオを再生できなくなっていることがあります。

ただ,スピーカが2つついていると言ってもあまりに間隔が狭く,SRF-A300も同様ですけど,せっかくのステレオ放送なのに,臨場感はいまいちです。これじゃ,AMステレオなんって言ったって,大したことない,と多くの人が思ったことでしょうし,衰退するのも無理はない,という感じがします。

でも,ヘッドホンで聴くと最高です。今,ワールドベースボールクラシックなんてやっていますが,これを聴くと思わずおぉ~っと言う感じで感動します。モノラルの放送なんて退屈で聴けたものではない,と思います。SRF-M100もそうですが,AMステレオはヘッドホンで聴くべきなのでしょう。 

SRF-A100-4.jpg AMはバンド幅切り替えがついています。

それに,このラジオ,ステレオでなくても音のよいのに感心します。AMのバンド幅をWIDEにすると高音がよく伸びていて,AMとは思えない音がします。使われているセラミックフィルタの帯域が広いんですね。これほど音のよいAMラジオはないと思います。SRF-A300は日本向けにセラフィルの帯域が狭くなっていて,A100のほうが音がよいと思います。

AMステレオもいつまで続くかわかりませんが,貴重なラジオを入手できました。いずれFMバンドの変更をして,日本でFMが聴けるようにしたいと思います。

おまけ.....今日はハチ公の命日だそうです。

ハチ公.jpg 渋谷にて。

これからは地下2階の改札前で待ってなきゃあいけないよ。 


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