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水銀入り整流管用遅延スイッチ回路の設計 [ラジオ]

2016年10月22日の日記

先日,サイラトロンの実験をしました。

サイラトロンは水銀入りの整流管で,動作時は内部がボォーッと青く光ってとても美しく,思わず見とれてしまいました。

整流管というのはもちろん,2極管なのですが,検波だけではなく,交流を直流にするという需要が初期のエレクトロニクスの時代からあり,早くから開発が進められましたが,ラジオやアンプなどに使用できるような大容量の整流器は当時の技術では難しく,バイブレータや電解液を使用したものが使用されました。バイブレータは騒音が大きいし,故障も多いし,電解液式のものは取り扱いが面倒ですね。

といって米国は国が広く,電気が来ていないところも多かったし,そもそも家で充電できない,と言うところも多かったのです。逆に自動車は先に普及したので "ウチではよ~,電気が来とりゃあせんけど,バッテリーならあるでよ~" という家も多かったのですが,情報収集するため,また数少ない娯楽として電池式ラジオが普及します。 自動車を持っていなくてもバッテリーは手に入ったので,日曜に馬車で放電したバッテリーを町まで持っていって充電屋で充電してもらって家に持って帰ってラジオを聞く,なんて生活スタイルでした。

蛇足ですけど,欧州では鉄道模型と言えば交流式のメルクリンなのに,米国ではDC12Vというのも同じ理由からです。いまじゃ,メルクリンもDC式ですけどね......。やっぱ,アメリカは強かった......。 

そんな中で,やはり電池式は不自由なのでAC電源式(エリミネーター)ラジオを開発するべく,真空管技術を使用した冷陰極放電整流管や水銀入り整流管が開発されます。並行して高真空の整流管も開発されていきます。亜酸化銅やセレンなどの半導体の利用は戦前からありますが,本格的な半導体式整流器は戦後のことになります。ちなみに英語で "eliminate" は "取り除く", と言う意味ですが,電池を取り除いたのでエリミネーターというわけです。 

もちろん,後に真空技術が向上し,純粋に電子のみで整流を行う,高真空整流管が登場すると,使いやすいし効率もよいのでほかの整流器は姿を消していきます。

ただ,数Aとか,数10Aとか,もっと大きな容量のものになると逆に水銀入りのものは効率がよく,また,整流時の内部の電圧降下が高真空タイプのものより小さく,レギュレーションがよいことから比較的大容量のものは最後まで使用されました。サイラトロンもそのひとつです。最後の用途は溶接機の電源のようです。おまけにサイラトロンはいわば4極整流管で,グリッド位相制御ができるので,今で言えばサイリスタやトライアックのように電圧制御ができたので都合がよかったようです。

冷陰極放電管も姿を消していきますが,シリコン整流器が実用化されるまでは高圧・大容量のものが残り,イグナイトロンやエキサイトロンは機関車で利用されました。ED70やED71がそうですね。 

オーディオ用だと83とか,866(日本では2H66の方がよく知られています)が有名ですね。83は音がよいとか言うことで今も502A3300Bなどのアンプの整流に使う人も多いと思います。iruchanもいずれ,50シングルアンプを作って音を聴いてみたいと思っていますが,その整流に83を使おうと思っています。

ただ,これらの水銀入り整流管にはやっかいな問題があります。

使用時には 予熱 が必要 なんです。

内部の水銀は常温では液化してしまうため,真空管の電極や底部に溜まった状態となります。この状態で通電すると電流が流れず,整流しないのはもちろん,真空管を傷める原因になります。場合によっては液体の水銀が陰極と陽極をショートすることもあるかもしれません。まあ,見ていて粒になっているくらい多くの水銀が入っているわけじゃないのでこれはあまり出ない事象だと思いますが。あくまでも水銀が蒸発してイオン化するまで待つ必要があるのです。

そこで,前回のサイラトロンではヒータ用と高圧用でスイッチをわけ,最初にヒータ用のスイッチを投入して数分~15分程度待ってから高圧を投入しています。

83とかだと2分~3分くらいでいいのですが,それでもスイッチを2つ設けて,時間差で投入しなければいけません。

でも,これは面倒ですよね~~。

これを自動化するのはタイマーリレーを使えばいいんですが,どうにもタイマーリレーは高いし,サイズも大きいので困っちゃいます。シャシーの上に載せるしかないことも多いのですが,トランスや真空管と一緒に並んでいるのはどうにも違和感を覚えます。

ということでいつかは半導体式の遅延スイッチを作ろう,と昔から思ってましたし,また,いつも大変お世話になっている河童さんからKR-1という初期の水銀入整流管を使いたいので,遅延スイッチ回路を考えてもらえませんか,とご要望がありましたので設計しました。

KR-1というのは小型の水銀入り整流管です。1933年,Kentucky Radio社が開発しました。Ken Radのブランドでおなじみです。エリミネーターのラジオに用いられた初期の整流管です。AC電源式ラジオには整流管が必要でしたが,なかなか整流管は難しく,このKR-11-Vや有名な80など,実用になるものができるのは1930年代のことです。KR-1は,RCAが3年後にほとんど同規格の高真空整流管の1-Vを開発したので御用済みになりました。なんか,あと出しじゃんけん,と言う気もするのですけどね......。さすがに真空管の巨人RCAが発売するとどこもほかは売れなくなってしまいます。

KR-1はナス管なのも魅力で,とてもかわいいスタイルをしています。RCAの282なんかも同じナス管の整流管ですね。 といってよく間違えられるのですが,8283は水銀入りですが,8081は水銀入りじゃありません。ついでに83Vというのもあって,これも水銀入りじゃありません。80は最大100mAと大きく,ラジオ用の決定版と言っていい整流管です。これが開発されたことでラジオ用の整流管は勝負あった,という感じです。戦後は5Y3GTとして,真空管の最後の時代まで使われました。iruchanも結構お気に入りで,最新の6G-A4シングルアンプでも使用しています。

ということで,小型の水銀入り整流管KR-1用の遅延スイッチ回路を設計しました。

水銀入整流管用遅延回路(リレー式).jpgリレー式だとこんな感じです。 

リレーを使うと▲のような回路でしょうか。ちょうど,Tr式パワーアンプのミューティング回路そのものです。

でも,リレーを使うんだったらタイマリレーと変わらないわけですし,サイズも大きいので,オール半導体式にしたいと思いました。リレーだと整流管の前に挿入することもできるんですけどね。半導体だと整流管のあとになっちゃいます。 

しかし,これが意外に面倒。最初,制御Trを▲のリレーの代わりに挿入し,そのベースをC-Rの時定数でコントロールすりゃいいや,と思ったのですが,結構,難航してしまいました。

まず,制御Trに普通はNPNを使うのですが,これが NG。なんでかというと,出力をエミッタからとりますが,エミッタ電位は整流管がonした段階で決まるので,▼のように整流管のあとに挿入しちゃうとエミッタ電位がまず決まらないので制御できないんですね。 

iruchanは鉄道模型用のPWM式コントローラなどではいつもNPNを使っているんですけどね......。 

結局,PNPトランジスタを使って制御しました。これを思いつくまで結構時間がかかっちゃいました。一応,NPNを使う回路も考えましたが,すごく回路が複雑になってしまうので,やはりPNPを使う方がよいです。

水銀入整流管用遅延回路(半導体式).jpg設計した遅延回路 

そんならMOS-FETを使えばいいじゃん,と言う話もあるでしょうけど,これはこれでやっかいで,電圧で制御するのでこういう高圧回路に使用すると電流が流れなくても動作してしまうので設計が面倒です。

まずは簡単にヒータ電源(AC6.3V)を整流して制御用の電圧とします。ヒータ電源はメインのスイッチを入れると同時に入ります。

なお,電源はヒータから取っていますが,整流管のヒータ回路は接地しませんので使えません。整流管以外のヒータから取ってください。また,805Y3GTなどの直熱整流管はフィラメントがカソードになって高圧になっていますから,絶対接続しないでください。 5AR4などの傍熱整流管の場合でもH-K耐圧の観点から,普通,ヒータは接地しませんのでご注意ください。

AC6.3Vを整流し,C-Rの時定数に放り込むと,コンデンサの電圧はゆっくり上昇していきます。

それをQ2のベースに入れてやると約0.5VでこのTrがonします。Q2はある程度,電流が取れないといけないのでダーリントン接続にしてあります。何も▲の図のようにインバーテッドダーリントン回路にする必要はないのですが,なぜかそうしちゃいました......(^^;)。

そうするとQ3のエミッタに電流が流れ,1SS133の順方向電圧が0.6V×2で約1.2Vくらいの電圧になりますので,制御Tr Q1 の2SA1924がonし,遅延スイッチが投入されます。 

実際には考案した回路をSpiceでシミュレーションして定数を決めました。

KR-1用遅延回路シミュレーション結果.jpg LTSpiceのシミュレーション結果

約160sec.でTrがonし,その後,約160sec.かかって徐々に電圧が上がってくることがわかります。

そう,ソフトスタートになるんです!!

実はちょっと予想外だったのですが,これはよいことですね。出力管から見るとゆっくり高圧が加わりますので,とても出力管に優しいです。タイマーリレーや▲のリレー式の遅延回路じゃこうはいきません。いきなり高圧が出力管にかかります。

また,フィルタコンデンサも最初からいきなり高圧が加わるわけじゃないので,ゆっくり充電されますので,大容量のものをつないでおいてもOKです。普通,電源のフィルタコンデンサはコンデンサインプット整流の場合,ラッシュカレントが流れるので整流管ごとに制限値があります。大体,80などの直熱タイプで10~20μF,5AR4などの傍熱タイプでも最大47μFくらいに抑えておかないといけません。1-Vなどの古い整流管の場合は10μFくらいにしておきたいところですが,この回路を使うと100μFくらい入れても大丈夫だと思います。

青い線は制御TrのQ1 2SA1924の損失を示しています。最大で11Wにもなりますが,これは瞬時値で,波形は半波整流の波形です。B級アンプの平均コレクタ電流同様,平均電流はIp/πで表されますから,平均のコレクタ損失は最大で3Wほどです。2分ほどは少し熱くなります。定常状態だとこのTrはほとんど電圧降下しませんので,損失はわずかです。なお,I(R1)がずっと上昇を続けていますが,10mAで落ち着きます。

時定数はSpiceでのシミュレーション上は1.6MΩ×470μFでしたが,実際には10MΩ×470μFで約3分でした。実際とは少し違いますね。 

その時定数回路に挿入しているダイオードは1N4007を使っています。わずか,6.3Vを整流するだけに逆耐圧1,000Vの1N4007を使う必要はないんじゃない,と思われるかもしれませんが,もし,Q2,Q3が破壊されるとヒータ回路に高圧がかかっちゃいますのでその用心です。これがあると安心です。

もちろん,Q2が壊れなければ問題なく,1SS133でも十分なんですが,それじゃどこかの発電所みたいに地下に非常用発電機を設置しているようなものなので,高圧用Diを使用しました。

iruchanはどっかの電力会社と違ってこのようにあらゆる事象を考慮に入れて細心の注意を払って設計していますと威張りたいところですが......。 

なお,Q2,Q3にも安全のためじゃなく,マジで高圧Trが必要です。これらには高圧がかかります。制御Trと同じ2SA1924が使ってあるのもそのせいです。一応,特性を下記に記しておきます。

   VCEO(V) IC(mA) PC(W) 

  2SA1924  -400  500  10

  2SC3425    400  800  10

実は,iruchanは最初,うっかりQ2に2SC1815を使っちゃいました。テストしたら思いっきりショートしてエミッタ抵抗の160Ωが火を噴いてメルトダウンしちゃいました。 ダーリントン接続してあるから,Q2には高圧はかからない,と思っちゃったんですね.....。

考えてみりゃ,Q3のエミッタ電圧-0.6VがQ2のコレクタ電圧なので,ほぼ300Vがもろにかかります。2SC1815はVCEO=50Vですからそりゃ即,炉心溶融ですわな......。 おぉ,怖っ!!

水銀入り整流管用遅延回路2.jpg 

できあがった基板です。 写真はテスト用のものでTrとDiが完成版と異なります。完成版の写真は撮り忘れました。ごめんなさい。

基板は27×33mmと小さいです。これならシャシーの中に十分収まりますね! 

使い方はこんな感じです。

水銀入整流管用遅延回路接続.jpg 実際の基板の接続

実際に300Vをかけてテストしたあと,河童さんに基板を送って使用していただいています。無事に動作しているようです。 

後で考えてみると,高圧の出力に470kΩと直列にLEDをつけておけば,高圧onが表示できたな,と思いました。

なお,本回路はあまり大容量の電流は流せません。せいぜい50mAくらいです。というのも制御Trが飽和領域から非飽和領域に入ってしまうため,出力電圧が低下するためです。次に50シングルアンプを作るときはこの点を改良して本格的な83用遅延回路を作りたいと思っています。 それに,50のアンプだと遅延回路も耐圧600Vくらいで設計しておかないといけませんしね。

では,また。 


中国製トランジスタテスターMTesterについて [ラジオ]

2016年8月14日の日記

iruchanは電子工作マニアなのでいろいろと計測器も集めています。一応,オシロと低周波発振器,ミリバル,ひずみ計なんかはそろえてあります。

ただ,結構問題なのはCR類の容量やインピーダンスを計測したいという場合です。本来ならブリッジなんでしょうけど,ブリッジは10万円以上しますしね.....。それに,最近はデジタルテスターでLCの容量が測れるようになっているものが多いですが,困ったことにあまり大容量のものは測定できません。せいぜい100μFとか,数Hくらいのものでしょう。

それに,iruchanはTrのhFEを測定したいとずっと思っていました。FETのIDSSも選別する際に測定する必要がありますね。これらは簡単に測れるのでちょっとした治具を作ればいいのですが,面倒でまだ作っていません。いざ,こういうのを作ろうとすると結構面倒なんですよね......(^^;)。

と言う次第で,ともかくhFEくらいは測りたい,と思ってトランジスタチェッカーで検索したところ,中国製の基板のみという感じのテスターがネット上に出ています。一見,おもちゃみたいなんですけど,ちゃんとLCD表示器がついていますし,ボタン1発で測定できて便利そうです。それに万能測定器みたいになっていて,コンデンサやコイル,Trなどを適当に挿すと勝手に機械が判断して測定してくれるようです。hFE測定器などはちゃんとベースやコレクタなどの電極を決められた通り挿さないとダメですが,こいつは勝手にどれがどの電極かを決定して測定してくれるようです。

すでに日本でも使っておられる方は多いようで,記事を拝見してもなかなか意外にも使えそう,という感じがします。 

売っているのは中国のAli Expressで, "transistor tester" とか "transistor checker" というワードで検索すると出てきます。どうにも名無しのゴンベらしく,正式な製品名がないようです。一応,スイッチを押すとLCD上にMTesterと表示されるので,本ブログではMTesterとしておきます。

測定範囲はAliの広告を見ると,

Capacitance 25pF~100,000μF

Inductance 0.01mH~20H

Resistance ≤20MΩ

のようです。もう少しインダクタンスは大きい方がよいと思いますが,コンデンサはかなりの大容量です。  

値段はせいぜい10ドルくらいで,おまけにこれで送料込みなんてところも多く,これならおもちゃと割り切って購入してもよさそうな感じです。

ただ,iruchanはさすがに基板のみじゃしんどいのでケース入りにしました。大体,プラス10ドルくらいでケース入りが売られています。結構,電子工作マニアの悩みの種がケースなんですよね~。値段も高いし,デザインのいいのがないし,穴開け加工も年とるとめんどくさいし........(^^;)。

Ali ExpressはAmazonのマーケットプレイスや楽天市場のようなもので,いろんな店がここで出品しているので,このトランジスタチェッカーもいろんな店が出しています。ケースもいろいろです。値段も結構ばらけていて,よく探すと安く買えます。

それと,内部のチップのソフトがちゃんと更新されているようで,2016年版というのがあるので,それも探しました。 

結局,iruchanは透明プラケース入りで15ドルのを買いました。送料はたったの2.39ドルでした。

中国郵政の封筒に入って2週間ほどで届きました。欧米だと1週間くらいですから,中国は少し時間がかかるようです。

封筒.jpg こんな封筒に入ってやって来ました。

さて,さっそく開封します。実は最初はキットかと思っちゃいました......。

中身.jpg

ケースや基板の部品がすべてビニル袋にばらばらの状態で入っています。ケースは組み立てないとダメなんですね。まあ,たいした手間じゃないですけど。

電池は006Pを使います。基板を見るとちゃんと5Vのレギュレータが入っていて,9Vでなくても動作するようです。それに,説明書は一切入っていません。

さて,結構面倒ですがケースを組み立てて実験します。なんとLCDの表示器のガラス部分が基板から外れていてびびりましたが,はめ直してOKでした。基板の白いプラのバックライト部分が緩いようです。軽く接着剤で固定しました。

外観.jpg なかなかよさげです。

なかなか組み立ててみるとかっこよいです。LCDもバックライトがついていて見やすいです。残念ながらバックライトは緑なので白色にしようかと分解しましたが,LEDと白いプラスチックの部分は一体化していて分解できませんでした。透明のスケルトケンケースが見た目もよいですが,アクリルじゃなく,スチロール樹脂のようで,かなりヤワです。

それに......。

電池はケースの中に閉じ込められてしまう構造になっていて,周りのねじを全部外さないと電池交換できません。 いったい,電池はどうせいちゅうんじゃ!?

しかたないのでiruchanは結局,いろいろ考えて充電式の6P型ニッケル水素電池を使うことにし,ACアダプタを介して中の電池を充電することにしました。単にACアダプタ式にしちゃうとコードが邪魔ですが,充電式にしておけばACアダプタのコードが邪魔にならずに済みます。

それに,大型の電解コンデンサやTO-3型Trのチェック用に,別途,コードを挿せるような構造にしたいと思います。 

では,さっそくテストしてみます。まずはコンデンサから。 

ニチコンMK.jpg 電解コンデンサの結果

ニチコンの105℃オーディオ用KMの結果です。表記は10μF 25Vなので,ほとんど表記と同じ値です。等価直列抵抗ESRも表示します。 

OSコン.jpg OSコン

サンヨーのOSコンの結果です。39μF 16Vのものです。これも電解コンデンサ同様,表記とほぼ同じ値です。驚くのはESRです。OSコンは超低ESRと言うことに特長がありますが,やはり電解コンデンサの1/16くらいです。 

さて,次は半導体。基板上に1,2,3と表示されている位置にそれぞれ1本ずつ脚を差し込めばOKです。自動的にどれがベースかコレクタなどの電極を判断してhFEや順方向電圧VBEを計測してくれます。もし,ジャンクのTrなどで表記が消えていても,電極はこれでわかります。Trの電極判別は結構難しい話で,ベースはすぐにわかりますが,コレクタとエミッタは簡単にはわかりませんので。 

2sc1330.jpg NEC 2SC1330

パワーアンプのバイアス用によく使っているTrですが,シリコンTrなので,VBEは0.6V程度ですが,ぴったりです。 

sony 2sb379a.jpg SONY 2SB379A

ゲルマニウムTrだとVBEは0.2Vくらいですが,これもやはり小さな値を表示します。 これを使うとゲルマかシリコンか,と言うこともわかりそうです。

2sj123.jpg 東芝2SJ123

FETの場合,接合型かMOS型かもわかります。バイアス電圧が大きいこともこれでわかりますね。Eはエンハンスメントモードであることを示しているのでしょう。ただ,やはりMOS-FETは入力容量が大きいので,その容量が十分充電するまではコンデンサとして認識されるようです。一度,capacitorと表示されたら,もう一度やってみるとMOS-FETとして測定してくれると思います。

と言う次第で,意外に使えそう,と言うことがわかります。そこで,仕事で使っている日置の3522型LCRテスタと比較してみます。

結果は次の通りで,コンデンサはおおむね+5~+10%くらい大きめの値を示すことがわかります。 小さく表示することはなさそうです。残念ながらコイルはそんなに持っちゃいないので(オーディオじゃコイルを使うことはほとんどないので持っていません),コイルは1品種のみのテストですが,インダクタンスもほぼ正確だと思います。

なお,ディップマイカやスチコンなど,小容量のものはESRを表示しません。 

MTester結果.jpg 

これらの結果は測定した周波数やコイルの場合は重畳する直流の電流値で大幅に変わるので,一概に高価な機械の測定結果と比較して正確だからよかったとは言えないのですが,まあ正確な値を示すんじゃないかと思えます。

さて,次は若干,改良したいと思います。

まずは電源。9Vの乾電池を使いますが,このケースは電池が交換できるように考えてなく,電池交換時はケースをばらす必要があります。

そこで,ACアダプタ式にすることも考えましたが,これじゃコードが邪魔。

何かいい方法はないかと思っていたら9Vの充電式電池の在庫があったのでそれにしました。昔,マイクロホンアンプでやった方法で,この電池を内蔵させ,外からACアダプタで充電する方法です。

充電回路はこの記事と同じもので,ごく簡単にCRD(定電流ダイオード)を用いたものです。石塚電子のE452を用います。

ただ,単純にCRDだけじゃ面白くないのでLEDを直列に入れました。こうするとLEDの順方向電圧分だけ,CRDの使える電圧が減るのであまりうまくないのですが,電源が12Vでもうまく充電できました。

充電バラックテスト.jpg こんな回路で充電できます。 

充電中.jpg 充電中です。

ACアダプタは12Vのものを使いました。LEDは順方向電圧の低い赤にしてください。充電電流がごく小さいので充電にはまる一晩かかります。回路的には▼の通りとなります。基板上には5Vのレギュレータがついているので,充電中でも使用できます。

  MTester充電回路1.jpg 充電回路です。

さて,次は大容量コンデンサなどのチェック用に,別途,バナナプラグを差し込めるようにしました。これらを▲のように#1,#2端子にはんだづけしておけば,ブロック電解などのチェックができます。 

ブロック電解.jpg 

大容量のブロック電解コンデンサもこんな感じで測定できます。

2sa649.jpg TO-3型アダプタ

ついでに,#1,#2,#3端子にICピッチの端子を差し込んでTO-3型やTO-66型のTrがチェックできるようにしました。ただいま,NECの名石2SA649をチェック中。A級15W DCパワーアンプに使ってやろうと考えています。

2sa649-1.jpg こんなのをテスト中です.......(^^;)。

sony 2sk60-1.jpg こんなのもテストできました。

sony 2sk60.jpg 結果です。

ちゃんとV-FETはJ-FETとして認識します。 

故障Tr2sc1815.jpg ご臨終になったTrの結果

過電流で死んじゃった2SC1815の結果です。うっかり,300Vをかけたら死んでしまいました。2SC1815はVCEO=50Vです。こんな高い電圧かけちゃいけません!! .........orz。単なる抵抗として表示されました。 

こんな具合で,非常にチープな測定器ですが,結構使えます。皆さんもいかがでしょうか。 

 

2016年9月10日追記

実は,2SA649をテストしていますが,今回,Aliの別の店で2SA6492SD218を売っている店を見つけ,買っちゃいました。

金田式DCパワーアンプの名石中の名石で,今も人気があるのですが,iruchanは2SD218は持っているものの,2SA649は持っていませんでした。どうしてもコンプリメンタリの石というのは先にPNPが廃番になっちゃうのでPNPが入手しにくくなります。逆に,廃番になった時点で大量に余っていて,もとからPNPの方の需要が少ないのでそれからも市場に出回っている,と言うことも多いのですけどね.....。2SA606とか,2SJ18なんかがそうだと思います。金田さんも2SA649がすぐになくなり,2SB5412SD388に代わりました。2SD218なら直流回路から蛍光灯を点灯させるためのインバータなどに使用されたので,根気よく探せばまだ手に入ります。

ということで,海外に目を向けてインターネットがはじまる前からiruchanは海外から個人輸入したりしていたので2SD218は持っているのですが,どうしても2SA649だけは何度買ってもダメでした。間違いなくニセ物をつかまされますのでご注意ください。

今回は,業者が本物のNECの2SA6492SD218の写真を出しているので油断しちゃいました。

でも,来たのは案の定,これ。

2SA649, D218 fake.jpg 

       こんなのニセ物~~~~~っ!!! 

2SA649は表記が黒だし,2SD218に至ってはロゴやフォントも違うし,それにどちらもロット番号が出たらめ。

中国だし,返金は無理だよな~と思いつつもAliのPrivacy Policyを読むとちゃんと返金に応じると書いてありますし,業者とも連絡がつきます。さっそく,ダメ元でクレームつけたら返金する,とのこと。 

やはり,中国も信頼を重視するようになったのでしょう。商取引の基本ですよね。ちょっとびっくりするくらいでしたが,ちゃんと返金してもらえそうでよかったです。

それにしても皆さん,くれぐれも海外から半導体を買う場合はご注意ください。 真空管だと少なくとも管名はごまかしできないので安心ですけど,半導体の場合は簡単にリマークできちゃうので気をつけてください。OPアンプの帝王,OPA627なんて海外だと安いのですが,怖くて買えません。


サイラトロンの実験 [ラジオ]

2016年3月16日の日記

サイラトロン整流器3.jpg 動作中のサイラトロン。とてもきれいです。 

いつも大変お世話になっている河童さんから,昨年,サイラトロンをいただきました。

サイラトロンは水銀ガス入りの整流管です。大型のものはグリッドのバイアスを変化させて位相制御もできるようになっていて,出力の直流電圧を変化させたりすることができます。1960年代に入って,シリコンダイオードが実用化するまでは割に大規模な整流装置としてセレン整流器とともによく使われました。一般的な用途としては溶接機だったでしょうか。溶接機は低圧大電流の上,出力を調整するため電圧調整が必要だったので,サイラトロンが最適でした。もっとも,セレン+スライダックという組み合わせの方が多かったと思いますけどね。

シリコンDiのほか,サイリスタが実用化されるに及んで御用済みとなり,歴史の彼方に忘れ去られてしまいました。それに,今じゃ水銀が入っているので,RoHs規制に引っかかっちゃいますし,米国のアマチュア無線ののみの市などでも持ち込み禁止になっていたりして,なんかすっかり厄介者扱いになっているのは残念です。

でもアマチュアが使用するのは自由ですし,オーディオマニアの人も83をはじめとして8662H66)など,水銀入り整流管を愛用している方も多いと思います。 83なんかST16バルブなので2A3とか300Bと同じ大きさでぴったりですね。とはいえ,これらは主として民生用の整流管として開発されていて取り扱いも簡単ですが,大型のサイラトロンは図体も大きいし,ヒータ電力も大きいし,ソケットもないし,ということで使う人は少ないと思います。

でも,以前から一度は動作させてみたいと思っていました。私は83で経験しましたけど,管壁が青く光ってとても美しいですしね。 

さて,いただいたサイラトロンをどうやって使うか,なんですが,まず問題なのはヒータトランスです。

サイラトロンは扱う電力が大きい分,ヒータ電力も大きく,今回使用した米Westinghouse社製のWL672AだとEh=5V,Ih=6Aと大食いです。 まだこれなんか小さい方で,FG105だと10Aも食います。これだとトランスが大変ですが,河童さんから米Chicago Transformer製の米軍向けヒータトランスもあわせていただいたので使わせていただきます。

WL672AはWestinghouseの型番で,ほかにRCAやGEなど各社が672の番号で作っています。割にサイラトロンの中ではポピュラーな球のようです。最大で1500V,2.5Aが扱えます。

ソケットも問題で,最初,211などと同じ大型UVソケットだと思いましたが,211用のものはそのまま使えません。同じ1インチの直径にピンが配置されていますが,間隔が微妙に異なります。それに,ハカマとなる金属部分が邪魔をします。幸い,中国製のもののハカマを外してみたらなんとか使えました。 専用の米軍向けのソケットを米国のサープラスショップで見つけたので発注しました。今ごろ,米国から太平洋を船に乗って渡っているでしょう。

211,672base.jpgベース部分の比較です。 

回路は下記の通りです。とりあえずテストなので単純な半波整流回路にしています。

サイラトロン整流装置.jpg テスト回路です。

なお,サイラトロンは3極管ないし4極管構造をしていますが,効率の点でスクリーングリッドを持っているものが多く,WL672Aも4極管構造となっています。

どちらのグリッドもバイアスをかけて使用しますが,スクリーングリッドはたいていはバイアスなしで0Vでよく,コントロールグリッドの方は位相制御をする場合,カットオフする電圧があるので,それを利用して位相制御しますのでバイアス電圧は変化しますが,位相制御しない場合でもそれ以前に放電するかどうかという電圧がありますので,事前に検討が必要です。

今回は位相制御まで考えてなくて,単に半波整流すればよいだけですが,プレート電圧が低いので,バイアスが必要かどうか,というのは実験で確かめないといけません。0Vでもよいのではないか,と考えられるのですが,一応,WestinghouseのWL672Aの規格表を見ると0Vでは放電するかどうかわからない感じです。実際,斜線部は球のばらつきおよび寿命により放電するかどうかは不明という意味の記述があります。

WH 672特性曲線.jpg WL672Aのプレート特性曲線 

プレート電源はAC100Vを直接使用することを考えていますので,ピーク電圧は141Vです。この場合,Eg=-6~+8Vの間はこのグレーゾーンで,放電するかどうかはビミョー,という感じです。"CERTAIN CONDUCTION" (導通確実)とある領域は+8V以上の領域です。

と言う次第で,ヒータトランスの余った巻線をつかってプラスのバイアスをかけました。6.3Vの巻線を半波整流して,実測約+7.7Vをかけました。もう少し高い電圧の方がよいと思います。

さっそく,電源を投入します。水銀入り整流管のおきまりで,内部の水銀は冷えている間に液化して電極の隙間などに固まっていますので,それが十分熱せられてガス化するまで高圧はかけてはいけません。Westinghouseの規格表ではCathode Heating Time 5 minutesと書かれていますが,実験してみたら5分では全然だめで,15分くらいは予熱しないといけない感じでした。

十分に加熱しないまま高圧をかけると全く放電しませんし,中途半端にガス化した状態だと内部でスパークして球の寿命を縮めますのでご注意ください。

83などの民生用整流管だと予熱時間は1分で,タイマーリレーなどを使ってもいいのですが,たいていの人は高圧用に別のスイッチを設けておられると思います。私もそうしました。わざわざタイマーで自動化しなくても,と言う気もしますし,それに真空管アンプなんで手間を楽しむようなものですしね。

サイラトロン整流器.jpg 電球は負荷です。

スイッチは2個設け,1個はヒータ余熱用で,もう1個は高圧用です。高圧用は15分くらいたってから投入します。 

いただいたヒータトランスは米Chicagoのトランスで,ちょっと塗装がはげていたので塗り直しました。米軍用だし,カーキ色だよな~,と言うことで一生懸命似た色を探してみても米陸軍用は緑系で,全然違う色で変です。おかしいなぁと思ったらなんとタミヤの日本自衛隊用TS-90がぴったりでした。 茶系だそうです。以前からChicagoのトランスとUTCじゃ色が違うな,と思っていましたが,こういう具合で,Chicagoのトランスは茶系なんですね。

シャシー内部.jpg シャシー内部

WL672 ヒータ点灯状況.jpg ヒータは点灯してるかわからないくらいです。

ヒータは工業用らしく,セラミックヒータとなっています。うっすらと赤くなる程度で,明るいところでは点灯しているかどうかわからないくらいです。

それにしてもこの真空管,date codeらしき表記があり"76-17" と書いてあります。ひょっとして1976年の17週? そんな最近まで作っていたのか,という気がしますが,米国だと軍で使っていたのかもしれませんし,溶接機など,未だに現役のものもあると言う話なので,割に最近まで作っていたようです。 

サイラトロン整流器1.jpg 動作すると内部が青く光ります。

高圧スイッチを入れると内部がパッと青く光り,負荷の電球も明るく光ります。まあ,半波整流だし,サイラトロン内部の電圧降下もあるのでそれほど明るいわけではありませんけど。

薄暗い部屋に持って行くと内部がボウッと青く光り,とてもきれいです。もう真空管マニアにとってはまるで夢の世界.....。うっとりと見とれてしまいました......。

現在はAC100Vを整流しているだけなので使い道はありませんけど,1000V位を整流させて211とか超大型3極出力管の212のアンプに使ってやるとよいかと......夢想しています。 

なお,サイラトロンにはオシロスコープの掃引用の弛張発振回路を構成するための2D21T66-GTなどの球もあります。これらは当然整流用じゃありませんのでご注意ください。 もっとも,これらの球を使ってサイラトロンをon,offする回路もあり,ややこしいです。今で言えばUJTやPUTと言った素子の役割をしていました。もっとも,今じゃUJTやPUTもとうに製造中止なんですけどね......。

お世話になった河童さんからコメントをいただきました。「屋根裏で寝ていた球を活用していただき感謝。」 どうもこちらこそありがとうございました。

 

【サイラトロンコレクション】 

C6M.jpg 米Electrons inc.製のC6M

Eh=2.5V, Ih=21A(!), Epmax=1000V, Ipave=6.4A 

なんかとてもできがよく,ガラスも平滑度がよくて表面はとてもきれいです。陽極はタンタルで,キセノンガス入りのようです。米軍放出品を扱っている店で1本$4で買いました。211と組み合わせるとかっこうよさそうですが,ヒータ電流21Aに驚き! 間に小数点が入っていると思いそうですが,ありませんのでご注意ください。

GE FG105.jpg GE製のFG105

Eh=5V, Ih=10A, Epmax=2500V, Ipave=6.4A。サイドの電極はSGです。

三菱5G72.jpg 三菱製5G72。規格は672と同じだと思います。 

東芝4G23.jpg 東芝製4G23。ソケットはUXです。 

Motorola KS19699 Thyristor.jpg モトローラ製KS19699-L

実はサイラトロンじゃなく,サイリスタです。箱に "SOLID STATE THYRATRON" とあります。WEへ納入されているので,KS番号となっています。なお,Western Electricと書かれていても,KS番号のものは外部調達品です。これは製造はモトローラです。

おそらく,672などのサイラトロンの代用品として1970年代に製造されたものでしょう。シリコンDiが実用化されると,整流管の置換用として真空管のソケットを持ったシリコンDiが発売されました。私も5R4GYの代用品とか,WEの412Aの代用品を持っています。増幅用にFETを用いたFETRONなんかも有名ですが,サイラトロンにこんな代用品があるとは知りませんでした。 

Motorola KS19699 Thyristor箱.jpg 箱です。


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ワイドFMがはじまった~既存のラジオのFMバンドの変更~ [ラジオ]

2015年12月7日の日記

ニッポン放送聴取位置.jpg FMでニッポン放送を聴いてます。

今日,関東地区でもFMでのAM局の放送が始まりました。TBS,文化放送,ニッポン放送のAM3局がFMで同時放送を開始しました。昨日から東京へ出張だったので聴いてみました。

これは,2011年7月にTVがデジタル放送に完全に移行し,それまでアナログのTV放送の1ch.~3ch.が使っていた90~108MHzが空いたため,その有効活用として民放各局が求めていたものです。

実際,都市部ではマンションなどの鉄筋構造の建物に住む人が多いこともあり,家の中でラジオが聴けない,という苦情が寄せられていたこともあります。特に,近年ではインバータ制御のエアコンやデジタル機器が増え,これらの機器は中のクロックにより動作するため盛大なノイズを発しますし,ACアダプタなども昔はトランスを使った3端子レギュレータなどのアナログ電源? だったのに近年ではスイッチング電源が主流となっては家中ノイズだらけという状況で,家の中で元々ノイズに弱いAMは聴けないという状況です。

私の家は木造ですが,それでもこれらのノイズにより満足にAMは聴けない状況です。マンションだと電波が遮られるし,余計ひどいでしょう。鉄骨を伝わってノイズがばらまかれる,ということもあると思います。

一方,そもそもラジオが聴けない,という状況では聴取者が減り,CM収入に頼る民放では聴取者の減少は広告料の減少につながり,死活問題です。なおさらインターネットの普及で既存の電波メディアの存在価値が下がり,特に音質の悪いAMラジオはそれこそ存亡の危機というべき状況ですからね。それでAM局がFMでの放送を望むこととなったのだと思います。

ということもあったところへ,東日本大震災もあり,総務省では災害発生時の電波メディアによる情報提供も重要だと考え,2014年1月にAM局のFM帯での放送についての指針をまとめ公表しました。

確かに,radikoなど,ネット放送も普及している状況では今さら電波メディアでラジオを聴く必要もないですし,私もパソコンで仕事しながらラジオをradikoで聴くのが普通になっています。 といって,災害時にスマホやパソコンが動くか,というとそんなことは考えられず,やはり昔ながらのラジオが災害には断然強いので,電波メディアの存続を図る,ということも政策のひとつなのでしょう。当然のことだと思います。

ということで,2014年12月の北日本放送と南海放送を皮切りに各地で民放AM局のFM帯での同時放送が始まっています。3大都市圏では名古屋が一番早く,今年10月1日の本放送開始です。関東は今日です。関西地区は来春というところまでは決まっているようですがまだ具体的な期日は決まっていないようです。

さっそく,ラジオマニアの私は聴いてみようと思いました。

ところが,ラジオマニアなのにFM帯で108MHzまで入るラジオは手持ちがありません.......orz。

実はラジオのコレクションは全部実家においてあり,今,手元にあるラジオで108MHzまで聴けるのはありません。

海外のラジオだとほとんどFMは88~108MHzのもので,海外で買ったラジオだとワイドFMを聴くことができます。私も何台か持っています。FMはバンドの変更をしないとあまり日本の局は聴けません。特に,日本のFMはすぐ上にTVがあったこともあり,IFによるイメージ妨害を警戒してか85MHz以下の局が多すぎて,海外のFMラジオは日本に持ってくるとほとんど使えません。85MHz以上の局がある地域はTVの1ch.がなかった地域でしょう。実際,α-STATIONエフエム京都が89.4MHzなんてかなり高い周波数にあるのに対し,愛知県ではNHK FMの82.5MHzが最高です。 関西は1ch.はありませんでしたが,中京地区は東海TVが1ch.を使っていたせいでしょうか。なお,TVは関西が偶数のチャンネルで,中京地区が奇数というのはもちろん,混信を避けるためでした。

それに,余談ですけどNHKのFM局はどんな基準で置局されているか,というと驚くべき事実に気がつきました。

ラジオ深夜便で1:00以降はFMでもやっていますが,ある日,アナウンサーが "ラジオのバンドをFMに切り替えてください。ダイヤルを少し右に回すとお近くのFM局があります" なんて言ってました。そ~ゆ~決め方だったんですくゎあ~~っ!?

確かにダイヤル式のラジオでやってみるとどこでもこんな感じです。昔は民放のFMなんてほとんどなくて,FM帯はがらがらだったからNHKが勝手にこんな風に決めたのでしょう。 

ちょっと脱線しちゃいました。 

一方,海外製のラジオのAMはフィルタの帯域幅が広く,とてもHiFiなので愛用しています。なお,FM帯のバンド変更はアナログチューニング(バリコン)のものは可能で,自分でバンド変更をして聴いています。 

ところが,このせいでせっかく海外製のカナダMagnasonic社製のMM176Kというラジオを持っているのに,バンド変更をしてしまったので,今はワイドFMが聴けません。

このバンド変更は日本のラジオ用に88~108MHzだったのを76~90MHzにするもので,私のMM176Kでの改造で77.4~90.9MHzが受信できます。いずれこいつもきちんとワイドFM対応の周波数変更をしたいと思います。

また,TVが聴けると称して,76~108MHzになっているラジオが昔ありました。これだとワイドFMは聴くことができます。ただ,PLLシンセサイザ式のものだとTV帯でも0.1MHzピッチで移動できるものはOKですが,1ch. 2ch. 3ch. となっていて周波数が固定されているものはだめです。ちなみにTVの音声周波数はそれぞれ95.75,101.75,107.75MHzでした。これじゃ聴けません。 

ほかに聴けるラジオはないかと探してみますと,ソニーのSRF-18がありました。小型でありながらスピーカを2つ搭載し,スピーカでステレオで聴けるのはとてもうれしいです。感度も音もよくお気に入りです。ただ,これ,AMステレオに改造しようと買ったのですが,残念ながらAMのIFを取り出すことができず,あきらめました。

しかし,このラジオ,FMは76~90MHzで,ワイドFMに対応したものではありません。もっとも,アナログチューニングのFMラジオの場合,少し余裕があり,90MHzより少し上まで聴けるはずです。というのはFMもAMも電波には帯域幅があり,ぎりぎりの同調範囲とすると周波数帯ぎりぎりの局は聴けなくなってしまうからです。 

実際,ダイヤルを回してみますと90.5MHzのTBS,91.6MHzの文化放送までは聴くことができます。 とてもHiFiで,美しい音を楽しめました。残念ながら93.0MHzのニッポン放送は聴くことができません。もしかして,TBSと文化放送はこれを狙っていた......? のでしょうか。

という次第で,今日は本格的にソニーのSRF-18を調整してワイドFM対応ラジオにしたいと思います。 

アナログチューニングのラジオの場合,最終的に同調範囲の調整をして出荷されています。最近は部品代より人件費の方が高いので,アナログチューニングのラジオの方が部品代ではPLLシンセサイザ式のラジオより安いのに非常に数が減っているのはそのせいです。今回,その調整をやり直してFM帯を拡張したいと思います。

でも,これは非常に大変です。相当電気に詳しい人でないと勧めません。メーカの保証もなくなりますし,調整を誤ると使い物にならなくなりますので,自信のある人以外はおやめください。

まずはばらします。フタにねじがありますので,それを外します。ソニーは親切にねじの位置が "" で示されているので楽です。電池箱の中にもねじがあることが多いので気をつけます。やはり電池箱の中に4本ねじがありました。

SRF-18内部.jpg 電池箱の中にもねじがあります。

ただ,ねじを外してからが大変で,なかなかフタが外れません。なんと,表側のボディと両面テープで貼り付けてありました....。

SRF-18 FM antenna.jpg  FMアンテナの電線を外します。

SRF-18内部1.jpg ようやくフタが外せましたが.....。

ようやくフタが外れますがこれでも調整はできません。残念ながら,基板はボディ表側に固定されていて,表のボディを外さないとバリコンが調整できません。

何とか基板を外して,バリコンのトリマを見つけます。調整するのはただ1カ所,基板上に "FM OSC" と書かれたバリコンのトリマコンデンサです。

SRF-18バリコン周辺'.jpg

   このトリマです。今の羽根の位置に印をつけておきませう。

FMに限らず,スーパーヘテロダイン方式のラジオは同調回路が2つあり,ひとつはアンテナ入力部で,もうひとつは中間周波数だけ離れた周波数を発振する局部発振器の同調回路です。

ラジオの受信周波数 fin は局発の周波数 fosc で決まります。 fin=fosc±fif です。fifはIFの周波数で,AMは455kHzで,FMは10.7MHzと決められています。AMの場合,PLLシンセサイザ式のラジオなどでは450kHzのことが多いですし,カーラジオでは半分の227.5kHzのこともありますが,FMは10.7MHzがほとんどです。

また,±の符号は普通は-のみです。これを上側ヘテロダインと言います。受信周波数より高い周波数を発振させるのが普通です。AMだと990~2060kHzを発振させるわけです。これが逆に下側ヘテロダインだと80~1150kHzを発振させることになり,周波数は14倍です。バリコンの容量はこの2乗に反比例しますので,約200倍の容量変化が必要です。こうなると1個のバリコンでは無理で,2個以上のバリコンを組み合わせないとAM帯全部がカバーできないことになります。上側ヘテロダインだと容量変化は4倍程度でOKですから,AM帯では上側ヘテロダインが使われます。

ところが,FMの場合,諸外国は+で上側ヘテロダインを用いて98.7~118.7MHzを発振させますが,日本だけはFM帯が76~90MHzと変な周波数帯なのにもかかわらず,さらに局発は-を使い,下側ヘテロダインで設計されています。という次第で,日本で使用されるFMラジオの局発は65.3~79.3MHzで調整されています。

何でこうなのか,というと日本の場合,すぐ上にTVの周波数帯があり,FMラジオの局発がTVの受信周波数に影響を与えてしまうからなのです。でした,というべきでしょうけどね。

なんか本当に日本だけ,FMの周波数はおかしいのに,局発まで変な設計になっていて困ってしまいます。

そこで,今回はこの調整をやり直すわけですが,受信周波数の上限を高くするだけなので,局発の周波数を少し上まで発振させればよい,ということになります。

さて,ワイドFM対応にするには実際,どこまで周波数を上げればよいか,ということになります。

総務省はワイドFMには95MHzまで割り当てており,そこから上はマルチメディア放送といって映像や双方向通信を行う放送が始まる予定です。地デジで使われている方式と同じものです。

といって,95~108MHz帯でマルチメディア放送が始まるからといって,従来のFMラジオで聴けるようにはなっていません。変調方式はデジタル変調で,周波数変調(FM)ではないので聴くことができません。

という次第なので,FMは76~95MHzにできればそれでよい,ということになると思います。 

そうは思うのですが,ソニーやPanasonicなど,ワイドFM対応と謳っているラジオのFMは76~108MHzとなっています。何でかわかりません。

私も一応,108MHzまで対応できれば,と思いましたが,実際はそこまでは調整できませんでした。ここまで対応するには局発コイルの調整か,あるいは取り替えが必要で,あきらめました。うっかりコイルまでいじってしまうと全部の調整をやり直しになってしまいますので。

テストオシレータ.jpg 

テストオシレータで90MHzを発振させ,まずはラジオのダイヤルを一番高い方に回して90MHzを受信することを確認します。特にラジオと接続するまでもありません。テストオシレータに送信アンテナ代わりの短い電線をつけて発信させるだけでOKです。

実際,SRF-18でも一番右に回して90MHzがきれいに受信できることを確認しました。

次はバリコンのトリマをいじります。その前に,FM OSCと書かれたトリマの現在の羽根の位置に印をつけておきます。うっかり調整し損なっても元に戻せるようにしておきます。

これをすこし左に回し,できるだけ上の方の周波数が高くなるようにします。本機では98MHzくらいまであげることができました。

あとはこの状態で,基板にANTとあるところに1mくらいの電線をつないで実際に放送を聴いてみます。

無事にニッポン放送が聴けます。さらにダイヤルを高い方に回すことができますので,成功です。98MHzくらいまでは受信できそうです。

こうしてふたを閉めて完了です。無事にワイドFMが聴けるようになりました。

なお,こうすると当然ながらダイヤルがずれてしまい,いままで聴いていた位置とは異なる位置で受信しますので,ご注意ください。ダイヤルをプリンタで印刷して書き直す,ということとも考えましたが,まあ上限が95MHzになったくらいで,ずれはたいしたことないのでやめました。 

また,この調整法はアナログチューニングのラジオ共通の調整法です。ほかのラジオで無事にバリコンにアクセスできる状態ならこの調整法でワイドFMを聴くことができます。もっとも,最初にお断りしたとおり,よほど自信のある方でないとおすすめしません。 

それにしてもAM局がFMで,しかもステレオで聴けるので最高です。来年の夏はナイターをステレオで聴くことができるでしょう。AMステレオ開始時にはTBSが大相撲の中継をやっていて,折から若貴全盛の頃で,大相撲がとても人気があった頃でしたから,私もTBSのAMステレオ中継を聴いて楽しんでいました。またステレオで聴けるようにならないでしょうか。

でも,ちょっぴりラジオマニアとしてはAMの地位が下がりそうで,残念です。ワイドFMを聴いた人はもうAMには戻れないらしいですが,確かに,という気がします。

今後,AM帯での放送をやめてFMに移行する局も出てきそうです。 実際,日本の民放は戦後の開始なので,古い局だとAMの送信塔が経年60年といったところで,減価償却が終わる頃です。送信塔を建て替えるくらいならAMやめちゃえ,と考える局が出てきてもおかしくありません。とはいえ,AMの送信エリアとFMじゃ,断然AMの方が広いので,FMで中継するにはたくさんの中継局が必要になるのでそう簡単じゃない,という気はするのですが,今,日本中にボコボコ建っている携帯電話の基地局を借用すればFM中継局の問題は解決します。もしかして,携帯電話の会社と結託してAMやめちゃうところが出てくるかも.......。そのうち,AMはNHKだけ,という時代が来るのではないかと危惧しています。そして,誰もいなくなった......。

日本を含むアジア圏やアフリカ圏のAM局の混信や周波数不足が問題となり, 1978年11月,国際電気通信連合の国際主管庁会議でアジア,アフリカ,欧州圏はAM局の置局間隔が従来の10kHzから9kHzに移行することが決まりました。そのとき,先進国はAMをやめてFMに移行する,という議論がありました。あれから30年を経て,先進国はFMへ移行していくのでしょうか。実際,英BBCもAMで5局あったのを順次,FMに移行しています。ちょっと調べてみたらAMはもう1局だけのようです。なんか,英国のアマチュアラジオの団体BVWSがBBC-4のFMへの移行について反対していたのが昨日のことのように思い出されますけど。それに,そもそも欧州ではFMすらやめてデジタル放送(DAB)に移行することになっています。

日本ではFMのデジタルへの移行は断念することとなりました。FM東京ではマルチメディア放送を開始する予定です。将来,FMをやめてマルチメディア1本にする戦略があるのでは,と思います。と言っても,マルチメディアの先駆け,NTTのNOTTVは私の予想通り赤字続きで来年夏には早々に放送終了です。儲かるわけないと思ってました。ネット配信もあるし,単純にマルチメディアが成長する,というわけでもなさそうで,FMの次の世代は不透明です。そんな混乱の中,AM局は今後どうなるのだろうと考える今日この頃です。


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AMステレオラジオ 積水化学ミニオの紹介 [ラジオ]

2014年11月3日の日記

積水ミニオ.jpg 元箱と説明書です。

AMステレオが好きで,ラジオを集めたり自作したりしています。1992年から始まった日本のAMステレオ放送は20年を経過し,放送終了する局が増え,消えていこうとしています。radikoも普及し,スマホでノイズもなくステレオで聴けるようになったので不要となったかもしれませんが災害の時は携帯はつながりませんし,ラジオというメディアでやはりHiFi化を目指してほしいものです。 また,在京の放送局などはFMでのサイマル放送も進めていて,先頃,ニッポン放送などに予備免許が交付されました。もっとも,アナログTVの放送終了で空いた90~108MHzのバンドでの放送なので,普通のFMラジオでは聞くことができません。

と言うことで昔からAMステレオのラジオを集めていますが,どうしてもまだ入手できていないのが積水化学が発売したミニオです。たくさん売られていたし,割に人気があったラジオだと思いますが,うっかり入手し損ねました。

ラジオ自体は中国製で,ツインバード工業のプチオと似たスタイルですが,こちらの方が小型です。また,プチオはオーディオ出力に新日本無線のNJM2073Dを使っていて,このICはとてもポピュラーなICで入手も容易なのですが,どうもイヤホンのインピーダンスがあわないとノイズが出るようで,付属のイヤホンを使う場合は問題ないのですが,手持ちのを使ったらホワイトノイズのような広帯域のノイズが出ました。ミニオはそんなことはなくHiFiでした。

早速分解して中を調べます.....(^^;)。

積水ミニオ2.jpg 中は中国製部品で占められています

製造は中国で,この場合でも日本製の部品が多かったりするのですが,ケミコンやバリコンなどは中国製でした。IFのフィルタはムラタのようです。

残念ながらここまでバラしましたが,AMステレオのICやヘッドホンアンプのICは基板の裏側に取りつけられているようです。AMステレオのICはモトローラのMC13024DWで間違いないと思いますが,ヘッドホンアンプは何かわかりません。どうも基板は接着されているのか,外すことができませんでした。

バーアンテナは▲の写真のように小型のものですが,なかなか感度よく,快適です。肝腎のAMステレオもちゃんと安定して再生できました。

積水ミニオ3.jpg 外観です。

積水ミニオ1.jpg スイッチはステレオ/モノの切り替えSWと兼用です

なかなかステレオだと拡がりもあり,臨場感もあって,音楽などもとても聴きやすいです。このような素晴らしい技術が廃れていくのはとても残念です。

 


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Cherry 6石スーパートランジスタラジオキットCK-606の組み立て 【シリコントランジスタ版】 [ラジオ]

2014年9月7日の日記

2年前,Cherryの6石キットCK-606をゲルマニウムトランジスタで作りました。もちろん,オリジナルはシリコントランジスタ使用で,2SC1815を使用しています。天の邪鬼な私はそれじゃおもしろくない,ということでゲルマニウムトランジスタを使って組み立てました。多少の回路変更が必要ですが,無事に動作し,今も楽しんでいます。

私が作ったゲルマニウム版のTrのラインナップは 

2SA49(Osc.)--2SA49×2(IF)--1K60(det.)--2SB400(audio)--2SB134(output)

です。いずれもまだ比較的入手しやすいゲルマニウムTrを使いました。メタルキャンの円筒形のTrが並ぶ姿はとても懐かしく,またラジオ自体の感度も非常によかったので,お気に入りのラジオとなりました。改造に関する内容は上記リンクをご参照ください。

ところが,まだシリコンTrでは作ったことがありません。ラジオはゲルマニウムTrの方が音がよい,と言う話もあり,一度,シリコン版を作って比較したいと思っていました。

そこで,週末に秋葉原ラジオデパート3Fのシオヤ無線へ行ってキットを購入してきました。

ところが,開けてびっくり。Trは2SC1815から2SC3198に変わっています。どうも韓国KEC製のようです。TO-92タイプの小信号用Trがどんどん製造中止になっていて,とうとうここまで来たか,という感じがします。2SC1815は昨年,製造中止になりました。そのせいでしょうか。もっとも,前回のブログにも書いたとおり,2SC1815の東芝の代替推奨品は2SC2712で, リードタイプのTO-92型じゃなく,表面実装のTrになっています。2SC1815が製造中止になったので,急遽,リードタイプで入手可能な品番に変わったようです。

と言って,天の邪鬼な私は最初からキットに付属しているTrで作るつもりはなく,シリコンTrでも古い物を使おうと考えていました.......。なんてやつ!

トランジスタラジオと言えば.....,やはり2SC372ですよね! (じじいだな....。)

私が中学生の頃,電子工作と言えば2SC372が万能で,ラジオをはじめとしてインタホンやトランシーバ,風呂の湯面計などありとあらゆる電子工作の定番でした。メーカが東芝で,私の住んでいる北陸の田舎のようなラジオ屋さんでも簡単に手に入る,と言うことも理由の一つだったと思います。当時,地方のラジオ屋では扱っている半導体は東芝が主体で,NECですら入手は難しかったくらいです。もちろん,松下やソニーの半導体なんて手に入るはずもなく,こういう半導体を使っていると東芝の同等品を使わざるを得ませんでした。10WのA級アンプを作ったとき,2段目の主要なTrにソニーの2SC1124が指定されていましたが,手に入らず,結局,東芝の代替品(型番は忘れてしまいましたが,CQ出版のトランジスタ互換表を見ると2SC1625だったようです)を使った記憶があります。ソニーファンの私はこれがおもしろくなく,できあがったアンプも気に入らなくてそのうちに解体してしまいました。

まあ,極端な話,TrはPNPかNPNかを間違わなければたいてい,問題なく動くものなんですけどね.....。2SC1124の代わりにNECの2SC959でも使っておけばよかった,と言う気がします。

と言う次第で,このCherryのキットに使用するTrは何にしようかと迷いましたが,やっぱり2SC372にしました。部品箱を探すと,いにしえのTrが出てきました。ハンダ跡のついた中古品もあり,昔遊んだんだな,と感慨深いものがありました。

驚いたことに,私が中学の頃買った2SC372は銅のリード線を使い,表面には金メッキが施されていました。もちろん,TO-92のようなかまぼこ形のモールドじゃなく,シルクハットみたいにつばのついた懐かしい形です。ロゴもToshibaの筆記体で書かれている物でした。懐かし~~!

私が大学に入った頃にはもう忘れられた存在になっていて,形状も普通のかまぼこ形のTO-92に変わり,リード線も鉄になって表面のメッキもスズメッキに変わっていました。リード線が鉄のものは打ち抜きで作るので断面がになります。丸い銅線の方がいいですね。オーディ用のTrだとなおさらで,断面がだと憂鬱になります。おそらく,シルクハットタイプは70年代の物だと思います。

2SC372, 2SC3198.jpg 

   昔懐かしい2SC372。一番右はキット同梱の2SC3198

いくつかバリエーションがあるようで,シルクハットタイプでもロゴが単にTとだけ表記されているようになったものや,リード線もスズメッキの物もあるようです。 

それにしても,こういう安い半導体にもわざわざ金メッキを施していた時代があったとは驚きです。コストのためか,銀メッキしたTrも出てきますが,空気中の硫黄酸化物と反応して硫化銀を生じて表面が真っ黒になり,それがモールド内部にまで侵食するのか導通不良になることも多く,ラジオの故障の原因になります。BCLラジオに多用された三菱の2SC710なんか,そうですね。私の手持ちのソニーのV-FET2SK79もそうです。

2SC372は万能の低周波用Trとして,AMラジオやトランシーバなどに使われました。もちろん,低周波用なのでHiFi用としても使われるTrで,実際,あるときHiFiアンプに使用されている記事が出ましたが,さすがに2SC372=ラジオというイメージがあって敬遠してしまいました。やはり低雑音のHiFi用なら2SC1000とか,2SC1222(古っ~!)とかじゃない,と思ったものです。

さて,Cherryのキットは今でこそ新しい品番の物になっていますが,説明書に載っている写真を見る限り,やはりシルクハットの形状のTrが使用されていて,初期の頃は2SC372だったと思います。ただ,局発は2SC371で,出力は2SC735かもしれません。2SC371はfTが150MHzで,むしろ2SC372より低いのですが,規格表を見ると中波帯周波数変換用となっています。残念ながら部品箱をひっくり返したら2SC371は出てきましたが死亡していました........orz。2SC735は出てこなかったので,仕方なくオール2SC372にしました。ちなみに▼を見ると2SC372はfTが200MHzもあるので,FM用としても使えるはずですが,FMラジオに使われているのは見た記憶がありません。

VCBO  IC  PC  fT       用 途

2SC372 60V 0.15A 0.4W 200MHz 高周波,低周波増幅

2SC735 35V 0.4A 0.3W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

2SC1959 35V 0.5A 0.5W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

この規格を見る限り,出力用には2SC735の方がICが大きいのでよさそうですが,2SC372でも問題ありませんでした。将来,シルクハットの2SC735が手に入ったら差し替えてみようと思います。なお,2SC19592SC735の互換品です。2SC1959でもよいのですが,形状がTO-92です。やはりシルクハットのものを,と考えました。こだわりすぎ!

さて,組み立てはゲルマニウムTrの場合は電源やバイアス回路の変更などが必要ですが,今回はシリコンTrを使っていますので,まずはキットの通り組み立ててみますが,調整のため,局発やIF出力の波形がモニタできるよう,テスト端子を設けておくと後々,便利です。

素直に組むことにすると大体1時間半~2時間くらいで全部の配線が終わってしまいます。 

基板2.jpg 内部

T.P.とあるのはオシロのプローブ用のテスト端子です。あらかじめ設置しておくと後が楽です。 バーアンテナのコイルは調整前の状態で,調整後はずっとバリコン寄りになりました。

基板1.jpg 懐かしいTrたちの姿です

さて,配線が終わったらここでコーヒーでも飲むか,昼寝でもして(おぃ),休憩します。このまま即通電,なんてことをやるとロクなことはないと思います。ところが,今日はこのまま先に進んだらやっぱりロクなことはありませんでした......。

最後に配線チェックしていよいよ電池をつないで通電します。

ガリッとスピーカから音がしますので,低周波部はOKのようです。ところが,バリコンを回してもウンともスンとも言いません。いやな予感がします。普通,AMラジオ特有のガー,ガー,バリ,バリというような雜音がするはずですが,それもしません。

こういう場合,まず疑ってかかるのはスーパーのラジオだと局発が動作しているかどうかです。

早速,先ほど設けておいたテスト端子にオシロのプローブをさして確認します。オシロのプローブ自体に容量があり,局発の周波数に影響を与えますので,今回はTr1のコレクタにテスト端子をつけておきました。

局発波形.jpg オシロでの確認状態

オシロで見てみると局発はちゃんと動作しているようです。う~ん,原因はほかのようです。とりあえず,局発は動作していることがわかったので,この状態でトラッキング調整をしてしまいます。

バリコンを一番低周波に回し,OSCコイル(赤)を回して985kHzを発振するようにします。今回,IFは450kHzにしましたので,535+450で985kHzです。

次に,バリコンを一番,高周波の状態にし,OSCコイルにパラに入っているバリコンのトリマ(O)を回して2055kHzにします。

これを何回か繰り返して局発が985~2055kHzの範囲で発振するよう調整すればOKです。

次に,シグナルジェネレータを接続し,450kHzで発振させます。この状態でオシロをIF出力につなぎます。検波段のIFTは黒です。セラミックフィルタを使っているとこの調整は楽で,放送局を聞きながら音量が最大になる位置に固定すれば自動的にIFは450kHzとなりますが,セラミックフィルタを使っていない場合はSGが必要となります。SGをお持ちでない場合はC-MOS ICとセラミック発振子を使った簡単な発振器を作っておくとよいと思います。

正常ならばIF出力が最大になるよう,各IFTのコアを回せばIFTの調整は終わりです。

この状態でIFの出力を順に局発から見ていくと,2段目の出力が0でした。

電源を切って,Trが死んでいるかもしれないのでチェックします。今回は私が中学の頃使っていた古いTrを使っていますので,前回,飛ばしてしまった物を使っている可能性があります。

基板の裏から,各Trのピンにテスターのリードを当て,ダイオードチェックをします。P-N接合の順方向電圧をチェックすればDiやTrが生きているかどうかわかるので,デジタルのテスターにはたいてい,この機能があります。ダイオードの記号がついた位置にダイヤルを合わせて,P-N接合電圧をチェックします。

具体的には,NPNのTrの場合,ベースに赤リード線を当て,エミッタ,コレクタに黒のリード線を当ててチェックします。Trが生きていればベース~エミッタ,ベース~コレクタ間の電圧は0.6Vくらいになるはずです。PNPだとリード線は逆になります。

こうやってチェックしますと無事にTrは生きていました。となると.....。

結局,原因はハンダ付け不良でした。中古のTrを使っていたので,リード線が少々短く,基板の裏側にあまり顔を出していなくてハンダがあまり着いていなかったようです。ガクッ。

あまりに簡単な原因でした。ガキの頃からハンダ付けやってますが,いまだにミスをします.....(^^;) 。

これでラジオが動作するようになりました。IFTのコアを調整してとりあえず終了です。

この時点でどこか局が入るはずです。静かにバリコンを回してみると元気に地元の民放が入りました。

ただ,バリコンを回していくとところどころでビュッ,ビュッと大きな音がしますし,無音になるところもあります。発振です。

たいていはIF段の発振なので,IFTの1次側の負荷抵抗を下げてやります。パラに100kΩ位の抵抗を配線してやると直ります。実際,前回のゲルマ版はIFT-1,IFT-2ともに100kΩをパラにしています。今回は両方やるとゲイン不足で音量が小さくなりましたので,IFT-2のみパラにしました。こうやって発振は止まりました。なお,検波段のIFT-3はもとからQが低く,ここは抵抗をパラにしなくても問題はないはずです。

それと,特にやる必要はないのですが,バーアンテナのQも下げてやります。バーアンテナとバリコンの間に30Ωを挿入しました。▲の内部写真で30Ωとある抵抗です。こうやるとQが下がって帯域幅が広くなり高音が出るようになります。また,同調もやりやすくなります。これを入れないと同調はきわめてピンポイントで,やりにくいと思います。 

また,CK-606はバーアンテナが途中で変わったらしく,前回のゲルマ版では発振に手こずりましたが,今回は大丈夫でした。 

このあと,バーアンテナのコイルの位置を調整して終わりですが, これが難航しました。1300kHzくらいの民放はガンガン入るのに,700kHzくらいのNHK第1が入りません。やはり高周波になるほどバーアンテナのQが上昇するのでこうなるのは仕方ないですが,NHKが入らないのは困ります。

原因がわからず,しばらく放置していましたが,気を取り直してもう一度トラッキングを調べてみます。

なんと,局発の下限を885kHzで調整していました。100kHz間違えていたわけです。とうとう算数までできなくなってきたようです.....。 

ここまできたらバーアンテナのコイル(L)の位置を変化させて,低い周波数の局も高い周波数の局もまんべんなく感度よく入る位置に固定します。この調整を辛抱強くやらないと特に低い周波数にある放送局がきれいに入りません。これが終わったらコイルをエポキシか何かで固定しておきましょう。 最後にバリコンのアンテナ側トリマ(A)を調整して一番音量が大きくなる位置で固定します。

さて,ようやく無事に動作するようになりました。

ただ,これじゃちょっとおもしろくない。相変わらず天の邪鬼な私はパイロットのLEDをつけることにしました。ゲルマ版と差をつけたいですしね。と言って,単純に電池から抵抗で電流制限してLEDを挿入するだけだと電池の消耗につながりますので,以前,英国Mullard社の初期の黒いロケット型のTrを使ったラジオで試した方法を使います。 局発~低周波増幅の間のA級増幅段向けの電流を供給する回路に,このキットで言うとR11に220Ωの抵抗が入っていますが,この抵抗の代わりにLEDを挿入しました。この部分の電流値は2mAくらいですので,十分LEDが点灯します。本当言うと同調指示用のLEDの方がよいかと思いましたが,これは宿題とします。でも,結構,こういう "光り物" があると楽しいものです。

完成写真.jpg  完成しました。パイロットランプをつけました。

やはり前回のゲルマニウムTr版同様,やはり非常に感度がよいです。キットとはいえ,十分に実用ラジオになる感度です。市販のラジオでもこれくらいの感度があるものはなかなかないと思います。肝心の音の方は先月のブログのソニーSRF-18はなかなかいい音でしたが,このラジオはスピーカがあまりよくなく,キャンキャンとトランジスタラジオ特有の音がします。ゲルマニウム版と聞き比べをしようと思いますが,片付けてしまったのでまた次回です。

では,皆様,ごきげんやう,さやうなら。

 

2014年9月15日追記

同調指示LEDをつけることにしました。単なるパイロットランプじゃつまらないですからね。

でもかなり難航しました。AVCラインから取ればいいかと思いましたが,実測してみると数mV~100mV程度の電圧で,LEDを点灯できるほどの電圧じゃありません。Trを用いてスイッチングしようとしてもまだ電圧が足りません。それに,AVCの電圧は-で,ちょっと利用できるものじゃありませんでした。

仕方ないので,別途,検波回路を設けることとし,1段増幅して2段目のTrをスイッチングすることとしました。初段のTrで増幅した後,検波し,1MΩと10μFの時定数で平滑化して2段目のTrをonします。Trはいらない子? の2SC3198を使いました。 

LED同調指示回路1.jpg 同調指示回路です

LED基板.jpg 基板を作りました

LED基板実装状況.jpg 実装状況です

残念ながら,Tr1段ではまだゲイン不足で,もう1段ないと感度よく点灯してくれません。Trを追加してもよいですが,実装が厳しくなるので,やはり ICを使った方が楽な感じです。ICを使った感度よい同調指示回路を検討してみます。

 

2014年12月1日追記

2SC371および2SC735を入手しました。オリジナルのシルクハットタイプでした。まだ入手可能です。

2SC369,371,372,734,735.jpg 懐かしいTrたち

左から2SC3692SC3712SC372(2種),2SC7342SC735 

早速,取り替えて使っています。全部2SC372というのもちょっとね~と思っていたので満足です。 ただ,部品屋さんの廃業もあいついでいますし,ディスクリートの部品もどんどん製造中止になっているので,こんな贅沢ができるのも今のうちのようで,残念です。


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モトローラMC13028を使ったAMステレオデコーダの製作 [ラジオ]

2014年8月23日の日記

MC13028A1.jpg モトローラ最後のAMステレオデコーダMC13028です。

モトローラが開発したMC13028を使ったAMステレオのデコーダを作ることにしました。AMステレオはAMラジオの音質改善につながる画期的な技術だったと思いますが,セットの普及が進まず,放送開始から20年を経過して放送終了が近い感じで,非常に残念です。

私の住んでいる地域ではまだ聞くことができますので,今のうちにラジオを作っておこうと思います。

今まで,MC13020を使ったラジオ東芝のTA-8124Pを使ったチューナを作っていますが,モトローラが最後に作ったMC13028を使ったものはまだ作ったことがありません。MC13028は主としてカーラジオやポータブルラジオ用に作られたものと思われますが,幅広い電源電圧に対応し,また,AMステレオに必要なPLLのロックも容易で,とても使いやすいICです。もっとも,高級なHiFiチューナ用にはMC13022が用意されていたので,せっかくオークションで入手した国産某社のチューナにMC13028が使われているのを見たとき,がっかりしました。あとで新品で購入した社の高級チューナにはMC13022が使われていました。

ただ,自作することを考えるとMC13028は外付け部品も少なく,また,調整箇所がないのはほかのICと同じですが,PLLのロックがしやすく,使いやすいICだと思います。

MC13028 AMS decoder.jpg回路図。クリックで拡大します。 

しかしながら,私が入手したのはMC13028ADで,表面実装タイプです。DIPタイプのMC13028APは入手が難しいと思います。 基板もとても小さく作れますが,さすがに表面実装タイプだとハンダ付けが面倒そうです。

仕方ないので,いつも通り "花子" でパターンを作り,OHPシートに印刷して感光基板を作りました。

表面実装のハンダ付けパターンを作って画面上に配置していきます。花子にはグリッドという機能がありますし,単位もインチに変換できますので,0.1インチピッチ(2.54mm)でグリッドを描画すると部品の配置がやりやすいです。ちなみに,DIPだと0.1インチピッチですが,SMDだとその半分の0.05インチピッチです......orz。 

基板作成画面.jpg PCでパターンを作ります。

     画面のグリッドピッチは0.1インチに設定してあります。 

プリントパターンチェック.jpg 一度,紙に印刷してチェックします 

0.001μF(1608size).jpg こんなのどうやってハンダ付けしろって言うの~~っ!

今回,ICがSMDなので,ほかのCR部品もチップ部品にしました。3216サイズ(3.2×1.6mm)や2012サイズ(2.0×1.2mm)だと割に楽ですが,最近は1608サイズ(1.6×0.8mm)のものしか売っていません。 幸い,コンデンサも0.001μFが20個で100円とか,値段が安いので助かりますが,しかし,吹けば飛ぶようなもので,くしゃみすれば一瞬にして終わり....です。そのうち,SMDの部品も花粉みたいに小さくなると思います。春になると中国からチップ部品が風に乗って飛んできたりして......。怖っ!

MC13028A PCB2.jpg 基板ができました。基板サイズは32mm×32mmです。

ハンダ付けは大変で,ピンセットで部品を押さえながらIC用のハンダごてでハンダ付けしますが,やはり専用のピッチ部品用のコテが必要な感じです。ハンダも,通常のヤニ入りのハンダではヤニが多すぎて,いわゆる "テンプラ" ハンダになりやすいので注意が必要です。結局,私は鉄道模型マニアでもあるので,フラックスとして塩化亜鉛を持っているので少し基板に塗りました。塩化亜鉛はハンダのヤニと違ってできるだけ薄く広がるように作用するので,SMDの部品のハンダ付けにはもってこいだと思います。楽にハンダ付けできます。ただ,あとでパターンを腐食する可能性がありますので,完成後,きれいに水洗いしておきました。

MC13028A PCB.jpg  と言って何とかできました.....。

青い部品が3.6MHzのセラミック共振子(ムラタの商品名でセラロック)です。 10μFや47μFは電解コンデンサを使いましたが,実は,セラミックでこの容量のものがあります。あまりにサイズが小さいのと,やはりこれくらいの容量のものだと電解コンというイメージなので,電解にしましたが,ちょっとこれだけの大容量でセラミックとは驚きます。技術が進歩しているでしょうけどね....。すごく違和感があります。

MC13028A test.jpg テストの様子

自作のラジオからIFを取り出してつないでみます。IFは3.6MHzのセラロックを使ったので450kHzにしておかないといけませんが,私はトランジスタやICの自作ラジオはIFは450kHzで作ることにしているので問題ありません。

さて,無事にデコーダができました。これを何に組み込むことにしましょうか.....。

MC13028A PCB1.jpg ステレオLEDも点灯しました。 

【ソニー SRF-18の紹介】

sony SRF-18.jpg ソニーSRF-18

実はこのラジオにデコーダを組み込むつもりでした。

Amazonで本やラジオを買ったりするので,おすすめの商品としてこれが出ていました。2つのスピーカがついたアナログチューニングのAM/FM 2バンドラジオです。今どき,アナログチューニングというのは珍しいですし,なかなかデザインもよいです。それに,使ってみるとAM,FMともに感度がよく,同調LEDもついていて便利です。スピーカがついていますが,さすがに口径が小さいので,低音があまり出ないのでそこそこの音質でしかありませんが,なかなか高音もよく伸びて音もよいです。それと,もう一つ,このラジオのよいのは外部入力がついていることで,ここにスマホやウォークマンを接続するとスピーカから音が出ます。まあ,口径が小さいので,たいした音で聞けませんが,私のようにラジオの実験をしたりする人にはモニタ用のアンプと考えてもいいですし,なかなか使い勝手がよいです。

さすがにもうAMステレオの時代じゃないので,FMはステレオですが,AMはモノラルです。これにデコーダを接続してAMステレオ対応にしようと考えました。

sony SRF-18-1.jpg 大きなバーアンテナが使われています。

AMの感度がよいのはこのように大きなバーアンテナが使われているせいですね。意外にこの辺がお粗末で筐体は大きいのにバーアンテナは小さいのしか入ってなくてAMの感度が足りないラジオが多いのですが,ちゃんと気を配っているのはさすがはソニーさん,と言う気がします。

ただ,どこを見てもAMのIFTやセラミックフィルタが見つかりません。いやな予感がします....。

sony SRF-18-2.jpg 基板の裏側

ICは基板の裏側についています。ソニー製のCXA1129NとA1522という型番が見えます。後者はCXA1522でしょう。

ネットで調べてみるとCXA1129Nはラジオ用のICですが,AMのIFは内部で検波段に接続され,外部へ取り出されていません。こういうICは結構多く,このようなICはAMステレオのデコーダが接続できません。

と言う次第で,残念ながらAMステレオ改造は無理です。改造は可能だと思ったんですけどね....。しかたないので,音のよいラジオと言うことで使わせていただきます。


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ソニーAMステレオラジオ SRF-A100~FMバンド変更~ [ラジオ]

2014年5月13日の日記

昨年,eBayでソニーが1983年に米国で発売したSRF-A100というラジオを落札しました。前回はラジオの紹介だけでしたが,今回は整備します。1年も放ったらかしにしてしまいましたが,せっかくのAMステレオが聴けるラジオですしね。

1982年,米国でAMステレオの放送が開始され,その放送が聴けるラジオとして最初にソニーが発売したラジオです。米国ではAMステレオの方式は5方式が乱立することとなったため,側面に切り替えスイッチがあります。その後,カナダやメキシコでもAMステレオ放送が開始されましたので,これらの国でも発売されています。また,豪州向けにSRF-A200というラジオがあったようですが,見たことがありません。外観はA100とほとんど同じらしく,豪州はモトローラ方式オンリーだったので側面の方式切り替えスイッチがないだけだと思います。

10年後,日本でもAMステレオ放送が始まりますが,そのときに発売されたのはSRF-A300というラジオでした。A100よりずっと大きく,また筐体だけではなく,ツマミ類も大きく,高齢者向けということもあったように思います。正直なところ,A100の国内向けを発売してほしかったと思いますが,A100は多方式対応で日本向けとしてはコスト高になりますし,すでに発売から10年を経過し,新しく設計しなおそう,ということだったのだと思います。

という次第で,貴重なラジオですし,きちんと清掃して整備したいと思います。

やはり問題はFM。AMステレオは日本は米国と同じモトローラ方式なので問題ありませんが,FM放送までも日本はガラパゴス化? していて,バンドが世界標準の88~108MHzとは異なりますので,バンド変更が必要となります。 何でこうなのか,というと90~108MHzにアナログTVの1~3ch.があったためです。そのさらに上の周波数にもとは米軍向けの周波数帯があり,そのせいでTVも含め全体に下の方にずれていました。そういえば,TV放送も1953年の放送開始当初は1~6ch.しかなかったのも米軍が使用している帯域が開放されていなかったためです。

さて,このラジオのバンド変更については,比較的楽です。裏ぶたも簡単に開けられます。

SRF-A100裏ぶた.jpg 6カ所のねじを外します

例によってバリコンのFM局発用端子を探します。

SRF-A100内部.jpg 

内部です。バリコンは基板中央上部にあります。ICはAMステレオデコード用のCXA1017Mと思います。

FMの局発はバリコンの6個ある端子のうちの1つですが,幸い,基板上に "FM OSC" と書いてありますのですぐにわかりました。トリマは普通は端子と反対側にありますが,これもちゃんと基板上に穴を開けて顔を出していて,とても調整しやすいラジオだと思います。

という次第なので,本格的にトラッキング調整をして76~90MHzの日本バンドに変更することも簡単なのですが,後で述べる理由もあり,いつものコンデンサパラ付けで対処することにしました。これだとすぐに元に戻せますしね。 

SRF-A100 15pF.jpg ここに15pFをパラにします

FMの局発周波数は米国の場合,98.7~118.7MHzになっていますので,これを86.7~100.7MHzに変更できれば日本の放送が受信できます。本当なら日本のFMラジオは下側ヘテロダインなので65.3~79.7MHzにしないといけないのですが,こうするときちんとトラッキング調整をしないといけないので,上側ヘテロダインでごまかしてしまいます。世界的なFMラジオは上側ヘテロダインですし,もうアナログTVは放送していないので問題ないと思います。

局発の周波数を13MHzほど下げればよいので,局発のバリコンに単純に15pFをパラにハンダ付けしました。本当いうと13pFくらいの方がよいようですが,77.8MHzの局が入ったのでよしとしました。

ようやくこれで日本のFMが聞けるようになりました。外国向けラジオの例に漏れず,音もよく,なかなかいいラジオだと思います。

SRF-A100外観.jpg FMも聞けてゴキゲンです。

ところで,最近,驚いたのですが,AM局が戦後の民放開始時に建設された送信アンテナなどの放送設備の償却が終わるのと,都会のマンションなどで聞くことができなくなっているため,FMへの移行を検討している,というニュースが出ています。総務省も震災後の電波メディアの存続を図るため,推進の意向らしいです。確かに,鉄筋で囲まれたマンションだとAMラジオは聴けませんし,家中インバータやスイッチング電源だらけ,という現状ではノイズだらけでAMラジオは聞くのが難しいので,個人的にFMでも聞けるというのはうれしく思っています。

そういえば,1970年代にアジア各国でAM局の混信が問題になったとき,先進国はFMへ移行しよう,などという話があり,その時は結局アジア地域はAMを9kHzピッチにしてチャンネルを確保することで決着して先進国のAM局は維持され,実際に1978年に移行していますが,どうもまたその話がでてきたか,と言う気がします。また,DAB(デジタルラジオ)の普及を図るため,英国では2015年には全面的にデジタルラジオに移行することが決まっていましたが,業界の反対もあり,多少延期されるようです。幸い? 日本ではデジタルラジオへの移行はまったく不透明で,民放各局も広告収入が伸び悩んでいるのに巨額の投資が必要でどの局も及び腰なので,近くデジタルラジオについては移行を断念するという声明が民放連からも出るようです。

まあ,これはこれで世界の大勢と帝國の現状? を考えると逆行しているという気もして残念なのですが.....。 

それと,先の朝日新聞の記事を見ると,AM局とサイマル放送する中継局は90~108MHz帯とのこと。何でこんなことするんでしょうか。要はアナログTVの1~3ch.が放送終了し,電波が空いたから,ということなんでしょうが,今のFMラジオで聴けない放送なんて意味があるのでしょうか。AM局を防災用として維持する,というんだったら通常の76~90MHz帯に置局すべきではないかと思います。そもそも,今時,新しいバンドのラジオをソニーさんやPanasonicさんが作ってくれるとでも思っているのでしょうか。

このSRF-A100はこのバンドが聴けるラジオなので,トラッキング調整でバンド変更せず,コンデンサでごまかしたのはこのコンデンサを撤去するともとのバンドに戻せるからです。 

昔は "TVが聴ける" といって,76~108MHzというバンドを持ったラジオがありました。ソニーのAMステレオのついたSRF-AX51VなんてラジオにいたってはTVのハイチャンネル(170~222MHz)まで聞けるようになっていました。今時もうこんなラジオはありません。FMの新バンドのラジオを作ってくれないと,AM局が聴けないなんて,おかしいと思いませんか総務省さん。 


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英Roberts社製Revival 200ラジオのFMバンド変更 [ラジオ]

2014年5月10日の日記

R200 exterior.jpg Roberts revival 200 radio

嫁さんがラジオを聞きたい,というので実家においてあった英Roberts社のラジオを持って帰ってきました。このラジオ,20年ほど前に最初にロンドンへ行ったとき,トッテナムコートロードの電器屋で買ってきた記憶があります。

ラジオが好きなので,海外へ行ったとき,電器屋へ行って,ラジオを買ってくることがあります。海外のラジオはデザインがいいですからね。もっとも,実際に日本に持って帰って使えるかどうか,というのは大きな問題で,FMはまず無理です。というのも世界的にFMのバンドは88~108MHzであり,日本の76~90MHzというバンドと異なるためです。ちょっと前までならアナログTVの1ch.~3ch.を聞くことができましたが,今ではこれすらできませんね。 それに,一応,88MHz~90MHzの範囲なら日本のFMバンドと重なっているのでこのあたりにある局なら聞くことができますが,FMのIFが10.7MHzなので,特にTVの1ch.があったところではIFによるイメージ妨害が出る関係でこれくらいの周波数にFM局があるところはほとんどないと思います。これを避けるため,日本ではFMラジオは下側ヘテロダインになっているのですが,まあ,日本のFMは全然多局化してなかったので,無理に問題が出そうな周波数を選ばなくても,ということもあったのだと思います。

また,海外のラジオの場合,AMも問題があり,欧州は日本と同じ9kHzステップなので問題ないですが,北米地域は10kHzステップなのでPLLシンセサイザ(いわゆるボタン式)のものは日本では微妙に周波数がずれて聞きにくいです。 

ということでアナログ式のものならなんとかAMだけは日本では聞くことができます。もちろん,電源がAC電源の場合は電圧の変換やプラグの変換が必要となります。

さて,このRobertsのラジオは,という次第でもちろんアナログチューニングのもので,デザインもいいので買ってきました。

Robertsという会社は1932年創業の英国のポータブルラジオの名門で,現在でも存続しています。ホームページをみると今でもたくさんのラジオを作っています。ラジオ専業でありながらいまも存続しているということはそれなりに利益を上げているわけですし,欧州ではまだラジオの存在感が高いのでしょう。また,今ではデジタルラジオ(DAB)のラジオをも作っています。日本ではデジタルラジオの将来は混沌としており,いまだに本放送の時期は未定です。自作派としてはアナログのFMが存続してくれないと困るので都合がよいのですが,高音質のデジタルラジオがスタートしないのはちょっと残念な気がします。もっとも,英国の場合も2015年に完全にデジタル放送に移行する予定でしたが,業界の反対もあり,2018年に延期されたようです。

このラジオはrevival 200という型名で,もとは同社が戦後発売した2バンド(中波,長波)トランジスタラジオR200の復刻版です。さらにさかのぼると同様のデザインで真空管式のものがあります。オリジナルのR200は1961年に発売されていて,MullardのゲルマニウムTrOC44OC45を使っています。出力はOC78のプッシュプルです。 これらのMullardの初期のTrはガラス封じの頭が丸いTrで,とてもかっこうよいものです。以前,これらを使って6石のスーパーラジオを作りました。また,後期のものはシリコン化され,AF115AC127といったTrが使われています。よほどこのラジオは人気があったのか,ICを使って復刻版が出て,今ではDABのバンドをつけて4バンドラジオになってR250という型番で売られているようです。私が買ったのはまだデジタルラジオなんて影も形もなかった頃のものなので,FM付の3バンドラジオ(中波,長波,FM)となっています。中は日本製のケミコンが使われていたり,基板は日本製かもしれません。ICを使っていて,ラジオICは東芝のTA8117Nを使っていました。残念ながら,TA8122類似のAM/FMチューナICということがわかりますが,規格表を見つけることができませんでした。

こういう古いデザインを大事にするのはイギリスだな~と感心します。今でも人気があるからなのでしょうが,こういった古いデザインのラジオを復刻するあたり,古いものを大事にする国民性には敬意を払いたいと思います。 

何よりデザインもいいですが,音がよく,AMはとてもAMとは思えないいい音がします。実は,米国製もそうですが,海外のラジオはとても音がよいです。日本はアジア近隣の強力局の妨害を避けるため,極端に狭帯域になったラジオが多く,音が悪くて困ります。それにスピーカも小さく,これじゃニュースを聞くのがやっと,という音質のラジオが多いのは残念です。Robertsのラジオは筐体も大きいし,スピーカはアルニコをおごっていて,とても音がよいです。ただ,残念ながら上記のような理由でFMが聞けません。また,長波はアジア地域では放送されていないので,これも聞くことができません。ただ,ロシア語の放送が入りますので,調べてみるとハバロフスクあたりに長波局があるようです。

欧米のラジオは音もよく,また,欧州のものはこのRobertsのラジオのように筐体が大きく,据置型というような感じのものも多いです。日本は小さくしすぎた,という感じがします。これじゃあまり大きなスピーカが使えないし,音もキャン,キャンと低音が出ず,いい音がしませんね。これはどう言ったところからくるのでしょうか。

日本では所詮ラジオ,という考え方があるようで,ラジオは小型で持ち運びができればよい,ということなんでしょうね。おそらく日本はラジオデイズだった時代が短く,おまけに戦前は官製メディアしかなく,ウソの情報を流したり,政府のプロパガンダに利用されたり,戦後はしばらくしてTV放送が始まったのでラジオが国民の友という意識が低かったためではないか,という気がします。欧米では国王や大統領が直接メディアを通じて国民に話しかけたりすることが多く,ラジオというメディアの地位も非常に高かったので,リスナーのラジオの品質に対する要求が厳しいのだと思います。 ルーズベルト大統領の "Fireside chat" は有名ですし,最近,BSでやっていましたが,映画 "英国王のスピーチ" で,吃音障害のあった英国のジョージ6世が1939年9月3日,対独開戦に際して国民に団結を呼びかけたラジオ放送はとても感動的でした。おそらくたくさんの人がRobertsのラジオでこの放送を聞いたことと思います。

R200 dial.jpg 長波のバンドがあります 

ということで,ちょっと脱線してしまいましたが,やっぱりFMが聞けないのは残念なので,バンド変更を試みます。

R200 inside.jpg 中身です。SPはアルニコです。

電池交換が容易になるよう,裏ぶたが簡単に開く構造になっています。これはオリジナルがバッテリー式の真空管ラジオだったため,A電池やB電池が必要で,その交換が頻繁だったためのようです。基板は裏側になっているので詳しい状況がわかりません....。

ちなみに本機は9Vの電池仕様ですが,英国はPP9という巨大な9Vの電池があり,買ってきたときについていた電池にはびっくりさせられました。スーパーで売っているような小型の豆腐くらいのサイズがあります。今でも売っているようで,また買ってみたいと思います。 日本では売っていないので,006P用に改造してあります。

ただ,残念ながら基板を引っ張り出そうとするとダイヤルの糸が切れそうで,うっかり切ってしまうと後が大変ですから,無理せず,このままの状態でバンド変更できないかと考えました。幸い,▲のように,基板のハンダ面が見えていますので何とかなりそうです。 

国外バンドのFMを変更するにはもちろん,FMの局発のトラッキング調整をすればよいのですが,かなり面倒です。特にFMの場合は空芯コイルになっているので,ドライバーで広げたりして調整しないといけませんし,うっかり変な調整をしてしまうともう元に戻せなくなります。

という次第で,簡単にやる方法として,バリコンの局発側にパラに小さなセラミックコンデンサを配線する方法をとっています。詳しくは私のブログをご覧ください。

ちょっと面倒でしたが,多バンド用バリコンのFM局発用端子を見つけたので,パラに15pFをハンダ付けしました。

capacitor.jpg こんな感じです

無事にNHK FMが入りました。近隣の民放FMも全部入りましたのでOKとしました。本当ならアンテナ入力側の同調回路を調整しないといけませんが,FM帯ではQが低く,特に調整しなくてもよいと思います。また,アンテナ入力回路にバンドパスフィルタが入っていることが多く,本機も松下のPFW84を使っていました。本来ならこれの交換が必要ですが,残念ながら部品屋さんで売っていないのでこれもしてません。あと,米国の場合,プリエンファシスの時定数75μsecなので異なりますが,欧州は日本と同じ50μsecなので問題ありません。米国製のもHiFiのステレオチューナでもなければしなくても,いいでしょう。とても音がよく,デザインもいいので嫁さんも気に入ってくれました。


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日立プラズマTVの修理 [ラジオ]

2014年4月27日の日記

いよいよゴールデンウィークですね。残念ながら仕事が忙しく,どこへも出かけることができません。

そこで,ちょっとたまったビデオでも見ようかとTVをつけると,電源が入らず,画面が出てきません。そろそろ寿命でしょうか。

このTVはW37P-H9000という型番の日立製プラズマTV で,もう,日立はプラズマTVは作っていません。最後まで頑張っていたPanasonicもやはり路線修正でプラズマTVの製造を取りやめると発表したばかりです。 

我が家が地デジに移行するとき,液晶にするか,プラズマにするか迷いましたが,やはり自発光しない素子はダメ,と考えてプラズマにしました。液晶は要は影画で,後ろから白い光を当てて色のついたフィルタで色をつけているようなもので,どうしても黒い部分は少し明るくなり,コントラストをあげようとすると余計に黒い部分が明るくなる,という具合で,あまり映像がきれいではありません。 実際,パソコンの画面なども部屋の灯りを全部消して真っ暗にして黒い部分を観察するとかなり明るく光っているのがわかると思います。これが嫌でプラズマにしました。プラズマTVは画素そのものが光るため,黒い部分は真っ黒です。それに,液晶だと視野角の問題があり,横から見ると色がおかしくなるとか,画が見えなくなるとか,いやな現象がありました。

ところが,液晶の技術も進み,こういった問題は解決されたと言っていいと思いますし,プラズマTV自体のコスト高の方は改善されず,液晶の方が断然,TVセット自体の価格も安くなって差が開く一方であったことから富士通や,それこそプラズマTVのパイオニアでもあったパイオニアが撤退し,日立も2008年度に撤退しました。42インチの液晶TVが3万円ほどで売られているような現状ではしかたないでしょう。それに,その3万円の液晶TVも,私のプラズマTVと比べてみると,そっちの方が画がきれい,という状況ではどうしようもありません。

そのほか,FED(電界放出ディスプレイ)をソニーが,その一種のSEDをキヤノンが開発しようとしていましたが,商品化していません。これらはプラズマTVと同じく,自発光する素子だったので期待していましたが,韓台勢の液晶価格攻勢に太刀打ちできませんでした。

しかし,液晶の天下もあと何年,と言うところですね。早く有機ELのパネルを使ったTVが実用化されてほしいと思います。これが薄型TVの本命でしょう。 

ということで,我が家のTVは今は貴重となってしまったプラズマTVなので,もう少し頑張ってもらいたいと思いました。なにより,貴重なMade in Japanですしね。しかし,嫁はんがTVの買い換えに賛成してくれませんでした。それに,そもそも液晶じゃなくてプラズマ,と主張したのは私でしたしね.....orz。

さて,現象です。

リモコンで電源のボタンを押すと,本体のLEDが赤から緑に変わり,数秒すると画が出てくるのですが,LEDが赤のままで,緑に変わらず,また,画も出てきません。そのうち,LEDも消灯してしまいます。 最初はマイコンが誤動作し,電源を切ってしまうのだ,と思い,TV本体の電源ボタンを入切するとまたちゃんと映るのでしばらくはこうしていました。

ところが,そのうち,全く映らなくなってしまいました。となるとやはり電源の問題ですね。

すぐにピンときました。プラズマTVは発熱がひどく,実際,TVの天板? 部分に手をかざすと夏はもうっと熱気がくるくらいなので,おそらく,ケミコン(電解コンデンサ)が熱で劣化して容量抜けしているのだと思いました。結構,プラズマTVのケミコンを交換した,という話も聞きますしね。

ということで,修理に出そうかと思ったのですが,やはり何日か修理にかかりそうですし,お金も結構かかると思いました。じゃ,自分で交換しようかと考えました。

といって,闇雲にコンデンサを交換するのは面倒です。なにか,ピンポイントでこのコンデンサ取り替え,という具合に一発で修理がすむようにしないと大変です。

それでネットで調べてみると日立のこのプラズマTVの同じ現象で悩んでいる人は多いようで, ブログにも書いている人がいるようです。結局,どのコンデンサかわかりました。

という次第でTVの裏ぶたを外します。感電する危険性があるので,必ずプラグを抜いておき,しばらく放置してからにします。ケミコンに電荷がチャージされていますので,十分ご注意ください。 

あまりにも裏ぶたを留めているねじの数が多いのに閉口します。TV台に固定する部分は六角穴つきボルトなので,六角レンチも必要です。

W37P-H9000内部.jpg 内部 

内部に何枚もの基板がありますが,原因は中央の上部分にあるスイッチング電源です。コネクタの電線を外し,固定しているねじを外し,また,ピン留めされているので,白いピンをラジオペンチでつぶすようにして基板を外します。 

基板(コンデンサ交換前).jpg もとの基板

この現象は中央下の450V,47μFのコンデンサが原因のようです。これが容量抜けして電源が立ち上がらなくなるようです。

また,そのすぐ下に1kV,1000pFのセラミックコンデンサがありますが,日立に連絡するとこのコンデンサを取り替えるようです。どうもリコールのようなことになっているのか,場合によっては無償で交換してくれるようです。

ただ,あまりセラミックコンデンサが容量抜けしたり,耐圧が足りなくて壊れた,なんて経験はありません。ラジオでも結構真空管ラジオだと高圧がかかりますが,耐圧不足で壊れたりしたことはありませんし,相当古いラジオでも容量を量ってみるとちゃんともとの容量があったりしますので,セラミックコンデンサが原因とは考えにくいのですが,念のため,交換しておきます。

C131.jpg C131セラミックコンデンサ(左:オリジナル,右:交換用)

capacitor.jpg 容量はちゃんと表記通りありました。

基板上にC131と表示があるコンデンサです。青色の高圧用セラミックコンデンサです。 耐圧不足で壊れたと思われますので,耐圧3kVのものに交換しました。耐圧が高いと大きくなるのはやむを得ません。ただ,テスターで容量を計ってみますと1015pFあり,表記通りです。絶縁破壊すると容量が出ないと思いますので,やはりこのコンデンサは壊れていないようです。 

そのほか,上の方に2つある,450V,270μFの電解コンデンサも天井部分が膨らんでいて,内部の液体が気化して圧力が高くなった形跡があります。最悪,この天板が破れて破裂し,ブシューッと音がして煙が出る,という状況になります(ふなっしーかよ)。

一応,ケミコンは防爆弁がついていて,内部が高い圧力になるとこれが破れて割におとなしく破裂するはずですが,昔のケミコンや今でも出来の悪いケミコンは大音響とともにものすごい勢いで破裂しますので,ご注意ください。 

当然,容量も抜けていると思われますので,これも交換しておきます。すぐ下に放熱器が見えるので,熱であぶられている状態なのでしょう。

450V, 270μF.jpg 左:オリジナル,右:交換用

メーカは左は日ケミ,右はニチコンでした。高さが違うので要注意ですが,裏ぶたにつかえたりするようなことはありませんでした。 

右上に頭に●がついているコンデンサがあり,これも頭が膨らんでいます。100V,3300μFの電解コンですが,秋葉で3,000円以上するので交換はあきらめました。

基板(コンデンサ交換後).jpg コンデンサを交換しました。

あと,元通り配線を取りつけて裏ぶたを固定して終わりです。無事にLEDも緑に変わり,画が出るようになりました。パチ,パチ.....。

combat1.jpg 何を見とるんじゃ....。(2006年7月)

我が家にこのプラズマTVが来た頃の写真がありました。この子は小三になりました。 画面右上にBS2とあるのも時代を感じさせますね。 "コンバット" を見てます。昔,よく見てたな~。TVも昔は白黒だったなんて覚えている人はもう少ないでしょう。そのうちカラーTVが普及してきますが,番組自体,白黒の放送も多く,「この番組は白黒です。」なんてキャプションが出ることも多かったですね。当時のカラーTVは真空管式で故障が多く,「俺の家はカラーにしたけど,今,白黒で放送しているのか? 」と放送局に問い合わせが来るためだったのだと思います。このコンバットも後のシリーズでカラーになりました。私はサンダース軍曹のファンでした。ヴィック・モローはその後,映画撮影中の事故で亡くなりました。そのときの夕刊の記事を今も覚えています。

2014年6月7日追記

残念ながら,せっかく直ったと思ったのにまた同じ現象が出ました。放っておくとひどくなり,電源が入らなくなります。

さんざん調べてみるとコンデンサをさらに追加しないといけないようです。

基板裏のこの場所に2kV47pFを追加します。修理マニュアルにあるようです。残念ながら47pFがなかったので,27pFをパラに配線しました。そもそも,DIPのピン間隔(2.54mm)のところに耐圧2kVのコンデンサをハンダ付けするというのは絶縁離隔の点から変で,こんな電圧はかかってないやろ,と言う気がしますが,一応,指示の通りハンダ付けします。

基板裏コンデンサ.jpg のところにハンダ付けします

基板裏コンデンサ1.jpg ここです。

こうすると完璧にこの現象が出なくなりました。何でか,よくわかりませんが。おそらく,サージ電圧を吸収するのだと思います。電源を入れてしばらくするとキューッとと言う甲高い音がかすかにして何か発振しているのがわかりますが,このコンデンサをつけると発振音がするまで時間が長くなるので,なにか立ち上がりを遅くする作用があるようです。

 


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