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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その4・AOC回路の調整~ [オーディオ]

2018年2月17日の日記

前回から2ヶ月が経ってしまいました。実はどツボにはまっちゃっていました。

一応,年末に電源部とEQアンプの通電試験を行い,無事に動作が確認できました。若干,リップルフィルタを採用したB電源の電圧がばらばらだったので調整したりしましたが,EQアンプも無事に動作しました。

ところが.....。

いざ最後のフラットアンプの調整をしようと通電してみたら,R ch.は無事に動作したのですが,どうしてもL ch.だけ,オフセットが25Vくらいにもなって,おかしいです。R ch.はAOC回路を採用したこともあって,最初からオフセットは10mVくらいで,調整用のVRを回したらほぼ0Vにできますので,正常です。

それにしてもオフセットが25Vとは異常です。おまけに,AOC回路に入っている調整用のVRを回してもまったく変化しません......orz。

とりあえず,やはりパターンミスが考えられますので,チェックしてみますと1ヶ所やはりミスが見つかりました。おまけに,何を間違えたのか,出力の407Aのカソードに接続されているツェナーDiが本来はRD33Fなのに,なんと,RD2Fがついていました......orz。

これじゃ,ツェナー電圧はわずかに2Vしかないので異常なのは当たり前,と思ったのですけれど.....。

パターンミスとこのツェナーDiを交換してみてもやはりオフセットは20V以上あります.....。

あとでわかったのですが,ここのツェナーDiを間違えていても,このフラットアンプは正常に動作するのです。恐るべし,AOC。

う~ん,困ったな~~[雨]

普通はこんなことなくて,調整前だったら100mVくらいのオフセットが出てもおかしくはないのですけど,それにしても20V以上のオフセットとはおかしいです。実際,ネット上でもオフセットが出る,と書いている方がいらっしゃいますが,それでも数百mVくらいのレベルのようです。

とりあえず,パターンは正常だと考えると真空管のばらつきが考えられますが,真空管を交換しても同じです。あとはAOC回路の2.2μFのフィルムコン(Audynを使っています)のリークや2SK170BLのIDSSのばらつき,などが考えられます。

そこで,このコンデンサを交換してみたり,2SK170BLを外してばらつきを調べましたが,IDSSはほとんどばらついていません。

原因をいろいろ考えましたが,わかりません。そうこうするうちに時間が経ってしまいました。

そこで,製作前にLTspiceでフラットアンプのモデルを作っていたのを思い出し,LTspiceで回路のシミュレーションをしてみます。

これでひとつわかったことがあります。

AOCの定電流回路で2SD756のエミッタに入っている抵抗に3.3kΩを使っていました。金田氏の原設計では3kΩです。

実を言うと,iruchanは進でもニッコームでも手持ちに3kΩがなかったので,3.3kΩで代用していました。某通商会社? ではどちらの3kΩもありません。まあ,2kΩや5kΩはE12系列の抵抗にはなく,使用する場合は2.2kΩや4.7kΩを使用するわけです。3kΩも同じで,普通は3.3kΩを使うので,ここに3.3kΩを使っていました。

でも,これはダメなのです。

ここに3.3kΩを使ってしまうと,LTspiceでシミュレーションすると,407Aがほぼカットオフしてしまい,アイドリング電流が0.1mA程度になってしまうのです。逆に,2.7kΩでも同様で,ここはやはり3kΩでないとまずいのです。非常にこの抵抗はシビアです。

それで実機に戻って,この抵抗をタクマン電子の3kΩ 1/4Wにしました。いつも使っている,非常に小さなアキシャルタイプの抵抗です。とても1/4Wとは思えない小ささです。KOAや利久電器のもあります。

さて,実際,3.3kΩの時にはアイドリング電流は0.12mAしか流れていませんでした。これじゃ,AOC回路は制御しようがありません。

でも,3kΩに交換してもアイドリングは1mAちょっとです。アイドリング電流が小さすぎますね。

原因は初段の407Aの共通カソードに入っている,これも2SD756の定電流回路の電流が小さいからです。これはすぐにわかりました。

原設計では2.7kΩとなっていて,最初,500Ωの半固定を入れておいて,調整後に固定抵抗に取り替えることになっています。ここはiruchanも規定どおりの2.7kΩを使っていました。

残念ながら,L ch.はこれではダメなようです。しかたなく,2.2kΩに変更してアイドリングを測ってみますと,ようやく4~8mAくらい流れます。設計値は5mAですので,そこで調整用の半固定抵抗を止めました。

やれやれ~。ようやくこれで出力段の407Aのプレート電流が設計どおり,5mA流れることとなりました。

ところが,これでもまだオフセットは数Vも出ています。全然,0Vになりませんし,AOCの半固定を回してもほとんど変化しません。

こうなると,AOCに入っている,半固定VRが200Ωなんですけど,原因はおそらくこの調整範囲に入らないため,と考えて500Ωに交換してみます。

ようやく,オフセットが調整できるようになり,オフセット電圧も変化するようになりました。

ただ,これでも2V以下に下げることができません。

業を煮やして,半固定の片側に220Ωを追加したら多少下がったのですが,まだ0V以下にならないので,結局,1.2kΩを接続したら0V以下になりました。

調整も可能で,数mVくらいになるように調整しました。

ようやくこれで実用化かと,思ったのですけれど.....。

やはり正常に動作するR ch.と比較すると挙動がおかしく,これでOKするには無理があります。

電源投入直後から観察すると,R ch.は確かに電源投入して412Aが暖まってくると,瞬間的に300mVくらいのオフセットが出ますが,速やかに数mVに下がります。

ところが,L ch.は一旦,4V以上のオフセットが出たあと,2Vくらいまで下がってきますが,その後,なかなか下がりません。3~5分くらいしてようやく数十mVくらいになる,と言う始末で,その後,徐々に下がっていき,今度はマイナスになっちゃいます。

その後もふらふらと変動しますので,やはり状況はおかしいです。

う~~ん,困ったな~~[雨][雨]

そこで,再び,LTspiceに戻って考えてみます。

今度はAOC回路のみ取り出してLTspiceでシミュレーションして考えてみることにします。

AOC 2SK170回路.jpgAOC回路(オリジナル)

±Vccはiruchanが現在製作中のB電源電圧です。ずれがあってもほとんど問題になりません。2.4kΩは前段の2SA1967のエミッタ抵抗です。

AOC回路は1段の差動アンプで,2つのFETのゲートはそれぞれフラットアンプの出力と,GNDにつながっています。フラットアンプの出力はLPFが入っていて,音声信号には反応せず,オフセットのみに反応するようになっています。

差動アンプなので,2つの入力間の電圧差に比例した電流を出力するようになっています。電流は,共通ソースに入っている定電流回路で和が一定になるように制御されますので,2つのドレイン電流はシーソーみたいに対称に変化します。普通はドレインに負荷抵抗が入っていて,電流の変化を電圧の変化として取り出して使うわけですが,AOCの場合は電流そのものを使います。2つの入力は片側がGNDですから,純粋にオフセット電圧に比例した電流を出力するわけです。

今,出力と書きましたが,実際には "吐き出し" ではなく, "吸込み" として動作します。

金田氏のDCプリアンプは初段が真空管,2段目がレベルシフトのTr,3段目が完全対称出力段という構成になっていますが,AOCは2段目のレベルシフトのTrのエミッタにつながっていて,最大,1.9mAの電流を吸い込めるように設計されているようです。

レベルシフトTrの動作電流は1mAのようですので,AOCは約1mAくらいを吸い込んで2SA1967が動作するように制御します。

LTspiceでの出力結果を▼に示します。入力のオフセット電圧として電圧源を挿入し,それを-3~+3Vの範囲でスイープします。

AOC 2SK170(VR200Ω).jpg ふ~ん,こうなるんだ。

2つX型に交差している線がそれぞれ2SC1775のコレクタ電流を示します。ちゃんと2つの電流が対称的に変化するのがわかりますね。最大,1.9mAまで吸い込むことがわかります。X型の範囲がAOC回路の制御範囲で,それを超えちゃうと制御不能になります。

このX型の制御範囲は非常に狭いようで,▲のグラフにもあるとおり,オフセットが-365mV~+370mVの範囲です。この範囲を逸脱してしまうとAOCがサチってしまい,オフセットを0Vにできません。

おそらく,現在のiruchanのフラットアンプのL ch.はオフセットがこの範囲を大きく超えてしまっていて,0Vに制御できない状況だと思います。

ということで,この範囲を少し広げてやれれば,と思いました。

2つの2SK170BLのソースに入っている可変抵抗が原設計では200Ωですが,これを1kΩにしてみます。

AOC 2SK170(VR1kΩ).jpg VRを1kΩにしたとき。

-1.16V~+1.13Vと広がりますね。可変抵抗を大きくするのは効果があるようです。

ただ,iruchanのアンプは観察していると,最大4Vくらいまでは出ています。まあ,ほとんどは±B電源の立ち上がりに出ているので,B電源が落ち着いてくると2Vくらいにはなっているようです。

とすると,iruchan製作中のアンプではVRを1kΩにしても制御できない,と思われます。それに,2SK170BLを使った原設計の回路では,この抵抗値を大きくしてもそれほど制御範囲が広がりません。

困ったな~~。

ちなみに,定電流回路の2SD756のエミッタに入っている抵抗を小さくしてやるとこの制御範囲が広がります。

しかし,これをやっちゃうとこれまた困ったことになっちゃいます。

3kΩが原設計ですが,2kΩにするとこうなります。

AOC 2SK170(VR200Ω,RE=2kΩ)'.jpg RE=2kΩの時

確かに,制御範囲は-509mV~+509mVと広がりますが,問題は2SC1775Aのエミッタ電流で,最大,2.86mAとなります。

で,これが何が問題かというと.....。

オフセットが0Vのところが1.4mAくらいになります。前段の2SA1967のエミッタ電流の最適値は1mAですから,AOC回路がほとんど電流を吸い込んじゃって肝心の407Aのバイアスが深くなりすぎてプレートに流れる電流がほとんど0になってしまいます。実際,フラットアンプのLTspiceモデルで実験してみますと,407Aのプレート電流は1mA以下になってしまいました。

ということで,この方法は使えません。

2SC1775Aを交換しても,ほかの抵抗値を変化させても制御範囲は変更できません。

しかたないので,やはり2SK170BLはあきらめざるを得ません。要は,もっとゲート電圧の変化に対してドレイン電流の変化の小さい,つまりgm(今はgmとは言わない......ってか?)の小さなFETにする必要があります。

2SK170BLはハイgmで,22mSもあります。普通はiruchanもgmの高いFETを好んで使うのですが,AOCにはローgmの方がよさそうです。

ということで......。

代打は2SK30にしました。これはgmが1.2mSしかありません。今どき,こんな低いgmのFETなんて使わんやろ,と思うのですけどね。iruchanも2SK30を使う回路には2SK117を使うことが多いです。

でも,今でも盛んに2SK30は使われていますし,とうに製造中止なんですけど,市中の在庫はまだありますし,やはり需要があるのだと思います。iruchanも中学の頃からよく使っているFETなのでなじみがあります。

ということで,AOCに2SK30を使うとこうなります。ついでに,可変抵抗も500Ωに変更しました。

AOC 2SK30回路.jpg2SK30

AOC 2SK30(VR500Ω).jpg 2SK30 AOCの特性

結果は見事で,可変範囲は-2.03V~+2.05Vとなります。もちろん,0Vのところは1mA程度で,十分,本機のAOC回路として使えそうです。

         ☆         ☆        ☆

さて,このあと,カスコード接続されている2SC1775Aの耐圧がギリギリなので,こちらの代打についても考えてみたいと思います。

カスコード接続はエミッタ接地増幅回路とベース接地増幅回路をシリーズに接続したものです。ベース接地アンプはそれほどゲインは取れませんが,何よりベースが接地され,エミッタとコレクタを交流的にシールドできるため高周波まで安定して使えるので,FMの高周波回路などで使われます。ゲインが取れないので,低周波では使いませんけどね。

TrやFETとシリーズにカスコード接続すると,例の悪名高いミラー効果を相殺できるため,さらに高周波特性が改善されますし,TrやFETがゲインを稼いでくれるので,ベース接地増幅回路の欠点を補ってくれます。ただ,ベース接地回路は教科書には載っていますけど,実際には単独で使用されることは初期のFMのRF増幅回路で用いられたくらいで,現在使用されることはほとんどないと思います。FMやTVのRF増幅回路もカスコードアンプであることが多いですよね。

また,AOC回路ではFETの耐圧不足を補うのが目的ですね。DCプリアンプでも初段がカスコードアンプになっていることがありますが,ほとんどはFETのゲートリーク電流を抑えるため,VDSを小さくするために設置されることが多いと思います。

実を言うと,▼の回路でもAOCは動作しちゃうのです。つまり,カスコード接続されたTrは不要なのです......。

AOC Trなし回路.jpg ありゃ~~?

本当はこんなことやると2SK30は即死しちゃうんですけど......(^^;)。

2SK30のVDSは最大50Vです。LTspiceは過電流や過電圧は無視します。だから,うっかり抵抗が燃えてしまうような大電流が流れていても画面上は何も表示されないので,実際に基板を作る前に1個ずつ,抵抗の損失を調べないとわいけません。LTspiceも過電流が流れると画面の抵抗が燃えるとか,過電圧がかかるとTrが吹き飛ぶとか,それくらいの芸をしてもいいんじゃない? って思ってます......(^^;)。

さて,元に戻って,2SC1775Aは耐圧が120Vであるため,ちょっと耐圧がギリギリです。AOC回路では最大115Vくらいまでかかります。

メーカの保証範囲ですが,ものによってはこの電圧までかけるとリーク電流が増えたり,壊れるものもあるでしょう。

金田氏もこの点,認識されたのか,あとの回路では2SC1775Aの代わりに2SC2230が使われていたりします。ただ,ご存じの通り,2SC1775A2SC1400が入手難になって代わりに使われるようになったのですが,2SC1400のVCEOは80Vなので仮に持っていたとしても使えませんのでご注意ください。

もうひとつ,2SC1775AではhFEが高すぎると思います。

2SC1775Aは本来はプリアンプの初段など,高増幅率の回路に使用されるもので,hFEは400から1200もあり,大きすぎます。あまりhFEが大きなTrというのはノイズに弱いですし,ばらつきも大きくなるので,もっと小さなhFEのTrがよいかと思います。

実際,LTspiceでシミュレーションしてみますと,2SC1775Aのベース電流はほんのわずかです。こんなに小さくてええんかいな~。

AOC 2SK170(2SC1775Aベース電流).jpg AOC回路の2SC1775Aのベース電流

そこで,いくつか,カスコードアンプ用の高圧Trを調べてみました。2SC2230は先ほども書きましたように,40KG6A DCパワーアンプなどで使われていますね。

カスコードTr    ベース電流      VCEO(V)       IC(mA)  PC(mW)

2SC1775A     1.46μA   120     50    300 

2SC2230      4.97μA   180     100     800

2SC2240      4.98μA   120     100         300

2SC2551      11.42μA     300     100     400

2SC5201      1.73μA     600      50      900

本来はhFEが小さな2SC5201(hFE=80)が非常にIBが小さくて,2SC1775A並み,と言うのが変なんですけどね....。

LTspiceでシミュレーションしてもhFEの違いによる,特性の違いは見られなかったので,ここはもっと耐圧が大きくて,hFEの小さなTrでもよいと思います。2SC1775Aでは耐圧がギリギリですしね。もちろん,耐圧が90Vの2SC1775は使ってはいけません。ここはもっと耐圧の大きな,2SC22302SC2551などでよいと思います。

と言うことなんですけど,iruchanはとりあえず,2SC1775Aを使っているので,このままにしておきました。次は2SC2551にしようかと思っています。もう,なんか2SC1775Aなんて石でも非常に貴重なものになってしまいましたしね。次回,真空管DCプリアンプを作るときは別のTrにしてみます。

         ☆         ☆        ☆

さて,代打2SK30ですが,実際に基板に搭載してみます。すでに,可変抵抗は500Ωに交換してあります。

2sk30a pair.jpg 代打,川藤!!じゃなかった,2SK30A-GRです。

某店で買ったペア品が出ててきたので起用します。

起動後にすぐにオフセットは400mVに下がり,そこで止まっていますので,うまくいったようです。2SK170BLのときはオフセットは2V以下には下がりませんでしたが,2SK30は最初から1Vを下回っているので希望がもてます。それに可変抵抗を回すと変化しますから,何とかなりそう....。

しかし......。

やはり80mVくらいで止まってしまい,それ以下には下がりません.....orz。

ひと晩考えました。そんなにかかるんかぃ?

手としては,さっき,2SK170BLのときにやったように,可変抵抗の片側に抵抗を足してやる方法です。要は,可変抵抗の調整範囲からはずれっちゃってるからこうなるわけですので,この手があります。

あとはあきらめて初段の共通カソードに可変抵抗を入れちゃうか....とも思いましたが,定電流回路に可変抵抗が入れてあるし,もう1個,つけ足すにも基板のスペースがありません。

やはりここまで来たら407Aの交換しかないと思います。

といって,今まで差し替えをすでに試したのですが,いずれもオフセットは変わりませんでした。

でも,よ~く考えてみると,おかしいL ch.の2本の真空管を入れ替えただけで,正常に動作しているR ch.の真空管と入れ替えてみたわけじゃありません。

ということで,初段の407AをLとRで入れ替えてみました。

備後~~! じゃなかった,ビンゴ~~!でした。ATOKもアホだよな~~。

いつまでもオフセットの変わらなかったL ch.がすっとオフセットが下がり,可変抵抗で0Vにできるではないですか[晴れ][晴れ]

おそらく,L ch.は2本の407Aがともにバランス不良だったので,入れ替えても同じ現象だったのだと思います。

金田氏は "AOCのおかげですべての396A407Aの6.3V管)が使えるようになった" と書いておられますが,やはり選別は必要な感じです。

それと,調整の順番も,金田氏はAOCの調整をしてオフセットを0にしてから396A407A)のアイドリングを5mAにする,と書かれていますが,これは逆の方がよいです。先に396Aのアイドリングを5mAにしてからAOCの調整をするべきです。そもそも,iruchanも経験しましたが,アイドリングが5mAに達しない場合が多いと思います。これじゃ,AOCが動作しませんし,また,初段のアイドリング調整の半固定はAOCと連動していて,アイドリング電流に応じてオフセットも変化しますのでご注意ください。

オフセット調整.jpg ただいまオフセット調整中....。

ようやくオフセットの調整をして,1mV以下に下げることができるようになりました。

それにしても原因は407Aの両ユニットのアンバランスでした。とはいえ,AOCも元の2SK170BLのままでは調整できなかったと思いますし,2SK30のAOCは有効だと思います。やっぱ,川藤じゃなかった,ベテランが役に立ちますね!

さて,不良だった407Aですが,iruchanは本機用に20本ほど407Aを買い込んでありますので,別のやつと交換してもよいのですが,成績が悪いからと言ってリストラしてしまうのはかわいそう.....。iruchanだって会社じゃ,とうの昔に戦力外で同じ立場ですしね.......orz。

それに,407Aはそれほどでもないですが,396Aはとても高くなっていて,リストラしちゃうと退職金? が大変ですからね......。

これは初段では使えなくても出力段なら十分使えるはず,と思って出力段にまわってもらうことにしました。

ちゃんとこうしてもオフセットは0Vになりますので,十分使えると思います。まあ,多少のアンバランスが残っちゃうのでひずみ率なんかに影響が出るのでは,と思いましたが,問題ないと思います。そもそも,LTspiceで各真空管の電流や動作点を調べられますが,オフセットが0Vになった状態でも出力段の上下の真空管のプレート電流は同じではなく,ずれていますし,もとから完全対称出力段とは言ってもアンバランスな状態ですので。

初段407A選別外.jpg この子は両ユニットバランス不良でした。

一応,初段としては使えないので×印をつけておきました。出向先じゃなかった,出力段で頑張ってくれ~。

と言う次第で,ようやくこれでフラットアンプも完成です。次回は特性を測ってみたいと思います。


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ソニーのパワーアンプTA-N86の整備~リレー接点の洗浄~ [オーディオ]

2018年1月8日の日記

スクリーン・マーチ1.jpg 

  自衛隊音楽隊の "スクリーン・マーチ" を聴いてます。 

ソニーの往年のアナログパワーアンプTA-N86をオークションで入手して修理して楽しんでいます。本機は1978年の登場で,あの頃,iruchanはとても買えないけど,TA-N88も含め,ソニーの薄型のパワーアンプにとてもあこがれていました。

薄型になっているのはパルスロック電源のおかげですが,今でこそスイッチング電源はパソコンの電源やACアダプタなどで当たり前になっちゃっていますが,あの頃は非常に先進的で,アンプと言えば普通は巨大なトランスとケミコン,と言うのが定番だった時代によくできたものだと感心します。

修理自体は,前回で終了し,音楽を楽しんでいます。

ところが,なにか......。

音量の小さいときに左右でバランスが異なりますし,少しくぐもったような音がするし,そもそもプリアンプのボリウムを回していくとあるところから突然大きな音になります。

これ,実はテスト中にうすうす気がついていました.....だったら直しておけよ。

本機はレベル調整用のボリウムがないので,パワーアンプ単体の時に便利なように別付けのアッテネータを作ってあります。こういうのがあると便利ですので,1個,作っておかれるとよいと思います。

ただ,そのときは使用したボリウムのギャングエラーか,レベルの低いところの接触不良かと思っていました。

しかし,よく考えてみると使ったのは名門バイオレット電機製の音響用ボリウムだし,そんなことはないはず,と思いました。

バイオレットはボリウムの名門で,iruchanもご愛用のボリウムです。もう,20年ほど前に消えてしまったのが残念です。安くてもとても質の高いボリウムを作っていたと思います。何個かまだ手持ちはあるんですけど,本当に残念です。

とすると,パワーアンプ自体に問題があります。

疑うべき点はいくつもありますが,まず,最優先にチェックが必要なのはリレーです。この接点が汚れていて,微少電圧時に導通不良になっていることがあります。特に中古のアンプを買った場合はまず疑ってかからないといけません。それに,昔の人はたばこを吸うのが当たり前だったし,リレーの接点がヤニで汚れている,なんてこともごく普通のことですので......。

と言う次第で,リレーを外して接点をホワイトガソリンで洗浄したいと思います。

使用されているのはDECと書かれたDC24Vのリレー。ソニーがよく使う第一電機製のリレーのようです。

本当だったら新品に代えた方がよいのですけれど......。

ただ,このリレーはどうも端子の配列が独特で,オムロンなどの新品のリレーとはピンのピッチが合いません。基板を改造するのも厄介なので,とりあえず接点の清掃で済ませたいと思います。

ただ,残念ながら,オムロンなどの他社のリレーもそうなんですけど,基板に差さっている状態ではカバーが外せないんですね~~......orz。

鉄道模型みたいに単にカバーがボディのツメにはまっているだけなんですけど,基板上では外すのは無理です。

何か特殊な治具でも作れば外れるんでしょうけど.....。

と,いろいろ悩んでいるうちにリレーごと基板から外しちゃった方が早いです。

外してしまうとあとは簡単で,ごく小さなマイナスドライバーでカバーを広げてやればリレーのカバーが外せます。

DEC MSLU DC24Vリレー.jpg 第一電機製のリレー

    カバーの底部にツメがあります。

やっぱり,接点は真っ黒.....。思わずギョッとしちゃいます。これじゃいい音するわけないですよね~~。

応急修理としては,名刺のような厚手の紙でごしごしやってやるときれいになりますが,今回,ホワイトガソリンで洗浄しました。

リレー洗浄中.jpg ホワイトガソリンで洗浄中

ただ,効果はいまいち。接点は金メッキされているはずなので,洗浄したら金ピカになるはずなんですけど.....。

リード接点の方はきれいになったのですが,固定接点の方がまだ黒いままです。

ほかの洗浄剤も試してみましたけど,黒いまま。おそらく,接点が黒くなってカーボン化しちゃってるか,例の悪名高い硫化銀だと思います。リレーには銀あるいは銀合金の接点のものもあります。ただ,片方が金メッキで,反対側が銀なんてことは普通はしないので変ですけどね。しかたないので,鉄道模型の工作で使う,薄い刃のやすりで少しゴシゴシやってやりました。

リレー接点磨き.jpg 

  あんまりこんなことやっちゃいけないんでしょうけど....。

接点洗浄結果.jpg BEFORE & AFTER

ようやく接点がきれいになりましたので,基板に戻します。

さて,前回作ったアッテネーターボックスを接続して音楽を聴いてみます。今回は微少音量の時でもスムーズに音量が変化しますし,くぐもったような音もしなくなりました。やはり接点の汚れは怖いですね~。

ただ,このリレー,動作音がガチャッと大きくて非常に不快です。ステレオのアンプにはふさわしくないので,いずれ取り替えたいと思います。

          ☆        ☆        ☆

さて,陸上自衛隊中央音楽隊と航空自衛隊中央音楽隊の演奏する,"スクリーン・マーチ・ベスト" (キングKICW-3015)を聴いてみましょう。昨年夏にNHK FMで,"サンダーバード" を聴いてぶっ飛んじゃいました!!

ものすごい名演奏です。それこそ,iruchanはサンダーバードで育った世代なので,サンダーバードは大好きなんですけど,このバリー・グレイ作曲のテーマ曲はTVドラマ史上に残る傑作ですよね~~。

でも,ヘンリー・マンシーニ作曲の "刑事コロンボ" だとか,冨田勲作曲の "新日本紀行" なども傑作だと思うんですが,どうにもあとからリメイクされて演奏されたものはダメ。

やはりオリジナルが素晴らしすぎて,リメイク版は全然聴いてられないんですよね~。変な編曲してしまっていたり,演奏のテンポやリズムがおかしかったりして,聴くに堪えないのが多いと思います。

かといって,オリジナルの演奏は音が悪いし,ノイズも多かったり,下手するとモノラルだったりするので痛し痒しですけどね.....。

でも,この陸上自衛隊中央音楽隊の演奏する "サンダーバード" は本当に素晴らしい!! ブラスバンドによる大迫力の名演奏は聴いていてとても元気が出てきて,いつもiruchanは落ち込んだときなどに聴いています。本当にありがとうございます。

そもそも,サンダーバードのテーマは管弦楽と合唱で演奏されているので,ブラスバンドが演奏するには編曲が必要なんですけど,この野中図洋和氏の編曲も素晴らしい。

スクリーン・マーチ.jpg 協力 防衛庁ってのもスゴ~~い!!

この曲を演奏しながら行軍すると相手が逃げていくでせうね。"国際救助隊には勝てへんな~"。

これで我が国の防衛は万全ですね!!

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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その3・通電試験編~ [オーディオ]

2017年12月21日の日記

flat amp点灯試験.jpg ちょっと灯がともりました......。

9月から取り組んでいる,オールWEの真空管によるDCプリアンプの組み立てがほぼ終わり,通電試験を始めています。

さすがにiruchanもこのような大規模なプリアンプの製作は久しぶりで時間がかかっちゃいます。

やはり,11球式というのは大がかりですね~。いままで,iruchanが作ったのは最大で6球式です。おまけに真空管式プリアンプだとヒータは直流点灯しないといけないし,今回のはDCプリアンプなので,B電源も±Bとなって2系統あるので大変です。

☆ヒータ電源

と言うことでまずはヒータ電源のテストから。

オリジナルは3端子レギュレータLM338を使った+6.3V電源ですが,本機はヒータ電圧Ef=20Vの407A408Aを使っているのと,h-k耐圧の関係で-40Vで点灯しますので,リップルフィルタを使った回路になっています。前々回にも書きましたとおり,ここは定電圧電源じゃなくてリップルフィルタにしています。こちらの方がリップル除去比が大きく,より低雑音になるようです。実は意外に3端子レギュレータも含め,定電圧電源はリップル除去比が小さく,金田氏もB電源のレギュレータはEQアンプ用に2段使用しておられることからもわかるとおり,1段ではリップルが取り切れないことがあります。パワーアンプでも,直熱管のDC点火用にレギュレータに3端子レギュレータを使った場合,1個ではハムが取り切れず,電圧が異なる2個を直列にすることがあります。

リップル除去比については,最後に書きます。

ヒータ電源試験.jpg ただいま通電試験中。

なお,出力電圧は低めで,予定では-40Vでしたけど,-36Vくらいでした(本当は高めというべきなんでしょうけど)。リップルフィルタはベースに挿入した抵抗で電圧は簡単に変更できるのですが,今回は放置プレイとしました。ヒータ電圧は10%くらい低くすると球の長寿命化も期待できますしね。電話の交換機など,わざと最初から10%低い電圧で点灯するようになっていたと思います。

☆B電源

つづいて,B電源のテストです。

まず,+側の412Aのみ挿し,高圧をかけていきます。やはりスライダックがあると便利です。大体,AC60Vくらいになると高圧が出てきます。

ところが.....。

リップルフィルタは無事に動作し,フラットアンプ用の120Vの電圧は出てきますが,EQアンプ用の100Vのレギュレータ出力が出ません。いつまで経っても0Vのままです。

基板をチェックしても間違いはなく,再度,もっと高圧をかけてみると少し電圧が出てきましたが,それでも2Vくらいの出力しかありません。

おっかし~な~[雨][雨][雨]

回路図と基板を比較しても間違いはないので,おそらく,回路図のミスではないかと考えました。

残念ながら,きちんと本になって発売されている回路にも結構ミスプリがあるし,特に金田氏のDCアンプシリーズには抵抗値の間違いや万能基板のパターンミスが指摘されています。

今回もそうではないかと考えました。

といって,実機でいろいろ確かめようとすると貴重なTrを飛ばしてしまうことも考えられるので,LTspiceで検証します。

結果は予想どおりで,やはりレギュレータの出力は-2Vくらいになっていて,おかしいです。なぜか極性が反転しているし,そもそもこの回路じゃマイナスの電圧が出るわけないのでSpiceの結果の方もおかしいんですけど.....。

と,ここまで来て,ほかの号のレギュレータの回路を見てみたら,なんとやはりミスプリが発覚。誤差増幅器の5極管のSGの配線が間違っていました。ここは,No.166の図5+105Vレギュレータの回路だと,SGは直接,レギュレータの出力につながっていますが,2SC1775のエミッタとも接続しておかないといけないのです。見方を変えれば,2SC17752SA653がインバーテッドダーリントン接続になっているのが正しいわけですね。

また,iruchanもうっかりしていて,同じ号の図6の+100Vのレギュレータ回路では間違っていないのですが,図5の+105Vレギュレータの方ばかり見ていました。

ただ,同じミスはほかの号でもありますのでご注意ください。EF86とWE420AECC8212AU7)を使ったNo.145(MJ '97.3)は正常ですが,EF86+ECC81No.157('99.12)およびオールサブミニ管DCプリのNo.174(図11のみ。 '03.12)はミスプリです。

No.166電源部回路図エラー1(p.87 図5).jpg ここは接続しないといけません。

と言う次第で,最終的に電源はこうなりました。まずは412Aによる整流回路とフラットアンプおよびヒータ用電源です。2N64212SC1864はリップルフィルタです。412Aのラッシュカレントを抑えるため,直後のコンデンサは47μFにし,その代わりリップルが増えるのでリップルフィルタで減らす設計としています。

WE真空管式プリアンプ電源部回路3.jpg最終的な電源回路です。

AC100Vのパイロットのほか,ヒータおよび高圧のLEDをつけました。最近のLEDは非常に輝度が高いので,電流制限抵抗も昔じゃ考えられないほど大きな値となりました。こうしないと見ていてまぶしいくらいの明るさになっちゃいますので......。

なお,MAINのパイロットはAC6.3Vで点火しています。本当言うと,LEDは逆耐圧が低く,4~5V程度ですので,この記事のように保護用のシリコンDiを逆向きに取りつけないといけませんが,6.3Vではまず問題ありません。

WE真空管式プリアンプレギュレータ回路.jpg+100Vレギュレータです。

EQアンプ用に,+120V出力にレギュレータを1個,挿入します。金田氏のオリジナルは2段レギュレータとなっています。

問題となった,5847のSGと2SC1775Aのエミッタは接続するのが正しいです。

WE真空管式プリアンプレギュレータ回路2.jpg描き直すとこうなります。

実は,金田氏の真空管式レギュレータはこのように描くと,ごく普通の真空管式レギュレータ回路です。こう描いてくれればいいのに~。昔の真空管の回路の教科書なんかに載っている回路です。誤差増幅器の負荷が2SA872による定電流回路となり,制御Trが2SA6532SC1775Aのインバーテッドダーリントンになっているのが新しいところです。

問題となる,5847のSGと82kΩの接続点ですが,ここが2SC1775Aのコレクタに接続されていないと,分圧抵抗の82kΩが出力に接続されていないことになり,これじゃ当然,出力は出ません!

最初からこのように回路図が描いてあればすぐにミスプリに気づいたんですけどね......。

電源基板2.jpg 完成した電源回路基板

        ☆          ☆          ☆

と言う次第で,気を取り直してシミュレーションをやり直してみます。残念ながら,iruchanが作った404Aのモデルではうまく動かなかったので,EF866267)を使いました。これはNo.145などと同じ回路です。

WE DCプリ電源部シミュレーション回路iruchan.jpgiruchan版電源回路


WE DCプリ電源部シミュレーション結果iruchan.jpg 無事に高圧が出ました。

今回,iruchanは整流管412Aの出力は47μFのコンデンサインプットとし,続いてリップルフィルタで120Vとなるようにしています。リップルフィルタの出力のリップル電圧は1.7mVP-Pとなりました。 

こうすると金田氏の412A+2200μFの回路より大幅にリップルが減りますので,EQアンプ用のレギュレータは1段としています。レギュレータは1段でもリップル電圧は15μVP-Pなので問題ないと思います。

WE DCプリ電源部シミュレーション回路original.jpg オリジナル電源回路

WE DCプリ電源部シミュレーション結果original.jpg

412Aの直後に2200μFを入れてコンデンサインプット整流としていますが,それだと確かにリップル電圧は47μFの時より小さいです。ただ,これだけの大容量を入れても47μFのときの約1/4にしかなりません。

1st.レギュレータの出力のリップルは0.7mVP-Pです。普通なら十分な値と思いますが,金田氏はオールホーンシステムではハムが気になった,ということで2段式にしておられます。ただ,せっかくレギュレータを入れたのに,リップルフィルタの半分くらいにしかなっていません。リップルフィルタの方は,後で述べるように,まださらにリップルを下げられる余地がありますから,有利だと思います。回路も簡単ですしね。

WE DCプリ電源部シミュレーション結果original拡大.jpg 出力波形の拡大

オリジナルだと2段のレギュレータを挿入してリップル電圧は5μVP-Pになります。さすがに2段式にするとiruchan版の1/3です。とはいえ,やっぱ,同じような回路を2個も作るのは大変です。貴重な5847も2本いりますしね。

        ☆          ☆          ☆

リップルフィルタとレギュレータのリップル除去比を比較してみます。

リップル除去比はPSRR(Power Supply Rejection Ratio)と言い,入力のリップル電圧/出力のリップル電圧で表され,よく,PSRRとして表現されます。

意外にも3端子レギュレータのPSRRが低いことはよく知られていて,大体,40dBくらいです。せいぜい1/100にしてくれるだけです。カタログ上は60~80dBくらいの値になっているんですが,実際に作ってみるとこんなものです。

今回,レギュレータ回路はどれも同じものを使っていますが,iruchan版の1段式のもので41.3dB,オリジナルの2段式で40.1dBと42.5dBと計算できます。半導体を使ったディスクリートのものでも同じような感じだと思います。

ところが,iruchanが使用した412Aの整流直後に挿入したリップルフィルタは3.13VP-Pもあるリップルを1.77mVP-Pにしてくれるのですから,実に65dBもの効果があることがわかります。

前々回,ヒータ電源にレギュレータとリップルフィルタを採用するか,迷ってシミュレーションを比較して驚きましたけど,やっぱりレギュレータより効果あるんだな~と感心しました。また,レギュレータだとリップル除去比をあげるには誤差増幅器のゲインをあげるしかなく,それは難しい相談なんですが,リップルフィルタだとTrのhFEを大きくしたり,ベースに接続したコンデンサの容量upでさらにリップル除去比を改善することが可能です。hFEが足りなければダーリントン接続する,と言う手もありますし,プリ用の高圧電源なら100Vくらいなので高圧Trにも困らないと思います。それに,リップルフィルタ方式だと能動素子はTr1石だけだし,抵抗も1個だけです。熱擾乱雑音は半導体と抵抗が発生しますから,リップルフィルタはハムばかりじゃなく,ホワイトノイズも小さいです。

今回,真空管式レギュレータを採用しましたが,次回,EF86プリかサブミニプリを作るときはオールリップルフィルタで作ってみようかと考えています.......。

と,思ったのですけれど.......。

このところ,ロシアの6S19Pなんかの球を買ったりしているので,こんなこと▼を思いついちゃいました。ちゃんと動作してしまうやうです......(^^;)。

WE DCプリ真空管レギュレータ出力結果.jpg 

  よゐ子はかういふ悪いことを考へちやゐけません!!

さて,ようやくこれで電源部のチェックが終わりました。次回はEQアンプから調整していきたいと思います。
2018年2月17日追記
AOC回路のトラブルで再調整です。つづきはこちらへ。


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ウクライナから愛をこめて.....ロシア製真空管について [オーディオ]

2017年12月10日の日記

tubes from Ukraine.jpg ウクライナから届きました。切手が珍し~。

前回に引き続いて,今度はウクライナからじゃなかった,が届きました......。

ロシア製の真空管は,冷戦の結果,1991年末にソ連邦の崩壊に伴って,それまでは西側には流出することがなかったのに,安価な真空管として販売されるようになりました。すでにその頃には欧米製の真空管は底を尽きつつあり,音のよいオーディオ用の真空管はきわめて高価になりつつあったので,一頃はずいぶんともてはやされました。SOVTEKの58816L6WXT)なんかはiruchanも何本も集めてあります。当時,1本500円くらいだった記憶があります。ただ,おそらくロシアの人件費が上がったのでしょうけど,最近はとても高くなっていますね~。

それに,旧ソ連製の真空管というのは安価なだけじゃなく,意外にも(?)とても信頼性が高く,実際,使用してみてもあとから登場した同じ共産圏の中国製の真空管なんかよりもずっと高性能で安定していて信頼性も高いので,iruchanもとてもよいと思っています。中国製の2A3なんか,規格表どおりの出力が出ず,一時は不良品として評判が悪かったし,実際,特性曲線を描かせてみるとでたらめ,と言う記事が出ていたりしました。今は改良されたようですけど。

もっとも,旧ソ連製の真空管というのはソ連邦の崩壊以前から密かに流通していて,5U4G5AR4など,RCAなどの箱に入っていても,明らかに本来のRCAの球ではない真空管が80年代初頭には流通していました。箱はRCAの赤い箱に入っているのに,妙に真空管は出来がよくてきれいすぎ,オリジナルのRCAに比べると新しすぎる,という感じでした。とはいえ,店ではソ連製と言うことでは売られていなかったし,あくまでもRCAということで売られていたと思います。まあ,おそらく,真空管はほとんどが軍用だったのですが,ソ連邦の崩壊が近くなって軍の規律が乱れて横流しする業者がいたのでしょう。こういう次第で,ソ連製の真空管が西側に流出していたのだと思います。

ソ連製の真空管というと6C33Cが有名で(本当はCはキリル文字で,ラテン文字はSですから,6S33Sというのが正しいと思いますけど),これだけは80年代には日本でも販売されるようになり,森川忠勇氏がMJ誌にアンプの製作記事を発表されたりしています。

この球,函館空港に強硬着陸したミグ25に使われていた,との噂がありますね.....。

当時,時代遅れだとか,あるいは逆に,核爆発に伴う電磁波バーストにも真空管なら耐えられるので,逆に米国の技術より進んでいるのだとか,いろいろ議論がありました。

まあ,iruchanも一応,engineer(changineerと言う話もありますけど.....)なのでわかりますが,確かに最近のICは内部の線幅が数百nmという狭い幅だし,半導体の構造もC-MOSで,ほとんど電流は流れませんから1個,放射線が線路を横切っただけで論理が反転し,ICが誤動作することも考えられますが,まさか,旧ソ連も真空管でデジタル回路をやっていたわけじゃあるまいし,単にジャイロなどの制御装置のレギュレータなど,電気的な回路で使っていただけでしょうから関係ないと思います。

当時,小学生だったiruchanも,このベレンコ中尉(もう,おぼえている人はいないだろ~な~。彼は今ごろ,どこでど~してるのか)亡命事件はリアルタイムで経験したのでよくおぼえてますけど.....。戦闘機に真空管なんて驚いた記憶があります。

もっとも,西側でも軍用の機械に後々まで真空管が使われていたのは不思議なことではなく,先日も江田島の旧海軍兵学校を見学したときに,自衛隊の資料室があり,ミサイルの中身が展示されていて中を見ることができましたが,6J6なんかのMT管が見えました。6080などのレギュレータ管が使われていることも多いのですが,ひょっとして6S19Pもこれだけ大量に残っていることはこの球はミサイル用だったのかという気がしていますけど......。

まあ,北朝鮮の核開発に伴って再び電磁波バーストなんてことが話題になってますので,昔のことを思い出しました。

ソ連崩壊後は,旧ソ連製の真空管も大手を振って西側でも販売されるようになり,特にギターアンプなどで大量の真空管の需要があるので,旧ソ連の真空管製造工場も外貨稼ぎのため,引き続いて真空管が製造されるようになって我々オーディオマニアも真空管が消えることなく手に入るのはとてもありがたいことだと思います。

さて,前回,6S19Pを買った話をしましたが,今回,まとめて発注しました。残念ながら,例によって頭のはげていない6S19Pというのはやはり珍しく,入手できても中古しかないようで,今回も数本,中古が手に入っただけです。

前回,6S19Pは旧スヴェトラーナ工場製が一番,と書きましたが,どうにもスヴェトラーナという名前のついた真空管にはおかしな話があります。実は,今もSvetlanaという真空管のブランドはあるのですが,その真空管はサンクトペテルブルクにあるSvetlana工場製ではない,らしいのです。

iruchanもこの話は知っていたし,何か,もめているらしいということは聞いていたのですが,いったいど~ゆ~こと? という気がしますので,詳しく調べてみました。

米オーディオ雑誌Stereophileに経緯が出ていました。

旧ソ連のサンクトペテルブルク(もちろん,ソ連時代はレニングラードですけどね)にあったSvetlana Plantはソ連邦崩壊後,1992年からJSC Svetlana社により経営されていますが,輸出および販売は米アラバマ州にあったSvetlana Electron Distributors(SED)社が行っていました。

問題はこの会社が2000年に倒産してしまったことにあるようです。

そのため,それまで使っていた,Svetlanaのブランドは,ライバルのNew Sensor Corporationが買収し,それまで同社はロシアのサラトフにあるXpo-pul工場製の球を売っていたので,それにSvetlanaのブランドをつけて販売するようになりました。

まあ,このあたりよくある話で,iruchanの子供の頃も有名な海外製の軟膏○○○○○○ムを日本で製造販売していた会社が倒産し,そのブランドが大手の製薬会社に買収されたのをおぼえています。倒産した会社は復活後,もう昔の名前は使えないので,○○○○ムで同じものを売っているのはよく知られていますね.....。

判官びいきのiruchanはその軟膏はいつも,短い方の名前のものを買うことにしています......(^^;)。

で,真空管の方の問題は,製造している会社はつぶれていないのに,販売していた会社がつぶれてブランドを失ってしまったことにあります。

Svetlanaというのはロシアの典型的な女性の名前で,実際,Svetlanaでググってみると,いっぱいきれいなねーちゃんの画像が出てきますけど........(^^;),別にきれいなねーちゃんの画像が見たいわけでなくてうそつけ,真空管のことが知りたいだけなんですけどね.....。でも,愛らしい名前でそれだけブランドとしての価値も高く,健全経営の製造会社としてはブランドを失ったことが腹が立つわけですね。

そこで,SED社がNew Sensorを訴えたのか,というと,これは逆で,New SensorがSED社を相手取って訴えたようです。

どうも,SED社が引き続いてSvetlanaのブランドで真空管を販売していたためのようです。実際,1997年にSED社がSvetlana Electron Devicesと,前回書いた,Winged Cマークを商標登録していたのに,経営不振で2001年にNew Sensorに売り渡しているのですが,その後もこれらのロゴを使って製造していたようです。一方で,製造元のJSC社がNew Sensorを訴えてもいます。ちなみにSvetlanaはロシア語ではСветланаと書きますので,Winged Cマークというのは本当はWinged Sマークというのが正しいんですけどね。

う~~ん,確かに商標権の立場から言えば,New Sensorの権利主張は当然という気がしますが,自分たちの会社がつぶれたわけじゃないのに,ブランドを失う,というのは正直言って納得できませんね。

また,New Sensorは最近,Xpo-pul工場製の球にTung-SolやMullardなど,過去の欧米の球のブランドをつけて販売しています。箱のデザインもまったく同じで,これはちょっとどうか.....と思っています。まあ,すでにこれらのブランドは消滅しているか,商標の登録をやめてしまえば(商標は分野がありますので,真空管関係の分野の登録をやめてしまったことも考えられます),問題ありませんし,正規に買い取っているのでしょう。でもなんか,釈然としません。自分のブランドを育てることも必要なのではないかとも思います。

Svetlanaの方は,結局,2003年に和解が成立し,New SensorがSvetlanaのブランドを独占使用し,Winged CマークをJSCが使う,と言うことになりました。一方で,New SensorはSvetlanaのロゴを一新し,現在使われているような,四角いゴシック体のSvetlanaとなっています。

というわけで,現在,Svetlanaというブランドで売られている真空管はサンクトペテルブルクにあるSvetlana工場製ではない,ということです。もし,旧Svetlana工場製の真空管を求める場合は今も昔もこのwinged Cマークのものを探すしかありません。

       ☆            ☆            ☆

旧ソ連製の真空管については,今回,6S19Pを買ったウクライナの球屋のオヤジに詳しく教えてもらいました。ちょっと英語が怪しくて,真空管のことをlampと書いてきたりしましたけど,英語圏以外では真空管のことをlampと書くことは多いです。ただ,どうもロシア語で真空管を意味する単語はradio lampに相当するらしいです。

6S19Pは旧ソ連ではサンクトペテルブルクのSvetlana工場のほか,ボルガ川沿いのウリヤノフスク市にあったUlyanov工場,カルーガ市にあったVoskhod工場製があります。この工場は現在も存在しているようです。ちなみにロシアにはハバロフスクとか,クラスノヤルスクとか,なんとかスクという町が多いですが,このスクというのは町,と言う意味らしいです。

どうも6S19PはUlyanov製が多いようで,eBayなどでもこの工場製のが多いようです。なお,この工場は現在は閉鎖されているようです。

旧ソ連は社会主義国なので真空管も国営工場が作っていましたが,各工場ごとに製造する真空管は違いがあるようで,Svetlana工場は送信管から受信管まで幅広い真空管を作っていたようです。Ulyanov工場もそんな感じですが,送信管はSvetlanaが作っていたようです。Voskhod工場は小さいようで,あまり多種の真空管を作っていないし,現存する真空管の数を見てもそれほど大きな工場ではないようです。

また,ウクライナでも真空管は製造されているのでは,と思っていましたし,確か,ウクライナにも大きな真空管製造工場があったはず,と思ったので聞いてみたのですが,すべて閉鎖されていて,そこから出た真空管を売っているんだ,とのことでした。残念。

今回,そのウクライナの球屋のオヤジに "頭のはげてない6S19Pはあるか?" と聞いてみたら調べてみる,と言うことだったので,5本入手することができました。

6S19P barium getter.jpg ゲッター付の6S19P
  
通常,6S19Pはジルコニウムゲッターを採用しているので,管頂部は透明なんですが,古い6S19Pは通常のMT管どおり,頭が銀色です。やはりこちらの方が自然な感じですね。左の3本はSvetlanaで,右の2本がUlyanov製です。Ulyanovは旧ロゴです。
 
6S19P getter.jpg 
 ゲッター部の拡大(上:ジルコニウム,下:バリウム)
 
管頂部が透明の6S19Pは円盤状の電極にジルコニウムが溶着され,これが管内の残存空気を吸着するので,管壁にゲッターを飛ばす必要はないので,頭がはげています。
 
一方,通常のMT管と同じバリウムを使っているものは普通,リングゲッターを採用していて,ドーナツの環のようになったところにバリウムが塗布されていて,加熱すると蒸気となって管壁に吸着されてゲッターの役割をします。このあたりは普通のMT管と同じですね~。 
 
一番古い6S19PだとI字型のゲッターを採用していて(よく,短冊形なんて言われる形状です),U型のサポートがついています。I型の部分にバリウムが付着しているそうですが,6S19PのI型ゲッターは持っていません。
 
I型のゲッターだと要らないところにまでゲッターが付着して,特にヒータに付着するとそいつが電子を放出してハムの原因になるためリングゲッターが考案されました。これだときれいにゲッターが飛んで,見た目もきれいです。
 
ところが,6S19Pのバリウムゲッタータイプのやつは6L6WXT5Z3などと同じく,UFOみたいな皿状のゲッターになっていて,へこんだ部分にバリウムが付着しています。旧ソ連やTESLAなど,東欧系の真空管に多い形状です。
 
それにしてもバリウムゲッターからなんでジルコニウムゲッターに変更したのか,と言うのが少し疑問なんですけど,レギュレータ用の球なので動作的に厳しく,より信頼性の高い物質に変更したのかもしれません。米国球などでも送信管はジルコニウムを使っていることが多いですよね。
  
今回,ゲットしたゲッターつきの6S19Pは,やはりdate codeがⅨ 64からⅣ 66ですので,1966年頃まではバリウムゲッターを採用し,管頂部にゲッターが飛んでいて,頭ははげていません。メーカはSvetlanaとUlyanovでした。ただ,Svetlanaは1966年にはジルコニウムゲッターに変わっているようですから,少しUlyanov工場とは時期が違うようです。ちなみにUlyanovはロシア語ではУльянаと書きますので,管壁に大きく,yと書かれているのがUlyanov製ですが,どうも70年代にロゴを変更し,漢字の "人" という字を3回重ねたようなロゴに変わっています。
 
6S19P Ulyanov-1.jpg 80年代のUlyanov製6S19P
 
Ulyanovはロゴが70年代に変わり,こちらは新ロゴです。元箱入りもあります。規格表がついているものもあります(というより,最初はちゃんと付属していたのに,ないものは捨てられたのでしょう)。
 
6S19P Ulyanov.jpg 青いはんこは軍の合格印のようです。
 
Date codeは87-10でした。89までのDate codeは確認しています。90年代には製造中止になったと思います。
 
それと,ロシアの軍用真空管は6С19П-Вなどのように,末尾に-B-BPと書かれたものがありますが,これらはラテン文字ではそれぞれ-V-VRになります。いずれもノーマルの球より頑丈に作られた高信頼管で,値段もこの順に高くなります。ほかには-ЕВ-EV)や-ИВ-IV)などもあるようですが,6S19Pの場合は-B-BPのみのようです(間違っているかもしれません)。

ちなみに,ロシア製の真空管はやはり1950年代から60年代のものが一番品質がよく,Vintage品とされていて,グリッドに金や銀を使っているので2000年代以降のものよりよい,と言うことでした。そういえば,6S19Pも60年代製は値段が高いです。ただ,50年代製は見たことがないので6S19Pは1960年以降の開発か,という気がしていますが。日本でもMT管の本格的な製造が始まったのは1950年以降のことです。


それから,6S19PはサンクトペテルブルクのSvetlana工場製で,OTKのマークがあるものが軍用で品質がよい,と書きましたが,そもそもOTKって何の略語,と思ってググってみても出てこないので,聞いてみると,OTKは "Отдел Технического Контроля" の略で,英語だと "Technical Control Department" とのことです。やはり軍が納品時に検査をして,合格した証のようです。実際,OTKマーク入りのものは高いようです。

それと,最後になりましたが,中国製の6S19Pというのも存在します。球には6C19と表記されているようです。

驚いたことに,ロシアの旧型6S19Pと同じ構造のようで,皿状のゲッターを採用し,バリウムゲッターを使っています。

と言うことで中国製の6S19Pは頭がはげていません。Ali expressなどで購入可能です。2A3などの製造元である曙光真空管工場(Shuguang)と異なり北京工場製のようで,80年代半ばの製造のようです。1本,$3~6くらいで買えるようです。頭のはげていない6S19Pをお求めの方は中国製を使ってみてください。といってiruchanはOTL用としてはちょっと不安があるのですけど....。面白半分で買ってみようかという気もしています。

       ☆            ☆            ☆

今回,ほかにも何本か真空管を買いました。

6J1P-EV(6AK5).jpg 6J1P

西欧の6AK5同等の6J1Pです。もちろん,WEの403Aと差し替えができます。70年代のVoskhod製ですが,珍しいようです。非常に内部の電極もきれいで,出来がとてもよい感じです。今作っているWEの真空管式DCプリ408Aを使っていますので,いずれヒータ電圧を変更して使ってみようかと思っています。

6J9P-E180F.jpg 6Ж9П6J9P

フレームグリッド構造の6J9Pです。欧州管のE180Fと同等です。少し特性は違いますが,404Aと同じペントードフレームグリッド管なのでいつか,アンプに使ってみたいと思います。gmは404Aが12.5mSなのに,こちらは16.5mSもあって,よりハイgmです。

6N3P ECC42, 2C51, 396A, 6385.jpg 6Н3П6N3P

2C51やWEの396Aの同等管です。双3極管なのでオーディオ用に適していて,今もヘッドホンアンプなんかで使われています。粗末な元箱に驚いちゃいますけど,旧共産圏の真空管ってこんな箱ですよね。

6S3P-EV 6С3П-ЕВ EC86 PC86 WE417A-1.jpg 6С3П-ЕВ6S3P-EV

WEの417A同等の6S3Pです。417Aはもちろん,電圧増幅管なんですけど,PPにして2W弱の出力が取れるので,パワーアンプの出力管としても使われます。小型でもWEの威光はやっぱ,すごいですね。

404Aなどと同じフレームグリッドを採用した近代管です。3極管だし音もよいらしいので,近いうちにPPのアンプを作ってやろうと思っています。本当は417Aで作りたいのですけど,417Aはもう,すごく高くなっちゃいましたね......。

なお,このロゴはサラトフのReflektor(Xpo-pul)工場のものです。現在も操業中で,SovtekやElectro Harmonixや,最近だとMullard,Tung-Solのブランドの球を製造しています。ソ連時代はこんな箱でした。

6N16B-V 6Н16Б-В.jpg 6Н16Б-В6N16B-V

米国の6111と同等の双3極のサブミニ管です。μ=20と中増幅管で,プリの出力に最適です。米国製はオールサブミニチュア真空管構成のDCプリアンプ(No.174 MJ '03.12号)で採用されていますが,iruchanもこの球で作ってみたいと考えています。

なお,これのハイμ版が6N17Bです。μは70もあります。▲のDCプリの初段に使われている6112の同等管です。

驚いたことに,eBayで, 6Н16Б-ВИРという球を売っているやつがいます。ラテン文字だと6N16B-VIRです。先ほどの話で,これは軍用の高信頼管なんですけど,最上級という感じで,宇宙船用らしいです。そういえば,ソユーズ宇宙船は現役最古の宇宙船ですが,長期にわたって使用されていることからもわかるとおり,信頼度は抜群です。iruchanは宇宙船の0系なんて思ってますけどね......(^^;)。

設計したのはコロリョフで,iruchanはとても尊敬しているんですけど,ソユーズ宇宙船は1960年代の開発なので,ひょっとしてその真空管はソユーズ用ではないでしょうか。

いずれもこれらの球は破格の安値で買えました。あまりに高価な球はせっかく入手できてももったいなくて使えない,と言うことがありますし,今後,これらのロシア球を使ってアンプを作りたいと思います。


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ロシアとエストニアと中国から愛をこめて.....ついでにアメリカからも [オーディオ]

2017年11月7日の日記

このところ,金田明彦氏設計のオールWE真空管式DCプリアンプを作っています。

15年前に一度,取りかかったのに,途中,引っ越しがあったりしてやる気をなくし,再び再開しているのですが,さすがに15年も経つといろんな部品がどこかへ行ってしまっていて,探すのにもひと苦労です。

ようやくトランスとシャシーを見つけたので再開しています。トランスは実家にありました。ところが,シャシーがない.....[雨][雨]

トランスと一緒に実家にあるはず,と思っていたらなくて,結局,今住んでいるところの押し入れの奥から出てきました。穴開けまで済んでいたはずなので,ないと困るところでした。

本当にやっぱ引っ越しが多いとこういうことになりますね.....。

また,15年も時間が経っているといたるところ気に入らないことがあり,結局,いくつか部品を買い直したりしています。シャシーもうっかり,パイロットランプ用にφ5mmで穴を開けちゃってたりしますし....。今だったらφ3mmのLEDで済ませちゃうところです。そんなに大きなLEDはいらんって!

と言うこともありますけど,いくつか,Trと真空管を買いました。

まずはトランジスタから。

高圧用の三洋2SA1967がちょっと気になります。

NEC製が多い金田式には珍しく,三洋製というのも気になりますけど,なにより定格がちょっと気になります。

VCEO=-900Vなのもちょっとオーバースペックだし,その割にコレクタ電流が小さく,Ic=-10mAです。PCもパッケージがTO-220なのに1.75Wしかありません。

こんなにVCEOは高くなくてもよいし,何よりコレクタ電流が小さすぎ,間違いじゃないか,と思うくらいです。これじゃ,うっかり過電流が流れると壊れてしまいます。もう少し余裕のあるTrを使いたいと思います。製法も三重拡散プレーナ型ですが,このタイプはあまり音がよくない,ということでTrアンプマニアの間ではよく知られていますしね。

世の中,マニアの皆さん,考えることは同じようで,ネット上でも2SA1967の代品についてテストしておられる方がいらっしゃいますね。

まあ,2SA1967は高圧Trには珍しく,hFEが比較的大きく,20~80くらいもあるので,増幅率は大きいのですが,なによりIcが小さいのでちょっと調整時は怖い感じです。

と言う次第で,何かいいTrはないかと考えました。

せっかく,別のTrにするのなら,ぜひ,メタルキャンTrにしたいな~とも思いました。やっぱ,トランジスタはメタルキャンですよね!!! んなわけね~って。

iruchanはなんでも昔からコンデンサと女房以外は古いものがいいと思っているんですけど.......(^^;),Trもやはり古い方がよいと思います。パッケージがメタルキャンだったりしますし,何より製法が古くて,音のよいエピタキシャルメサのものが多いのも理由です。

それに,B電源のレギュレータに2SA653を使っていますけど,もっと耐圧の大きなTrにしないとヤバそうな感じです。

と言うことで,メタルキャンで耐圧が大きなPNPのTrを探しますが....。

残念ながら国産は全滅でした.....orz。

▼に国産のTO-5かTO-66のメタルキャン高圧Trをリストアップしてみました。

〔国産〕
   品番   メーカー  VCEO  IC    PC   パッケージ
2SA566      日立         -100V     -0.7A      10W     TO-66
2SA653  NEC    -120V  -1A         15W     TO-66
2SA761  ソニー   -110V  -2A    6.3W  TO-5
2SA762  ソニー  -110V  -2A     1.5W  TO-66
2SA766  松下   -150V  -0.4A      20W  TO-66
2SA969  東芝   -160V  -1.5A       25W  TO-66

残念ながら国産のものは最大でも東芝の2SA969が最大で,それでもVCEOは-160Vしかありません。とても2SA1967の代用に使えるレベルじゃありません。それに,そもそも,もう2SA969も入手はかなり難しくなってしまっています。

ということで,やはり海外のTrを探すしかなさそうです。

幸い,RSコンポーネンツやMOUSERはパッケージで検索ができるので,TO-5やTO-66のTrも検索できます。

なんと,驚いたことにいまだにこのパッケージでTrを製造しているところがあるんですね~~[晴れ]

それにしても意外に高圧のものの品種があり,やはり軍用か? という気がします。うれしいことにTO-5のものまであります。2SA606/C959と同じパッケージで,電圧増幅用なら最適だし,これなら音がよさそうです。

残念ながら,海外のものは製法まで記載していませんが,日本製はいずれもエピタキシャルメサかエピタキシャルプレーナー型ですから,時代的にも同じ頃なのでおそらくエピタキシャル型だと思います。

驚いちゃいましたけど,米国のMicrosemiか,Central Semiconductor,NTE semiconductorという会社が昔のMotorolaやHarris,RCAなんかのセカンドソースを今でも作っているようです。

おそらく,軍や通信用に古い機器があって,その保守用に作っているんでしょうけど,儲からないことには作らないと思いますので,やはりそれなりに儲かるんでしょう。

〔海外製〕
   品番           メーカー    VCEO   IC    PC   パッケージ
2N5096      NJ semiconductor    -450V     -0.5A       2W       TO-5
2N5415  Central        -200V   -1A    1W    TO-5
2N5416  Motorola            -300V   -1A         10W  TO-5
2N6211   RCA,Central           -225V  -2A   25W   TO-66
2N6212  RCA,Central    -300V        ↑     ↑    ↑
2N6213  RCA,Central    -350V        ↑     ↑    ↑
2N6214  RCA,Central          -400V        ↑     ↑    ↑   
2N6421  Central       -250V   -2A   35W   TO-66
2N6422      NJ semiconductor   -300V        ↑     ↑    ↑
2N6423      NJ semiconductor   -300V        ↑     ↑    ↑
NTE38   NTE         -350V   -2A   35W   TO-66
その昔,"電子立国・日本の自叙伝" という元祖? 日本ヨイショの番組を国営放送がやっていましたけど,iruchanはとても気に入ってビデオに録って何度もiruchanはその番組を見たし,これを見てエンジニアになろう,と思った次第なんですけど,その頃,電機メーカは破竹の勢いで,もはや向かうところ敵はインテルだけ,という状況だったのに,今じゃ中韓の後塵を拝していてひどいものです。東芝だって,身売りですからね.....。

その番組の中で,インドの半導体会社でいまだにゲルマニウムTrを作っているところを紹介している回がありました。なんでも,残存者利益といって,最後まで残っていると結構,需要があって儲かる,と言う話でしたけど,今の米国のこれらの半導体会社はそんな感じなんでしょうね。

と言う次第なんですけど,結局,iruchanはこういう半導体の会社の製品は買わず,結局,オリジナルのMotorolaを買いました.....(^^;)。

実は,今作っている会社の製品,というのは高いんですよね....。

ちなみに2N5416はSTマイクロのが@239円,2N6421はRSでは在庫切れですが,MOUSERだと売っています。ただ,1個,2,200円もするし,最低販売数が50になっています......[雨]

おそらく,今どき,メタルキャンのTrなんて作るとべらぼうにお金がかかる,と言うことなんでしょう。お金のある方はRSコンポーネンツやMOUSERで探してみてください。

と言う次第で,結局,eBayで昔の古いTrを売っている人から買いました。

まずは中国から。

買ったのは2N5416です。TO-5のパッケージで小型だし,回路によっては2SA1967の代わりに使えそうです。もちろん,耐圧は2SA1967の方がはるかに高いので,WE 421パラPPDCパワーアンプ(MJ'01.12)のOTLアンプなんかだと使えません。

ただ,写真はMotorolaでしたが,来たのはオンセミのやつ。何個か,Mのマークが入ったものがありましたけど....。ほかに,STマイクロのものも入手は容易なようです。STマイクロもオンセミもつい最近まで製造していたようです。TO-5のパッケージなので使いやすいですし,よほど大量に作られたのか,今でも値段が安く,日本でも売っている店があるようです。また,耐圧も300Vありますから,プリアンプだったら2SA1967の代わりに使えそうです。

2N5416.jpg 2N5416

ご存じのように,すでに半導体の名門モトローラは消えてしまっています。そのディスクリート部門がスピンアウトしてできたのがON semiconductorで,1999年に発足しています。ということなので,2N5416にもモトローラ時代のとオンセミのとがあるはずなので,このTrは正しい感じなんですけど.....。

一応,デートコードがありますので見てみますと,2004年の21週目と2008年の5週目の製造のようです。2004年にはオンセミのはずなので,Mはおかしいのですが.....。一応,オンセミはモトローラの100%出資子会社だったので,親会社のブランドを使っていた,と考えてもおかしくありませんけど。

ロット番号はKではじまっています。モトローラの規格表を見ると最初の文字は工場を表しているようです。韓国の工場製か,と思いましたがそうではなく,思いっきりMade in Mexicoと書いてある2N3055にもKではじまるロット番号のものありますので,韓国ではなく,どうもメキシコのどこかの工場製のようです。

会社名については,バーブラウンを買収したテキサスも旧バーブラウンのICにはTexasじゃなく,今でもBBと書いてありますし,しばらくはオンセミになってからもMと書いていたのではないか,と思うのですけど。

値段は1個で1ドルくらいでした。米国の電子部品を扱っている店で買うとこの倍,という感じです。

         ☆       ☆       ☆

次は米国から。

TO-66の2N6421を買いました。こちらは正真正銘オリジナルのモトローラで,1970年代半ばの製造です。

これは,TO-66なので,2SA653の代わりに使いたいと思います。VCEO=-250Vで35Wですから,かなり定格は大きいです。

こちらも古いTrですが,れっきとした現行品のようで,RSコンポーネンツなどで新品が入手可能です。

届いたのはなぜか,GAS106と書かれたもの。なにそれ~~!? って感じなんですけど....。

ガスってアニメ "ザ・ペンギンズ" に出てくるロシア人のひげ面でマッチョで実直な配管工かよ,って思いましたけど.....。うちの子供らも大好きなキャラです。改めて英語のwebを見たら彼の名前はGasじゃなくて,Gusのようですが,彼が登場すると必ずバックにボルガの舟歌が流れている,というのも笑っちゃうんですけどね。なんか,これって典型的な米国から見たロシア人のオヤジって感じですね~。チビで出っ歯で眼鏡かけてカメラをぶら下げているどこかの国の人というイメージに近いですけど..........(^^;)。

ま,このアニメの場合,どうもスタッフに日本好きなやつがいるのか,出っ歯の日本人は登場しないし,たまにペンギンたちは寿司を食べているし,このまえはシンゲンという武将の亡霊が登場してびっくりしました....。

 これがザ・ペンギンズのガスです。

2N6421(GAS106).jpg こっちはGAS106です。

売り手によれば,Great American Soundの略らしく,iruchanはそれすら知りませんでした。まとめて中古品を売っている人がいて,安く買えました。

よく調べてみると,Ampzillaを作っていた会社とのこと。ようやく思い出しました。そういえば,日本ではSUMOのブランドで知られていて,会社はGAS社とか呼ばれていたことやAmpzillaってアンプが売られていたのを思い出しました。ただ,日本ではその子分のSon of Ampzillaの方が有名だった気がします。

ついでに,ネットに出ている画像を見るとAmpzillaの内部写真にGAS106が使われていて,隣に2N6421が載っているという写真もありました。おそらく,修理か,それとも最初からGAS106と一緒に2N6421が使われていたようです。Trのメーカ名が書かれていなくて,アンプのメーカの記載があるものや,2SAとかじゃなくて,独自の番号のTrを使っている,と言うアンプはたまにありますから,その類いのようです。

来たのは中古品ですが,モトローラのマークがついていますし,全部,テスト済と言うことなので安心です。実際,トランジスタチェッカーでテストしたらすべてOKでした。

それにしてもTrが軽いのにびっくり。ケースがアルミなんだからでしょうけど,モトローラの2N3055も,持ってみるとあまりに軽いのにびっくりしますが,2N6421も同じでした。これでPCが35Wもあるので驚きです。

デートコードを見ると1976年か77年製のもののようです。iruchanはその頃,まだはんだづけを始めたばかりで,Trも真空管もちんぷんかんぷんで,本の通り作るのがやっとな頃ですね~~~。

         ☆       ☆       ☆

お次はロシアから。

以前から6C19ПのOTLを作ろうかと思っていました。

なお,ロシアの6С19Пという球は金田氏以前から日本では6C19Pで定着してしまっていますが,ロシアのキリル文字のCはラテン文字(ローマ字)ではSですので,本当は6S19Pと書くのが正規だと思います。ロシア以外の国では6S19Pと言う方が多いらしく,やはり6C19Pというのは誤りのようです。実際,eBayで検索すると断然,6S19Pの方がたくさんヒットしますし,6C19Pで検索すると変な巨大なトップグリッドの球が出てくるのにびっくり。なんと,ちゃんと6C19Pというのもあって,それはTV用のダンパ管のようで,2極管です。

ということで,一応,iruchanも今後,6S19Pと書くことにします。

ロシアの6S19PはNECの6R-A3同様,レギュレータ用の真空管で,プレート損失11W,内部抵抗400ΩのMT管です。レギュレータ用ですが,OTLアンプにもよく使われ,iruchanもMT管は大好きなので使ってみたいと思います。実はOTL用に6R-A26R-A3を買い込んであるんですけど....。ちょっともったいなくて使う気がしません.....(^^;)。買った値段は1本,2,500円くらいだった記憶がありますが。

6S19Pは値段が安く,日本でも1,000円くらいから買うことができますね。

ただ,ちょっと届いてみてびっくり。6S19Pは意外に小さいんですね。6R-A3と同じと思っていましたが,6R-A2A3は高さが71.4mmですが,6S19Pは65.5mmですこし小さいです。ちなみにプレート損失が半分の12B4Aでも71.4mmあるのでこっちの方が背が高いです。

iruchanはeBayで安く買いました。まとめ買いすると最低で1本あたり150円くらいになったりします。今も作っているのかな,と思っていましたが,ポピュラーなオーディオ用の球じゃなし,さすがに現在では作られていないようです。と言うわけで,いつまでこんな値段で買えるかどうかわからないので,今のうちに入手しておきたいと思います。

6S19P.jpg ロシアの6S19P

製造したのはサンクトペテルブルクにあるSvetlana工場製とのことです。ただ,現在,北米でSvetlanaと称して売っている会社の製品じゃありません。もっとも,昔はこの工場の球をSvetlanaというブランドで売っていったのですが,北米販社が倒産し,ブランドが債権として別の会社に売られてしまったので,今のSvetlanaは別の工場製です。また,いくらソ連が社会主義国で,真空管メーカも国営とは言っても作っている工場により品質に差があり,6S19Pもこのように旧ソ連軍用のものが一番のようで,Svetlana工場製が一番とされています。管にOTKとマーキングされ,▲のように羽根の生えたマークのものがそれらしく,よいらしいです。確かに,ほかのマーキングをした6S19Pも見かけますが,かなりの球はこのマークのやつですね。

ただ,このマーク,Winged Cマークと言うらしいですが,例によってこのCはキリル文字なので,おそらく,スヴェトラーナの Svetlana の意味の Светлана からきているでしょうから,本来はWinged Sマークというべきなんですが.....。

管壁に製造年月が書かれ,Ⅵ 69とあるので,1969年6月の製造のようです。

ただ,実を言うとこれは失敗でした.....。

なんでか,というと6S19Pはジルコニウムゲッターを採用していて,普通の真空管で見られるようなゲッターがついていません。

本来ならあるはずのものがない.....というのはちょっと寂しいですよね~。

何か,iruchanも頭が薄くなってきたのであまり言いたくありませんが,この,ハゲ~~~~!!! という感じなんですよね~~[雨][雨]

このおばさんもと国会議員はこの発言がたたったのか,落選してしまいましたね.....。

ジルコニウムは900℃くらいに熱すると活性化して管内の残存空気を吸着してくれます。一方,通常の真空管ではバリウムが使われていますが,バリウムの場合,蒸着したものが空気を吸着してくれるので,管壁に銀色のゲッターが付着します。ジルコニウムだと固体のままで吸着してくれるので,ゲッターを飛ばす必要はなく,だから6S19Pは頭がはげちゃっているんですね。

と,iruchanは思っていたのですが,なんと,よく探してみると6S19Pにもちゃんと頭が銀色のものがあるではないですか!!

おそらく,6S19Pも初期のものはバリウムゲッターで,途中でなぜかジルコニウムに変わったようです。いつ頃かわかりませんが,eBayで出ている6S19Pの画像を見ると,どうも1966年以後はジルコニウムのようです。

と言う次第で,iruchanはちゃんと頭が銀色の6S19Pを探しているところです。

         ☆       ☆       ☆

最後はエストニアから。なんと,2SA649を見つけました。

今まで,さんざんニセ物ばかりつかまされましたが,ようやく本物のようです。売り手も,genuine NEC made in Japanと書いていました。

届いてみたらロゴも正規のものですし,どこもおかしくありません。ロット番号はK2Z。1972年の12月の製造のようです。hFEもランクどおり,70~100くらいでした。初期の2SA649らしく,裏の封止材は白。ただ,TO-3の金属ケースの台座部分とケース部分でメッキが違うのが気になります。どうも台座は亜鉛メッキ,ケース部分はニッケルメッキのようです。2SD218なんかの初期のNECのTO-3はオールニッケルメッキで,2SB541などの時代になるとクロムメッキになります。ちょっとクロムメッキはギラギラと輝きすぎていて,こっちの方が金もかかって高級メッキなんですが,ニッケルメッキの方が鈍い光を出してiruchanはこっちの方が好きです。カメラのライカも戦前製はニッケルメッキですが,ニッケルエルマーなんて言ったりしてニッケルメッキのカメラやレンズの方が珍重されますからね。ニッケルメッキは鈍い光沢があり,ちょっと見,銀に見えてわりに品のいい感じがします。

今回の2SA649の台座が亜鉛メッキなのはコストの問題,と考えているのですけど.....。

ついでにサンケンの2SA747も買いましたが,国内で買ったものとまったく同じものでした。もっとも2SA747だったらまだ国内で買えるので,そっちの方が安いのですけれど.....。

それにしてもなんでエストニアにNECのTrがあるの~~!?

2SA649-1.jpg 2SA649

         ☆       ☆       ☆

閑話休題

今日はロシア革命記念日でした。100年前の今日,レーニンが自由主義の臨時政府を倒すクーデターを起こして社会主義政府を樹立しました。よく誤解されますけど,ロマノフ朝が倒れたのは2月のことで,すぐに社会主義国が誕生したわけではありません。社会主義革命の11月のはロシア暦から10月革命と言われます。

世界初の社会主義政権というのは1871年の普仏戦争の混乱のさなか,パリで誕生したパリコミューンとされていますから,ソ連の誕生は世界初ではありません。

そのソ連が崩壊してからもう四半世紀になります。ようやく自由や人権を尊重する民主主義社会になってこれから仲良くしようと思ったらプーチンが登場し,制度は違うけどやはりまた独裁の道を歩んでいるのが気になります。

その昔,iruchanの友達がロシア語を選択していましたけど,その先生が "ソ連の人たちはとてもいい人たちだが,国の体制はとても悪い" とおっしゃったそうですけど,今も国の体制はそんなに変わらないなと思います。 

かと思ったらわが盟主? のアメリカにも変な独裁者大統領が誕生し,おかしなことになっています。さっきのGAS106じゃないけど,やたら自分の国をGREAT! なんて言っているやつはロクなもんじゃないと思いますけどね.....。自分でCOOLなんとかなんて言っているどこかの国も同じ,と思います。

中国だって同じで,17世紀以前の偉大な中華民族の復興なんて叫んで周辺国に圧力を加え,自分の支配権を広げようとしています。おぉ~,こわっーー!!

まあ,確かに唐や明など,大帝国を築いた中国の歴代王朝は周辺を侵略しましたが,基本的に漢民族が住む一帯を統一しただけで,異民族の朝鮮や越南とか,琉球など,漢民族が住んでいない離れた国に対しては朝貢を求めるのみで直接統治をしようとはしませんでした。むしろ,元や清など異民族支配されたときの方が攻撃的でした。

それだから,エストニアをこれらの国と一緒に扱っちゃうのは間違いですね~。

エストニアはピョートル大帝がバルト海へ進出する目的で,同じように今の姿からはまったく信じられないほど好戦的だったスウェーデンから奪った領土で,スウェーデンが年少のカール12世に代わったのに乗じて侵略(北方戦争)した国です。以来,ロシア領となってしまいました。都もモスクワから沿岸のペテルブルクへ引っ越ししちゃいますね。

時代は下って,第1次世界大戦は1918年11月,ドイツが敗北したことで終結していますが,ロシアはボルシェヴィキが戦争を早く集結させるため,3月にドイツと単独講和したため,実質的にドイツ勝利の講和条約となり,大幅に国境が東に移動してエストニアをはじめとしてバルト3国や,18世紀以来,世界地図から消滅していたポーランドが復活することになりました。

これで世界平和が確定していればよかったのですけど......。

実際はヒトラーとスターリンが登場し,お互いに失った領土を取り返すことに躍起となるわけですね。

結局,再びエストニアなどバルト3国はソ連に蹂躙され,ポーランドは再び分割されて消滅されることとなります。

正直言って,やれやれ~,という感じです。歴史は繰り返す,と言いますけど,200年前,フリートリヒ2世やエカテリーナ2世と同じことをまたやったわけですね。

それに,今の世界の状況はまた当時とそっくりですね~。

ロシアは伝統的に不凍港をもとめて各地に進出する,ということを繰り返してきました。遼東半島に進出して旅順港を確保して日本と戦争になったのもそうですし,黒海にピョートル大帝が足がかりを作って,最終的にクリミア半島を併合したのはエカテリーナ2世でした。その後も黒海を完全に押さえ,ボスポラス海峡を支配するのが最終的な目標でしたが,再三にわたってイギリスに阻止され,いまだにこれは達成されていませんね。

ウクライナ危機も記憶に新しく,クリミア半島は実質的にロシアが支配しています。在留自国民を保護する,と言う名目でチェコやノルウェー,ポーランドなどを侵略したナチスドイツの常套手段と同じです。エストニアにも多数のロシア人がいますから,ウクライナの状況は人ごとじゃないでしょう。

翻ってアジアを見ると,今の状況は20世紀初頭のバルカン半島とそっくり,と思います。

退潮しつつある大国はオスマン・トルコじゃなくてアメリカ,老大国なのにボスニアを併合したりしてバルカン半島に火種を撒き散らしたオーストリアは中国,小国だけど好戦的な国はセルビアじゃなくて北朝鮮,その後ろ盾はやっぱりロシア,という感じだし,セルビアと仲良しそうに見えるけどわがままなブルガリアはフィリピンといったところでしょうか。

一体,世界はどうなってんだ,とまた世界史を復習しているiruchanでした。

そもそも領土的野心は結局は自国のためにならない,という教訓はかつての大日本帝国が得た苦い教訓だったわけですし,最近の研究では繁栄を極めた大英帝国も植民地経営を総決算すると収支は赤字になる,とのことです。そもそも植民地の防衛,インフラ建設をしないといけないばかりか,住民の生活確保はもちろん,教育までしているとペイしない,というわけですね。それに,周辺国とのあつれきを生むので軍事費が膨大になりますね。

実は共通一次(センター試験じゃない!!)を世界史で受けたのは理科系志望だったiruchanです.....(^^;)。

アホか,と言われましたけど.....やっぱ,いまも勉強になっています。プーチン君も習君もキム君もトランプ君も,そして安倍ちゃんも センター試験の世界史を受けといた方がいいぞ! こいつら赤点だな。

      "過去に目を閉ざす者は,現在にも盲目になる"  

            Richard Karl Freiherr von Weizsäcker(1920~2015)

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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その2・アンプ編~ [オーディオ]

2017年10月7日の日記

先週に引き続いて,今回はオールWE真空管式プリアンプのアンプ部についてです。

オリジナルは真空管はWEの5極管403Aと双3極の396Aの組み合わせになっています。WEではMTの双3極管といえば396A420Aくらいだし,420Aは直流増幅器用ということなので,オーディオ用には396Aが使いやすいので人気がありますね。

WE 408A.jpg  WE 407A.jpg

     WE 408A            WE 407A

iruchanはWEの真空管はとても高いので,こんなので作っていたらかなりお金もかかっちゃうので,ヒータ電圧違いの408A407Aの組み合わせにしました。

ちなみに,右の407Aは前回の最後で書いていた,ベルマークと呼ばれるWestern Electricの新ロゴで,1966年から使用されています。ということで,右の407Aは1966年以降の製造です。やっぱ,どうしても雷ロゴと言われる,Western Electricの旧ロゴの方が音がよさそうな感じがしますけどね。.......(^^;)。

408Aは原型管が6AK5で,これは本来はシャープカットオフの高周波用の球なのでオーディオには使わないので今でも安く,どこかの6AK5を使うととても安く作れると思います。それこそ,6AK5なら,世界中のありとあらゆる真空管メーカが作っていますからね。

ちなみに中国製の6J1pという真空管は6AK5同等管のようです。これで作れば非常に安価にできると思いますけど.....。

また,396Aも他社製があり,iruchanもSYLVANIAやTung-Sol,Raytheonのも持っています。確か,RCAもあったはずです。ほかに,2C51が同等ですが,こちらは世界中にたくさんあります。日本だとNECがWE同等管を作っていて,Hi gm404Aの同等で6R-R8417A同等の6R-H2なんかが有名ですが,396Aに対応する同等管はないようです。比較的,Ef=19Vの19R-LL1がピン配置も同じで407Aに近いようですが,サイズが異なります。いずれも音を比べてみたいと思っていますがヒータ電圧違いなのでちょっと面倒です。

iruchanは,まだ396Aを持っていなかった頃,どんどん値が高くなっていくので,安いうちに,と思ってMJに広告を出していた,当時は首都圏にあった(どうも今はもっと北の方に引っ越したらしい)某店に注文したことがあります。

ところが,来てみるとゲッターが薄く,頭がスケスケになった球でした。新品未使用と言うことでしたけど,明らかな中古品でした。

今だったら,

この,ハゲ~~~~!!! 新品とち~が~うだろ~~っ!!!

って言ってブン投げちゃうんでしょうけど.....。

怒ったiruchanは返品して返金してもらいました。確か,1本,3,500円で,まだ安かった頃の話です。15年前はこんなくらいの値段でしたけど,今だと1万円近い値になっていると思います。

と言うことで,396Aを見るといつもこのことを思い出しちゃいますので,と言うわけでもないですけど,今回は407Aを使いました.....(^^;)。


前回,放送と通信で棲み分けがあり,真空管もお互いに互換性のない球を使っていて,製造会社も日ソ中立条約みたいに相互不可侵の協定がある,と書きましたが,実は需要の都合からか,たまに共通の球があります。

403Aの場合,最初に開発された傍熱MT管だったと思いますが,戦時中にWEがUHF帯で使用できる真空管と言うことで開発したドアノブ管の717Aの電極をMTのガラスチューブに納めたもので,レーダーなど,軍用に大量に使用されたようです。

UHF帯など,高周波になってくると電極間容量や電子が走行する時間が問題になり,どちらも最小にしないとうまく動作しません。

717AはGT管なのに非常に小型の電極を作った上,電極の引き出しにも工夫があり,この写真のように電極を水平に設置して,細い銅線? でガラスの外に出しています。そこからGTのベースに配線されているのですが,こうしておくとMT管のボタンステムみたいにリード線が円形に離れて設置されるので,電極間の容量が小さくできます。

2A3とか300BなどのST管でおなじみの,従来のツマミステムとかバンタムステムと呼ばれる引き出し方法だと各電極のリード線が一直線に平行して並ぶところができちゃうので,電極間容量が減りません。

そこで,ボタンステムが開発されるのですが,ベース部分が不要になるためオールガラス管ができます。GT管は製造年代により,バンタムステムのものとボタンステムの両方が存在する球があり,こういうのは身長が全然違うのですぐわかります。バンタムステムの方はツマミの部分だけ長くなります。もっとも,ボタンステムにしてしまうとベース部分は不要となり,GT管だとキーの機能だけあればよいので,いわゆるハカマなしの不細工な? GT管が存在するわけです。MT管だとキーは不要ですし,オールガラスのメリットを活かせます。こうして誕生したのがMT管ですね。

一方,717Aもそうでしたけど,403Aは軍の莫大な需要があったようで,大量に生産され,おそらくWEだけでは需要がまかなえなかったのだと思いますが,民間他社も大量に製造しました。たぶん,最初の高周波用MT管として,他社から作ってみたいという話があったのでしょうし,WEも特許料が入るので積極的に外販したのでしょう。396Aもおそらく同様ですね。403AのRETMA型番は6AK5です。後の6AU6などと同じ7ピンMT管ですが,ひと回り小さく,内部の電極も非常に凝った作りで,さすがはWEという球ですが,高周波用だし,7ピンMTというのが災いし,オーディオ用としては普通は使われません。

ちなみに717A403Aと同特性なので,今回のDCプリアンプにも使えるはずで,実際,金田氏は2007年10月号でこの球を使ったDCプリアンプを発表しておられます。

iruchanも717Aは同等の713A6G-A4シングルアンプでテストして,音がよいのを確認していますが,でも,だからといって金田氏のようにプリアンプでは使う気がしません。

GT管などの大型管をプリアンプでは使っちゃいけない,というのは真空管マニアの間では常識なんですよね~。これを無視しちゃうとひどい目に遭います。

というのは,実際にやってみるとわかるのですが,マイクロフォニックノイズ(いわゆるハウリングですね)がものすごく,サブシャシーに取り付けて防振しないとそれこそボリウムに手を触れただけでスピーカーからボヮ~~~んと音がしちゃうくらいだし,下手すると周囲の人の声までスピーカーから聞こえちゃったりします。

やはりプリアンプはこのようなノイズ対策がしてあるMT管でないとまずいと思います。

さて,と言うことで今日はLTspiceでシミュレーションをしてみたいと思います。

特にそんなこと必要ないんですけど,ちょっと興味がありますので....。

そのためにはまずは真空管のSpiceモデルを入手しないといけません。

幸い,今年のトラ技5月号の付録DVDにAyumi氏が作った国内外の多数の真空管モデルが収録されています。iruchanもお世話になっています。

ただ,残念なことに前回の412A整流管もそうでしたけど,403Aのモデルはありません。396Aはあるんですけどね.....。

と言うことで本当だったら412Aのように,規格表から作らないといけないのですが,2極管は特性曲線が1本だけなので簡単ですが,3極管や5極管は楽じゃありません。

そんなわけで,ネットを探します......手抜き~!

ICの74HC123TL494のモデルもネットに出ていたのでありがたく使わせてもらって鉄道模型のコントローラを作ったりしていますので,403Aも探してみます。

と,さすがに403Aと言うことでは見つかりませんでしたが,6AK5のモデルはカナダのMcLean氏が作ったものがありました。

さっそく,このモデルを使わせていただきます。

シンボルファイルはLTspiceでpentodeと言うのがありますので,これを使います。サブサーキットで,上記のモデルファイルを指定すれば使えます。pin tableなどはサブサーキットの登録順にあわせて並び替えておきます。

ただ,正直言ってあまりいいモデルじゃなさそうです。そもそもサプレッサグリッド(G3)がなく,Spice上は必要ないのでシンボルファイルでG3を削除しておけばよかっただけなんですけど......。

やはり特性曲線を描いてみると様子が変です。

6AK5特性曲線.jpg 6AK5モデルを使います。

6AK5特性曲線1.jpg おゃ,おゃ~~?????

なにか,そもそもEb=0V付近で,プレート電流がマイナスになっちゃっていますし,5極管は飽和特性になるので,ニーポイント(肩特性)から曲線が水平になるのですが,といって,こんな風にそこから先,プレート電流が下がったりはしません。これじゃ,負性特性を示すので,物理的におかしいです。

まあ,スクリーングリッドを持つ4極管以上の多極管ではEsg>Epの領域でこのような特性を示し,ダイナトロン現象といいますが,スクリーングリッドの方がカソードに近いし,電圧も高いとプレートよりたくさん電流を取っちゃうための現象です。▼のSYLVANIAの6AK5のプレート特性でもEb=25V以下の領域で曲線がゆがんでいますが,その影響です。SpiceのシミュレーションはこのSYLVANIAの規格表と同じ条件(Ebb=250V,Ec2=130V)で実施しています。

0V付近の現象はG3がモデルにないからか,と言う気もしますが,まあ,こんな領域は使わないので問題は小さいとしても,負性特性はおかしいです。

408A特性曲線SYLVANIA.jpgSYLVANIAの6AK5の規格表から。

SYLVANIAの規格表のプレート特性はこんな感じで,普通はこうだろ,と言う特性です。

ただ,まあ,よく見てみるとそんなに大きくプレート電流は違わないし,なんとか使えるだろう,と言うことでシミュレーションしてみました。

WE DCプリアンプEQアンプ回路.jpgシミュレーション回路です

真空管式DCプリf特408A.jpg EQアンプのf特です。

それにしてもまずはこんなことができちゃうことに驚き!! ちゃんとイコライザアンプの周波数特性が一発で表示されちゃうのには感動します。

きれいな特性で,1kHzでのゲインも41dBを確保してあり,金田氏の設計どおりだと思います。

WE DCプリEQアンプ特性.jpgEQアンプの入出力&ひずみ率特性です。

ひずみ率もSpiceは計算してくれます。こんなことまでできちゃうんだな~と感心します。Spiceでひずみを計算する方法はこちらで解説しております。耐入力は100mVと言ったところで,MCカートリッジに対しては十分すぎるくらいです。

なお,iruchanはひずみ率特性は入力電圧に対してプロットするのが正しいと思っているので,そうしています。普通,EQアンプにしろ,フラットアンプにしろ,出力電圧に対してプロットするものですけど.....。

ただ,それじゃ,フラットアンプの場合,1Vからプロットすることになりますが,パワーアンプは感度が1Vくらいなので,パワーアンプの方がとうにサチっちゃってからの特性を議論するのはおかしいと思っています。まあ,歪率計の入力が1Vから,と言うのもありますけど.....。

特にEQアンプの場合はカートリッジの出力がサチらないことを確認するのが目的なので,入力電圧に対してプロットするのが正しいと思います。本機は耐入力100mVくらいなので,十分サチらない範囲で,OKだと思います。

気をよくして今度はフラットアンプもシミュレーションしてみます。

WE DCプリFlatアンプ回路.jpg

  Spiceによるフラットアンプのシミュレーション回路

こちらはもっと驚き。素晴らしいf特でした。

WE DCプリアンプFLATアンプspice結果.jpg

一見,高域がかなり下がっているな,と思っちゃうのですが,目盛りが非常に小さくなっていて,100kHzでも-1dBにならない,と言う結果で,非常に広帯域です。

ゲインは金田氏はボリウムの調整にNFBを変化させる,と言う設計になっていて,ゲインは不定ですが,iruchanは昔ながらの入力にボリウムを入れる方式でやるつもりですので,帰還抵抗は20kΩ固定にしちゃいました。こうするとゲインは約20dBです。その通りの結果になっていますね。

iruchanはNF抵抗を可変させて音量を変化させる,というのはどうも,という気がしますので昔ながらの入力を絞る方式にしました。これだとバランス抵抗も入っちゃうので,音の悪い可変抵抗が2つもいるのですが,こちらの方がやはり便利だと思います。

WE DCプリFLATアンプ特性AOC付.jpgフラットアンプの特性です。

最大出力は50Vを超え,非常に大出力です。ひずみも少なく,0.1%以下です。

ただ,本当言うと,実物のアンプだと出力電圧が低いところはノイズが主体となり,ひずみ率は悪化します。Spiceのシミュレーションではノイズまでシミュレーションしたわけじゃないので,こんな特性になりますが,実物だと左側の方も悪化してきます。

WE DCプリFLATアンプ特性AOC付VRなし.jpg最初のシミュレーション結果ですが.....。

ただ,最初にiruchanがシミュレーションしたらこんな結果でした。なにこれ~?

何かがおかしいのですが,こんな特性です。入力が小さいときにひずみ率が悪化するのは普通のアンプでもノイズのせいでこんな感じになるのでいいかと思ったのですが,100mV~1V付近が非常に悪いです。こんなはずはありません。

よく調べてみると,AOCがないときでもこんな結果となるので,ようやくオフセットのせい,と気がつきました。直流分を計算しちゃっているのですね。

だから,初段の407Aのカソードに入っている,定電流回路の抵抗を微妙に変化させて,出力オフセットがほぼ0Vとなるまで追い込んでからAOCを作用させると,上の方のグラフとなりました。最初,この抵抗を0Ωでシミュレーションしていました。実機が完成したら,まずはAOCを切って,オフセットを調節してから測定したいと思います。

と,言う次第で,オールWE真空管式プリアンプのiruchan版回路です。

WE真空管式プリアンプ回路1.jpg

                   WE真空管式プリiruchan版です

EQアンプの出力には,初期の金田式DCプリアンプにはケースマイカが使われていました。やはりカップリングコンデンサにはマイカが最高だと思います。でも,ゼウスのケースマイカなどははるか昔に製造中止で,金田氏もSEコンに代わりました。でも,SEコンは非常に高価ですよね~。1個で2万円もするようじゃ,とても買えません。

と思っていたら,いつも大変お世話になっている河童さんから長野日本無線製の0.08μFのケース入りマイカコンを譲っていただきました。70-7の製品番号がついていますが,1970年の製造でしょうか。マイカコンは非常に安定だし,ケース入りのものは通信機で使われるくらいなので信頼性も高いし,なにより真空管の時代の製品なので真空管と使用するのが前提で高温に対しても強いです。本当にありがとうございました。

A2型雲母蓄電器.jpgA2型雲母蓄電器です

  大変貴重なケースマイカです。耐圧1kVなので十分です。音もよいと思います。

イコライザ素子は普通はiruchanは銅箔スチコンかディップマイカですけど,奮発してSEコンにしました。真空管アンプに使うには熱が問題で,SEコンはあまり高温だと破裂する,と言う話なので要警戒です。整流に412Aを使っていますが,両方でヒータ電力だけで12Wも消費するので,夏は代用のシリコンに変更しようかと思っています。

抵抗類は進のRE55と,ニッコームです。金田式の定番ですね。ただ,EQアンプのAOCに使われている6.8MΩはもとからありません。困ったな~と思っていたのですが,ようやく1個だけ,進の6.8MΩが手に入りました。非常に大きいのにびっくり!

さすがにもう1個はないので,普通の金属皮膜抵抗です。

あとは部品で苦労することはないのですが,意外にないのがプリント基板用のソケット。いつもだと中央無線QQQのモールドソケットを使いますが,同社の基板用は製造中止のようです。ソケットは同社製が一番だと思っていたので残念です。

しかたないので,7ピンは手持ちのQQQを使いましたが,9ピンは中国製のもの。金メッキされていて見かけはいいのですが,粗悪なタイト製はソケットが堅く,無理に真空管を差し込むと割れますのでご注意ください。#0のマイナスドライバで少し,ピン内部のコンタクト部品を広げておくとよいと思います。

EQ,FLATアンプ基板.jpg 完成した基板

    フラットアンプ       EQアンプ

まだ少し部品がついていませんが,回路をチェックして通電します。

☆ヒータ回路について

今回,ヒータ電圧が20Vの408A407Aを起用したのは,もちろん,値段のこともありますけど,もう一つ,ヒータ~カソード間耐圧の問題もあるからです。

今回,金田氏の原設計では403A396Aの組み合わせで,どちらもヒータ電圧が6.3Vなので,5Aの3端子レギュレータLM338を使っています。また,普通のアンプ同様,ヒータの片側をシャシーに接地してあるようです。

普通だったら,何の問題もないと思うのですけど.....。

DCアンプやOTLアンプのような,±電源を使用する回路の場合,ヒータとカソードの間の絶縁耐圧Eh-kをチェックしておく必要があります。

もちろん,従来のアンプでも,特にプッシュプルパワーアンプの2段目のドライバの真空管の耐圧は必ずチェックしておかないといけません。これは真空管マニアだと常識です。というのも,普通のPPアンプは初段と2段目の位相反転段を直結にすることが多く,ドライバ段のカソード電位が100Vを超えることが多いので,必ずチェックします。

先日,iruchanが調整した,LUXKITのA3600アンプもそうで,初段が6AQ8のシングルアンプですが,2段目はオリジナルは6240Gのカソード結合(ムラード)型位相反転回路になっていて,初段の6AQ8のプレートと6240Gのグリッドが直結されています。

iruchanはドライバの6240Gの手持ちが1本しかなかったため,6FQ7で代用しましたが,このとき,ちゃんと6FQ7のEh-kもちゃんと調べています。6240Gは±200Vですが,6FQ7も同じ電圧だったし,A3600ではカソード電位は85Vなので問題ありませんでした。

今回,金田氏のWE真空管プリでは,フラットアンプの2段目,下側のV6 396Aの耐圧が危ないのです。

驚いたことに,396AのEh-kは低く,90Vしかありません。一方,WEの407Aだと130Vあり,余裕ができます。もっとも,Tung-SolやSYLVANIAの規格表には100Vと書いてあり,メーカによっても差があるようです。

Eh-kは普通は12AU7A6FQ7などのように200Vくらいはあるのですが,EF86 DCプリアンプのフラットアンプで使用される12AT7も90Vですのでご注意ください。

本機はカソード電位が-90Vくらいとなり,ちょっと396Aの場合はギリギリです。もっとも,整流に412Aを使っている場合はウォームアップに1分くらいかかるので,-90Vを超えることはないと思いますが,整流にDiを使った場合は,396Aがウォームアップするまで,-140V位かかることになって危ないです。実際,金田氏も後のアンプで396Aを壊してしまったようです。

iruchanはヒータ電圧を-40Vで点火することにし,▼のように配線することにしました。

WE真空管式プリアンプヒータ配線2.jpgヒータ配線です。

問題になるV6のヒータは-40V側に配線します。こうするとヒータ~カソード間電圧は最大でも70Vくらいに抑えることができます。B電源の整流にシリコンDiを使った場合でも90Vくらいで済みますので,安全です。

もし,396Aをお使いでしたら,ヒータ回路は直接接地せず,-50Vくらいのバイアスをかけて使うとよいと思います。-B電源から分圧し,ヒータ用のトランスの巻線の片方につなぎます。この場合,ヒータはもちろん,直流的にシャシーから浮いちゃってノイズをひろいやすくなりますが,コンデンサで交流的に接地しておけばOKです。

なお,EQアンプの408AのEh-kは120V(ただし,WEの規格表には寿命を考慮して90Vを超えないこと,と言う注意書きがあります)ですし,カソード電位も数Vくらいなので大丈夫です。


☆ Western Electric 403A, 408AのLTspice用モデルについて

2017年10月15日追記

どうにも今回使用した6AK5のLTspice用モデルの特性が変なので,なんとか改良したいと思いました。また,以前から思っているのですが,モデル化されてない真空管も多いので,なんとか自分でSpice用の真空管モデルを作ってみたいと思いました。

ということでこのところ真空管のSpiceモデルについていろいろ勉強しているのですが,とりあえず,今まで発表されているモデルのうち,やはりAyumi氏のモデルが,最新のものだし,何より日本語なので採用することにしました....(^^;)。

海外だと,米国のNorman Koren氏のモデルが有名で,今回,最初にシミュレーションしたMcLean氏の6AK5のモデルもKoren氏のモデルを用いていると思います。でも,▲で示したように,どうもプレートの特性曲線が変だし,もっといいモデルにしたいと思います。

とはいえ,Ayumi氏のモデルを使うには,Rと言うソフトを使わないといけません。

それなに? って感じのソフトなんですけど......。Koren氏はMATLABを使っています。これならiruchanも使えるんですけどね~。

Rは米国のベル研が開発した統計用言語のSを改良したもので,フリーです。ベクトルや行列を効率的に使えるようになっていて,実際,Ayumi氏のモデル作成ソフトも関数に引数としてベクトルを渡せるので,1回の関数呼び出して一括して複数の点を計算できたり,非常に便利なソフトのようです。

でも,iruchanは一度,インストールして取り組んでみたのですが.....。

残念ながら一瞬で断念しました.....orz。

一応,WindowsライクなGUIがついていて,グラフも表示できるのですが,基本的にMS-DOSソフトのような,コマンドベースのソフトですし,言語も独特で,C言語みたいな感じなんですけど,これは理解するのが大変です。そもそも,変数への代入がa=bとかじゃなくて,a<-bという表記も非常に気になります。おそらく,開発者はa=a+1のような数学的におかしな表現になるFORTRANとか,BASICなどの表記が気に入らなかったのだと思いますが。でも,a<-bだと,a=-b と間違いやすくてあきまへん。

ということで.....。

またもっと改良してしっかりしたモデルが作れるようになったら詳しく書きたいと思いますが,iruchanはExcelのVBAマクロを使ってExcelでやれるようにしちゃいました!!

LTSpice真空管モデル作成Excel408A.jpg 真空管モデル作成用Excel

Ayumi氏のモデル作成のためのソースコードが公表されていますので,Excelに移植しました。残念ながら,オリジナルのAyumi氏のソフトはパラメータの最適化を自動的に行ってくれますが,iruchanのExcel版は完全手動で,パラメータはユーザが決めます。だから何回もパラメータを変更して規格表に近いグラフになるようにやらないといけないんですけど,なんとか,こんな風にWEの408Aのモデルが作れました。━━ がこのマクロによるシミュレーション結果で,■ が規格表のデータです。Eg1=0Vのところが若干,規格表の値より大きめですが,それ以外はほぼ,規格表どおりだと思います。

ということで,世界初公開!! かな? WEの408A用LTspice用モデルです。Here is the LTSpice model for Western Electric 403A & 408A RF pentode.


これをメモ帳にコピーし,408A.libと名前をつけてLTspiceがインストールされている\lib\subホルダにコピーしてください。また,シンボルはLTspice付属のpentodeシンボルを使います。ただ,Ayumi氏の5極管モデルはg3がないので,LTspiceのpentodeシンボルおよびPin Tableからg3を削除し,また,ModelFileにはサブサーキットとして上記のモデルファイルを指定してください。

408A特性曲線1.jpg

   特性曲線です。グリッド電圧は-0.5vピッチで描画してあります。

先ほどの6AK5同様,LTspiceでプレート特性曲線を描いてみました。非常にきれいな曲線だと思います。ニーポイント以後,IPが下がる,と言う傾向はありません。

ということで,いよいよ金田式オールWE真空管式プリアンプのEQアンプの特性をこのモデルで再計算してみたいと思います。

ところが.....。

予想どおりエラー頻発。なかなか計算してくれません。f特を出そうかとAC解析を実施してみると,

   Damped Pseudo-Transient Analysis. 2.05523times.....

というメッセージが出て,いつまで経っても結果が出ません。

これ,どうも調べてみると計算しても答えが収束しない,ということらしく,結局,どれだけ待っても終了しないようです。DC過渡応答解析を実行してみても同じ現象です。

やはりモデルがまずいのかと調べてみてもおかしくありません。念のため,簡単なシングル増幅器の回路を作って計算したらちゃんと一発で周波数特性が出ますので,どうも真空管モデルのせいではないようです。

Spiceで計算が非常に遅い,と言う場合は結構多くて,よくあるのが,ノードが浮いていると言う場合で,あちこち10MΩくらいの抵抗を接続して接地して計算してもダメです。

また,特にMOS-FETを使った回路のシミュレーションの時は非常に悩まされるので,これも注意ポイントです。

結局,定電流回路が怪しいと思い,すべて定電流回路を取っ払って,2段目の408Aにカソードに10kΩを入れてGNDに直接,接続したらちゃんとf特が表示されました。

やはり,どうも定電流回路がおかしいようです。疑うのは2SK170の発振です。おそらく,だからいつまで経ってもLTspiceが計算が終わらないのですね。実際,実機でもこの2SK170が発振した,と言う報告があるようです。2SK170はJ-FETですが,Spiceでのシミュレーションでも実際の回路でも,やはりFETは要注意です。

MOS-FETは寄生発振防止のため,よく,ゲートに100Ωくらいの抵抗を入れますが,今回も▼のように2SK170のゲートに100Ωを入れたら止まりました。R13がそれです。

WE DCプリEQアンプ回路408A.jpg408A用シミュレーション回路

これでようやくシミュレーションができるようになりました。

結果は次の通りです。

WE DCプリEQアンプ特性(408A).jpg408Aの新モデルでの計算結果

う~~ん,なんのことはない,先ほどの6AK5のモデルでの計算結果とほとんど同じでした。1週間もかかったのに.....。

と言う次第で,ほとんど徒労に終わっちゃいましたが,真空管のモデルをExcelで作れる,と言うことはわかったので,これからいろんな真空管をモデル化したいと思います。



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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その1・電源編~ [オーディオ]

2017年9月30日の日記

MJ無線と実験'02年2月号に掲載された金田明彦氏設計のオールWE真空管式DCプリアンプの製作を再開することにしました。

実を言うと,雑誌に掲載されてからしばらく経って製作に取りかかったんですが.....。

どうにも昔から飽きっぽい性格のiruchanは途中で肝心の部品が手に入らなくなったり,失敗したりするとやる気をなくして途中で放置してしまう,と言う悪いクセがあります。

今回も進のプレート抵抗が一部,手に入らなかったり 6.8MΩなんてない!,引っ越ししたりして部品をどこに片付けたか忘れて探すのが面倒になったりして途中で放置してしまっていました。

そこで,ようやく15年ぶりくらいになりますけど,再開することにしました。

前回の時点で,基板はほぼ完成している状況で,部品も80%くらいははんだづけしてある状態でした。シャシー加工も済んでいて,レタリングをするくらいで終わっています。そういえば,インスタントレタリングがなくなってどうしようかと思っているうちに引っ越しもあってやめちゃった記憶があります。

インレタはサンハヤトが製造中止してしまい,非常に困っています。文具用のが手に入るのでいいや,と思っていたらこちらも手に入らなくなってしまっていますね。本当に困ったものだと思います。

あと,いくつか困った課題があり,それをなんとかしたいと思っていました。

その課題とは.....。

ひとつはコストですね~。昔から金田式は半導体式のものでも本当にお金がかかります。また,今回,すべての真空管が米Western Electric社製のものなので余計です。本当にWEの真空管は高いんですよね~。

WEはRCA系の真空管と異なり,独自の高信頼管となっています。電話用の高信頼管を作るのが仕事だったので当然ですが,確かに出来が全然違うし,音も素晴らしいことは周知の事実なんですけど.....。

電話=通信,ラジオ=放送ということで米国では運営会社,機器製造会社で棲み分けが行われ,本来なら自由主義の原則に基づくとおかしな話なのですが,通信をセキュリティ上,国家の主管事項として管理下に置くため,国営か,1社独占を認めるというのは米国だけでなく全世界共通で,こうしておくことは国家にとって好都合だったので,このような棲み分けが認められました。日本でも電話は戦前は逓信省,戦後は電電公社が運営していたことは記憶に新しい? ですね~。もう,若い人は知らへんて。

機器も純然と製造会社は分けられていて,真空管も電話用はWEが独占して製造し,ラジオ用はRCAやSYLVANIAなど,民間各社が製造しましたが,原則的に相互乗り入れはしない,という協定があり,独自に発達しました。

だからWE系の真空管はRCA系の球とは品種も規格も違い,まったく異なる球が製造されていました。特に通信用はAT&Tや軍が買ってくれるので高くてもよいわけですから,高品質なのも当然です。

しかし,さすがに親方日の丸じゃなかった,親方星条旗のWEも1930年代の大恐慌の時代は苦しく,映画用の音響機器の製造をして糊口をしのいだ時代がありました。300B350Bなどはそれですね。だからWEのオーディオ用の球,と言うのが存在するわけです。これらの球の音のよさはよく知られていますし,iruchanも泣く子も黙る? そんなくらいじゃ,赤ん坊は泣き止まへんて WEの真空管を使ったプリアンプを作りたいと思っていました。

金田氏は最初にEF86を使ったDCプリを発表しておられますが,ネットを見ても断然,WE系の球を使ったプリアンプの方が記事が多く,おそらくEF86のプリアンプより人気があったのだと思います。やはりWEの威光はすごいんだな,と思いました。iruchanはEF86は好きな球なので,いずれこちらでも作りたいと思っているのですが.....。

WEの396Aはプリアンプとしても人気があり,何年か前に4球式の完成品のプリアンプが発表されましたが,こんなの,オレだったら簡単に作れるな,と言う回路で,値段が10万円でした。こんなんやったら部品代を含めても5万で作れるよな.....と思ってよく見てみたら価格は0がひとつ多くて100万円でした!! それでも買う人がいるんでしょうから,やはりWEというとそれだけで音がいいと思ってしまうんでしょうね~。

ちょっと脱線しちゃいました。本題に戻ります。

金田式真空管DCプリアンプのもうひとつの課題は電源です。

金田氏の設計では,WEのMT整流管412Aを使っていますが,それをコンデンサインプットで使っているのはいいんですけど,2,200μFなんて巨大な容量を使っています。

WE 412A.jpg WEの412A

 時代により箱が異なります。右のはよく見かけますが,左のはiruchanも1本だけです。

iruchanは昔から真空管マニアなので,やっぱこんな巨大な容量のコンデンサを使うことはできません。整流管が傷んでしまいますからね。これはなんとかしたいと思います。

と言うことで,いくつか設計を変更して取り組みます。

まずは真空管。

オリジナルはEQアンプにはWEの403A,フラットアンプの396Aを使っています。

まあ,403AはRCA系の6AK5と同特性で,普通,6AK5はオーディオには使わない球なので403Aも需要がなく,比較的403Aは安いのですが,双3極管の396Aはオーディオ用に多用され,昔から高い球です。iruchanが製作に取りかかった15年ほど前ですら,1本9,000円とかしていました。今だといくらするでしょうか。

ということで,iruchanはヒータ電圧違いの同等管を使うことにしました。Ef=20Vの408A407Aがそれです。それぞれ,403A396Aのヒータ電圧違いです。407A12AX7などと同じく,ヒータを並列,直列で使い分けて20V,40Vの両方で使えます。

普通,ヒータ電圧が6.3Vか,12.6Vじゃない球はトランスレス用で,6BM8同等の8B8とか,6AQ8同等の17EW8とかがそれです。でも,396A407Aはそれではなさそうです。

WEはAT&T傘下の電話機製造子会社なので,これらの真空管は電話用ですが,なぜか電話局では20Vというヒータ電圧を使うのでしょうか。基地局か何かで電源がなくて鉛バッテリーを2個直列にして,レギュレータで20Vにしているのか,と言う気もしますけど.....。あるいは停電時のバックアップ用にバッテリーを使っているのでこうなっているのかもしれません。日本でも19R-LL3とか,19R-P11とかありますけど,407Aなどと同じ理由だと思います。

15年前はこれらの球は安く,特にiruchanは海外から真空管を個人輸入していたので,安く手に入りました。でも今は408A407Aもどちらも高くなってしまっています.......orz。

と言う次第で,ヒータは40Vで配線することにします。408Aは2本直列にし,407Aはヒータは40Vで使うことにします。当然,40Vのレギュレータも必要になるので,新たに設計する必要があります。ただ,これには別のメリットもありますが,それはまた次回で。

さて,次はその電源をどうするかです。

☆ 電源部の設計

B電源は金田氏は412Aをコンデンサインプットで使い,±120Vを作ってそれをフラットアンプで使用し,さらに+120Vからレギュレータで+100Vを作ってEQアンプで使う設計になっています。フラットアンプ用は単なるコンデンサインプット整流のままで,半導体式のパワーアンプみたいなレギュレータなしの非安定化電源になっています。

ここで金田氏は412Aのあとに平滑化のため,2,200μFという大容量のコンデンサを接続しています。これはちょっとあまりに大容量で心配です。

iruchanは真空管マニアなので,ちょっとこれはできないな~という感じです。

iruchanは一応,目安として,805Y3などの直熱整流管で20μF,6X4などの傍熱整流管で47μFが最大容量だと考えています。もっとも,80は古い真空管なので,10μFくらいに抑えておいた方がよいと思います。

これはなんでか,というと電源投入直後はコンデンサの電荷は0で,インピーダンスもほぼ0Ωです。当然ラッシュカレントが流れ(整流管の場合はホットスイッチング電流と言います),整流管を傷めますので,メーカが最大値を決めています。

ただ,今回,あらためて規格表を調べてみたのですが,"○○μF以上はダメ" と具体的に書いてあるのはPhilipsがGZ34の規格表で60μFと明記している以外は具体的な数値の記載はありませんでした。

Philips GZ34 datasheet.jpg PhilipsのGZ34データシートから

    PhilipsのGZ34は最大60μFです。

ただ,Tung-SolやSYLVANIAなどは▼のように,最大のホットスイッチング電流を規定し,これを超えないようにしなさい,という書き方がしてありました。

6X4 sylvania datasheet.jpgSYLVANIA 6X4データシートから

コンデンサインプット整流時の典型的動作例も記載されていて,コンデンサ容量は10μFとなっています。

ちょっと,あまりにも小さな値で驚いちゃうんですけど.....。これじゃ,80とか1-Vとかの古典管並みです。

実際には6X4はMTの整流管ですから,戦後の製造で,もっと大きな容量でもいいはずです。実際,iruchanも47μFで使ったりしていますが,問題はありません。

このデータシートには,最大のホットスイッチング電流は別のページに1Aと記載があります。これを超える場合は整流管のプレートとトランスの巻線の間に直列に抵抗を挿入して1A以下となるようにする必要があります。

さて,では,実際に412Aに2,200μFを接続した場合のホットスイッチング電流はいくらか? と言うことになりますが,ちょっと怖くて実験できません.....。

と言う次第で,LTspiceでシミュレーションしています。

まあ,わざわざこんなことを調べるためだけにSpiceでシミュレーションするわけじゃなく,iruchan考案の新しいB電源回路の検証をするついでに調べてみたいと思います。

☆ WE 412AのSpiceモデルについて

と言うことで,412AのSpiceモデルを探したいと思います。

真空管については,トランジスタ技術2017年5月号でも紹介されているAyumiさんがたくさんの真空管モデルを発表しておられます。幸い,396Aのモデルはありましたので,フラットアンプはシミュレーション可能です。

ただ,整流管も5Y3とか5Z3はあるのですが,さすがに412Aはありませんでした。ついでに,403Aもありませんので,こちらも探したいと思います。

残念ながら,ネットを探しても412Aのモデルはありません。それどころか,WEの規格表すら見つかりません。iruchanも規格表はたくさん集めてあるのですが,WEの規格表というのは持っていません。規格表すらないんじゃ,お手上げなんですけど.....。ひょっとして,規格表は国家機密だから,ないとか......。

でも幸い,同特性のBENDIXの6754の規格表は見つけることができました。また,プレート特性曲線も載っていたので,これを使ってモデルを作りたいと思います。412A同等管で,差し替えもできます。音もよいようで,412Aが手に入らない場合は6754でもよいと書かれていますが,6754も入手しにくいんですけどね......。

BENDIX社は最初のパーソナルコンピュータと言われる? G-15で有名ですけど,RED BANKと呼ばれるスーパーラギッドなシリーズの真空管でも知られています。航空用と称していますが,おそらく軍向けだと思います。B-29とかB-52に使われていたんではないかと言う気がするんですけどね.....。きわめて頑丈で丈夫な高信頼管を作りました。6V6同等の5992とか,5Y3同等の6106がよく知られています。ちなみにWEの396A同等の2C51のRED BANKシリーズの球もあります。フラットアンプに使ってみてもよいと思います。

WE 412A, Bendix 6754.jpg WE 412AとBENDIX 6754

何か,はるかに6754の方が出来がいいんですけど.....。ダブルマイカで振動を抑えた上,ガラスも普通の真空管よりも頑丈な耐熱ガラスになっています。ピンも金メッキされていますね。6754と比べると412Aの電極は5V4-Gにそっくり,という感じで貧弱です。

Bendix 6754プレート特性曲線.jpg Bendix 6754データシートから

EP-IP特性曲線です。整流管の場合,これがあれば何とかなります。

これを手読みして,Excelでグラフを描いてみます。

WE 412A特性曲線1.jpgこんな感じです。

━ はiruchanが推定した曲線です。あとでこれは説明します。

真空管にはラングミュアの法則,と言うのがあり,一言で言うと,プレート電流はプレート電圧の3/2乗に比例します。つまり,IP=G・EP^(3/2)と言うことですね。ここで,Gは各真空管固有の定数で,パービアンスといいます。このGが求められればよいと言うことになります。

3/2乗に比例する,ということは両対数曲線でグラフを描けば,直線に乗るはずなので乗則と定数を求められるはず......なんですが......。

WE 412A特性曲線3.jpg なんやこれ~~!?

Excelで手読みした値を両対数でプロットし,線形近似したグラフなんですけど......。

      なんで,そうなるの~っ!? 欣ちゃんの声で。古~っ

線形近似を選択しているのに思いっきりカーブしちゃってます。おぃおぃ。

WE 412A特性曲線2.jpg

しかたないので,プレート電圧とプレート電流をそれぞれ,常用対数を取って,それをグラフにしてみました。

これなら線形近似するときれいに直線になりました。当たり前だっちゅ~の。

ここで,近似式はy=1.3967x+0.2474と出ましたが,これで指数関数の乗則とパービアンスが求められます。

乗則は1.3967です。ラングミュアの法則だと1.5ですから,ほぼ近い値だと思います。

一方,パービアンスは10^0.2474で0.00167865となります。これはxが log Eだからです。したがって,BENDIXの6754のプレート電流特性は,IP=0.00167865×10^1.3967となります。先ほどのグラフの この式によるものです。

412A spice model.jpg LTSpiceの6754のモデルです。

6X4のモデルファイルをコピーし,サブサーキットの6X4.subファイルを書き換えて,これをWEの412Aのモデルとしました。あっているかな?。

WE 412A特性曲線.jpg LTspiceで特性曲線を描きました。

プレート特性をLTspiceで描画するとこんな感じです。大体,先ほどのBENDIXの6754の規格表にあっていると思います。

さて,ようやくここまで来たら金田氏の回路をシミュレーションしてみたいと思います。

WE DCプリアンプ電源回路original.jpgオリジナル電源回路

オリジナルは先に書きましたとおり,2,200μFのコンデンサインプット整流になっていて,フラットアンプにはこのまま供給されています。

WE DCプリアンプ電源波形original1.jpg オリジナル回路の出力波形です。

ほぼオリジナルの設計どおり,出力電圧は123Vとなりました。

WE DCプリアンプ電源波形original.jpg 拡大です。リップルが乗っています。

波形を拡大してみるとこんな感じで,約36mVP-Pのリップルが出ています。非安定化電源なのでこんなものでしょう。

ただ,これをそのままフラットアンプの供給するとハムが出ると思います。実際,真空管式DCプリを作った人はハムが出る,と書いていますね。

残念ながら,パワーアンプでもB電源のリップルは十数mVくらいにしないといけません。前回,6G-A4のシングルアンプを設計したときに書いていますが,6G-A4のアンプを10Hのチョークを使ったπ型フィルタを入れてもリップルは34mVP-Pというという結果が出て,チョークコイルは結局あきらめています。プリアンプならなおさらで,何か改良が必要だと思います。

また,問題となっている412Aのラッシュカレントですが....,

412A plate current(original).jpg 412Aの電流波形です。

最大で,1.4Aもの電流が流れていることがわかりました。

で,これが問題なのか,ということなのですが......。

一木吉典氏の "全日本真空管マニュアル" によれば,整流管のホットスイッチング電流は整流管が規定する値までであれば,0.2秒間は耐えることになっていて,これはメーカの保証範囲です。

WEの412Aのホットスイッチング電流がいくらか,というのは調べてもわからなかったのですが,BENDIXの6754の規格表には,Peak surge currentの項目があり,1.1Aと記載されていました。

つまり,6754の場合,起動時に1.1Aまでなら0.2秒間はOKと言うことになります。

規格表の記述どおり解釈すると,このピーク電流はアウト,と言うことになります。

しかし,LTspiceのシミュレーションを見ると,最大5波程度で,時間的には0.1秒程度です。真空管は丈夫ですし,半導体のように一瞬で死んでしまうことはありません。412Aも瞬間的にパッと光って昇天する,と言うことはありません。これくらいなら許容範囲,という気がしますし,金田氏も後の号で問題ないと書かれていますが,おそらくその通りだと思います。

で,iruchanも,そうとは思うのですけど.....。

やはり,こういう結果を見てしまうともう少し,412Aには楽をさせてやりたいですし,先ほどのリップルについても対策が必要だと思います。このままではハムが出てしまいます。

と言う次第で,やはりiruchanはリップルフィルタを使用することにしたいと思います。

人によってはチョークコイルを使われたりしているようですが,iruchanはもう,チョークコイルは使わないことにしました。重いし,値段もかなりしますからね~。それに,性能はリップルフィルタに劣ります。先日の6G-A4のパワーアンプでも,10Hものチョークコイルを入れてもスピーカ端子で1mVを超える残留ハムとなる計算結果になり,あきらめています。

プリアンプの場合は,昔からチョークコイルは使いません。

確かに,チョークコイルはプリアンプのような小容量の負荷の場合は完璧にリップルを取り除いてくれますが,今度はチョークコイルが磁界を発生し,ハムの原因になるからです。

また,真空管式プリアンプは電流が小さいことから,CRを使ったπ型フィルタを普通使うのですが,さすがに古い,という感じがしますので別の回路にします。iruchanも中学生の時に最初に作った4球式プリアンプとか,昔からずっと使っているのですけどね。

と言うことで,iruchanは今回,いつもどおりTrを使ったリップルフィルタにします。

これは,非常にメリットが大きいのです。

まずは完璧にリップルを退治してくれます。

それに,CRの時定数がTrのベースに入っているため,非常にB電圧の立ち上がりが遅くなります。真空管にとっては非常によいことですね!

おまけに出力電圧はベースに入っている抵抗の値を変えることで簡単に変えられます。もし,あとで金田氏のようにSBDを整流に使う場合はB電圧が高くなりすぎますが,トランスの2次側端子電圧を下げなくてもこのベース抵抗を変えるだけでB電圧を低くできます。

ノイズについても完璧で,ハムだけでなく,半導体や抵抗の発するノイズも小さく,数nV/√Hzくらいにできます。3端子レギュレータでもこの10倍以上のノイズを発しますが,リップルフィルタは非常に広帯域ノイズも小さいのです。

と言うことで,さっそく,LTspiceを使って本DCプリアンプ用の電源を設計したいと思います。

WE DCプリアンプ電源回路iruchan.jpgDCプリアンプ用電源iruchan版

同じくコンデンサインプット整流ですが,コンデンサは47μFにします。これだと412Aも普通の値だと思います。

その後,Trによるリップルフィルタを入れ,出力電圧が120Vになるようにします。

WE DCプリアンプ電源波形iruchan1’.jpg  LTspiceによるシミュレーション結果

━ 412Aのカソードやインプットコンデンサの端子電圧です。やはりリップルが乗っています。━ が出力電圧で,見事にリップルが消えているのがおわかりいただけると思います。出力のDC電圧は119.5Vで,リップルは1mV以下です。さっきの1/30ですね!

次に412Aの電流を見てみると....

412A plate current(iruchan).jpg 電流波形です。

ピークの電流は900mAとなりました。peak surge current以下です。それも1波だけですから,問題ありません。

う~ん,それにしても整流管(ダイオードの場合も同じです)の整流回路を流れる電流はこのようにヒゲ状のパルス電流なんですね~。教科書に載っていますけど,実際にシミュレーションしてそのような結果になるのにちょっと感動です。

このパルス状の電流がノイズになります。真空管の場合,内部抵抗が大きいので,パルス状の電流は比較的小さいです。

さて,こうしてようやくB電源が設計変更できました。改良後の回路を▼に示します。

オールWE真空管式プリアンプ電源部回路2.jpg電源回路です。

トランスは残念ながら特注せざるを得なかったのですが,長野のフェニックスさんが非常に安価で特注を受けてくださいます。実は,本来のこのプリアンプ用の既製品より安いくらいでした。あまりに安かったので,思わず,座布団2枚! ということで2台注文しちゃいました。もう1台はEF86プリに使いたいと思っています。そのため,ヒータ電源用に12.6Vの巻線も追加してあります。

本当によいトランスを作っていただき,その節はどうも大変お世話になりました。

Phoenix特注Rコアトランス.jpg フェニックス製の特注トランス

なお,ヒータ回路は407AのH-K間耐圧の関係で-40Vで点火します。ヒータ耐圧の問題については詳しくは次回ご報告しますが,フラットアンプ2段目マイナス側の407AのH-K耐圧が厳しく,-40Vで点火することにしています。

B電源フィルタ用のTrは最初は2SA6532SC1161で考えていましたが,どちらもVCEO=120Vでギリギリなので,NPNの方だけ,2SC1864に変更しました。VCEO=250Vなので安心です。同じNECだし,エピタキシャルメサ型ですので音もよいはずです。ちなみに規格は,

           VCEO     IC     PC  hFE

2SA653/C1161    120V   1A  15W  80

2SC1864      250V   7A  40W  >20

です。残念ながら,hFEが小さめで,リップル低減効果は小さくなります。一般的に,高圧TrはhFEが小さいので,真空管アンプなどでリップルフィルタを使う場合はhFEにご注意ください。今回,完成後にテストしてみてハムが出る場合は2SC1161に交換するつもりでしたけど,実測してみると手持ちの2SC1161はhFEが38~50で,2SC1864が28~32と言ったところでしたので,あまり変わらないと思います。

ちなみにPNPの方はVCEO=-160Vの東芝の2SA969がよいと思いましたが持っていませんので断念です。メタルキャンのTO-66の高圧Trは品種が少ないです。今だったらTO-220で結構,多数の高圧Trがあるので,メタルキャンにこだわらなければ選択肢はたくさんあるのですけどね。

あと,回路はもう一工夫してあって,Trの保護用にポリスイッチを起用しました。さすがに2SA6532SC1161はとても貴重ですから,飛ばしちゃうと泣きたくなっちゃいますからね.....。

一般的にポリスイッチは耐圧が50Vくらいまでですが,今回,250Vというものを入手できたので使用してみました。トリップ電流120mAなので,本機に最適だと思います。

本当は先ほどのSpiceのシミュレーションにあるとおり,Trを使った電流制限型保護回路にしたかったのですが,ポリスイッチの方が配線が簡単なので,そっちにしちゃいました。Trの方が高速だし,確実に保護できるのでいいんですけどね.....(^^;)。

と言う次第ですが,15年前にこのリップルフィルタは設計してありました。当時はまだSpiceは使えなかったので,手作業でしたけど,よくやったと思います。さすがにポリスイッチはありませんでしたので,時代が進んだな,と思います。

☆ヒータ回路用電源の設計

これは先にも述べましたとおり,-40Vの電源を用意します。403A396Aの組み合わせなら6.3Vか,12.6Vの電源を用意すればよいのですが,それだったら簡単には3端子レギュレータで十分です。実際,金田氏はLM338を使った6.3Vのレギュレータとなっています。

ただ,これは12.6V系で使用した方がよいと思います。というのは6.3V系の時の電流が半分で済みますので,LM338の発熱も小さいからなんですけどね....。403Aは2本直列にし,396Aは12.6Vで使用するよう,#1ピンと#9ピンに12.6Vを供給すればよいのです。

今回は40Vで点火します。407AのH-K耐圧の関係で,極性を逆にして,-40Vで点火します。

この場合,3端子レギュレータは24Vまでなので使えません。まあ,LM317Tなどの可変出力電圧のレギュレータを使えば済む話なんですけど.....。

と言うことで,まずはディスクリートの定電圧電源を考えました。

-40V定電圧電源.jpg Spiceのシミュレーション回路

誤差増幅器にシングルのTrを使ったごく一般的な負電圧の定電圧電源回路です。

でも,結果はいまいちでした......orz。

-40V定電圧電源出力波形.jpg

きちんと定電圧出力となっていて,よさそうなんですけど.....。

残留リップルが8.5mVもあります。ヒータ電源なんだから,これがハムになるわけじゃなし,問題ないと思うのですが.....。

ちょっと予想より悪かったので,もっと性能のよいものにしたいと思います。

と言うことで,やはりリップルフィルタに戻ってしまいました。

-40Vリップルフィルタ電源.jpg リップルフィルタの場合

-40Vリップルフィルタ出力波形.jpg

出力電圧は-38.9Vと少し低めですが,リップル電圧は0.7mVです。見事です。

残念ながら?,こちらの方が残留リップルは低い結果となりました。

それに,リップルフィルタのメリットとして,電圧の立ち上がり(マイナス電源なんだから,立ち下がりなのかもしれませんけど)が非常にゆっくりなんです。

真空管のヒータは冷めているときは非常に小さく,電源投入時に大きなラッシュカレントが流れます。

まあ,白熱電灯なんかと違って,電源投入時にパッと光ってヒータが切れる,と言うことはまずないので問題ないのですが,やはりゆっくり立ち上がった方がよいかと思います。もっとも,PX4PX25など,欧州の直熱3極管は電源投入時に切れる,という話を聞きますので,これらの球を直流点火するときは定電圧電源じゃなく,リップルフィルタがよいと思います。たまに定電流回路で点火する人がいますが,確かに3端子レギュレータよりよいと思いますが,これは一定電流を流し続けるので,電源投入時も一定の電流を流そうとするので,リップルフィルタの方がよいと思います。

定電圧電源の場合,ほぼ瞬間的に定格電圧がかかりますが,リップルフィルタだとゆっくり0Vから立ち上がっていきます

今回の場合,定電圧電源は-40Vまでにかかる時間は12msでしたが,リップルフィルタだと約2.5sでした。ベース抵抗やコンデンサを変更すればもっと遅くできます。

と言う次第で,ヒータ電源もリップルフィルタにすることにしました。

なお,今回,制御Trの損失は約2.1Wと比較的大きいです。裸のままでは触れないほど熱くなると思いますので,シャシーに固定して放熱させることにします。


完成した基板を載せておきます。

電源基板1.jpg 完成したB電源基板

2SA653はかなり前に海外から取り寄せたものです(近くの大きな国からではありません)。

ただ,ロゴはNECの旧ロゴで,iruchanは本物と信じているのですが,本体が金色をしていて,ニセ物,と指摘する方がいて,アンプじゃなくてこちらに使用することにしました。確かにオリジナルの2SA653はクロームメッキで銀色をしているのですが....。これは何か宇宙用とか,特殊な仕様だとiruchanは思っているのですけど.....。

ポリスイッチ.jpg 

     ポリスイッチを挿入してあります。

次回はアンプ編です。


閑話休題。

ヒータ用の直流電源回路には制御Trに2SB600を使おうかと思っています。シャシーに取り付けないといけないので,外から見えるし,TO-3型だとかっこよいよな,と思って起用するつもりですけど,ようもこんな貴重な石を使いやがって,とお思いの方も多いと思います。

実は本物じゃなく,ニセ物を使います。

iruchanはWEの407A408など,真空管はインターネットなんてない頃から個人輸入していますし,半導体も2SA627D188などは国内の在庫がなくなって海外から取り寄せました。

おかげで,真空管も半導体も安く手に入ったのですけど.....。

でも,結構,痛い目にも遭っています。

まあ,真空管の場合はメーカ名を書き換えるくらい訳ないので,こちらも警戒していてニセ物をつかむことはないし,たとえリマーキングしてあるものでもさすがに真空管じゃすぐにばれちゃうので,ごまかしてもメーカ名くらいですが,半導体はそういうわけにはいきません。

何度,NECの2SA649を入手するのにニセ物をつかまされたことか......。

残念ながら,2SD218はまだ海外にも本物があって入手可能だと思いますが,2SA649の場合はほぼ絶望だと思います。間違いなくニセ物だと思います。

もっとも,最初から悪意があってニセ物を作っているわけではない,と思います。日本で2SA649が高いと思ってリマーキングしているわけじゃないでしょうしね。たぶん,何かの日本製品の保守用に,本来の2SA649がなくなったので,別の似た特性の石をリマーキングして売っている,という程度の話だと思います。

今回起用する予定の2SB600はこんなやつです。

2SB600, D555?.jpg こんなの真っ赤ニセ物~~~っ!!

そもそもロゴが雷ロゴと言われる昔のNECなのはいいのですが,形状も本来なら2SA649などと同様,NEC特有の平べったいTO-3なのに,これは普通に背が高く,頭が丸い,東芝みたいなTO-3です。2SD555は新ロゴになっていますが,ロゴが小さいし,プリントもずれていて怪しい感じは明らかです。

ロゴについては,2SB600/D555のコンプリは割に最近まで製造されたので,NECの新ロゴのも存在するのですが,形状は昔のままで,平べったいやつのはずです。

クソ~~っ! と思ったのですけど,割にきれいなNECの旧ロゴのがあったので起用します。まあ,単なるヒータの電源回路だし,音は関係ないでしょうしね。

            ☆      ☆      ☆

NECのロゴは1992年に,昔のNECから,ゴシック体のNECに変わりました。ですから,2SA649/D2182SA627/D188は旧ロゴのものしかありません。バブルの頃から,今じゃほとんど死語ですけど,CI(corporate identity)とかで,いろんな企業がロゴを変えました。実際,ロゴ変更を契機として会社の業績が上昇する,と言う現象が見られて,プラスの効果があったように思いますが,一見,業績が向上したと言ってもそれは日本経済全体がよかったからにすぎなかったのかもしれません。

でも,最近話題の半導体メーカは昔はToshibaだったのに これじゃどこかわかっちゃうな,やはりバブルの真っ最中の1982年にTOSHIBAに変更しています。サザエさんのエンディングでこのロゴが大写しになりますけど,新しいロゴに変わって非常に違和感をおぼえたのを思い出します。そんなの古いって。

まあ,個人的にはどちらもiruchanは古い方が好きで,特にNECは技術提携元のWEのロゴにそっくりで(というより,最初から真似してますよね~),真空管なんかはNECと書かずにNippon Electricと書いてあることも多く,WEとそっくりでしたね。ちなみに東芝の前身の東京電気時代からのマツダロゴは提携元のGEにそっくりです。

そのWEも1969年にいわゆるベルマークと言われる,これもゴシック体みたいなWestern Electricに変わっています。これもiruchanを含め,マニアには評判が悪いですね。昔の雷ロゴの方がよかった,と言うわけです。

まあ,これらのおかげで真空管や半導体の年代が推定できるのですけど,件の日本の半導体会社の最近の事例を見ると,ロゴを変えるというのは会社経営にとっては非常に悪いことのように思えてきました。

思い出すのはRCAですね。

RCAはロシア移民のデビッド・サーノフが一代で作り上げた米国の巨大電機メーカで,NBCを設立したりして放送も支配していました。戦後も引き続き,半導体で世界をリードしました。いまだにC-MOSの4000番シリーズなんかが定番のICで残っているのもRCAの遺産ですね。

しかし,1966年に息子のロバート・サーノフが経営を引き継ぎ,ロゴも変えてしまいます。それまでは雷ロゴ(英語でもlightning logoと言います)と言われたロゴを変更し,デザイン的なものに変えてしまいますが,彼自身の経営のまずさにくわえて時代の変化に取り残されたRCAは1986年にGEに吸収されて消滅します。

最後の頃は保険会社も経営し,牛乳とか食品を販売する会社もあったようで,なんかどこかの国の電機メーカとそっくり,と言う気もします。その会社はロゴを変えていませんけどね~。とはいえ,一時,新聞広告を出してロゴを変えると言って大騒ぎした上,結局,や~めた,と言う話もiruchanはよくおぼえていますけど.......(^^;)。

また,WEも親会社AT&Tの分割が決まると一気に斜陽化し,1984年にAT&T Technologyになったあと,95年にLucent Technologyとなって消滅しています。ルーセントはWEの直系に当たるわけで,iruchanはコンピュータのルーターなんかでルーセントの名前を見ると懐かしく思い出します。

正直言って,ロゴを変えると会社が傾くんじゃないか,と思っています。ロゴを変更するくらい,カリスマ経営者がいる,ということはある意味,その経営者が独裁的になり,誰の話も聞かなくなるとか,社員も意識が尊大になり,上ばかり見て顧客を顧みなくなるとか,そういう現象があるのだと思います。なんで例の半導体会社は米国でも斜陽化していた原子力に手を出したのか.....。誰もご注進できなかったのか,という気がします。

そんなわけで,ロゴ変更後,10年くらいで会社がなくなることが多いんじゃないかとiruchanは最近,思っています。


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デジタルアンプLepy(旧Lepai) LP-2020A+の改造~ヘッドホン端子の取り付け~ [オーディオ]

2017年1月31日の日記 

中国Lepai社のデジタルアンプLP-2020A+にヘッドホン端子をつけました。  
 
LP-2020A+ヘッドホン改造.jpg 
 
 ヘッドホンで聴けるようになりました。下は自作のアナログ式専用電源です。
 
デジタルアンプは出力段がBTL方式になっていることもあり,ヘッドホン端子を取り付けるのは難しいのですが,なんとか使用できるようになりましたので,手持ちのLP-2024A+を先に改造しました。先週末は残ったLP-2020A+を改造しました。 
 
改造の中身については,前回のLP-2024A+の改造と同じですので,そちらをご覧ください。
 
LP-2020A+フロントパネル加工.jpg パネルの穴開けのけがき
 
正面のパネルに穴を開けるので慎重にやらないといけませんが,まあ,所詮はアルミだし,きちんとポンチを使って位置決めをし,最初はΦ2~3mmくらいの下穴を開けてΦ6mmの穴を開ければ傷もつかず,きれいに穴開けできると思います。 
 
電源SWの横にヘッドホン用の穴を開けます。ボリウムの左側の穴はスピーカoffのプッシュスイッチ用です。ヘッドホン使用時はそのスイッチを押してスピーカをoffにします。残念ながら,回路はもとからついているミューティングリレーの制御回路を利用してスピーカをoffにしていますが,ヘッドホンを挿したら自動的にスピーカをoffにする,ということはできませんでした。 
 
LP-2020A+ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板
 
 
ヘッドホン基板は前回作ったLP-2024A+のものですが,LP-2020A+ではやはり放熱器が邪魔をして多少,改造しました。
 
LP-2020A+に使用されているTripathのTA2020は出力がBTL方式ですが,それぞれ,ホットとコールド端子はGNDに対して6Vくらいの直流電圧が出ていて,スピーカから見たら等電位なので問題ないのですが,ヘッドホンは対GNDで動作させるため,これをカットする必要があり,ストッピングコンデンサが必須です。今回,小型のOSコンにしました。 
 
やはり小型なので十分,スペースに収まりました。コンデンサは100μFにしました。
 
なお,OSコンは導電性高分子アルミ固体コンデンサ,と言うのが正式名称ですが,従来の電解コンデンサと異なり,電解液を使っていません。キャリアが重いイオンじゃなく,軽い電子ですので,非常に高周波特性がよく,ESRも低いし,長寿命という特長もあるのですが,陽極と陰極がポリマーを介して接しているため,故障時にショートモードで故障する場合があります。そのため,メーカはカップリングコンデンサとしては非推奨なので本来,こういう使い方はNGなんですけど,問題はないと思います。
 
一方,高周波特性がよいことから電源のデカップリングコンデンサへの使用は推奨されているのですが,iruchanはこっちこそ危ない,と思います。もし故障したら電源をショートすることになりますからね。OSコンじゃないですけど,同じ故障モードになるタンタルコンデンサをデカップリングに使った'80年代の某社製高級プリアンプはトランスが焼ける,と言う故障が出ています。
 
でも,OSコンはやはり音がよいです。今回もヘッドホンで聴いてみて,明らかに従来の電解コンデンサとは異なる音でした。
 
おかげで非常に評判のよいLepai社のデジタルアンプですが,ヘッドホンでも聴けるようになりました。
 

LUXKIT A3600復活への道~その4・調整編~ [オーディオ]

2017年1月14日の日記

Luxkit A3600.jpg 完成しました。 

とうとう,この2年ほど取り組んでいた,ラックスキットのA3600アンプが本日,試運転の日を迎えました!!!

LUXKITのA3600というアンプはNECと共同開発した,大出力3極出力管8045Gをプッシュプルで使った,50W×2のアンプです。発売は1975年のようなので,もう発売から40年経っています。

と言う次第で,いつも大変お世話になっている河童さんからいただいた後,いろいろとメンテナンスと設計変更をしておりました。

まずはコンデンサやソケット,錆びた端子などの老朽化した部品の交換に始まり,トランスやボンネットの塗装や回路の設計変更をして時間がかかってしまいました。

プリント基板.jpg プリント基板改良後

基板ソケットはQQQのものを使いたかったのですが,基板用が手に入らなかったので,中国製の金メッキ品を使っています。

案の定,ソケットが渋くて真空管がスムーズに差さりませんでした。こういうときは無理をすると真空管を割っちゃうので,一度小さなマイナスドライバー(#0)を突っ込んでコンタクト部分を拡げておきます。 

カップリングコンデンサはすべて新品のフィルムコンに変更します。なお,真空管アンプのカップリングコンには必ずフィルムコンを使うようにしてください。オイルコンやペーパーコンは経年劣化でリークしますので不可です。オイルコンは歴史があるし,音がよいから,ということで愛用している方も多いと思うんですが,安全面を考えると要注意です。リークすると出力管の寿命に直結しますので,フィルムコンにしてください。iruchanは独EROを愛用しています。すでに製造中止ですけどね....。A3600はオリジナルは日通工のフィルムコンでした。これなら安心ですけど,やはり年月が経っていますし,リード線が錆びているので交換しました。

そのほか,位相補正用のセラミックはディップマイカに交換しました。出力管の動作点が変更となり,バイアスが少し浅くなったので-C電源も少し定数をいじっています。 

なお,残念ながら,50C-A10PPのKMQ60はオイルコンが使われています。お使いの方はすぐに交換した方がよいと思います。 

このアンプははわざわざ8045Gなんて大出力の真空管を開発したところからもわかるように,大出力指向のアンプで,この前も書きましたように,公称50Wのアンプですけど,実は実測で66Wも取れちゃいます。

そんな大出力はいらん,という気がしますし,何より8045Gは寿命が短いことで知られているので,もっとB電圧を下げて楽をさせてやりたいと思っていました。

今回,トランスの2次側出力にAC用コンデンサを挿入してB電圧を60Vほど下げることにしました。 また,これに伴い,ドライバ段の定数変更が必要となりますので,Spiceでシミュレーションして定数を決定しています。

それに,8045Gドライブ専用として6240Gという真空管も採用されていますが,これも入手困難なため,6FQ7で代用します。 特性が異なりますので,こちらも前回,あわせて検討しました。

回路の変更箇所を示します。赤字が今回の変更箇所です。6240Gがない,と言う方も6FQ7で代用可能ですので,ご参考にしてください。 オリジナルの回路はこちらをご覧ください。また,本機はA3300プリアンプの電源供給用にGTソケットがついていますが,電源のフィルタコンデンサの周辺がすごく混み合っているので廃止しました。もう,A3300プリアンプを入手して使うこともないでしょうしね。 

LUXKIT A3600回路図改造後.jpg 改造後の回路 

なお,電源部は少し,元の状態が変わっていて,オリジナルだと2連の電解コンデンサを使っているのですが,どういうわけか3連のものが使われていました。もとの所有者の方が改造したのか,それともA3600のバージョンのひとつなのかわかりませんけど。もはやブロック電解コンデンサは国産のものはなくなっていますし,テストしてOKだったのでもとのものを使っています。オリジナルの回路はこちらをご参照ください。 

今日はいよいよ通電して調整していきます。

まずは電源部のテスト。一番危険な箇所ですし,回路を間違っていると大変なことになりますので,まずはここからテストします。案の定,フィルタコンデンサのはんだが一部,テンプラになっていてうまく高圧が出ませんでした。ついでに電解コンデンサのテストをしておきます。古いケミコンはリークしたり,容量抜けしたりしてハムが出たりしますので,少し低めの電圧をかけてテストします。

まずはスライダックで1次側にAC10~20Vの電圧をかけ,各電解コンデンサにちゃんと電圧がかかっているか調べます。うっかり,極性を逆に配線していてもこれくらいの電圧なら助かりますので。特に,今回,A3600は固定バイアスのアンプなので,バイアス用のケミコンにちゃんとマイナスの電圧が出ることを確認します。

ダイオードが発熱したりしないかも調べておきます。問題なければAC50Vくらいにしてしばらく放置します。このとき,B電圧は250Vくらいになるはずです。

これで電解コンデンサの絶縁皮膜が回復するのを待ちます。フォーミングというのですが,米国製の電解コンを使った場合などは必ずこの状態で数時間放置してください。日本製のケミコンはいきなり高圧をかけても何の問題もないですけど,MalloryやSpragueなどの米国製の場合,いきなり高圧をかけるとヒューズが飛ぶことがあります。

なお,まだ現在は全く無負荷の状態なので,絶対にAC100Vにしないでください。ドライバ用の電解コンデンサなどの耐圧をオーバしちゃいますので。

さて,次はドライバ用の6AQ86FQ7だけ挿して,また徐々に高圧を加えます。プレート電圧などに異常がなそうならAC90Vくらいまで電圧を上げます。

ここで,一応,出力段のバイアス電圧を調べておきます。

8045Gのカソード(#8ピン)に黒,グリッド(#5)ピンに赤のリードを当ててみて,ちゃんと-90Vくらいの電圧が出るのを確認します。また,各半固定ボリウムを回してみて,スムーズに変化することを確認します。すべての8045Gのバイアスが-90Vくらいになるようにセットしていよいよ出力管を挿します。

さて,いよいよ出力管のプレート電流を調整します。

スライダックで再度,徐々に電圧をかけていきます。カソード~GND間に10Ωが入っていますので,この両端の電圧を計測して750mVとなるようにします。

今回,8045Gの動作点は前回のブログにもあります通り,EP=430V,Eg=-85V,IP=75mAとしましたので,この抵抗の電圧は750mVです。

残念ながら,8045Gの1本が少しエミ減気味で,R ch.はIP=70mAであわさざるを得なかったので,B電流が少し小さく,B電圧は450Vになりました。ほぼSpiceのシミュレーションどおりです。

オリジナルのA3600はEP=495V,Eg=-100V,IP=80mAですので,もう少しプレート電流は流した方がよいのかもしれませんが,プレート損失を抑えて33Wにしました。オリジナルだと39Wですから,▲15%としました。 

プレート電圧も含め,プレート損失も出力管の寿命を考えると,もう少し小さい方がよいと思います。 

これで4本すべてのプレート電流をあわせます。各ch.の上下の出力管のアンバランスは1mAを目標に調整しました。

さて,ここまで来たらf特と出力を見ておきます。

LUXKIT A3600 f特.jpg 周波数特性(1W)です。

ちょっと驚いちゃいました。10Hz~50kHz(-1dB)と言ったところで,非常に広帯域です。特に,低域のレスポンスがよいのはプッシュプルアンプの特長ですけど,それにしても10Hzでも-0.7dBで,実際には-1dBも行っていないのですから。iruchanの持っている低周波発振器は10Hzまでなので,それ以下はわかりませんけど,カットオフは非常に低いはずです。高域も50kHzとは驚きで,手持ちのLUXKITのKMQ60より非常に広帯域です。

出力は53.6Wとなりました。まだ少し大きいですが,まあこんなのものでしょうか。 

10kHz方形波応答.jpg 10kHz方形波応答

  リンギングやオーバーシュートもなく,素直な方形波応答です。  

さあ,いよいよお楽しみ.......。音を聴いてみます。

まずはいつも聴いている,アナ雪。まだはまっちゃってます。

う~~ん,最近は "君の名は。" が大受けで,そろそろアナ雪も抜かされそう,と心配しちゃっているんですけど。それに,昔からiruchanは学園ものが嫌いなので,今年の正月は子供と "君の名は。" じゃなくて, "この世界の片隅に" を見に行きました。これ,本当にいい映画です。悲しい結末だけれど,戦時下にも前向きに生きようとしている主人公に共感を覚えましたし,とても勇気づけられました。それに,悲劇を描いているけれど,妙に明るくて,笑いながら最後まで楽しめます。さすがに,あまりに悲しいと,某戦争アニメみたいに,とても最後まで見ていられないということになっちゃいますので。 日本映画って,誰かもFMで話していましたけど,こういう見たらトラウマになりそうなのが多くて困ります。実は,iruchanはそのチョ~有名な戦争アニメは今まで,一度も最後まで見たことがありません......(^^;)。

アナ雪2.jpg 

松たか子さんの高音の伸びた澄んだ歌声に魅了されます。やっぱ,いい曲だな~~~!!

それにしてもずいぶん寒くなってきましたけど,このアンプはストーブ代わりになります。なにせ200Wもの熱を出しているのですから,小型ストーブ並みです。実際,調整中は寒いので8045Gに手をかざしながらやっていました。火鉢かよって!?。これやったらストーブいらへんやん,と言う次第で,やっぱ....

画像3.jpg

   ♪ 少しも寒くないわ~ (松たか子さんの声で!!) 

アンプはとてもノイズが少なく,ハムが全く聞こえません。こういう点はプッシュプルのアンプですね。シングルのアンプはどうしてもハムが残っちゃいますけど。音も左右の分離がよく,豊かな低音が魅力です。それほど高音は伸びている感じはしませんが,やはり真空管特有の暖かくて柔らかな音だと思います。半導体のアンプじゃ味わえませんね。 

さて,お次はお約束のフルヴェンの第九。本当は年末に完成させて,師走に聴きたかったですけどね.....。

ご存じ,言わずと知れた1951年7月29日のバイロイト音楽祭の初日の演奏録音です。やはりこれしかない!!という感じのチョ~名演です。

聴いたのは東芝EMIがSACDのハイブリッドで出した盤。紙ジャケだし,SACDになったし,と言うことで買ったものです。

ただ,ちょっと驚いたのはフルトヴェングラーが壇上に登場する音が入った,いわゆる "足音入り" の盤なんですけど,なぜか以前の盤に入っていた,第1楽章冒頭の耳障りな聴衆の咳払いや,マスターテープの劣化による第2楽章のドロップアウトがなくなっています。

後者は耳障りなのでなくなってよかったですけど,どうにも冒頭の咳払いがなくなっているのは変。何をやって消したのかわからないんですけど,これがないとフルヴェンじゃない,という感じです。演奏と一体化しちゃっているので,iruchanはちょっと変な感じがします。

やはり一番の聞きどころは第4楽章のバリトンのエーデルマンが歌い出す前後。 おぼろげに低音がこもったような響きのホールにオケの演奏が盛り上がって彼が歌い出すところは秀逸。

     ♪ おお、友よ! このような調べではない!........

と言う次第で,今年はフルヴェンの第九からはじまりました。また本年もどうぞよろしくお願いします。

Furtwangler Beethoven sym.9.jpg 

        Beethoven Symphony No.9 (TOCE-11005) 


デジタルアンプLepy(旧Lepai) LP-2024A+の改造~ヘッドホン端子の取り付け・つづき~ [オーディオ]

2016年12月31日の日記 
 
LP-2024A+ head phone1.jpg
 
とうとう,今年も今日で最後です。一年,ご愛読ありがとうございました。今年,最後の投稿です。
 
今日は前回の続きで,Lepy(旧Lepai)のデジタルアンプLP-2024A+のヘッドホン端子追加についてです。前回はいつもお世話になっている方からの依頼でした。今回は自分のを改造します。
 
まず,前回で課題になったのは,少し改造が大変だと言うことです。回路自体は簡単なんですけど,アンプの出力とスピーカ端子の間にスイッチを挿入しなければならないので,一度,スピーカ端子を外す,と言う大工事が必要でした。
 
回路は簡単なんだけれど,実際にやるのは大変,ということが結構ありますね。
 
今回,もっと簡単にできないかと考えました。
 
また,前回はスピーカ⇔ヘッドホンの切り替えをできるように考えていたため,スイッチは双極双投(DPDT)のスイッチが必要で,その配線が結構面倒でした。
 
でも,よく考えてみると,スピーカとヘッドホンの切り替えが必ずしも必要ではなく,あくまでもスピーカをOFFにできればよいのでは,と思いました。ヘッドホンがつなぎっぱなしで,ヘッドホンから音が出ている状態でも音量が小さければ問題ないし,普通はちゃんとヘッドホンを抜いておけばよいだけの話です。つまり,ヘッドホンを使っているときはスピーカをOFFにすればよいのです。
 
と言う次第で,今回はヘッドホンを使えるようにすると同時に,スピーカをOFFにする回路を追加することにします。
 
スピーカをOFFにする回路,というのはもちろん,ミューティング回路なんですが,もとからLepyのアンプにはミューティング回路がついていて,リレーでスピーカをON/OFFしています。
 
と言うことはこのリレーを別途,制御できればスピーカをOFFにすることができますね! 
 
これを使わない手はありません。 
 
ということから,改めてLP-2020の回路を検討します。LP-2020の回路については,以前も紹介したHamlinさんが発表しておられるので参考にさせていただきました。LP-2024A+も本体のTA2024周辺の回路をのぞけば,ほぼ同じと考えられます。
 
アンプの電源投入時にスピーカからボコッと言う不快な音がするので,その音をシャットダウンするため,アンプにはミューティング回路が入っています。真空管のアンプだともとからスロースタートなので問題になることはないのですが,半導体のアンプは立ち上がりが早いため,この問題が出ます。特にACアンプだと至る所にカップリングコンデンサやデカップリングコンデンサが入っているので過渡特性が悪く,ポップノイズが出ます。デジタル時代になってから,逆にアナログ部分はACアンプになっていることが多く,困ったものです。
 
特にデジタルアンプの時代になるとPWM信号プロセッサの立ち上がり時にノイズが出ることもあり,ミューティングが必要です。LP-2020も初期の頃,このノイズが問題となり,後期のものはかなり改善されています。LP-2024A+はLP-2020の後継機なので,改良点が継承されています。
 
アンプのミューティング回路は次のようなものです。
 
ミューティング回路1.jpg アンプのミューティング回路 
 
CとRの時定数回路が入っていて,この場合,コンデンサの端子電圧は最初は当然0Vですけど,徐々に充電されて電圧が立ち上がっていきます。よく言われるんですが,C×Rが物理的に時間(sec.)の次元となり,おおよそ t=C(F)×R(Ω) のとき,電源電圧の6割くらいの電圧になります。このC×Rの値を時定数と言います。
 
▲の回路ではコンデンサの端子電圧が大体,0.6VになるとTrがONし,リレーを動作させるようになっています。
 
Lepyのアンプのミューティング回路はこの通りとなっています。ついでに,ヘッドホン周辺の回路も一緒に示します。─ 部分が今回の追加部分です。 
 
LP-2024A+スピーカーoff&ミューティング回路.jpg 今回の回路
 
やはり,普通のミューティング回路同様,CとRの時定数でTrをONさせることによってリレーを動作させています。なお,リレーの駆動Tr Q4, Q5はダーリントン接続となっています。
 
ほかに,LepyのアンプはQ1とQ3が付加されています。
 
まず, Q1は過電圧保護で,入力のDC電圧が何Vかわかりませんが,限界を超えるとQ1がONしてアンプ全体をミューティングさせるようになっています。 

Tripathの規格表を見ると,TA2024の#12ピンはミューティングとなっていて,このピンが high の場合はアンプが動作せず,low になるとアンプがONするようになっています。 
 
また,リレーの後ろにQ3がついていますが,これのコレクタ電位は通常は high で,アンプの電源が入ると,ミューティング回路と同じ電圧でQ3がONし,#12ピンを low にするようになっています。
 
なんか,スピーカのミューティング回路と二重になっていてムダな気もするのですが,こうしないとポップ音がひどいのでしょう。初期のLP-2020アンプなんかはこの対策がしていないのではないかと思います。
 
さて,今回,ちょっとこのせいで困った問題が出てしまいます。
 
普通だったら▲の回路でC15をショートしておけば(=Q5のベースを接地する),ミューティング回路が動作せず,リレーが動かないのでスピーカはOFFにできます。
 
ところが,このやりかただと,スピーカはOFFにできるんですが,Q3もONしないのでいつまで経ってもアンプがミューティング状態となってしまい,ヘッドホンから音が出ません。
 
と言う次第で,この方法は使えません。
 
次の手で,Q4が動作してもリレーが動作しないようにします。Q4のコレクタとリレーのコイルの間にパターンを切ってスイッチを挿入します。場所は▼の写真の 部分です。
 
実は実装上はこの方法の方が簡単でした。それに安全です。うっかり,Q5のベースを接地するべく,スイッチを配線しようとしてはんだがブリッジしてしまってQ4やQ5を壊しちゃうこともあり得ますので。小さな表面実装のTrなので,配線をはんだづけするだけでも大変です。
 
SP OFFスイッチ挿入部.jpg ルーターでパターンを切ります。
 
一度,ルーターを持ち出してパターンを切らないといけませんし,切った端の部分の塗装をはがしておかないと配線をはんだづけできないんですが,こちらの方が楽だと思います。
 
また,スイッチは単極単投(SPST)のものがつかえるので配線も簡単です。
 
SP OFFスイッチテスト中.jpg ただいまテスト中。
 
使用したスイッチは6Pのどこ製だかわからないものですが,Lepyのアンプで使われているのとほぼ同じものだと思います。いつもお世話になっているサトー電気さんで見つけました。単極単投でよいので2Pのスイッチでいいのですけど,普通は3Pか6Pのものだと思います。
 
ただ,残念ながら,適当なキャップがありません。一般に売られているものはΦ8mmくらいのものです。LepyのアンプのはΦ7mmなので大きいのです。また,色もシルバーというのはありません。グレーでもいいかとは思ったのですが.....。
 
このスイッチを押すとリレーの接点が外れ,スピーカがOFFとなります。 
 
結局,Ali Expressで割に似たのを見つけたので注文しました。届くのに2週間くらいかかると思いますが届いたら取り付けてみます。
 
さて,実際の工事の様子です。
 
SP OFFスイッチ部.jpg パネルに穴を開けました。
 
ちなみに,ご覧の通り音量調節のボリウムの照明はオリジナルは品の悪そうな? 青色LEDを使っていますが,iruchanはいつも電球色LEDに換装しています。こっちの方がずっと品がいいと思います。 
 
Lepy LP-2024A+フロントパネル加工図.jpg パネル加工図です。
 
ヘッドホン端子はそれほどじゃないですけど,SP OFFスイッチは基板にはりつけるので,慎重に検討しないとうまく基板に載せてパネルから顔を出すようにできないので一度, "花子" で図面を描いて検討しました。が今回の穴開け位置です。 
 
 
ヘッドホン基板.jpg ヘッドホン基板
 
前回は万能基板を使いましたが,今回は基板はきちんとエッチングで作りました。ヘッドホンジャックはICピッチじゃないので万能基板を使っても結局,穴開けをやり直さないといけませんでしたので。
 
回路は▲の図の通りです。今回,ストッピングコンデンサはELNAのシルミック220μF 25Vを使いました。あまりに大きいのに驚き。同じ容量,耐圧のものの倍はあります。でも,音は非常にいい感じです。もう1枚作りました。こちらはニチコンMUSEにしました。
 
 
Lepyアンプヘッドホンジャック基板1.jpg プリント基板 
 
 
プリント基板用ヘッドホンジャックは配線が面倒なのでプリント基板図を示します。これを50mm×15.3mmで感光基板に焼き付けると基板を作ることができます。 
 
本当言うとiruchanはお気に入りのサンヨーのOSコンを使いたいのですが,OSコンは導電性高分子アルミ固体電解コンデンサで,内部に電解液が使われておらず,直接,電子で電荷をチャージする仕組みになっています。電荷を運ぶ素子が普通の電解コンデンサだとイオンですけど,OSコンは電子のため,非常に軽く,そのため高周波特性がよいので音もよいのですが,残念ながら普通の電解コンデンサと違って電解液を使わないので故障時にショートモードで故障するくせがあります。そのため,故障すると直流が漏れてヘッドホンが壊れる可能性があるため,使用は避けました。この故障モードはタンタルコンデンサも同じで,iruchanはタンタルは使わないことにしています。
 
ヘッドホン&スピーカOFF回路配線.jpg 
    
   ヘッドホン基板とスピーカOFFスイッチの取り付け 
 
ヘッドホンの配線はスピーカ端子に行います。前回はスピーカ端子を外さないと配線できませんでしたが,今回は基板の裏にはんだづけするだけなので楽です。
 
ヘッドホン配線はんだづけ1.jpg 2芯シールド線を使いました。
 
前回,ヘッドホンのGNDは電源のフィルタコンデンサを使いましたが,今回はSP端子近くのGNDプレーンに直接ハンダづけしました。ただ,このあたりにある,はんだ部分はとても小さいので,スピーカOFF回路同様,ルーターで塗装をはがしてそこにはんだづけしました。
 
これだと簡単です。
 
ようやくこれでヘッドホンが使えるようになりました。いい音で聴くことができますね。
 
では,今年も皆様,どうもご愛読ありがとうございました。また来年もどうぞよろしくお願いします。よいお年を。 
 
 
 
2017年1月15日追記
 
年末にAli Expressに注文していた,プッシュSWのキャップが届きました。どうしても日本で入手できるプッシュSWはキャップがなかったり,あっても色がシルバーなんてのはなくて,結局,中国から取り寄せました。このキャップは "つば" 部分がΦ9mmで,円筒形の部分がΦ5mmでした。もう少し円筒部分は太くて長い方がいいんですけどね。
 
push switch.jpg 20個で$8.16でした。
 
さっそく,使用しているプッシュSWに取り付けます。残念ながら,このキャップにセットになっているプッシュSWは入手できなかったので,今使っているやつにははまりません。
 
軸をルーターでΦ3mmに削って差し込みました。
 
push switch1.jpg 上面にプラ板を貼りました。
 
普通は端子部を下にしてはんだづけするんですけど,さすがに今のプリント基板に穴を開けて差し込もうとは思いません。危険ですよね~。
 
と言う次第で,普通はあり得ないんですけど,上面を下にして,プリント基板にエポキシ接着剤で貼りつけちゃいました。もちろんこの場合でも絶縁しておかないと危ないので,t1.0mmのプラ板を貼りつけてから接着しました。
 
LP-2024A+ head phone2.jpg こんな感じです。
 
出っ張った部分はΦ5mmなので,もとのフロントパネルに開けた穴が少し大きすぎますけど,まあ,違和感ないと思います。ついでに,インレタで表示を追加しました。
 
これで,無事に正面でスピーカのon/offができるようになりました。非常に便利です。これでLepyのデジタルアンプもヘッドホンで聴くことができるようになりました。
 

 
 

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