So-net無料ブログ作成
検索選択

Tomix ED61へのスナバ回路組み込み [模型]

2015年11月22日の日記

先週,TomixのEF510にスナバ回路を組み込みました。もう1両,ED61がありますのでこれにスナバ回路を組み込んでみます。

模型は古いもので,2011年にボディおよび動力が改良され,リニューアルされていますが,私のはその前のものです。おそらく,10年ほど前に購入したものと思います。

実車は中央線で使用されていた戦前の輸入機など雑多な古い機関車を淘汰する目的で1958年から国鉄が製造した出力1,590kWのD型機です。直接,ED61を見た記憶はないのですが,非回生ブレーキの同系ED60や飯田線転属のため改造された後のED62は見たことがあります。

早速ばらしてみます。ボディは裾の中央部分に指をかけてギュッと広げるとボディが落っこちてきますので,簡単にばらせます。

内部.jpg 内部

う~~む,と思わずうなってしまいました。このウェイトの光沢や基板のデザインはどこかで見たような気がします......。おそらく,某社の中国委託先と同じところの製造だと思います。

前照灯の基板はKATOと違って,前後で2枚に分かれています。これは意外に面倒で,基板が小さく,スナバ回路を組み込む余地が少ないし,お互いに逆の極性になるので保護用のシリコンDiを省略できる2つの前照灯用LEDが分かれてしまうので,別途,個別にLEDごとに保護用のシリコンDiを組み込む必要があります。

original基板.jpg オリジナルの基板

何より前照灯が暗くてこの点も改良したいと思います。実は,▲の写真は電池をつないでLEDが点灯している状態なのですが,全然点灯しているとは思えないほどの暗さです。

おまけに電流制限抵抗は330Ωを使っていて,これだとLEDに流れる電流は30mAくらいになっていて,LEDの定格オーバーだと思います。 これだけ電流を流しても非常に暗いので,ここ10年ほどのLEDの技術の進歩には驚かされます。最近のやつはまぶしくてしかたないくらいですが,10年前はこんなものだったのですね~~。

前照灯基板(改良後,スナバなし).jpg スナバ回路なしの基板

スナバ回路はどちらか一方の基板だけ設置すればよいので,まずはスナバ回路なしで組み込んでみます。

LEDは電球色のφ3mmのものに交換しました。また,電流制限抵抗も1kΩに変更します。これだとLEDには約10mA流れることになります。▲の写真では同じ電池を使っているのですが,このように明るく点灯します。

なお,オリジナルの基板にはなんと保護用のダイオードが入っていませんでした。LEDの逆耐圧は6Vほどなので,これを入れておかないと後進時にこのLEDに逆向きに12Vがかかることになります。まあ,これくらいの電圧でもLEDは耐えられるようなのですが,LEDのメーカは保証しないでしょう。ちゃんと保護用のダイオードを入れておきます。使ったのはロームの1SS133です。非常に小さく,重宝しています。このダイオードは写真にもあるように,LEDとは逆向きに取り付けます。なお,よく製作記事やブログなどでシリコンDiをLEDと直列にした回路を見かけますが,これは誤りで,逆耐圧保護の場合,LEDと逆向きにパラ接続します。

前照灯基板(改良後,スナバ付).jpg スナバ回路付の基板

こちらはもっと厄介で,チップタイプのシリコンDiをはんだづけした後,CとRを直列にしたものを基板の根元に取りつけないといけません。まずはシリコンDiをLEDとは逆向きにはんだづけしたあと,33Ωと0.1μFを直列にしたものを基板の端子部にはんだづけします。その後,LEDをシリコンDiとパラにはんだづけする,と言う作業をします。

はんだづけしたあとはこのように点灯テストをしてください。

点灯テスト.jpg 点灯テスト

カメラの露出の関係でわかりにくいですけど,スナバ回路のおかげで後ろ側(右)の前照灯は点灯しません。スナバ回路がないと,コントローラの回路や周波数にもよりますが,どっちが前だ? と言いたいくらい明るく点灯してしまいます。 

ED61.jpg 完成です。

ED61-1.jpg 前照灯も非常に明るくなりました。 


nice!(0)  コメント(0) 

Tomix EF510再入場~Tomix製電機へのスナバ回路組み込み~ [模型]

2015年11月15日の日記

今週もスナバ回路ネタです.........(^^;)。

以前,TomixのEF510を買いました。横浜の六角橋にあっただるまやさんが閉店するときに買ったものです。長年,模型を買っていました。大変お世話になりました。 

購入時に整備していますが,再び入場して整備します。

購入したときにオレンジ色の前照灯を交換し,KATOのナックルカプラーを取り付けています。そのときの整備内容はこのブログをご覧ください。また,あとから出たKATOのも持っています。そのときの整備状況はこちらをご覧ください。KATOのは初回入場時? にスナバ回路も設置しています。

さて,久しぶりに取り出して走らせてみるといくつか不満な点が出てきました。

何より前照灯が白すぎるし,暗いです。前回,当時は電球色のLEDが品種が少なく,小さなものがなかったので,白色のチップLEDを使い,ポスカのうすだいだいを塗ってごまかしたのですが,やはり多少黄色くなっているとはいえ,色が白すぎます。

3099レ('15.5.9).jpg 実車の前照灯は黄色いです。

それに,どうにも前照灯が暗い! 特におでこの部分のランプが暗いです。実車はメタルハライドランプを使っていると思いますが,従来のシールドビーム電球より明るいので,EF81よりも明るく,模型の方も明るくないとおかしいです。これはKATOのEF510もそうですけど,おでこの部分にも前照灯がついていて,導光材がうまく光源の光を拾ってくれないためで,光源が相当明るくないとダメなためです。まあ,実車はそれぞれにランプをつけているので明るいですけど,模型だとこれだけ位置が離れていると均等に明るくするのはとても難しいと思います。

また,その割に運転席の天井部分が明るく光ってしまいます。貨物だと夜間走行が多いので,この点,目立っちゃいます。部屋を暗くすると天井が光ってるんですよね~。 

最後に,スナバ回路を入れていないので,レールのギャップ通過や接触の悪い箇所を通るときは後ろ側の前照灯が点灯してしまいます。

と言う次第で,スナバ回路を組み込むとともにこれらの点を改良します。Tomixの機関車にスナバ回路を組み込むのも初めてですので,定数を調べてみたいと思います。

さて,再びばらします。どうもTomixのEF510はボディの固定が甘く,簡単に外れちゃうので前回,両面テープで貼り付けていますが,簡単にばらせました。

Tomixの機関車の基板はKATOと違って前後の前照灯が別々の基板になっています。前回のKATOのED19は珍しく,Tomixみたいに別々になっていました。

オリジナル基板.jpg 基板の状況。保護DiはLEDと逆向きです。

前後の前照灯を別の基板にする場合,保護用のシリコンDiが必要で,Tomixのもちゃんと入っています。LEDのすぐ後ろにあるチップのダイオードがそれで,LEDとは逆向きに入っています。

LEDの電流制限抵抗はKATOのと同じで560Ωになっています。計算するとLEDの電流は定格いっぱいの20mAくらいですから,前照灯が暗いからと言ってこの抵抗を小さくしてはいけません

スナバ回路はモータの端子間にパラに入るようにしますので,この560Ωの抵抗に入る前に接続します。

Tomix EF510前照灯回路1.jpg 今回の回路です。 

いつもならチップの抵抗とコンデンサを使いますが,今回,抵抗は1/4Wのアキシャルリードタイプカーボン抵抗を使いました。 チップ抵抗だと小さすぎるんですよね~。

コンデンサはいつもどおり0.1μFです。コンデンサは0.1~1μF,抵抗は22~100Ωくらいの値にしてください。抵抗とコンデンサの位置は図中,上下どちらでも結構です。抵抗は小さい方が効果が大きいですが,損失が大きくなるため,22Ω以下にしないようにしてください。 特に,私のようにPWM式コントローラのチョッピング周波数が高い場合は要注意です。ちなみに自作のPWMコントローラは20kHzです。

ちょっとハンダ付けに苦労しますが,無事にスナバ回路をつけられました。ただ,やっぱ1個,コンデンサをお釈迦にしてしまいました.....orz。小さすぎるので熱で壊れちゃうんですよね~。

EF510前照灯基板(改良後).jpg スナバ回路搭載状況

LEDは最初,元のオリジナル基板と同じチップタイプの電球色LEDにしましたが,あとで砲弾型LEDに変更しました。

前照灯基板(砲弾型LED).jpg 反対側の前照灯基板

スナバ回路はどちらか一方の基板のみに搭載するだけでOKです。

さて,前照灯が暗い原因を考えてみます。やはり,車体内部のウェイトに隠れるような構造になってしまうのが原因のようです。最初,スナバ回路を搭載した基板のように,チップタイプのLEDを使ってみたら同じでやはり暗い!

しかたないので,リードタイプの砲弾型形状をしたφ3mmのLEDに変更します。ただ,この場合,厚みが大きすぎますし,何よりウェイトの隙間から顔をのぞかせるようにしないといけないので,樹脂を削りました。

ルーター.jpg ルーターで削ります。 

砲弾型LED形状1.jpg こんな形状にしました.....。

搭載状況.jpg LEDが顔をのぞかせます.....(^^;)。

そのあと,車体内部を黒く塗りました。鉄コレだとよくこのトラブルがあって,LEDのある車体部分が光っちゃったりしますが,このTomixのEF510も同じで運転台の天井部分が光ましたので,黒く塗りました。 

車体内部塗装状況.jpg 一部,黒く塗りました。

前照灯の導光材周囲はもとから黒く塗られていましたが,一部はげていたので加筆しました。 

こうやるとかなり前照灯が明るくなりました。

Tomix EF510(再整備後).jpg 竣工です。

Tomix EF510(再整備後)1.jpg 明るい~~!!!

でも,結局,おでこの部分はあまり明るくなりませんでした......orz。 

 

【おまけ‥‥‥ハンダゴテ買い替えました】

長年愛用していた基板用の小型ハンダゴテのヒータが切れてしまいました。セラミックヒータ仕様のものでしたので,うっかり軸に力がかかってセラミックが割れてしまったようです。

部品屋さんを探してみるとすでに交換用ヒータはありませんし,メーカに聞いてみてもすでに在庫なしで,おまけに現行品とは互換性がないとのこと。 

う~ん,しょうがないな~, と言うことで思い切ってコテごと買い換えました。

HOZAN HS-11.jpg HOZAN HS-11

買い直してみて正解! 今度,買ったのはホーザンのHS-11というハンダゴテですが,最近,電子工作マニアの間で評判がよいものです。さすがに温度調節機能はないので,最近はやりの無鉛ハンダには難しいですが,普通の有鉛ハンダを使った電子工作にはぴったりです。

驚いたことに無鉛ハンダの方が音がよいとかいう話があって,ギターのエフェクタを作る人なんかで無鉛ハンダを使う人が多いようです。無鉛ハンダは融点が有鉛ハンダより40℃ほど高く,温度調節機能のついた専用ハンダゴテが必要です。また,融点が高い関係でハンダがテンプラになりやすく,回路が動作しない原因にもなります。アマチュアの方は有鉛ハンダの方がよいと思います。当然,私も昔ながらの有鉛ハンダです。 

容量は11Wと小さく,精密なハンダづけにぴったりです。おまけに先端部分が普通のハンダゴテより短いし,軽いので作業がやりやすいです。 


nice!(1)  コメント(0) 

KATO ED19の整備~常点灯化対応,反対側前照灯点灯防止~ [模型]

2015年11月8日の日記

KATO ED19-1.jpg 改造後の姿です。 

今日は久しぶりに "スナバ回路" ネタです。どうも長期間,空いてしまい申し訳ありませんでした。

KATOのED19を改造します。模型自体は今年3月の発売です。

実車は1926年の東京~国府津間電化に際して米BaldwinとWestinghouseで6両製造された6010形ですが,1928年には称号規程の改正によりED53形に改められています。形式からもわかるとおり,もとは旅客用です。

ただ,東海道線用としては出力840kWと容量が小さく,結局,1937年,貨物用に改造の上,3~6はED19形として電化されたばかりの仙山線へ転属します。 すでに旅客用はEF53が登場していましたし,貨物用としてもEF10が登場していたので不要になったのでしょう。戦前はもちろん直流電化しかなかったのですが,仙山線は途中に面白山トンネルという長大トンネルがあり,蒸機では重量貨物の牽引は難しいため,トンネル前後の区間のみ電化されました。上越線の清水トンネルもそうですね。結局,日本では戦前の電化区間というのは東海道線や都市部の通勤電車区間をのぞけば電化区間というのはこういった山岳トンネルに限られました。

残った1と2も1941年にはED19形へ改造の上,甲府へ転属となり,全車ED19形となりました。

戦後は全機,飯田線に集結し,ED62に置き換えられるまで活躍しました。現在,1号機が長野県箕輪町の郷土博物館に美しい状態で保存されています。

車体や台車など機械部分はBaldwinで,モータや制御器などの電気品がWestinghouseですが,GE製のED14と異なり, 同じ会社の組み合わせのED10と同じく,丸みを帯びた美しい形状はとても好きです。

さて,模型を改造します。例によって,模型の前照灯がLED化されて久しいですが,モータの高性能化もあいまって,停止中に前照灯が点灯せず,動き出してから点灯するので,どうにも気に入りません。 まあ,昔の電球式のばあいはもとからこうでしたし,電球だと暗いので,そんなに気にならなかったのですが,LEDになると明るいので,気になります。

もっとも,この場合,コントローラ(パワーパック)はPWM(パルス)式のものでないとダメで,昔ながらのレオスタット式やトラコンでは常点灯には対応しませんのでご注意ください。 

そのため,停止中にコントローラのツマミをほんの少し動かしてモータが回転する前に前照灯を点灯するように改造したいのですが,これが意外に難しく,単純に基板上に乗っかっているコンデンサを撤去する,と言う方法だけでは走行中に反対側の前照灯のLEDがチラチラと点灯するという困った問題が生じます。 これは,モータのインダクタンス分が邪魔をして,PWM式コントローラがパルスをoffにした瞬間,逆向きの電圧が発生するからです。電球の場合は熱的な時定数が大きいので,逆起電流により点灯することはないのですが,LEDはこの瞬間的な電流でも点灯してしまうのが問題です。

この対策として,私は交流回路用のC-Rスナバ回路の挿入を思いつき,うまくいっています。スナバ回路の原理については私のこの記事をご覧ください。

スナバ回路とは,モータやリレーなど,インダクタンス分を含む回路のon,offをする場合に逆起電力を抑えるためのもので,Nゲージでも有効であることがわかりました。

回路としてはコンデンサと抵抗を直列にしたものをモータにパラに入れればよく,KATOのものの場合,最近はC=0.1μF,R=22Ωとしています。なお,スナバ回路も損失を生じますので,抵抗の値は小さい方が効果が高いのですが,損失を考えるともっと大きい方がよいので,これより小さくしないでください。

さて,今回のED19をまずはばらします。

ところが......。

今回のED19はボディが小さいのが災いし,なかなかボディが外せません。

分解状況.jpg こんな風にボディを外します。

結局,集電板が邪魔をしているのでこれをピンセットでずらせば,そこからつまようじを▲のように差し込んで,ガラスについているツメを外します。

ボディ内部.jpg ボディ内部

基板の外し方.jpg ここを押して基板を外します。 

普通,KATOの電機やディーゼルは前後の前照灯を一体にした基板1枚ですが,今回のED19はTOMIXみたいに前後に基板が分かれていました。このため,基板が小さく,工作は厄介です。

なお,スナバ回路はどちらかの基板に1カ所,取り付ければよく,両方の基板に設置する必要はありません。 

基板(改造前).jpg コンデンサの撤去

まずは常点灯にならない原因である,コンデンサを撤去します。このコンデンサは2つの基板の両方とも撤去してください。このコンデンサはLEDの電流制限抵抗(▲の写真では560Ω)とローパスフィルタを構成するため,PWM式パワーパックを使用してもデューティが上がってこないとLEDが点灯しません。このとき,すでにモータは回転してしまっています。

なお,写真中,←→で示したところに導通があります。特に,上側の矢印のランドにご注意ください。スナバ回路はこの2つの矢印の間を結ぶように挿入します。 

基板(改良後)1'.jpg 最初のスナバ回路

残念ながら,最近のチップ部品は本当に小さくなり,こういう回路に使うと便利なように見えて不便です。もう少し大きい方がうまく基板のランドを利用できて便利です。これだとあまりに小さくてランドに届かず,リード線を付け足さないといけません。

何とかハンダ付けしたのですが,これはダメで,ボディに差し込んだら導通不良になり,前照灯がついたり消えたりしてしまいました。基板をボディに差し込む部分にハンダが流れ込んだためのようです。

基板(改良後)2.jpg 結局,こうしました。

しかたないので抵抗はアキシャルリードタイプに変更しました。この前,北海道の梅沢無線さんで買ったものです。昔なら1/8Wとか,1/16Wなどのサイズで,非常に小さなものです。秋葉でも売られています。

基板とレールの導通箇所がありますのでハンダ付けする部分には十分ご注意ください。あくまでもスナバ回路がモータの端子にパラに入るようにします。

なお,こうやってもコンデンサがボディ内部の遮光板? と干渉しましたので,▲の写真のように遮光板の内部を一部,ルータで削りました。

点灯テスト.jpg 点灯テストです。

一応,配線ができたらレールに載せてテストします。今回,リードタイプの抵抗が100Ωしかなかったので,コンデンサの容量は少しUPしないとダメです。従来通り,0.1μFのままだと反対側のLEDが多少点灯しました。そこで,コンデンサは1μFとしたら,完全に消えました。

ようやくこれでスナバ回路の設置が完了しました。おかげで停止中にも前照灯が点灯するようになり,ご機嫌です。カプラーもナックルカプラーに交換し,ナンバーを貼り付けて整備完了です。本当に小さな古典電機が手に入ってうれしいです。

KATO ED19.jpg 車号は2番にしました。 


nice!(1)  コメント(4) 

鉄道模型のコントローラ(パワーパック)の出力回路について [模型]

2015年2月9日の日記

鉄道模型のコントローラを作っています。 日本ではパワーパックと呼ばれることが多いですね。市販品を買うのが一番手っ取り早いし,性能もよいのですが工作マニアなので自作するのを楽しんでいます。

以前,コントローラの歴史についてちょっと書きましたが,今日は出力回路およびモータの逆起電圧についてまとめます。

鉄道模型では昔はレオスタットと呼ばれる大型の巻線抵抗器を使って電流を制御する方式でしたが,その後,トランジスタを使ってモータを電圧で制御するようになり,さらに出力電圧は最大値(12V)で固定のまま,パルスの幅を変えて制御するPWM式も出るようになりました。最近ではPWM制御にマイコンを用いるものが増えてきました。

これらの半導体を用いたコントローラの出力回路は大体,次の5種類くらいあります。

コレクタ出力回路1.jpg  エミッタ出力回路.jpg   ドレイン出力回路.jpg  ソース出力回路.jpg Hブリッジドライバ.jpg 

 コレクタ出力  エミッタ出力   ドレイン出力  ソース出力    Hブリッジドライバ 

Hブリッジドライバは2組の半導体を組み合わせて対角線のペアを同時にon,offさせることによりモータの回転と,向きの制御ができる優れものですが,あまり鉄道模型では使われないと思います。私もTomixの5001パワーユニットをPWM化したときに使ったくらいです。それに,Hブリッジドライバはon,off制御のみにして速度制御をしないか,PWM制御で速度制御をするかのどちらかで,昔の鉄道模型のように電圧制御で使用することはありません。

まずは出力の半導体が1個のみのシングル出力回路についてです。ほとんどのコントローラがこの回路になっています。

使用する半導体は昔はバイポーラトランジスタ(Tr)でしたが,最近はMOS-FETを使うことが多いと思います。鉄道模型に限らず,自動車やFA機器などモータを制御する回路ではもはやMOS-FETを使うのが当たり前でしょう。バイポーラTrを使用するメリットはあとで書くように,ほとんどないと言っていいと思います。

といってなんだか,私は古いものが大好きで鉄道模型のコントローラもほとんどバイポーラTrを使っています。真空管が好きでアンプを作ったりしているのに,真空管に似ているはずのFETはどうにも理解できないというのが正直なところです。あまりにも大きな電流を扱えますし,スピードも速くてなにか性能がよすぎて何か怖いんですよねェ.....(^^;)。

シングル出力回路の場合,TrとFETで電極が違いますが,大別して2種類あり,要は半導体が電源側に入るのか,グランド側に入るのか, ということです。 

昔は半導体を電源側に入れ,Trのエミッタ,FETではソースから電流を取り出すやり方が多かったです。これは電子回路で言うエミッタフォロアかソースフォロアで,装置としてはシリーズレギュレータとよばれる方式です。

モータを電圧で制御する場合はこの方式しかありません。出力電圧可変のシリーズレギュレータというわけですね。私が作った最初のPWM式コントローラもこの方式です。あのときはPWM式と従来の電圧制御式(アナログ式?)の切り替えができるようにしていて,必然的にこの回路となりました。 

この場合,半導体での損失が問題となります。コレクタ(ドレイン)~エミッタ(ソース)間の電圧VCE×ICまたはVDS×IDが損失となり,これにより半導体が発熱します。

もちろん,これはデメリットだけというわけではなく,トランスのACを整流してコンデンサで平滑化しても多少リップルと呼ばれる脈流が含まれるものですし,なにより出力の電圧を一定にしておきたい,というような場合はメリットで,特に定電圧電源はこの機能を利用したものです。 オーディオの電源などでは非常に有用で,リップルが残ったままだとハムの原因になります。

反対に,コレクタ出力やドレイン出力の場合は単に半導体がスイッチの役割をするだけで電圧調整の機能はありません。それで,電圧制御式にできないのはもちろん,電源の電圧がもろに出力されますので,うっかり15VくらいのACアダプタを使ったりすると15Vがもろにモータにかかりますのでご注意ください。 

なお,PWM式はスイッチングしているだけなので損失がない,といわれますが,全く0というわけではなく,モータに電流を流している間はこのエミッタ~コレクタ(ドレン~ソース)間の電圧降下による損失があります。 

次に,Trではコレクタ,FETではドレインから出力する場合について考えてみます。半導体がグランド側に入ってモータの後につながって場合です。 

損失はエミッタ(ソース)出力と同じで,先ほどの式と同じです。ところが,この回路の場合は十分なベース(ゲート)電圧を与えて半導体を飽和領域で使用するためTrのVCEは最低のVCEsatとなり,約1Vです。FETの場合はこの電圧はない代わりにオン抵抗とよばれる抵抗値があり,RDS(on)×ID だけ電圧降下しますが,これでもTrよりだいぶん小さいのです。

実はMOS-FETの最大の特長はこのオン抵抗により生じる電圧降下が非常に小さいことにあり,オン抵抗は数10mΩ~100mΩくらいのためTrの場合に比べて非常に小さく,実質,0Vと考えてもよいくらいです。 Trの場合,VCEsatが1Vくらいもあるのですが,MOS-FETの場合は0.1V以下です。さらに,Trの場合は1Aも流すとそれで1Wの熱を生じますし,鉄道模型くらいならいいですけど大型のモータを回転するような場合は大変大きな損失となります。

一方,これらの半導体をスイッチとして使う場合,ベース~エミッタ(ゲート~ソース)間に十分な電圧をかける必要があり,Trの場合はオンするための電圧は0.6Vで,MOS-FETの場合は品種にもよりますが,ゲートしきい値電圧VGSth以上必要で,2Vくらい必要です,これはちょっと電圧が高すぎ,私はこれが気持ち悪いんですよね~。最初にMOS-FETのパワーアンプを作ったとき,バイアス電圧調整用のボリウムを回しても電流が流れないのでどこか間違ったかと悩んだ記憶があります。

でも,PICやAVR,最近ではarduinoなどのマイコンの出力電圧は3.5Vとか5Vくらいあるので,これで十分にドライブできます。特にMOS-FETは電流を必要としないため,直接マイコンを接続することができ,最近はMOS-FETのドレイン出力回路とすることが多いです。

さて,実際にコントローラとして使用する場合ですが,やはり理想と現実は違うので,実際の回路は次のようになります。

エミッタ出力回路actual.jpgコレクタ出力回路actual.jpg

     実際のエミッタ出力回路           実際のコレクタ出力回路

まずは制御Trをダーリントン接続するのが普通です。だからTrはこのように2石必要となります。入り口に入っているTrは小さなものでよく,2SC1815などの小信号用のTrでOKです。2段目は制御Trといい,これは大電流が流れますのでパワーTrが必要です。鉄道模型だと余裕を見て,5A以上の定格があるものを選びます。

なぜダーリントン接続するのか,というとベース電流iBをできるだけ小さくしたいからで,これが大きいとベース抵抗RBにより電圧降下し,出力の電圧が下がってしまうからです。といって,このベース抵抗は結構重要で,これがないとベースに過大な電圧がかかり,Trが壊れてしまうので,保護抵抗の意味があります。Trのベース~エミッタ間の耐圧は3Vくらいで,Trを飛ばしてしまう原因の一つはチェック中にコレクタとベースをテスターのリードでショートしてしまうことです。そうするとベースに過大な電圧がかかって壊れますので皆さん気をつけませう。

バイポーラTrのベース~エミッタ間電圧VBEはほぼ一定電圧で,0.6~0.7Vくらいです。だから▲の回路では出力電圧はVin-1.2Vくらいとなります。 

エミッタ出力の場合はエミッタにモータがつながるので,入力電圧Vinは13Vくらいが必要です。コレクタ出力だと2Vもあれば十分です。 

エミッタ出力回路actual保護回路付.jpg 保護回路付の場合

さらに,出力ショートの場合の保護として,もう1石使用して保護回路とします。保護回路用Tr Q3はRSの電圧が0.6Vを超えるとonし,Q1~Q2のベース~エミッタ間電圧を下げ,出力電流を絞ります。 いまじゃポリスイッチを使うのが普通なんでしょうけど,この回路のいいところは速動式で,瞬時に動作しますので,安全です。ポリスイッチは前回,Tomixの5001コントローラをPWM化したときに使いましたが,どうも動作が遅いし,挙動も変だったので,どうにも信用できません。コレクタ出力の場合はポリスイッチしかありません。私がエミッタ出力の回路を使うのはこのためもあります。

次にMOS-FETを使った場合の実際の出力回路です。

ソース出力回路actual.jpg  ドレイン出力回路1actual.jpg

      ソース出力                    ドレイン出力

こちらの方はやはりバイポーラTrの場合に比べて簡単ですね。これはMOS-FETが電圧で制御する素子だからです。

ゲートに抵抗RGが入っていますが,これはいらないかもしれません。Trの場合と違って特に必要はないのですが,入れておく方が無難です。

この抵抗は寄生発振を防ぐために挿入します。特に,PWM式の場合,方形波を扱いますので,高調波が多く,寄生発振することが多いので入れておく方がよいでしょう。オーディオのパワーアンプでも必ず挿入します。

VGSがTrのVBEより大きいので,ソース出力の場合は入力電圧VinはTrの場合より高めになります。 

さて,今回,ちょっとこの出力回路について調べたのは訳があります。実は,スナバ回路を車両に搭載し,反対側の前照灯が点灯するのを抑制する回路を考案していますがどうもコントローラの出力回路による影響があることがわかったためです。

最近は,私はもっぱらTomixの5001改PWM式コントローラで遊んでいます。

ところがこのコントローラを使うと妙に反対側の前照灯が明るく点灯することに気がつきました。もちろん,スナバ回路を入れれば抑えられるのですが,何か以前より明るく点灯する気がしました。

以前は,初代のPWM式コントローラを使っていましたが,思い出してみるとこのコントローラを使っていたときはそんなに反対側の前照灯が点灯するのは気になりませんでした。そういえば,チラチラと反対側の前照灯が点灯するのはレールの継ぎ目とか,機関車の集電が悪いところだけだった気がします。

ところが,5001改コントローラの場合はつまみを回しただけで,反対側の前照灯がそれこそ全開,という感じで明るく点灯してしまいます。逆起電圧によるもので,時間的にはほんの瞬間的なものなのですが,最近のLEDは明るく,ほんのわずかな継続時間でも明るく点灯してしまうのです。それでスナバ回路で抑制していますが,その回路に使用する抵抗も昔は100Ωとか大きめの値でしたが,最近は20Ωとかかなり小さな値にしないといけません。

と言う次第で,どうもコントローラの出力回路による影響があるように思われます。そういえば,Tomix5001改コントローラはHブリッジドライバ式なので,以前私が使っていたコントローラとは出力回路が異なります。

そこでSPICEでシミュレーションしてみました。結果は歴然としていました.....。

H bridge simulation回路.jpgHブリッジドライバのシミュレーション回路

Hブリッジだと2組のTrが必要なのですが,前進,後進でどちらか1組しか動作しませんので,シミュレーションでは対角線の1組だけシミュレーションしました。 

H bridge 出力.jpg スナバ回路なし

え~~っ! という感じでものすごい逆起電圧が発生しています。おそらく,実際には出力~モータ間には抵抗がありますし,インダクタンス分もあるのでこんな電圧にはならないはずですが,-50.9Vものピークが出ています。 

H bridge 出力+CRスナバ.jpg スナバ回路あり

C=1μF,R=10Ωのスナバ回路を挿入すると見事に抑制できます。前回,Tomix5001改のPWM式コントローラで挿入した定数はこの値にしました。車両側に搭載する場合はもっと時定数は小さめでよいと思います。

と言う次第で,Hブリッジドライバはかなり大きな逆起電圧を発生させることがわかりました。

そこで,以前使用していたPWM式コントローラの回路をシミュレーションしてみます。このコントローラはバイポーラTrを用いたエミッタ出力回路になっています。シミュレーションで使用したTrは2SD794です。このTrのfTは60MHzと高いです。

2SD794エミッタ出力.jpg エミッタ出力の場合

これだと逆起電圧は-1.3Vと全然大したことありません。これなら車両にスナバ回路を搭載しなくても大丈夫のようです。 

2SD794コレクタ出力.jpg コレクタ出力の場合

残念ながら,半導体をグランド側に挿入しコレクタでコントロールするとこんな感じで,やはり盛大な逆起電圧が発生します。これだとスナバ回路が必要です。

次に素子の違いを確かめてみます。バイポーラTrの代わりにMOS-FETを使用してみます。多少,素子による違いが出るようです。

2sk2201ソース出力.jpg ソース出力の場合

Trのエミッタ出力に相当するMOS-FETのソース出力の場合です。やはりTr同様,逆起電圧は小さめで,-2.1Vでした。

ところが......。

2sk2201ドレイン出力.jpg ドレイン出力の場合

Trのコレクタ出力と同様,大きな逆起電圧が出ます。

これじゃダメなのでスナバ回路を試してみます。

一応,MOS-FETを出力回路に使用する場合,多くの皆さんがショットキーバリアDiを出力に挿入されておられますが,これは直流でのスナバ回路そのものです。

効果を確かめてみます。

シミュレーションした回路は次の通りです。

MOS-FET simulation回路.jpg MOS-FETシミュレーション回路

使用したMOS-FETは2SK2201です。よく鉄道模型にも使用される2SK2232のSPICEモデルも見つけたのでシミュレーションしてみましたが発振してうまくシミュレーションできませんでした。出力端子の横にあるダイオードやコンデンサ,抵抗はスナバ回路です。これらを適宜,モータにパラに接続してシミュレーションしてみました。

2sk2201ドレイン出力+Di.jpg ショットキーDiによるスナバ回路

きれいに抑制できますね。MOS-FETをドレイン出力で使用する場合,絶対に必要です。マイコンと一緒に使う場合はこの回路ですので,MOS-FETのドレインと電源の間に挿入してください。気をつけないといけないのは逆転SWの前に入れることで,うっかり後に入れてしまうと,逆転時に出力をショートしてしまうことになるので気をつけてください。

次に,私が試しているC-Rによるスナバ回路の効果を確かめてみましょう。

2sk2201ドレイン出力+CRスナバ.jpg C-Rスナバ回路

同じように効果があることがわかります。普通,ダイオードを使ったスナバ回路は直流用で,C-Rスナバ回路は交流用なのですが,C-Rスナバ回路は直流に使用しても効果があることがわかります。鉄道模型は逆転SWで極性が反転しますので,C-Rスナバの方が極性を気にしなくても済むので楽だと思います。

さて,ちょっと話が元に戻ってしまいますがバイポーラTrでも素子による違いがあるのでしょうか。

昔,製作した自動加減速コントローラには2N3055を使っています。ひと頃は電源装置というと必ずこのTrが使われていました。オリジナルはモトローラですが,さすがはアメリカ製だけあってタフで大容量だったのが理由だったと思います。ちなみに規格はVCEO=60V, IC=15A, Pc=115Wです。

2n3055コレクタ出力.jpg 2N3055コレクタ出力 

あれ? という感じの結果です。本来なら逆起電圧が発生するはずのコレクタ出力で使用した場合でも全く出ません!

実は2N3055は鈍足で知られていて,コレクタ遮断周波数fTは2.5MHzです。パワーTrの場合はこれは普通で,チップのサイズが大きいのでキャリアの移動時間がかかるし,付帯するキャパシタンス分も大きくなるのでどうしても高周波は苦手になってしまいます。

ちなみに,スイッチング速度について規格表に記載があるTrについて調べてみました。特にパルスの立ち下がり時間が逆起電圧に関係しますので,それを記載します。

立ち下がり時間tf メーカ,規格

2SD560 1.2μs NEC ダーリントン (VCEO=100V, IC=5A, Pc=30W)

2SC3694 0.3μs  NEC (VCEO=60V, IC=15A, Pc=30W)

2SK2201   40ns 東芝 (VDSS=100V, ID=3A, PD=20W, RDS(on)=0.28Ω)

2SK2232  55ns 東芝 (VDSS=60V, ID=25A, PD=35W, RDS(on)=36mΩ)

なんかやっぱりMOS-FETが高速なのに驚きます。Trの7倍から20倍も速いのですね。 逆起電圧は-L・di/dtとなりますので,速く電流を遮断するほど大きくなります。

残念ながらMOS-FETの規格表にはスイッチング特性の表記がありますが,バイポーラTrの場合はスイッチング用でない限り,あまり記載していないので比較が難しいです。ちなみに2N3055についてもスイッチング用の規格が不明です。 

金田式DCアンプも最初は2SA649/D218などのTrを使っていましたが製造中止になって入手が難しくなると新しい半導体としてMJ2955/2N3055のコンプリが音がよいとして推奨されるようになりました。まだ私はこのTrの音は聞いたことはないのですが,必要な分は集めてありますのでいつかアンプを作ってみたいと思います。

金田氏は2N3055のfTが低いことは承知の上で,意外にもfTが低いTrの方が音がよい,と書いておられました。

案外,オーディオも鉄道模型もそんなものではないでしょうか。fTが高すぎるといろいろ悪さをすることが多そうです。MOS-FETが今回のシミュレーションでも悪い結果が出たのはやはりスイッチング速度が速いためで,これほど速い必要はない,と言うことのようです。 

と言う次第で,私はオーディオでも鉄道模型でも極力古い半導体を使うことにしていますが,やっぱ,古いものはいいんですね.........(^^;)。 

やはり,スナバ回路が有効だとわかりましたが,意外にもコントローラの出力回路の影響が大きいと言うことがわかりました。コントローラも昔ながらのシングルのエミッタ出力のものがよいと言うことがわかりました。

といって,コレクタ出力やドレイン出力となっている回路を,エミッタ出力やソース出力に変更するのは無理です。この場合,コントローラの出力にショットキーDiをつなぐか,C-Rスナバ回路をつけるとよいと思います。C-Rスナバの場合は前回のブログをご参照ください。


nice!(1)  コメント(2) 

Tomix 5001 Power Unit(パワーパック)のPWM制御化~その3~ [模型]

2015年2月1日の日記
 
Tomixが昔出していた,5001 New Power UnitというコントローラをPWM化して遊んでいます。この5001パワーユニットは前後進をひとつのツマミで切替ができ,単にツマミを右か左に回すだけで模型の進行方向が変わるというなかなか今でもない機能を持ち,現在でも愛用されている方が多いと思います。
 
ただ,制御は従来通りの巻線抵抗器(レオスタット)を用いた抵抗制御式のため,起動がスムーズではなく,特に最近の高性能な動力を搭載した模型ではビュッとラピッドスタートになってしまうのがネックですね~。
 
そこで,私は中身を大幅に改造し,PWM制御方式に変更しています。意外にうまくいき,前回で一応,完成したとして試運転をしていました。
 
ところが,実際に運転してみるとやはり気になるところが出てきました。不満な点は次のようなものです。
 
PWM式の場合,電圧ではなく,パルス幅で制御しますが,私の最初の設計のものではデューティ比は最大100%にはできず,75%くらいです。 まあ,スケールスピードを守る,という点ではこれでもよいといえるかもしれませんし,実際,PWM式で市販されているコントローラでも最大75%くらいのデューティで抑えられているものもあります。
 
ただ,家の中で運転する場合にはこれでもよいのですが,運転会などで大きなレイアウトで運転するとデューティ100%とならないと遅く感じることがあります。201系みたいに通勤電車を運転している場合はいいですけど,485系なんかの特急電車を運転していてとなりの線のやつが運転しているE257系なんかに負けると悔しいですからね.........(^^;)。
 
と言って,これは最初からデューティが100%とならないことは設計段階からわかっていたので,いいのですが,次の問題はちょっと予期しないもので,まったく想定外の事象でした......。
 
実は,10分ほど運転していると模型が止まってしまうのです。あれ,あれ,あれ.......という感じで模型がゆっくり止まってしまいます。
 
最初は原因がわかりませんでしたが,しばらくして保護用のポリフューズが動作しているのだとわかりました。私はいつも,保護回路は半導体を使った速動式なので,過電流時は即座に停止しますが,ポリフューズの場合はゆっくりと止まるので,ちょっとポリフューズは動作が遅い感じがしますね。
 
ポリフューズはサーミスタの一種で,これもまあ,半導体の一種なのですが,設定された電流(トリップ電流)を超えて温度が上昇すると内部の組織が変わり,抵抗値が大きくなって電流を制限する仕組みになっています。 なお,普通のフューズと違うのは1回動作したら終わり,ではなくいつまでも使えるのと,完全に電流をしゃ断するわけではなく,ある程度の電流(保持電流)を流し続けることです。それも1Aクラスのポリフューズだと保持電流は0.5Aくらいで,あまりこれじゃ意味がないんじゃない,という感じもするのですが....。
 
応答速度的には人間が感じるくらいなので非常に遅いのですが,半導体の保護にも使えるようで,今回使用した出力のMP4006はきちんと保護されていました。
 
ただ,10分くらいで飛んでしまうのはおかしいですし,それに負荷と言ってもNゲージの動力を1台運転しているだけなので,これじゃ異常動作で,ノッチを入れるたびにOCRが飛ぶようなもので実際に運転するのに支障しますので困ります。
 
と言う次第で,前回までの設計では2つ問題点があることがわかったので,改良したいと思います。
 
う~~ん,やはり新しい回路を考えてもなかなか完璧には動きませんね~~。やっぱダメだな~~。
 
と言う次第で,
 
30.jpg

♪風が心にささやくの~ このままじゃダメなんだと~(May Jさんじゃなくて松たか子さんの声で!) 
 
今もまだアナ雪にはまっちゃっています......(^^;)。  
 
まずは最大デューティ比の改善から。
 
過去,何台もPWM式のコントローラを作っています。私の回路はタイマIC 555の#6ピンに三角波が出力されるので,それと直流の基準電圧をコンパレータで比較し,パルス幅可変のPWM波を作る,と言うものです。
 
ただ,過去のものは通常通り,逆転SWを用いたもので,スピードコントロールは1方向のみになっています。 この場合,555出力の三角波は1/3Vcc~2/3Vccの間で変化するので,基準電圧はこれより少し広い範囲に設定すればよいだけです。こうすれば0%~100%の間でパルス幅を可変することができます。
 
ところが,Tomixの5001パワーユニットの場合は2連の可変抵抗を使用し,中点でパルス幅が0になるようにしないといけません。もし,2連のボリウムでMNカーブのものならばそれぞれが中点からスタートするパターンなのでいつもと同じ回路で済みます。しかし,最近はMNカーブの可変抵抗が入手難で,おまけに基板に直付けするタイプのものは製造されていないので仕方なく,前回までBカーブのものを使っています。
 
しかしながら,この場合はどうしても最大デューティを100%にすることができません。
 
理由はというと,どうしても中点でデューティを0にしておかないいけないためで,ここでデューティが0でないと模型が停止しないのはもちろん,今回,出力部にHブリッジドライバと呼ばれるモータ制御回路を使っていますが,各ブリッジを構成している上下のTrが同時にonするため貫通電流という大きな電流が流れ,Trを破壊してしまうからです。▼の図で言うと,ボリウムの中点付近で必ずHブリッジ双方がonしない領域を作っておかないといけないのです。そこで,前回の設計では,ボリウムの最高出力電圧をVccより下にして,このいわば "遊び" 領域を作る設計としています。今回もこの "遊び" 領域は絶対に必要です。
 
何とかならないかと散々考えましたが,なかなかいいアイデアを思いつきません。最初は負電源を導入して可変抵抗の起点の電圧をマイナスにする,と言うことも考えましたが,電源が12Vのスイッチング電源のため,負電源を作るには別の電源を用意するか,MAX850などのチャージポンプ式チョッパICを用いて負電源を作る必要があります。
 
でも,これじゃ複雑すぎて大変です。
 
と,次は555の三角波出力の電位を変更し,もっと上に移動できれば,と考えました。1/3Vcc~2/3Vccの間で変化するから100%にできないわけですね。これを2/3Vcc~Vccくらいの間に移動できれば100%にできます。
 
レベルシフト回路.jpgレベルシフトの原理
   前回までの回路         改良版 
 
これは電子回路ではレベルシフトと呼ばれる回路で,グランド電位が異なる回路で信号のやりとりをしたり,信号の振幅はそのままで基準となる電位だけを変更するため,その昔,DCアンプの回路でよく用いられた手法です。 
 
これなら簡単で,TrをひとつとツェナーDiで可能なはずです。 
 
と言う次第で,PNPのTrとシリコンDiをひとつ用いて555の三角波出力をレベルシフトすることにしました。1V程度のレベルシフトなのでツェナーDiは結局使わず,通常のシリコンDiの1SS133を使いました。ツェナーDiは2V以上のツェナー電圧のものばかりなので,2V以下の定電圧電源として使われる手法です。赤色のLEDもよく使われますが,その理由は赤色のものだと1.7Vくらいの電圧になるからです。私も自動加減速コントローラで使っています。
 
レベルシフト回路.jpg レベルシフト回路
 
レベルシフトには▲のような回路を使います。PNP TrとツェナーDiを使うと,出力電圧Voutは,
 
        Vout=Vin+VBE+Vz
 
と表されます。コレクタ接地回路(エミッタフォロア)ですからゲインは0dBで,信号の振幅には影響ありません。 また,抵抗Rは単にツェナーDiの動作電流を流すためのものです。今回,普通のシリコンDiを使いましたので,レベルシフトは1.2V程度になるはずです。なお,ツェナーDiはP-N接合を逆向きに使いますがLEDやシリコンDiは順方向で使いますので向きに気をつけてください
 
レベルシフト前.jpg 555の三角波出力電圧
 
 
レベルシフト後.jpg レベルシフト後の電圧
 
設計通り,約1.1Vだけレベルシフトしているのがわかりますね。 
 
また,spiceでシミュレーションしてみるとうまくデューティが0%~100%で変化しましたので,自信を持ってプリント基板を改造しました。
 
ところが.......。
 
実際に動作させてみると,どうしてもデューティが100%になりません。せいぜい88%です。 
 
何でぇ~~っ??????
 
duty 88%.jpg 最大デューティの状態(Vcc=5Vのとき)
 
どうしても原因がわからず,1週間むだにしてしまいました。私が使っているspiceはリニアテクノロジーが無償で提供しているLTspiceで,これにはコンパレータLM393のモデルがなく,LT1017を使っていましたので,これが原因か,とも思いましたが,LM393は古くから使われている汎用のコンパレータで,特殊なものじゃないので,このせいではなさそうです。
 
でも, よく考えてみると,レベルシフト後の三角波の最大出力電圧が4.4Vで,Vccにかなり近い状態です。今回,最初,LM393のVccは5Vでしたので,おそらく基準電圧が4.4Vに達する前にコンパレータ自身がonしてしまうのだろう,と考えました。現在製作中のPWM式自動加減速コントローラのところでLM393の等価回路を載せていますが,それを見てみると各コンパレータの入力端子はVcc-2・VBE分だけ低い電圧までしか受け付けないと思われます。今回のVccの電圧からだと具体的には3.8Vくらいまででしょう。そこで,LM393のVccを上げ,12Vにしてみたら正解で,ようやくデューティが100%となるようになりました。やれやれ。 データシートを見ても入力電圧の上限についての記載がないのでうっかりしていました。
 
それに,やはりspiceはシミュレーションでしかなく,きちんと回路を作って動作確認しないといけないと痛感させられました。
 
duty 100%.jpg ようやくデューティ100%となりました(Vcc=12V)
 
次に,ポリフューズが定格以下の負荷なのに動作する理由について考えてみます。
 
やはり原因はモータのインダクタンス分による逆起電力だと思いますので,純抵抗を負荷にして実験してみます。
 
抵抗テスト.jpg  純抵抗で負荷テスト中
 
やはり何にも起こりません。モータを接続したときだけポリフューズが動作するようです。
 
spiceでモデル化しているので,ポリフューズを模擬した抵抗を挿入して電流を調べてみますと,Hブリッジがoffの時に瞬間的にですが,-2A以上の電流が流れます。実際にこうなっているとは思えないのですが,シミュレーション上はこのような結果が出ます。
 
対策としてはポリフューズの定格を大きくし,3AくらいのものにすればOKですが,Hブリッジは小型のMP4006を使っていて,これは2Aの定格しかないので,過電流が流れたときの保護になりません。 
 
となるとやはりあれ.....しかありません。そう,スナバ回路です。
 
こちらもspiceでシミュレーションして,1μF+10Ωなら逆起電流が消えるとわかったので,出力端子に取り付けてみるとポリフューズは飛ばなくなりました。
 
出力スナバ回路.jpg 出力端子に取り付けたスナバ回路
 
なお,後日,20kHzでの動作時に不具合が出たのでこのスナバ回路は0.047μF+100Ωに変更しております。 
 
あまりHブリッジの出力にスナバ回路を入れるなんてことはしないようなので,本当の対策になるのかわかりませんが,これで正常に動作するのでよしとしました。オレンジ色のは1μFのフィルムコンです。積層セラミックだともっと小型にできますが,あまり積層セラミックは好きじゃないのでフィルムコンにしました。
 
結局,回路図は前回からまた▼のように変わりました。赤線部分が前回からの変更点です。これでTomix5001パワーユニットを完全にPWM化したことになると思います。 
 
前後進ワンハンドルパワーパック11.jpg全体回路図
 
         前回と異なる部分を赤で示します。
 
改良後基板.jpg 基板にレベルシフト回路を追加しました。
 
内部.jpg 内部の様子
 
今回,スイッチング電源の固定方法を変更し,底面にネジ留めしました。使ったのはCOSELの基板用スイッチング電源で,ネジ留め式じゃないので固定が厄介ですがφ3mmの穴を開けてM3ねじで固定しました。
 
本機の電源容量はmax. 0.9Aで,もとの5001パワーユニットの3倍です。Nゲージ用としては十分すぎるくらいの出力がありますので,矢立峠のD51 3重連や奥中山のED75 3重連を再現してもフルスピードで走ることができます。  
 
また,電源コードが経年劣化で硬くなっていたので,新品に交換しました。柔らかいコードになったので扱いがしやすくなりました。 
 
レベルシフト回路を挿入し,基準電圧を作るための可変抵抗部分の抵抗の位置および定数を変更しました。使用したPNPトランジスタは手持ちの2SA640ですが,これはかつてのNECのオーディオ用の定番Trで,今じゃ入手は難しいと思いますので,ここは2SA1015などの汎用品で結構です。 
 
ようやくこれでフルスピードで突っ走ることができるようになりました。

一見,古そうなTomixの5001パワーユニットを持ち出し, "けっ,そんな古いパックもって来やがって" と油断させておいて,実は中身は最新のPWM式コントローラで(おまえは刑事コロンボかよ。古~っ!),ブサイクなE257なんてぶっちぎりでおさらばだぁ~っ! 
 
28s.jpg
 
   ♪これで~いいの~ 少しも遅くないわ~  .......(^^;)
  
 
                     Tomix5001パワーユニットのPWM化 完
 
2015年3月9日追記
 
▲の回路図に誤りがありました。当ブログをご覧いただいている方からご指摘がありました。
 
スイッチング周波数切替SW部分の抵抗が逆でした。1kΩと220kΩは逆です。555の#6,7ピンに接続される抵抗が220kΩのみの時が300Hzで,1kΩがパラに入ると(SWがonのとき)20kHzとなります。

どうも大変申し訳ございません........m(_ _)m。 
 
 

nice!(1)  コメント(12) 

スナバ回路の検証 [模型]

2015年1月15日の日記

本当だったら今日は "成人の日" ですね~。こっちの方がよかったと思います。私が子供の頃は今日が共通一次の試験でした。雪が降って寒い日だったな~。

さて,今日はスナバ回路のシミュレーションをしてみたいと思います。

Nゲージで遊んでいますが,どうしても停車中に電車や機関車の前照灯が点灯しないのが気に入らなくて,模型を購入するたびに改造しています。 ところが,簡単にやるには前照灯の基板についているコンデンサを撤去すればよいのですが,そのままだと反対側の前照灯や尾灯が点灯するようになってしまうので,スナバ回路を追加してそうならないように改造しています。

電子回路シミュレーションソフトSPICEを使って,今日はスナバ回路の効果を検証してみたいと思います。SPICEはいろいろバージョンがありますが,リニア・テクノロジー社が無償で提供しているLTspiceはタダで使えて便利です。

まずは模型のオリジナルの状態から.....。

私の逆向き点灯防止回路の解説にあるように,最近のNゲージ車両の前照灯回路は▼のようになっています。前照灯や尾灯は最近はLEDを使うのが普通になりました。

前照灯回路(両運)1.jpgオリジナルの回路

電車の場合は後ろのLEDは赤色LEDになっていて,尾灯を点灯します。また,LEDが1個の時(片運で尾灯がない場合)は普通のシリコンDiになっています。これは保護用のダイオードで,LEDは逆耐圧が低く5V程度なので,点灯しないとき(電流が逆向きの時)は保護するためにもう1個,LEDかダイオードが必要なためです。

ところがこの回路は問題があり,PWM式のコントローラを使って停車中に少しだけつまみを回したり,専用のコントローラで停車中にも点灯させるようにできるコントローラを使っても前照灯が点灯しません。 どちらも原理は同じで,停車中にモータが回転しない程度のごく小さなデューティでパルスを出力しています。

なお,レオスタット式やトランジスタ式などのパルス式じゃない連続式(アナログ式)のコントローラではもとから常点灯には対応していませんのでご注意下さい。これはLEDの点灯電圧(順方向電圧)が3V程度と高く,このくらいの電圧になるとすでにモータが回転してしまうためです。 

そこで,この点の改良のため,私は下記のような回路を提案しています。 LEDにパラについているコンデンサCpを撤去するとともに,モータとパラにCとRを直列にしたスナバ回路を追加するものです。一見,複雑に見えますが,チップコンデンサやチップ抵抗を使うと簡単に改造できます。

このスナバ回路を挿入すると停車中にも前照灯を点灯させることができますし,反対側の前照灯や尾灯が点灯するという現象を抑えることができます。 

前照灯回路(両運)スナバ回路つき.jpgスナバ回路をつけた改良版(常点灯対応) 

オリジナルの回路(一番上)の問題はLEDにパラに入っているコンデンサCpです。

これがなぜ必要なのか,考えてみましょう。

まずはシミュレーションした回路です。全部描いちゃっているのでわかりにくいですが,適宜,スナバ回路や件のコンデンサを外してシミュレーションしました。

LED simulation circuit.jpg シミュレーションした回路

モータはコイルと抵抗を直列にしたもので代用しました。本来なら電機子が界磁の磁束を横切るときに発生する逆起電圧を模擬しないといけませんが,モータ起動前ということでそこはネグりました。インダクタンスは実測値じゃなく,過去の経験からの推測値です。 

シミュレーションで使用したLEDはLTspiceに標準でついていた,日亜のNSPW500BSというφ5mmの白色のLEDです。ご存じの通り,白色や電球色のLEDというのはチップ自体は青色のチップを使っていて,樹脂に封入された蛍光物質で白く色を変えています。電気的な特性は青色LEDと同じです。 

まずはスナバ回路(C2,R6) なし,LEDにパラに入っているコンデンサC1なしの状態です。コントローラはPWM制御でスイッチング周波数300Hzでシミュレートしました。

逆起電圧(反対側LEDなし,snubberなし).jpg  逆起電圧(反対側LEDあり,snubberなし).jpg  逆起電圧(反対側LEDなし,snubber 1μF+22Ω).jpg

 反対側のLEDがない場合     反対側のLEDがある場合       スナバ回路あり

反対側のLEDもない場合だと,このようにPWM波がoffになった瞬間にオーバーシュートしてかなり大きなマイナスの電圧が出ています。これはインダクタンスによる逆起電圧で,-L・di/dtになることは電子工学の教えるところです。過去の経験だと-12Vくらいにもなることがあります。 

逆起電圧拡大(反対側LEDなし,snubberなし).jpg 逆起電圧の拡大

反対側のLEDや尾灯をつけると,そのダイオードの順方向電圧でクリップされます。よく,LEDが2~3VくらいのツェナーDiの代用として使われるのはこのためです。私も自動加減速コントローラなんかで使っていますし,両運の模型の場合,非点灯のLEDにかかる逆方向の電圧が抑えられ,LEDの保護として作用します。

ただし,この状態だと反対側のLEDに電流が流れていて,すなわち点灯してしまっています。これじゃダメですね~。

最後に,スナバ回路を取り付けると一番右の結果となり,逆起電圧は-0.6Vくらいに抑えられていることがわかります。この電圧だと反対側のLEDは点灯しません。

今回のシミュレーションではスナバ回路の定数はC=1μF,R=22Ωです。いつもはC=0.1μFでR=10~100Ωでいろいろ実際にテストして決めていますが,シミュレーションではC=1μFの方がよい結果が出ました。次に実際の模型でも効果を確認してみたいと思います。

スナバ回路を取り付けるとオーバーシュートした電圧は見事に小さくなり,-0.6Vくらいです。この電圧だと反対側のLEDは点灯しません。効果があることがわかりますね。いろいろRの値を変えてみるとこのオーバーシュートする電圧が変化することがわかりました。

次に,元に戻ってオリジナルの回路でシミュレーションしてみます。LEDにコンデンサCをパラに入れ,スナバ回路がない状態だとこうなります。 

LEDパラコンデンサ1μFあり.jpg コンデンサCpがあるとき

ご覧いただいておわかりのように逆方向へのオーバーシュートが消え,プラス側のみになります。そのため,反対側のLEDは点灯しません。また,コンデンサに充電される時間は電圧がゆっくり立ち上がることがわかると思います。

このコンデンサの容量C1と,LEDの電流制限抵抗R2の積は時定数といい,電源電圧(12V)の約60%まで立ち上がる時間に等しくなります。 今回のシミュレーションでは時定数は560msです。

ただ,このようにデューティが低い状態だと最大の電圧は2Vちょっとで,これじゃ反対側のLEDが点灯しない代わり,正常な向きのLEDも点灯しません。

これはPWM波がデューティ5%でシミュレートした結果ですが,このときモータは回転するかどうか微妙なところです。

どちらにしろ,もっとデューティを大きくしないとLEDが点灯しないことがわかります。結局,モータが回転してから点灯することになります。これじゃいわゆる "常点灯" に対応しないことがわかりますね。

そこで,やはりこのコンデンサが邪魔をすることがわかったので,簡単に常点灯に対応させるためにはこのコンデンサを撤去するとよいのですが,こうすると一番上の結果の左2枚のグラフのようにインダクタンス分による逆起電圧が邪魔をして,反対側の前照灯や尾灯まで点灯してしまう,ということになります。

そこで,私はスナバ回路を使うことにし,ここ数年,模型を買うたびに改造しています。

スナバ回路はモータやリレー,ソレノイドなどインダクタンスを持ったコイルの電流を切るために挿入される回路で,接点の火花を抑制してスイッチやリレーの接点を保護するとともに,半導体でoffする場合は半導体の耐圧を超えないよう,保護する目的があります。それに,モータの場合だと電流がoffできなくてモータの速度制御ができなくなることを防ぐ目的があります。 

snubber.jpg スナバ回路

       直流用                  交流用

直流を断続するときにこの問題が起こることが多いのでスナバ回路は直流回路でよく用いられます。その場合はダイオードと抵抗で構成しますが,鉄道模型の場合は直流を使っていても電源の極性が反転する訳なので,交流用のスナバ回路を使う,と言うのが私のアイデアです。

これでスナバ回路の効果についてご確認いただけたと思います。

さて,ほかの対策として,パラになっているコンデンサの容量を小さくすると効果があります。先ほどの図で,コンデンサの電圧が早く立ち上がればよいわけで,コンデンサの容量を小さくしてみます。

LEDパラコンデンサ0.1μFあり.jpg C1=0.1μF,スナバ回路なし,300Hz 

うまくいきました。コンデンサの電圧が早く立ち上がり,LEDがこれなら点灯します。ツェナーDiのように,約3Vで電圧がクリップされているのがわかりますね。マイナス方向へのオーバーシュートも小さく,これなら反対側のLEDも点灯しません。

ところが,これはうまくいくようなのですが,コントローラのスイッチング周波数が高くなるとうまくいきません。シミュレーションは300Hzで行いましたが,20kHzにしてみるとLEDが点灯しなくなってしまいます。 

LEDパラコンデンサ0.1μFあり PWM=20kHz.jpg C1=0.1μF,スナバ回路なし,20kHz

今度は周波数が上がるとともにパルスの継続時間が短くなるのでコンデンサの電圧が小さくなり,LEDが点灯しなくなってしまいます。

PWM式コントローラはモータから音がするので,周波数は高い方がよく,私は20kHzで設計しています。人間の可聴周波数は20Hz~20kHzと言われているので20kHzでスイッチングすると音が聞こえなくなります。

実車も同じで,チョッパ電車の201系がプーッと音を出していたのはスイッチング周波数が300Hzと低かったためです。実際,私も自作のコントローラはスイッチング周波数を切替式にして鉄コレの201系を運転するときなんか300Hzにして電磁音を楽しんでいます。

インバータ電車がヒュ~ン,ヒュ~ンと音を出すのも同じ原理で,スイッチング周波数が1kHz以下と低いためです。もっとも,最近のインバータ電車があまりこういう音がしなくなったのはIGBT(ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ)を使ってスイッチング周波数を高くしたためです。

と言う次第で,パラに接続するコンデンサの容量を小さくしてもコントローラの周波数が高い場合は効果が低い,と言うことがわかりました。やはりスナバ回路の方が効果があるように思います。

と言う次第で,最後にひと言。

"スナバ回路はあります!" (某美人科学者? の声で!)  

なんか,スナバ回路って,例のニセ細胞と名前も似てますしね......。 

本ブログでは実験データの改ざん,写真の切り貼り,虚偽報告,研究費の横領などは一切しておりません。


nice!(2)  コメント(8) 

PWM式自動加減速コントローラ(パワーパック)の製作~シミュレーション編~  [模型]

2015年1月10日の日記

年末に実際の電車のようにマスコンとブレーキを持ち,自動的に加速し,惰行→ブレーキをかけるように運転できる自動加減速PWM式コントローラを試作しました。 

本当ならケースに入れてちゃんと完成させたいのですが,まだケースを買っていません。どうも申しわけありません。

と言う次第で,今週はシミュレーションをしてみました。

使ったのはSPICEです。古くから電子回路のシミュレーションソフトの定番ですね。製品版もCADソフトのように高くなく,数万円で買えますので,使っている人も多いかと思います。といって,やはりソフトで1万円を超す物は買いにくいのでフリーの物を使っています。これもアナログICのリニアテクノロジー社が無償で提供しているLTspiceが定番です。LTspiceはここでダウンロードできます。登録も不要です。私もこれを使ってみました。フリーと言っても部品点数や使用期間に制限はなく,いつまでも使えるのがいいです。残念ながら英語版しかありませんし,部品として添付されているICなどはLT社のものばかりで他社のものは自分でモデルを作ったりしないといけませんけどね。

全体の回路図については前回のブログをご参照下さい。

LTspiceでシミュレーションした回路は▼のとおりです。

simulation circuit.jpg シミュレーション回路

コンパレータは私が使ったのはナショセミのLM393ですが,LTspiceにはなかったので,LT社のLT1017です。タイマICのNE555は標準でついていました。

PWM波の生成は555ICの#6ピンにコンデンサの充電電圧が出ていて,それが三角波となっていますので,基準電圧の直流電圧と比較し,基準電圧>三角波電圧の時だけ,コンパレータがonするようにしています。

PWM波生成.jpg PWM波の生成原理

シミュレーションの結果からもこのようにしてPWM波が生成されるのがわかりました。赤い線が基準電圧を示し,自動加減速とするので,この赤い線が力行時は徐々に上に上がっていきます。今回,C=2200μFで,Rは1kΩでシミュレーションしていますので,時定数C×Rは2.2秒ですから,指令電圧9.8Vに対し,約60%の5.8Vに上昇するのがほぼ2.2秒と言うことがわかりますね。一方,ブレーキ時はすみやかにこの電圧が下がるようにしています。 

なお,シミュレーションは前回ブログの回路図にある加減速調整用の可変抵抗VR1を上記のように1kΩにセットした状態にしました。大体これくらいがよい感じです。 

では,4Nに投入し,出力の電圧がどうなるか見てみました。

4N total.jpg 10秒間の変化

4N投入直後~10秒後までをシミュレーションした結果です。青い線が出力電圧です。

何の結果か,よくわからない図で申し訳ありません。青い線に注目していただくと,マスコン投入直後は出力は0Vで,1.4秒後に基準電圧が4Vに達するとコンパレータがonし,PWM波が出力されます。PWM方式はいきなり最大の12Vを出力し,パルス幅によりモータの速度を制御する方式なので,こんな波形になってしまいます。部分は0V~12Vのパルスが出力されている部分です。最後はデューティ100%となるので,12V一定電圧となります。4N投入後,1.4秒後に起動し,7.2秒後に最高速度になることがわかります。もちろん,この値は可変抵抗で変更できます。実際の電車はもっとゆっくり加速しますが,模型だと案外,これくらいの方が実感的です。 

わかりにくいので,最初の部分を拡大してみました。

4N-1.jpg 初期状態

最初のうちはこんなに幅の小さいパルスの連続として出力されます。 

4N-2.jpg 後半部分 

最後の方はパルス幅が大きくなり,デューティ比も100%に近づいてきます。 パルス幅が時間により,大きくなっていくのがおわかりいただけるでしょうか。

面倒なので常点灯の部分はシミュレーションしていませんが,力行制御回路と同じ原理なのでうまく動くでしょう。

それにしてもspiceは便利ですね。これから実際に製作する前にspiceでシミュレーションしてから作ることにします。 

さて,何とか早くケースを加工して完成します。 


nice!(5)  コメント(2) 

鉄道コレクション 東武ED5060の動力化&前照灯点灯化工事 [模型]

2015年1月2日の日記

どうも皆様あけましておめでとうございます。また本年も工作にいそしんでいきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いします。

さて,新年早々,鉄コレの動力化に取り組みました。

私鉄電機ファンなので,マイクロエースから出た三岐鉄道のED45も持っていますし,この機関車が昨年9月に鉄コレで出たとき,ぜひ入手したいと思いました。ところが,事前の情報収集が甘くて発売になってから知りました。まだ間に合う,と思っていたのですが,人気があるのかすぐに売り切れとなり,あきらめていました。

ところが,11月に東武商事の通販で入手することができました。また,専用動力のTM-ED01も入手難でしたが,たまたま年末にパソコンのメモリを買おうとアマゾンで探していたら,偶然,この動力も "在庫あり" となっていて年末ぎりぎりに入手できました。

鉄コレED5060.jpg 何とか入手できました。

TM-ED01.jpg 品薄の動力ユニットTM-ED01 

と言う次第で,動力化に取り組みました。

実車は1960年から66年にかけて,東芝で13両製造されたD形の総重量45t,出力568kWの小型電機です。今じゃ電車1両分にもならないくらいの小出力の機関車ですが,箱形車体の好ましいフォルムで,とても人気があります。東武での貨物輸送の減少に伴い,2両が三岐鉄道に譲渡され,もとED5070のED45 9が現存しています。鉄コレでもこの機関車が発売されているのはご存じの通りです。

さて,まずは,いつもどおり前照灯の点灯化に取り組みます。

まず,回路についてですが,機関車なので前後に前照灯が必要なのは当然ですが,保護用のダイオードとして,反対側のLEDを流用できますので,私のブログの図3と同じです。また,今回,スナバ回路も組み込んで反対側の前照灯が点灯しないようにします。このスナバ回路がないとモータのインダクタンス分のせいでコントローラの前後スイッチと関係なく,反対側の前照灯がちらちらと点灯します。PWM式のコントローラを使用した場合はほぼ全開という感じで点灯してしまいますので,この回路が必要です。PWM式のコントローラはパルスのデューティ比でモータの回転数を制御しますが,モータのインダクタンスがパルスoff時に邪魔をして逆向きに電圧を生じますので,このような現象となります。従来のレオスタット式やトランジスタ式のコントローラの場合は比較的おとなしく,レールのギャップ通過時などに点灯するくらいなんですけどね。この対策として私はスナバ回路の応用を思いつき,うまくいっています。スナバ回路の原理については私のブログをご参考にして下さい。 なお,昔のランプを使った車両の場合はフィラメントの熱的な時定数が大きいのでこの現象は出ません。

ED5060前照灯回路.jpg今回の前照灯回路

10Ωと0.1μFを直列にした回路がスナバ回路で,モータのインダクタンス分による逆起電力を吸収してくれます。これがないと,2つのLEDがほぼ同じ明るさで点灯してしまいます。 なお,▲の図には便宜上,+と-の記入がありますが,鉄道模型なので,当然,逆になることもありますし,CとRの位置は逆でも構いません。

また,反対側のLEDが点灯しないよう,メーカ製の車両にはLEDにパラにコンデンサが入っていますが,これが入っていると▲の回路図にある1kΩの抵抗とローパスフィルタを構成し,このため停車中には点灯しなくなってしまいます。いわゆる "常点灯" とはなりません。私の考案したスナバ回路を応用するとこのコンデンサを使用しないので,停車中にも前照灯が点灯しますし,反対側のLEDが点灯しないようになっていて一石二鳥の回路です。

ED5060内部.jpg バラした状態。一番下は動力です。

ボディをバラすとこんな感じです。動力とボディの間のすき間は1mmほどです。

導光材.jpg φ1mmのアクリル丸棒()で導光します。 

ED5060前照灯回路(実装).jpg LEDを実装しました。

φ0.3mmの真鍮線で2つのチップLEDを逆向きパラ接続します。Aはアノードで,Kはカソードです。互いに逆向きになっていることに注意して下さい。こうしておくと,お互いに保護動作をし,LEDの逆耐圧は5Vほどなのですが,点灯しているLEDが点灯していない側のLEDを保護するように働きます。電車など,単灯式の前照灯の場合は保護用にLEDの代わりにシリコンDiを使います。

LEDと真鍮線は上信電鉄のデキ3を動力化したときに使用したセメダイン社のスーパーXで固定します。なかなかABS樹脂の接着には苦労しますが,この接着剤は強力に固定してくれます。エポキシと違って1液式なので扱いやすいです。 

ED5060前照灯回路(実装)1.jpg マスキングテープは仮止めです。

なお,どうしても運転台に光が漏れてきますので,このようにアルミテープで覆いました。ただ,アルミテープは導電性なのでショートしないように裏側に紙を貼っておきます。

一応,ここまで来たら9Vの電池で点灯チェックします。極性を変えてみてちゃんと反対側のLEDが点灯することを確認します。OKだったらボディを組合せ,実際にコントローラをつないで動作チェックします。

今回,スナバ回路の定数は10Ω+0.1μFにしました。本当は47Ωくらいにしておきたいのですが,これではまだ反対側のLEDが点灯しました。10ΩだとOKで,部屋を真っ暗にしてテストしてみましたが,反対側のLEDは点灯しませんでした。

なお,ほかの皆さんがすでにスナバ回路をお試しのようですが,うまくいかない,と言う話を聞きます。その場合はCとRの定数が悪いか,ハンダ付けミスだと思います。定数についてはコンデンサは0.1~1μFで,抵抗は10~100Ωくらいです。モータの直流抵抗やコントローラの周波数により最適値は変わりますので,いろいろテストしてみてください。ちなみに私のコントローラは自作で,チョッピング周波数は20kHzで設計してあります。抵抗は小さい方が効果が大きいですが,損失が大きくなるので,できれば47Ωくらいにしておきたいところです。今回の鉄コレやKATOは10~20Ωくらいが最適値のようです。

また,チップ部品なのでハンダ付けが難しく,ハンダ内部のヤニでくっついているだけのいわゆるテンプラハンダになっていると電流が流れません。当然,効果がありませんのでこうならないように注意してください。それと,私も今回,経験しましたが,チップ部品なのでハンダ付けする部分の電極がこての熱で外れてしまうことがあります。今回,どうにもうまくいかないのでよく見てみたらチップのコンデンサの電極が外れていてコンデンサを取り替えました。本当にチップ部品は扱いが厄介です。 

さて,次は皆さんやっておられるようですがKATOのナックルカプラーに交換します。 

ED5060ナックルカプラー実装状況1.jpg ナックルカプラーの取付

もとのダミーカプラは幅2.1mmで,KATOのナックルカプラーは幅が2.7mmなので0.6mm幅を削らないともとのポケットにはまりません。鉄コレのは展示しか考えていないようで,もっと幅を大きくしておいてもらいたいものです。端梁の開口部も少し広げてやらないとカプラーが首を振りません。

私はナックルカプラーの穴を利用し,M1.0のねじで固定しています。スノープラウを含むパーツにφ0.8mmの下穴を開け,タップでM1.0のめねじを切っておきます。あとで,長さ3mmのM1.0ねじで中心ピン代わりにします。

連結状況.jpg 連結状況。カーブも大丈夫です。

ED5060竣工1.jpg シールドビーム

こちらの方は片方しか点灯してないように写っていますが,正面から見ると両方とも点灯しています。 

この後,パンタ(PS-16G)と前面の手すりを取りつけます。かなり面倒でした......。 

実を言うと,このブタ鼻シールドビームのパーツを外すとき,片方はどうも接着してあったようで,パーツを壊してしまいました。あ"~~~っ! と思いましたが,外してみると銀河の前照灯レンズが使えそうなのでシールドビーム改造化前ということで普通電球仕様としてしまいました。銀河の前照灯はφ1.8mmなのでぴったりでした。ただ,少し小さめで,ちょっと触ると取れてしまうようなので,スーパーXで固定してあります。 

ED5060竣工.jpg 普通電球

ED5060竣工2.jpg 正面。停車中の状態です。普通の模型は点灯しません。

ようやくこれで竣工です。 前照灯改造や手すりの取りつけで手こずったので重連とする気はしません。疲れた~。

では,皆様,今年もまたよろしくお願いします。

 

2015年1月3日追記

本線試運転をしたところ,カプラーで不具合が発生したので修正しました。

▲の正面の写真をご覧いただいてお気づきかと思いますが,連結器向かって右側の連結器頭の部分が少し開いてしまっています。このせいで試運転したところ,解結する状況が出ました。

これは本来,実物なら一体物になっている部分ですが,模型では連結のため,左右別パーツになっているせいでKATOの模型では後ろに金属バネが入っていて,開かないようになっています。ところが,今回は金属バネを使っていないのでどうしても開いてしまいます。

そこで,ナックルカプラーを取り替えました。

普通のナックルカプラーだと底部の丸穴の開いている周辺を削るのが大変なので,あっさりと今回はスロネフE26ナックルカプラーを使用しました。これは底部が平べったいT字形になっていて,削るのが楽でした。

また,連結器頭の部分が開く対策として,丸穴より先の部分を少し,スーパーX接着剤で接着しました。もちろん,つけすぎは禁物で,ほんの少しだけつけて丸穴周辺部分だけ接着するようにします。 

スロネフE26ナックルカプラー.jpg テープは接着剤が固まるまでの仮止めです。

矢印部分()を削りました。その後,周辺を接着します。 

走行写真1.jpg 本線試運転です。

東武鉄道だから急行貨車は牽いてへんやろ,と言われそうですが....。

無事に解結することもなく,エンドレスを一周しました。なかなか今回のTM-ED01動力は牽引力があり,2軸貨車10両以上を平気で引っぱりました。 なかなか小型のかっこよい機関車ですねェ~。


nice!(3)  コメント(4) 

PWM式自動加減速コントローラ(パワーパック)の製作~試作編~ [模型]

2014年11月30日の日記

先週,設計が完了しました。3連休だったので,試作までしたかったのですがプリント基板の設計に手こずり,今週に持ち越しとなりました。それに,やはり設計していたときは気づかなかったミスがあり,試作段階でかなり修正する羽目になってしまいました。

試作後,一応テストに合格した回路を示します。

PWM式自動加減速コントローラ.jpg 

ちょっと複雑で見にくくて申し訳ありません。クリックすると拡大します。

回路は3つに分かれています。

一番上の部分が走行電流を制御する部分で,実物の電車なら"主回路" ですね.....(^^;)。

制御素子は普通のバイポーラTrを使っています。実車で使われているサイリスタとか,最近はIGBT(ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ)も小型のものが市販されているので,こういうのを使えば本物の電車と一緒ですね.....。でも,何事も古いものが大好きという変なオヤジなのでわざわざ30年以上前の素子を使っています。MOS-FETなんてあり得な~い! IGBTもオーディオのアンプでも使われたTO-3Pのパッケージのものが売られていますし,ルネサスのRJH60D5DPKなんてのがマルツでも売られていて,こんなの使うとぴったり,と言う気もするんですけどね。驚いたことにこんなに小さなパッケージなのに37Aも流せます。なんか技術の進歩に驚かされますね。それと,PWM=チョッパ制御なので,サイリスタを使う,と言うことも考えられますが,サイリスタはドライブ電流が大きく,主回路電流の数分の1くらいになってしまい,数100mAの電流が必要です。これがサイリスタの欠点ですね。最近の電車でGTOサイリスタじゃなく,IGBTが使われる理由のひとつがこれです。東芝のSF2B41とか小型でよく使われたサイリスタがありますが,定格は100V,3Aで鉄道模型にぴったり,と言う気がしますが,これもドライブ電流は100mAも必要で,ドライブ回路が難しくなります。

使ったのはいつも通り普通のバイポーラTrで,松下の2SD317Aです。もう40年くらい前の素子だと思います。表面に錆が出ていて古ぼけていますが,使ってやろうと思っています。ずっと長い間,保存してきたものですしね。なお,これは試作段階だけで,本格的にケースを作ったらUFOみたいな形をしたメタルキャンのTO-3型Trに取り替えるつもりです。この形のTrも好きで,昔から集めています。

0.56ΩとQ3 2SC3198の回路は過電流制限回路です。

ここは今はポリフューズ(ポリスイッチ)を使うことが多いと思います。たった1個のセラミックコンデンサみたいな部品で保護ができちゃうなんてすばらしいと思います。実際,私もTomix5001改PWM式コントローラのときに使ってとても具合がよかったので,これでもよかったと思います。

でも,まだ何か信用できません。その昔,中学生の頃,半導体でA級アンプを作りましたが,当時のアンプの製作記事には必ず出力の回路には保護用のフューズが入っていました。でもたいていはマーフィーの法則 "半導体に保護回路を入れると,半導体が壊れて保護回路を保護する"  のとおり,先にTrが飛んでしまいました。このときのトラウマでどうもフューズと名のつくものは信用できません.....。

この過電流制限回路は半導体を使っているので応答が早く,しかも自動復帰するので信用できます。なお,この保護回路は過電流になっても設定した電流を流し続けますので,ショートしたらすぐに車両を取り除いてください。本当は過電流を検知したら自動的に出力電流を絞り込む,ホールドバック型保護回路にしたかったのですが,負荷電流が1Aと低すぎ,電源回路の教科書を引っ張り出してきて実際に設計してみたらうまく定数を決められませんでしたのであきらめました.......orz。

その下の回路は "ゲートアンプ" です.......(^^;)。

この部分は555 ICで三角波を発振させ,コンパレータでPWM波を作って2SD317Aをドライブします。サイリスタと違ってトランジスタなのでドライブ電流は主回路電流の数百分の1になります。ダーリントン接続していますから,実際のドライブ電流は数10μAのオーダーです。

一番下は自動加減速を実現するための基準電圧を作る部分です。

緩慢に電圧が上昇,下降するようにCRの時定数を用いています。キモは2200μFの電解コンデンサです。ここに電流を充電して力行し,放電させるとブレーキになります。

力行時は普通の10kΩのボリウムで加速度を調整しています。

一方,ブレーキ時はLEDとTr(Q5)を組み合わせた定電流回路で放電するようにしました。Trのバイアス電圧を可変して放電電流すなわちブレーキを調整します。

ここは従来のトラコンでは普通の可変抵抗を使うだけです。昔のTMSやNHK出版の "鉄道模型のエレクトロニクス工作" などに出ている回路もこうです。

ところが,これらの回路は力行・ブレーキの切り替えにスイッチが必要です。というのは,ブレーキ用の可変抵抗がコンデンサにパラに入るため,力行時にもコンデンサは放電している状況となってしまうからです。 これは具合が悪いため力行,ブレーキで可変抵抗を入り切りするようになっているのです。

でもこれは不便ですね。いちいちブレーキをかけるときにつまみを回すだけじゃなく,スイッチで切り替えないといけないのは困ります。突然,踏切に自動車やトラクターが現れたり,飛び込みがあったり,Nゲージなんてまったく興味のない嫁はんがレールを引っかけて脱線した,というようなときにスイッチを入れてブレーキをかけないといけないというのはダメですね。おまけに「ちゃんと下を見ろ!」なんて怒ったら逆ギレされますから......怖っ!。

と言う次第で,私はこの部分は定電流回路にしています。2SC3198のバイアス電圧以下にしておくとこのTrがカットオフしてブレーキ回路に電流が流れないので,通常の電車同様,ブレーキ用のツマミを回さない限り,コンデンサは放電しないようになっています。突然飛び込みがあってもツマミを急に回せば急ブレーキがかけられます........(^^;)。 

なお,ブレーキ回路は普通のボリウムを使って連続制御? しています。最近の電車はブレーキまでノッチになっていて,ここをロータリースイッチを使ってそういう風にしてもよいのですが,古いもの大好きなオヤジなので全電気指令ブレーキは嫌いでやはり電磁直通ブレーキにしてあります......(^^;)。

電車のブレーキは80系など旧型電車は気動車や機関車同様,自動ブレーキでしたが,101系以降の新性能電車はセルフ・ラップ弁を用いて電磁直通ブレーキを用いています。ブレーキ制御弁を開け閉めするだけの自動ブレーキと異なり,ブレーキ力の可変が容易で応答速度も速いので,新幹線0系にも用いられています。自動ブレーキはブレーキ制御弁を開けている時間によりブレーキ力が変わり,調整が厄介です。"ブレーキ" 位置と "重なり" や "緩め" 位置に交互に合わせたりして調整します。電磁直通ブレーキは自動車みたいにハンドル角度で自動的にブレーキ力が決まり,運転もしやすいのです。

一方,電空変換弁を用いればすべて電気でブレーキ力を指令することもでき,205系以降の在来線や100系以降の新幹線は全電気指令式になっています。ブレーキ指令線を4本とか7本使って,それぞれの電線が加圧されたことによりブレーキ力を可変します。それでブレーキハンドルもノッチ式になっています。

今回のコントローラもボリウムじゃなく,ロータリースイッチにすれば全電気指令式に変更できますので,ご興味のある方は試してみてください。 

さらに,ブレーキもロータリースイッチにするとマスコンと一緒にしてワンハンドルタイプにもできます。ただ,私はこれも大嫌いで,実際の電車はほとんど今はこうなのですが,運転台の後ろからのぞいてみるとなんか間が抜けているように見えるのでとても好きになれません。慣れない運転士さんが何度も終着駅の車止めに突っ込んだ某私鉄もありましたしね......。それに,いったんブレーキを緩めてから力行する形になるので勾配区間の駅だと一瞬バックしてから走り始めてこわいですね。こうならないよう,"勾配起動" というボタンがついている電車もありますけど。昔の2ハンドルタイプの運転台の方がかっこよく見えるので自作のコントローラでは作らないと思います......(^^;)。

さて,今回は前回のPWM式コントローラにはない常点灯回路をつけようと思っています。もちろん,前回のPWM式コントローラでもPWM式なので常点灯には対応しています。ただ,前回のものはツマミをほんの少し,回転させた状態で止めておかないと常点灯になりません。回しすぎると電車が動き出してしまうので,毎回,微妙な位置で止める必要があり,結構面倒です。今回は,スイッチを入れるだけで自動的に前照灯,室内灯が点灯し,マスコンを完全に戻した状態でも自動的に点灯するようにしたいと思います。

回路的にはノッチオフの状態でもごく小さなデューティ比でパルスを出力するようにしておけばよく,制御Tr(Q1)のベースにごく低いデューティのパルス電圧を印加すればよいのです。デューティが大きくなるとそちらのパルスを優先すればよいのですが,意外に電子回路的にむずかしく,最初に設計したものでは動きませんでした。

電子回路的にはこの部分をOR回路にしておけばよいのですが,わざわざ7432などのTTLゲートICを用いるのも大げさだし,何とか簡単にしたいところです。 ここが今回,一番苦労したところでした。

常点灯,走行出力2.jpg コンパレータ出力の合成

コンパレータは前回に書いておきましたように,出力はオープンコレクタになっています。出力は抵抗値の変化(スイッチ)として現れ,電圧ではありません。そこでプルアップ抵抗を挿入して電圧の変化として出力するようにしています。

常点灯,走行出力1.jpg 走行中とノッチオフ時の出力波形

走行中の場合は走行用のコンパレータ出力のQ1がoffになっている時間の方がQ2がoffになっている時間より長く,問題はないのですが, ノッチオフすると(厳密には本機は自動加減速なのでノッチオフしてもパルスが残っていて,完全に停車した状態のことです),常点灯のみパルスを出力するようにします。このとき,Q1がonで,Q2がoffになっています。逆流阻止用ダイオードd1がないと電流がQ1にながれ,パルスが出力されませんが,d1があると電流はのように流れ,パルスを出力します。常点灯しないときもおなじで,d2がないと走行用のパルスがQ2に流れてしまい,出力されません。

こうして結局,2つのコンパレータ出力に逆流阻止用のスイッチングDiを入れて解決しました。LM393の2つの出力に入っている1SS133がそれです。ROHM製の非常に小さなガラス封止のダイオードで,鉄コレの前照灯回路などで使っています。残念ながらROHMさんはリード線タイプの小型ダイオードを製造中止にしてしまったようで,このダイオードも製造中止で,在庫限りのようです。それに,保護回路に入っている0.56ΩはPanasonic製ですが,松下さんは来年3月,リード線タイプの抵抗の製造を取りやめるそうです。ディスクリートの半導体もどんどん製造中止になっており,いよいよリード線タイプの抵抗すらなくなっていきそうで,電子工作もできなくなりそうです。

0.56Ω.jpg 保護回路の0.56Ω 2W酸化金属皮膜抵抗

Panasonicはこのタイプの抵抗の製造を来年3月で終了するようです。いつも部品を買いに行く秋葉の部品屋の親父さんから聞きました。残念なことです。 

感光基板.jpg 感光基板で作りました。 

この基板パターンは後でいろいろ修正しましたので,実際の基板はこの通りじゃありません。どうも申し訳ありません。 

基板1.jpg 完成したプリント基板 

プリント基板は100×33mmの大きさです。基板上に全部の可変抵抗を載せてしまいました。こうしないとあとの配線が大変ですので。前回,シリーズレギュレータ式の自動可変速コントローラを作りましたが,回路自体は簡単なのに可変抵抗と基板の間の配線がすごく大変で苦労しましたので,今回はすべて基板上に配置しました。 アルプスなどから基板用のボリウムが出ていて,基板の製作が楽になりました。

なお,制御Trの2SD317には試作段階のため放熱器を取り付けていませんが,本格使用の場合は7805など3端子レギュレータ用の小さなもので結構ですので放熱器をつけてください。 また,TrはNPNでIC>3A位のパワーTrなら何でも使えます。ただ,できるだけhFEが大きいものにしてください。VCEOが大きいTrにはhFEが小さいものがあります。ダーリントンTrが入手できたらダーリントン接続せず1個で済みます。そのほかのTrも入手しやすいもので結構です。2SC3198はこの前,Cherryの6石スーパーラジオのキットについていたものの流用です。2SC372で作ったので,余ったいらない子です。私も会社ではいらない子なので.......orz。まだ入手しやすい2SC1815で十分です。ただ,コンデンサの充電経路にある2SC2383(VCEO=160V, IC=1A)は少しICが大きめのものが必要です。

テスト中.jpg テスト中の様子

3つLEDが見えますが,基板上の2つはブレーキ用の定電流回路(赤)とPWM発振モニタ用(ピンク)のものです。わかりにくいですが,右側の出力に負荷用のLEDをつけています。これには昔のKATOの電機から取り外したオレンジ色のLEDを使っています。昔はこんだけ輝度が低かったんですね。点灯しているんだかどうだかわからないくらいです。

常点灯波形.jpg 常点灯パルス

ノッチオフして,主回路電流? が0の状態でもパルスが出るようにしました。一応,半固定抵抗で調整できるようにしています。最大デューティは13%くらいです。ただ,少し可変範囲としては大きすぎで,最大位置では電車が動いてしまうと思います。実際の鉄道模型では▲のオシロ波形のように,ほんの数%のデューティでいいと思います。

なお,テスト中は出力電圧が9VのACアダプタを使っていたので,ピーク電圧は9Vほどです。 また,チョッピング周波数は201系にあわせて300Hzと,一般車両用に20kHzに可変できるようにしています。300Hzだと本物のチョッパ電車みたいにプーッと言う音を立てて模型が走行します。ほかの模型だとこれじゃおかしいので,そのときは20kHzにして走行します。このときは可聴帯域外なのでチョッピング音は聞こえません。

なお,ケースに入れるときは12Vのスイッチング電源を搭載する予定です。本当言うと,出力のダーリントンTrと過電流保護回路の電流検出抵抗のせいで,2V程度,電圧降下するので14V程度のスイッチング電源を使用する方がよいのですが,555などの耐圧が16Vなのでこれ以上の電圧のものは使用できません。なお,本機はちゃんとツェナーダイオードで出力電圧が12V以上にならないよう設計してありますので,出力電圧が12Vを超えることはありませんので安全です。

加速中.jpg 力行中

力行時はこのようにパルス幅が広がっていきます。自動加減速としたので,このパルス幅はゆっくりと広がっていきます。1~3Nに投入すると一定のデューティのところで停止します。そのまま保持すると一定の速度で走行します。

最大加速.jpg 最大速度時

4Nに投入し,数十秒経つと完全にデューティが100%近くになり,最高速度になります。このままの状態でノッチオフするとゆっくりとパルス幅が狭くなっていきます。ブレーキ用可変抵抗(VR3)を操作すると急激に低下します。もちろん,減速の度合いは可変することができます。あまり急ブレーキをかけるとお客様から苦情が来ますので注意しませう。それに,最近の電車は運転状態が記録され,あとで助役さんからきつくお叱りを受けますので注意しませう.....(^^;)。

さて,ようやく基板ができましたので格好良いケースに収めて完成としたいと思います。 

 

2014年12月7日追記

NHK出版からこんな本が出ていたのを最近知りました。オーディオアンプの製作記事などでもよく知られている長真弓氏が書かれた本です。氏の執筆したアンプの製作記事や本は持っていますが,この本のことは知りませんでした。早く見つけておけば,と思っています。自動加減速コントローラや自動往復運転装置,DCCについても解説があり,とても貴重な内容です。初版は1984年のようです。

鉄道模型のエレクトロニクス工作.jpg 近くの図書館で借りてきました。

なかなか図書館にもない,と言う話がwebにでていますが,近所の図書館で検索したらありました。ただ,さすがにもう年月が経っているので閉架式書庫に保管されていました。相当汚れていて,よほど貸出があったような感じですが,もう読む人もいないのでしょう。 早速,スキャナを持っているのでpdfにしてしまいました。

鉄道模型のエレクトロニクス工作1.jpg 自動加減速コントローラ

何で本を押さえているんだ,と言われそうですね....。▲の記事では制御Trに東芝の2SC2535(VCEO=400V,IC=5A)を使った3段ダーリントン回路になっています。ブレーキは自動ブレーキを模擬しています。 後半に非自動加減速のPWM式パワーパックの記事が出ています。こちらの方は制御Trは前回書いた東芝のダーリントンTr2SD686を使っています。たぶん,元の記事としてはこちらの方が執筆時期が古いのだと思います。

NHK出版の電子工作関係の本だとホビーエレクトロニクスやホビーテクニックというシリーズがあり,私も何冊か買いました。書き下ろしのものや "電波科学" という雑誌の工作記事などをまとめたものが多かったですが,いずれもとても高度な内容で,今この本に載っているような回路を作れる人がどれだけいるのか,というくらい高度な内容でした。その割に初心者向けにやさしい解説もついていて,とてもよいシリーズだったと思います。最近はこういう本がなくなってしまい,非常に残念です。私はこういう本を読んで勉強したし,実際にものを作って遊ぶことができました。今の子はこんな本もないし,部品もないし,勉強できませんねぇ~。昔はよかったな~~.....(泣)。


nice!(1)  コメント(24) 

PWM式自動加減速コントローラ(パワーパック)の製作~設計編~ [模型]

2014年11月25日の日記

過去,何度もパワーパックと呼ばれる鉄道模型のコントローラを作っています。今まで,主としてPWM式のものを作っていますが,まだKATOやTomixなどメーカ製のPWM式のコントローラが少ない,と言うこともあります。ちなみにPWMとはPulse Width Modulationの略でパルス幅変調方式のことです。パルス式とかデューティ幅コントロール式なんて表現もあります。直流モータの回転制御に従来の電圧制御に代わってパルス幅で制御する方法です。今では産業用のブラシ付DCモータの制御はほとんどこれでしょう。実物の電車ではチョッパ方式と呼ばれています。営団地下鉄の6000系が最初で,国鉄だと201系が最初ですね。回生ブレーキが可能で力行時も抵抗による損失がなく,省エネというメリットがあり従来の抵抗制御に代わって普及しましたが,制御器が高価なので私鉄は界磁制御のみチョッパを用いる界磁チョッパ,国鉄は界磁添加励磁に移行しました。これははっきり言って退化だと思いましたが,今はインバータ方式に取って代わられ,直流モータを使用することはなくなりました。 

鉄道模型におけるPWM式のメリットはなんと言っても低速時にスムーズに動くことで,これは従来のシリーズレギュレータ式(リニア式)のものにはない良さです。PWM式はチョッパ電車と同じ原理で,方形波を出力して,そのパルス幅を可変してモータの回転を制御するシステムです。瞬間的に12Vの電圧がかかりますので,低速でもトルクが大きく,スムーズに動くのが特長です。ついでに,前照灯や室内灯が明るく点灯し,かつ,車両側の改良が必要ですが,停車中にも前照灯を点灯することができる,いわゆる常点灯にも対応できます。

昔は鉄道模型の動力の性能も低く,従来のシリーズレギュレータ式のものでも常点灯に対応? できたのですが,その場合は停車中や起動直後は電圧が低い状態での点灯となるため,とても暗く,走行するとどんどん明るくなる,と言うものでした。なんかこれはとても不自然で,乗っているお客さん? からこれじゃ本が読めん,と苦情がくると思います(そんなもん,来いひんて)。PWM式だと瞬間的に12Vフルにかかっているので室内灯は明るく,走行中とそんなに明るさは変わりません。本当言うと,パルス幅が小さいので暗いはずなのですが,残像現象のせいか,かなりデューティが低い状態で明るく見えます。これもPWM式の特長です。

一方,鉄道模型のコントローラというと,ツマミの位置と列車の速度が1対1で対応し,ツマミ位置を動かすとそれに連動して模型の速度も変動する,と言うのが普通です。まあ,鉄道模型なんだからそんなもの,といえばそうなんですが,実際の電車はこうじゃありませんね。 運転士さんは起動時にいきなり最大ノッチに投入し(安全上,最初に1ノッチに入れてしばらくしてから最大ノッチに入れると思いますけど),後は電車が自動的に加速していきます。加速度は電車固有のもので電車の性能に依存し,ノッチ位置には普通依存しません。

もっとも,最近の電車はソフトで制御するので,1ノッチや2ノッチは加速度を低めに設定する,なんてこともできるようになっていて,E231系などの最近の電車は大体こうなっています。昔はノッチごとに加速度は変わらなかったんですけどね。

また,最高速度に達すると運転士さんはノッチオフし,しばらく惰行し,ある程度速度が下がると再度,ノッチを入れて加速します。そのうち,駅が近づくのでやおらブレーキをかけて停車する,と言うことをくり返すわけです。

残念ながら,鉄道模型では普通はこういう運転はできません。そんなの当たり前だ,と言われればそうなんですけどね....。

と言う次第で,以前,普通の電車のようにマスコンとブレーキハンドルをつけて,自動的に加速し,惰行してブレーキをかけて停車する自動加減速コントローラも作っています。とてもうまく動作し,実際,1ノッチに投入し,しばらくしてスーッと電車が動いたのは感動しました。また,ノッチオフして惰行することももちろん可能で,最大90秒惰行しました。本機はとてもうまく動作したのですが,ただ残念ながらPWM式ではないし,常点灯にも対応していません。また,HOゲージ用に大容量で作ったので,ケースも大きく,電源もトランスを用いて作ったので重く,今度は軽くて小型のものを作ろうと思いました。そこで小型の常点灯対応PWM式にしようと考えました。

早速,設計します。エラそーに設計といっても以前製作した,自動加減速式コントローラPWM式コントローラを組み合わせただけなんですけどね.....(^^;)。 

まずはごく簡単に自動加減速の原理について説明しておきます。

その前に少しコントローラ(パワーパック)の歴史から....。

大昔のコントローラは単にレオスタットと呼ばれる大型の巻線式の可変抵抗器をモータと直列に入れて,モータを電流制御していました。大昔の黄色い香港製トミーナインスケールのコントローラや青いボディのKATOのNo.200とか(懐かし~!),私がPWM式に改造したTomix 5001パワーユニットもレオスタット式です。113系など昔の直流電車と同じですね。直流直巻(ちょっけん)電動機は回転数とトルクが反比例し,また,電流は電機子コイルに逆起電圧が生じるため,回転数に比例して下がってきます。電車は加速度一定で加速していくのが一番乗心地もよいのですが,直流直巻電動機では電流一定とすると加速度(トルク)一定となるので制御がしやすく,一定電流(抵抗制御車では限流値といいます)となるよう制御します。モータの電流がこの限流値まで下がってくると1個進段して抵抗値を減らして,最後は抵抗を0にします。まあ,一定とは言っても,抵抗の段だけ加速度は間欠的に急変し,カクカクと加速します。これは乗心地悪化の原因になりますし,機関車の場合は空転の原因にもなります。いまはインバータ電車ばかりになり,スムーズに加速するのでだいぶん乗心地も改善されました。直流直巻電動機を使ったシステムでも電機子チョッパ車は無段変速で,201系などはスムーズに加速しましたね。

レオスタット式パワーパック.jpg レオスタット式コントローラ

鉄道模型もレオスタット式は電車の抵抗制御と同じで,可変抵抗の値を大きいものから小さくしていき,モータの回転数を上げていきます。非常に構造が簡単で,また,しかもうまく動作するので初期のNゲージのコントローラとしてよく用いられましたが,レオスタットが高価なのと,モータの特性により走行性能が大幅に変わり,特に最近の高性能の動力をこういったコントローラで運転しようとするとビュッと電車が飛び出してラピッドスタートになります。これは最初に投入する抵抗の値が小さすぎて最初から大きな電流がモータに流れているためで,レオスタット式の欠点です。こういったことから,しばらくして次のトランジスタ式に変わります。KATOのパワーパックスタンダードなどがこのタイプです。

トランジスタ(Tr)を用いたいわゆるトラコンと呼ばれるトランジスタ式コントローラはモータを電圧制御します。

この図のように可変抵抗はポテンショメータとして使用し,その摺動子の電圧をTrの制御電圧とします。Trのベース~エミッタ間の電圧VBEはコレクタ~エミッタ間の電圧VCEに関係なく,ほぼ0.6~0.7Vの範囲で一定なのですが,ここに▼の図のようにダーリントンTrを使うことが多く,2×VBE分だけ電圧低下します。この出力電圧は ベース電位-(1.2~1.4)V となります。電子工学的にはシリーズレギュレータの一種です。 

トランジスタコントローラ.jpg トランジスタ式コントローラ

このとき,ボリウムはポテンショメータモードで使用するので,ブリーダ電流IVRはTrに流れるベース電流IBより十分大きくないといけません。使用されるボリウムは1kΩ~10kΩと言ったところでしょう。また,IBが小さいほどよいと言うことは,言い換えるとベース電流はIC/hFEですので,直流電流増幅率hFEはできるだけ大きい方がよいのです。ということでダーリントンTrが使われることが多いのですが,KATOのパワーパックスタンダードでは普通の2SD613(三洋)が使われています。 

こちらの方が本来,直流モータの制御には適していて,トルクもスムーズに変化できるので好ましいのですが,本物の電車で言えば直流電化区間では架線電圧は1,500V一定でモータの端子電圧を変えることができず,パワーエレクトロニクスなき時代は直流電車は抵抗制御するしかありませんでした。おまけにモータ1個ずつに抵抗を入れると大きくなりすぎ,また,損失もきわめて大きいので何個か直列にしたものに抵抗をつないだり,また途中で直列→並列につなぎ替えたりして接続方法の切り替えも利用して速度制御を行いました。一方,交流電化区間ではトランスで電圧を変化させたり(タップ切替制御),古くは水銀整流器(水銀ガス入りの整流管です)で格子(グリッド)位相制御したり,磁気増幅器(マグアンプ)やサイリスタで位相制御したりしてモータの端子電圧を自由に変えることができました。特に,格子位相制御はED70などの黎明期の機関車でも可能で,早くから交流電気機関車はパワエレを使い,粘着性能を高くとることができました。

鉄道模型でも初期のものはトランスに端子がついていて,端子を替えることによりモータを電圧制御していました。カツミのKP-13なんかがそうです。実車だと先のED70や新幹線の0系がこれですね。といって,これでも模型の場合,亜酸化銅整流器やセレン,ダイオードなどの整流素子が必要ですし,米国では国が広いので電気が来ていないと言うところも多く,鉄道模型には自動車用のバッテリを使っていました。そのためレオスタットを用いた抵抗制御しかありませんでした。そういえば,米国ではラジオも当時は真空管式なので高圧の直流電源が必要ですが,電気が来てないところでは自動車のバッテリーとバイブレータを組み合わせ,高圧直流を得てラジオを鳴らしていました。バッテリーが切れると,クルマで近くのガソリンスタンドへ行き,充電していました。電気は来ていなくてもクルマや鉄道模型はあった,なんていかにもアメリカですね~。

米国や日本では電気の来ているところではタンガーバルブを使って整流し,バッテリーを充電していました。タンガーバルブは電球とそっくりの形状をしていて,内部にガスが入った放電管です。 

タップ式パワーパック.jpg 

        タップ式コントローラ(これが一番古い)

一方,欧州では独メルクリンが戦前から鉄道模型を発売していますが,同社が交流のシステムだったのは戦前はこれらの有効な整流素子がなかったからです。当時は整流管(2極真空管)しかありませんね。民生用の最大の5AR45U4GBでも300mAが最大ですから,鉄道模型には使えません。しかもこれらは戦後のものですしね。戦前で一般に手に入る整流管は80でしょうか。80だと最大電流は125mAなのでとても無理です。

実を言うと,界磁に電磁石を使用した直流モータは交流でも回るので,電源が直流でなくても動くのでこういうことが可能でした。メルクリンの交流式システムの初期のコントローラは単にトランスのタップを切り替えるのみで,▲の回路図でセレンがないものです。

でも,これで速度の制御はできても逆転はどうするんじゃ? と言うことになりますね。

メルクリンの交流システムは2本のレール(パラ接続になっていて,同電位,同位相)と帰線としてレールの中央に第3軌条を設け,逆転時には界磁コイルのみ左右どちらかのレールに電流を帰して流れる向きを反転させていました。電機子コイルの方まで電流の向きを変えてしまうと回転方向は変わりません(だから交流でも回るわけです)。界磁コイルの電流の向きを変えるには車両に搭載したリレーを用い,逆転時はコントローラから瞬間的に24Vくらいの高電圧を流してリレーを動作させました。

実物の抵抗制御式の直流電車も同じで,界磁のみ電流の向きを変えて電車の進む向きを変換していました。発電ブレーキも同様で,運転士がブレーキハンドルを操作してブレーキを作用させると界磁のみ電流の向きを変えて発電機にしました。

さて,普通の直流を使った鉄道模型に戻ります。

自動加減速とするには先ほどのトラコンで用いられているポテンショメータの出力電圧に時定数を接続し,制御Trのベースに接続すれば,緩慢に電圧が上昇,下降するので可能です。これがトラコンの原理です。

トランジスタコントローラ(自動加減速).jpg いわゆるトラコンです。

この場合,コンデンサを充放電することが利用されています。コンデンサに一定抵抗Rを接続し,電源から充電すると,コンデンサの端子電圧は下式で表され,C×Rは次元として時間T(sec.)を持ちます。電源電圧V0の約60%に達するまでの時間がこの時間です。本機はT=10(kΩ)×2,200(μF)=22,000(msec.)となり,22秒の時定数を持たせています。もっと長くてもよいかもしれません。

            時定数過渡現象式.jpg

一方,コンデンサに充電された電荷は負荷電流といっしょに,Trのベースから流出していきます。hFEが小さいと,ベース電流(流出電流)が大きく,コンデンサの端子電圧が早く下がってしまいます。この意味で,制御Trにはベース電流で制御するバイポーラトランジスタではなく,ゲート電圧で制御するMOS-FETを使うとゲートには電流が流れませんので都合がよいのです。

ブレーキをかけるときはコンデンサの放電を早くしてやればよいので,コンデンサにパラに接続した可変抵抗の値を小さくしてやります。 この可変抵抗は値が大きいほどよいのは言うまでもありません。力行のボリウムの摺動子に入っているダイオードはコンデンサの放電電流が逆流するのを阻止する目的で入れてあります。

一般に,TrのhFEは100~200くらいなので,これではちょっと不足気味で,普通はこの制御Trは2個のTrをダーリントン接続して使用します。そのためTrが2個必要で,私が作った自作の加減速コントローラでは3段ダーリントン接続しています。もっとも,最初から2個のTrを内蔵してダーリントン接続した素子もあり,ダーリントントランジスタと言います。NECの2SD560や東芝の2SD686が鉄道模型のパワーパックの定番でした。ちなみに2SD560のhFEは4000もあります。まだ探せばこれらは入手可能なので見つけたときに買っておくとよいでしょう。何かちょっと工作するのに便利ですしね。もっとも,わざわざこんな古いTrを探す必要はありません。現行品だとサンケンの2SD1785(VCEO=120V, IC=6A)とか,2SD1796(VCEO=60V, IC=4A)がマルツなどで売られています。ただ,それにしても最近は半導体の製造中止が相次ぎ,最近はディスクリートの半導体の入手が非常にむずかしくなってきています。本当に残念です。

2SD317, 560, 634, 686.jpg 今回使用した制御Tr

部品箱をひっくり返して古いTrを引っ張り出してきました。使ったのは松下の2SD317Aです。これはダーリントンTrではありませんので2SC1815と組み合わせてダーリントン接続で使います。こうすると直流電流増幅率hFEは2個のTrのhFEの積になります。いずれもTO-220と呼ばれる形状で,急速に入手困難になりつつあります。形状も小さいし,扱える電流も大きいので鉄道模型のコントローラに適した特性を持っています。各Trの規格を書いておきます。 NECの2SD560は比較的最近まで製造されていたらしく,ロゴも新しいNECのロゴです。コレクタの金属板に切り込みがあるのがTO-220の特徴ですが,2SD560も昔のタイプには切り込みがありましたが,これはありません。そもそも何のために切り込みがあったのか,私もわかりませんが意味がないのでやめたのでしょう。最近は金属板もやめてしまい,フルモールドと呼ばれる,周囲が全部プラスチックになっているものがほとんどです。さっきの2SD1785もそうです。これは絶縁用にシートが必要だったのをコストにシビアな自動車業界がやめてくれ~,と言ったためのようです。

VCEO IC PC        hFE

2SD317A 松下 60V 3A 25W 60(Ic=1A)

2SD560 NEC 100V 5A 30W 2000~15000, typ6000(Ic=3A)

2SD634 東芝 100V 7A 40W 2000~15000(Ic=3A)

2SD686 東芝 80V 4A 30W min.2000(Ic=1A)

松下の2SD317AはダーリントンTrではありません。あとの3種はダーリントンTrで,さすがにhFEが大きいですね。 

こんなこと言うならゲート電流が流れないMOS-FETを使えよ,と言われそうですが,MOS-FETはゲートしきい値電圧Vthが大きく,2Vくらいもあり,ゲート~ソース間電圧VGSはこれ以上の電圧にしないといけないので,本機のような使い方だと出力電圧が下がってしまうので,普通のバイポーラTrを使っています。 その昔,初めてMOS-FETのアンプを作ったとき,バイアス電圧が2Vくらいにならないとドレイン電流が流れず,ビビった記憶があります。Trのアンプだと過電流が流れてフューズが飛ぶ電圧ですからね。もっとも,MOS-FETだとドレイン~ソース間電圧はほぼ0Vですが,Trの場合はコレクタ~エミッタ間電圧VCEsatは1Vくらいあって電圧降下するのでどっちもどっちですけどね。ただ,Trの場合はVCEsat×ICの分だけ発熱しますので,放熱器が必要です。今回,max.1Aで設計していますので,約1W分だけ発熱します。わずかですが,放熱器がないと結構熱くなります。発熱の点ではちょっとTrが不利です。

次に,PWM式についてはちょっと設計が厄介で,速度に応じたデューティ比の方形波を発振する回路が必要です。インバータ電車ではゲートアンプと呼ばれる部分です。PWM式コントローラの場合,要はデューティ比が0%~100%の間で自由に可変できるパルス幅可変発振回路を作ればよいのです。

インバータ電車の場合は出力が交流なので,パルス幅は出力の交流1サイクルの間,1パルスごとに幅を変え,できるだけ正弦波になるようにスイッチングしています。純粋な正弦波に近いほど損失や騒音が小さくなりますので,インバータ出力周波数が低いときほど多くのパルスでスイッチングします。ところがサイリスタはスイッチング速度が低く,せいせい1kHzくらいのため,出力周波数が上がって電車の速度が上がってくるとパルス数を減らさざるを得ず,最後は1パルスになります。ヒュ~ン,ヒュ~ンと音が変わるのはこのパルス数を途中で変えているためです。各パルス数の段階でスイッチング周波数の限界まで来るとパルス数を減らして次のパルスモードでまたインバータ出力周波数を上げていくわけです。最近のインバータ電車はIGBTを使ってスイッチング周波数が上がっているのでこういう音はしなくなりました。 

鉄道模型でモータに交流モータを使うようになったら一度,インバータ式コントローラを作ってみたいと思っています......。そういえばメルクリンは交流式があるから作れるな~。 

PWM式パワーパック1.jpgPWM式コントローラ 

先ほどのボリウムの摺動子の電圧を基準電圧とし,発振回路から得た三角波とコンパレータで比較し,三角波が大きい時間だけコンパレータから+の電圧が出るようにします。ただ,実際にはコンパレータはオープンコレクタ出力のものが多く,+の電圧が出るようにするには▼のように,プルアップ抵抗が1本必要です。 

コンパレータ動作.jpg コンパレータの動作原理 

なお,コンパレータはナショセミの規格表にもあるとおり,差動アンプとバッファを組み合わせた回路になっています。

 LM393等価回路1.jpgLM393の等価回路 

LM393は初段の差動1段アンプにカレントミラーを設け,出力はオープンコレクタになっています。 オープンコレクタというのは早い話スイッチと思ってよく,ここに+の電圧を加えるとコンパレータがonになったときに電流が流れます。厳密なスイッチと違うのは電流は双方向には対応していないことで,ここに-の電圧を加えても電流は流れません。

また,出力信号としてはon,offとなり,見方を変えれば抵抗値が変わるだけです。電圧としては0Vのままで,何ら電圧としては出力されません。そこでプルアップ抵抗をつないで出力電圧を+VCCに張り付けておき,出力TrのQoutがonの時だけ,0Vになるようにします。 どうしても人間,電圧が高いときがonと考えてしまうので,これだと論理が逆転することになり,頭がこんがらがってしまいますので注意してください。

方形波の発振はタイマと呼ばれるICの仕事で,定番はシグネティクスが作った555です。もう開発されてから40年くらい経つと思いますが,いまだに定番としてよく使われています。 

NE555, TA7555.jpg 

   555 IC(左:シグネティクスNE555,右:東芝TA7555P

ところが,555はもちろんデューティ比が可変できるようになっていますが,残念ながら0%~100%という範囲ではなく,もっと狭い範囲になってしまい,これでは鉄道模型の制御には使えません。C-MOS ICを使った100%フル可変の発振回路もありますのでご興味のある方はこちらも使ってみてください。

しかしながら,555の#6ピンに三角波が出力されているので,コンパレータと呼ばれるOPアンプICを使って,これと基準となる直流電圧と比較することにより,デューティ比を0%~100%で可変する方形波を作ることが可能です。私が作ったPWM式コントローラはこの回路を利用しています。三角波と基準電圧の比較による可変デューティ発振回路は新幹線300系などVVVF方式の電車でもよく使われていました。最近はソフト制御なので使っていないと思いますけど。

次に,今回の課題であるPWM式と自動加減速の組合せですが,どうすれば実現できるでしょう。

三角波と比較する基準電圧が緩慢に上昇,下降するようにすれば実現できるはずです。つまり,基準電圧のところにCRの時定数を入れてやります。

さらに,常点灯を実現するためにはどうすればよいでしょうか。

コンパレータのICはDIP 8pinパッケージのものが多く,2個コンパレータが入っているものがあります。私が使う,ナショセミのLM393なんて一番古い部類のコンパレータですが,これも2個コンパレータが入っていて,普通は1個遊ばせてしまっています。今回,Tomixの5001パワーユニットをPWM化したときと同様,2個目も使用して方形波を作ります。

常点灯はマスコンが0Nの位置でもごく低いデューティ比でパルスを出力すればよく,デューティ比は0%~10%の間だけ出力するようにしました。もっとも,KATOのように動力の性能がよいとこれでも走り出してしまいますので,デューティは可変できるようにしておきます。電車が走り出さずに停止した状態で,前照灯や室内灯が点灯する位置に固定しておきます。もちろん,常点灯の回路の方は時定数は不要ですので,基準電圧を作る部分には時定数が入っていません。

なお,以上の回路では電源はトランスを使い,ダイオードで整流しただけです。このままでは最大出力電圧は15~17Vとかになり,危険です。これは,電源装置の設計の要点として,最大負荷時に12Vとなるように設計するためで,小負荷の時は電圧が上がるからです。よく,HOゲージ用のパワーパックをNゲージで使ってはいけない,といわれるのはこのせいです。本来は負荷によって電圧が変わらない,定電圧電源とする必要があり,私が設計した自動加減速コントローラでは最大電圧が12Vとなるように工夫しています。そのほか過電流保護回路も必要で,コントローラの設計に際してはこれらの点も考慮して設計する必要があります。 

次回,回路を発表します。また,実際にプリント基板を作って試験をします。 

 

2014年12月7日追記

先週,NHKのBSプレミアムで "レッド・バロン" と言う映画をやっていました。第1次大戦中の撃墜王リヒトホーフェンの物語です。 敗戦国ドイツの映画ですので,戦争の無情さ,不条理を描いて,なかなか見応えのある映画でした。

映画の中で主人公が前線の基地で鉄道模型で遊んでいるシーンがありました。ちゃんと交流3線式のメルクリンの模型でした。直流2線式の模型で遊んでいたら監督を叱ってやらないと,と思いましたが,ちゃんと時代考証がしっかりしていました.....。 

 

2014年12月21日追記

昨年,とうとう2SC1815のような汎用Trが製造中止になり,まだ市中の在庫は豊富ですが,すでに中国製と思われるニセ物が出回るようになりましたし,トランジスタ技術などでも2Nではじまる代替品のTrで製作記事が書かれるようになりました。今のうちに東芝の純正品を買ってこようと秋葉に出かけてきました。

2sa1015, c1815.jpg 純正の東芝製2SA10152SC1815

いつも行く,若松通商さんで100個ずつ買いました。TOSHIBAと書かれた細長い段ボール箱から取り出していました。正真正銘の純正品です。思わず,「その箱ごとください」と言ってしまいそうになりました。あの箱って,1,000個入り? いやちょっとそれでは体積が小さいから5,000個入りかな?

200個だとその段ボール箱には200個ずつ小分けされているのでそのビニール袋入りになります。その方がよかったかも。2SA10152SC1815のコンプリです。コンプリのものはたいてい先にPNPが製造中止になり,NPNが残ります。といって,やはり需要の関係で,必ずしもNPNの方がいつまでも残るわけじゃなく,PNPの方がいつまでも残ったりします。2SA606/C960だとPNPの方がよく残っていますね。逆に,名パワーTrの2SA649/D218だとNPNの方がよく残っています。実は私も探しているんですが2SA649は持っていません。

代替品は台湾UTC製のものが多いようです。UTCのものは型番が横書きになっています。米Fairchildのものもあるようです。Fairchildって,暴君ショックレーのもとを脱走したゴードン・ムーアやロバート・ノイスがいたFairchild Semiconductorに源流があるのでしょうけど,同社は倒産しているので今,Fairchildと称している会社は単にブランドを買っただけの会社でしょうね~~。 ネットオークションには中国製もよく出ているようですが,買いません。

ついでにNECの2SD560を探しましたが,どこにもありませんでした。どこでも代わりのものを勧められました。まあ,何も2SD560にこだわる必要は何にもありません。

2SD1415A, 2SD2162.jpg 2SD560代替品

東芝の2SD1415Aとルネサスの2SD2162がぴったりです。どちらもフルモールドと呼ばれるパッケージで,ケースに取り付ける際に絶縁は不要です。 

VCEO     IC    PC      hFE

2SD1415(東芝)    100V 7A 25W 2000~15000

2SD2162(ルネサス) 100V 8A 25W 2000~15000  

ついでにこんなのも買ってきました。

2sc2523.jpg 富士通のRET 2SC2523

富士通が'70年代末に開発したリングエミッタTrです。当時,コレクタ遮断周波数fTがパワーTrでは低く,HiFi用にもっとfTの高いTrの方が応答速度も高いし,音もよいだろうと言うことで開発されたものです。小信号用のTrの方がfTが高いことから集積回路の技術を応用して多数の小信号Trのチップを集積した構造になっていて,RETはエミッタがリング状に配置されているのが特徴です。

NECの2SA1007/C2337なんかもオーディオ用に高fTのTrとして有名でした。今も名機の誉れ高い同社のA-10アンプにも高fT2SA1227/C2987が使用されていました。構造的にはRET同様,小信号のTrを多数パラ接続した構造になっています。日立も高fTのTrのシリーズがありましたが,オーディオ用にはMOS-FETを推奨していました。MOS-FETは日立がオリジナルですね。

ただ,MOS-FETも小信号Trのチップを集積した構造になっていて,高fTのTrやMOS-FETはオーディオマニアの間では「眠い音がする」 などと旗色が悪かったのを思い出します。 値段も高かったので,私は買えませんでした。

いずれにしても各半導体メーカがオーディオにも力を入れていた頃で,本当にいい時代だったな~と懐かしいです。いまやオーディオ用どころか,半導体から撤退しようという事態ですから,本当に悲しいです。


nice!(1)  コメント(2)