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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その1・電源編~ [オーディオ]

2017年9月30日の日記

MJ無線と実験'02年2月号に掲載された金田明彦氏設計のオールWE真空管式DCプリアンプの製作を再開することにしました。

実を言うと,雑誌に掲載されてからしばらく経って製作に取りかかったんですが.....。

どうにも昔から飽きっぽい性格のiruchanは途中で肝心の部品が手に入らなくなったり,失敗したりするとやる気をなくして途中で放置してしまう,と言う悪いクセがあります。

今回も進のプレート抵抗が一部,手に入らなかったり 6.8MΩなんてない!,引っ越ししたりして部品をどこに片付けたか忘れて探すのが面倒になったりして途中で放置してしまっていました。

そこで,ようやく15年ぶりくらいになりますけど,再開することにしました。

前回の時点で,基板はほぼ完成している状況で,部品も80%くらいははんだづけしてある状態でした。シャシー加工も済んでいて,レタリングをするくらいで終わっています。そういえば,インスタントレタリングがなくなってどうしようかと思っているうちに引っ越しもあってやめちゃった記憶があります。

インレタはサンハヤトが製造中止してしまい,非常に困っています。文具用のが手に入るのでいいや,と思っていたらこちらも手に入らなくなってしまっていますね。本当に困ったものだと思います。

あと,いくつか困った課題があり,それをなんとかしたいと思っていました。

その課題とは.....。

ひとつはコストですね~。昔から金田式は半導体式のものでも本当にお金がかかります。また,今回,すべての真空管が米Western Electric社製のものなので余計です。本当にWEの真空管は高いんですよね~。

WEはRCA系の真空管と異なり,独自の高信頼管となっています。電話用の高信頼管を作るのが仕事だったので当然ですが,確かに出来が全然違うし,音も素晴らしいことは周知の事実なんですけど.....。

電話=通信,ラジオ=放送ということで米国では運営会社,機器製造会社で棲み分けが行われ,本来なら自由主義の原則に基づくとおかしな話なのですが,通信をセキュリティ上,国家の主管事項として管理下に置くため,国営か,1社独占を認めるというのは米国だけでなく全世界共通で,こうしておくことは国家にとって好都合だったので,このような棲み分けが認められました。日本でも電話は戦前は逓信省,戦後は電電公社が運営していたことは記憶に新しい? ですね~。もう,若い人は知らへんて。

機器も純然と製造会社は分けられていて,真空管も電話用はWEが独占して製造し,ラジオ用はRCAやSYLVANIAなど,民間各社が製造しましたが,原則的に相互乗り入れはしない,という協定があり,独自に発達しました。

だからWE系の真空管はRCA系の球とは品種も規格も違い,まったく異なる球が製造されていました。特に通信用はAT&Tや軍が買ってくれるので高くてもよいわけですから,高品質なのも当然です。

しかし,さすがに親方日の丸じゃなかった,親方星条旗のWEも1930年代の大恐慌の時代は苦しく,映画用の音響機器の製造をして糊口をしのいだ時代がありました。300B350Bなどはそれですね。だからWEのオーディオ用の球,と言うのが存在するわけです。これらの球の音のよさはよく知られていますし,iruchanも泣く子も黙る? そんなくらいじゃ,赤ん坊は泣き止まへんて WEの真空管を使ったプリアンプを作りたいと思っていました。

金田氏は最初にEF86を使ったDCプリを発表しておられますが,ネットを見ても断然,WE系の球を使ったプリアンプの方が記事が多く,おそらくEF86のプリアンプより人気があったのだと思います。やはりWEの威光はすごいんだな,と思いました。iruchanはEF86は好きな球なので,いずれこちらでも作りたいと思っているのですが.....。

WEの396Aはプリアンプとしても人気があり,何年か前に4球式の完成品のプリアンプが発表されましたが,こんなの,オレだったら簡単に作れるな,と言う回路で,値段が10万円でした。こんなんやったら部品代を含めても5万で作れるよな.....と思ってよく見てみたら価格は0がひとつ多くて100万円でした!! それでも買う人がいるんでしょうから,やはりWEというとそれだけで音がいいと思ってしまうんでしょうね~。

ちょっと脱線しちゃいました。本題に戻ります。

金田式真空管DCプリアンプのもうひとつの課題は電源です。

金田氏の設計では,WEのMT整流管412Aを使っていますが,それをコンデンサインプットで使っているのはいいんですけど,2,200μFなんて巨大な容量を使っています。

WE 412A.jpg WEの412A

 時代により箱が異なります。右のはよく見かけますが,左のはiruchanも1本だけです。

iruchanは昔から真空管マニアなので,やっぱこんな巨大な容量のコンデンサを使うことはできません。整流管が傷んでしまいますからね。これはなんとかしたいと思います。

と言うことで,いくつか設計を変更して取り組みます。

まずは真空管。

オリジナルはEQアンプにはWEの403A,フラットアンプの396Aを使っています。

まあ,403AはRCA系の6AK5と同特性で,普通,6AK5はオーディオには使わない球なので403Aも需要がなく,比較的403Aは安いのですが,双3極管の396Aはオーディオ用に多用され,昔から高い球です。iruchanが製作に取りかかった15年ほど前ですら,1本9,000円とかしていました。今だといくらするでしょうか。

ということで,iruchanはヒータ電圧違いの同等管を使うことにしました。Ef=20Vの408A407Aがそれです。それぞれ,403A396Aのヒータ電圧違いです。407A12AX7などと同じく,ヒータを並列,直列で使い分けて20V,40Vの両方で使えます。

普通,ヒータ電圧が6.3Vか,12.6Vじゃない球はトランスレス用で,6BM8同等の8B8とか,6AQ8同等の17EW8とかがそれです。でも,396A407Aはそれではなさそうです。

WEはAT&T傘下の電話機製造子会社なので,これらの真空管は電話用ですが,なぜか電話局では20Vというヒータ電圧を使うのでしょうか。基地局か何かで電源がなくて鉛バッテリーを2個直列にして,レギュレータで20Vにしているのか,と言う気もしますけど.....。あるいは停電時のバックアップ用にバッテリーを使っているのでこうなっているのかもしれません。日本でも19R-LL3とか,19R-P11とかありますけど,407Aなどと同じ理由だと思います。

15年前はこれらの球は安く,特にiruchanは海外から真空管を個人輸入していたので,安く手に入りました。でも今は408A407Aもどちらも高くなってしまっています.......orz。

と言う次第で,ヒータは40Vで配線することにします。408Aは2本直列にし,407Aはヒータは40Vで使うことにします。当然,40Vのレギュレータも必要になるので,新たに設計する必要があります。ただ,これには別のメリットもありますが,それはまた次回で。

さて,次はその電源をどうするかです。

☆ 電源部の設計

B電源は金田氏は412Aをコンデンサインプットで使い,±120Vを作ってそれをフラットアンプで使用し,さらに+120Vからレギュレータで+100Vを作ってEQアンプで使う設計になっています。フラットアンプ用は単なるコンデンサインプット整流のままで,半導体式のパワーアンプみたいなレギュレータなしの非安定化電源になっています。

ここで金田氏は412Aのあとに平滑化のため,2,200μFという大容量のコンデンサを接続しています。これはちょっとあまりに大容量で心配です。

iruchanは真空管マニアなので,ちょっとこれはできないな~という感じです。

iruchanは一応,目安として,805Y3などの直熱整流管で20μF,6X4などの傍熱整流管で47μFが最大容量だと考えています。もっとも,80は古い真空管なので,10μFくらいに抑えておいた方がよいと思います。

これはなんでか,というと電源投入直後はコンデンサの電荷は0で,インピーダンスもほぼ0Ωです。当然ラッシュカレントが流れ(整流管の場合はホットスイッチング電流と言います),整流管を傷めますので,メーカが最大値を決めています。

ただ,今回,あらためて規格表を調べてみたのですが,"○○μF以上はダメ" と具体的に書いてあるのはPhilipsがGZ34の規格表で60μFと明記している以外は具体的な数値の記載はありませんでした。

Philips GZ34 datasheet.jpg PhilipsのGZ34データシートから

    PhilipsのGZ34は最大60μFです。

ただ,Tung-SolやSYLVANIAなどは▼のように,最大のホットスイッチング電流を規定し,これを超えないようにしなさい,という書き方がしてありました。

6X4 sylvania datasheet.jpgSYLVANIA 6X4データシートから

コンデンサインプット整流時の典型的動作例も記載されていて,コンデンサ容量は10μFとなっています。

ちょっと,あまりにも小さな値で驚いちゃうんですけど.....。これじゃ,80とか1-Vとかの古典管並みです。

実際には6X4はMTの整流管ですから,戦後の製造で,もっと大きな容量でもいいはずです。実際,iruchanも47μFで使ったりしていますが,問題はありません。

このデータシートには,最大のホットスイッチング電流は別のページに1Aと記載があります。これを超える場合は整流管のプレートとトランスの巻線の間に直列に抵抗を挿入して1A以下となるようにする必要があります。

さて,では,実際に412Aに2,200μFを接続した場合のホットスイッチング電流はいくらか? と言うことになりますが,ちょっと怖くて実験できません.....。

と言う次第で,LTspiceでシミュレーションしています。

まあ,わざわざこんなことを調べるためだけにSpiceでシミュレーションするわけじゃなく,iruchan考案の新しいB電源回路の検証をするついでに調べてみたいと思います。

☆ WE 412AのSpiceモデルについて

と言うことで,412AのSpiceモデルを探したいと思います。

真空管については,トランジスタ技術2017年5月号でも紹介されているAyumiさんがたくさんの真空管モデルを発表しておられます。幸い,396Aのモデルはありましたので,フラットアンプはシミュレーション可能です。

ただ,整流管も5Y3とか5Z3はあるのですが,さすがに412Aはありませんでした。ついでに,403Aもありませんので,こちらも探したいと思います。

残念ながら,ネットを探しても412Aのモデルはありません。それどころか,WEの規格表すら見つかりません。iruchanも規格表はたくさん集めてあるのですが,WEの規格表というのは持っていません。規格表すらないんじゃ,お手上げなんですけど.....。ひょっとして,規格表は国家機密だから,ないとか......。

でも幸い,同特性のBENDIXの6754の規格表は見つけることができました。また,プレート特性曲線も載っていたので,これを使ってモデルを作りたいと思います。412A同等管で,差し替えもできます。音もよいようで,412Aが手に入らない場合は6754でもよいと書かれていますが,6754も入手しにくいんですけどね......。

BENDIX社は最初のパーソナルコンピュータと言われる? G-15で有名ですけど,RED BANKと呼ばれるスーパーラギッドなシリーズの真空管でも知られています。航空用と称していますが,おそらく軍向けだと思います。B-29とかB-52に使われていたんではないかと言う気がするんですけどね.....。きわめて頑丈で丈夫な高信頼管を作りました。6V6同等の5992とか,5Y3同等の6106がよく知られています。ちなみにWEの396A同等の2C51のRED BANKシリーズの球もあります。フラットアンプに使ってみてもよいと思います。

WE 412A, Bendix 6754.jpg WE 412AとBENDIX 6754

何か,はるかに6754の方が出来がいいんですけど.....。ダブルマイカで振動を抑えた上,ガラスも普通の真空管よりも頑丈な耐熱ガラスになっています。ピンも金メッキされていますね。6754と比べると412Aの電極は5V4-Gにそっくり,という感じで貧弱です。

Bendix 6754プレート特性曲線.jpg Bendix 6754データシートから

EP-IP特性曲線です。整流管の場合,これがあれば何とかなります。

これを手読みして,Excelでグラフを描いてみます。

WE 412A特性曲線1.jpgこんな感じです。

━ はiruchanが推定した曲線です。あとでこれは説明します。

真空管にはラングミュアの法則,と言うのがあり,一言で言うと,プレート電流はプレート電圧の3/2乗に比例します。つまり,IP=G・EP^(3/2)と言うことですね。ここで,Gは各真空管固有の定数で,パービアンスといいます。このGが求められればよいと言うことになります。

3/2乗に比例する,ということは両対数曲線でグラフを描けば,直線に乗るはずなので乗則と定数を求められるはず......なんですが......。

WE 412A特性曲線3.jpg なんやこれ~~!?

Excelで手読みした値を両対数でプロットし,線形近似したグラフなんですけど......。

      なんで,そうなるの~っ!? 欣ちゃんの声で。古~っ

線形近似を選択しているのに思いっきりカーブしちゃってます。おぃおぃ。

WE 412A特性曲線2.jpg

しかたないので,プレート電圧とプレート電流をそれぞれ,常用対数を取って,それをグラフにしてみました。

これなら線形近似するときれいに直線になりました。当たり前だっちゅ~の。

ここで,近似式はy=1.3967x+0.2474と出ましたが,これで指数関数の乗則とパービアンスが求められます。

乗則は1.3967です。ラングミュアの法則だと1.5ですから,ほぼ近い値だと思います。

一方,パービアンスは10^0.2474で0.00167865となります。これはxが log Eだからです。したがって,BENDIXの6754のプレート電流特性は,IP=0.00167865×10^1.3967となります。先ほどのグラフの この式によるものです。

412A spice model.jpg LTSpiceの6754のモデルです。

6X4のモデルファイルをコピーし,サブサーキットの6X4.subファイルを書き換えて,これをWEの412Aのモデルとしました。あっているかな?。

WE 412A特性曲線.jpg LTspiceで特性曲線を描きました。

プレート特性をLTspiceで描画するとこんな感じです。大体,先ほどのBENDIXの6754の規格表にあっていると思います。

さて,ようやくここまで来たら金田氏の回路をシミュレーションしてみたいと思います。

WE DCプリアンプ電源回路original.jpgオリジナル電源回路

オリジナルは先に書きましたとおり,2,200μFのコンデンサインプット整流になっていて,フラットアンプにはこのまま供給されています。

WE DCプリアンプ電源波形original1.jpg オリジナル回路の出力波形です。

ほぼオリジナルの設計どおり,出力電圧は123Vとなりました。

WE DCプリアンプ電源波形original.jpg 拡大です。リップルが乗っています。

波形を拡大してみるとこんな感じで,約36mVP-Pのリップルが出ています。非安定化電源なのでこんなものでしょう。

ただ,これをそのままフラットアンプの供給するとハムが出ると思います。実際,真空管式DCプリを作った人はハムが出る,と書いていますね。

残念ながら,パワーアンプでもB電源のリップルは十数mVくらいにしないといけません。前回,6G-A4のシングルアンプを設計したときに書いていますが,6G-A4のアンプを10Hのチョークを使ったπ型フィルタを入れてもリップルは34mVP-Pというという結果が出て,チョークコイルは結局あきらめています。プリアンプならなおさらで,何か改良が必要だと思います。

また,問題となっている412Aのラッシュカレントですが....,

412A plate current(original).jpg 412Aの電流波形です。

最大で,1.4Aもの電流が流れていることがわかりました。

で,これが問題なのか,ということなのですが......。

一木吉典氏の "全日本真空管マニュアル" によれば,整流管のホットスイッチング電流は整流管が規定する値までであれば,0.2秒間は耐えることになっていて,これはメーカの保証範囲です。

WEの412Aのホットスイッチング電流がいくらか,というのは調べてもわからなかったのですが,BENDIXの6754の規格表には,Peak surge currentの項目があり,1.1Aと記載されていました。

つまり,6754の場合,起動時に1.1Aまでなら0.2秒間はOKと言うことになります。

規格表の記述どおり解釈すると,このピーク電流はアウト,と言うことになります。

しかし,LTspiceのシミュレーションを見ると,最大5波程度で,時間的には0.1秒程度です。真空管は丈夫ですし,半導体のように一瞬で死んでしまうことはありません。412Aも瞬間的にパッと光って昇天する,と言うことはありません。これくらいなら許容範囲,という気がしますし,金田氏も後の号で問題ないと書かれていますが,おそらくその通りだと思います。

で,iruchanも,そうとは思うのですけど.....。

やはり,こういう結果を見てしまうともう少し,412Aには楽をさせてやりたいですし,先ほどのリップルについても対策が必要だと思います。このままではハムが出てしまいます。

と言う次第で,やはりiruchanはリップルフィルタを使用することにしたいと思います。

人によってはチョークコイルを使われたりしているようですが,iruchanはもう,チョークコイルは使わないことにしました。重いし,値段もかなりしますからね~。それに,性能はリップルフィルタに劣ります。先日の6G-A4のパワーアンプでも,10Hものチョークコイルを入れてもスピーカ端子で1mVを超える残留ハムとなる計算結果になり,あきらめています。

プリアンプの場合は,昔からチョークコイルは使いません。

確かに,チョークコイルはプリアンプのような小容量の負荷の場合は完璧にリップルを取り除いてくれますが,今度はチョークコイルが磁界を発生し,ハムの原因になるからです。

また,真空管式プリアンプは電流が小さいことから,CRを使ったπ型フィルタを普通使うのですが,さすがに古い,という感じがしますので別の回路にします。iruchanも中学生の時に最初に作った4球式プリアンプとか,昔からずっと使っているのですけどね。

と言うことで,iruchanは今回,いつもどおりTrを使ったリップルフィルタにします。

これは,非常にメリットが大きいのです。

まずは完璧にリップルを退治してくれます。

それに,CRの時定数がTrのベースに入っているため,非常にB電圧の立ち上がりが遅くなります。真空管にとっては非常によいことですね!

おまけに出力電圧はベースに入っている抵抗の値を変えることで簡単に変えられます。もし,あとで金田氏のようにSBDを整流に使う場合はB電圧が高くなりすぎますが,トランスの2次側端子電圧を下げなくてもこのベース抵抗を変えるだけでB電圧を低くできます。

ノイズについても完璧で,ハムだけでなく,半導体や抵抗の発するノイズも小さく,数nV/√Hzくらいにできます。3端子レギュレータでもこの10倍以上のノイズを発しますが,リップルフィルタは非常に広帯域ノイズも小さいのです。

と言うことで,さっそく,LTspiceを使って本DCプリアンプ用の電源を設計したいと思います。

WE DCプリアンプ電源回路iruchan.jpgDCプリアンプ用電源iruchan版

同じくコンデンサインプット整流ですが,コンデンサは47μFにします。これだと412Aも普通の値だと思います。

その後,Trによるリップルフィルタを入れ,出力電圧が120Vになるようにします。

WE DCプリアンプ電源波形iruchan1’.jpg  LTspiceによるシミュレーション結果

━ 412Aのカソードやインプットコンデンサの端子電圧です。やはりリップルが乗っています。━ が出力電圧で,見事にリップルが消えているのがおわかりいただけると思います。出力のDC電圧は119.5Vで,リップルは1mV以下です。さっきの1/30ですね!

次に412Aの電流を見てみると....

412A plate current(iruchan).jpg 電流波形です。

ピークの電流は900mAとなりました。peak surge current以下です。それも1波だけですから,問題ありません。

う~ん,それにしても整流管(ダイオードの場合も同じです)の整流回路を流れる電流はこのようにヒゲ状のパルス電流なんですね~。教科書に載っていますけど,実際にシミュレーションしてそのような結果になるのにちょっと感動です。

このパルス状の電流がノイズになります。真空管の場合,内部抵抗が大きいので,パルス状の電流は比較的小さいです。

さて,こうしてようやくB電源が設計変更できました。改良後の回路を▼に示します。

オールWE真空管式プリアンプ電源部回路2.jpg電源回路です。

トランスは残念ながら特注せざるを得なかったのですが,長野のフェニックスさんが非常に安価で特注を受けてくださいます。実は,本来のこのプリアンプ用の既製品より安いくらいでした。あまりに安かったので,思わず,座布団2枚! ということで2台注文しちゃいました。もう1台はEF86プリに使いたいと思っています。どうもその節は大変お世話になりました。

なお,ヒータ回路は407AのH-K間耐圧の関係で-40Vで点火します。ヒータ耐圧の問題については詳しくは次回ご報告しますが,フラットアンプ2段目マイナス側の407AのH-K耐圧が厳しく,-40Vで点火することにしています。

B電源フィルタ用のTrは最初は2SA6532SC1161で考えていましたが,どちらもVCEO=120Vでギリギリなので,NPNの方だけ,2SC1864に変更しました。VCEO=250Vなので安心です。同じNECだし,エピタキシャルメサ型ですので音もよいはずです。ちなみに規格は,

           VCEO     IC     PC  hFE

2SA653/C1161    120V   1A  15W  80

2SC1864      250V   7A  40W  >20

です。残念ながら,hFEが小さめで,リップル低減効果は小さくなります。一般的に,高圧TrはhFEが小さいので,真空管アンプなどでリップルフィルタを使う場合はhFEにご注意ください。今回,完成後にテストしてみてハムが出る場合は2SC1161に交換するつもりでしたけど,実測してみると手持ちの2SC1161はhFEが38~50で,2SC1864が28~32と言ったところでしたので,あまり変わらないと思います。

ちなみにPNPの方はVCEO=-160Vの東芝の2SA969がよいと思いましたが持っていませんので断念です。メタルキャンのTO-66の高圧Trは品種が少ないです。今だったらTO-220で結構,多数の高圧Trがあるので,メタルキャンにこだわらなければ選択肢はたくさんあるのですけどね。

あと,回路はもう一工夫してあって,Trの保護用にポリスイッチを起用しました。さすがに2SA6532SC1161はとても貴重ですから,飛ばしちゃうと泣きたくなっちゃいますからね.....。

一般的にポリスイッチは耐圧が50Vくらいまでですが,今回,250Vというものを入手できたので使用してみました。トリップ電流120mAなので,本機に最適だと思います。

本当は先ほどのSpiceのシミュレーションにあるとおり,Trを使った電流制限型保護回路にしたかったのですが,ポリスイッチの方が配線が簡単なので,そっちにしちゃいました。Trの方が高速だし,確実に保護できるのでいいんですけどね.....(^^;)。

と言う次第ですが,15年前にこのリップルフィルタは設計してありました。当時はまだSpiceは使えなかったので,手作業でしたけど,よくやったと思います。さすがにポリスイッチはありませんでしたので,時代が進んだな,と思います。

☆ヒータ回路用電源の設計

これは先にも述べましたとおり,-40Vの電源を用意します。403A396Aの組み合わせなら6.3Vか,12.6Vの電源を用意すればよいのですが,それだったら簡単には3端子レギュレータで十分です。実際,金田氏はLM338を使った6.3Vのレギュレータとなっています。

ただ,これは12.6V系で使用した方がよいと思います。というのは6.3V系の時の電流が半分で済みますので,LM338の発熱も小さいからなんですけどね....。403Aは2本直列にし,396Aは12.6Vで使用するよう,#1ピンと#9ピンに12.6Vを供給すればよいのです。

今回は40Vで点火します。407AのH-K耐圧の関係で,極性を逆にして,-40Vで点火します。

この場合,3端子レギュレータは24Vまでなので使えません。まあ,LM317Tなどの可変出力電圧のレギュレータを使えば済む話なんですけど.....。

と言うことで,まずはディスクリートの定電圧電源を考えました。

-40V定電圧電源.jpg Spiceのシミュレーション回路

誤差増幅器にシングルのTrを使ったごく一般的な負電圧の定電圧電源回路です。

でも,結果はいまいちでした......orz。

-40V定電圧電源出力波形.jpg

きちんと定電圧出力となっていて,よさそうなんですけど.....。

残留リップルが8.5mVもあります。ヒータ電源なんだから,これがハムになるわけじゃなし,問題ないと思うのですが.....。

ちょっと予想より悪かったので,もっと性能のよいものにしたいと思います。

と言うことで,やはりリップルフィルタに戻ってしまいました。

-40Vリップルフィルタ電源.jpg リップルフィルタの場合

-40Vリップルフィルタ出力波形.jpg

出力電圧は-38.9Vと少し低めですが,リップル電圧は0.7mVです。見事です。

残念ながら?,こちらの方が残留リップルは低い結果となりました。

それに,リップルフィルタのメリットとして,電圧の立ち上がり(マイナス電源なんだから,立ち下がりなのかもしれませんけど)が非常にゆっくりなんです。

真空管のヒータは冷めているときは非常に小さく,電源投入時に大きなラッシュカレントが流れます。

まあ,白熱電灯なんかと違って,電源投入時にパッと光ってヒータが切れる,と言うことはまずないので問題ないのですが,やはりゆっくり立ち上がった方がよいかと思います。もっとも,PX4PX25など,欧州の直熱3極管は電源投入時に切れる,という話を聞きますので,これらの球を直流点火するときは定電圧電源じゃなく,リップルフィルタがよいと思います。たまに定電流回路で点火する人がいますが,確かに3端子レギュレータよりよいと思いますが,これは一定電流を流し続けるので,電源投入時も一定の電流を流そうとするので,リップルフィルタの方がよいと思います。

定電圧電源の場合,ほぼ瞬間的に定格電圧がかかりますが,リップルフィルタだとゆっくり0Vから立ち上がっていきます

今回の場合,定電圧電源は-40Vまでにかかる時間は12msでしたが,リップルフィルタだと約2.5sでした。ベース抵抗やコンデンサを変更すればもっと遅くできます。

と言う次第で,ヒータ電源もリップルフィルタにすることにしました。

なお,今回,制御Trの損失は約2.1Wと比較的大きいです。裸のままでは触れないほど熱くなると思いますので,シャシーに固定して放熱させることにします。


完成した基板を載せておきます。

電源基板1.jpg 完成したB電源基板

2SA653はかなり前に海外から取り寄せたものです(近くの大きな国からではありません)。

ただ,ロゴはNECの旧ロゴで,iruchanは本物と信じているのですが,本体が金色をしていて,ニセ物,と指摘する方がいて,アンプじゃなくてこちらに使用することにしました。確かにオリジナルの2SA653はクロームメッキで銀色をしているのですが....。これは何か宇宙用とか,特殊な仕様だとiruchanは思っているのですけど.....。

ポリスイッチ.jpg 

     ポリスイッチを挿入してあります。

次回はアンプ編です。


閑話休題。

ヒータ用の直流電源回路には制御Trに2SB600を使おうかと思っています。シャシーに取り付けないといけないので,外から見えるし,TO-3型だとかっこよいよな,と思って起用するつもりですけど,ようもこんな貴重な石を使いやがって,とお思いの方も多いと思います。

実は本物じゃなく,ニセ物を使います。

iruchanはWEの407A408など,真空管はインターネットなんてない頃から個人輸入していますし,半導体も2SA627D188などは国内の在庫がなくなって海外から取り寄せました。

おかげで,真空管も半導体も安く手に入ったのですけど.....。

でも,結構,痛い目にも遭っています。

まあ,真空管の場合はメーカ名を書き換えるくらい訳ないので,こちらも警戒していてニセ物をつかむことはないし,たとえリマーキングしてあるものでもさすがに真空管じゃすぐにばれちゃうので,ごまかしてもメーカ名くらいですが,半導体はそういうわけにはいきません。

何度,NECの2SA649を入手するのにニセ物をつかまされたことか......。

残念ながら,2SD218はまだ海外にも本物があって入手可能だと思いますが,2SA649の場合はほぼ絶望だと思います。間違いなくニセ物だと思います。

もっとも,最初から悪意があってニセ物を作っているわけではない,と思います。日本で2SA649が高いと思ってリマーキングしているわけじゃないでしょうしね。たぶん,何かの日本製品の保守用に,本来の2SA649がなくなったので,別の似た特性の石をリマーキングして売っている,という程度の話だと思います。

今回起用する予定の2SB600はこんなやつです。

2SB600, D555?.jpg こんなの真っ赤ニセ物~~~っ!!

そもそもロゴが雷ロゴと言われる昔のNECなのはいいのですが,形状も本来なら2SA649などと同様,NEC特有の平べったいTO-3なのに,これは普通に背が高く,頭が丸い,東芝みたいなTO-3です。2SD555は新ロゴになっていますが,ロゴが小さいし,プリントもずれていて怪しい感じは明らかです。

ロゴについては,2SB600/D555のコンプリは割に最近まで製造されたので,NECの新ロゴのも存在するのですが,形状は昔のままで,平べったいやつのはずです。

クソ~~っ! と思ったのですけど,割にきれいなNECの旧ロゴのがあったので起用します。まあ,単なるヒータの電源回路だし,音は関係ないでしょうしね。

            ☆      ☆      ☆

NECのロゴは1992年に,昔のNECから,ゴシック体のNECに変わりました。ですから,2SA649/D2182SA627/D188は旧ロゴのものしかありません。バブルの頃から,今じゃほとんど死語ですけど,CI(corporate identity)とかで,いろんな企業がロゴを変えました。実際,ロゴ変更を契機として会社の業績が上昇する,と言う現象が見られて,プラスの効果があったように思いますが,一見,業績が向上したと言ってもそれは日本経済全体がよかったからにすぎなかったのかもしれません。

でも,最近話題の半導体メーカは昔はToshibaだったのに これじゃどこかわかっちゃうな,やはりバブルの真っ最中の1982年にTOSHIBAに変更しています。サザエさんのエンディングでこのロゴが大写しになりますけど,新しいロゴに変わって非常に違和感をおぼえたのを思い出します。そんなの古いって。

まあ,個人的にはどちらもiruchanは古い方が好きで,特にNECは技術提携元のWEのロゴにそっくりで(というより,最初から真似してますよね~),真空管なんかはNECと書かずにNippon Electricと書いてあることも多く,WEとそっくりでしたね。ちなみに東芝の前身の東京電気時代からのマツダロゴは提携元のGEにそっくりです。

そのWEも1969年にいわゆるベルマークと言われる,これもゴシック体みたいなWestern Electricに変わっています。これもiruchanを含め,マニアには評判が悪いですね。昔の雷ロゴの方がよかった,と言うわけです。

まあ,これらのおかげで真空管や半導体の年代が推定できるのですけど,件の日本の半導体会社の最近の事例を見ると,ロゴを変えるというのは会社経営にとっては非常に悪いことのように思えてきました。

思い出すのはRCAですね。

RCAはロシア移民のデビッド・サーノフが一代で作り上げた米国の巨大電機メーカで,NBCを設立したりして放送も支配していました。戦後も引き続き,半導体で世界をリードしました。いまだにC-MOSの4000番シリーズなんかが定番のICで残っているのもRCAの遺産ですね。

しかし,1966年に息子のロバート・サーノフが経営を引き継ぎ,ロゴも変えてしまいます。それまでは雷ロゴ(英語でもlightning logoと言います)と言われたロゴを変更し,デザイン的なものに変えてしまいますが,彼自身の経営のまずさにくわえて時代の変化に取り残されたRCAは1986年にGEに吸収されて消滅します。

最後の頃は保険会社も経営し,牛乳とか食品を販売する会社もあったようで,なんかどこかの国の電機メーカとそっくり,と言う気もします。その会社はロゴを変えていませんけどね~。とはいえ,一時,新聞広告を出してロゴを変えると言って大騒ぎした上,結局,や~めた,と言う話もiruchanはよくおぼえていますけど.......(^^;)。

また,WEも親会社AT&Tの分割が決まると一気に斜陽化し,1984年にAT&T Technologyになったあと,95年にLucent Technologyとなって消滅しています。ルーセントはWEの直系に当たるわけで,iruchanはコンピュータのルーターなんかでルーセントの名前を見ると懐かしく思い出します。

正直言って,ロゴを変えると会社が傾くんじゃないか,と思っています。ロゴを変更するくらい,カリスマ経営者がいる,ということはある意味,その経営者が独裁的になり,誰の話も聞かなくなるとか,社員も意識が尊大になり,上ばかり見て顧客を顧みなくなるとか,そういう現象があるのだと思います。なんで例の半導体会社は米国でも斜陽化していた原子力に手を出したのか.....。誰もご注進できなかったのか,という気がします。

そんなわけで,ロゴ変更後,10年くらいで会社がなくなることが多いんじゃないかとiruchanは最近,思っています。


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Bluetoothキーボードが動かない! [パソコン]

2017年9月24日の日記

久しぶりにパソコンネタです。

iruchanが今使っているパソコンは4年前に自作したもので,もうかなり古いのですが,一応,USB3.0は使えるし,bluetoothやWiFiも使えるので特に不満はなく,まだ使えるうちは,と思って使用しています。

ただ,どうもbluetoothの性能はいまいちで,スマホやキーボードを接続しようとすると非常に時間がかかりますし,特にキーボードは以前はUSB接続の有線タイプを使っていたのですが,机が小さいので広く使おうかと無線タイプのものに交換したらトラブル続出で我慢しながら使っていました。

ただ,これは何も今iruchanが使っているパソコンだけの問題じゃなく,そもそもbluetoothという通信の仕組み自体がまだまだ未完成,という風に思います。他のPCやスマホでもやはりきわめて不安定ですし,スピードも遅く,信用して使えないシロモノだと前から思っていました。しょっちゅう,切れたりしてトラブりますし,速度も遅いですよね。音楽ファイルなんか転送するとイライラします。

iruchanはパソコン自作派なので,キーボードは凝っていて,贅沢ですけど昔からFILCOのMajestouchキーボードを愛用しています。昔ながらのメカニカル式キーボードで,ちょっとカチャ,カチャうるさいですけど,感触は抜群で,昔から愛用しています。まあ,キーボードなんかはそんなに急激に進歩してインターフェースが変わったりして新しいOSで使えない,と言うことはないのでいつまでも使えますから,多少高いのを買っても損ではないと思います。

でも,残念ながら,パソコン自作派なのでいつも思うんですけど,キーボード単体で売られているものはロクなものがありませんね~。どれも変なキーの感触で,特に最近のものはなんかペチャ,ペチャするような感触で,いいものがありません。だからiruchanはFILCOを使っているんですけど,メーカ製の市販のパソコンのキーボードにはなかなか感触がよいものがあり,いつもうらやましく思っています。本体はとうに捨てちゃったけど,キーボードだけ取っておいて,古いメーカ製のパソコンのを使っている,と言う方も多いと思います。

で,iruchanが今使っているFILCOのキーボードはbluetooth対応で,FKBT108ML/JBというもので,もう売られていはいませんが,キータッチがとてもよく,愛用しているのですが,どうにも今の自作PCのbluetoothアダプタと相性が悪いようで,しょっちゅう,認識しなくなります。

パソコン起動後にキーボードが認識されず,キー入力ができません.....orz。

まずはとりあえず,イベントビューアーで確認します。

BTH usb error.jpg あちゃ~。

やはり,Bluetoothアダプターは不明なエラーが発生したため,使用されません,と出ています。それに,不明なエラーなんていうことは問題の解析のしようもありません。

今までは,このあと,再起動するとまた使えるようになったので,しょうがねぇな~という感じで我慢して使っていましたが,さすがに最近は頻繁にこのエラーが発生し,大体,2回に1回くらい発生するようになってしまいました。

定石として,QualcommのAR3011アダプターの新しいドライバを探して再インストールしようかと思いましたが,Qualcommはそもそも個人のお客さんは相手にしていないようで,このアダプタを含め,ドライバは公開していないようです。ネットを探すと怪しげな個人のホームページでこのアダプタのドライバを公開しているのがいますけど,こういうのはダウンロードしない方が安全なのは言うまでもありません。

その点,インテルなんかは結構,チップセットのドライバを公開していて,自作のPCだったら本来はマザボメーカのサポートでダウンロードするべきなんでしょうけど,インテルの方が新しかったりして,インテルのをインストールしたら直った,と言うこともあります。でも,今回,使用しているマザボのMSIのwebにも,チップセットのAMDのwebにもbluetoothのドライバはありません。

と言う次第で,ほかにもいろいろ試してみたのですが.....。

結局,マザボ上に搭載されているQualcommのアダプタはあきらめて,新たに別途,USB接続のアダプタを購入することにしました。実は,iruchanのアイデアじゃなくて,ネットにこのようにアドバイスしている方が何人かいらっしゃいました。

さっそく,購入します。本当だったら正規のパソコン周辺機器メーカのものを使うべきなんでしょうけど....。最低でも1,500円はしますし,高いですよね~。

と言う次第で,アマゾンで売っている中国製のもの。Bluetooth4.0にも対応していて,Windows10の標準ドライバで使えるそうです。レビューを見ても問題なさそうです。値段はたった342円でした。

Bluetooth 4.0 adaptor.jpg 購入したbluetoothアダプタ

さっそく,PCのUSBポートに挿して使ってみます。

案の定,デバイスマネージャを見るとがついていて,エラーになっています。おそらく,ボード上のアダプタとバッティングしていて使えないのだと判断,もとから,もうQualcommのアダプタは使用停止にする予定なので,Qualcommの方を削除して再起動します。

今度はデバイスマネージャでもエラーになっていません。

atheros qualcomm AR3011 bluetooth.jpg QualcommのAR3011は無効にします。

  Generic Bluetooth Radioと表示されています。

さて,いよいよ次はFILCOのキーボードを接続します。画面右下のタスクバーの中にあるbluetoothのアイコンをクリックして,"Bluetoothデバイスの追加" を実行します。

デバイスを追加する.jpg デバイスを追加します。

今はキーボードが使えないので画面のハードコピーがとれません。デジカメ写真で申し訳ありません。

と,次はこんなメッセージが.....。これ,問題なんですけど.....。

デバイスを追加する1.jpg 

    "デバイスのPINを入力してください" だって~~!!

そもそも無線のキーボードにはPINなんてありません。こんなこと聞いてくるのはおかしいです。Windows10のバグだと思います。

といって,これ,よくある現象らしく,bluetoothのキーボードを使っているとたまにこのようになってしまって,困っておられる方が多いようです。

しかたないので,仮にPINを入力して,PCに接続します。

といって,そもそも今はキーボードを認識していないわけですから,PCにPINを入力しようにも入力できません!

有線接続のUSBキーボードをつなぐ,と言う手もありますが,面倒なので,ソフトウェアキーボードを使います。

スタートボタン→Windows簡単操作→スクリーンキーボードとクリックすると画面上にキーボードが現れてマウスでキーを押せば,PINの入力ができます。

番号は何でもよいので,適当に "0000" とでもPCに入力します。その後,bluetoothのキーボードから,同じく, "0000" と入力してenterを押すとキーボードが使えるようになります。

もし,bluetoothキーボードを使っていて,PINを入力してくれ,とメッセージが出たらこの方法をお試しください。

これでFILCOのbluetoothキーボードを再接続しました。しばらくこれでテストしてみます。何度もテストしましたが,今までのような現象は出ません。うまくいったようです。


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コアレスモータ対応鉄道模型用コントローラの開発~その14・ハードウェアPFM方式の改良~ [模型]

2017年9月9日の日記

前回,第13回で今回のコアレスモータ対応コントローラの成績を発表し,まとめたつもりですが,ひとつ宿題が残っていました。

第9回で,PFM式コントローラを開発していますが,これはタイマIC555を用いたハードウェア方式です。その後,PICマイコンを用いたソフトウェア方式を開発したので,iruchanはこちらを使っています。

ソフトウェアを使うので,かなり高度な制御ができ,PIC版はデューティを10%まではPFM,それ以上はPWMとして,起動時の低いデューティ時の変化を緩やかにしてスムーズな起動とスロー走行を実現しています。

と言う次第で,PFM式コントローラはソフトウェア方式をおすすめしたいのですが,やはりPICは難しいので,ハードウェア方式の改良のご希望がありました。

確かに,PICはソフトをおぼえないといけないし,また,書き込みのためのライターの準備や,そのライターを動かすためのソフトもマスターしないといけないので結構ハードルが高いです。その分,回路は簡単になるという特長はありますが,iruchanもなかなかPICに取り組めなかったし,やはりPICは難しいと思います。

と言う次第で,再びハードウェア方式のPFMコントローラを改良したいと思います。

いくつか宿題が残っています。

まずはソフトウェア方式のものはさっきも書きましたように,PFM&PWMのミックスモードがあり,デューティ10%まではPFM,それ以降はPWMになるモードと,0~100%までフルにPFMの2つのモードがありますが,ハードウェア方式のPFMコントローラはPFMモードオンリーです。

この場合,コアレスモータ機には都合がよく,コアレスモータ機でも非常にスムーズに起動しますし,スロー運転も可能なのですが,従来のコアつきモータ搭載機の場合は起動時のつまみの位置が非常に高い位置となります。実際,コアレスモータだと時計で言えば,10時くらいの位置で起動するのに,コアつきモータ機だと2時くらいの位置になってしまいます。

これは当然と言えば当然の結果で,第4回でも書きましたとおり,コアレスモータ機は起動デューティが4%くらいなのに対し,コアつきモータ機は調子のいいものでも15%くらいですが,普通は30~50%と言ったところです。これじゃ,起動時のつまみの位置が大きく異なっちゃいます。

これをなんとかしたい,と思ってPIC版はPFM&PWMモードのミックスモードが設けてあって,コアレス機でもコアつきモータ機でもそれほどずれはありません。

しかし,このミックスモードをハードウェアで実現しようと考えると大変です。簡単な回路ではとてもできそうにありません。

と言うことで,今回はフルPFMモードと,フルPWMモードの2つのモードが同時にできるコントローラを作りたいと思いました。

つまり,コアレス機はPFMモードコアつきモータ機はPWMモードで使用するよう,スイッチで切り替えられるようにしたいと思います。

これなら何とかなるのではないかとiruchanは考えました。

この回路については,またあとで解説します。

もう一つ,改良したいのは回路をもっと簡単にしたい,ということです。できれば,ICを1石にしたいと思います。

ちなみに,ハードウェアPFMは次のように実現しています。

可変周波数の発振器と,それをトリガとして一定幅のパルスを発生する回路を組み合わせています。

まあ,さすがに可変周波数発振器と言っても,今どきアナログ回路でやることはほとんどないですし,そもそもパルスが出力されればよいので,デジタル回路的にやればよいので,電子工学ではマルチバイブレータで発振させます。

前者は非安定マルチバイブレータ,後者は単安定マルチバイブレータという名称の回路を使えば,実現できます。

ということで,タイマIC555を2個使って実現したのが前回の報告です。

タイマICの555は非常に便利なICで,開発されたのは70年代だと思いますが,今でも大量に生産されています。本当に長寿のICだと思います。

ただ,どうしてもこれじゃICが2個になっちゃいますね。

で,最初に戻って,昔,iruchanがPWM式コントローラを作った頃の回路は555で一定周波数の三角波を発振して,コンパレータで三角波をスライスする感じで可変幅の方形波を作っていました。

もし,コンパレータのレベルを固定し,逆に555を可変周波数の発振器とすればPFMができるな,と考えたのですが.....。

これだと昔から作りなれているし,基板のパターンも変わらないのでいいか,と思ったのですが....。

これはダメなのです。一応,PFMに近い感じではあるのですが,正常なPFMじゃありません。

周波数は変わるのですが,一緒にデューティ,つまりパルス幅も変わっちゃうのです。たとえば,周波数を高くしていくと,パルス幅もどんどん小さくなっていき,永遠にデューティ100%にならなかったりするんです。だから,もし,この方式でPFMをやろうとすると,やはりコンパレータのスライスレベルも変化しないといけないのです。

そのほか,入力の直流電圧に比例した周波数の方形波を発生させる,V-FコンバータというICが世の中にはたくさんあるので,これも調べたのですがダメ。

これも一応,出力のデューティを可変できないとダメなのですが,こういう機能を持ったV-FコンバータのICがほとんどないんですね。わずかにそのような機能があるICもあるのですが,やはり周波数と一緒にデューティも変化しちゃいます。

PFMコントローラの場合,周波数とデューティは独立していて,別々に設定できるものじゃないといけませんが,世の中,そういうICはないようです。

もちろん,最近はスイッチングレギュレータのICがたくさん登場し,普通はPWM制御なのですが,低消費電力の時にPFMで動作するICが増えてきています。こちらの方が低消費電力で,ケータイなどの充電回路には適しているようです。

ところが,こういうICはPFM⇔PWMのモードは出力電流で決まるようになっていて,外部から制御できるようにはなっていませんので使えません。

う~ん,やはりうまくいきませんね~。

と言う次第でさんざんいろいろ考えたあげく,やっぱりもとの555に戻っちゃいました。やっぱ,それだけ555は優秀なICと言うことですね。

で,いろいろいくつか図面も引いて考えてみたのですが,PFMだけならいいんですけど,PFMとPWMの両方のモードで動作するコントローラと言うことだと555では問題が出てきます。

555は大変優秀なICですが,これもひとつ問題があり,周波数とデューティを独立して設定できません。

それで,従来のPFMコントローラは別々に2個のICを使っていてこの問題をクリアしたのですが,今回,PWMモードをつけようとすると,問題が出てきます。

2段目の単安定マルチバイブレータをPFMで使う場合は,たとえば,パルス幅1μsの一定パルスを出力できるように,CとRを決めればよいのですが,PWMで使う場合は,0%~100%のデューティでパルスを出力できないといけないのですが,仮にスイッチング周波数20kHzで動作させた場合,0~50μsの幅のパルスを出力させないといけません。でも,これが555はできません。

なお,素子の特性により最低パルス幅には限界があり,0.5μsくらいが限界です。ですから,PWM式の場合,完全にデューティを0%にすることはできません。なんとか,最低,1~2%くらいにできれば合格と考えています。

もっとも,PFM方式はそもそもデューティ0%というのはできないのですけど。ただ,PFMだと無限に0%に近づけることはできるので,これを逆手にとって最低デューティを1~2%くらいに設定し,つまみを0にしてもパルスが出るようにしてあり,停車中に前照灯が点灯するようにしています。

ということで,2段目の単安定マルチには555は使えません。初段の非安定マルチは20kHzのスイッチングをさせればよいだけなのでこちらは楽勝なんですけど.....。

う~ん,やっぱあかんな~[雨]

と思ったのですが,いいことを思いつきました。

専用の単安定マルチのICを使えばよいのです[晴れ]

こうすれば,約1μs~50μsのパルス幅を作ることは容易でしょう。ICはTTLなら74LS123が昔から定番ですね。トリガ信号の幅はでたらめだけど,一定の幅のパルスを作りたい,というときによく使うICです。iruchanも昔からよく使っています。まあ,今回は12Vの電源を使うので,C-MOS版の74HC123を使えば,直接12Vで動作できて便利だと思いましたが間違いで,通常,C-MOSのロジックICは電源電圧が15~20Vくらいまで使用可能ですが,74HC1237Vまでですのでご注意ください。と言う次第で結局,74LS123用に5Vのレギュレータを使っていただければ74HC123と共用できます。

と言う次第で,初段の非安定マルチにLMC555を使い,2段目の単安定マルチに74HC123を使うことにしたいと思いました。

つまり,目標としては,

     LMC555      74HC123

PFM   15kHz~600kHz        1μs固定

PWM  20kHz固定          1.5μs~50μs

と言う具合に動作させることにします。

と思って,図面を引いたのですが,ちょっと変だと思いました。

74HC123は単安定マルチバイブレータのICですが,2個組になっていて,初段に555を使う,と言うことだと1個,マルチバイブレータがあまっちゃいます。

なんかもったいないよな~。

せっかく,マルチバイブレータが2つあるのなら,1個目を非安定マルチ,2個目を単安定マルチで使えたらええのにな,と思っちゃいました。555だって,2個組みの556というICもありますからね。これなんて豚まんかよ,と思っちゃいますけど。それは551だってば。

でも74HC123テキサスの規格表を見てもdual monostable multivibratorとあるように,単安定マルチバイブレータ専用のICです。非安定動作については書いていません。

でも,555は両方できますし,74LS123だってたぶんできるはずだよな~,と思って調べたら同じテキサスの別の資料に,74LS123の低消費電力発振器の回路が載っていました。やた~[晴れ][晴れ]

ということでありがたくこの回路をパクらせてもらって図面を描きました。どうもテキサスさん,ありがとうございます。

う~ん,余談ですけど,こういうところ,やはり海外メーカは親切なんですよね~。日本のメーカの規格表を見てもあまりこういう裏ワザ的なことは書いていません。いらんことすんな,ウチは責任取らへんで,と言うことなんでしょうけどね.....。

そればかりじゃなく,そもそも規格表はどこだ,と探してもなかなかホームページの中で見つからないところも多いですよね。下手すりゃ,登録しないとダウンロードできなかったり,製造中止になるとすぐにダウンロードできなくなりますし。もちろん,自社の半導体のSpiceモデルを公開しているところもほとんどありません。世の中,グローバル化が進んで,とにかくサービスをよくしないと使ってもらえない,と言う時代なのに,日本の半導体メーカはこれで大丈夫か?と思います。

74ls123 astable mutivibrator.jpg

     Texas Instruments "Designing with the SN54/74LS123" より

なお,▲の回路は74LS123の2つのバイブレータを2つとも使っていますが,今回,単に発振すればよいので,1個目のみ使うことにします。


さてと,昔だったらここまで来たらあとはプリント基板を起こして.....,と言うところなんですけど,やはりSpiceで検証してからにしたいと思います。というのはあとで書きますけど,PFMの設計は非常に面倒なのです。Spiceで事前にテストしておく方が無難です。

Spiceでうまく動作するようなら,実際に回路を作ってもうまく動くと思いますし,失敗するリスクが減りますからね。逆に,Spiceでうまく動かないのに,実際に回路を作ったら動いた,ということは絶対にありませんので。

ところが.....。

なんたることか,Spiceには標準ロジックICのモデルがありません......orz。

iruchanが使っているフリーのLTspiceはもちろんのこと,テキサスもロジックICのSpiceモデルは提供していません。

まあ,ロジックICなんだから,LTspiceでもNOTやAND,R-Sフリップフロップなどの基本的なモデルはついているので,74LS123などはこれらのモデルを使って組み立てればいいと思いましたが,やはりちゃんと74LS123のモデルがあればきちんとシミュレーションできますね。

ということで,まずはネットで捜索します。以前,KATOのKC-1を自作したときに同じテキサスのTL494Cのモデルが必要だったので探したところ,なんとかあったのでシミュレーションができました。今回もまずはネットで探してみます。

と,やっぱりありました[晴れ]

米国のYahoo! GroupにLTspiceのグループがあり,そこのメンバーが74HCシリーズの標準ロジックICのLTspiceモデルを載せていました。

ltspice yahoo group.jpg

ただ,残念ながらこのグループのメンバーにならないとブツはゲットできません。***@yahoo.comのアドレスでなくても,自分のメールアドレスでも登録できますので,メンバーになってください。

無事にメンバー登録ができると,モデルを探すことができます。Filesのタブで74HC.ZIPというファイルと,74HC.libというファイルを探してください。前者が74HCシリーズのロジックICのシンボルファイルで,後者がそのライブラリです。この2つがあればLTspiceでシミュレーションできます。

74HC.jpg 74hc.zipの場所です。

74HC.LIBも同じように探してください。

74HC folder.jpg これをここに放り込みます。

2つのモデルファイルをゲットできたら,LTspiceがインストールされているホルダのLIBホルダに74HC.libを,また,さらにその下のSymホルダに74HC.zipを解凍してできたすべてのモデルファイルをコピーします。ごちゃごちゃになってしまうとわかりにくいので,74HCというような名前のホルダを作っておいてもOKです。

ここまでくると,74HCシリーズのICがシミュレーションできます。もちろん,74HC123もありました!!

74hc123 model.jpg やた~~~[晴れ]

でも......。

ここまで来たのに,実際に回路を組んで走らせてみるとエラーが出て動きません。sub-circuitがない,といって怒ってきます。

実を言うと,予想していたのであわてず,ライブラリファイルを調べてみます。これは,シンボルは表示されていますが,肝心の中の回路を記述するライブラリが読込まれていないためです。

まずはエラーが出た74HC123をクリックして,"Open Symbol" ボタンをクリックして編集します。

74HC123 attribute.jpg "Open Symbol" をクリックします。


74HC123 edit attribute.jpg 次にattributeを編集します。


74HC123 model file.jpg Model Fileを追加します。

案の定,このModelFileという欄が空欄でした。これではライブラリを読み込みません。さきほどの¥libホルダにあるなら,単にファイル名("74HC.lib")を入力するだけです。どこか,別のホルダに入れちゃった場合はそのホルダをパスを入れて記述すればOKです。

ついでに,SpiceLineのところで,デフォルトがVcc=5となっていましたが,今回12Vで動作させるので,Vcc=12と書き直しておきます。こうすると12Vのパルスが出力できます。

こうすると無事に74HC123が使えます。

と言う次第で,LTspiceで回路を入力し,実際にシミュレーションしてみます。

74HC123は単安定マルチ専用のICでしたが,ちゃんと非安定マルチの動作もできることが確認できました。

なお,PFM式は非常に設計が面倒で,まずは一定幅のパルスをいくつにするかを決めないといけません。次に,最初のスイッチング周波数を決めます。ここから,PFMですのでどんどんパルスの数が増えて,すなわち周波数が上がっていってデューティが高くなっていくのですが,最終的にパルスの間隔が0になってデューティ100%となるように設計しないといけません。

これ,やってみるとわかるのですが,非常にめんどくさいんです。

と言う次第で,まずはスイッチング周波数20kHz,最低デューティ1%ということで,パルス幅0.5μsを目標としてやってみますが,さすがにこれは厳しく,せいぜい1μsをなんとか下回れるくらいかと思います。まあ,最近買った,KATOのC12の起動デューティが2.7%でしたから,これ以下だったらOKです。

まず,決まるのが2段目の単安定マルチの定数。C=1500pF,R=10kΩで1μsとなったのですが....。

今度は初段の非安定マルチの定数がうまくいきません。どうしてもデューティ100%にならないとか,最低デューティが1%にならないとかの問題が出てきます。

それになにより,2つのマルチバイブレータの定数をうまい具合に決められても,今度は出力段の速度が問題になり,パルス幅が太くなってしまって,最低デューティが大きくなったりしてしまいます。最低デューティは2%台にしておく必要がありますが,なかなかこのようにできません。

これでうまくいかなかったらまた最初に戻って,最初のスイッチング周波数を変えてみたり,パルス幅を変えてみたりして,と言う具合に何回も試行錯誤が必要です。

結局,最初のスイッチング周波数13kHz,パルス幅1μsでいくと,デューティ1.5%~100%と可変できることがわかりました。これでも出力段の速度でパルス幅が1.5μsくらいになることが予想されます。Spiceでのシミュレーションもそんなくらいでした。でも,実際にはそんなにうまくいかず,大変苦労することになるのですが,このときはわかっていませんでした.....。

PFM, PWM controller(74HC123) simulation.jpg うまく動きました!

PFM, PWM controller(74HC123) simulation1.jpg 各部の電圧・電流です。

やはり,74HC123の出力信号は非常にシャープで狭い幅のパルスが出力されますが,実際に出力されるパルスは太くなってしまいます。PPドライバを挿入してあるので,かなり狭くなっていますが....。

あとはもう,ともかく実際に作ってみて確かめるしかありません。これでもまだうまくいかなくて,設計のやり直しもあり得るんですけどね。

いつものようにプリント基板を作ります。iruchanは万能基板は失敗のもとと考えているので使いません。それに,見た目も汚いですしね.....。あまり汚いとやる気がなくなっちゃいますので。やはり,何事もそうだと思いますけど,うまく行くものは見た目もきれい,と思っています。それに,よくアンプなんかで万能基板を使って作る人がいますけど,本当に器用だな~と思いますが,iruchanはやりません。アンプだと失敗すると被害甚大ですからね.....。少しでも失敗のリスクを低くしておいた方がよいと思います。

一応,テスト版の回路図は▼の通りです。これでプリント基板を作りました。

PFM&PWMコントローラ(74HC423)4.jpg全回路図です(9月21日訂正)

ちょっとややこしいので,システムのブロック図みたいにわかりやすく描くと次の通りです。あわせて,▲のSpiceのシミュレーション回路もご参照ください。
PFM&PWMコントローラ(74HC423)ブロック図2.jpgシステムブロック図
▲のように74HC123に内蔵されている単安定マルチバイブレータを使ってPFM波とPWM波を作ります。可変抵抗も2個必要ですし,実際にはPFM⇔PWMと切り替えないといけないので切替SWも必要です。

なお,74HC123が入手できなかったので,同等品の74HC423を使いました。東芝の規格表を見ても,何が違うのか,まったくわかりませんでしたので,差し替え可能です。

回路は相当,工夫してあります。特に可変抵抗は本当だったら▲のブロック図のように,PFMとPWMで別々の可変抵抗になっちゃうのですが,単連の100kΩで済ませました。おまけに,ブロック図をご覧いただいたらおわかりいただけると思いますが,加減速時のボリウムの回転方向がPFMPWMなんです!!

これは,難問です。でも,ひとつ手があって,74HC123の出力にはQじゃなくて反転Qをつかえば,逆の動きをしますので,PWM時は出力を反転Qから取ればOKです。

でも,これじゃ,切替SWは3連のものが必要です。普通ならロータリーSWになっちゃいますね。そこで,ボリウム付近の回路をかなり工夫して,PFM時とPWM時で抵抗値の変化が逆になるようにしました。これ,かなり頭をひねりました。

と言う次第で,iruchan設計の回路では切替SWもロータリーSWじゃなく,トグルSWのDPDT(双極双投)のものでOKです。今回,iruchanは本機はケースに入れず,プリント基板までで済ましてしまうつもりなので,本当だったらトグルスイッチで作らないといけないのですが,基板上にスライドスイッチを設けました。これだとテストも容易です。

なお,出力段はMOS-FETで考えてありますが,バイポーラTr(NPNダーリントン)でも使えます。バイポーラの方が速度は遅いのですが,入力容量は小さいのでドライバ段は不要ですし,また,今回,パルス幅は1.5μsと広いので,過去の経験からもバイポーラの使用は可能だと思います。むしろ,バイポーラの方が回路が簡単になるのでええやん,という気がしますが,速度の問題以外にバイポーラは発熱しますので,実際に使用するときは放熱器をつけてください。iruchanもこんな風にケースに取り付けています。MOS-FETだと1Aくらいなら放熱器は不要ですが,もし,非飽和領域でドライブしていると発熱します。テスト時に発熱していないか,確認してください。

PFM&PWMコントローラ(74HC423,BJT).jpgダーリントンTrにする場合

MOS-FETの場合は入力容量が最近のものは2000pFを超えていますので,かなり大きな充放電電流が流れます。▲のシミュレーションで  で描いてあるのがその充放電電流です。充電時は30mAくらいですけど,放電時は10倍以上流れます。これでもまだ出力されるパルス幅はもとのゲートドライブ電圧より広くなっちゃいます.....orz。ドライバは少し大きめのTrが必要で,2SA1015/2SC1815では力不足で,1ランク上のものを使います。IC=2Aで手持ちの2SA10202SC2235(IC=800mA)を使いました。本当は2SA1020のコンプリは2SA2655ですけどね。

と言うことで実際にプリント基板を作ってテストしてみたのですが......。


残念なことに....まったく動きませんでした[雨][雨][雨]ちゃんとSpiceでは動いたんですけどね......。

まあ,よくあることなんですが,Spiceで動いたからと言って,実際の回路が動くとは限りませんので,気を落とさず,じっくり考えてみます。

そもそも,初段の非安定マルチが動いていないようで,ピンクのLEDが点灯しません。こりゃあかん~~。

でも,よく観察してみると,電源を投入するときに,たまに点灯します。なんやこりゃ。

実は,Spiceのシミュレーション回路にもあるとおり,74HC123は内部にR-Sフリップフロップがあります。ということは,何かの入力がない限り,出力は変化しません。たまにLEDが点く,ということはノイズか何かで信号が入って,このR-Sフリップフロップがセットされるようです。

ちなみに,この状態でオシロを見てみても,OS1はDCのままで,変化しません。やはり初段の非安定マルチは動作していないようです。

ということで再び東芝の74HC123の規格表を見て考えます。

東芝TC74HC123タイミング図.jpg東芝TC74HC123規格表から

ようやく,原因がわかりました[晴れ]

▲の信号タイミング図をハッタとにらみつけていたら気がつきました。

B入力がlowとなって,highになる立ち上がりがトリガとなってQ出力が反転し,コンデンサが充電されます。

ということは,B入力が今はhighになったままで,一度もQ出力が反転しないから非安定マルチが動作しないわけです。それで,B入力を一度,一瞬でいいからlowにしてやればええんとちゃうか,と思いました。

と言う次第で,B入力にコンデンサをかましてやって,起動時はコンデンサなので電位は0になりますので,B入力をlowにすることができるはずです。

答えは備後落合じゃなかった,備後庄原でもないし.....あ,ビンゴでした[晴れ]

これで,ようやくピンクのLEDも点灯するようになり,なんとか動作するようになりました。件のコンデンサは#2. 4ピンに入っているC3 0.01μFです。これがないと動作しません。

ただ,まだここからも大変でした。

パルス幅と周波数が全然違います。想定ではパルス幅1.5μs,周波数13kHzくらいだったんですけどね.....。

大体,パルス幅は倍,周波数は半分と言ったところで,6kHzくらいになっています。これじゃ,音が聞こえてしまうし,面白くありません。

さんざん,CとRの値を変更し,それぞれ470pFと100kΩくらいでパルス幅1μs,周波数20kHzにして,デューティ2%~100%とすることができるようになりました。これ,丸1週間かかっちゃいました。やれやれ......。

PFM controller (74HC123) 基板.jpg 完成した基板

あとはオシロの写真を載せておきます。

PFM min. duty.jpg PFMモード最低デューティ

最低デューティは2.7%以下にする必要がありますが,これなら大丈夫です。

PFM mid. duty.jpg 徐々にパルスの数が増えていきます。

PFMはパルス幅一定で,数が増えてデューティが増加していきます。

PFM max. duty.jpg 最大デューティ

最後はきれいな直流にならず,このように高周波が乗っていますが,ほぼ直流といっていいと思います。

PWM min. duty.jpg PWMモード時最低デューティ

今回はPWMモード時でも最低デューティは0%とせず,少しパルスが出るようにしました。こうしておくと,つまみを完全に0にしてもパルスが少し出ているので,前照灯が明るく点くはずです。

PWM mid. duty.jpg PWMではパルスの幅が増えていきます。

PWMでは,パルス幅が広くなってデューティが増えていくので,正常な動作です。パルスの周波数は変わりません。すこし,おしりの部分が斜めになっているのは出力に取り付けたスナバ回路(100Ω+0.01μF)のせいです。これでモータのインダクタンス分による逆起電力を小さくできます。

う~ん,でも,方形波の立ち上がりのところにリンギングが出ているのが気になりますね~。アンプならアウト!ですけど.....。ゲートに入っている10Ωを大きくすれば消えるんですが,そうすると応答速度が悪くなります。

PWM max. duty.jpg PWM最大デューティ

残念ながら,最大デューティは100%となりませんでしたが,ほぼ100%と言っていいと思います。

ようやくこれでハードウェア版のPFMコントローラができました。PWMモードにも切り替えられますので,コアレスモータ搭載機を運転するときはPFM,通常のコアつきモータ搭載機を運転するときはPWMモードで運転するとよいと思います。

なお,走行中にPFM⇔PWMの切り替えをしないでください。特に,PFM→PWMの切り替えをすると,PFMの方がデューティが低いので,PWMに切り替えると急加速してお客様がケガをしますのでご注意ください。

KATO C12&PFM controller(74HC123).jpg KATOのC12と。

先日購入したKATOのC12です。起動デューティは2.7%でしたから,非常に厳しいですが,つまみを0にしたら停止していました。前照灯はさすがにこんなに低いデューティでは明るく点灯しません。でも,起動は非常にスムーズですし,やはりPFMコントローラは低速に非常に強いです。


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目覚まし時計の修理 [電子工作]

2017年9月7日の日記

Penguin目覚まし時計.jpg 後ろはちびエルサの人形[黒ハート]

ようやく夏休みが終わりました。子供らが学校へ行かないといけないので,目覚まし時計で起こそうと思っています。

ところが....。

久しぶりに目覚まし時計を鳴らしてみると蚊の鳴くような音でしか鳴りません。これじゃ,坊主はもちろん,母親だって起きてきやしません。

そうなんです,わが家じゃ子供と一緒に母親が起きてくるので(爆),目覚まし時計が鳴らない,というのは重大インシデントなんです[雨]

そういや,結婚前は朝はネギを刻む音で目が覚めて.....って夢を見ていましたけど,現実はチンで起こされましたし,そもそもそれもせいぜい1年くらいのことで,今じゃiruchanは自分で朝飯作って食べてますしね......(以下,自粛)。

ということで,目覚まし時計事故調査委員会が調査します。時計屋さんへ持っていってもいいですけど,音が鳴らないくらいなら電子工作マニアのiruchanなら何とかなると思いました。

時計はリズムの4RE539というもので,ペンギンがサッカーボールを持っているというなかなかかわいい時計で,坊主もお気に入りです。朝,このペンギンが "起きろよ~,オ~レ~っ!!" と叫んで起こしてくれるはずなんですが.....。

症状としては,蚊の鳴くような小さな音,と言う状況ですが,一応,音量調整のボリウムは効いていて,ちゃんと音量も変化します。といって,最大にしても小さな音なのが問題なんです。

さっそく後ろのふたを開けてみると,音声用のプリント基板があります。中にチップが載っていて,それに声を記録していて,それを時間が来ると再生する,と言う仕組みです。

Penguin目覚まし時計(内部).jpg 右側水平位置にあるのが音声関係の基板です。

一応,音は出ているわけですから,このチップは故障していません。ということで,このチップの外で不具合があるわけです。

疑うのはまずは入力側。

可変抵抗の故障を疑います。日本は湿度が高いので昔からボリウムは故障の原因です。

でも,一応,スムーズに音量が変わりますし,ボリウムの故障ではなさそうです。よく,ガリオームと言ってガリ,ガリいうボリウムがありますが,これは摺動面が荒れて摺動子との接触が悪くなる故障で,これも完全に摺動子が摺動面から離れてしまうと音が出なくなりますが,音量が小さくなる,と言う故障はあまりありません。音が出なくなる,と言うのがボリウムの故障ですね。

となると,やはり悪いのは出口側か,という気がします。

疑うのはチップとスピーカの間に入っているはずのコンデンサ。これは,直流をカットするためのもので,ストッピングコンデンサとか言ったりします。電池式のアンプなどには必ず入っています。これが容量抜けすると音が小さくなります。

よく,昔のトランジスタラジオを修理しますけど,音が小さい,と言う故障はほとんど,これらのカップリングコンデンサの容量抜けです。

今回もそう考えて,1個,電解コンデンサが入っていましたので,それを取り替えましたが,現象は変わりません.....orz。

おっかしーな~,と考えて悩んじゃいました。

でも,それから1週間放置してしまったのですが,ひょっとしてスピーカーか,と気がつきました。

さっそく,スピーカー端子にオシロをつないで,要はチップの出力電圧をモニターしてみます。

1VP-Pくらいの信号が来ていました。スピーカーは8Ωでしたから,出力としては15mWくらいは出ていることになります。これならかなり大きな信号で,普通は小さなスピーカーがガンガン鳴る電圧です。

ようやく原因がわかりました。このスピーカーが劣化していたのですね!!

スピーカーは大体,コイルが焼き切れるか,コイルと振動板をつないでいる編み電線が劣化して切れてしまったりして故障するのがほとんどで,こういう場合はウンともスンとも言わなくなりますから,音が小さいけれど鳴っている,と言う故障は初めてです。

試しに手持ちのスピーカーをつないでみるとガンガン鳴ります。やたー[晴れ]

さっそく,サイズを測って秋月電子で買いました。サイズはφ56mmのものでした。値段はたったの100円でした。

Penguin目覚まし時計・SP.jpg スピーカーを交換しました。

これでようやく修理できました。結構かわいくてお気に入りの目覚まし時計が直って坊主も大喜びでした。

よーし,これで明日から嫁はんをたたき起こしてやるぞ~~~!!!!

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