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オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その2・アンプ編~ [オーディオ]

2017年10月7日の日記

先週に引き続いて,今回はオールWE真空管式プリアンプのアンプ部についてです。

オリジナルは真空管はWEの5極管403Aと双3極の396Aの組み合わせになっています。WEではMTの双3極管といえば396A420Aくらいだし,420Aは直流増幅器用ということなので,オーディオ用には396Aが使いやすいので人気がありますね。

WE 408A.jpg  WE 407A.jpg

     WE 408A            WE 407A

iruchanはWEの真空管はとても高いので,こんなので作っていたらかなりお金もかかっちゃうので,ヒータ電圧違いの408A407Aの組み合わせにしました。

ちなみに,右の407Aは前回の最後で書いていた,ベルマークと呼ばれるWestern Electricの新ロゴで,1966年から使用されています。ということで,右の407Aは1966年以降の製造です。やっぱ,どうしても雷ロゴと言われる,Western Electricの旧ロゴの方が音がよさそうな感じがしますけどね。.......(^^;)。

408Aは原型管が6AK5で,これは本来はシャープカットオフの高周波用の球なのでオーディオには使わないので今でも安く,どこかの6AK5を使うととても安く作れると思います。それこそ,6AK5なら,世界中のありとあらゆる真空管メーカが作っていますからね。

ちなみに中国製の6J1pという真空管は6AK5同等管のようです。これで作れば非常に安価にできると思いますけど.....。

また,396Aも他社製があり,iruchanもSYLVANIAやTung-Sol,Raytheonのも持っています。確か,RCAもあったはずです。ほかに,2C51が同等ですが,こちらは世界中にたくさんあります。日本だとNECがWE同等管を作っていて,Hi gm404Aの同等で6R-R8417A同等の6R-H2なんかが有名ですが,396Aに対応する同等管はないようです。比較的,Ef=19Vの19R-LL1がピン配置も同じで407Aに近いようですが,サイズが異なります。いずれも音を比べてみたいと思っていますがヒータ電圧違いなのでちょっと面倒です。

iruchanは,まだ396Aを持っていなかった頃,どんどん値が高くなっていくので,安いうちに,と思ってMJに広告を出していた,当時は首都圏にあった(どうも今はもっと北の方に引っ越したらしい)某店に注文したことがあります。

ところが,来てみるとゲッターが薄く,頭がスケスケになった球でした。新品未使用と言うことでしたけど,明らかな中古品でした。

今だったら,

この,ハゲ~~~~!!! 新品とち~が~うだろ~~っ!!!

って言ってブン投げちゃうんでしょうけど.....。

怒ったiruchanは返品して返金してもらいました。確か,1本,3,500円で,まだ安かった頃の話です。15年前はこんなくらいの値段でしたけど,今だと1万円近い値になっていると思います。

と言うことで,396Aを見るといつもこのことを思い出しちゃいますので,と言うわけでもないですけど,今回は407Aを使いました.....(^^;)。


前回,放送と通信で棲み分けがあり,真空管もお互いに互換性のない球を使っていて,製造会社も日ソ中立条約みたいに相互不可侵の協定がある,と書きましたが,実は需要の都合からか,たまに共通の球があります。

403Aの場合,最初に開発された傍熱MT管だったと思いますが,戦時中にWEがUHF帯で使用できる真空管と言うことで開発したドアノブ管の717Aの電極をMTのガラスチューブに納めたもので,レーダーなど,軍用に大量に使用されたようです。

UHF帯など,高周波になってくると電極間容量や電子が走行する時間が問題になり,どちらも最小にしないとうまく動作しません。

717AはGT管なのに非常に小型の電極を作った上,電極の引き出しにも工夫があり,この写真のように電極を水平に設置して,細い銅線? でガラスの外に出しています。そこからGTのベースに配線されているのですが,こうしておくとMT管のボタンステムみたいにリード線が円形に離れて設置されるので,電極間の容量が小さくできます。

2A3とか300BなどのST管でおなじみの,従来のツマミステムとかバンタムステムと呼ばれる引き出し方法だと各電極のリード線が一直線に平行して並ぶところができちゃうので,電極間容量が減りません。

そこで,ボタンステムが開発されるのですが,ベース部分が不要になるためオールガラス管ができます。GT管は製造年代により,バンタムステムのものとボタンステムの両方が存在する球があり,こういうのは身長が全然違うのですぐわかります。バンタムステムの方はツマミの部分だけ長くなります。もっとも,ボタンステムにしてしまうとベース部分は不要となり,GT管だとキーの機能だけあればよいので,いわゆるハカマなしの不細工な? GT管が存在するわけです。MT管だとキーは不要ですし,オールガラスのメリットを活かせます。こうして誕生したのがMT管ですね。

一方,717Aもそうでしたけど,403Aは軍の莫大な需要があったようで,大量に生産され,おそらくWEだけでは需要がまかなえなかったのだと思いますが,民間他社も大量に製造しました。たぶん,最初の高周波用MT管として,他社から作ってみたいという話があったのでしょうし,WEも特許料が入るので積極的に外販したのでしょう。396Aもおそらく同様ですね。403AのRETMA型番は6AK5です。後の6AU6などと同じ7ピンMT管ですが,ひと回り小さく,内部の電極も非常に凝った作りで,さすがはWEという球ですが,高周波用だし,7ピンMTというのが災いし,オーディオ用としては普通は使われません。

ちなみに717A403Aと同特性なので,今回のDCプリアンプにも使えるはずで,実際,金田氏は2007年10月号でこの球を使ったDCプリアンプを発表しておられます。

iruchanも717Aは同等の713A6G-A4シングルアンプでテストして,音がよいのを確認していますが,でも,だからといって金田氏のようにプリアンプでは使う気がしません。

GT管などの大型管をプリアンプでは使っちゃいけない,というのは真空管マニアの間では常識なんですよね~。これを無視しちゃうとひどい目に遭います。

というのは,実際にやってみるとわかるのですが,マイクロフォニックノイズ(いわゆるハウリングですね)がものすごく,サブシャシーに取り付けて防振しないとそれこそボリウムに手を触れただけでスピーカーからボヮ~~~んと音がしちゃうくらいだし,下手すると周囲の人の声までスピーカーから聞こえちゃったりします。

やはりプリアンプはこのようなノイズ対策がしてあるMT管でないとまずいと思います。

さて,と言うことで今日はLTspiceでシミュレーションをしてみたいと思います。

特にそんなこと必要ないんですけど,ちょっと興味がありますので....。

そのためにはまずは真空管のSpiceモデルを入手しないといけません。

幸い,今年のトラ技5月号の付録DVDにAyumi氏が作った国内外の多数の真空管モデルが収録されています。iruchanもお世話になっています。

ただ,残念なことに前回の412A整流管もそうでしたけど,403Aのモデルはありません。396Aはあるんですけどね.....。

と言うことで本当だったら412Aのように,規格表から作らないといけないのですが,2極管は特性曲線が1本だけなので簡単ですが,3極管や5極管は楽じゃありません。

そんなわけで,ネットを探します......手抜き~!

ICの74HC123TL494のモデルもネットに出ていたのでありがたく使わせてもらって鉄道模型のコントローラを作ったりしていますので,403Aも探してみます。

と,さすがに403Aと言うことでは見つかりませんでしたが,6AK5のモデルはカナダのMcLean氏が作ったものがありました。

さっそく,このモデルを使わせていただきます。

シンボルファイルはLTspiceでpentodeと言うのがありますので,これを使います。サブサーキットで,上記のモデルファイルを指定すれば使えます。pin tableなどはサブサーキットの登録順にあわせて並び替えておきます。

ただ,正直言ってあまりいいモデルじゃなさそうです。そもそもサプレッサグリッド(G3)がなく,Spice上は必要ないのでシンボルファイルでG3を削除しておけばよかっただけなんですけど......。

やはり特性曲線を描いてみると様子が変です。

6AK5特性曲線.jpg 6AK5モデルを使います。

6AK5特性曲線1.jpg おゃ,おゃ~~?????

なにか,そもそもEb=0V付近で,プレート電流がマイナスになっちゃっていますし,5極管は飽和特性になるので,ニーポイント(肩特性)から曲線が水平になるのですが,といって,こんな風にそこから先,プレート電流が下がったりはしません。これじゃ,負性特性を示すので,物理的におかしいです。

まあ,スクリーングリッドを持つ4極管以上の多極管ではEsg>Epの領域でこのような特性を示し,ダイナトロン現象といいますが,スクリーングリッドの方がカソードに近いし,電圧も高いとプレートよりたくさん電流を取っちゃうための現象です。▼のSYLVANIAの6AK5のプレート特性でもEb=25V以下の領域で曲線がゆがんでいますが,その影響です。SpiceのシミュレーションはこのSYLVANIAの規格表と同じ条件(Ebb=250V,Ec2=130V)で実施しています。

0V付近の現象はG3がモデルにないからか,と言う気もしますが,まあ,こんな領域は使わないので問題は小さいとしても,負性特性はおかしいです。

408A特性曲線SYLVANIA.jpgSYLVANIAの6AK5の規格表から。

SYLVANIAの規格表のプレート特性はこんな感じで,普通はこうだろ,と言う特性です。

ただ,まあ,よく見てみるとそんなに大きくプレート電流は違わないし,なんとか使えるだろう,と言うことでシミュレーションしてみました。

WE DCプリアンプEQアンプ回路.jpgシミュレーション回路です

真空管式DCプリf特408A.jpg EQアンプのf特です。

それにしてもまずはこんなことができちゃうことに驚き!! ちゃんとイコライザアンプの周波数特性が一発で表示されちゃうのには感動します。

きれいな特性で,1kHzでのゲインも41dBを確保してあり,金田氏の設計どおりだと思います。

WE DCプリEQアンプ特性.jpgEQアンプの入出力&ひずみ率特性です。

ひずみ率もSpiceは計算してくれます。こんなことまでできちゃうんだな~と感心します。Spiceでひずみを計算する方法はこちらで解説しております。耐入力は100mVと言ったところで,MCカートリッジに対しては十分すぎるくらいです。

なお,iruchanはひずみ率特性は入力電圧に対してプロットするのが正しいと思っているので,そうしています。普通,EQアンプにしろ,フラットアンプにしろ,出力電圧に対してプロットするものですけど.....。

ただ,それじゃ,フラットアンプの場合,1Vからプロットすることになりますが,パワーアンプは感度が1Vくらいなので,パワーアンプの方がとうにサチっちゃってからの特性を議論するのはおかしいと思っています。まあ,歪率計の入力が1Vから,と言うのもありますけど.....。

特にEQアンプの場合はカートリッジの出力がサチらないことを確認するのが目的なので,入力電圧に対してプロットするのが正しいと思います。本機は耐入力100mVくらいなので,十分サチらない範囲で,OKだと思います。

気をよくして今度はフラットアンプもシミュレーションしてみます。

WE DCプリFlatアンプ回路.jpg

  Spiceによるフラットアンプのシミュレーション回路

こちらはもっと驚き。素晴らしいf特でした。

WE DCプリアンプFLATアンプspice結果.jpg

一見,高域がかなり下がっているな,と思っちゃうのですが,目盛りが非常に小さくなっていて,100kHzでも-1dBにならない,と言う結果で,非常に広帯域です。

ゲインは金田氏はボリウムの調整にNFBを変化させる,と言う設計になっていて,ゲインは不定ですが,iruchanは昔ながらの入力にボリウムを入れる方式でやるつもりですので,帰還抵抗は20kΩ固定にしちゃいました。こうするとゲインは約20dBです。その通りの結果になっていますね。

iruchanはNF抵抗を可変させて音量を変化させる,というのはどうも,という気がしますので昔ながらの入力を絞る方式にしました。これだとバランス抵抗も入っちゃうので,音の悪い可変抵抗が2つもいるのですが,こちらの方がやはり便利だと思います。

WE DCプリFLATアンプ特性AOC付.jpgフラットアンプの特性です。

最大出力は50Vを超え,非常に大出力です。ひずみも少なく,0.1%以下です。

ただ,本当言うと,実物のアンプだと出力電圧が低いところはノイズが主体となり,ひずみ率は悪化します。Spiceのシミュレーションではノイズまでシミュレーションしたわけじゃないので,こんな特性になりますが,実物だと左側の方も悪化してきます。

WE DCプリFLATアンプ特性AOC付VRなし.jpg最初のシミュレーション結果ですが.....。

ただ,最初にiruchanがシミュレーションしたらこんな結果でした。なにこれ~?

何かがおかしいのですが,こんな特性です。入力が小さいときにひずみ率が悪化するのは普通のアンプでもノイズのせいでこんな感じになるのでいいかと思ったのですが,100mV~1V付近が非常に悪いです。こんなはずはありません。

よく調べてみると,AOCがないときでもこんな結果となるので,ようやくオフセットのせい,と気がつきました。直流分を計算しちゃっているのですね。

だから,初段の407Aのカソードに入っている,定電流回路の抵抗を微妙に変化させて,出力オフセットがほぼ0Vとなるまで追い込んでからAOCを作用させると,上の方のグラフとなりました。最初,この抵抗を0Ωでシミュレーションしていました。実機が完成したら,まずはAOCを切って,オフセットを調節してから測定したいと思います。

と,言う次第で,オールWE真空管式プリアンプのiruchan版回路です。

WE真空管式プリアンプ回路AOC.jpg

                   WE真空管式プリiruchan版です

EQアンプの出力には,初期の金田式DCプリアンプにはケースマイカが使われていました。やはりカップリングコンデンサにはマイカが最高だと思います。でも,ゼウスのケースマイカなどははるか昔に製造中止で,金田氏もSEコンに代わりました。でも,SEコンは非常に高価ですよね~。1個で2万円もするようじゃ,とても買えません。

と思っていたら,いつも大変お世話になっている河童さんから長野日本無線製の0.08μFのケース入りマイカコンを譲っていただきました。70-7の製品番号がついていますが,1970年の製造でしょうか。マイカコンは非常に安定だし,ケース入りのものは通信機で使われるくらいなので信頼性も高いし,なにより真空管の時代の製品なので真空管と使用するのが前提で高温に対しても強いです。本当にありがとうございました。

A2型雲母蓄電器.jpgA2型雲母蓄電器です

  大変貴重なケースマイカです。耐圧1kVなので十分です。音もよいと思います。

イコライザ素子は普通はiruchanは銅箔スチコンかディップマイカですけど,奮発してSEコンにしました。真空管アンプに使うには熱が問題で,SEコンはあまり高温だと破裂する,と言う話なので要警戒です。整流に412Aを使っていますが,両方でヒータ電力だけで12Wも消費するので,夏は代用のシリコンに変更しようかと思っています。

抵抗類は進のRE55と,ニッコームです。金田式の定番ですね。ただ,EQアンプのAOCに使われている6.8MΩはもとからありません。困ったな~と思っていたのですが,ようやく1個だけ,進の6.8MΩが手に入りました。非常に大きいのにびっくり!

さすがにもう1個はないので,普通の金属皮膜抵抗です。

あとは部品で苦労することはないのですが,意外にないのがプリント基板用のソケット。いつもだと中央無線QQQのモールドソケットを使いますが,同社の基板用は製造中止のようです。ソケットは同社製が一番だと思っていたので残念です。

しかたないので,7ピンは手持ちのQQQを使いましたが,9ピンは中国製のもの。金メッキされていて見かけはいいのですが,粗悪なタイト製はソケットが堅く,無理に真空管を差し込むと割れますのでご注意ください。#0のマイナスドライバで少し,ピン内部のコンタクト部品を広げておくとよいと思います。

EQ,FLATアンプ基板.jpg 完成した基板

    フラットアンプ       EQアンプ

まだ少し部品がついていませんが,回路をチェックして通電します。

☆ヒータ回路について

今回,ヒータ電圧が20Vの408A407Aを起用したのは,もちろん,値段のこともありますけど,もう一つ,ヒータ~カソード間耐圧の問題もあるからです。

今回,金田氏の原設計では403A396Aの組み合わせで,どちらもヒータ電圧が6.3Vなので,5Aの3端子レギュレータLM338を使っています。また,普通のアンプ同様,ヒータの片側をシャシーに接地してあるようです。

普通だったら,何の問題もないと思うのですけど.....。

DCアンプやOTLアンプのような,±電源を使用する回路の場合,ヒータとカソードの間の絶縁耐圧Eh-kをチェックしておく必要があります。

もちろん,従来のアンプでも,特にプッシュプルパワーアンプの2段目のドライバの真空管の耐圧は必ずチェックしておかないといけません。これは真空管マニアだと常識です。というのも,普通のPPアンプは初段と2段目の位相反転段を直結にすることが多く,ドライバ段のカソード電位が100Vを超えることが多いので,必ずチェックします。

先日,iruchanが調整した,LUXKITのA3600アンプもそうで,初段が6AQ8のシングルアンプですが,2段目はオリジナルは6240Gのカソード結合(ムラード)型位相反転回路になっていて,初段の6AQ8のプレートと6240Gのグリッドが直結されています。

iruchanはドライバの6240Gの手持ちが1本しかなかったため,6FQ7で代用しましたが,このとき,ちゃんと6FQ7のEh-kもちゃんと調べています。6240Gは±200Vですが,6FQ7も同じ電圧だったし,A3600ではカソード電位は85Vなので問題ありませんでした。

今回,金田氏のWE真空管プリでは,フラットアンプの2段目,下側のV6 396Aの耐圧が危ないのです。

驚いたことに,396AのEh-kは低く,90Vしかありません。一方,WEの407Aだと130Vあり,余裕ができます。もっとも,Tung-SolやSYLVANIAの規格表には100Vと書いてあり,メーカによっても差があるようです。

Eh-kは普通は12AU7A6FQ7などのように200Vくらいはあるのですが,EF86 DCプリアンプのフラットアンプで使用される12AT7も90Vですのでご注意ください。

本機はカソード電位が-90Vくらいとなり,ちょっと396Aの場合はギリギリです。もっとも,整流に412Aを使っている場合はウォームアップに1分くらいかかるので,-90Vを超えることはないと思いますが,整流にDiを使った場合は,396Aがウォームアップするまで,-140V位かかることになって危ないです。実際,金田氏も後のアンプで396Aを壊してしまったようです。

iruchanはヒータ電圧を-40Vで点火することにし,▼のように配線することにしました。

WE真空管式プリアンプヒータ配線.jpgヒータ配線です。

問題になる,V6のヒータ~カソード間電圧は最大でも70Vくらいに抑えることができます。シリコンDiを使った場合でも90Vくらいで済みますので,安全です。

もし,396Aをお使いでしたら,ヒータ回路は直接接地せず,-50Vくらいのバイアスをかけて使うとよいと思います。-B電源から分圧し,ヒータ用のトランスの巻線の片方につなぎます。この場合,ヒータはもちろん,直流的にシャシーから浮いちゃってノイズをひろいやすくなりますが,コンデンサで交流的に接地しておけばOKです。

なお,EQアンプの408AのEh-kは120V(ただし,WEの規格表には寿命を考慮して90Vを超えないこと,と言う注意書きがあります)ですし,カソード電位も数Vくらいなので大丈夫です。


☆ Western Electric 403A, 408AのLTspice用モデルについて

2017年10月15日追記

どうにも今回使用した6AK5のLTspice用モデルの特性が変なので,なんとか改良したいと思いました。また,以前から思っているのですが,モデル化されてない真空管も多いので,なんとか自分でSpice用の真空管モデルを作ってみたいと思いました。

ということでこのところ真空管のSpiceモデルについていろいろ勉強しているのですが,とりあえず,今まで発表されているモデルのうち,やはりAyumi氏のモデルが,最新のものだし,何より日本語なので採用することにしました....(^^;)。

海外だと,米国のNorman Koren氏のモデルが有名で,今回,最初にシミュレーションしたMcLean氏の6AK5のモデルもKoren氏のモデルを用いていると思います。でも,▲で示したように,どうもプレートの特性曲線が変だし,もっといいモデルにしたいと思います。

とはいえ,Ayumi氏のモデルを使うには,Rと言うソフトを使わないといけません。

それなに? って感じのソフトなんですけど......。Koren氏はMATLABを使っています。これならiruchanも使えるんですけどね~。

Rは米国のベル研が開発した統計用言語のSを改良したもので,フリーです。ベクトルや行列を効率的に使えるようになっていて,実際,Ayumi氏のモデル作成ソフトも関数に引数としてベクトルを渡せるので,1回の関数呼び出して一括して複数の点を計算できたり,非常に便利なソフトのようです。

でも,iruchanは一度,インストールして取り組んでみたのですが.....。

残念ながら一瞬で断念しました.....orz。

一応,WindowsライクなGUIがついていて,グラフも表示できるのですが,基本的にMS-DOSソフトのような,コマンドベースのソフトですし,言語も独特で,C言語みたいな感じなんですけど,これは理解するのが大変です。そもそも,変数への代入がa=bとかじゃなくて,a<-bという表記も非常に気になります。おそらく,開発者はa=a+1のような数学的におかしな表現になるFORTRANとか,BASICなどの表記が気に入らなかったのだと思いますが。でも,a<-bだと,a=-b と間違いやすくてあきまへん。

ということで.....。

またもっと改良してしっかりしたモデルが作れるようになったら詳しく書きたいと思いますが,iruchanはExcelのVBAマクロを使ってExcelでやれるようにしちゃいました!!

LTSpice真空管モデル作成Excel408A.jpg 真空管モデル作成用Excel

Ayumi氏のモデル作成のためのソースコードが公表されていますので,Excelに移植しました。残念ながら,オリジナルのAyumi氏のソフトはパラメータの最適化を自動的に行ってくれますが,iruchanのExcel版は完全手動で,パラメータはユーザが決めます。だから何回もパラメータを変更して規格表に近いグラフになるようにやらないといけないんですけど,なんとか,こんな風にWEの408Aのモデルが作れました。━━ がこのマクロによるシミュレーション結果で,■ が規格表のデータです。Eg1=0Vのところが若干,規格表の値より大きめですが,それ以外はほぼ,規格表どおりだと思います。

ということで,世界初公開!! かな? WEの408A用LTspice用モデルです。Here is the LTSpice model for Western Electric 403A & 408A RF pentode.


これをメモ帳にコピーし,408A.libと名前をつけてLTspiceがインストールされている\lib\subホルダにコピーしてください。また,シンボルはLTspice付属のpentodeシンボルを使います。ただ,Ayumi氏の5極管モデルはg3がないので,LTspiceのpentodeシンボルおよびPin Tableからg3を削除し,また,ModelFileにはサブサーキットとして上記のモデルファイルを指定してください。

408A特性曲線1.jpg

   特性曲線です。グリッド電圧は-0.5vピッチで描画してあります。

先ほどの6AK5同様,LTspiceでプレート特性曲線を描いてみました。非常にきれいな曲線だと思います。ニーポイント以後,IPが下がる,と言う傾向はありません。

ということで,いよいよ金田式オールWE真空管式プリアンプのEQアンプの特性をこのモデルで再計算してみたいと思います。

ところが.....。

予想どおりエラー頻発。なかなか計算してくれません。f特を出そうかとAC解析を実施してみると,

   Damped Pseudo-Transient Analysis. 2.05523times.....

というメッセージが出て,いつまで経っても結果が出ません。

これ,どうも調べてみると計算しても答えが収束しない,ということらしく,結局,どれだけ待っても終了しないようです。DC過渡応答解析を実行してみても同じ現象です。

やはりモデルがまずいのかと調べてみてもおかしくありません。念のため,簡単なシングル増幅器の回路を作って計算したらちゃんと一発で周波数特性が出ますので,どうも真空管モデルのせいではないようです。

Spiceで計算が非常に遅い,と言う場合は結構多くて,よくあるのが,ノードが浮いていると言う場合で,あちこち10MΩくらいの抵抗を接続して接地して計算してもダメです。

また,特にMOS-FETを使った回路のシミュレーションの時は非常に悩まされるので,これも注意ポイントです。

結局,定電流回路が怪しいと思い,すべて定電流回路を取っ払って,2段目の408Aにカソードに10kΩを入れてGNDに直接,接続したらちゃんとf特が表示されました。

やはり,どうも定電流回路がおかしいようです。疑うのは2SK170の発振です。おそらく,だからいつまで経ってもLTspiceが計算が終わらないのですね。実際,実機でもこの2SK170が発振した,と言う報告があるようです。2SK170はJ-FETですが,Spiceでのシミュレーションでも実際の回路でも,やはりFETは要注意です。

MOS-FETは寄生発振防止のため,よく,ゲートに100Ωくらいの抵抗を入れますが,今回も▼のように2SK170のゲートに100Ωを入れたら止まりました。R13がそれです。

WE DCプリEQアンプ回路408A.jpg408A用シミュレーション回路

これでようやくシミュレーションができるようになりました。

結果は次の通りです。

WE DCプリEQアンプ特性(408A).jpg408Aの新モデルでの計算結果

う~~ん,なんのことはない,先ほどの6AK5のモデルでの計算結果とほとんど同じでした。1週間もかかったのに.....。

と言う次第で,ほとんど徒労に終わっちゃいましたが,真空管のモデルをExcelで作れる,と言うことはわかったので,これからいろんな真空管をモデル化したいと思います。



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