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コアレスモータ対応鉄道模型用コントローラの開発~その14・ハードウェアPFM方式の改良~ [模型]

2017年9月9日の日記

前回,第13回で今回のコアレスモータ対応コントローラの成績を発表し,まとめたつもりですが,ひとつ宿題が残っていました。

第9回で,PFM式コントローラを開発していますが,これはタイマIC555を用いたハードウェア方式です。その後,PICマイコンを用いたソフトウェア方式を開発したので,iruchanはこちらを使っています。

ソフトウェアを使うので,かなり高度な制御ができ,PIC版はデューティを10%まではPFM,それ以上はPWMとして,起動時の低いデューティ時の変化を緩やかにしてスムーズな起動とスロー走行を実現しています。

と言う次第で,PFM式コントローラはソフトウェア方式をおすすめしたいのですが,やはりPICは難しいので,ハードウェア方式の改良のご希望がありました。

確かに,PICはソフトをおぼえないといけないし,また,書き込みのためのライターの準備や,そのライターを動かすためのソフトもマスターしないといけないので結構ハードルが高いです。その分,回路は簡単になるという特長はありますが,iruchanもなかなかPICに取り組めなかったし,やはりPICは難しいと思います。

と言う次第で,再びハードウェア方式のPFMコントローラを改良したいと思います。

いくつか宿題が残っています。

まずはソフトウェア方式のものはさっきも書きましたように,PFM&PWMのミックスモードがあり,デューティ10%まではPFM,それ以降はPWMになるモードと,0~100%までフルにPFMの2つのモードがありますが,ハードウェア方式のPFMコントローラはPFMモードオンリーです。

この場合,コアレスモータ機には都合がよく,コアレスモータ機でも非常にスムーズに起動しますし,スロー運転も可能なのですが,従来のコアつきモータ搭載機の場合は起動時のつまみの位置が非常に高い位置となります。実際,コアレスモータだと時計で言えば,10時くらいの位置で起動するのに,コアつきモータ機だと2時くらいの位置になってしまいます。

これは当然と言えば当然の結果で,第4回でも書きましたとおり,コアレスモータ機は起動デューティが4%くらいなのに対し,コアつきモータ機は調子のいいものでも15%くらいですが,普通は30~50%と言ったところです。これじゃ,起動時のつまみの位置が大きく異なっちゃいます。

これをなんとかしたい,と思ってPIC版はPFM&PWMモードのミックスモードが設けてあって,コアレス機でもコアつきモータ機でもそれほどずれはありません。

しかし,このミックスモードをハードウェアで実現しようと考えると大変です。簡単な回路ではとてもできそうにありません。

と言うことで,今回はフルPFMモードと,フルPWMモードの2つのモードが同時にできるコントローラを作りたいと思いました。

つまり,コアレス機はPFMモードコアつきモータ機はPWMモードで使用するよう,スイッチで切り替えられるようにしたいと思います。

これなら何とかなるのではないかとiruchanは考えました。

この回路については,またあとで解説します。

もう一つ,改良したいのは回路をもっと簡単にしたい,ということです。できれば,ICを1石にしたいと思います。

ちなみに,ハードウェアPFMは次のように実現しています。

可変周波数の発振器と,それをトリガとして一定幅のパルスを発生する回路を組み合わせています。

まあ,さすがに可変周波数発振器と言っても,今どきアナログ回路でやることはほとんどないですし,そもそもパルスが出力されればよいので,デジタル回路的にやればよいので,電子工学ではマルチバイブレータで発振させます。

前者は非安定マルチバイブレータ,後者は単安定マルチバイブレータという名称の回路を使えば,実現できます。

ということで,タイマIC555を2個使って実現したのが前回の報告です。

タイマICの555は非常に便利なICで,開発されたのは70年代だと思いますが,今でも大量に生産されています。本当に長寿のICだと思います。

ただ,どうしてもこれじゃICが2個になっちゃいますね。

で,最初に戻って,昔,iruchanがPWM式コントローラを作った頃の回路は555で一定周波数の三角波を発振して,コンパレータで三角波をスライスする感じで可変幅の方形波を作っていました。

もし,コンパレータのレベルを固定し,逆に555を可変周波数の発振器とすればPFMができるな,と考えたのですが.....。

これだと昔から作りなれているし,基板のパターンも変わらないのでいいか,と思ったのですが....。

これはダメなのです。一応,PFMに近い感じではあるのですが,正常なPFMじゃありません。

周波数は変わるのですが,一緒にデューティ,つまりパルス幅も変わっちゃうのです。たとえば,周波数を高くしていくと,パルス幅もどんどん小さくなっていき,永遠にデューティ100%にならなかったりするんです。だから,もし,この方式でPFMをやろうとすると,やはりコンパレータのスライスレベルも変化しないといけないのです。

そのほか,入力の直流電圧に比例した周波数の方形波を発生させる,V-FコンバータというICが世の中にはたくさんあるので,これも調べたのですがダメ。

これも一応,出力のデューティを可変できないとダメなのですが,こういう機能を持ったV-FコンバータのICがほとんどないんですね。わずかにそのような機能があるICもあるのですが,やはり周波数と一緒にデューティも変化しちゃいます。

PFMコントローラの場合,周波数とデューティは独立していて,別々に設定できるものじゃないといけませんが,世の中,そういうICはないようです。

もちろん,最近はスイッチングレギュレータのICがたくさん登場し,普通はPWM制御なのですが,低消費電力の時にPFMで動作するICが増えてきています。こちらの方が低消費電力で,ケータイなどの充電回路には適しているようです。

ところが,こういうICはPFM⇔PWMのモードは出力電流で決まるようになっていて,外部から制御できるようにはなっていませんので使えません。

う~ん,やはりうまくいきませんね~。

と言う次第でさんざんいろいろ考えたあげく,やっぱりもとの555に戻っちゃいました。やっぱ,それだけ555は優秀なICと言うことですね。

で,いろいろいくつか図面も引いて考えてみたのですが,PFMだけならいいんですけど,PFMとPWMの両方のモードで動作するコントローラと言うことだと555では問題が出てきます。

555は大変優秀なICですが,これもひとつ問題があり,周波数とデューティを独立して設定できません。

それで,従来のPFMコントローラは別々に2個のICを使っていてこの問題をクリアしたのですが,今回,PWMモードをつけようとすると,問題が出てきます。

2段目の単安定マルチバイブレータをPFMで使う場合は,たとえば,パルス幅1μsの一定パルスを出力できるように,CとRを決めればよいのですが,PWMで使う場合は,0%~100%のデューティでパルスを出力できないといけないのですが,仮にスイッチング周波数20kHzで動作させた場合,0~50μsの幅のパルスを出力させないといけません。でも,これが555はできません。

なお,素子の特性により最低パルス幅には限界があり,0.5μsくらいが限界です。ですから,PWM式の場合,完全にデューティを0%にすることはできません。なんとか,最低,1~2%くらいにできれば合格と考えています。

もっとも,PFM方式はそもそもデューティ0%というのはできないのですけど。ただ,PFMだと無限に0%に近づけることはできるので,これを逆手にとって最低デューティを1~2%くらいに設定し,つまみを0にしてもパルスが出るようにしてあり,停車中に前照灯が点灯するようにしています。

ということで,2段目の単安定マルチには555は使えません。初段の非安定マルチは20kHzのスイッチングをさせればよいだけなのでこちらは楽勝なんですけど.....。

う~ん,やっぱあかんな~[雨]

と思ったのですが,いいことを思いつきました。

専用の単安定マルチのICを使えばよいのです[晴れ]

こうすれば,約1μs~50μsのパルス幅を作ることは容易でしょう。ICはTTLなら74LS123が昔から定番ですね。トリガ信号の幅はでたらめだけど,一定の幅のパルスを作りたい,というときによく使うICです。iruchanも昔からよく使っています。まあ,今回は12Vの電源を使うので,C-MOS版の74HC123を使えば,直接12Vで動作できて便利だと思いましたが間違いで,通常,C-MOSのロジックICは電源電圧が15~20Vくらいまで使用可能ですが,74HC1237Vまでですのでご注意ください。と言う次第で結局,74LS123用に5Vのレギュレータを使っていただければ74HC123と共用できます。

と言う次第で,初段の非安定マルチにLMC555を使い,2段目の単安定マルチに74HC123を使うことにしたいと思いました。

つまり,目標としては,

     LMC555      74HC123

PFM   15kHz~600kHz        1μs固定

PWM  20kHz固定          1.5μs~50μs

と言う具合に動作させることにします。

と思って,図面を引いたのですが,ちょっと変だと思いました。

74HC123は単安定マルチバイブレータのICですが,2個組になっていて,初段に555を使う,と言うことだと1個,マルチバイブレータがあまっちゃいます。

なんかもったいないよな~。

せっかく,マルチバイブレータが2つあるのなら,1個目を非安定マルチ,2個目を単安定マルチで使えたらええのにな,と思っちゃいました。555だって,2個組みの556というICもありますからね。これなんて豚まんかよ,と思っちゃいますけど。それは551だってば。

でも74HC123テキサスの規格表を見てもdual monostable multivibratorとあるように,単安定マルチバイブレータ専用のICです。非安定動作については書いていません。

でも,555は両方できますし,74LS123だってたぶんできるはずだよな~,と思って調べたら同じテキサスの別の資料に,74LS123の低消費電力発振器の回路が載っていました。やた~[晴れ][晴れ]

ということでありがたくこの回路をパクらせてもらって図面を描きました。どうもテキサスさん,ありがとうございます。

う~ん,余談ですけど,こういうところ,やはり海外メーカは親切なんですよね~。日本のメーカの規格表を見てもあまりこういう裏ワザ的なことは書いていません。いらんことすんな,ウチは責任取らへんで,と言うことなんでしょうけどね.....。

そればかりじゃなく,そもそも規格表はどこだ,と探してもなかなかホームページの中で見つからないところも多いですよね。下手すりゃ,登録しないとダウンロードできなかったり,製造中止になるとすぐにダウンロードできなくなりますし。もちろん,自社の半導体のSpiceモデルを公開しているところもほとんどありません。世の中,グローバル化が進んで,とにかくサービスをよくしないと使ってもらえない,と言う時代なのに,日本の半導体メーカはこれで大丈夫か?と思います。

74ls123 astable mutivibrator.jpg

     Texas Instruments "Designing with the SN54/74LS123" より

なお,▲の回路は74LS123の2つのバイブレータを2つとも使っていますが,今回,単に発振すればよいので,1個目のみ使うことにします。


さてと,昔だったらここまで来たらあとはプリント基板を起こして.....,と言うところなんですけど,やはりSpiceで検証してからにしたいと思います。というのはあとで書きますけど,PFMの設計は非常に面倒なのです。Spiceで事前にテストしておく方が無難です。

Spiceでうまく動作するようなら,実際に回路を作ってもうまく動くと思いますし,失敗するリスクが減りますからね。逆に,Spiceでうまく動かないのに,実際に回路を作ったら動いた,ということは絶対にありませんので。

ところが.....。

なんたることか,Spiceには標準ロジックICのモデルがありません......orz。

iruchanが使っているフリーのLTspiceはもちろんのこと,テキサスもロジックICのSpiceモデルは提供していません。

まあ,ロジックICなんだから,LTspiceでもNOTやAND,R-Sフリップフロップなどの基本的なモデルはついているので,74LS123などはこれらのモデルを使って組み立てればいいと思いましたが,やはりちゃんと74LS123のモデルがあればきちんとシミュレーションできますね。

ということで,まずはネットで捜索します。以前,KATOのKC-1を自作したときに同じテキサスのTL494Cのモデルが必要だったので探したところ,なんとかあったのでシミュレーションができました。今回もまずはネットで探してみます。

と,やっぱりありました[晴れ]

米国のYahoo! GroupにLTspiceのグループがあり,そこのメンバーが74HCシリーズの標準ロジックICのLTspiceモデルを載せていました。

ltspice yahoo group.jpg

ただ,残念ながらこのグループのメンバーにならないとブツはゲットできません。***@yahoo.comのアドレスでなくても,自分のメールアドレスでも登録できますので,メンバーになってください。

無事にメンバー登録ができると,モデルを探すことができます。Filesのタブで74HC.ZIPというファイルと,74HC.libというファイルを探してください。前者が74HCシリーズのロジックICのシンボルファイルで,後者がそのライブラリです。この2つがあればLTspiceでシミュレーションできます。

74HC.jpg 74hc.zipの場所です。

74HC.LIBも同じように探してください。

74HC folder.jpg これをここに放り込みます。

2つのモデルファイルをゲットできたら,LTspiceがインストールされているホルダのLIBホルダに74HC.libを,また,さらにその下のSymホルダに74HC.zipを解凍してできたすべてのモデルファイルをコピーします。ごちゃごちゃになってしまうとわかりにくいので,74HCというような名前のホルダを作っておいてもOKです。

ここまでくると,74HCシリーズのICがシミュレーションできます。もちろん,74HC123もありました!!

74hc123 model.jpg やた~~~[晴れ]

でも......。

ここまで来たのに,実際に回路を組んで走らせてみるとエラーが出て動きません。sub-circuitがない,といって怒ってきます。

実を言うと,予想していたのであわてず,ライブラリファイルを調べてみます。これは,シンボルは表示されていますが,肝心の中の回路を記述するライブラリが読込まれていないためです。

まずはエラーが出た74HC123をクリックして,"Open Symbol" ボタンをクリックして編集します。

74HC123 attribute.jpg "Open Symbol" をクリックします。


74HC123 edit attribute.jpg 次にattributeを編集します。


74HC123 model file.jpg Model Fileを追加します。

案の定,このModelFileという欄が空欄でした。これではライブラリを読み込みません。さきほどの¥libホルダにあるなら,単にファイル名("74HC.lib")を入力するだけです。どこか,別のホルダに入れちゃった場合はそのホルダをパスを入れて記述すればOKです。

ついでに,SpiceLineのところで,デフォルトがVcc=5となっていましたが,今回12Vで動作させるので,Vcc=12と書き直しておきます。こうすると12Vのパルスが出力できます。

こうすると無事に74HC123が使えます。

と言う次第で,LTspiceで回路を入力し,実際にシミュレーションしてみます。

74HC123は単安定マルチ専用のICでしたが,ちゃんと非安定マルチの動作もできることが確認できました。

なお,PFM式は非常に設計が面倒で,まずは一定幅のパルスをいくつにするかを決めないといけません。次に,最初のスイッチング周波数を決めます。ここから,PFMですのでどんどんパルスの数が増えて,すなわち周波数が上がっていってデューティが高くなっていくのですが,最終的にパルスの間隔が0になってデューティ100%となるように設計しないといけません。

これ,やってみるとわかるのですが,非常にめんどくさいんです。

と言う次第で,まずはスイッチング周波数20kHz,最低デューティ1%ということで,パルス幅0.5μsを目標としてやってみますが,さすがにこれは厳しく,せいぜい1μsをなんとか下回れるくらいかと思います。まあ,最近買った,KATOのC12の起動デューティが2.7%でしたから,これ以下だったらOKです。

まず,決まるのが2段目の単安定マルチの定数。C=1500pF,R=10kΩで1μsとなったのですが....。

今度は初段の非安定マルチの定数がうまくいきません。どうしてもデューティ100%にならないとか,最低デューティが1%にならないとかの問題が出てきます。

それになにより,2つのマルチバイブレータの定数をうまい具合に決められても,今度は出力段の速度が問題になり,パルス幅が太くなってしまって,最低デューティが大きくなったりしてしまいます。最低デューティは2%台にしておく必要がありますが,なかなかこのようにできません。

これでうまくいかなかったらまた最初に戻って,最初のスイッチング周波数を変えてみたり,パルス幅を変えてみたりして,と言う具合に何回も試行錯誤が必要です。

結局,最初のスイッチング周波数13kHz,パルス幅1μsでいくと,デューティ1.5%~100%と可変できることがわかりました。これでも出力段の速度でパルス幅が1.5μsくらいになることが予想されます。Spiceでのシミュレーションもそんなくらいでした。でも,実際にはそんなにうまくいかず,大変苦労することになるのですが,このときはわかっていませんでした.....。

PFM, PWM controller(74HC123) simulation.jpg うまく動きました!

PFM, PWM controller(74HC123) simulation1.jpg 各部の電圧・電流です。

やはり,74HC123の出力信号は非常にシャープで狭い幅のパルスが出力されますが,実際に出力されるパルスは太くなってしまいます。PPドライバを挿入してあるので,かなり狭くなっていますが....。

あとはもう,ともかく実際に作ってみて確かめるしかありません。これでもまだうまくいかなくて,設計のやり直しもあり得るんですけどね。

いつものようにプリント基板を作ります。iruchanは万能基板は失敗のもとと考えているので使いません。それに,見た目も汚いですしね.....。あまり汚いとやる気がなくなっちゃいますので。やはり,何事もそうだと思いますけど,うまく行くものは見た目もきれい,と思っています。それに,よくアンプなんかで万能基板を使って作る人がいますけど,本当に器用だな~と思いますが,iruchanはやりません。アンプだと失敗すると被害甚大ですからね.....。少しでも失敗のリスクを低くしておいた方がよいと思います。

一応,テスト版の回路図は▼の通りです。これでプリント基板を作りました。

PFM&PWMコントローラ(74HC423)4.jpg全回路図です(9月21日訂正)

ちょっとややこしいので,システムのブロック図みたいにわかりやすく描くと次の通りです。あわせて,▲のSpiceのシミュレーション回路もご参照ください。
PFM&PWMコントローラ(74HC423)ブロック図2.jpgシステムブロック図
▲のように74HC123に内蔵されている単安定マルチバイブレータを使ってPFM波とPWM波を作ります。可変抵抗も2個必要ですし,実際にはPFM⇔PWMと切り替えないといけないので切替SWも必要です。

なお,74HC123が入手できなかったので,同等品の74HC423を使いました。東芝の規格表を見ても,何が違うのか,まったくわかりませんでしたので,差し替え可能です。

回路は相当,工夫してあります。特に可変抵抗は本当だったら▲のブロック図のように,PFMとPWMで別々の可変抵抗になっちゃうのですが,単連の100kΩで済ませました。おまけに,ブロック図をご覧いただいたらおわかりいただけると思いますが,加減速時のボリウムの回転方向がPFMPWMなんです!!

これは,難問です。でも,ひとつ手があって,74HC123の出力にはQじゃなくて反転Qをつかえば,逆の動きをしますので,PWM時は出力を反転Qから取ればOKです。

でも,これじゃ,切替SWは3連のものが必要です。普通ならロータリーSWになっちゃいますね。そこで,ボリウム付近の回路をかなり工夫して,PFM時とPWM時で抵抗値の変化が逆になるようにしました。これ,かなり頭をひねりました。

と言う次第で,iruchan設計の回路では切替SWもロータリーSWじゃなく,トグルSWのDPDT(双極双投)のものでOKです。今回,iruchanは本機はケースに入れず,プリント基板までで済ましてしまうつもりなので,本当だったらトグルスイッチで作らないといけないのですが,基板上にスライドスイッチを設けました。これだとテストも容易です。

なお,出力段はMOS-FETで考えてありますが,バイポーラTr(NPNダーリントン)でも使えます。バイポーラの方が速度は遅いのですが,入力容量は小さいのでドライバ段は不要ですし,また,今回,パルス幅は1.5μsと広いので,過去の経験からもバイポーラの使用は可能だと思います。むしろ,バイポーラの方が回路が簡単になるのでええやん,という気がしますが,速度の問題以外にバイポーラは発熱しますので,実際に使用するときは放熱器をつけてください。iruchanもこんな風にケースに取り付けています。MOS-FETだと1Aくらいなら放熱器は不要ですが,もし,非飽和領域でドライブしていると発熱します。テスト時に発熱していないか,確認してください。

PFM&PWMコントローラ(74HC423,BJT).jpgダーリントンTrにする場合

MOS-FETの場合は入力容量が最近のものは2000pFを超えていますので,かなり大きな充放電電流が流れます。▲のシミュレーションで  で描いてあるのがその充放電電流です。充電時は30mAくらいですけど,放電時は10倍以上流れます。これでもまだ出力されるパルス幅はもとのゲートドライブ電圧より広くなっちゃいます.....orz。ドライバは少し大きめのTrが必要で,2SA1015/2SC1815では力不足で,1ランク上のものを使います。IC=2Aで手持ちの2SA10202SC2235(IC=800mA)を使いました。本当は2SA1020のコンプリは2SA2655ですけどね。

と言うことで実際にプリント基板を作ってテストしてみたのですが......。


残念なことに....まったく動きませんでした[雨][雨][雨]ちゃんとSpiceでは動いたんですけどね......。

まあ,よくあることなんですが,Spiceで動いたからと言って,実際の回路が動くとは限りませんので,気を落とさず,じっくり考えてみます。

そもそも,初段の非安定マルチが動いていないようで,ピンクのLEDが点灯しません。こりゃあかん~~。

でも,よく観察してみると,電源を投入するときに,たまに点灯します。なんやこりゃ。

実は,Spiceのシミュレーション回路にもあるとおり,74HC123は内部にR-Sフリップフロップがあります。ということは,何かの入力がない限り,出力は変化しません。たまにLEDが点く,ということはノイズか何かで信号が入って,このR-Sフリップフロップがセットされるようです。

ちなみに,この状態でオシロを見てみても,OS1はDCのままで,変化しません。やはり初段の非安定マルチは動作していないようです。

ということで再び東芝の74HC123の規格表を見て考えます。

東芝TC74HC123タイミング図.jpg東芝TC74HC123規格表から

ようやく,原因がわかりました[晴れ]

▲の信号タイミング図をハッタとにらみつけていたら気がつきました。

B入力がlowとなって,highになる立ち上がりがトリガとなってQ出力が反転し,コンデンサが充電されます。

ということは,B入力が今はhighになったままで,一度もQ出力が反転しないから非安定マルチが動作しないわけです。それで,B入力を一度,一瞬でいいからlowにしてやればええんとちゃうか,と思いました。

と言う次第で,B入力にコンデンサをかましてやって,起動時はコンデンサなので電位は0になりますので,B入力をlowにすることができるはずです。

答えは備後落合じゃなかった,備後庄原でもないし.....あ,ビンゴでした[晴れ]

これで,ようやくピンクのLEDも点灯するようになり,なんとか動作するようになりました。件のコンデンサは#2. 4ピンに入っているC3 0.01μFです。これがないと動作しません。

ただ,まだここからも大変でした。

パルス幅と周波数が全然違います。想定ではパルス幅1.5μs,周波数13kHzくらいだったんですけどね.....。

大体,パルス幅は倍,周波数は半分と言ったところで,6kHzくらいになっています。これじゃ,音が聞こえてしまうし,面白くありません。

さんざん,CとRの値を変更し,それぞれ470pFと100kΩくらいでパルス幅1μs,周波数20kHzにして,デューティ2%~100%とすることができるようになりました。これ,丸1週間かかっちゃいました。やれやれ......。

PFM controller (74HC123) 基板.jpg 完成した基板

あとはオシロの写真を載せておきます。

PFM min. duty.jpg PFMモード最低デューティ

最低デューティは2.7%以下にする必要がありますが,これなら大丈夫です。

PFM mid. duty.jpg 徐々にパルスの数が増えていきます。

PFMはパルス幅一定で,数が増えてデューティが増加していきます。

PFM max. duty.jpg 最大デューティ

最後はきれいな直流にならず,このように高周波が乗っていますが,ほぼ直流といっていいと思います。

PWM min. duty.jpg PWMモード時最低デューティ

今回はPWMモード時でも最低デューティは0%とせず,少しパルスが出るようにしました。こうしておくと,つまみを完全に0にしてもパルスが少し出ているので,前照灯が明るく点くはずです。

PWM mid. duty.jpg PWMではパルスの幅が増えていきます。

PWMでは,パルス幅が広くなってデューティが増えていくので,正常な動作です。パルスの周波数は変わりません。すこし,おしりの部分が斜めになっているのは出力に取り付けたスナバ回路(100Ω+0.01μF)のせいです。これでモータのインダクタンス分による逆起電力を小さくできます。

う~ん,でも,方形波の立ち上がりのところにリンギングが出ているのが気になりますね~。アンプならアウト!ですけど.....。ゲートに入っている10Ωを大きくすれば消えるんですが,そうすると応答速度が悪くなります。

PWM max. duty.jpg PWM最大デューティ

残念ながら,最大デューティは100%となりませんでしたが,ほぼ100%と言っていいと思います。

ようやくこれでハードウェア版のPFMコントローラができました。PWMモードにも切り替えられますので,コアレスモータ搭載機を運転するときはPFM,通常のコアつきモータ搭載機を運転するときはPWMモードで運転するとよいと思います。

なお,走行中にPFM⇔PWMの切り替えをしないでください。特に,PFM→PWMの切り替えをすると,PFMの方がデューティが低いので,PWMに切り替えると急加速してお客様がケガをしますのでご注意ください。

KATO C12&PFM controller(74HC123).jpg KATOのC12と。

先日購入したKATOのC12です。起動デューティは2.7%でしたから,非常に厳しいですが,つまみを0にしたら停止していました。前照灯はさすがにこんなに低いデューティでは明るく点灯しません。でも,起動は非常にスムーズですし,やはりPFMコントローラは低速に非常に強いです。


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mwainfo

オーディオ、ラジオ、真空管等々、モノづくりに脱帽です。一昔前、少年のころは、秋葉原の部品ショップに入り浸るラジオ少年でした。松脂のはんだ付けの匂いが忘れられません。今はパソコンを組み立てるくらいで、たいしたことはできません。iruchanさんのものづくりは、うらやましい限りです。
by mwainfo (2017-09-14 17:33) 

iruchan

どうもmwainfoさん,お褒めいただき,ありがとうございます。いまだに少年の頃の趣味を続けています。秋葉原も老舗の部品屋さんがどんどんなくなっていくような状況で寂しい限りですが,頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
by iruchan (2017-09-14 21:29) 

iTads

「その6」ではお世話になりました。
その後、pic PWM(常灯:20kHz, 走行:50Hz) に wifi モジュールを載せたコントローラーを作って使用していました。(wifi 経由で Android からリモートコントロール出来るようにしました。) 走行も「かすかなブー音」以外は満足いっているのですが、kato C12 常灯設定 vr の位置が結構シビアでなんとかならないかなぁと思っていたところに iruchan さんの新規コントローラー。試してみました。 うちの C12(スナバ 24Ω、0.1uF)では VR minの状態でも明るく点灯しています。 VR を 45度程動かすとスムーズに走り始めました。 C12 専用コントローラーにしようかと考えています。
いつもきめ細かい調査結果や回路を公開していただき有り難うございます。
by iTads (2017-09-17 15:22) 

iruchan

iTadsさん,どうもコメントありがとうございます。

WiFiで制御ですか。すごいですね。

残念ながら,コアレスモータはPWM式では無理があるのではないかと考えています。まだD51はよかったのですが,C12はさらに低いデューティで動き出すので,非常に厳しいです。

といって,PFM式で普通のコア付モータ機を運転すると起動時のボリウム位置が高くなりすぎるので,本機を考案しました。

そこで,コアレスモータ=PFM,コア付モータ=PWMという風に使い分けが必要ではないかと考えています。

もっとも,PWMだからコアレスモータはだめか,と言うとそういうことはなく,PIC式ならソフトで制御できるので,デューティの変化をPFM式のように緩やかにしてやれば同等に使えると思っています。

またよろしくお願いします。
by iruchan (2017-09-17 20:44) 

ぶ

初めまして、こんばんは。

KC-1検索で、辿り着きました。KC-1に関する記事を読ませていただきましたが、やっぱり良いコントローラーだったんですね。電気的な知識は素人なので、細かいことは全くわかりませんが、KC-1を使ってると他のコントローラー/パワーパックは、自分の走らせるフィーリングに合わないんですよね。KC-1がしっくりくるし、スローもとても良く、走らせていて気持ちが良いんです♪
ちなみにKC-1を使用していますが、電源は安定化電源器を用いてます。以前はKM-1を使ってましたが、安定化電源で12Vにして走らせると、コントローラーの幅も広がり、コントロールしやすくなって、出だしもスロー効きます。これってスロットカーでのアイデアなんですけどね。MAXを11Vにすることで、コントロールしやすくする方法でして(^_^;)

ROM専ですが、また拝見しにきますので、よろしくお願いします。
by (2017-09-18 00:38) 

iruchan

ぶさん,どうもコメントをありがとうございます。

KC-1はご指摘の通り,本当によいコントローラだと思います。とても古い製品なのに,最新のコアレスモータ機もスムーズに動くのは驚異的です。30年前にそこまで考えられていたとはとても思えませんが,本当に電子回路やDCモータの制御に精通した人が設計したのだろうと思います。

なお,KM-1はなくてもよいと思います。KC-1よりレアなので中古価格は高いですし,また,非安定化電源なので,単機のときなどは若干電圧が高いと思います。ぶさんのように安定化電源を使うのがよいと思います。

またぜひお越しください。
by iruchan (2017-09-18 17:33) 

ぶ

こんばんは。
返信ありがとうございました。

色々とKC-1に付いて、詳しく解説されていますので、まことに勝手ながら、KC-1についてちょっと質問したいのですが、よろしいでしょうか?(^_^;)

過去記事でKC-1でのACアダプターの逆接注意と書かれていましたが、まさしく以前それをやってしまい、初代KC-1を壊してしまいました。今のは二代目でして(^_^;) 発売当時から大事にしてきた初代機なので、修理をしたいと思って色々と探してみたのですが、この様な物を修理してくれる所が見つからずなんです。(KATOは、断わられました)
そこで質問なのですが、逆接して何かが焦げた(白煙がでました)のですが、現状通電させてディマースイッチをどちらかに入れると、ダイヤルに関係なく、全開走行しちゃいます。考えられる原因って分かりますでしょうか? 本来は現物を見ないとなんでしょうけど。。。考えられる事、破損箇所ってわかりますでしょうか?
面倒な質問でしょうけど、考えつく範囲でお答え頂けると嬉しいです。親しくもなく、二度目のコメントなのに、スミマセンm(_ _)m
by (2017-09-19 21:00) 

iruchan

だから,あれほど注意しておいたのに......(苦笑)!

iruchanも慎重に慎重を期して配線しましたし,うっかり逆接続しないよう,ダイオードまで入れてあります。また,ジャックもKATOの純正のものを使わなかったのもそのためで,KATOのはうっかりすると逆接続してしまうからです。ワニ口クリップなんかで配線して,使っている人も多いようですが,危険です。

KATOさんも基板ごと交換するくらいしか修理する方法はないでしょうし,すでに基板の在庫もとうにないでしょうから,断らざるを得なかったのでしょう。

考えられる原因としては,まず,電源直後の100μFの電解コンは間違いなく死んでいます。電解コンデンサは逆に接続すると液漏れするか,ひどい場合は爆発します。

ただ,たとえ電解コンが死んでいても電解コンはオープンモードで故障することが多いので,意外に再度通電したら動作した,と言うことがあります。

あと,ディマースイッチというのがわかりませんが,調光用のトリマのことでしょうか。

出力が全開になる,というのがよくわかりません。下手するとμPC494Cが死んでいて,出力が12Vの直流になっているかもしれません。

ただ,あまりICが死ぬことはないと思いますので,後回しにして,出力の2SA1599のチェックをしてください。ただ,これも死んでいたら出力は0になるはずなので全開という説明になりません。

一応,2SA1599が生きていたら,念のため,電解コンデンサをすべて交換し,再度,通電してみてください。ほかにすべてのTrのチェックも必要だと思います。

とりあえず,電解コンとTrのチェックをお願いします。

by iruchan (2017-09-19 21:37) 

ぶ

こんばんは。
スミマセン。。。あの時は、ついつい(^_^;)
うちのレイアウト配線は、カプラー仕様じゃないので、やってしまう率がかなり高いので、いつもは何回も確認するのですが、あの時だけは。。。

ディマースイッチ(切り替えスイッチ)って言いませんでしたっけ?(^_^;) 前進/後進の切り替えスイッチです。
これで前進/後進のどちらかに入れると、いきなりほぼ全開に近いスピードで、動くんですよ。前進なら前進方向に(^_^;) 前にも書いてますが、スピードコントロールのダイヤルは、動かしてません。

電解コンとTrのチェックですね。
(Trってトランジスタですよね?(^_^;))
仕事の時間に余裕が出来たら、チャレンジしてみたいと思ってます。ありがとうございました。m(_ _)m 
by (2017-09-20 00:20) 

iruchan

了解です。

ディマーはdimmerのことで,普通,照明を暗くするスイッチなどについている名称です。パワーパックの前後進切り替えはディレクション(direction)です。

可能性としては電解コンデンサが死んでいるのと,出力の2SA1599がショートしてしまっている(死んでいます)可能性があります。

ほかに,μPC494Cの出力がずっとonになっている(ICが死んでいるか,ほかの部分が壊れてICが異常信号を出している)ためと思います。
by iruchan (2017-09-20 06:33) 

じいじ

いつもお世話になっております。さらには毎度低レベルの質問ばかりで恐縮しております。
「マイコンを使わない究極のコントローラー」ということで、早速部品を揃え、試作をしてみました。事前に充分点検をしたうえで電源を投入しましたところ、臭いがしたのですぐ電源を切り、点検をしましたら、ICが異常に熱くなっていました。
反対向きに取り付けたかなと思い、急いでデータシートを読みましたが、向きの間違いはありませんでした。ところが絶対定格を見るとVccは7Vまでとなっております。東芝製のTC74HC423APです。これが熱の原因でしょうか?
また、回路図中の、可変抵抗と100KΩを切り替える部分が、ブロックダイアグラムと比較しても理解できず、判りやすくするため100KΩをPFM用にもう一本増やしたのが原因でしょうか?
またまたアドバイスをいただければと思っております。
by じいじ (2017-09-21 00:44) 

iruchan

じいじさん,どうも大変失礼しました。

74HC123も最大定格が15~20Vくらいある,と思っていました。ご指摘の通り,74HC123の最大定格は7Vです。

通常,CD4001など,C-MOSのロジックICは電源電圧は18Vくらいでも使えるので,見落としてしまいました。申し訳ありません。

回路図は訂正させていただきました。5Vの3端子レギュレータを入れてください。あるいは,簡単に5~8VくらいのツェナーDiを挿入すればOKのはずです。この場合,12V側をカソード,74HC123側をアノードとしてください。

なお,100kΩの件はどのように配線されたのか,図を書いていただかないとわかりません。私の回路図どおりにしないとうまくいきません。改変された場合のサポートはできかねます。
by iruchan (2017-09-21 08:11) 

じいじ

毎回素早い回答有難うございます。
新回路図、5Vの三端子レギュレーター(電流は100mAでもOKでしょうか?)と10μF(16V)の電界コンデンサーの追加の件は判りました。
100KΩの件は説明不足で申し訳ありませんでした。
新回路図でもそうですが、PWMとPFMの切り替えSW部です。図中の左側のSW(R5経由でICの14,15番ピンに接続)のほうはシステムブロック図の上下の「非安定」と同じと理解できるのですが、右側のSW(R10経由でICの6,7番ピンに接続)のほうは同じくシステムブロック図の「単安定」のPFMとPWMの切り替えですが、「赤字のPFM」側に倒したとき100KΩの固定抵抗とつながらないと思うのですが...。理解不足でしょうか?

また部品調達が発生しますので、製作中断です。その前に他に必要部品が発生しないかの確認ですが、この回路図に記載のない部品はありませんでしょうか?以前いただいた回答の中で「ギョーカイ常識で記載しないパスコン」の例示がありました。またICの8,9,12番ピンが結線されておりませんがこれはこれでOKということでしょうか?
何度も何度も、そしていつもの質問攻めで申し訳ありません。

弊鉄道はまだ「営業運転」を開始しておりませんが、「最新鋭蒸気」のC12の調達決裁がおりました。到着後の試運転には使用したいと思っております。ご指導のほど宜しくお願い致します。
by じいじ (2017-09-21 17:13) 

iruchan

どうも失礼しました。ブロック図が間違っていました。ブロック図でPFM時に抵抗の値は1.2kΩになります。
なお,パスコンは今回,入れませんでした。
また,空きピンは放置で結構です。ただ,これも業界の常識でC-MOSの場合,プルアップかプルダウンかしておくのが普通です。今回,めんどくさいので放置しました。
by iruchan (2017-09-21 21:58) 

じいじ

システムブロック図と新回路図がつながりクリアになりました。これで不足部品の調達に入れます。
有難うございました。
by じいじ (2017-09-21 23:18) 

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