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コアレスモータ対応鉄道模型用コントローラの開発~その3・KATO KC-1改の試作~ [模型]

2017年2月17日の日記

前回でKATOのKC-1の解析を終えました。低周波と高周波の2周波数のPWM制御回路となっていて,また,鉄道模型用に安全な遮断タイプの保護回路を搭載しているのが特長です。高度なアナログ技術を投入し,設計した人は非常にアナログ回路に詳しい人だろうなと思わず脱帽しました。iruchanなんて足許にも及びません。

さて,KATOのKC-1は原設計は20年ほど前だと思いますが,現在はspiceなどの回路シミュレータもありますので,新たに現代風に改良したものを開発したいと思います。

大変おこがましいですが,新たに改良する点としては,

☆ 低周波の最大デューティは100%とする

KATOのKC-1はPWM波生成にNECのμPC494Cというスイッチング電源用ICを使っています。モータ制御などの純粋なPWM波制御回路だと最大デューティは100%となるようにしたいところですが,μPC494Cは本来,スイッチング電源用のため,デッドタイムが設けられていて,最大でも95%にしかなりません。 iruchanはデューティ100%にしたいので,その点,改良したいと思います。なお,μPC494Cはまだ入手可能ですが,意外に部品屋さんを探すとないので,テキサスの現行品TL494を使いました。と言うよりこちらがオリジナルなんですけどね......(^^;)。 

☆ 高周波側の最大デューティを10%程度にする

KATOの原設計では高周波側の最大デューティはほぼ100%であり,本来は調光用なので,こんなに最大デューティは大きくなくてもよく,10%程度でよいと思われます。100%にしちゃうと調光用のパルスだけで模型が走行しちゃいますので。もともと,KATOのKC-1は調光用の高周波パルスのデューティを決めるボリウムは半固定になっているんですが,半固定抵抗というのはあくまでも調整用なので0~100%まで変化するような使い方をしないのが普通です。

☆ 電流遮断式保護回路を採用する

出力ショート時に保護回路が働いて,出力の電圧を完全に0Vにします。従来,安定化電源などの保護回路には電流制限型の保護回路が用いられていて,iruchanも長年使っていますが,これだと最大の電流がいつまでも流れます。安全のため,KC-1同様,完全に電流を遮断する回路とします。

ただ,KATOの回路はサイリスタを使った非常に複雑な回路のため,従来の抵抗とTrによる検出回路とフリップフロップを用いた簡素な回路としたいと思います。

もっとも,これでも回路が複雑なので,従来通り電流制限型やポリスイッチでよい,と言う方は最後に回路を示しますので,そちらをご採用ください。 

☆MOS-FETを用いた主回路にする

KC-1はサイリスタを用いた保護回路を使っていますが,そのせいか,出力段はPNP Trを使った回路になっています。また,高周波と低周波で別々の出力段を持っていて,普通の電車でいうと主回路? の部分はかなり複雑な回路です。

今回,MOS-FETを用いて簡単な主回路とします。MOS-FETは損失が小さく,高周波特性もバイポーラTrより数段よいので最近はMOS-FETを使うことが多いと思います。また,出力段も高周波,低周波共用とします。

最後に,

☆ 電源内蔵式にする

KATOのKC-1は電源ユニットKM-1とのセットで売られていました。当時はまだACアダプタやスイッチング電源が一般的ではなかった時代なので仕方ないのですが,別付けの電源は不便だし,KM-1はトランス仕様なので重いです。おそらく,KM-1はポイント用の交流出力も備えていたので,トランス式にせざるを得なかったのでしょう。スイッチング電源は交流出力が苦手で,ポイント用にスイッチング電源を使って直流で使用するには新たな回路が必要となります。

ただ,トランスを使った非安定化電源は出力電圧が負荷により一定ではないので注意が必要です。よく,パワーパックで最大電圧15Vとか書いたものがありますが,これはトランス式のためです。さすがにNゲージで15Vは危険です。KATOのKC-1も専用の電源装置KM-1が販売されていましたが,容量は15V,2Aです。ただ,15Vがもろに出てくるわけではなく,制御TrのVCEsatや保護回路の検出抵抗による電圧降下がありますので,実際に出力されている電圧は13Vくらいのようです。

iruchanはスイッチング電源は嫌いなのですが,やはり軽くて,しかもフィードバック機能もあって出力が一定電圧になる安定化電源の機能もありますので,スイッチング電源仕様としたいと思います。 

☆ 

と言う次第で,前回,spiceでシミュレーションして設計を終えましたが,プリント基板を作る前に若干,修正しました。

困ったことにプリント基板用の可変抵抗が10kΩ以上のものしか手に入らない,と言うことがわかりました。KATOの原設計だと1kΩや2kΩが使われていて,iruchanも最初,spiceでのシミュレーションにこういう値のVRを使っていましたが,いざ,プリント基板を作ろうと部品を集め出したらこのことに気づきました。

と言う次第で,可変抵抗は10kΩで再度,設計し直しました。もちろん,プリント基板用じゃなくて普通のパネル取付用の可変抵抗を使えば,1kΩや2kΩなんて簡単に手に入るのですけどね.......。

でも,パワーパックを自作した人ならおわかりになると思いますが,可変抵抗の配線が非常にめんどくさいんですよね。おまけに調整中にハンダづけをしたところで電線が切れたり,イライラするのでいつもiruchanはプリント基板用を使って,プリント基板に一緒にボリウムも載せちゃうことにしています。

と言う次第で,設計を終えた回路を▼に示します。まだ改良点があると思いますので,動作確認はしましたが,現時点での回路図ということでお願いします。

KATO KC-1 mod 回路1.jpgクリックすると拡大します 

プリント基板は33mm×70mmという大きさです。昔から何でも小さいものが好きという性格のため,相変わらず小さく作り過ぎちゃうのが困ったものですけど,非常にコンパクトにできました。

プリント基板.jpg 完成した基板

プリント基板2.jpg 部品配置

さて,とりあえずプリント基板ができたら十分チェックしてから通電します。

調光用とモータ用のボリウムを回して出力モニター用に設けたLEDの明るさが変化すれば成功です。調光用のボリウムは最大デューティが10%くらいなので,それほど明るくはならないはずですが,最近のLEDは非常に輝度が高いのでこれくらいのデューティでも明るく点灯すると思います。

さっそく,うまくいったらオシロで波形を確認してみます。

高周波パルス+低周波パルス.jpg 低周波+高周波混合パルス

通常使用時はこのように低周波のパルスの隙間に高周波のパルスが出ます。 高周波(調光用)のボリウムを左に回すと高周波パルスが停止し,低周波のパルスのみとなります。周波数は58Hzでした。ちなみに高周波は21kHzでした。

低周波パルス.jpg 低周波のみのとき 

低周波はOKで,ちゃんと0%から100%までスムーズにデューティが変化します。ギリギリ100%になっていませんが,波形を見る限り,ほぼ100%と言ってもよいと思います。 

低周波パルス(100%).jpg ほぼ100%となります。

KATOのオリジナルのKC-1は最大デューティは90~95%くらいですが,本機はほぼ100%となります......(^^;)/

ところが......。 う~~ん,予想してはいたんですけど......。

高周波パルス(ドライバなし).jpg 高周波パルスはこんなに太いです。 

調光用の高周波パルスが予想より太く,最低デューティは25%くらいです。設計値としては最大で10%だったので,こんなに太くなるはずはありません。もっと細くできるはずなんですけどね.....。 

原因は出力(終段)のMOS-FETの入力容量です。使用した2SK2412は最近のMOS-FETではなく,20年ほど前の開発なので入力容量は小さめですが,それでも860pFもあります。最近のものだと2000pFを超えるものもが多いので,もっと悪くなります。

MOS-FETをスイッチング回路に使用した場合,この入力容量が邪魔をしてなかなかonにならないし,いったん,onになったあと,今度はoffにするのに時間がかかっちゃいます。つまり,ゲートしきい値電圧VGS_thに達するまで充電するのに時間がかかるし,onになったあと,今度はゲートに溜まった電荷を逃がさないとなかなかゲート電位が下がらないのでoffになりません。

これじゃ,いくらMOS-FETがスイッチング速度が速いといっても,意味ないんですけど....。

むしろ,バイポーラTrはスイッチング速度がMOS-FETより遅いんですが,入力容量が非常に小さいのでこのような問題は生じません。そもそもベースに電流を流して制御する素子なので,電荷が逃げるのも速いんですね。また,同じ電圧制御素子である真空管はグリッドとカソードが離れているし,入力容量は小さいのでこの問題は高周波のときだけで,低周波だと気にしなくてもよいです。だからiruchanはアンプ作るときはバイポーラか真空管なんですよね......(^^;)。

そういうわけで,MOS-FETは電圧制御素子なので電圧だけでいいや,と考えて設計してはいけません。

やはりバイポーラTr同様,電流を流してドライブするように設計する必要があります。だから,今をさかのぼること40年前,日立が最初のオーディオ用MOS-FET2SJ49K134などのシリーズを発表したとき,ドライバ段を省いて電圧増幅段に直結する回路がよく使われましたけど,やはりバイポーラ同様,プッシュプルのエミッタフォロアを入れてドライブした方がよいと思います。

と言う次第で,今回のドライブ回路をどうするか考えて結局,PNPトランジスタによるエミッタフォロアを入れました。本当だとPNP-NPNのコンプリメンタリによるプッシュプルエミッタフォロアにしたいんですけど,さすがに大げさですからね。 

最近はPICやAVR,ArduinoなどのマイコンでMOS-FETをドライブしてモータを制御することが多いと思います。この場合,マイコンとMOS-FETのゲートを直結するだけで普通はOKなんですが,MOS-FETの入力容量のせいであまり低いデューティにできません。携帯電話やラジコンなど,それほど低速を必要としないモータ制御の場合はこれでもよいのだと思いますが,鉄道模型の場合はデューティが10%以下の部分が重要ですから,下記の配慮が必要だと思います。

実は,ここまで研究してきて,コアレスモータを使用している模型がうまく運転できないのはひとつはこのせいではないかと思っています。コントローラの最低出力デューティが10%くらいになっていて,コントローラからパルスが出力された時点ですでにデューティが大きすぎ,前照灯が点灯すると同時に模型が走り出してしまうのではないかと思います。

もちろん,こういう場合についてはすでに研究されていて,本などに▼のようなドライブ回路が載っています。

MOS-FETによるスイッチングに際して,出力されたパルスの幅が広い場合,コンプリメンタリのTrを▼のように接続すると高速でドライブできるので非常に狭いパルスを出力することができます。 C-MOSのロジックICには出力がこのようになっているものがあります。もちろん,その場合は出力はP ch.とN ch.のMOS-FETのコンプリですけどね。 

マイコン出力回路.jpg プッシュプルドライブ回路 

もっとも,プッシュプルにするのは面倒なので,上側のNPN TrをスイッチングDiで代用することが多いです。今回,この回路を採用させていただきました。実際,今回使用したTL494は出力にNPN Trを持っていて,エミッタから出力を取っているので,上側のNPN Trはもとから不要です。 

マイコン出力回路1.jpg 変形版です。

なお,蛇足ですが,この回路の出力電圧はマイコンのほぼ出力電圧そのものとなり,増幅作用はありません。最近のマイコンは3V出力のものが多いので,MOS-FETがonしないことがあります。その場合はプッシュプルドライブか,別のドライブ回路が必要となります。  

では,以上のドライブ回路を挿入してシミュレーションしてみます。さすがに低周波側のパルスにはドライバを入れませんでした。 20msもパルス幅があるのに,数μsの応答時間は問題になりませんので。やはり問題は高周波のパルスです。

KATO KC-1 mod. driver simulation.jpg 最終シミュレーション回路 

ドライブ回路なし(MOS-FET).jpg 

     終段MOS-FET(ドライブ回路なし)のとき

ドライブ回路なし(BPT).jpg 

     終段がバイポーラ(ドライブ回路なし)のとき

終段の制御TrをダーリントンTrにしたときです。バイポーラトランジスタなので,ベースに電流を流して使用しますし,入力容量はごく小さいのでパルス幅はかなり狭くなります。ただ,MOS-FETに比べれば狭いですけど,まだ少し幅が広く, やはりドライバが必要な感じです。

と言う次第で,ゲートドライブ用にもう1個,Trを追加してドライバを挿入すると, 

ドライブ回路あり.jpg 

     ドライブ回路あり(終段MOS-FET)

ドライブ回路あり(拡大).jpg 波形の拡大

高周波パルスoffと同時にQ5の2SA1020がonし,終段のMOS-FETのゲートに蓄積された電荷を放出していることがわかります。

出力の高周波パルスもほぼTL494の出力と同じくらいの幅になることもわかりますね。

2SA1020によるドライバ回路を挿入して最低デューティは1%以下となりました。 本当は2SA1015にしたかったのですが,若干,コレクタ電流が大きくて少し発熱したのでひとつ大きめのTrにしました。

高周波パルス(ドライバあり).jpg 高周波パルスの最小デューティです。

思い切りオーバーシュートしてますけどね.....。MOS-FETなのでスイッチングが高速なためです。 

☆ 

【保護回路について】

なお,今回,保護回路は電流遮断式として,過電流を検知したら完全に出力電流を0とする回路としました。こちらの方がはるかに安全です。通常の電流制限型の回路はショートした場合でも設定した値の電流を流し続けますので,放置すると危険です。

一方,このせいでリセットボタンを押さない限り,再度,電流が出力されませんのでご注意ください。まあ,実物の電車も又入れスイッチを押さない限り,再起動しないんで同じですけどね。

iruchanもいつかはこういう安全な回路を設計したいと思っていましたが,R-Sフリップフロップを使ったらずいぶん簡単にできました。

R-Sフリップフロップはセット(S)信号が入ると出力がhighとなり,以後,いくらS信号が入ってもlowとはなりません。一方,リセット(R) 信号で解除できます。以後,同様にR信号が入ってもセットされません。最初に入った信号を保持できるので,メモリ回路として使用されるのはご存じの通りです。

     _  
出力はQとQの2つがありますが,これらは常に反対の動作をするので,今回,利用するのはQ出力のみです。

R-Sフリップフロップはメモリのほか,実際の応用としてよく使われるのはチャタリング防止です。

プッシュボタンやリレーなど,機械的な接点は必ず接点がバウンドし,多数のパルスを生じます。これをチャタリングと言いますが,これをデジタル回路につかうといくつものビットが発生してしまうため,これを防ぐため,R-Sフリップフロップが使われます。一度,onになっちゃうとずっとonのまま,と言う風にできますので。

ただ,実際にチャタリング防止は今はシュミットトリガを使うことが多いですし,そもそもこういう機械的なスイッチを使うようなICは入力にこういう回路を持っているのが普通で,R-Sフリップフロップを使うことはほとんどありません。

それに,74シリーズなどTTLのICではTフリップフロップやDフリップフロップ,J-Kフリップフロップはあるのに,R-Sフリップフロップだけありません。 

....と,iruchanはずっと思っていました。実際,iruchanが電子回路に興味を持って勉強し始めた中学生の頃,本にもそう書いてありました。

ところが,今探してみるとあるんですね~~~!!

74LS279がそれですので,あまり売っていませんが,見つけたら買っておかれるとよいと思います。また,C-MOSだと今回使用した,CD4043がそれです。もとからC-MOSはR-SフリップフロップのICがあったようです。

でも,どちらもやはり入手は意外に難しいようで,昔,iruchanが勉強したように,入手できない場合はNORゲートを使って自分で作るのがよいと思います。

でも......,実はR-Sフリップフロップは2種類あって,NANDでも作れちゃうのです。本も書いてあるのが2種類あるようで,どっちが正しいんだ!? って思っておられる方も多いかと思います。

実は,正論理のR-SフリップフロップがNORゲートで,負論理版がNANDなのです。

どういうことかというと,セットSがhighのとき,出力QがhighになるのがNORで,逆にSがlowになったとき,QがhighになるのがNANDです。

普通,highを1と考えるのが正論理で,この場合のR-SフリップフロップがNORです。反対にhighを0と考えるとNOR版というわけです。 

  R-Sフリップフロップ.jpg R-Sフリップフロップ1.jpg

別に働きとしてはどちらも同じですが,本機では2SA1015が過電流を検知するとSがhighになるように設計しましたので,使用するのはNOR版です。

もし,CD4043が入手できない場合,CD4001を使って上図のように配線すると正論理版のR-Sフリップフロップが作れますので,ご利用ください。

ちなみにC-MOSは負論理版のR-Sフリップフロップがあり,型番はCD4044です。TTLには負論理版はありません。

                               _  _

本当いうと,これは区別しないといけないし,親切な本には負論理版はR - Sフリップフロップと書いていますが,半導体メーカの規格表を見るとテキサスや東芝の規格表には "Quad R-S latches" などと書いてあり,R-Sフリップフロップと同じ表現です。

なお,やはりR-Sフリップフロップを使った回路を使用したくない,と言う方は従来どおり,ポリヒューズを使う回路をおすすめします。

Littel FuseのRXEF050がいいかと思います。あれ,レイケムじゃなかったの? と思ったら昨年3月に買収されちゃったようです......orz。

トリップ電流が1Aで,保持電流が0.5Aというものです。0.5~1Aの間のどこかでトリップし,以後,0.5Aをずっと流し続ける,と解釈してください。それに,トリップする電流は必ずしもこの間とは限りません。室温が低いと2~3Aくらい流さないと飛ばないこともあります。このあたり,どうもポリヒューズって信用できないんですよね。うっかり,IC=2AというTrを使うとポリヒューズが動作する前にTrが飛んじゃいます。そういうわけなので,今回,使用するTrやFETはICなりIDが3~5A以上のものを使ってください。今回使った2SK2412はID=20Aなので余裕ですけど。

PWM式LED調光器回路MOS-FET出力回路2.jpg MOS-FET使用時

なお,出力の制御素子はダーリントンTrであれば置き換え可能です。iruchanはバイポーラTrが好きなので,いずれ2SD560(なつかし~~!)なんかに交換したいと思います。

RSはパルスoff時にゲートの電位が0Vとなるようにするものです。なくてもいいのですが,ゲートに溜まった電荷を逃がす経路が必要ですので,入れておいた方がよいです。

RGは寄生発振防止用です。MOS-FETは高入力インピーダンスなので数MHzのオーダーで発振することがあります。その対策用です。オーディオのアンプの場合,必ず入れますが,パワーパックの場合はなくてもOKです。

ダーリントンTr出力回路.jpgダーリントンTr使用時

MOS-FETが高価で,品種も少なかった頃はダーリントンTrが使われていました。今じゃ,MOS-FETの方が安いくらいなので,出番が少なくなってしまいました。

ただ,▲にも書きましたとおり,ダーリントンTrの場合は1W以上の損失が発生しますから,放熱器が必要です。 MOS-FETだと1/10以下になるので放熱器は不要ですが,最大出力を2Aなどとする場合はMOS-FETでも放熱器をつけてください。また,ベース抵抗RBはTrの場合は必ず必要ですので,忘れずに入れてください。

そのほか,フリーホイーリングDiは今回のように高周波でスイッチングする場合,普通のシリコンDiではダメで,高速でスイッチング可能なショットキータイプが必要です。 

蛇足ですけど,フリーホイーリングDiと言うのが正しく,フライホイールDiというのは間違いです。米電気学会IEEEでもFree Wheeling Diodeと書いてあります。といって,規格表に思いっきりフライホイールDiと書いているメーカーさんが多いのですけどね.....(^^;)。

☆ 

さて,いよいよバラックの状態で試運転してみます。電源は簡単に9VのACアダプタを使用しました。

KATO D51ギースルエジェクタ.jpg KATO D51ギースル機

まずは調光用の高周波のボリウムを少し回転させ,前照灯や出力のモニター用LEDが点灯するくらいで止めておきます。回しすぎるとやはり機関車が走行しちゃいます。

次に,走行用の低周波ボリウムを回すと,機関車が走り始めます。やはり,予想どおり,モータのうなりは少なく,かすかにジ,ジーッと音がするくらいです。300Hzだと盛大にプーッという音を出しますが,低周波の方がよいようです。また,本機は高周波のパルスを出力するのでモータには循環電流が流れてモータの電流は途切れないのでうなりは少ないはずです。

さて,走行テストをしてみます。

まずは作った本人が驚いちゃいました......(^^;)。

     [晴れ][晴れ][晴れ] 驚くほど スロー で動きます [晴れ][晴れ][晴れ]

実測してみると,1周3.24mのエンドレスを123秒かかって一周しました。計算すると,2.6cm/sと言うことですね!

とはいえ,もちろんこれはやはりKATOのコアレスモータの性能によるところが大きいと思います。比較のため,先日購入したKATOのEF70で試験してみるとやはり低速が倍くらいで,一周するのに63秒,5.1cm/sでした。やはりコアレスモータ恐るべし!!! 

しかし,実際,非常に遅いです。普通のコントローラではこんな低速では走らないと思います。iruchan現用のTomix 5001PWM改造コントローラではこんなスピードでは走りません。

また,最初の目的である,常点灯への対応についてですが,非常にクリティカルですけど,調光用ボリウムを走行しないギリギリに設定すれば,走行用のボリウムを回転させて,機関車が起動するまでの "遊び" を確保することできて,無事に常点灯に対応しました。

KATO D51ギースルエジェクタ1.jpg ちゃんと常点灯にも対応します。

▲のD51や▼のEF70は停止中の状況です。走行用のボリウムを左に絞って機関車が停止しても前照灯がついたまま,という状況を実現できるのはちょっと感動しちゃいました。 

それに,若干,高周波パルスのせいで,停止するときにすこし走行距離が伸びます。若干,惰行しているような感じがするのもいい感じです。もっとも,高周波パルスのデューティが大きすぎるとそのまま走行してしまって某JRが天王寺駅に突っ込んだり,某私鉄が新岐阜駅に突っ込んだりしたような事故を起こしますのでご注意ください.....。 

KATO EF70-1.jpg EF70もOKです。

次回はちゃんとケースに入れて最終調整したいと思います。また,残念ながら保護回路がやはり頻繁に誤動作するので,対策を検討したいと思います。 


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Vivid

こんばんは!

いつも興味深く拝見しています。
専用ICを使用してのコンパクトな回路設計は、流石ですね、素晴らしいです。うらやましいです!
今回のPFM制御ですが、私もトライしていまして、結構な低速(1cm/秒)位を得られています。
私は、アナログが全くダメなので、PICで実現しました。
また、モーターからの電流オフ時に発生する誘導電圧を計測して、「定速走行」ができるようにもくろんだのですが、電圧計測のむつかしさで、なかなか希望どうりにはいきません(笑)
なにか良いアイデアがないものかと思案しています。

http://vividhobby.blog.fc2.com/blog-entry-453.html#more
by Vivid (2017-02-18 18:33) 

ななしのごんべえ

早速、質問ですみません。
ボリュームを良く燃やす私には、フリップフロップは難しいので、ポリフューズを使おうかと思うのですが、ポリフーズの回路図に波形が描かれてるのですが、どこまでがフリップフロップのと一緒なのか、波形を出してる回路が、どこなのかすら私にはわかりません(泣)
RG100から1KオームとRSは数キロオームと書かれてますが
何オーム入れるといいんでしょうか?
1のVividさんと比べると、コメントの質が、かなり低いような・・・



by ななしのごんべえ (2017-02-18 21:56) 

iruchan

Vividさん,どうもコメントをありがとうございます。

どうも申し訳ありません。まだPFM方式は設計しましたけど,製作していません。今回のは2周波PWMです。

一応,PICも考えたのですが,PICはハードウェアPWMだと2周波発振は無理で,また,低周波の発振はソフト的にやらないといけないのでやめました。

残念ながらモータからの誘導電圧はどう測定するのかわからず,取り組んでいません。

来月からはPFM方式に取り組みたいと思います。
by iruchan (2017-02-18 23:07) 

iruchan

ななしのごんべえさん。

ポリヒューズ仕様の場合はQ2,Q3,CD4043周辺,0.6Ωなどが不要です。

1MΩの代わりにRSとして1kΩ,RGはなくてもよいでしょう。入れるなら100Ωくらいです。

2SK2412のゲートを100Ωを介してorなしで1S133と300Ωの接続点につなぎます。
by iruchan (2017-02-18 23:13) 

ななしのごんべえ

出来ました! ポリヒューズ仕様ですが!
すごくゆっくり走ります。旧製品の首振りスカートのEF65ですが。
ありがとうございます。
by ななしのごんべえ (2017-03-20 18:37) 

iruchan

ななしのごんべえさん,どうもコメントをありがとうございます。

そうでしたか,うまくいってよかったです。また,喜んでいただいて,うれしいです。

首振りスカートのEF65とは懐かしいですね。

ただ,こういう古い模型ほど,低速での運転は難しいので,コントローラの性能によるところが多く,KC-1改はうまく動作するようでよかったです。

なお,ポリヒューズをお使いの場合は,電流がある程度以上,流れないようにするだけなので,長時間,ポリヒューズが動作した状態で放置しないよう,気をつけてください。
by iruchan (2017-03-20 19:08) 

じいじ

はじめまして。現在、先輩諸氏のブログ等を参考にNゲージレイアウトを作成中です。2列車同時運転が可能として設計・制作しているのですが、残念ながらパワーパックは既製品が1台しかなく、もう1台必要です。そこでこのブログに辿り着きました。素晴らしいですね。何とか同じものをとチャレンジしようとしております。
年寄りの素人質問で大変申し訳ありませんが、
「最終シュミレーション回路」より、部品を通販で探しております。R22の0.6Ωの抵抗が探しきれません。カーボンや金属皮膜ではなく、セメント式で0.56Ωは見つかりました。但しW数が大きいです。でも基板の写真を見てもそれらしい抵抗はありません。
素人の年寄りですが、判りやすいアドバイスをお願いできますでしょうか。
by じいじ (2017-05-05 23:45) 

iruchan

じいじさん,どうもご覧いただき,ありがとうございます。

0.6Ωは0.56Ωで構いません。

なお,計算式は下記の通りですので,最大電流にあわせて変更してください。

R=0.6/I

ただ,この0.6Vという値はTrのVBEなんですが,多少ばらつくので,1Aだと0.6Ωという計算になりますが,これに近い値で妥協するしかありません。入手容易な0.47Ωでも結構です。計算上は1.28Aと言うことになりますけど。

なお,抵抗としては酸化金属被膜のものが小さくてよいです。容量は1W~2Wです。

通販では秋月ではセメント抵抗のみのようです。通販だと千石電商さんが扱っているようです。私はラジオデパート2Fの山王電子さんで買っています。この前,買いに行ったら "10年ぶりに売れた" とおっしゃってました。あまり売れないようです。
by iruchan (2017-05-06 05:53) 

じいじ

こんなに素早く回答をいただけるなんて思っていなかったものですから、返信が遅くなりました。申し訳ございません。

0.6Vが2SA1015のVBEとのことですが、東芝の仕様書の当該項目を見ると、電気的特性最大-1.1Vさらに最大定格-5Vの記載があります。0.6Vを絶対値の小さい1.1Vで置き換えて、1Aで1.1Ωの抵抗として宜しいでしょうか?1Ωを超えると、通販さんの品揃えがあるためです。

申し訳ありません。低レベルの質問に後2つお付き合い下さい。

・R4の抵抗(20Ω)は、今回のコントローラー側につけて出力するのでしょうか、もともと車両側(モーター側)についているものなのでしょうか?

・4043が手に入りそうもない場合、上記記載のように4001内のNOR回路を2つ使ってたすき掛け(?)をするのは判りました。この場合、周辺の抵抗値、コンデンサー容量値はそのままで宜しいでしょうか?また記載のないVDD、VSSはそれぞれ12V,0Vで宜しいでしょうか?最後にR入力に実際の「リセットスイッチ」は不要なのでしょうか?

すっかり頼り切ってしまい申し訳ありません。宜しくお願い致します。

by じいじ (2017-05-06 14:15) 

iruchan

じいじさん,ご質問の件ですが,

・規格表のVBEについて

これは外部からベース~コレクタ間にかける電圧のことで,当然,この範囲を超えると壊れる,と言う意味です。

実際には,ベース~エミッタ間は半導体の構造では,P-N接合面なのですが,ここに0.6V以上の電圧をかけるとコレクタ~エミッタ間がonします。

このとき,ここが0.6V程度を維持するように回路設計をします。

うまい表現を思いつきませんが,VBEは自然に0.6Vとなる電圧のことで,外部からこの電圧を勝手に変更して使用するものではありません。この点,Trと真空管が根本的に異なる点なのでご注意ください。

規格表にベース~コレクタ電圧vs.ベース電流(VBE~IBE)のグラフがあると思いますが,0.6Vを超えると急激にベース電流が増え,Trが壊れます。だから,普通,ベースには抵抗を入れておき,ベース電流を制限するように設計します。

通常,TrがonしているときはVBEは0.6V程度となり,定電圧特性を示します。

この抵抗を省略してベース~エミッタ間に強制的に0.6V以上の電圧をかけて使うことも可能で,東芝の規格表に書いてあるVBEというのはそういう意味です。

ただ,絶対にこんな電圧をかけて使うことはありません。規格表にでているのは,事故などでベース~エミッタ間に0.6V以上の電圧がかかってもこの範囲内なら壊れませんよ,という意味です。

ですから,じいじさんのお考えは間違いです。あくまでもVBEは0.6Vと考えて設計するのがトランジスタ回路の基本です。

・R4について

これはモータの電機子抵抗です。

ご覧になっているのはSpiceのシミュレーション回路なので,モータまで入った回路です。20Ωと0.1mHでモータを模擬しています。これがないとシミュレーションできませんので。

実際に製作する回路図は一番上にある図をご参照ください。

なお,隣にあるスナバ回路はなくても結構です。

・4001について

周辺の定数は4043と同じで結構ですが,C8は0.1μFでなく,1μF以上の方が安定します。

なお,VDD,VSSの記述がどこかにありますでしょうか。4001も4043もC-MOSなので最大電源電圧は5Vじゃなく,18Vですので,本機の電源がそのまま使えます。

今回,TTLのICじゃなく,C-MOSを使っているのもこれが理由のひとつです。

なお,リセットボタンがないと保護回路が動作したままになり,出力が0のままですので,必須です。このボタンを押してR-Sフリップフロップをリセットしないと,保護回路が解除できません。

ただ,ほかの方のコメントにもあるように,CD4043を使った回路は少々複雑ですから,面倒だと思われるようでしたら,ポリヒューズをお使いになっても結構です。

by iruchan (2017-05-06 17:18) 

じいじ

毎回丁寧な回答に感謝申し上げます。それとともにお詫びしなければなりません。
今回のブログには2つの回路図がのっていますが、回路図直前の表現に惑わされて、よく見ずに後の図面が最終回路図と勘違いをしてしまいました。
最初の図面が、今回の最終回路図なのですね。
前回の質問の多くがこの回路図では表現されており、当方の愚問に余計な時間を取らせてしまいました。本当に申し訳ありません。

そこで最初の画面を見ると、最初の画面を拡大すると下部がどうも見えません。494の8番ピンその他の先です。下の図面(最終シュミレーション図面)と同じように0.1μF経由でGNDで宜しいでしょうか?

よく見ないで愚問をしてしまい非常に恐縮しております。今一度の質問をお許しください。
by じいじ (2017-05-06 20:03) 

iruchan

じいじさん,どうも図面は失礼しました。一部,欠けておりましたので再掲しました。
by iruchan (2017-05-06 21:21) 

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