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Philips CDプレーヤ CD104(マランツCD-34)の整備~電源電圧の変更~ [オーディオ]

2016年4月29日の日記

CD104.jpg 

とうとうゴールデンウィークですね~。工作マニアのiruchanは天気がいいのにどこも外へ行かず,家族の冷ややかな視線を浴びながら腰を落ち着けてハンダゴテを握っています.....(^^;)。

オランダ・フィリップス製のCD104を購入しました。1984年発売のCDプレーヤ黎明期のものです。日本では翌年,マランツからCD-34として発売されました。破格の59,800円という値段はCDを普及させるための戦略的なもので,実際は10万円くらいの値段のものだと言われていました。

マランツのCD-34はPhilipsのCD104と同じものですが,少し新しい分,オリジナルのCD104とは異なるようです。どうも海外のフォーラムを見るとCD104BというブラックフェースのがCD-34だそうです。そういえば,CD-34にはフロントパネルがシルバー のものはありませんでしたが,CD104にはシルバーフェースのがあります。それと,初期のCD104は60分以上のCDは再生できないようですが,CD-34はそんなことはないようです。

当時,iruchanは大学生でしたが,とてもそんな値段のプレーヤは買えず,金持ちの後輩が親に買ってもらった,と自慢していたのでちょっとカチンときたのを覚えています。その後,懸賞で当たったソニーのD-50を入手して,それでCDを聴いていました。ただ,電源は別売りだったので,9Vの3端子レギュレータを使って電源は自作しました。中国LEPY社製のLP-2020A+LP-20204A+電源を作っていますが,当時からiruchanは電源を自作していました.....(^^;)。

で,なんでこんな古いCDプレーヤを今ごろ買ったか,というと,実はもうCDやCDプレーヤが歴史の彼方に消えていこうとしているからです。

まさか,と思ったのですが,娘がCDを聴きたいというので,ポータブルのやつを買ってやろうかとAmazonを見てみたらすでにソニーやPanasonicのものはなく,怪しげな中国製メーカのものばかりです。まあ,今はiPodやスマホで聴くからな....とは思ってみたのですが,なんと,据え置き型のコンポとしてのCDプレーヤすら製造中止なんですね~。

いつかこんな日が来るとは思っていましたが,CDも誕生から30年を過ぎ,そろそろ引退の日が近づいているようです。

それで,一生聴けるようなヴィンテージのCDプレーヤを今のうちに確保して,大事に取っておこう,と以前から思っていたのですが,早めに手を打っておこう,と思いました。中でもマランツのCD-34は音のよいことで有名で,今でも人気が高いです。海外でも同様のようで,いろいろフォーラムがありますが,読んでみるととても評判がよいようです。

と言う次第で,年始に1台,マランツのCD-34をYahoo!で買ったのです。ところがこれがひどい代物! 外観はまあまあきれいなのでいいと思ったのですが,中はぐちゃぐちゃでかろうじて蚊の鳴くような音で再生はできるものの,すぐにディスクを読まなくなってしまいました。なによりねじが全部バカになっているのも驚きで,どうやら骨董業者が自分で直そうとあちこちいじり回したあげく,オークションに回した,という感じでした。

昔,中古ライカに凝ったことがあるのでよく覚えていますが,ガイドブックなんかに "骨董業者からは決して買うな!" と書いてありました。今回,私もはまっちゃいました。皆さんもご用心ください。オーディオ機器やカメラなど精密機器は専門の業者さんか信頼できる個人のマニアから買うのが鉄則だと思います。 

やれやれ,という感じで後悔したのに,結局,性懲りもなくまた1台落札してしまいました。 もうYahoo!は懲りたので,eBayで買いました。相手は英国の中古オーディオ屋のようです。

値段は本体£90でしたが,送料や輸出手数料で£60取られ,トータル£150と言うところです。もっとeBayも送料が安ければ,といつも思いますが,まあ,今回は7kgもありますし,航空便でないと危ないので送料は保険と思って割り切りました。

1週間ほどで届きました。なんとバナナの箱に入って届いて嫁はんに受けちゃいました....(^^)。

banana1.jpg 

  バナナの箱に入って海を越えてきました.....(^^;)。

さすがにオーディオ屋さんの梱包だけあって,箱は2重になっていましたし,中のクッション材もしっかり入っていて,何の問題もなく配達されました。

箱を開けてびっくり。新品同様と言っていいくらいとてもきれいな状態です。これなら期待できそう。

label1.jpg  label.jpg 

こんなラベルまでついた状態でした。なんか,法的な規制で,このラベル付じゃないと販売できないようです。

おまけにこのCDプレーヤは運送用に中のCDメカニズムを固定できるよう,底面に仮止めのねじがついているんですが,それがちゃんと差さっていて,今回の販売業者はこの辺,とてもしっかりしているようです。

メカ固定ねじ.jpg このように固定して運搬しないといけません。

さて,いよいよ音出し......と行きたいところですが,まずは電源を修正しないといけません。

PhilipsのCD104の英国仕様なので,当然,電源は240Vです。日本の100Vじゃ使えないのでなんとかしないといけません。もちろん,プラグも交換が必要です。例によって英国の電気製品はBFタイプという巨大なプラグがついています。これ,最初にロンドンに行ったときにびっくりしましたけど,まあ,240Vだし安全のためこんなんだろ~な~と思いました。なんと,中にフューズが入っているそうです。 何事も伝統を重んじる英国人ですが,さすがに大きすぎて邪魔なのでこれはやめよう,という意見が出ているそうです。

British plug.jpg これが英国標準プラグです。

少しケーブルが電工パテ? で汚れていたのでホワイトガソリンできれいにしました。

ホワイトガソリン.jpg ホワイトガソリンで拭くときれいになります。

British plug1.jpg 中に3Aのフューズが入っていました。

本当は中央の接地端子に接地線をつないで筐体を接地しないといけないのですが,日本や米国同様,接地線は使っていませんでした。もっとも,米国も最近は昔と同じ2極式なんですが,極性統一プラグと言って向きを固定するようになっています。 日本だけだな,未だにこういうのやっていないの.....。

プラグ交換.jpg プラグは日本製のものに交換しました。

普通はCD-34の海外版の製品を買った皆さんは旅行用の電圧変換トランスを使っておられると思います。やはりこれが一番無難だと思いますがiruchanは中のトランスの配線を変更します。

ただ,AC100V側をいじることになりますので危険です。技術や経験のない方にはおすすめしません。 

CD104に限らず,電気製品で海外に輸出されているものは中で電圧が変換できるようになっているはずです。特にCD104は日本や米国などいろんな国に輸出されたのでそうなっているはずです。

と言う次第でサービスマニュアルを入手してみますと,やはり中のトランスが複雑な巻線になっていて,配線を接続変更すると110Vに対応できるようです。驚いたことにCD104は110/127/220/240Vと4種類もの電圧に対応できるようになっています。

今じゃ,基本的には230V/115Vの切り替え式となっているものが大半で,RSコンポーネンツなどで売られているトロイダルトランスはこうなっていますね。 1次側に115Vの巻線が2組あり,それを並列に使うと115Vで,直列に使うと230Vと言う次第です。日本だと115Vの巻線にします。

CD104のトランスも基本は同じで,直並列切り替え式です。なんか抵抗制御の電車みたいだな~.....。細かい電圧はタップが出ていて,それで調整します。日本だと110Vの設定にします。

まずはトランスを取り出します。まあ,上面のカバーと底面のカバーを外せばできるはずですが,面倒でもトランスを取り出してやった方が簡単です。

Torx-10.jpg ねじはM3ですが,頭はトルクスです。

CDトランスポートねじ位置.jpg トランスポートねじ位置

CDトランスポートのメカまで外さないといけませんが,トランスを取り外せます。ねじが4カ所あります。電源スイッチ付近のはちょっと長いドライバーが必要ですけど。 

ねじは残念なことにトルクスになっています。そもそも英語ではプラスのねじ,というのはPhilipsというのですが,これは発明した米国人の名前で,このCDプレーヤのメーカのPhilipsとは関係ありません。ねじ回しはT-10が適合します。幸い,iruchanはLEPYのアンプをいじったときに秋葉で特殊ねじ回しのセットを買ってありますので,何にも問題ありませんでした。詳しくはこちらをご覧ください。

ギヤ部.jpg ギヤ部

なお,PhilipsのCD104やマランツのCD-34のよくある故障として,トレイが動かない,と言うのがあります。これはトレイのモータのプーリに掛けられているベルトが伸びてしまったか,モータのピニオンが欠けてしまった場合です。以前修理したものはこれらのメカは問題ないのに,どうしてもトレイが動かないので調べたらドライブ回路のTrが1個,飛んでいました。これは珍しい故障です。トレイ用のモータは前後に逆転しないといけないので,Hブリッジ回路になっています。私も鉄道模型の制御回路に使用しています。

このプレーヤは普通のCDプレーヤやパソコンのドライブと違って,トレイを押し込んでもモータは回転しません。もとからセンサも着いていないので,トレイを手で押し込んではいけません。 無理に押し込むとギヤが欠けます。

今回はどちらも問題ありませんでした。トレイのレールも含め,リチウムグリスを塗っておきました。 

さて,なんとかトランスを取り出してみたのですが,どうもおかしい.....。

サービスマニュアルの接続図どおりになっていません。何がおかしいのかとテスター片手にしばらく悩みましたが,bottom viewと書いてある下面図は左右逆です。こんなこともあるんですね。ご注意ください。

service manual.jpg サービスマニュアルを入手しました。 

service manual.jpg この下面図は左右逆です。

トランス端子.jpg 

正しい下面の図はこの通りです。 温度フューズを下面に内蔵しています。2次側の電圧は1次側100Vのときの実測値です。

トランス結線図1.jpg  配線の変更

    英国仕様            日本仕様 

1次側巻線を英国仕様の直列から日米用の並列に変更します。端子番号2と3の間に細い電線がはんだづけされているので,それを外します。この端子番号はサービスマニュアルに載っている番号です。

トランス配線(AC100V)1.jpg 1次側の配線変更です。

1次側は英国仕様に直列となっていますので,並列に変更します。 

余談ですけど,このトランスは錆び錆びになっていることが多いです。前回はここでトランスを再塗装しました。 

トランス配線(AC100V).jpg 青い電線が日本用に追加したものです。

この後,トランスにAC100Vの配線をはんだづけします。 AC100V→ のところに配線します。その後,フューズを英国仕様の0.2Aから日本用に0.5Aに交換します。本来はスローブロータイプなんですが,手持ちを切らしちゃったので普通の0.5Aにしましたが,問題ありませんでした。ミゼットフューズなのでちょっと探しましたけど。

フューズ交換.jpg フューズは日本用は0.5Aです。  

   フューズは電源スイッチのすぐ後ろ,プラスチックのフタの下にあります。

さて,ここまで来たら一応,各端子間の抵抗を調べます。▲の配線図通りなら問題ありません。

スパークキラー.jpg ついでにスパークキラーもつけちゃいました。

フューズを交換するついでに,電源スイッチの接点にスパークキラーをつけました。電源スイッチの接点をそのままでおいておくのはちょっと忍びないので。日本だと電圧が低い分,電流が大きいですからね。

次はいよいよ通電します。危ないので電源基板は接続せず,単にトランスの出力電圧を確かめます。念のため,スライダックを使います。 

徐々に10Vくらいから電圧をかけていきます。フューズも飛ばないし,トランスの巻線も熱くなったりしないので問題ないようです。

次に2次側の電圧を確認します。下記の電圧が出ていたらOKです。

トランス電圧チェック.jpg トランス2次側の電圧チェック

2次側一番奥とその隣の端子電圧をチェックします。28VくらいならOKです。ほかも調べないといけませんが,2次側の配線はいじっていませんので1カ所で十分だと思いました。 

lens cleaner.jpg レンズもクリーニングしておきます。

トランスを取り出すときにCDトランスポートを一部外さないといけないので,ついでにピックアップのレンズをカメラ用のレンズクリーナできれいにしておきました。 

さて,いよいよ電源部の基板を接続します。

電源基板(オリジナル).jpg 

  オリジナルの電源基板。大容量のフィルタコンデンサは日本のニチコン製です。

実はトランスを取り出したついでに電源基板も外してダイオードと電解コンデンサを全部交換しちゃいました。

整流のダイオードはGI社の1N4002が使われていました。1個ずつ,0.02μFのコンデンサをパラにしてノイズ対策をしてあり,感心しますが,ここはやはりファーストリカバリでしょ,というわけでUF4002に交換しました。1N4002はまだ製造されていますが,それのファーストリカバリ版です。ウルトラファーストリカバリと言うことでTrr=50nsと大変高速です。もっと高速なショットキーDiにする,と言うことも考えられますが,ショットキーは耐圧が低いので使わないことにしてます。

FRD.jpg おや????

もとの整流ダイオードはGeneral Instrument(GI)社製の1N4002(100V,1A)ですが,8536のdate codeがありました。1985年の36週目の製造のようです。 

なお,GI社は1997年にGeneral Semiconductorに買収され,さらに2001年にVishayに買収されています。Philipsの電子部品部門を買収したのもVishayなのでぴったりだと思います。

フィルタの電解コンデンサは日本のニチコン製が使われていましたが,下部に茶色い樹脂状のものがたまっていて,"お漏らし" か,と思ったのですが,これは接着剤のようです。サイズの大きなコンデンサは長年の間に振動でリード線が断線するため,接着剤で固定しているようです。ただ,なにぶんにも30年は経っていますので,交換しました。

液漏れ.jpg 液漏れではありません。 

もし,液漏れならパターンが腐食して切れたりして故障の原因になりますので早めに交換が必要です。もっとも,これは普通に接着剤が固まったような感じで,弾力性がありますし,接着剤と判断しました。それに液漏れなら結晶みたいな粉末が出ていたり,てっぺんにある防爆弁が膨らんでいたり,割れたりしているはずですので,これは違うようです。 

代替コンデンサ.jpg 置換用の電解コンデンサです。

電源基板(改修後)2.jpg 

 電解コンとダイオードを交換しました。同じVishayのコンデンサでも色が違います。 

そのほか,CD104やマランツのCD-34に大量に使われているPhilipsの青い自社製ケミコンは容量抜けがひどく,全然ダメですので,すべて交換が必要だと思います。前回,修理したときは容量を計ってみると軒並み1/4~1/10となっていて,ひどいのは0μFとなっていました。CD-34が音がよい理由はこのPhilips製の青いコンデンサ,と言うことになっているのですが,音はともかく,あまり性能はよくありません。

やはりコンデンサは日本製ですね~。Philipsも途中からニチコンに切り替えたらしく,今回入手したCD104は基板上のコンデンサの大部分がニチコン製でした。

ただ,電源の大容量コンデンサはニチコン製でしたが,なにぶん30年は経っているし,今後のことも考えて交換しました。ここは温度が高いし,環境も厳しいところです。安全のため,交換した方がよいです。-24Vの系統はPhilipsの031と言う型番のチューブラの青いコンデンサが使われていて交換しちゃいました。ここはサイズの制約から220μFと小さめの容量のが使われているので,1000μFに大幅増量しました。

-24V系統.jpg -24V系統です。  

ほかの電解コンデンサも大きめの容量のに交換しました。電源に使用されている電解コンデンサはフィルタが目的ですので,耐圧,容量ともに大きい分には問題ありません。小さいのはもとは33μF 16Vですが,25V耐圧のものよりなぜか63Vが安かったのでこれにしました。

これらのコンデンサは一応,Philipsの後継品と言うことでVishayのを使いました。RSコンポーネンツで入手可能です。 

Philipsのコンデンサなどの電子部品部門は1999年に本体から切り離されてPhilips BC componentsとなっていましたが,2002年にVishayに買収されています。買収されてからもBCのロゴをつけて同じ青い色(水色)のスリーブをかぶせていましたが,最近ブランドをVishayに変更し,スリーブもずっと濃い,紺色みたいな色に変わりました。RSコンポーネンツで旧Philipsブランドの後継品を入手できるので,今回,買いだめしておきました。また,今回CD104に使用されている,旧Philipsの031や035などのシリーズのケミコンもまだ入手可能なようで,同じく英国の部品屋から新品を買いました。

Philips capacitors.jpg 前回,保守用に集めたPhilips製電解コン 

本来ならニチコンのファインゴールドなんかにしたいのですが,一応,オリジナルを尊重することにしました。 

なお,-24V電源系統のフィルタは220μFと小さいので,1000μFに増量してあります。ただ,ここはスペースが小さいのであまり大きなコンデンサは入りません。 

さて,次は電源のテストをします。すべての電源電圧が正常に出ていることを確認します。+5/+12のほか,-5/-12/-18/-24Vもあります。

ここまで来たら配線を全部戻して音出しをしてみます。

電源投入。ちょっとビビりますが,何も起こりません。ホッ。

いよいよCDをトレイに載せて再生してみます。普通はトレイを収納したら自動的に再生がはじまるものですが,playを押さないと再生しないのでちょっとびっくりしました。 

きちんと再生します。早送りや逆戻り,リピートなどの各ボタンの動作もチェックしますが問題ありません。これの動きが悪い場合はタクトスイッチの交換が必要ですが,問題なさそうです。

う~~ん,やっぱりいい音だ~!!

次回はサーボ基板やデコーダ基板を整備します。 


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