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アイロン転写式プリント基板製作法 [電子工作]

2015年10月17日の日記

私は工作マニアなので,中学の頃からプリント基板を作ってきました。

最初はハンダが載る,ランドの部分だけインレタになったものを使い,途中の線はマジックで書いていました。

ただ,これじゃあまりきれいなものは作れませんし,複雑なものも無理ですけど,この方法で半導体のA級パワーアンプやプリアンプを作ったりしました。

でも,やはり複雑なものだと感光基板じゃないとダメです。

ところが,もう皆さん体験済だと思いますけど,感光基板ほど難しいものはありません。"初歩のラジオ" とか,初心者向けの工作マニュアルにも作り方は載っていますが,まずうまくいった試しがありません。

うまくいかない理由はまずは露光不足にあり,十分な紫外線をムラなく当てられないためです。よく,こういった本に太陽光で30分なんて書いてありますが,夏と冬では日射が違いますし,雲の量などでも全然違います。

と言う次第で,専用の紫外線露光装置でもない限り,きれいに作ることはできません。

私の場合は紫外線ランプ(FL-15BLなど)を使って自作したものを使うようになって初めてようやくきれいにできるようになった,と言う次第で,ここ10年ほどはずっと感光基板を使っていました。感光基板の作り方については当ブログの記事を参考になさってください。

10Wや15Wなどの直管式蛍光灯を使った古い蛍光灯スタンドがあれば,ランプだけ差し替えて露光装置にすることができますのでご活用ください。

ところが,これでも次の現像で失敗したり,まだかなりの確率で失敗してしまいます。

失敗したら焼け残り? をアルコールで落とせばまた生基板として使えますが,もう感光基板としては使えません。それに,今さらまたインレタとマジックでパターンを描いてプリント基板を作る気もしませんしね......。

感光基板は高く,100×100mmのもので600円ほどしますし,現像液もいりますから失敗したらかなりの損害です。生の基板だと同じ大きさで100円ほどですから,感光基板は高いです。おまけに賞味期限? まであって,せいぜい1年ほどですから,一体どうしろっちゅうんじゃ,と怒ってしまいます。

PDVD_102-1.jpg このあと投げるぞ....。
 
   私も失敗した基板を何回かブン投げた記憶があります.....(^^;)。

それに,感光基板の欠点として,一部分だけ感光させて残った部分をまたあとで工作に使う,と言うことはできません。だから小さな基板の時は余白がもったいないので次の工作ネタが出てくるまで待ったり,予備のつもりで同じ基板を2枚作って余白を埋めたりしないといけません。

失敗した場合は,生の基板に戻したものの上に感光剤を塗布して再利用できればよいはずですし,実際,米国製のスプレー式感光剤が秋葉原で売られていたらしいのですが,もう入手できません。これがまだ売られていれば便利なんですけどね~。

さらに,数年前,サンハヤトは感光剤の材質を変更し,従来の現像液は使えなくなりました。スプレー式のを何本か買いだめしていたのですが,無駄になってしまいました。

       もぅおっ~~~っっ!!!!!

と言う次第で,とうとう古い感光基板の在庫がなくなったのを機会に,感光基板とはおさらばしようと思いました。

実は,最近,アイロンを使ってプリント基板を作る方法がある,と言うことを知りました。

レーザープリンタやコピー機を使って転写用の用紙にプリントパターンを印刷し,アイロンでトナーを生のプリント基板上に転写する,と言う方法です。これなら普通の生の基板を使うので安いし,失敗してもやり直しがききます。そこで,今年の春からちょっと研究をしていました。

ただ,なかなかうまくいきません。何度もテストして,ようやくうまくできるようになったのでご報告します。

まず,転写用紙ですが,次の2種類を試しておられる方が多いようです。

    OHPシートを使う方法

    普通紙を使う方法

OHPシートと言ってもそのままじゃトナーが密着してしまって転写できないので,表面にPVAを塗る方法が試されているようです。

PVAとはポリビニルアルコールのことで,ポバールとも言います。以前,仕事で使ったことがあります。合成糊の原料で,洗濯糊や事務用に使われる固形糊にも使われています。固まると親水性の皮膜を作るため,エアコンの熱交換器のフィン表面なんかに塗られていたりします。

水溶性なので洗濯糊を霧吹きに入れてOHPシートに吹き付けて乾燥させる,と言う方法をしている方が多いようです。

ただ,困ったことに最近のレーザープリンタはOHPシート印刷に対応していないものが増えています。肝心の印刷ができないんですね~。感光基板を作る上でも,OHPシートが必要なんですが,これの印刷ができなくなりつつあります。もうOHPなんて時代じゃないのでしかたないのかもしれません。

と言う次第で,普通の紙を使う方法を試してみました。

ところが,これはまあまあうまくいくのですが,完全ではありません。そもそもなかなかトナーがうまく転写できません。前回のマーカーPWM式調光器はこの方法で基板を作りました。

途切れ途切れになってしまったり,ベタ部分なんか,まだらに転写されてしまい,基板の地肌が見えてしまったりします。

おまけに紙をはがしたあとに,紙の繊維が基板表面に残ってしまい,歯ブラシやたわしで落とすのですが,どうしてもパターンも一緒に落ちてしまったりします。

また,紙の繊維なので水がついてしまうと見にくく,きれいに落ちたと思ってエッチングするとパターンの周囲が繊維でギザギザとぼやけてしまいますし,よく見ると隣のパターンときわめて細い線でショートしてしまっている,と言うことがよくありました。
 
普通紙エッチング後.jpg これじゃダメだよな~。
 
普通紙じゃなく,写真印刷用の紙を使っておられる方もいらっしゃいますが,私がテストしたらダメでした。アイロンの温度だけでなく, どうもプリンタのトナーの材質やドラムの温度などで変わるようです。

ということで,やはり専用のプリント基板用の転写紙でないとダメかと探してみますと,なんとAmazonで売っているではないですか。

米国Techniks社製のPress-n-Peelと言う製品です。OHPのような透明樹脂の表面に青い塗料のようなものが塗られています。

Press-n-PeelとはPress and Peelの略で,"押しつけてはがす" という意味ですね~。

確かに,これはきれいにパターンの転写ができるようですし,美しいプリント基板ができるようです。

ただ,A4サイズ20枚で33ドルもしますし,Amazonでは6,400円もします。

う~ん,ちょっと高いな~。私は個人輸入も趣味なので,直接米国から買い付けようかと思いましたが,それでも送料を考えると1枚あたり300円くらいか,という感じです。

カナダで20枚で3,200円くらいで安く売っている店を見つけましたが,送料について尋ねたら船便で6米ドル,郵便で14米ドルと返事が来ました。カナダなのに何で米ドル? と思ったらよく見ると返事はTechniks社の担当者から来ていました。要は結局,直販のみなんですね。

と言う次第で,こちらもあきらめてしまいました。まあ,1枚あたり300円と考えても感光基板は1回切りですが,この用紙は余った余白でまた印刷できますので,感光基板よりは安いのは確かなんですけどね......。

それで,今度はeBayで検索してみますと,なんと中国製の単なる剥離紙が売られているではないですか! ちゃんとプリント基板用と書いてありますし,写真を見ると表面がつるつるしたシールの台紙みたいな剥離紙です。

おそらく,専用のプリント基板用というわけじゃなく,シールの台紙を流用しているだけ,と思いましたが,値段が10枚で1ドル70セントでした。おまけに送料無料で,結局,210円でした。

ダメでもともとということで落札してしまいました。Buy it Now! なので即落札です。PayPalで1ドル70セントを支払って終わりです。

落札したら売り手から早速メールが来て,日本までだと40日くらいかかるけどいいか(もちろん,原文は英語)とのこと。売り手は香港人のようです。

まあ,LepaiのLP-2024A+を今年の5月に購入していますが,日本まで10日ほどでしたし,こんなにかかるわけがありません。 "いいからこのまま送って" と返事を出しておきました。

なんのことはない,やっぱりちゃんと10日ほどで届きました。
 
envelope.jpg 香港から届きました。
 
toner heat tranfer paper.jpg どう見てもシールの台紙ですけど....。

見てみると表面がツルツルのA4の黄色い紙です。表面に何か塗られていて,ツルツルになっています。おそらくはシールの台紙ですね~。

これなら何とかうまくいきそうな予感がします。実際,シールの台紙などで実験されている方もいるようです。ただ,シールの台紙だとそれだけ入手することはできませんし,うちの子ももうシールで喜ぶような歳じゃないので,シールを買いに行くのも気が引けますしね......(^^;)。

なお,剥離紙で検索してみますといろいろ出てきますが,シリコンを含有しているものが多いらしく,シリコン入りのものはうまく転写できないという話を聞きます。

さて,早速,パターンを印刷してみます。

ところが,やはり表面がツルツルなためか,プリンタを選びます。最初は乾式複写機の発明者の名前の会社が作ったプリンタを使ったら中で詰まってしまい,紙を引っ張り出したらこんな具合でした。パターンが途切れ途切れになっちゃっています。
 
xerox printer.jpg 複写機の発明者の会社のプリンタです。 

まあ,これでも無事に転写できれば,途切れたところだけマジックで補修すればいいですけど,もう1台,別のレーザープリンタがあるので試してみようと思います。

皮肉なことにインクジェットプリンタで頭にきているのでとても嫌いなカメラ屋のレーザープリンタは大丈夫でした。もちろん,私が使っているカメラはこの会社のじゃありません.........(^^;)。

中で詰まりもせず紙は排出され,パターンも途切れもせず,きれいに印刷されています。
 
canon printer.jpg カメラ屋のプリンタの印刷結果です。 
 
なお,この紙はeBayで,"heat transfer paper PCB" と検索すると出てきます。英語でPCBとは悪名高いポリ塩化ビフェニール(PolyChlorinated Biphenyl)のことですが,Printed Circuit Boardの意味もあり,プリント基板のことです。
 
ついでに,万能基板って英語でなんて言うのか,と思って米国人の友人に聞いたら perf board という答えが返ってきました。perf とは perforated の略で,要は "穴あき基板" の意味ですね~。 

転写後.jpg うまく転写できました。

13-1.jpg
 
  ♪これでいいの~,少~しも悪くないわ~ (松たか子さんの声で!)
 
ん~,実は "少しも" というのはまだまだで,仕上がりは感光基板の方がよさそう。もっと研究が必要な感じです。
 
これで,まずはハイfTトランジスタを使ったパワーアンプを作りたいと思います。


【新しいプリント基板の作り方】

まずはプリントパターンを作ります。専用のソフトがあればいいですけど,お絵かきソフトで十分です。私は "花子" を使っています。

2SA1002/C2322パワーアンプ基板作成画面.jpg パターンを作ります。
 
なお,当然のことですが,プリントパターンは紙に印刷してトナーを転写するので,左右反転した状態にしないといけません。感光基板だとこの手間はいらないんですけどね。

"花子" はちゃんとミラー反転できるようになっていますが,残念ながら文字はミラー反転しません。まあ,文字がなくてもいいのですが,文字もあった方が何かと便利です。

"花子" で文字をミラー反転するにはフォントエフェクトツールを使うのですが,ちょっと使いにくいです。

と言う次第で,簡単に画面をハードコピーして画像として保存して画像編集ソフトで左右反転しました。こんなことやると解像度が低いのですが,まあ,プリント基板にするくらいなら十分です。

実はちゃんと "花子" には画像で保存する,と言うオプションもあるのですが,こっちの方が簡単です。

私は "Microsoft Office Picture Manager" で反転させました。

2SA1002/C2322パワーアンプ基板作成画面1.jpg 左右反転します。
 
これを印刷すればOKですが,直接,画像編集ソフトで編集する手もあるんですが,一応,Wordに張り付けてやってみました。

というのは失敗することを考えて,何枚か同じ画像を印刷したいのですが,画像編集ソフトは案外,こういうことが面倒なのでWordでも使った方が簡単です。

このとき,Wordでサイズを指定できるので,原寸通り,100×100mmにします。

2SA1002/C2322パワーアンプ基板作成画面2.jpg サイズの調整です。
 
これを印刷します。

嫌いなカメラ屋のプリンタ(しつこい)で,用紙を選択します。カメラ屋のプリンタ(インク安くしろ!)には "コート紙" というオプションがあったので,それを選択しました。

さて,次はいよいよアイロンで転写です。
 
まずは基板表面に水を垂らしておいて,転写用紙を貼りつけます。セロテープなどを使ってもアイロンの熱で溶けてしまうのであまり意味がありません。 

アイロンは温度的には低でOKだと思います。あまり温度が高いと基板が熱で反ってしまうのでご注意ください。

紙をプリント基板の上に載せ,アイロンを押しつけます。このとき,最初はアイロンは動かさず,軽く押しつけて用紙が密着するまで待ちます。その後,2,3分間,じっと動かずにアイロンを押しつけます。最後に普通に服にアイロンをかけるように動かしてムラなく加熱しておきます。。


iron.jpg アイロンで加熱中です。
 
普通紙の場合,水で濡らしたふきんをかぶせて蒸らしながらはがすとネットに出ていますが,いまいちうまくいきません。
 
なぜかというとやはりここでも水分が重要で,はがすときに水分をたっぷり含んでいかないといけないのですが,アイロンの熱のせいですぐに水分が蒸発してしまい,うまくいきません。
 
ステンレスのトレイに熱湯を入れて,そこでしばらく紙が完全に水分を含んでふにゃふにゃになるまで待ってピンセットではがすとうまくいくことに気づきました。 
 
熱湯.jpg 熱湯ではがします。 

もし,パターンが途切れているところがあればマジックで修正し,あとはこのまま,いつも通りエッチングすればOKです。

ついでに,もし失敗しちゃったらステンレスたわしでこすればパターンがきれいに消えるので,またやり直しができます。感光基板はもうやり直しができませんからね~。
 
steel scourer.jpg 
  
  失敗したら水をかけながらステンレスたわしで落とします。 

エッチング後にパターンをはがすのも同じステンレスたわしでOKです。
 
エッチング後.jpg エッチングするとこんな感じです。

と言う次第で,何とか新しい方法でプリント基板を作る方法を確立しました。今後,この方法でプリント基板を作っていきたいと思います。感光基板よ,さようなら~~!!
 
 
【おまけ】
 
以前紹介した,我が家のシロバナタンポポの花が咲きました!
 
シロバナタンポポ.jpg 日本の固有種です。
 
嫌いなカメラ屋(しつこい)のカメラじゃなくて,もと丁稚出身の創業者の電機会社のカメラで撮影しました。 
 
黄色い固有種というのもあるのですが,白いタンポポは日本の固有種です。植木鉢で育てています。
 
じゃがいも.jpg じゃがいもの花
 
ついでに,夏に植えたじゃがいもの花も咲きました。こんな花なんですね....。実を言うと見るのは初めてです。 

かき氷.jpg まだ食ってます....。
 
今日は暑かったので愚息とフリスビーで遊んだ後はこれです。さすがにシロップをもう近所のスーパーじゃ売っていないので,Amazonで買いました。おいし~~。
 
 

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