So-net無料ブログ作成

Cherry 6石スーパートランジスタラジオキットCK-606の組み立て 【シリコントランジスタ版】 [ラジオ]

2014年9月7日の日記

2年前,Cherryの6石キットCK-606をゲルマニウムトランジスタで作りました。もちろん,オリジナルはシリコントランジスタ使用で,2SC1815を使用しています。天の邪鬼な私はそれじゃおもしろくない,ということでゲルマニウムトランジスタを使って組み立てました。多少の回路変更が必要ですが,無事に動作し,今も楽しんでいます。

私が作ったゲルマニウム版のTrのラインナップは 

2SA49(Osc.)--2SA49×2(IF)--1K60(det.)--2SB400(audio)--2SB134(output)

です。いずれもまだ比較的入手しやすいゲルマニウムTrを使いました。メタルキャンの円筒形のTrが並ぶ姿はとても懐かしく,またラジオ自体の感度も非常によかったので,お気に入りのラジオとなりました。改造に関する内容は上記リンクをご参照ください。

ところが,まだシリコンTrでは作ったことがありません。ラジオはゲルマニウムTrの方が音がよい,と言う話もあり,一度,シリコン版を作って比較したいと思っていました。

そこで,週末に秋葉原ラジオデパート3Fのシオヤ無線へ行ってキットを購入してきました。

ところが,開けてびっくり。Trは2SC1815から2SC3198に変わっています。どうも韓国KEC製のようです。TO-92タイプの小信号用Trがどんどん製造中止になっていて,とうとうここまで来たか,という感じがします。2SC1815は昨年,製造中止になりました。そのせいでしょうか。もっとも,前回のブログにも書いたとおり,2SC1815の東芝の代替推奨品は2SC2712で, リードタイプのTO-92型じゃなく,表面実装のTrになっています。2SC1815が製造中止になったので,急遽,リードタイプで入手可能な品番に変わったようです。

と言って,天の邪鬼な私は最初からキットに付属しているTrで作るつもりはなく,シリコンTrでも古い物を使おうと考えていました.......。なんてやつ!

トランジスタラジオと言えば.....,やはり2SC372ですよね! (じじいだな....。)

私が中学生の頃,電子工作と言えば2SC372が万能で,ラジオをはじめとしてインタホンやトランシーバ,風呂の湯面計などありとあらゆる電子工作の定番でした。メーカが東芝で,私の住んでいる北陸の田舎のようなラジオ屋さんでも簡単に手に入る,と言うことも理由の一つだったと思います。当時,地方のラジオ屋では扱っている半導体は東芝が主体で,NECですら入手は難しかったくらいです。もちろん,松下やソニーの半導体なんて手に入るはずもなく,こういう半導体を使っていると東芝の同等品を使わざるを得ませんでした。10WのA級アンプを作ったとき,2段目の主要なTrにソニーの2SC1124が指定されていましたが,手に入らず,結局,東芝の代替品(型番は忘れてしまいましたが,CQ出版のトランジスタ互換表を見ると2SC1625だったようです)を使った記憶があります。ソニーファンの私はこれがおもしろくなく,できあがったアンプも気に入らなくてそのうちに解体してしまいました。

まあ,極端な話,TrはPNPかNPNかを間違わなければたいてい,問題なく動くものなんですけどね.....。2SC1124の代わりにNECの2SC959でも使っておけばよかった,と言う気がします。

と言う次第で,このCherryのキットに使用するTrは何にしようかと迷いましたが,やっぱり2SC372にしました。部品箱を探すと,いにしえのTrが出てきました。ハンダ跡のついた中古品もあり,昔遊んだんだな,と感慨深いものがありました。

驚いたことに,私が中学の頃買った2SC372は銅のリード線を使い,表面には金メッキが施されていました。もちろん,TO-92のようなかまぼこ形のモールドじゃなく,シルクハットみたいにつばのついた懐かしい形です。ロゴもToshibaの筆記体で書かれている物でした。懐かし~~!

私が大学に入った頃にはもう忘れられた存在になっていて,形状も普通のかまぼこ形のTO-92に変わり,リード線も鉄になって表面のメッキもスズメッキに変わっていました。リード線が鉄のものは打ち抜きで作るので断面がになります。丸い銅線の方がいいですね。オーディ用のTrだとなおさらで,断面がだと憂鬱になります。おそらく,シルクハットタイプは70年代の物だと思います。

2SC372, 2SC3198.jpg 

   昔懐かしい2SC372。一番右はキット同梱の2SC3198

いくつかバリエーションがあるようで,シルクハットタイプでもロゴが単にTとだけ表記されているようになったものや,リード線もスズメッキの物もあるようです。 

それにしても,こういう安い半導体にもわざわざ金メッキを施していた時代があったとは驚きです。コストのためか,銀メッキしたTrも出てきますが,空気中の硫黄酸化物と反応して硫化銀を生じて表面が真っ黒になり,それがモールド内部にまで侵食するのか導通不良になることも多く,ラジオの故障の原因になります。BCLラジオに多用された三菱の2SC710なんか,そうですね。私の手持ちのソニーのV-FET2SK79もそうです。

2SC372は万能の低周波用Trとして,AMラジオやトランシーバなどに使われました。もちろん,低周波用なのでHiFi用としても使われるTrで,実際,あるときHiFiアンプに使用されている記事が出ましたが,さすがに2SC372=ラジオというイメージがあって敬遠してしまいました。やはり低雑音のHiFi用なら2SC1000とか,2SC1222(古っ~!)とかじゃない,と思ったものです。

さて,Cherryのキットは今でこそ新しい品番の物になっていますが,説明書に載っている写真を見る限り,やはりシルクハットの形状のTrが使用されていて,初期の頃は2SC372だったと思います。ただ,局発は2SC371で,出力は2SC735かもしれません。2SC371はfTが150MHzで,むしろ2SC372より低いのですが,規格表を見ると中波帯周波数変換用となっています。残念ながら部品箱をひっくり返したら2SC371は出てきましたが死亡していました........orz。2SC735は出てこなかったので,仕方なくオール2SC372にしました。ちなみに▼を見ると2SC372はfTが200MHzもあるので,FM用としても使えるはずですが,FMラジオに使われているのは見た記憶がありません。

VCBO  IC  PC  fT       用 途

2SC372 60V 0.15A 0.4W 200MHz 高周波,低周波増幅

2SC735 35V 0.4A 0.3W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

2SC1959 35V 0.5A 0.5W 300MHz 低周波電力,励振段,SW

この規格を見る限り,出力用には2SC735の方がICが大きいのでよさそうですが,2SC372でも問題ありませんでした。将来,シルクハットの2SC735が手に入ったら差し替えてみようと思います。なお,2SC19592SC735の互換品です。2SC1959でもよいのですが,形状がTO-92です。やはりシルクハットのものを,と考えました。こだわりすぎ!

さて,組み立てはゲルマニウムTrの場合は電源やバイアス回路の変更などが必要ですが,今回はシリコンTrを使っていますので,まずはキットの通り組み立ててみますが,調整のため,局発やIF出力の波形がモニタできるよう,テスト端子を設けておくと後々,便利です。

素直に組むことにすると大体1時間半~2時間くらいで全部の配線が終わってしまいます。 

基板2.jpg 内部

T.P.とあるのはオシロのプローブ用のテスト端子です。あらかじめ設置しておくと後が楽です。 バーアンテナのコイルは調整前の状態で,調整後はずっとバリコン寄りになりました。

基板1.jpg 懐かしいTrたちの姿です

さて,配線が終わったらここでコーヒーでも飲むか,昼寝でもして(おぃ),休憩します。このまま即通電,なんてことをやるとロクなことはないと思います。ところが,今日はこのまま先に進んだらやっぱりロクなことはありませんでした......。

最後に配線チェックしていよいよ電池をつないで通電します。

ガリッとスピーカから音がしますので,低周波部はOKのようです。ところが,バリコンを回してもウンともスンとも言いません。いやな予感がします。普通,AMラジオ特有のガー,ガー,バリ,バリというような雜音がするはずですが,それもしません。

こういう場合,まず疑ってかかるのはスーパーのラジオだと局発が動作しているかどうかです。

早速,先ほど設けておいたテスト端子にオシロのプローブをさして確認します。オシロのプローブ自体に容量があり,局発の周波数に影響を与えますので,今回はTr1のコレクタにテスト端子をつけておきました。

局発波形.jpg オシロでの確認状態

オシロで見てみると局発はちゃんと動作しているようです。う~ん,原因はほかのようです。とりあえず,局発は動作していることがわかったので,この状態でトラッキング調整をしてしまいます。

バリコンを一番低周波に回し,OSCコイル(赤)を回して985kHzを発振するようにします。今回,IFは450kHzにしましたので,535+450で985kHzです。

次に,バリコンを一番,高周波の状態にし,OSCコイルにパラに入っているバリコンのトリマ(O)を回して2055kHzにします。

これを何回か繰り返して局発が985~2055kHzの範囲で発振するよう調整すればOKです。

次に,シグナルジェネレータを接続し,450kHzで発振させます。この状態でオシロをIF出力につなぎます。検波段のIFTは黒です。セラミックフィルタを使っているとこの調整は楽で,放送局を聞きながら音量が最大になる位置に固定すれば自動的にIFは450kHzとなりますが,セラミックフィルタを使っていない場合はSGが必要となります。SGをお持ちでない場合はC-MOS ICとセラミック発振子を使った簡単な発振器を作っておくとよいと思います。

正常ならばIF出力が最大になるよう,各IFTのコアを回せばIFTの調整は終わりです。

この状態でIFの出力を順に局発から見ていくと,2段目の出力が0でした。

電源を切って,Trが死んでいるかもしれないのでチェックします。今回は私が中学の頃使っていた古いTrを使っていますので,前回,飛ばしてしまった物を使っている可能性があります。

基板の裏から,各Trのピンにテスターのリードを当て,ダイオードチェックをします。P-N接合の順方向電圧をチェックすればDiやTrが生きているかどうかわかるので,デジタルのテスターにはたいてい,この機能があります。ダイオードの記号がついた位置にダイヤルを合わせて,P-N接合電圧をチェックします。

具体的には,NPNのTrの場合,ベースに赤リード線を当て,エミッタ,コレクタに黒のリード線を当ててチェックします。Trが生きていればベース~エミッタ,ベース~コレクタ間の電圧は0.6Vくらいになるはずです。PNPだとリード線は逆になります。

こうやってチェックしますと無事にTrは生きていました。となると.....。

結局,原因はハンダ付け不良でした。中古のTrを使っていたので,リード線が少々短く,基板の裏側にあまり顔を出していなくてハンダがあまり着いていなかったようです。ガクッ。

あまりに簡単な原因でした。ガキの頃からハンダ付けやってますが,いまだにミスをします.....(^^;) 。

これでラジオが動作するようになりました。IFTのコアを調整してとりあえず終了です。

この時点でどこか局が入るはずです。静かにバリコンを回してみると元気に地元の民放が入りました。

ただ,バリコンを回していくとところどころでビュッ,ビュッと大きな音がしますし,無音になるところもあります。発振です。

たいていはIF段の発振なので,IFTの1次側の負荷抵抗を下げてやります。パラに100kΩ位の抵抗を配線してやると直ります。実際,前回のゲルマ版はIFT-1,IFT-2ともに100kΩをパラにしています。今回は両方やるとゲイン不足で音量が小さくなりましたので,IFT-2のみパラにしました。こうやって発振は止まりました。なお,検波段のIFT-3はもとからQが低く,ここは抵抗をパラにしなくても問題はないはずです。

それと,特にやる必要はないのですが,バーアンテナのQも下げてやります。バーアンテナとバリコンの間に30Ωを挿入しました。▲の内部写真で30Ωとある抵抗です。こうやるとQが下がって帯域幅が広くなり高音が出るようになります。また,同調もやりやすくなります。これを入れないと同調はきわめてピンポイントで,やりにくいと思います。 

また,CK-606はバーアンテナが途中で変わったらしく,前回のゲルマ版では発振に手こずりましたが,今回は大丈夫でした。 

このあと,バーアンテナのコイルの位置を調整して終わりですが, これが難航しました。1300kHzくらいの民放はガンガン入るのに,700kHzくらいのNHK第1が入りません。やはり高周波になるほどバーアンテナのQが上昇するのでこうなるのは仕方ないですが,NHKが入らないのは困ります。

原因がわからず,しばらく放置していましたが,気を取り直してもう一度トラッキングを調べてみます。

なんと,局発の下限を885kHzで調整していました。100kHz間違えていたわけです。とうとう算数までできなくなってきたようです.....。 

ここまできたらバーアンテナのコイル(L)の位置を変化させて,低い周波数の局も高い周波数の局もまんべんなく感度よく入る位置に固定します。この調整を辛抱強くやらないと特に低い周波数にある放送局がきれいに入りません。これが終わったらコイルをエポキシか何かで固定しておきましょう。 最後にバリコンのアンテナ側トリマ(A)を調整して一番音量が大きくなる位置で固定します。

さて,ようやく無事に動作するようになりました。

ただ,これじゃちょっとおもしろくない。相変わらず天の邪鬼な私はパイロットのLEDをつけることにしました。ゲルマ版と差をつけたいですしね。と言って,単純に電池から抵抗で電流制限してLEDを挿入するだけだと電池の消耗につながりますので,以前,英国Mullard社の初期の黒いロケット型のTrを使ったラジオで試した方法を使います。 局発~低周波増幅の間のA級増幅段向けの電流を供給する回路に,このキットで言うとR11に220Ωの抵抗が入っていますが,この抵抗の代わりにLEDを挿入しました。この部分の電流値は2mAくらいですので,十分LEDが点灯します。本当言うと同調指示用のLEDの方がよいかと思いましたが,これは宿題とします。でも,結構,こういう "光り物" があると楽しいものです。

完成写真.jpg  完成しました。パイロットランプをつけました。

やはり前回のゲルマニウムTr版同様,やはり非常に感度がよいです。キットとはいえ,十分に実用ラジオになる感度です。市販のラジオでもこれくらいの感度があるものはなかなかないと思います。肝心の音の方は先月のブログのソニーSRF-18はなかなかいい音でしたが,このラジオはスピーカがあまりよくなく,キャンキャンとトランジスタラジオ特有の音がします。ゲルマニウム版と聞き比べをしようと思いますが,片付けてしまったのでまた次回です。

では,皆様,ごきげんやう,さやうなら。

 

2014年9月15日追記

同調指示LEDをつけることにしました。単なるパイロットランプじゃつまらないですからね。

でもかなり難航しました。AVCラインから取ればいいかと思いましたが,実測してみると数mV~100mV程度の電圧で,LEDを点灯できるほどの電圧じゃありません。Trを用いてスイッチングしようとしてもまだ電圧が足りません。それに,AVCの電圧は-で,ちょっと利用できるものじゃありませんでした。

仕方ないので,別途,検波回路を設けることとし,1段増幅して2段目のTrをスイッチングすることとしました。初段のTrで増幅した後,検波し,1MΩと10μFの時定数で平滑化して2段目のTrをonします。Trはいらない子? の2SC3198を使いました。 

LED同調指示回路1.jpg 同調指示回路です

LED基板.jpg 基板を作りました

LED基板実装状況.jpg 実装状況です

残念ながら,Tr1段ではまだゲイン不足で,もう1段ないと感度よく点灯してくれません。Trを追加してもよいですが,実装が厳しくなるので,やはり ICを使った方が楽な感じです。ICを使った感度よい同調指示回路を検討してみます。

 

2014年12月1日追記

2SC371および2SC735を入手しました。オリジナルのシルクハットタイプでした。まだ入手可能です。

2SC369,371,372,734,735.jpg 懐かしいTrたち

左から2SC3692SC3712SC372(2種),2SC7342SC735 

早速,取り替えて使っています。全部2SC372というのもちょっとね~と思っていたので満足です。 ただ,部品屋さんの廃業もあいついでいますし,ディスクリートの部品もどんどん製造中止になっているので,こんな贅沢ができるのも今のうちのようで,残念です。


nice!(0)  コメント(4) 

nice! 0

コメント 4

かっぱ

初めまして、Bトレ好きのかっぱと申します。
以前の記事<2011-06-05>を参考にさせて頂きチラつき防止対策させて頂きました。結果、大変良好です、
当方、電気的な知識が全く無い状態で工作していますので
皆様のご協力無しには何一つ完成できません
大変参考に成りました、ありがとうございます。

by かっぱ (2014-09-15 22:13) 

iruchan

かっぱさん,どうもご愛読ありがとうございます。

スナバ回路はCとRの値により効果が変わりますので,うまくいかないときはいろいろ試してみてください。基本的にRが小さい方がよい感じです。

またいろいろ改造してみますので引き続きよろしければご覧ください。
by iruchan (2014-09-16 20:42) 

okaday

はじめまして。チェリーのラジオ、私も作りました。電池が006Pで、結構高価なんですよね。ツバ付きのC372、ありましたね。B56やC945なんかも、よく使いました。
by okaday (2015-12-22 23:53) 

iruchan

okadayさん,どうもコメントありがとうございます。

確かに006Pの電池は高いですね~。でも100円ショップで三菱のを100円で売っていたりするのでよく使っています。マンガンですが,むしろラジオにはアルカリよりよいと思います。

つば付きの2SC372はよく遊びました。2SB56はとても高くなっています。

2SC1815の代替に2SC945がいいようです。とうに製造中止ですが,2SC1815より安かったりするようです。
by iruchan (2015-12-23 11:07) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。