So-net無料ブログ作成

Cherryの6石スーパーラジオキットCK-606のゲルマニウムトランジスタ化 [ラジオ]

2012年7月7日の日記

先日,Cherryの8石スーパーの記事を書きました。それでおしまいにするつもりでしたが,やはり6石も作っておこうと思いました。やっぱ,スーパーと言えば6石というのが定番ですからね。また,キャビネットも8石とは違うし,小型なので,ぜひ作っておこうと思いました。

さて,例によって天の邪鬼な私はキットのままで作るのは面白くない,と言うことでやっぱりゲルマニウムTrで作ることにします。CK-606自体は'70年代半ばの販売開始のようで,前回の8石の時もそうでしたが,説明書の写真を見ると昔は2SC372(懐かし~~)を使っていたようです。現在は2SC1815になっています。基板もゲルマニウムTrは左からEBCの配置のものが多いのですが,シリコンTr用に,ECBの配置で設計してあります。ACEの6石スーパーのキットはゲルマ時代がありましたが,Cherryは最初からシリコンだったようです。 それにしても何でシリコンTrはECBの順なのでしょうか。FETはゲルマニウムTr同様,ゲートがまん中に来ているものが多くてわかりやすいですが,シリコンTrはわかりにくいです。

さて,今回は入手可能な部品を使う,と言うことでゲルマのTrも現在入手できるものを使うことにしました。ゲルマニウムTrもつい最近まで入手が容易でしたが,さすがにもう市場から消えつつあり,あらためて探すと「そんなものない」と言われることが多くなりました。東芝の2SB54なんてどこに行ってもありましたが,もうありません。

いつもラジオの部品を購入する秋葉のラジオデパート3Fのシオヤ無線さんで東芝の2SA49や三洋の2SB400を売っていたので,キットと一緒に買ってきました。2SA49は旧型番2S49で,最初のものは1960年以前の製造です。ゲルマニウムTr自体は'70年代いっぱいで製造が打ち切られたようです。NECが真っ先にやめ,東芝が製造中止したのは1976年のようです。最後までゲルマニウムTrを製造したのはどうも松下電器のようで,真空管も国内で最後まで製造したのは松下でしたね。'70年代末には製造をやめたようです。と言うことはどんなに新しいゲルマニウムTrでも製造されてから30年以上経っていますね。

と言うことで,Trのラインナップは下記のようになりました。

2SA49(Osc.)--2SA49×2(IF)--1K60(det.)--2SB400(audio)--2SB134×2(output)

2SA49はCQ出版社のトランジスタ規格表を見るとIF用で,局発に使えるかどうかわかりませんが,使ってみることにします。その規格表にfTの記述がないですが,どうもfTは5MHzのようです。この前,MullardのIF用のOC45を局発に使ってトラブりましたが,2SA49は使えるかどうか。2SA52があればぴったりです。2SB400はローノイズ用で,検波後の音声増幅にぴったりだと思います。2SB134は三菱製で,本来は音声信号増幅用ですが,2SB54と代用可と言うことだったので出力に使いました。いずれも@100~130円でした。

回路の変更点は前回の8石スーパーと同じです。まず,電池はもちろん,全部のケミコンと検波用のダイオード(D1)の極性を逆にします。基板に+と書いてあるところに-極をつなぐのは気がひけますが,こうしないと動作しません。

次に,出力段のバイアス回路はオリジナルはシリコンDiを使っていますが,ゲルマの時代はサーミスタです。シオヤ無線で200ΩのサーミスタD-22がありましたので,買ってきました。いにしえの部品です。バイアス回路は8石の時と同じですので参考にして下さい。それ以外の定数はもとのキットのまま,変更ありません。

さて,夕飯を食べて作業開始です。

全部で1時間ちょっとで配線が終わります。慎重に抵抗やコンデンサの値と極性をチェックし,Trのピンの誤配線にも気をつけてチェックします。

基板.jpg 基板です。変更点を示します。

   ダイオードとケミコンの極性が逆なのにご注意下さい。

基板(裏).jpg 電池の接続も逆です。

発振対策でIFTの1次側にパラに100kΩを抱かしてインピーダンスを下げました。ついでにこうすると帯域幅が広くなってHiFiになります。

さて,電池をつないでスイッチON!

一応,スピーカからかすかに雑音が聞こえるので,低周波部分はOKのようです。すぐに出力段の共通エミッタ抵抗10Ωの両端の電圧を測定して出力段の電流を確認します。0.1V程度の電圧ならOKです。今回は0.044Vでした。

バリコンを回して,どこか局が入ればOKですが,どこも入りません。まだトラッキング調整していないと言ってもたいていはどこか受信できるものです。

誤配線やハンダ付けミスを疑ってスイッチを切って考えてみますが,よくわかりません。発振かな?,局発が動作していないのかな? と思いますが,どこか状況が変で,よくわかりません。こういう時は寝てしまいます.......おぃ。

翌朝,目覚めてから基板のチェックを再開します。すぐに原因がわかりました。

IFTの2個所あるシールドのグランドを1個所,ハンダ付けしていませんでした。なぜ昨日,これがわからなかったんだろ,と言うぐらいあっけないミスです。やはり配線した直後にチェックしてもどうにも頭に血が上っていて,単純なミスでも気づきません。ということでわけがわからなくなったら寝てしまう,と言うことにしています。

前回,ディスクリートでプリント基板からスーパーを作ったので,よくわかりますが,IFTのシールドをジャンパー線として利用するパターンがよくありますので,ご注意下さい。さすがに6石ともなると回路が複雑で,こうでもしないとパターンの設計ができないことが多いのです。今回も,IFTのシールドがジャンパ線代わりになっていて,2個所ともシールドをハンダ付けしないと回路が構成されないようになっていました。

さて気をとりなおしてもう一度スイッチON。今度はガー,ガーと雑音が入りますので,局発以降,正常に動作しているようです。

ただ,どうにもダイヤルを回すといたるところでピー,ピーと大きな音がします。発振ですね。何か所かで止まりますが,まったく局は入りません。

IF段の発振は過去,何度も経験していますが,その場合はたいてい,455kHzで発振しているので,検波出力は直流となって,スピーカからは何も聞こえない,と言うことになります。今回はダイヤルに応じて変化しますから,どうやらアンテナ以降,局発も含めてラジオ全体で発振しているようです。ちょうど,スピーカがハウリングを起こしているような状況ですね。普通はこんなことないはずです。どこかから信号が漏れてアンテナに飛び込み,発振している感じです。どうも検波段のIFTがアンテナコイルに近すぎるのが原因のようです。このあたりの電圧は数Vくらいになるので,μVオーダーの信号を扱うアンテナコイルに近いと問題になります。

いつもお世話になっているラジオ工房で調べてみると,アンテナコイルの巻き方がいつの頃からか,変わっていて,通常通り作っても発振してしまうようです。アンテナコイルの1次側と2次側の巻き方向が逆のようです。こういった息の長い製品は途中で部品が製造中止になったりして販売し続けるのがむずかしいことがありますが,このアンテナコイルもそういう感じです。

ということで,アンテナコイルをフェライトコアから抜いて,逆向きにコアに差してみますと効果があり,発振が抑えられました。

ようやく受信可能になりました。あとは通常通り,トラッキング調整とIFTの調整をして終わりですが,やはり900kHz付近で発振してしまいます。IFの2倍ですので,高調波を拾ってしまうようです。このあたりに局がなければ見逃してもよいのですが,近くにある場合は余計に発振してしまいますので厄介です。その昔,大学の電子工学の講義で,先生がスーパーのラジオは910kHz付近で発振したり,受信できないことがある,とおっしゃっていたのを思い出しました。と言って,過去何台もスーパーのラジオを作りましたが,こんな経験をしたのは私も初めてです。ひょっとしてその先生はこのラジオを作ったのかも....。

何とかトラッキング調整をしたあと,900kHz付近でバリコンのアンテナ側のトリマを少し回してこのあたりで発振しない位置に止めました。 

IFTはもともとキット用と言うことである程度調整してありますので,あまりぐるぐると回さないように気をつけます。ほんのちょっと回転するだけ,のはずです。

2SA49を局発に使っても問題ありませんでした。

ついでに,アンテナコイルとバリコンの間に直列に30Ωを入れてQダンプしておきました。こうしておくと同調がブロードになってやりやすいですし,音もよくなります。もっとも感度が犠牲になるので,この抵抗の値はできるだけ小さい方がよいです。

それにしても感度がよいのに感心します。ある意味,感度がよすぎるので発振してしまうわけですね。その昔,発振気味のラジオを高感度だと評価していた時代がありましたね。感度については先日の8石よりよい感じです。少々調整に手こずりますが,なかなかよいラジオです。

大体,今回作った一連のラジオは,感度ではCherry 6石>Mullard 6石>Cherry 8石>自作6石という感じです。音の点ではMullardが一番です。Cherryが次ぎますが,OPTのf特が狭いのか,少々キンキンという感じの音です。自作の6石はスピーカが悪すぎました。スペースがなく,薄型のスピーカを使いましたが,音が悪いです。やっぱアルニコを使うべきでした。

基板1.jpg いい感じですね~~(^^)。

またまたゲルマTrによるラジオを作ってしまいました。もう30年以上も前に製造されたいにしえのトランジスタたち。活躍する場を得て喜んでいることでしょう。

CK-606.jpg 完成しました。

 

2013年1月26日追記

どうも本機にも使われている東芝の2SC1815が生産終了予定となり,新規設計非推奨となってしまったようです。高周波用のTrとしてポピュラーな石で,私もよく使っていましたが,とうとうというか,ついに非推奨品種となってしまいました。おまけに後継品種はなく,東芝のwebでは2SC27122SC6026が新規設計に推奨されていますが,どちらも表面実装のTrです。

まあ,非推奨品種になったのが2010年夏のことのようですがまだ製造はされているようですし,これほど大量に出回っているTrはほかにないと思いますのですぐに市場から消えるとは思えないのですが,10年後には探さないと手に入らない,と言う状況になっているでしょう。オーディオ用の三菱2SA726やそのデュアル版2SA798などはどう探しても手に入りません。まあ,これらの石は異常としても2SC959はかなり長い間,楽に手に入ったのに,もう今ではオークションの対象になるくらいです。このTr以前の定番だった2SC372は探さないと見つからない状況です。 ということで意外に消えるのは早いかもしれません。そろそろ2SC1815もたくさん確保しておこうと思っています。

ただ,それにしても2SC1815のようなTO-92の石はとうとう絶滅危惧品種となってしまいました。2SC3722SC1815などは日本のアマチュアを育てた名石だと思います。私なんか2SB54で育ちましたけどね.....(^^;)。

こういう石を使って工作をして技術者になった人も多いと思います。私もそうなのですが,こういった石が消えていくと言うことは日本の将来が心配です。表面実装の石では工作はむずかしく,結局,キットも単に電線をつなぐだけ,と言うものになるでしょう。ますますというかすでに電子機器がブラックボックスになって久しいですが,子供の興味を惹くことはなく,技術者を志す子供も減っていくでしょう。 こんなことではますます日本が沈没していくだけ,と言う気がします。コンピュータにしたって,私が子供の頃はプログラムを作らないと動かなかったので,Basicなどはすぐに覚えたのですが,いまの子はプログラムが作れません。ExcelのマクロなんてBasicの知識があれば簡単なのですが,今どきの新入社員でマクロが使えるやつなんていません。最近なんて,うちの会社でExcelのマクロどころか関数を知らないやつがいて驚きました。本当に日本の将来は大丈夫なのでしょうか。その前にうちの会社が危ないな.........。

 


nice!(0)  コメント(8) 

nice! 0

コメント 8

通りすがりの使徒

最後までゲルマTRの製造を続けていたのは九州松下です。

by 通りすがりの使徒 (2012-07-10 13:04) 

iruchan

ご指摘ありがとうございました。訂正しておきました。
by iruchan (2012-07-10 13:34) 

小僧の神様

初めまして。大変参考になりました。以前より、どうも古いTrラジオの方がよい音がするように感じていました。トランス?のせいとも思いましたが、何か違う気がしていました。1:1のトランスをOTLラジオにつないで実験したこともあります。

6石スーパーでシリコンTrとゲルマTrを鳴かし比べてみたいと思います。ありがとうございました!
by 小僧の神様 (2012-08-13 12:26) 

iruchan

どうもコメントをありがとうございます。

やはりゲルマの方が音がよいと思います。トランスのせいもあるかもしれません。また,スピーカもよいものを選ばないといけないようですが,Trのせいもあるようです。

CK-606も簡単にゲルマ化できますが,発振で手を焼くので,お気をつけ下さい。逆に,CK-606をシリコンで作って音を比べてみたいと思います。
by iruchan (2012-08-14 12:14) 

小僧の神様

CK-606のゲルマ化&鳴き比べ実験、成功しました!

最近買った1台目でまずシリコンを、少し前に買ってあったやつでゲ
ルマを作りました。シリコンはあっさり成功。期待の?発振もしませ
ん。ゲルマの方はやはり当初発振しました。

2台を比べるとバーコイルの向きが逆です。直すと離調時ちょっと怪しいですが、実用にはなりました。購入時期が違うので、改良した
(元に戻った?)ようです。

鳴き比べですが、違いますねぇ。シリコンはよく言えばハイが伸びて
いますがキンキンする感じ、ゲルマは重心の低い落ち着いた音色で
す。特に人の声の聞きやすさが違います。一般的には「柔らかい」と
でも言うのでしょう。面白いものですね。

今回はゲルマへの改造部分について、このページをそっくり真似て製
作させていただきました。大変勉強になりました。ありがとうござい
ました。
by 小僧の神様 (2012-08-18 15:51) 

iruchan

小僧の神様さん,どうもコメントありがとうございます。

そうでしたか,うまく行きましたか。こちらとしてもうれしいです。こちらはまだシリコン版を作っていません。ラジオ工房の掲示板を見るとシリコン版でも発振するという報告があります。どうも,CK-606は最近,アンテナコイルが変わったのか,発振すると言われています。最初からそうなら問題になっているはずですから,最近のもののようです。

それにしてもそんなに音が違うのですか。驚きました。AMラジオとしてはゲルマの方がよさそうですね。

どうもありがとうございました。
by iruchan (2012-08-18 16:15) 

kon

チェリーのCK-606が とうとう在庫限りで終了との知らせがありました。そういう時代なんですね。
by kon (2014-08-23 16:44) 

iruchan

えっ!......(思わず絶句)

どうも情報をありがとうございました。きわめて残念です。

NHKの "花子とアン" でも出ていましたが,今も昔も子供の科学に対する興味を持たせるのにラジオは絶好の教材だと思っています。このキットがなくなると困りますね~。ICを使ったラジオでも子供にはとりあえず音が出れば,それでいいのかもしれませんが,あとで知識を蓄えて詳しく調べてみよう,と思ってもICじゃ無理です。やはりディスクリートでラジオのキットを残してほしいと思います。

でも,何かキーになる部品の入手ができなくなったとか,経営者が高齢化したとか,何かそういう理由なんだと思います。konさんのおっしゃるとおり,そういう時代なのかもしれません。
by iruchan (2014-08-23 18:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。