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PICでTVリモコンを模擬した話 [電子工作]

2017年4月17日の日記

TVリモコン.jpg ダイソーのコレクションケースに入れました。

   TVの近くに置いておいてこれをタイマーにしてon/offします。 

このところ,PICで遊んでいます。道具をそろえるのが非常に面倒だし,また,ソフトを組むのもデバッグするのも本当に大変なんですが,自分でマイコンを使った機器を作れるようになるとなかなか便利です。

先日,子供用にタイマーつきのあんどんを作りました。今日はTVのリモコンを模擬したものを作ります。

そもそも,ちゃんとTVにはリモコンがついているのに,なんでわざわざPICでリモコンを作らなきゃなんないのか? って実はiruchanもそう思います。

ところが,こうしないといけなくなっちゃったんです。

実は,半年ほど前,某関西に本社があるP社(もちろん,"開拓者" のP社じゃありません)の大型液晶TVを職場で買いました。

といって,職場でTVを見るわけじゃなく,単にパソコンのモニター用として購入し,特定の画面を表示させておくためのものでした。

ところが.....。

ここに落とし穴がありました。パソコン専用のモニターとして使うなら,ちゃんとモニターを買うべきだったんです。

今は液晶TVはかならずHDMI端子がついていますから,そこにパソコンをつなげば大型モニタになるし,DVDやブルーレイも再生できる,プレゼンもできるので便利です。アナログのビデオ信号と違って1本のケーブルで音も出せるのは便利です。普段はTVとして使っていて,たまにパソコンからDVDを再生する,と言うこともできますね。

ただ,今回のように,パソコン接続専用,ということならちゃんとしたモニターを買うべきです。

なにがまずかったか,というと.....。

実はそのP社製の液晶TVは信号がoffの時は一応,省エネで電源をoffにできるのですが,次回,信号がonになっても起動しないんです!!!!

そんなの,パソコンの液晶モニターだったらそれこそWindows95の頃から,無信号時にはoffになり,パソコンをつけると自動的にモニターもonになる機能がついていて,わざわざ液晶モニター自身のスイッチをいじる必要はなかったのに,と思います。

ところが,あろうことか,そのP社の液晶TVはそんな簡単なことすらできないんです。

だから,夕方になって,退社するときにパソコンの電源を切るとか,スリープにすると,自動的に液晶TVもoffになるかスリープモードになって消費電力を減らし,朝,みんなが出勤する頃にパソコンが起動するかスリープから復帰すると自動的に液晶TVがonになって画面を表示させたいのですが,これができません。

まあ,一応は無信号時になるとoffにする機能はありますので,それを使えば,朝,誰かが液晶TVの電源を入れればいいだけの話なんですけど.....。

また,オンタイマーの機能はありますので,それを使おうと思いましたが,今度は肝心の時間情報がないのでこれすらできません。

と言う次第で,結局,どうしても地デジ放送をつながない限り,オンタイマーすら使えません。

どうせHDMIが着いているんだからパソコンから時間情報を取り込めばいいじゃん,と思うんですけどね....。あるいは初期設定画面で時刻を設定できればいいんですけど......。

とはいえ,そもそも無信号状態になったら自動的にoffにする機能くらい,簡単じゃないのか,と思います。 

一応,そのP社になんとか時刻設定ができないのか,webから問い合わせしました。

ところが....。

すぐに返事が返ってくるかと思ったら返事が来たのはなんと1週間も経ってからでした.....orz。おそらく,自社の製品に都合が悪いことだから,と放っておかれたのか,それとも上司の許可を待っていたのか,それにしてもお客様からの問い合わせに1週間もかかる,というのはいただけません。

もうおっ~~~~!!!!!!

とうとう頭にきたiruchanは本件,ネットにさらしておくことにしました。もとからこのP社のTVやレコーダは番組表に広告が出て見にくいったらありゃしないってんで頭にきてるんですけど,この対応もいただけません。もうP社の製品は買いません!!

という次第ですが,別件で同じ頃,親に掃除機を買ってあげようと,某H社に掃除機について同じくwebから問い合わせをしたことがありますが,返事は翌日かな,と思っていたらなんと,10分もかからずに届きました。実は,そのとき,P社のとどっちにしようか迷っていたんですけど,もちろん,買ったのはH社です。

さて,とうとう,ここまで来るとPICでリモコンを模擬してTVの近くに置いておき,一定の時間になると電源on/offの信号を出させるしかない,と思いました。ただ,さすがにPICは時間情報はもっていないので,○○○○にon/offする,というプログラムを作るには時計モジュールからI2Cバス経由で時間情報を取り込む必要がありますが,まあ,そこまでしなくても,という気がするので,単純に12時間ごとにon/offする,と言うプログラムにします。

一応,iruchanはPICが使えるようになったし,TVなどのリモコンは赤外線LEDを決められたコードに基づいて点滅させているだけなので,なんとかPICでできるはず,と思いました。すでに,ネットを見るといろんな方が試しておられますね。

今回はリモコンと言っても,電源スイッチの入切だけなので,電源ボタンを押したときの信号でLEDを点滅させればよいわけです。

一応,今回,いろいろと調べてみました。

TVなど,赤外線LEDを使ったリモコンは国内の電機メーカだと下記の3通りがあるようです。

☆家電協方式‥‥(財)家電製品協会に属する会社が使っているもの。P社,最近台湾系になったS社など。

☆NEC方式‥‥‥N社,H社,もうじきTV部門も売却のT社など

☆ソニー方式‥‥品川に本社があるS社

いずれもコード体系が異なるだけですからPICで作成可能だと思います。ここではP社が採用している家電協方式について説明します。

家電協リモコンのコードは次のようになっています。 

リモコン信号.jpg リモコンフォーマット

ややこしいのは,LEDが点滅してコードをTVに伝えますが,単純に1のときだけ点灯し,0のときは点灯しない,と言うようなパターンではありませんし,かつ,点灯しているときは連続点灯しているわけではなく,38kHzで点滅しています。

ビットが0の時にはずっと点灯しない,というパターンじゃないのは理由があり,CDの信号でもそうですけど,こうしちゃうとどこがビットの切れ目かわからなくなっちゃうからです。だから,0の時も1の時も必ずhighになる部分があり,そのあとのlowの時間の長さで0か1かを区別します。

CDの信号も同じで,ずっと0が続くとピックアップの信号がずっと0となるため,サーボ回路が働かなくなってしまうためです。 

家電協方式のリモコンの場合はかならず,0.4msのhighとなる部分があり,その後,lowの部分が0.4msだと0,1.2msだと1を表すようになっています。 

また,信号の始まりを表すリード部分があり,その後,4バイトのカスタムコードおよび2バイトのデータコードがあり,最後にストップビットがあります。NEC方式だと信号の訂正のため,反転ビットを続けたりしていますが,家電協方式はありません。

カスタムコードは早い話,メーカの識別番号で,各メーカにより異なります。

データコードは電源やch.ボタン,ボリウムボタンなど,各種のボタンごとのコードです。

実際に,リモコンの出力波形をオシロで調べてみました。 

リモコン信号.jpg こんな信号です。

   信号全体を示しています。先頭の太い部分はリーダーコードです。 

リモコン信号1.jpg 拡大するとこんなです。

   やはり38kHzでスイッチングしていることがわかります。 

と,ここまで来たらあとはそのカスタムコードと,電源ボタンのデータコードがわかればいい,と言うことになります。

といって,こういうことを一般消費者がメーカに尋ねると今の時代,何の目的に使うのかと根掘り葉掘り聞かれたりして,結構,面倒なことになりそうです。 でも,技術者は必要な情報ですし,メーカごとにマニュアルがあり,サービス会社や販売店などには開示されているはずです。

幸いにも,秋月電子のPICマイコン赤外線リモコン学習キットの取説にP社のコードがでていました。

ということで,P社のTVリモコンの電源ボタンのコードは次の通りです。

40, 04, 01, 00, BC, BD  (16進)

最初の4つがカスタムコードで,あとの2つが電源ボタン操作時のコードです。メーカが異なる場合,同じ家電協のリモコンならカスタムコードが違うだけです。 

これが2進法だと

0100 0000 0000 0100 0000 0001 0000 0000 1011 1100 1011 1101

となるわけで,これの0と1を上記のパターンで38kHzで変調してLEDを点滅させればOKです。 

PICのプログラムは例によってGreat Cow Basicで作りました。

使用したPICはいつもの12F1822です。なんでか,というと12F1822はハードウェアPWMの機能がついていて,便利なんです。今回,38kHzでLEDを点滅させることが必要ですが,ハードウェアPWMの機能がついているとそのPWMの制御コマンドが1行で済んじゃうので簡単です。Great Cow Basicだと,単にHPWMというコマンドを使うだけです。

HPWM ch. freq duty

です。ch. は12F1822のPWM出力チャンネル(1822は1チャンネルのみなので1しかありません),freq は周波数(今回は38kHzなので38),duty はデューティです。Great Cow Basicは8ビットで表すので,最大は255です。

ソースファイルは次のようなものです。

TV power off(UTF8).txt

回路は簡単なもので,前回のあんどんみたいに単にタクトスイッチとLEDをつけただけ,という感じです。配線も万能基板です。タクトスイッチを軽く1回押すと信号がでます。3秒以上,長押しするとタイマーが起動し,12時間ごとに信号を出すようにしました。

TVリモコン回路.jpg回路です。 

LEDは赤色のものと赤外線の2つ使っています。

なんでか,というと単に赤外LEDだけにしちゃうと肉眼では見えないので,テストがやりにくいんです。そこで,普通の赤色LEDを使ってモニターします。

もっとも,赤外LEDは目に見えないと言っても,CCDには見えちゃうので,デジカメで見れば薄紫色に見えますので,点灯しているかどうか確認できます。

というのは前から知っていて,それを利用していましたが,スマホの一部では赤外線に反応しないものもあるようで,スマホのカメラだとこのように見えないものがあるのでご注意ください。

なお,さすがにメーカさんも単純な赤外LEDだと見えないので何かと不便,ということで可視領域にも若干,感度を残しておいて,赤く薄く光る赤外LEDというのもあります。こういうのを使うと便利だと思います。

TVリモコン模擬基板.jpg 基板です

  デジカメでは赤外LEDはうすく青 or 紫色に写りますが,肉眼では見えません。

ただ,最初,赤外LEDも,テスト用の赤色LED同様,PICの出力ポートに単純に100Ωの抵抗を介して取り付けたところ,やはり光量が不足なのか,TVの反応はいまいちでした。かなり近づかないとTVが反応しませんし,少しでもLEDを首を振ると反応しません。

実際,LEDに流れる電流を測定してみたら2.5mAでした。最近のLEDは高輝度なので,これくらいの電流でもものすごく明るいんですが,iruchanが使った赤外LEDは中古品だし,古いものなのでどうも光量が足りなかったようです。

それで,その電流制限抵抗を100Ωから33Ωにしたらおかしな現象が.....。

今度は赤色LEDも点灯しなくなってしまいました......orz。

てっきり,抵抗を替えたときにはんだづけをミスったか,といろいろ回路を調べてみますがダメ。

改めて12F1822の規格表を見てみると,出力電流は25mAまで,と言う記載があります。

でも,そこから先は何も書いてないんですが,それ以上の電流を取ろうとするとどうもPICが動作しないようです。ちゃんと保護機能が働くんですね。

しかたないので,1個,Trを使って電流を増幅することとしました。2SC1815のベースをon,offしてそのコレクタ電流で赤外LEDを点灯させることにしました。

これで75mAも流しました。さすがにかなりの大電流ですが,φ5mmのLEDは100mAくらいまでは流せるので大丈夫です。φ3mmのものだと25mAくらいまでですので,ご注意ください。やはり,LEDの電流制限抵抗を10Ωにしたのは小さすぎるようです。100Ωくらいがよいかと思っています。

こうやって結構,うまくいくようになりました。 3mくらい離れていてもP社のTVは無事にon/offできました。これで,12時間ごとに液晶TVをon/offできて省エネになりますね!!


コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その6・TL494を用いた単一周波数PWM式~ [模型]

2017年4月9日の日記

先月,PICを使用したPWM式鉄道模型コントローラの基板を作りましたが,ついでにもう1枚,TL494を使ったPWM式コントローラの基板も作りました。これは,KATOのKC-1型コントローラで使われているNECのμPC494Cのオリジナルです。iruchanもKC-1を現代によみがえらせるべく,自作しています。詳しくは,iruchan版KC-1改をご覧ください。

ただ,やはり,PICは嫌だ,と言う方もおられると思います。なによりソフトの組み込みが必要ですし,いろいろと道具も必要ですから。こちらはハードウェア方式なので,そういう方におすすめします。もちろん,コアレスモータにも対応するべく,高速応答タイプにして低デューティのパルスが出力できるようにしています。

TL494は米Texas Instruments社が開発したスイッチング電源用ICのひとつですが,おそらくそれらの最初のものだと思います。よほど売れたのか,日本でもセカンドソースとして,NECや富士通,東芝が作ったようです。そのひとつがKATOのKC-1で使われていたμPC494Cです。富士通のはMB3759,東芝のはTA76494と言う型番のようです。ほかにも,Fairchildやオンセミなども作っているようです。

まあ,NECや東芝などはすでに製造中止で入手は難しいですが,オリジナルのテキサスがまだ現行品ですので,入手は容易です。ちょっと東芝のTA76494は入手して使ってみたい気がしますけどね。

内部は鋸歯状波を発生する発振器と,コンパレータです。iruchanがいつも作っているPWM式コントローラはタイマIC555と,コンパレータLM393を使ったもので,別々のICとなっていますが,TL494を使うと1個で済んじゃいます。

また,コアレスモータに対応するためには回路を高速化する必要がありますが,TL494で使用されているコンパレータは高速で,20kHzでデューティ1%という非常に狭いパルスも容易に出力できます。残念ながら,iruchanが使っていたLM393は鈍足で,コアレスモータ用には適してない,と言うことがわかりました。

なお,TL494は少し残念ですが,本来はスイッチング電源用のICのため,2個の出力のTrが同時にonしないよう,デッドタイムコントロール機能がついていて,最低5%のデッドタイムが設けられるようになっています。そのため,デューティ100%にすることができません。KATOのKC-1も同様で,最大デューティは90%くらいのようです。

今回は回路を簡単にするため,KC-1改では調光用と走行用で別々のつまみを設け,またスイッチング周波数も調光用は高周波,走行用は低周波と分けていましたが,今回は周波数は20kHz固定で,つまみも1個にしました。

さて,まずは回路です。

PWM式コントローラ(TL494).jpg全回路図

KC-1改同様,高周波の低デューティパルスを出力するため,出力のMOS-FETにドライバ回路を追加しています。2SA10201SS133がそれです。また,出力のMOS-FETにはCissの小さなNECの2SK2412を使います。

ドライバ回路はTL494のソース(吐き出し)電流がmax.250mAもあるため,本来ならNPNのTrを使うところをDi(1SS133)で代用しています。 シンク(吸込み)側のみ,PNP Tr(2SA1020)を使って,これでMOS-FETのゲートに溜まった電荷をGNDに高速で逃がします。 

保護回路は電流制限型で,出力の2SK2412のソースに入っている0.56Ωと2SC1815がそれです。これで最大1A程度となるようにしています。面倒でしたら,0.56Ωの代わりにポリヒューズでも構いません。その場合,2SC1815は不要です。

また,出力にはスナバ回路(100Ω+0.01μF)とモニタ用のLEDがつけられていますが,特にこれも不要です。ただ,フリーホイーリングDiの11EQS06は必須ですので,つけてください。

回路は複雑に見えますが,TL494のピンはVccかGNDにつなぐ配線が多く,また,ピン配置が非常に合理的にできていて,プリント基板の設計は容易でした。やはりTL494は名石だな~と思いました。末永く作ってくれることを願います。

半固定抵抗1kΩはKC-1にもあるもので,パルスの出力開始位置を調整できます。ボリウムを回し始めてしばらくはパルスが出力されない,いわゆる "遊び" の調整です。 

プリント基板2.jpg 製作したプリント基板

プリント基板図をupしておきます。これを 34mm×50mmで感光基板に焼き付けるとプリント基板ができます。

プリント基板.jpg プリント基板図(銅箔面から見た図)

PWMコントローラ(TL494)基板部品配置.jpg 部品配置図(部品面から見た図) 

なお,ピンク色の部品はプッシュプルドライバを実験しようと準備工事したものです。今回,変形プッシュプルドライバとしましたので,不要です。 

最低デューティ1.jpg 最低デューティです。

最低デューティは0.89%で1%以下にすることができました! この状態ではモニター用LEDは点灯しません。 

ただ,TL494は先ほども書きましたように,最大デューティは95%くらいです。FBとDTCを接続すると,ほぼ100%にでき,iruchanもKC-1改でそのように配線してほぼデューティは100%にできましたが,どうしても本機は95%どまりでした。いろいろ調べているのですが,原因がわかりません。

最大デューティ.jpg 最大デューティです。 

従来型との比較1.jpg 従来型との比較

従来型はタイマIC555とコンパレータNJM2903Dを組み合わせたものです。 LEDの調光器に使っているものですが,鉄道模型のコントローラとしても使えます。それほど基板の大きさは変わりません。

TL494+KATO D51.jpg ただいまテスト中。

KATO D51 241.jpg 無事に常点灯にも対応します。ただいま停車中。 

やはりコアレスモータ搭載機は第4回にも書いておきましたが,LEDの点灯デューティが3%くらいで,モータの起動開始デューティが5%くらいなのであまり余裕がなく,点灯させた状態で停めておくことは難しいですが,本機は対応可能でした。 


キャンドルICの使い方~PIC編~ [電子工作]

2017年4月8日の日記

6年前,キャンドルICを使ってあんどんを作りました。当時はタイマIC555を使って数分後に切れる,と言う風にしました。

そろそろうちの子(11歳♂)も1人で寝るようになり,親としてはひと安心ですけど,やはり夜寝られない,というので,またそのあんどんを持ち出してきて,夜寝るときに点けておくように,と言おうと思いました。

ところが,久しぶりに取り出してみると故障中。なぜかLEDが点灯しません。ありゃ。

面倒だな~,と思っていたんですが,PICでタイマを構成して作り直そう,と思いつきました。PICだと何より回路が簡単,と言うこともありますが,きわめて消費電力が小さいので,LEDを点灯するくらいなら半年くらいは電池を交換しなくても済みそうです。

ということで,PIC式に作り替えることにしました。

キャンドル回路(PIC).jpg 回路です。

単にタクトスイッチとLED,キャンドルICをつけただけの簡単なものです。555を使うと,やはり回路は面倒です。パスコンの10μFと0.1μFはなくてもOKです。

タクトスイッチを押すと,#6ピンをプルダウンします。PICは普通,弱いプルアップというんですが,基本的にプルアップされているので,最初,33kΩは入れなかったのですが,これはダメらしく,電池をつないだとたん,LEDが点灯してしまいました。テスターで電圧を測って原因がわかりました。#6ピンは0.6Vくらいで,これじゃプルアップされていません。最初からスタートする状態ですね。しかたないので33kΩを入れて明示的にプルアップしたら無事に動作しました。

使ったLEDは秋月で売っている,φ5mmの電球色のものです。台湾OptoSupply社のもので,OSM54K5111Aといいます。If=20mAで35cdという明るいものです。 

前回同様,常時点灯するLEDと,キャンドルICを使ってLEDがろうそくみたいにチラチラと点滅するものの2個を使いました。こちらの方が実感的だと思います。

PICは12F629を使います。定番のPICですね!

ソフトは簡単なもので,コメント行はありますが,実質8行です。これをhexファイルにコンパイルして12F629に書き込めば完了です。タクトスイッチで#6ピンをプルダウン(low)にすると,GPIOポートの4番(#3ピン)がonして3Vを出力します。これでLEDをドライブするだけです。

15分たったら自動的にそのポートをoffにするようにしました。 

candle software.jpg ソフト

いつもどおり,PIC用のフリーのGreat Cow BASICを使いました。 ソフトは▼です。これを全部コピーしてメモ帳に貼りつけ,それを.hexという拡張子で保存して書き込めばOKです。

candle.txt  

PIC版基板.jpg 基板です。

   簡単な回路なので万能基板で作りました。 

あんどん(PIC).jpg こんな感じです。 

さて,これを愚息にあげたら結構,喜びました。夜,寝る前にスイッチを押して,あんどんを点灯させ,それで寝ているようです。"寝られない" とか言っていましたけど,割にこれをあげたらよく眠れるようです。

とはいえ,昔から,意外に,寝る,と言うことに関しては手のかからない子でした。赤ん坊の頃,夜泣きをしたことはほとんどなく,朝まで寝ているし,風呂上がりにとりあえず,おむつをはかせて掛け布団の上に寝かせておき,3歳上の姉ちゃんにパジャマを着せ,さて,次は坊主,と思って振り向いたらもうすやすやと寝ている,というような赤ん坊でした。 

34-1.jpg 

      なんで子供らだけで寝てんだ~!!

でも,大好きな "アナと雪の女王" (まだはまってます)の冒頭のエルサとアナの幼い姉妹が,彼らだけで寝ているシーンはかわいいけど,ちょっと違和感ありますね~。まあ,ディズニーだから,アメリカの価値観で描いているんでしょうけどね。

アメリカじゃ,子供が2歳くらいになると泣こうがわめこうが,何しようがテディベアでも与えておいて,子供部屋に閉じ込めて強制的に寝させる,なんてことは普通ですね。子供が寝たら大人の時間,というわけです。まあ,彼らにしてみれば,子供の自立心を養うため,なんて言うんですが,それはやはり親の勝手じゃない,と思います。

アナ雪はノルウェー? あたりの北欧が舞台なので,欧州の王侯貴族がこのような子育てをしていたのか,というのもよくわからないのですけど,少なくとも,皇后が一緒に寝られなくても乳母か,信頼する侍従が一緒に寝ていたでしょう。この点でも,なにか違うような気がします。 

さる高名な教育学者の先生が,米国で青少年の犯罪が多いのは子供の頃,一人で寝かせるのが原因とラジオで話しておられましたけど,同感です。やはり子供は日本人みたいに川の字になって寝るのがよいと思います。

まあ,とは言っても,そろそろ思春期だし,うちの坊主も一人で寝ないといけないので,自立したのが少し寂しい,オヤジではありますけど.....。 

故障箇所.jpg あ"っ~~!!

もとの基板を調べていて,気がつきました。なんと,電池のホルダの端子部分が折れて外れています。これじゃ,点灯せんわけだな~。簡単な故障でした......orz。 

修理後.jpg 修理完了。中国製の006Pで動かしてます。

スナップ端子を交換して無事に修理完了。また何かで使うことにします。 


宇高連絡船の思い出 [紀行]

2017年4月5日の日記

先週,四国へ行ってきました。私はほぼ1年ぶりですが,29年前,宇高連絡船に乗りに行きました。廃止になる直前,1988年3月末のことです。廃止は4月9日でした。なんか,本当にギリギリに行っているんだな~と思いました。

以前,青函連絡船の思い出を書きましたが,今日は宇高連絡船の思い出について書きたいと思います。 

さよなら連絡船土佐丸.jpg

青函連絡船は何度も乗っているのですが,どうもiruchanは寒いところが大好きなようで,温暖な四国へ渡ったのもこれが最初です。宇高連絡船もこれが最初で最後でした。ちょっと残念に思っています。

宇野線クモハ84.jpg 宇野線クモハ84

宇野線にはすでに快速マリンライナー用の213系が走っていましたが,ローカルにクモニ83改造のクモハ84形がいました。72系が原型ですが,96年に用途廃止になっているようです。 

土佐丸1.jpg 土佐丸

うどん屋さんは後部デッキにあったと思うのですが.....。すくなくとも,今の高松駅では昔の連絡船のうどん,なんて言っていますけど,こんなに油揚げは大きくなかったと思います。でも,1時間ほどの航海の最中,潮風を浴びながら食べるうどんはおいしかった......。 

伊予丸.jpg 伊予丸

宇高連絡線は青函連絡船と違い,貨車は前部から出し入れするようになっていました。 

阿波丸,讃岐丸1.jpg 阿波丸(左)と讃岐丸(右)

港の反対側からこのようにきれいな写真が撮れました。

讃岐丸だけ,船齢が若いため,連絡船廃止後も少し残り,クルーズ船として活躍しました。 今はインドネシアにいるようです。

船内.jpg 客室(阿波丸)

ブリッジ.jpg ブリッジにて(阿波丸)

当時,廃止間近と言うことでブリッジが開放されていて,見学ができるようになっていました。

JRとびうお.jpg ホーバークラフト便もありました

急行として運転されていた,JRの "とびうお" 号です。1986年から運航されていましたが,連絡船と同時に廃止となりました。 

四国へ渡って,高松~高知間の夜行普通列車に乗って坪尻,新改のスイッチバックを経験できたのもいい思い出です。残念ながら,すでに旧客は廃止になっていて,50系客車でしたけど。その後,京都発のムーンライト高知がその流れをくんでいましたが,それも2008年に廃止になりました。今もあったら夏なんか,結構,人気が出ると思うのですけどね。四国では松山へも夜行の普通列車がありました。

松山行きの夜行普通列車は,すぐにバスに移管され,しばらく夜行バスが走っていました。今,ミッドナイトEXPとして伊予三島まで夜中に特急が走っていますが,一度,乗ってみたいと思います。

特急しおかぜ(海岸寺).jpg 海岸寺~詫間にて

急行いよ.jpg 急行 "いよ" かな

有名な海岸寺駅で降りて,海岸沿いを走る列車を鉄しました。まだ特急が少なく,キハ58系の急行が間合いに走っていましたが,昔は四国は特急なんてなくて,優等列車は全部急行でしたよね.....。

ただ,四国の急行は▼みたいに丸い小さなヘッドマークで列車名を表示していました。▲の写真はつけていないのでどの列車かわかりません。 間合いの普通列車かもしれません。

急行あしずり.jpg 急行 "あしずり" (高松) 

特急しおかぜ.jpg キハ181系の "しおかぜ" 

それに,民営化間近でも四国は全線非電化単線だし,まくらぎも全部木製で近代化が遅れている,と民営化前に新聞で指摘されていました。国鉄は本当に最後まで四国に設備投資をしませんでした。なんとか,瀬戸大橋が開通する前になって,申し訳程度にキハ185系と121系が投入され,複線化と電化が進むようになりました。まだこのときは宇多津駅は地平の駅で,木造の古い駅舎でした。古いもの大好きなiruchanは写真を撮っておけばよかったと後悔しています。

とはいえ,民営化前に投入されたキハ185系は電車の185系同様,快速列車としても使うことが前提,というコストダウン車で,結局,いまいち特急用としてはアコモも性能も不足だし,快速用としてはオールクロスシートで扉が2扉じゃ使いにくい,ということで九州に売却されたりしていますね。どうも国鉄時代,特急と快速を共通運用にしてコストダウンを図る,ということを考えていたようで,"踊り子" 用の電車の185系もそうでしたが,さすがに通勤時間帯には使用しない,と言っていた割には夕方の通勤時間帯に堂々東京駅に通勤列車として乗り入れてくるのには驚きましたけど。どうやら中京地区のキハ80系もこの考えで新型車にするつもりだった,という話を聞きました。やらなくてよかったです。

121系.jpg 121系

121系は当初はこういう水色の帯ではなく,赤色でした。まだ赤い帯の車両があったような気がしますが,iruchanが撮ったのは全部水色でした。民営化後に水色に塗り替えられました。と言って,実際は樹脂製のシール帯なのですが,はがすのが大変なため,そのまま上に水色の帯を貼ったようです。

今は121系もワンマン化改造され,スカートを履いていますし,側面にLED式の行先表示器が取り付けられています。中も製造時は4人掛けのボックスシートが並んでいたのに,一部ロングシートになっているのを見たときは驚きましたけど。

さらに,今後は例の川崎重工製のFRP製efWING台車を履き,制御器もインバータ式になって,形式も7200系と改められるようです。先日,琴平まで乗ってみましたが,空気ばねになり,インバータ制御なのでスムーズに加速し,乗心地も大幅に改善されていました。 

7200系.jpg 

    琴平行き1225M 7200系('17.3.30 高松)

さきほどの急行 "あしずり" が停まっているホームと同じホームだと思います。 屋根も替わっているんですね。

efWing台車.jpg efWING台車

時代も変わりましたね......。


旧海軍兵学校を訪ねて [紀行]

2017年4月1日の日記

旧海軍兵学校.jpg 旧海軍兵学校 

春休みですね~。全然春らしくなくて,結構寒い春休みですが,体調を崩されませんよう,ご注意ください。

さて,わが家では子供たち(♀,♂)が春休みでいつまでも朝は寝ているし,ついでにわが家では母親まで春休みに入ってしまっていていつまでも寝ているので,いつもiruchanは朝早く起きてゴミ出し,洗濯をして自分の朝めしを作って出勤しています......orz。

せっかくの春休みなので今日は愚息を連れて旅行に行きます。残念ながら娘はそろそろ受験生なので連れて行きません。

どこへ行こうか,と言うことになりますが,鉄ちゃんのiruchanはいつもだったら絶対,北海道なんですけどね.....。といって, "北斗星" が廃止になっちゃって,どうしても魅力半減,と言うところです。 

と言うことで,唯一残った夜行寝台特急 ”サンライズ瀬戸” で四国へ行くことにしました。四国だと金比羅さんへ行って,道後温泉に行って,さらに対岸にフェリーで渡って,呉の大和ミュージアムを見学すれば,なかなか子供にもいい体験をさせられそうです。フェリーもなかなか子供で体験することはないでしょうしね。

ついでに,iruchanは一度,行ってみたいところがありました。

やはり,一度は江田島へ行ってみたいと思っていました。呉からはフェリーで20分ほどと近いですしね!

ということで,東京駅22:00発の "サンライズ瀬戸" に乗りました。

サンライズ瀬戸発車標.jpg いよいよ出発です。

サンライズは3回目ですが,完全に個室だからとても静かだし,中はとても清潔できれいなのもいいです。子供には夜行列車というのはとてもいい体験ですしね!

それにしてもなんでシングルツインなんて名前なの~~!?

それって,C形4動軸蒸気機関車とか,赤い青信号なんてのと同じじゃないかと思います。  

サンライズ切符1.jpg

ひと晩寝たら異国じゃないけど,遠く離れた異境の地,と言うのもいいです。 "北斗星" や "日本海" だとひと晩寝たらあたりは雪景色......なんて最高でしたけどね......。

そういう意味で,七つ星とかトワイライトエクスプレス瑞風とか四季島だとか,なんだかわけのわからない豪華列車には全く興味ありません。ひと晩寝て着いてみたら隣の県の温泉かよって感じですね........(^^;)。

"サンライズ瀬戸" の魅力はやっぱり朝の瀬戸大橋。前回はいい天気でしたけど,今回は曇り気味でいまいちでした。でも,愚息も大喜びでした。

サンライズ瀬戸(高松).jpg 高松駅に着きました。

連絡船のうどんを再現したお店が営業していますので,朝食です。宇高連絡船は青函連絡船と違って時間が短かったのですが,海を見ながらうどんを食べる,というのがとてもよかったです。 

きつねうどん.jpg でっかい油揚げのきつねうどん。

本当は坂出で降りて,伊予三島行きのEF65牽引の3071レを撮りたかったのですが,なぜか "サンライズ瀬戸" は1時間遅れで,撮影できませんでした。どうも小田原駅で線路上に人が立ち入ったらしく,そんなところから遅れてしまったようです。 

さて,20年ぶりに琴平駅に着きました。駅もレトロ調にきれいに改装されていました。

琴平駅.jpg 琴平駅

ここから,例の膨大な参道の階段をどんどん上って金比羅さんにお参りします。やはり四国へ来たらここは逃せませんね。

でも,実は,ここはiruchanはリベンジ。前回は本宮をお参りしただけでしたので。今回はさらに奥にある奥社を制覇したいと思います。

しかし.....。

これは本当にきついです。本宮からさらに30分,階段と坂道が続きます。つづら折りになっていて,その折り返し地点ごとに小さな社が出てくるので,もう終わりか? と思うとそこからさらにきつい階段が延々と続いていたりして,本当に大変です。

奥社.jpg ようやく奥社に着きました。

ここでありがたいお守りを買って帰ります。

ちょうど昼なので麓の参道にある田中屋さんで,骨付き鶏セットを食べました。いつも,四国へ来ると夜は骨付き鶏で一杯,というところですが,今回はランチです。子供はさすがに堅いので鶏唐揚げ定食にしましたけど,子供のげんこつくらいある大きな唐揚げに愚息も大満足でした。

ここからは2000系振子気動車と8000系振子電車を乗り継いで松山へ。2000系は登場時に乗りましたけど,そろそろ30年近い車齢なので次の置き換えが検討されているようです。

3079レ(多度津).jpg 3079レ(高松タ~伊予三島)

なんとか,多度津駅で長時間停車中の伊予三島の大王製紙へ行く3079レは撮影できました。残念ながら牽機がEF210なんですけどね。

8000系は初めて。内装も改装されてとてもきれいでした。130km/h運転しているので本当に速いです。カーブも振子電車なので,非常に快適です。子供は見てると気持ち悪い~~と言ってましたけど。

ただ,いくら速いと言っても多度津からほぼ2時間かかるのはしんどい。今治経由で海岸を通るので,松山まで遠いんですね。これじゃ伊予西条から松山へ直行する高速バスの方が30分ほど余計にかかるけど揺れないし,2,400円も安いので快適です。どうしても北海道や四国,九州とかだと,鉄道の方が設備が古く,路線も時代に合わなかったりして高速バスの方が安くて快適なんてところが多いので困ります。本州だと渋滞にはまって全然速くないし,バスも古いのが多いので,まだ鉄道の方が競争力がありますけどね。

ただ,わが北陸でもいずれ,新幹線が敦賀まで伸びますが,大阪や名古屋から北陸に行くのに敦賀で乗り換え,ということだったらバスか自分の車の方がいいや,という人が大部分でしょう。JRはどうするんでしょ? 

泊まりはやはり道後温泉。"千と千尋の神隠し" に出てくる温泉宿みたいな道後温泉本館は見逃せませんね。ここで温泉に浸かってとてもよかったです。

道後温泉本館.jpg 道後温泉本館

前回,来たときは学生でしたけど......。たくさんの外国のお客様が来ていました。 

道後温泉駅.jpg 夜の道後温泉駅 

本当は翌日,松山城へ行くつもりでしたけど,あいにくの雨。しかたないので,朝早めに琴電とフェリーを乗り継いで呉に行くことにしました。

瀬戸内海フェリーに乗ります。船中2時間ほどあるので,食事をしようかと松山駅の駅弁をゲットしました。今回の旅の目的のひとつです。

鈴木弁当店(松山駅).jpg 鈴木弁当屋さんの売店

松山駅にはユニークな駅弁があり,ぜひ一度,食べてみたいと思っていました。ただ,割に早く売り切れてしまうみたいなので,早めに買っておきます。親切なおばさんにお願いして写真を撮らせていただきました。 

醤油ごはん.jpg 醤油ごはん1.jpg

       前から食べてみたかった松山駅の醤油めし

今どき珍しい掛け紙のついたおいしいお弁当でした。愚息にはおむすび弁当を買いましたが,とてもおいしかったと言ってました。う~ん,あとから思えばあな子寿司もよかったな~。今度,買ってみよ~。

少し歩いて大手町の駅から伊予鉄の郊外線に乗ります。それにしてもいつも思うんですが,どうして高浜駅からもう少し,港まで線路を伸ばしてくれなかったかと。連絡バスが出ていますけど,乗り換えはやはり面倒です。

松山観光港はとてもきれいで,待合所やお土産売り場もあり,お弁当も買えます。空港同様,みんなが待つ場所なので,とてもよいですね。また,空港みたいにゲートが伸びていますが,ドアで密閉されていて空調も効いているので寒い思いをしなくてよかったです。でも,さすがに船に乗るときは寒いですけどね.....。

残念ながら今朝から冷たい雨が降っているし,航路は最初のうちはとても静かでしたけど,途中は結構揺れて,客船の窓にも波しぶきがかかる有様で,愚息はグロッキー。オヤジは全然平気でしたけど,さすがにトイレに行こうとしたら満足に廊下も歩けないし,トイレも何かにつかまっていないと用を足せないくらいで,意外に荒れていました。

iruchanはフェリーが結構好きで,海を見ながらのんびりと昼寝もできるし,実際,絨毯敷きの部屋もあったりしてフェリーはいいですよね。子供に体験させたかったのですが,船酔いでまいったようです。 

と言う次第で,今日は予定変更。大和ミュージアムを今日,見学します。港のターミナルすぐだし,見学も便利です。ターミナルは2Fに無料の休憩所もあり,机もあるので,皆さんお弁当でお昼でした。

松山~呉・広島航路.jpg 

  瀬戸内海フェリーの広島~松山航路。2Fには売店と座席,絨毯敷きの部屋があります。

残念ながらフェリーの中には食堂がありません。食事時なら弁当を持参した方がよいです。

さて,呉港に着いたらターミナルビルのすぐ隣にある,大和ミュージアムへ。エントランスにある1/10の巨大な戦艦・大和の模型に驚かされます。映画のセットに使われたのを譲り受けたのはよく知られていますが,それにしても巨大で,かつ精巧にできています。

戦艦大和.jpg 巨大な戦艦大和

やはり大きすぎて普通のカメラじゃ収まりません。しかたないのでスマホで撮りました。 

翔鶴.jpg 空母 "翔鶴"

iruchanは空母が好きで,中学時代,よく空母のプラモを作りました。お気に入りは翔鶴でした......。 

中は数々の戦争に関する資料が展示されていて,iruchanは映像がとてもよかったと思います。特に,呉周辺の映像などはTVでは見ることがないですし,とても貴重でした。 多くの子供たちが来ていましたが,明治から太平洋戦争終戦までの貴重な記録や資料はいい勉強になると思います。

翌日は朝早くホテルを出て,8:35発の江田島小用(こよう)港行きに乗ります。今日は一転,快晴のよい天気です。20分で小用港に着きます。そこからバスで5分の術科学校で降ります。今日は土曜なので,見学開始は10:00です(平日は10:30)。 

旧海軍兵学校1.jpg 旧海軍兵学校生徒館

1888年に東京・築地にあった兵学校を移設したものです。ちなみに今話題? の築地市場はその跡地に建っています。レンガ造りの生徒館は1893年に建てられたものです。江田島の1期生には軍神・広瀬中佐がいます(海軍兵学校としては15期)。ちなみに秋山真之は海兵17期です。現在は海上自衛隊・第1術科学校となっています。バス停も術科学校です。 

大和砲弾.jpg 巨大な大和の砲弾

膨大な資料を保管した教育参考館(中は撮影禁止)の脇に巨大な砲弾が展示されています。手前は三景艦用と書いてありましたから,松島型防護艦用で,口径32cm砲です。これで独クルップ製の30.5cm砲を搭載した清国艦隊の定遠,鎮遠を圧倒したわけですね。 

奥はもちろん,戦艦大和の46cm砲。射程は42kmです。さすがに目視で弾着を確認できませんから,艦に搭載した零式水上観測機と呼ばれた水上機で確認します。

なんか,正直言ってすこし間の抜けた話,という気がします。当然,敵艦や敵戦闘機はその水上機を標的にしますし,こちらはいくら零戦の仲間と言ってもフロートがついて邪魔なので速力が大きく劣りますしね。無線で連絡すると言っても日本の無線はAM(振幅変調)なのでノイズが大きく,うまく艦に連絡できたのでしょうか。

残念ながら,大和はこの巨大な砲弾を敵艦に発射することはありませんでした。一発でもお見舞いしてやればひと泡吹かせてやれたのに,という気がします。

奥の潜水艦は特殊潜航艇 甲標的です。目的を秘匿するため,わざとこんな名前にしてあるようです。魚雷2本を搭載し,本来は特攻兵器ではないのですが,速力が劣るため,実際には決死の攻撃兵器です。本来は偵察,通商破壊用の潜水艦を通常の水上艦艇と同じ,攻撃兵器として用いたのが日本海軍の特徴ですが,大型の潜水艦も速力が遅く,魚雷を放ったら海底近くで隠れているしかない,と言う作戦では敵に見つかりやすく,潜水艦乗員の損失は激しいものがありました。

教育参考館の中は日本海軍の歴史的資料を保存していますが,特攻隊の隊員の皆さんの遺書も多数展示されています。漢字仮名交じり文でとても子供には読めませんが,愚息は熱心に見ていました。両親について感謝の気持ちを書いたものが多い中に,"遺言ナシ" と書いたものがあり,愚息にも読めたらしいのですが,強く印象に残ったのか,しきりに話をしていました。本当は書きたいことがたくさんあったのに,何も書かず,死に臨んだ隊員のお気持ちを考えると涙なしには読めません。

特攻隊員の殉職年齢は平均,19.2歳だそうです。当日,高校生が研修のためか来館しておられましたけど,17歳とのこと。"皆さん,あと2年で死ななきゃならんのですよ" とのガイドの方の言葉に神妙にしてました。我々は多くの人命の犠牲のあとに生まれていることを忘れてはなりません。

見学は1時間半ほどで終わります。あっという間でした。校内はさすがにかつて世界の3大兵学校(あとは英ダートマス,米アナポリス)のひとつと呼ばれただけあって,とても広いです。

iruchanは反体制派? で,会社じゃ冷や飯食ってますけど.......(^^;),海軍の井上成美をとても尊敬しているので一度,兵学校へ行ってみたいと思っていました。最後の海軍大将として有名ですね。

井上は海軍三羽烏の1人で,戦前,三国同盟や対米英開戦に強硬に反対しました。米内光政や山本五十六と同様,海外経験があり,英米の底力をよく知っていて,必敗だと考えていました。結局,主戦派が勝ち,海軍次官の山本は連合艦隊司令長官,井上も第四艦隊司令長官に異動させられます。正しいことを言う人は邪魔なやつとして,中央から外して現場に飛ばしてしまえ,と言うわけですね。陸軍でもたとえば,硫黄島守備隊の栗林中将もワシントンに駐在した知米派と言うことから最前線に異動させられています。自分たちにとって不都合なことには目をつむり,正論を言う人を排除する,日本の社会は今も昔も同じ,という気がしますね。また,よく,陸軍=悪者,海軍=いい子というイメージで語られますし,事実,A級戦犯で処刑されたのは陸軍関係者ですが,実際,石油が半年しか持たないからと開戦を急がせたのは海軍です。

その後,井上は海軍兵学校長に転じますが,日本の敗戦を見越し,優秀な生徒たちが戦後日本の復興に役立つはずと考え,英語教育に力を入れたのはよく知られています。戦前,海軍兵学校と言えばエリート中のエリート養成校でしたからね。実際,多くの海兵卒の人が戦後の日本を支えました。iruchanの周辺にも戦時中最後の海兵卒,という先生などがいらっしゃいました。

井上成美は戦後,多くの生徒を失ったことや開戦の責任を感じているかのごとく,横須賀の山中に逼塞して暮らしていました。iruchanは尊敬している人物が関与したところへ訪問できてよかったと思います。

江田島桜.jpg 桜はまだつぼみでした。 

帰る前にちょうど昼時なので江田島クラブで食事をして帰ります。昔なら水交社ですね......(^^)。もちろん,カレーを食べて帰ります。 

カツカレー.jpg やっぱ,カツカレーですね!!

少し甘め(海軍のカレーは実は甘かったらしいです)でかなりのボリュームですが,カツも熱々で,とてもおいしかったです。カレー大好きな愚息はぺろりと平らげました。

帰りはさすがにバスがない時間(12時台はありません)なのでタクシーで小用港へ行きました。

呉からは広島空港までバスが出ています。

残念ながら,Googleのルート検索でもYahoo!路線情報でも呉~広島空港間のバスは検索しても出てきません。さすがに呉は大きな街だし,連絡バスがあるはず,と思ったんですけどね。結局,ホテルのフロントにパンフレットがあり,それで時刻がわかりました。案外,Googleも頼りになりません。こちらに時刻が出ています。


コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その5・PICの利用~ [模型]

2017年3月25日の日記

前回,PICマイコンを使ってコアレスモータにも対応した鉄道模型コントローラを設計しました。

どうにもコアレスモータは性能がよすぎて,従来のコントローラを使うとつまみをほんの少し回しただけでスタートしてしまい,あまり低速では運転できないし,前照灯が点灯すると同時に走り出してしまうので,停車中に点灯させることができない,という感じです。

原因はいろいろ調べたところ,今まで作ってきたPWM式のコントローラの最低デューティが大きく,10%前後もあるため,性能のよいコアレスモータだとパルスが出始めた時点ですぐに回転してしまうため,と判断しました。実際,第4回に書きましたが,コアレスモータ機はデューティが5%くらいでも走り出してしまうようで,これでは従来のPWM式では対応できないものがあると思います。

なお,この最低デューティの問題は市販のPWM式コントローラでも同様のようで,実際,ネットを見ても皆さん,苦情を書いておられますね。

では,なぜ,PWM式コントローラの最低デューティが0%じゃなくて数%とか,ひどい場合には10%以上になってしまうのでしょうか。

ひとつはスイッチング周波数が高すぎるためです。

PWM式のコントローラは1回目に書いておきましたように,スイッチング周波数が高いほどモータや制御素子の損失が小さいためです。また,電圧をパルス状にしているため,モータが瞬間的に起動と停止を繰り返すため,電磁的な音が発生し,唸ります。ちょうど,チョッパ電車やインバータ電車と同じです。

特に,昔のチョッパ電車や初期のインバータ電車はサイリスタを制御素子に使っていて,スイッチング速度が遅いため,スイッチング周波数も300Hzとか,1kHzとか低かったため,かなりの電磁音を出しました。プーッと甲高い音を出して走っていましたよね......(^^;)。

最近はスイッチング周波数を上げて音が小さくなっているのはご存じの通りです。これは素子が高速のIGBT(ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ)を使っていたり,電圧が2段(0→1/2→1)になっている3レベルインバータを使っているためです。

ついでに,今は小型のIGBTも作られていて,秋月電子さんなどで売られています。東芝のGT20J34なんて,250円です。600V,80Aの高性能ですが,同じTO-220のパッケージです。驚いちゃいますね。 

鉄道模型も全く同じで,スイッチング周波数は普通,20kHzくらいにして,人間の耳に聞こえないようにしてあります。市販のPWM式コントローラもこのような高い周波数となっています。 

ところが,こんなに高い周波数にしちゃうと,あまり低いデューティのパルスは出力できなくなってしまいます。iruchanは20kHzなんて,半導体じゃ,スイッチングは楽勝じゃん,と思っていたのですが,さすがに20kHzでデューティ1%とするとパルス幅は0.5μsになりますが,そんな狭い幅のパルスを出力するのは困難です。 

原因は出力の半導体にあります。また,使用している素子により原因は異なります。

まず,現在,広くモータやLEDの制御に用いられているMOS-FETの場合は前回も書いていますように,入力にキャパシタンス分(入力容量)があり,このコンデンサが入力信号が来てもその電圧を食いつぶしてしまい,なかなかMOS-FETがonする電圧(ゲートしきい値電圧VGS_th)に達しないためです。

MOS-FET入力容量1.jpg MOS-FETの各電極間容量

なお,真空管同様,MOS-FETには各電極間に3つのキャパシタンス分があり,これらのうち,入力容量CissはCg-dとCg-sの和です。 また,帰還容量Crssも要注意で,これはCg-dそのものです。

ちょっと,Spiceでシミュレーションしてみました。20kHzで,デューティ1%でドライブしてみます。 

2SK2466出力段.jpgMOS-FETの場合

2SK2466 入出力波形(20kHz, duty 1%).jpg やはり太いです。

もとのパルスがですが,実際にMOS-FETが出力する電圧はのように,幅が広くなってしまっています。

これは,ゲートの入力容量Cissと,ゲート抵抗RG10Ωが時定数を形成し,のように,ゲートの電圧が変化するためです。斜めに立ち上がっていますね。もし,Rgが100ΩだとMOS-FETはonすらしなくなってしまいます。

MOS-FETはいろいろありますが,VGSは大体,2~4Vくらいかけないとonしません。 バイポーラTrは0.6Vですから,大きな値です。簡単にPICでonできない場合もあり,とくに,最近のPICは3Vで動作するものが多いので,下手するとドライブできませんのでご注意ください。また,仮にドライブできていたとしてもMOS-FETが非飽和領域で動作していて,MOS-FETが発熱することもありますので,注意が必要です。▼の回路図で,ドライバ段の電源を12Vから取っているのもそのためです。PIC用の5Vラインから取るとドライバ段の出力は5V以下になってしまい,終段のMOS-FETのドライブ電圧が下がります。 

もし,RGを0Ωにできれば,もっと高速にできるし,実際,PWMコントローラの場合,この抵抗を入れずにPICと直結している場合も多いと思います。

ただ,オーディオ用のアンプなどの場合はこの抵抗は必須です。なぜかというと寄生発振と言って数MHzくらいで発振してしまうことがあるのと,スイッチング回路の場合はさきほどの帰還容量Crssのせいで大きなサージ電圧が発生し,MOS-FETを破壊することがあるためです。

と言う次第で,できればこの抵抗を入れておいた方がいいのですが,大きな値だとスイッチングが遅くなっちゃいますので注意が必要です。

一方,つい最近まで,電力制御の主役だったバイポーラTrは,と言うとこちらはスイッチング速度が遅いためです。

バイポーラTrはスイッチング速度がMOS-FETの1/10以下のため,信号の立ち上がり,立ち下がりにうまく追随できません。

2SD794 出力段.jpgバイポーラTr回路

2SD794 入出力波形(20kHz, duty 1%).jpg ありゃ?

▲のMOS-FETのときとはちょっと様子が異なります。一応,スイッチングはできるのですが,立ち下がりが遅いですね......。

バイポーラTrはスイッチング時には立ち上がり時間 ton, 蓄積時間 tstg, 立ち下がり時間 toff の3つの速度があり,規格表にも書いてあります。

といって,スイッチング用と称しているTrでないとあまり規格表に書いていないのが困ったものなんですけど....。 

ton と toff はほぼ同じで,大体,0.5μs~1μsくらいです。一方,tstg は2~3μsもあって遅いのです。

tstg はP-N接合面付近で,キャリア(電子と正孔)が中和している領域があり,そこが完全に元の状態に戻るまでの時間です。元の状態に戻ると電流を遮断し始めます。 

MOS-FETはキャリアの蓄積効果がなく,この tstg の部分がないので,やはり速いです。もとから ton やtoff は10倍くらい速いのですしね。

というのが実際に教科書に書いてある話なのですが,▲のシミュレーション結果を見ると,立ち上がりの部分が非常に小さく,蓄積時間 tstg は入力パルスがoffになってから,少しまだ出力が水平となっている部分があって,その時間のことですが,ここもj短いです。

Tr switching waveform.jpg トランジスタのスイッチング時間測定条件

問題は立ち下がりの toff の部分のように思います。

なんか,実を言うと,iruchanもちょっとこのシミュレーションは少しおかしいという気がしているのですが.....。もっと立ち上がりは遅いはずだし,立ち下がりは逆に遅すぎると思います。

原因は負荷電流で,今回,100mAくらいなんですが,1Aも流すともっと立ち下がりは速いし,バイポーラTrと言っても意外に速いと言うことがわかりました。負荷が大きいと,キャリアの中和領域が早く消えるようです。

しかし,やはりパルス幅はMOS-FETの約2倍となってしまいます。

なお,スイッチングを高速化するには,MOS-FETの場合はこの入力容量の充放電を速くすればよいわけですから,短時間に大量の充放電電流を流してやればよく,そのため,プッシュプルドライバを入れてやれば解決する,と言うのが前回までの話でした。

ところが,バイポーラTrの場合は素子そのものの物理的な現象のため,打つ手がありません。 高速化コンデンサと称して,10~100pFくらいのコンデンサをRBにパラにすると速くなりますが,これとてやってみると大して速くはなりません。

だから,結局のところ,やはり鉄道模型のコントローラにはMOS-FETが適していると判断せざるを得ません。

と言う次第で,今回,設計をやり直し,下記の通りとしました。

PWM式コントローラ(PIC・調光)1.jpg 回路

さすがに結構,大規模な回路変更なのでプリント基板も一から作り直しました........orz。

なお,今回,過電流保護は0.6Ωの抵抗と2SC1815で構成しています。1A以上の電流が流れると2SC1815がonし,2SK2382のゲート電位を下げるので,電流を絞ってくれます。面倒でしたら,抵抗1本だけでもOKです。そのときは抵抗値は1.6Ωくらいにしてください。ただし,この場合,この抵抗による電圧降下が大きく,1A流したときは最大出力電圧は10Vくらいに下がりますのでご注意ください。 それはちょっと困るな,と言う方はこの抵抗の代わりにポリヒュースを入れてください。

PIC controller & driver PCB.jpg 最終的な基板です。

従来型との比較.jpg 従来型(左)との比較です。

従来型はタイマIC555とコンパレータNJM2903DLM393互換)との組み合わせです。 

プリント基板(PIC).jpg プリント基板図(パターン面) 

プリント基板(PIC)1.jpg 部品配置(部品面から見た図) 

基板サイズは55mm×30mmです。 

ピンクのLEDはパイロット用,オレンジは出力のモニター用です。つけておくと何かと便利だと思います。 出力のMOS-FETのドレインにスナバ回路(100Ω+0.01μF)も入っていますが,どちらも特に不要なので,フリーホイーリングDiの11EQS06以外はつけなくても構いません。

また,ソフトは前回と同じものです。 

最低デューティ(PP driver).jpg デューティは1.6%となりました。

残念ながら,最低デューティは最初,基板を作り直した時点では2.6%くらいで目標に到達しなかったので,多少,回路定数を変更しました。

でも,結局,1%以下にすることはできず,▲のように1.6%となりました。時間的にはパルス幅0.83μsと言ったところです。0.5μs以下にしたかったんですけどね.....。

原因はやはりMOS-FETの入力容量です。

今回,出力には東芝の2SK2382を使いました。もうじき東芝の半導体も身売りされて消えちゃいますので.....。

第2回に現行のMOS-FETの特性をまとめていますが,2SK2382はCissが2000pFもあり,最近のMOS-FETなので非常に大きいです。やはり,KATOのKC-1改で使用したNECの2SK2412(Ciss=860pF)の方がよかったと思います。今回は素子の選択ミスです。 おそらく,2SK2412だったら最低デューティは1%以下にできたと思います。

ドライバ&出力段.jpg さようなら......。

今回,ドライバの2SA10202SC2235と出力の2SK2382,レギュレータのTA78L05は東芝製を使いました。いずれも手持ちです。本当は2SA1020のコンプリは2SC2655ですけどね....。

最近はTO-92型のTrも数が減り,2SA1020も秋葉じゃ台湾UTC社のものが幅を利かせています。あまり外国製は使いたくないのでパスです。真空管時代からの名門東芝も半導体部門の売却が決まり,とうとう消えていきます。それこそiruchanは2SB54の時代から東芝のトランジスタを使ってきたので残念です。北陸の田舎じゃ,ソニーや日立はもちろん,NECだって部品屋さんでは売っていませんでしたから.....。

まあ,2SK2382でも最低デューティは1.6%ですから,モータは回転しませんし,LEDも非常に小さく,チップの表面がうっすらと点灯するくらいですので,十分,常点灯には対応しますけど......。

調光つまみmaxデューティ.jpg 調光つまみmax.の状態です。

今回,走行用と調光用でKC-1みたいにつまみを分離しました。こうしておくと,別個に調整できて便利です。

調光用は最大デューティ10%となるようにソフトを組みましたが,実際には最大12.0%でした。まあ,こんなものでしょう。おそらく,調光用つまみを最大にすると模型も走り出してしまう,と思いますので,前照灯は点灯しても走行はしない,というレベルで固定しておきます。

無事に動作しましたので,近日中にケースに入れてみたいと思います。  


コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その4・PICの利用~ [模型]

2017年3月12日の日記

さて,このところ,KATOのリニューアルされたD51用のコントローラを作っています。このD51は動力も刷新され,新たにC62で採用されたコアレスモータを採用しています。

ただ,いろんな人が書いておられるように,どうもコアレスモータは従来のコントローラとの相性が悪く,低速がスムーズだと人気の高いPWM式のもので運転しても少しラピッドスタート気味だし,また,常点灯にも対応せず,停止しているときには前照灯が点灯しなくて,走り出すと同時に点灯する,という感じです。

これを解決するべく,iruchanはこのところ研究しています。前回までで往年のKATOの名コントローラKC-1を復活させ,この問題を解決することができました。

さて,今回はPICマイコンを使ったPWM式コントローラを製作したいと思います。

遅まきながらiruchanも去年からPICに取り組んでいます。前回はLEDをチカチカ点灯させるマーカーを作りました。

今までやらなかったのは何より道具をそろえるのが大変だと言うこと。内部のROMにプログラムを書き込むためのライターや言語などの開発環境の準備が必要です。おまけにライターは古いものはRS-232Cしか対応していないので,USB→RS-232C変換器なんかも準備しないといけません。結局,なんだかんだ言って1万円くらい投資も必要です。

なお,道具としてはまずはMicrochip社が出している,ライターのPICkit3が必要です。

ただ,これはあくまでもライターで,PICに書き込むには基板上に通信用のヘッダーを設けないといけません。デバッグするのに便利なんですが,いちいちプリント基板にヘッダーを設けるのも困りもの。やはりPIC単体で書き込みをして,装着するプリント基板には何もない方がよいと思います。

ということで,マルツが売っているPICマイコンプログラミングアダプタも必要です。

PICkit3 & MPIC-DPPA.jpg PICkit3と変換アダプタ

変換アダプタは秋月などでも売られていますが,マルツのが一番使いやすいと思います。

なお,書き込みソフトはPICkit3の場合はやはりMicrochip社の統合開発環境MPLAB IDEを使いますが,開発言語はiruchanは別のソフトなので,MPLAB IDEをインストールすると一緒にインストールされる書き込みソフトMPLAB IPEのみ使います。

ま,それにしてもMPLAB IDEは無料なので助かりますけど。 

ただ,GUIは英語しかないし,このIPEと言うソフトもクセがあって非常に使いにくいです。まずは12F1822と接続できず,一歩も先に進みません。

原因はUSB経由でPICkit3から装着したPICに電源を供給しないといけないのですが,デフォルトで非供給となっているためです。また,この電源の設定が基本モードじゃだめで,Advancedモードにしないと出てこない,という困ったものです。

これに気づくのにずいぶん時間がかかっちゃいました。

IPE-2.0'.jpg Advancedモードに移行します。

IPE-2.4'.jpg

   電源のチェックが必要です。このあと,Operateをクリックします。

と言う次第ですが,なんとか道具もそろってようやく書き込みもできるようになったので,いろいろとPICをいじっています。

それで,昔からやりたかったのはPICで模型を制御しよう,と言うことなんです。

もとよりPICというのは自動車や,各種センサを用いた自動計測などに利用されていることもあり,モータやセンサの接続が簡単にできるようになっています。特に,モータの制御に関してはPWMの機能を持つPICがあります。

と言うことで鉄道模型のコントローラに応用したいと思っていました。また,世の中にはたくさんの先輩がいて,すでに鉄道模型用のコントローラを作っておられますね。

と言うことでiruchanも去年から取り組んでいました.......。

ところが,結構やはり大変です。よくわからない不具合連発で,なんとかようやくPIC使用のコントローラができるようになったので報告したいと思います。

また,ついでに今回のコアレスモータ対応コントローラにしたいと思います。もちろん,PICに取り組み始めたときはそんなつもりはなかったんですけどね......(^^;)。

さて,まずはPICに何を使うか,と言うことになります。

少なくとも,鉄道模型のコントローラはボリウムで指令電圧を作り,その電圧に比例したPWM信号を作らないといけないので,アナログ入力ポートを持ったPICが必要です。

また,当然のことながらPWM機能のあるPICでないといけませんね。

ただ,実は最初,iruchanは知らなかったのですが,PICはPWMはどんなPICでも使えるようになっているので,特にPWM機能のあるPICでなくてもよかったんですね。

PICが発生させるPWM波はソフト的に発生させるソフトPWMと,PIC内部にPWM波発生回路を持っていて,それにPWM波を発生させる,ハードウェアPWMの2種類があります。後者の機能を持っているPICは限られますが,前者はどのPICでも出力可能です。

と言う次第で,単に指令電圧を入力できるアナログ入力ポートのあるPICなら何でもいいんですが,iruchanは12F1822を選択しちゃいました。

12F1822はアナログ入力ポートを3つ,ハードウェアPWMの出力ポートを2つ持った,8ピンのDIPになっています。わずか8本しかピンがないのに,これだけの機能を持っているのに驚きます。でも,これはトラブルのもとで,当たり前ですけど,プログラム中でどのピンを何で使うか,宣言しないと思った動作をしませんのでご注意ください。

これをこんな風に接続すれば,鉄道模型のコントローラの配線ができちゃいます。 

PWM式コントローラ(PIC・最簡略版)1.jpg一番簡単な回路

ついでに,せっかくアナログ入力ポートが3つもあるんだから,調光用と走行用で指令電圧をわけ,2つのボリウムを使ってそれぞれ調整できるようにしたいと思います。PWM式のコントローラなんだから,若干,つまみを回した状態で停めておけば,前照灯も点灯して常点灯になるんですけど,調光用のつまみを別に設ければ,走行用のメインのボリウムを完全に絞った状態でも前照灯や室内灯が点灯したままになるので使いやすいです。製作中のKATOのKC-1改コントローラもそうしました。

ということで,調光用にボリウムをもう1個設けた場合はこのような回路となります。

PWM式コントローラ(PIC・調光).jpg 調光機能を持たせた回路

それにしても簡単だな,と思います。PICが5Vのパルスを発生させるので,その電圧でMOS-FETをon-offすればいいだけのことです。

また,PICを使うとMOS-FETのドライブ電圧が5Vで固定されるのを利用して保護回路を構成することができます。MOS-FETのソースに入っている1.6Ωの抵抗がそれで,たった1本の抵抗で電流制限型の保護回路となります。

ソフトは前回と同じ,Great Cow Basicを使いました。PIC用のフリーのBASIC言語です。本当だったらPICはマシン語か,C言語なんでしょうけど,今から覚えるのも大変だし,と言うことでiruchanはBASICです。

ソフトは上記の単一調整のタイプと,調光&走行が別になっているものと共通ですので,12F1822に書き込めば,どちらの回路でも使用できます。

☆ 

ということで,ソフトを書き込んでOKなんですけど,ここからが大苦労でした。

やっぱりPICが動きません......orz。

今回,内蔵クロックを使うことにし,そのようにソフトを組んだのがまず問題でした。

通常,PICはセラミックレゾネータを使って外部クロックとすることが多いのですが,レゾネータの部品が意外に高いので,もとからついている内蔵クロックを使おうと思ったのですが,なかなかそれが動きません。いろいろwebや本を調べてもよくわかりません。

ようやく,Great Cow Basicで指定の方法がわかりました。#config FOSC=INTOSC と宣言するだけだったのですが。PICにより,この宣言しているところが違うんですね。

ほかに,PWMを出力するのにも苦労しましたし,最後までA/D変換がおかしく,まいりました。今回,A/Dを2チャンネル使っているのですが,どうにもどちらを動かしても変な動作となります。調光用に最大10%のデューティしか出力しないようにしたのに,調光用も100%となったり,と言う具合で,非常に苦労しました。

ようやく,このところ,うまく想定したとおりに動くようになりました。

一応,ソフトをupしておきます。直接,hexファイルをupすることはできないのでテキストファイルにしておきました。このまま,拡張子を.txtから.hexとして,ライターで書き込めばPICにソフトが転送できます。ご利用ください。

PWM controller.txt  右クリックして "リンク先を保存" してください。

さて,テストをしてみます。

ところが....。 

PWMコントローラ試作基板.jpg 試作基板です。LEDでテスト中。 

出力にLEDをつないでテストしてみますと,どうにもやはりまだおかしい。

調光用は最大10%のデューティにしたので,そんなに明るくないし,また,LEDも割にスムーズに点灯するような感じですが,走行用のボリウムを回すとどうにも変で,なかなかLEDが点灯しません。かと思うと,ある程度回したところで,パッと言う感じでLEDが点灯します。

もし,モータを回しているんだったら,しばらく,ボリウムを回転しても全くモータが回らないのに,あるところで突然回り出す,という感じです。これじゃラピッドスタートですね。

ソフトは間違っていませんし,最初は回路の不具合かとプリント基板をチェックしますが,どこもおかしくありません。

でも,前回のKATOのKC-1改を作ったときに経験したのですぐに原因が判明しました。オシロをつなげば文字通り,一目瞭然でした。

やはり,予想どおり,かなりボリウムを回したところで,突然パルスが出力され,しかもそのパルスがいきなりかなり太い!

実際,最低デューティは8%くらいです。こんなはずはないんですけどね。KATOのKC-1改の場合は回路を改良して最低デューティは1%以下となるようにしました。本機も回路を見直さないといけません。

最低デューティ(試作機)1.jpg これで最低デューティです。 

これは,例によって制御用のMOS-FETの入力容量のせいです。また,offしたあと,配線のインダクタンスと共振して若干,波形が波打ってしまっています.....orz。 

MOS-FETは真空管同様,電圧制御素子で,ゲートに加えられる電圧でドレイン電流を制御できる,という大変な優れもので,スイッチング速度もバイポーラTrのようにキャリアの中和などの現象がないので非常に速いし,なによりゲート電流はないので制御電力も不要なのが大きなメリットです。

でも,ここに落とし穴があります。

実際にはMOS-FETの制御にはちゃんと電流を流す必要があり,もちろん,ゲートの消費電力は0じゃありません。

なんでか,というとゲート~ソース間に非常に大きな静電容量があり,昔は400pFくらいで,それでも巨大な容量だったのですが,最近のものは2000pFを超える容量となっています。この容量に十分に電荷が溜まらない限り,MOS-FETはonしないのです。また,いったんonしちゃうと,offするときはこの容量に溜まった電荷を抜かないとoffにならないので,offにするまでの時間もかかっちゃいます。なんか,ものすごくアホな話だな~と思います。

その点,真空管は同じ電圧制御素子なのに入力容量は小さく,ミラー効果がある3極管でも100pFを超えることは少ないです。5極管だと1pF以下で,むしろ配線やソケットなど,浮遊容量の方が大きいくらいです。また,バイポーラTrはベース~エミッタ間がもとから導通していて,電流を流して使うのでインピーダンスが低く,この入力容量はもとから小さいし,問題になりません。 

ということで,実はMOS-FETもうまく使ってやらないと全然スイッチングは速くないのです。

その意味で,KATOのKC-1は出力にPNPのバイポーラTrを使っていますが,まだMOS-FETが一般的じゃない頃の設計なので,こうなっているんでしょうけど,無事にこの問題を回避しています。バイポーラはスイッチング速度がMOS-FETの1/10以下なのですが,入力容量が小さく,意外に高速でパルスをon-offできます。実際,KC-1だときれいに低デューティの高周波のパルスが出力されるようです。  

したがって,MOS-FETをドライブするにはこの静電容量をいかに高速で充電したり,放電したりするか,という点が問題で,対策として,ドライバ回路が必要となってしまいます。結局,バイポーラTr同様,MOS-FETといえども電流でドライブする必要があるし,ドライバ段が必要なんですね。

でも,市販のPICを用いた鉄道模型のコントローラにはこのドライブ回路はついていません。だから市販のPWM式コントローラとコアレスモータの相性が悪い,なんてことになるんじゃないでしょうか。もっとも,模型のコントローラばかりじゃなく,ごく普通のモータ制御回路でもドライバ段はついていない場合がほとんどです。部品が増えちゃって,コスト増要因ですからね。

で,なんでつけていないのかというと,パルスが十分広いとき,つまりデューティが高いときは全く不要だからです。

普通のモータ制御の場合はデューティが数十%以上のところで使用しますし,起動時にラピッドスタートになったって,問題になることはないでしょう。

でも,鉄道模型は起動時が命ですし,それこそ,運転時には起動をいかにゆっくりするか,と言うことにをかけている模型マニアの皆さんも多いと思います.....(^^;)。

まあ,命ほどじゃなくても指先を神経を集中している,と言う人は多いと思います。

と言う次第ですが,鉄道模型のコントローラは最低デューティ付近の制御が重要であることに気づきました。この点,通常の自動車や産業用モータのPWM制御とは大きく異なります。これらは数%のデューティで回転させる,と言うことはないでしょう。もし,そういう状況ならもっと定格回転数の低いモータに替えるとか,ギヤードモータならギヤ比を変える,と言う話でしょう。iruchanはTomixの5001パワーユニット改PWM式コントローラやKATOのKC-1改コントローラで最大出力デューティを100%とするのに苦労しましたが,意外に問題は最低デューティにあったんですね。

"敵は最低デューティーにあり!!" 

   (明智光秀の声で!...........ほんなもん知らんて!) 

まずは鉄道模型のモータが回転し始めるデューティについて考えてみたいと思います。

大体,10%以上のところで回転しはじめる,と言うのが普通だと思います。LEDはデューティで言うと,もう少し小さく,5~8%くらいの値です。

ところが,コアレスモータはインダクタンスが小さく,トルクも大きいことから,数%のデューティでも起動してしまうと思います。

となると,従来のPWM式コントローラでは,ボリウムを回していってパルスが出始める位置に来たときにはパルスのデューティが高すぎ,LEDが点灯すると同時にモータも回転してしまって,いわゆるラピッドスタートになっちゃうんじゃないかと考えています。

実際,今回,オシロをストレージモードにして,LEDの点灯開始およびモータの起動開始時点のデューティを測定してみました。

TL494+KATO EF70.jpg 測定中。

メーカ     車両   LED点灯開始(%)  モータ起動開始(%)   モータ

KATO D51ギースル   3.38 4.60~8.04 コアレス 

KATO EF70  11.2 12.7~14.9 コアつき

KATO DD51 10.3 34.0~45.7 コアつき

Tomix ED61  6.7 34.5~62.3 コアつき,電球色LED化

Tomix EF510  10.3 34.0~59.9 コアつき,電球色LED化

残念ながら,コアレスモータ機は1両しか持っていないのですべてのコアレス機で本当にこうなのか,はっきり言えませんが,やはり,かなり低いデューティでモータが起動してしまうことがわかります。コアつきモータ機で12%~40%くらいなのに対し,ほんの数%で起動してしまうことがわかります。

コアレス機はLEDの点灯デューティとモータの起動開始デューティの差が小さく,やはり常点灯にも対応しにくい,と言うことがわかります。

また,古い機種ほどデューティが高いことがわかりますね。Tomixの機関車はいずれもかなり古いものです。それに,モータの起動開始はかなりばらついてしまいます。オシロも通常のモートでは測定不可で,ストレージモードにしてなんとか測定できる,と言うレベルでした。 

PWM デューティ解説.jpgコントローラのPWM出力

以上の結果から,実際の鉄道模型のPWM式コントローラの出力をグラフにしてみるとこんな感じではないかと思います。

本来は ━ の線のように,デューティは0~100%で直線状に変化するのが理想です。 若干,ボリウムの0゜付近には遊びを設けておかないとつまみをちょっと回しただけで模型が走り出しちゃいますので,通常は少し余裕が設けてあります。

ところが,▼の理由で,通常のPWM式コントローラは最低デューティは0%ではなく,  のように数%程度のところから急に立ち上がります。

昔のようにコアつきモータの場合はモータの起動デューティはこれより高かったので問題なかったのですが,どうもコアレスモータはこれより低い位置で起動してしまうようです。 

一方,コントローラのスイッチング周波数が低い場合は,最低デューティも小さくすることができ,▲のグラフでパルスの出力開始地点はもっと原点に近いところとなるはずで,うまくすればコアレスモータの起動デューティより低くできるはずです。 

ということから以前は,低周波のPWMがこの対策となると考えていました。

確かに,KATOのKC-1では50Hzくらいのスイッチング周波数ですし,iruchanも以前から300Hz/20kHzの切替式で作っておいて,たまに300Hzで運転しているんですが,確かに300Hzだとコアレスモータでもスムーズに起動します。

それじゃ,そのような低周波のPWM式コントローラを作ればいいじゃん,と思っちゃいますけど,これをやるとモータが瞬間的に,起動,停止を繰り返すため,モータが振動し,大きな音を立てます。D51なのに,チョッパ電車みたいにプーッと音を出して走るのはまずいな,と思います。

そこで,KATOのKC-1では高周波のPWMを追加し,モータが唸らないようになっています。KC-1は低周波50Hz,高周波20kHzの2周波PWMとなっていて,高周波パルスを出しているため,モータの振動が抑えられ,実際に運転してみても,かすかにモータが唸る程度です。

では,どうして低周波のPWMだとスムーズに起動するのか,と言うと,これは時間が関連しています。

もし,仮に1%のPWM波を作ったとして,そのパルス幅は20kHzでは0.5μsですが,50Hzでは0.2msもあります。

実は,いくらMOS-FETが高速だからと言っても,0.5μsのパルス幅を作るのは入力容量のせいで結構,難しいことなのです。

一方,0.2msもあるパルス幅を作るのなら簡単で,立ち上がり,立ち下がりに遅れがあっても,幅が0.2msもあるのなら大差ないですしね。要は1%のデューティのパルスを作るにはやはり(パルスの継続)時間が関連しているのです。

では,ちょっとシミュレーションしてみませう。いつものようにLTspiceでシミュレーションしてみました。

MOS-FET simulation circuit.jpg シミュレーション回路 

2SK2466(ton=0.5μs)-1.jpg 2SK2466のとき

   あちゃ~~!! 予想どおり,2SK2466はonしません。こりゃ,あかんわ。

ゲートの電位をみてみますと,静電容量のせいでゲート電位の立ち上がりがゆっくりで,ゲートしきい値電圧VGS_thに到達する前にパルスが終了してしまい,結局,2SK2466はonしないのです。

ですから,もっとパルス幅が広くならないと2SK2466はonしないし,そのため最低デューティが高くなってしまうのです。

実は,MOS-FETの立ち上がりが遅くなるのは入力容量ばかりでなく,ゲートに挿入される抵抗も原因で,これが時定数になり,MOS-FETの起動が遅くなります。これをなくしてしまってPICと直結してもよいのですが,これがないと寄生発振を起こしたり,off時にサージ電圧が発生してMOS-FETを壊すことがあります。

最低デューティ(試作機・PIC~MOS-FET直結).jpg PICと直結したとき

先ほどのオシロの写真と比較していただきたいのですが,確かに最低デューティは1.3%ほどと非常に狭くなりましたが,これ以上,小さくはできませんし,パルスがoffしたあと,はね返りがあります。これがサージ電圧で,ひどい場合にはVDSの耐圧を超えてMOS-FETを破壊することがあります。まあ,今回,試作基板で使用した2SK975はVDS=60Vなので壊れることはありませんけど。 

一方, 往年の東芝製のMOS-FET 2SK442だとこうなります。

2SK442(ton=0.5μs).jpg あれ? ちゃんと動作します。

ちなみに2SK442はCissが330pFと,2SK2466(3250pF)の1/10です。 2SK442はCissが小さいので,ゲート電位もすぐに立ち上がっているのがおわかりいただけると思います。

2SK442は古いMOS-FETで,おそらく1980年代の製造です。この頃のMOS-FETはまだ電流的に大容量でなく,ID=10Aですが,2SK2466は30Aです。最近ではサンケンのEKI-04027だと85Aです。これで同じTO-220パッケージなんですからね。驚いちゃいます。

その代わり,最近のMOS-FETは入力容量が増えており,2000pFを超えるのが普通です。そんなので20kHzのスイッチングをやって0.5μsのパルスを出させよう,なんて無理です。半導体メーカさんにお願いしたいのですが,もっとCissの小さなMOS-FETを作ってもらえないでしょうか。たとえば,VDS=30V,ID=5Aで,Ciss=50pFにして,3VのPICでもドライブできるよう,VGS_th=1.5Vなんてのを作り,鉄道模型スイッチング用なんてどうでしょうか.............無理。

一方,最近ではほとんど大電力回路に使われなくなっているバイポーラTrはどうかというと,

2SD794(ton=0.5μs).jpg 

     ちゃんと出力できるようですけど....。

2SD794(ton=0.5μs)-1.jpg 

     よく見ると立ち下がりが悪いです。

バイポーラTrはonするときは入力容量の問題がないので高速ですが,offにするときはP-N接合面付近のキャリアが中和されている領域がなくなるまでon状態となります。シミュレーションしてみるとデューティは倍くらいになっちゃいます。これでもonしないMOS-FETよりマシ35という気がします。 

う~~ん,とゆ~ことで,なんかいつも思っているんですけど......。

iruchanはいつも, コンデンサと女房は新しいほどよい,と思っています.....(^^;)。

真空管アンプのカップリングコンデンサには最新のフィルムコンを使うことにしていますが,これは古いオイルコンやペーパーコンは吸湿してリークするため,出力管を傷めてしまうからです。嫁はんも結婚したら数年で絶縁破壊し,ちょっとした過電圧で爆発して危険物に変化してしまいますからね.....。

ただ,iruchanは昔から 半導体と真空管は古いほどよい,と思っていました。2A3より45300Bより205Dの方が音がよいし,MOS-FETよりV-FETや2SA627/D188なんかのバイポーラTrの方が音がよいですからね。最近はSiC半導体がオーディオマニアで受けていますけど,iruchanは全く興味ありません。

鉄道模型のコントローラも古い半導体の方がよさそうです。MOS-FETは古い方がCissが小さいですからね。

と言う次第で,対策としては出力のMOS-FETのドライブ用に新たにドライバ回路を挿入する必要があります。前回のKATOのKC-1改でもドライバを挿入して回路を高速化しています。

前回,KATOのKC-1改の場合も,調光用の24kHzのパルスがやはり最低デューティが25%にもなっていて,ドライバ回路を挿入しています。

ただ,ドライバというとよく使われるのがエミッタフォロアなんですが,シングルでは問題を生じます。

PWM MOS-FET single driver simulation circuit.jpg シングルドライバ 

2SK2466(ton=0.5μs single driver).jpg 2SK2466をドライブしたとき 

MOS-FETの入力容量を充電するときは速いのですが,放電するときは1kΩの抵抗を介してGNDに放電されますので,遅く,いつまでもMOS-FETがonしたままです。これじゃ最低デューティは20%以上となってしまいます。 

以上から,やはりシングルのドライバはダメで,MOS-FETの入力容量を充放電するにはプッシュプルドライバにする必要がありますが,KC-1改のときに使用したテキサスのTL494は出力回路がエミッタフォロアになっていて,規格表を見ても出力電流は250mAもあるので,充電側はTL494に任せ,シンク側のみTrを使い,変形プッシュプルドライブ回路としました。回路が簡単で済みますしね。

MOS-FET single driver simulation circuit.jpg 変形プッシュプルドライブ回路 

今回,最初は同じ回路で考えたのですが,改めてMicrochip社の12F1822の規格表を見ると,ソース・シンク電流25mAと記載されています。 ちなみにこの場合,ソース電流がMOS-FETの入力容量の充電電流で,シンク電流が放電電流と言うことになります。なお,ソース電流をはき出し電流,シンク電流を吸い込み電流と書いてある場合もあります。

これは,本来ならとても大きな値なのですが,▲のシミュレーション回路で調べてみると,不足していることがわかりました。放電側は若干小さめですが,充電側は100mA以上流さないと0.5μsのパルスを出力できません。

と言う次第で,結局,プッシュプルドライバとしないといけませんでした。また,使用する素子も定番の2SA1015/2SC1815のような小型Trじゃダメで,ひとつ上の2SA965/2SC2235などの出力用のものが必要となります。う~~ん,なんかこれじゃ半導体アンプだな~~。 その割に出力の半導体はシングルアンプかよ~って感じですけどね......orz。

MOS-FET PP driver simulation circuit.jpg プッシュプルドライブ回路

MOS-FET PP driver 波形.jpg 各部の電流,電圧

2SK2466+driver(ton=0.5μs).jpg 見事に出力できます。

これでようやく20kHzでデューティ1%のパルスを出力できることがわかります。

せっかく,プリント基板を作ったのですけど,残念ながらこれで ボツです。来週は新たにドライバを搭載した基板を作ってテストしてみたいと思います。 

 

2017年3月20日追記

ドライバを追加した基板を作りました。

3連休なので無事に完成するか,と思ったのですが意外にトラブって土曜に基板を作ったのに,ようやく今日,正常に動作するのを確認できた程度でした。

一応,最低デューティは2%ほどにできたので,非常に低くできましたが,目標としていた1%を下回りませんでした。もうすこし回路を調整します。詳しくはまた次回です。どうも申し訳ありません。

PWM contoller PCB driver1.jpg ドライバを追加した基板


冬のタウシュベツ&襟裳岬ツアー [紀行]

2017年3月4日の日記

寒いところ大好きなゐるちやんはまたまた性懲りもなくかやうなところへ行つてをりました。

襟裳岬.jpg すげ~~っ!!

襟裳岬へ一度,行ってみたいと思っておりました。ただ,実を言うと,どんなところか,全く知りませんでした。道内でも全国的な知名度では一,二を争うくらい有名だと思いますけど,有名な割にTVで見たりすることはないのではないでしょうか。こんな素晴らしい絶景を見られるとは思いもしませんでした。岩肌に雪が積もってとてもきれいでした。天気も快晴だったし,風が強くてとても寒かったけど,本当に行ってよかったです。

そして,今回,ぜひ,リベンジしたいと思っていたところがあります。

タウシュベツ1.jpg 本当に美しいですね

昨年8月に一度,来ているのですが,夏は糠平湖はほぼ満水で,文字通り,港内で触雷して着底,という状況でした。

冬だと渇水期でほぼ全景を表しますし,凍った湖面に美しい姿が映え,とても美しいので,今度は冬に来てみたいと思っていました。

と言う次第で,今回,冬にタウシュベツ川橋梁と襟裳岬を訪ねることにしました。ついでに今度のダイヤ改正で廃止になる,千歳線・美々駅と根室本線・稲士別駅を訪ねてみたいと思います。

出発は2月24日(金)と決めました。

ところが.......。

前日の午前4時頃,室蘭本線・洞爺~有珠間を走行中の隅田川発札幌タ行きの3055レの機関車が脱線し,室蘭本線が不通となってしまいました。

朝,ネットでニュースを見て仰天。

機関車は赤スカの8号。おまけに重連で,"おっ,先頭赤スカで重連じゃん" なんて思っちゃいましたけど.....。ちなみに次位の機関車は回送だったようです。

まあ,画像を見ると複線区間だし,機関車の1台車が脱線していますが,それほど線路が傷んでいるように見えませんし,複線だったら最悪,単線で開通するかも,と思いました。実際,JR北海道のホームページを見ても,最初は14時頃開通予定,と出ていました。これなら何とかなるかもしれません。

ところが,じきにその表示は訂正され, "再開の見込みはたっておりません" となりました。NHKもそのようにニュースで伝えています。おそらく,事故も続いているし,国交省の調査が入るのでしょう......orz。

それに,複線区間に見えたのは北入江信号場で,先頭の機関車が分岐器を超えたところで脱線したようで,後続の貨車が本線を支障しているので,単線運転もできるわけがありません。そもそも,札幌~函館間のいわゆる海線の区間はほとんど単線区間がないのに,ごくわずかに残った単線区間で脱線しています.....。 

いままで,実を言うとiruchanが行くところ,必ず事故が起こる,というのがジンクスになっていて,家族からも恐れられています。

最近では,一昨年,旧白滝へ行ったときには翌日,旭川に近いトンネルが漏水による火災で函館本線が不通となっているし,瀬野八へ行った後も大雨で崖崩れが起き,通りがかった普通電車が脱線して山陽本線が不通になっています。どちらも帰りに通ったところなんですけど.....。

さすがに今回は行く前だったので焦りました。この分では,明日も不通となるのは間違いなさそうです。 

残念ながら,今回,室蘭本線の東室蘭~室蘭間が未乗だったので,函館空港へ飛んで,そこからスーパー北斗7号→室蘭→スーパー北斗9号と乗り継いで,この区間を乗りつぶす予定でしたが,あきらめました。

とりあえず,飛行機を探しますが,函館~札幌間は全滅。しかたないので,早割で買っていた函館便をあきらめて速攻で新千歳の便を予約しました。当日中に決済すればよいので,ギリギリまで待ちましたが,夜8時になってJR北海道のwebに明日の運休が出て,飛行機で新千歳へ直行するしかなくなりました。

と言うわけで,予定よりずっと早く,新千歳に着いちゃいました。

早すぎるんですけど,まずは美々駅へ。ここで1時間ほど撮影しました。残念ながら,室蘭本線が不通なので,貨物は来ないし,特急も走っていません。

南千歳駅名標.jpg この駅名標も修正ですね.....。 

新千歳空港から快速エアポートで一駅,地上に出たら南千歳駅で乗り換えます。ここも一駅で美々に着きます。

美々駅4.jpg 

     美々駅。kitacaの読み取り機があります。

まだ札幌都市圏だし,すぐ西側は新千歳空港の滑走路があるし,頻繁に上空を飛行機が飛んで,割りに賑やかなところなんですが,駅前にはなにもなく,人家もありません。まあ,飛行場のすぐ近くだから高い建物は建てられないし,農場ばかりなので人もそれほど住んでない,と言うのもわかりますが,通勤電車が走るようなところで駅が廃止になる,というのはちょっと驚きです。

だから,いくら廃止になるといっても,電子カード式乗車券が使えるし,周囲も人家が少ないと言うだけで,”秘境駅” なんてわけはなく,このカテゴリーに入れちゃって紹介している人がいるのは変な気がするんですけどね.....。でも,廃止になっちゃうくらいなんで,やはり秘境駅なんでしょうか。

美々駅2.jpg  後ろは航空用のレーダー?

美々駅1.jpg 下り本線と中線です。

ここは撮影地としても知られていて,"北斗星" 廃止の頃はすごかったでしょう。上り列車をきれいに撮れる場所のようです。 

美々駅3.jpg 時刻表

秘境駅というなら1日に2,3本しか停まらない駅,と思いますけど,ほぼ1時間に1本の割合で列車が来ます。 ただ,下手すると普通列車も通過するので,ちゃんと時間を調べておかないと鉄ができません。

やはり待っていても貨物列車や特急は来ませんので,改札機でまたピッとやって南千歳に戻りました。

ここからはスーパーおおぞら5号で帯広へ向かいます。 

お昼は本当はスーパー北斗9号の車内で長万部のかにめしを食べる予定で,JR北海道の客室乗務員事務所に電話して予約しておいたのですが,これもキャンセルとなっちゃいました。久しぶりに長万部のかにめしが食べられると思ったのに......。

ほっきめし.jpg 南千歳駅のほっきめし

でも,南千歳の駅ホームの売店でおいしそうな駅弁をゲットしてスーパーおおぞら車内で食べました。ほっきめしって初めて食べましたけど,おいしいですね~(^^)。いつも,回転寿司の店でホッキ貝サラダを食べてるんですけど,ホッキ貝の炊き込みご飯なんてあるのは知りませんでした。また買お~っと!! 

さて,石勝線内はやはり大雪。1時間以上かかるトマムまでは大雪で,外は吹雪いていました。

しかし,山を下りてくると快晴。やはり十勝地方は冬はよく晴れているようです。

帯広の駅レンさんで車を借りて大成駅へ。ほんとうはこの駅と芽室駅の間のカーブで撮りたかったんですけど,除雪してなくて車を停められそうにないし,うっかりスタックすると大変なので駅撮りです。 

2552D('17.2.24 大成).jpg 後ろはキハ40 777。

2両目は旧首都圏色の777号。前後が逆だったらよかったのに.....。

さすがにもう5時近いし,これから山道を走るので早めに糠平へ向かいました。それほど雪は積もっていないとは言っても,所々強風で雪が道路に流れ込み,それが凍ってアイスバーンになっていますから,慎重に車を運転します。大成駅から糠平までは70kmほどで,1時間半ほどでした。 

今夜のお宿は糠平温泉郷のペンション森のふくろうさん。とても親切な奥さんが迎えてくださいました。部屋もとてもきれいで,食事も豆乳鍋や蠣の炊き込みご飯がとても美味でした。 

翌朝は9時集合で,タウシュベツへ行きます。昨年夏同様,ひがし大雪ガイドセンターのツアーに参加します。冬なので凍った湖面をかんじき履いて渡っていきますが,滑るのはもちろんのこと,春近くなると氷が割れたりしますし,陸地も温泉地帯なのでメタンガスが噴出して空洞になっている場合があるらしく,うっかりすると胸までズボッとはまってしまうことがあるので,単独行動は危険です。かんじきを無料で借りられますし,ツアーに参加する方が安全です。 

往復5kmの道のりをかんじき履いて凍った湖面を歩きます。こんなこと経験したことないので,素晴らしい経験でした。

国道からしばらく林の中を歩くと湖岸に出ます。はるか遠くにタウシュベツ橋梁が見えてきます。

タウシュベツ2s.jpg タウシュベツ橋梁を望む

キタキツネ.jpg キタキツネも出てきました。

なぜかキタキツネが1匹,我々の前に現れ,そのまま橋をくぐって湖面の方へ歩いて行きました。人間をちっとも恐れている感じじゃなかったです。

それにしても近くで見るとタウシュベツ橋梁は傷みがひどく,アーチも所々崩れかかっています。いつまでこの姿が拝めるかわかりませんが,美しい滅び行く橋を間近に見られてよかったです。

タウシュベツ4.jpg 

どういうわけか,なぜか廃墟に惹かれます.......。

さて,昼過ぎにツアーを終わって帯広へ。レンタカーの返却期限が4時半なので,早めに帰ります。

西帯広~大成間の直線区間へ。 貨物列車も撮影できました。

2070レ('17.2.25  西帯広~大成).jpg 2070レ 

Sおおぞら7号(大成~西帯広 '17.2.25).jpg スーパーおおぞら5号 

さて,本当は日中にレンタカーで稲士別駅へ行きたかったのですが,時刻表を見ると帯広発17:55の列車で行くと15分ほどで折り返し帰ってくることができます。すでに日は没していますけど,列車で行くことができるなら,そっちの方がよいと思いました。 

残念ながら,近くでは上厚内駅も廃止になりますが,池田の向こうの山の中の駅のため,あきらめました。ちょっと残念に思っています。 

函館~稲士別切符.jpg 目的地までの切符です

もちろん,脱線事故のため,払い戻しになっちゃいました。カード決済なので新千歳の駅で払い戻しを申し出たら親切な駅員さんが不使用証明をしてくださり,購入元のJRで払い戻ししました。 

稲士別駅.jpg 稲士別駅

稲士別駅は駅舎もなく,今回,同時に廃止になる函館本線の東山駅同様,単線の軌道にホームが1面あるだけの駅です。 

稲士別駅1.jpg 帯広駅方向を望む

今日の泊まりは帯広駅のプレミアホテルCABINさん。とてもきれいなレストランと露天風呂もついた温泉の大浴場がよかったです。  

翌朝は7:15発の十勝バス広尾行きに乗ります。さすがに広尾まで乗り通したのはiruchan1人でした.....。 

広尾駅.jpg 広尾駅に着きました。

広尾駅到着時刻.jpg 今も時刻の記載があります。

広尾駅は十勝バスの営業所として活用され,今も中は暖房の効いた待合室がありますし,広尾線の資料室も設けられていて,見学することができます。駅ホームも残っていて,信号設備も転換てこなどが残っています。ただ,レールは埋め立てられ,駐車場となっています。 

30年前,学生だったiruchanは日高本線との組み合わせで広尾線を乗りつぶそう,と思っていましたが,試験があって廃止までに行くことができませんでした。廃止は1987年2月2日のことですが,理科系の学生は3月まで試験がありましたからね......。

結局,日高本線も含めて,バスで乗りつぶし,と言うことになりました。 

広尾駅で休憩した後,10:00発のJR北海道バス日勝線に乗ります。襟裳岬までは1時間です。 結局,この間,ずっとiruchan1人でした......。

それにしても広尾駅って意外に海のすぐそばなんですね。時刻表の地図だと結構,内陸,という感じだったのですが,駅前を出てすぐに国道に出るともう海の横を走っていました。 

襟裳岬バス停.jpg 襟裳岬バス停

北海道でよく見かける休憩室つきのバス停です。もちろん,暖房などはないのですが,扉を閉めると結構暖かいです。

ここから襟裳岬を見学します。次のバスまで2時間半あります。平日だと次のバスは40分ほど早いのですが,今日は日曜なので休日ダイヤです。でもあっという間でした。 

襟裳岬1.jpg ごつごつした岩肌

ゼニガタアザラシの北海道有数の営巣地らしいですが,普段は一番▲の写真の岩が飛び飛びで海に並んでいるところにいるくらいらしく,この岩肌の海岸まで来ることは滅多にないそうです。

それにしても寒い!!! やはり風が強く,あとでアメダス見たらこの時間,気温は-1.8℃ですが,風は9.4m/sも吹いていたようです。

さて,先ほどのバス停でまたバスに乗って様似へ。襟裳岬のバス停から乗ったのはまたiruchan1人でしたが,途中で何人か乗降がありました。

様似駅.jpg 様似駅

     本当は列車で来たかったのですけどね......。 

様似駅駅名標.jpg

様似駅入場券.jpg様似駅入場券

観光記念入場券がありました。通常の硬券もセットで売られていて,いいお土産になりました。

様似~美々切符.jpg様似~美々切符

様似駅から各駅の切符が買えます。新千歳までの運賃も表示されていたので,窓口の女性に聞いてみると,美々までも売れます,と言うことで切符を買いました。驚いたことに手書きの補充券。どうも大変ありがとうございました。 

日高本線はiruchanは未乗でした。広尾線と一緒に乗りつぶそうと思っていたら広尾線が廃止になっちゃいましたし,折り返して帰ってくるのは大変だし,ということでなかなか乗りに行くことができませんでした。

そうかと思っていたら2年前の1月に厚賀~大狩部間で線路が高波で流失し,以後,鵡川以遠はバス代行となってしまいました。いまだに復旧のめどは立たず,それどころか,廃止という話も聞こえてくるので代行バスで乗りつぶしをすることにしました。

静内駅.jpg 静内駅

様似から15:50発の静内行き代行バスに乗ります。このまま,静内から乗り継げば苫小牧で泊まれますが,苫小牧は工業都市だし,途中の静内で泊まりました。結果は大正解。駅から少し歩いてエクリプスホテルに泊まりましたが,レストランがすごくよかったです。夜景がとてもきれいでしたし,朝は太平洋が望めて最高でした。夜はホエー豚のしゃぶしゃぶ,朝食のバイキングはシシャモやベーコンをその場であぶったものがいただけましたし,昼用に,と手作りの昆布と梅のおにぎりがいただけてとてもよかったです。 

静内駅構内.jpg 静内駅構内

入場券を買うと駅の中に入れます。広々とした構内がいいですね。札幌から直通のグルメ列車とか,観光列車を走らせれば結構,乗るのではないかと思いますけど。 今度,JR東日本の四季島が走り始めますけど,北海道にも来るようなので,接続して観光列車でも走らせられれば,と思いました。

静内駅にしやそば.jpg 構内のそば屋さん

静内駅そば.jpg わかめそば。ウマ~!!

残念ながら,もう列車は来ていないのですが,道南バスなどの交通の結節点になっているし,旅行会社の営業所もあったりして,意外に駅に人がいます。

驚いたのは駅そば屋さんがあること。

駅のそばが大好きなiruchanは事前に知っていたのでホテルの朝食を軽く摂ってここでわかめそばを食べてまた代行バスに乗りました。出汁の利いたおそばがとてもうまかったです。それに北海道は何でも量が少し多めなのもいいですが,このおそばも結構量が多くてよかったです。朝だというのに入れ替わり立ち替わりお客さんがきてそばを食べているのもなかなかよいと思いました。最近は,朝,営業してない駅そば屋さんも多いんですよね.....。

さて,最終日は静内発9:07のバスで鵡川へ。ようやく気動車に乗ることができます。

途中の厚賀から,窓の横から線路を眺めてみますが,それほどひどい被害のようには思えませんでした。実際,よく,新聞で見る,厚賀~大狩部間の線路流出部分はこれくらいなら復旧できるんじゃないの,と思えるくらいです。

ところが.......。

実際には被害状況はもっとひどく,盛土が流失している箇所はさらに長いようです。豊郷から北にもかなり長距離に渡って線路がないところがあったので,どうも変だと思ってネットで調べてみると,こちらの方は去年の台風被害のようです。復旧には双方あわせて60億円近い金額が必要なようですし,恒久対策をするとなるともっとかかるわけです。

路盤流失箇所.jpg 被災箇所(清畠付近)

線路が完全に中に浮いちゃってます。ほかのところは完全に線路ごと流されて完全な砂浜に戻ってしまっているところもありました。 

復旧には多額の費用がかかることからJR北海道は昨年,12月に社長が廃止を表明し,以後,地元との協議が続いています。この前日にも社長と地元自治体の町長と話し合いがもたれたようです。

いろいろ報道を見ると鵡川~様似間の廃止が提案されていますが,比較的被害の軽い,日高門別までの再開を望む声も上がっていますし,確かに門別町は大きな病院もあったりしてここまで再開できれば利便性は高いと思います。

いずれにしろ,様似駅まで列車が復活することはよほどのことがない限り,なさそうな風向きになってしまっています。

もともと,鉄道というのはJRで言えば,新幹線とか,山手線とかそういう黒字のところの儲けで赤字のローカル線を維持する,と言う構造的な問題がどの鉄道会社でもあるわけですから,そういう意味で国鉄の分割民営化が正しかったのか,というのは感じます。北海道だけで自立できるわけがない,と思うのですが....。

やはり,北海道の鉄道維持に向けては過疎化が進む中,地元が負担するのも限度があるでしょうし,国費の投入,すなわち鉄道設備の維持は国が行い,列車の運営だけ民間が行う,上下分離が必要だと思います。道路や空港は税金で維持しているのに,鉄道だけ民間が自前でやっている,というのは矛盾を感じます。

それに,今後,どんどん日本は人口が減り,鉄道の廃止は北海道だけの問題ではなく,日本全体の問題になっていきます。北海道は過疎化のため,顕在化が少し早いだけです。早急に,赤字ローカル線をどう維持するか,あらたな政策の検討が望まれます。  

鵡川からようやく日高本線のディーゼルカーに乗ることができました。

日高本線(鵡川).jpg 鵡川

鵡川駅にはたくさんのお客さんがこの列車を待っていました。代行バスは途中,何人か乗降がありましたけど,最高でも4人ほどでしたからガラガラでしたけど....。

やはり鉄道というものが大切だ,と言うことがよくわかります。鉄道を廃止して,路線バスに転換すると急激に利用者が減る,というのはよく見られる現象です。 おまけに,路線バスはずいぶん前から届出制になってしまい,廃止するにも届出1本で済んじゃうことになり,ずいぶんと廃止のハードルが低くなっています。鉄道の廃止によって公共交通機関の喪失につながるのは事実なので,iruchanは鉄道の廃止には反対です。早急に日高本線の復旧を望みます。 

さて,鵡川から予定どおり,11:28に苫小牧に到着しました。

またまたところが.....。

どうにも様子がおかしい。ホームに上り北斗8号が停まったままになっています。これは苫小牧発10:18なので1時間以上,停まっていることになります。

どうやらこの先,糸井駅で人身事故があったらしく,室蘭本線が運転見合わせになっているようです。駅の放送も,札幌方面は代行交通機関をご利用ください,と放送しています。あちゃ~~。

なんとか,苫小牧で折り返す普通列車は動いているようなので新千歳へ行くことができるようです。 そういえば,JR北海道は経営立て直しのため,札幌都市圏の普通列車も見直しとなり,以前は小樽~室蘭間で運転されていた普通列車は2013年のダイヤ改正からすべて苫小牧折り返しとなり,苫小牧~室蘭間は気動車による運転となっています。このため,なんとか新千歳へ行けそうです。

余談ですけど,そういえば,スーパーカムイの新千歳乗り入れもとうに取りやめになっていますね。だったら,最初からもっと編成を少なくできたはずだし,どうもJR北海道の施策はムダが多すぎる,という気がしますね。 

ついでに,新千歳空港まで線路を延ばしたのはいいけど,単線でホームも1面2線というのはどうかと思います。快速エアポートが着くとすぐに反対列車が出て行くので危ない,と言うのもありますけど,それほど線路に余裕がないんですね。それに地下というのもどうかと。これじゃディーゼルは入れませんからね。観光客向けに新千歳~ニセコなんて観光列車を走らせれば儲かると思うんですけど,新千歳空港駅には入れませんね。それに,そもそも地下だからエスカレータを使わないと発着ロビーにも行けませんしね。その点,中部空港はホームからロビーまでエスカレータや階段はなしですから素晴らしいです。もっとも,これが最近の国際空港のデフォルトなんですけどね。新しい香港国際空港もこうです。こういう風に考えて造っておけば,ホームも地上だし,ディーゼルも入れたのに,と思います。 ついでに,線路を美々くらいまで伸ばして千歳線に接続し,スーパー北斗が新千歳空港駅に寄ってもよかったんじゃないかと思います。ついでに,石勝線も新千歳空港へ伸ばして,南千歳~新千歳~追分で三角線を構成し,スーパーとかちなんかも乗り入れできるんじゃないでしょうか。

ちょっと脱線しちゃいました(本当にマジでつい昨日まで脱線してたんですけどね......)。 

12:00頃には運転再開となりましたが,特急すずらんやスーパー北斗などが数珠つなぎになっていて,どんどん,走って行きます。 

DF200(美々).jpg 

  DF200牽引貨物列車。残念ながら事故のため,何列車かわかりません(美々にて)

再び美々へ。切符は美々までですので。

ここで1時間ほど待っている間に多少,写真が撮れました。3日前は何も通過しませんでしたので.....。 

美々駅でまたピッとやって,電車に乗り,新千歳空港にはなんとか間に合いました。無事に飛行機に乗って帰途につきました。

ホッキごはん.jpg 新千歳空港の空弁

南千歳駅のほっきめしが気に入っちゃったiruchanはまた新千歳空港の空弁でホッキごはんを買って機内で食べました。これもおいしかった。北海道限定のとうきび茶もいつも飲んでますけど,少しクセがあるけど,なかなか美味です。

弁当食っていると,親切なスッチーの おばさん お姉さんがおしぼりを持ってきてくれました。最近,よく新幹線みたいに機内で弁当食べてます.......(^^;)。

無事に帰りの飛行場に着きました。

最後まで,ところが.....。

なんと,自宅に帰ってみたら,「おとーさん,よく帰ってきたね~。」と娘が言います。なんと,今,乗ってきたばかりの鉄道路線が人身事故で全線運転見合わせになっているとのこと。

あとで調べてみたら方向は逆でしたけど,さっき通過したばかりのすぐ近くの駅で,私が乗っていた電車が通過した20分ほど後に飛び込みがあったようです。

本当に最後まで,いろいろと大変な旅でした.......。 

 

2017年3月19日追記

庭の畑にじゃがいもを植えました。

今回,十勝地方を旅行したので,"十勝こがね" という品種を植えました。昨年の台風でじゃがいもを始め,農作物には多大な被害が出ています。この種芋は北海道産と書いてありました。少しでも応援になれば,と思いました。収穫が楽しみです。

十勝こがね.jpg 十勝こがねを植えました。

植えつけ状態.jpg うまく育つといいな~~。 

畝を作って,間に溝を掘り,20~30cm間隔で種芋を植えました。間に化成肥料を少し撒きました。 


コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その3・KATO KC-1改の試作~ [模型]

2017年2月17日の日記

前回でKATOのKC-1の解析を終えました。低周波と高周波の2周波数のPWM制御回路となっていて,また,鉄道模型用に安全な遮断タイプの保護回路を搭載しているのが特長です。高度なアナログ技術を投入し,設計した人は非常にアナログ回路に詳しい人だろうなと思わず脱帽しました。iruchanなんて足許にも及びません。

さて,KATOのKC-1は原設計は20年ほど前だと思いますが,現在はspiceなどの回路シミュレータもありますので,新たに現代風に改良したものを開発したいと思います。

大変おこがましいですが,新たに改良する点としては,

☆ 低周波の最大デューティは100%とする

KATOのKC-1はPWM波生成にNECのμPC494Cというスイッチング電源用ICを使っています。モータ制御などの純粋なPWM波制御回路だと最大デューティは100%となるようにしたいところですが,μPC494Cは本来,スイッチング電源用のため,デッドタイムが設けられていて,最大でも95%にしかなりません。 iruchanはデューティ100%にしたいので,その点,改良したいと思います。なお,μPC494Cはまだ入手可能ですが,意外に部品屋さんを探すとないので,テキサスの現行品TL494を使いました。と言うよりこちらがオリジナルなんですけどね......(^^;)。 

☆ 高周波側の最大デューティを10%程度にする

KATOの原設計では高周波側の最大デューティはほぼ100%であり,本来は調光用なので,こんなに最大デューティは大きくなくてもよく,10%程度でよいと思われます。100%にしちゃうと調光用のパルスだけで模型が走行しちゃいますので。もともと,KATOのKC-1は調光用の高周波パルスのデューティを決めるボリウムは半固定になっているんですが,半固定抵抗というのはあくまでも調整用なので0~100%まで変化するような使い方をしないのが普通です。

☆ 電流遮断式保護回路を採用する

出力ショート時に保護回路が働いて,出力の電圧を完全に0Vにします。従来,安定化電源などの保護回路には電流制限型の保護回路が用いられていて,iruchanも長年使っていますが,これだと最大の電流がいつまでも流れます。安全のため,KC-1同様,完全に電流を遮断する回路とします。

ただ,KATOの回路はサイリスタを使った非常に複雑な回路のため,従来の抵抗とTrによる検出回路とフリップフロップを用いた簡素な回路としたいと思います。

もっとも,これでも回路が複雑なので,従来通り電流制限型やポリスイッチでよい,と言う方は最後に回路を示しますので,そちらをご採用ください。 

☆MOS-FETを用いた主回路にする

KC-1はサイリスタを用いた保護回路を使っていますが,そのせいか,出力段はPNP Trを使った回路になっています。また,高周波と低周波で別々の出力段を持っていて,普通の電車でいうと主回路? の部分はかなり複雑な回路です。

今回,MOS-FETを用いて簡単な主回路とします。MOS-FETは損失が小さく,高周波特性もバイポーラTrより数段よいので最近はMOS-FETを使うことが多いと思います。また,出力段も高周波,低周波共用とします。

最後に,

☆ 電源内蔵式にする

KATOのKC-1は電源ユニットKM-1とのセットで売られていました。当時はまだACアダプタやスイッチング電源が一般的ではなかった時代なので仕方ないのですが,別付けの電源は不便だし,KM-1はトランス仕様なので重いです。おそらく,KM-1はポイント用の交流出力も備えていたので,トランス式にせざるを得なかったのでしょう。スイッチング電源は交流出力が苦手で,ポイント用にスイッチング電源を使って直流で使用するには新たな回路が必要となります。

ただ,トランスを使った非安定化電源は出力電圧が負荷により一定ではないので注意が必要です。よく,パワーパックで最大電圧15Vとか書いたものがありますが,これはトランス式のためです。さすがにNゲージで15Vは危険です。KATOのKC-1も専用の電源装置KM-1が販売されていましたが,容量は15V,2Aです。ただ,15Vがもろに出てくるわけではなく,制御TrのVCEsatや保護回路の検出抵抗による電圧降下がありますので,実際に出力されている電圧は13Vくらいのようです。

iruchanはスイッチング電源は嫌いなのですが,やはり軽くて,しかもフィードバック機能もあって出力が一定電圧になる安定化電源の機能もありますので,スイッチング電源仕様としたいと思います。 

☆ 

と言う次第で,前回,spiceでシミュレーションして設計を終えましたが,プリント基板を作る前に若干,修正しました。

困ったことにプリント基板用の可変抵抗が10kΩ以上のものしか手に入らない,と言うことがわかりました。KATOの原設計だと1kΩや2kΩが使われていて,iruchanも最初,spiceでのシミュレーションにこういう値のVRを使っていましたが,いざ,プリント基板を作ろうと部品を集め出したらこのことに気づきました。

と言う次第で,可変抵抗は10kΩで再度,設計し直しました。もちろん,プリント基板用じゃなくて普通のパネル取付用の可変抵抗を使えば,1kΩや2kΩなんて簡単に手に入るのですけどね.......。

でも,パワーパックを自作した人ならおわかりになると思いますが,可変抵抗の配線が非常にめんどくさいんですよね。おまけに調整中にハンダづけをしたところで電線が切れたり,イライラするのでいつもiruchanはプリント基板用を使って,プリント基板に一緒にボリウムも載せちゃうことにしています。

と言う次第で,設計を終えた回路を▼に示します。まだ改良点があると思いますので,動作確認はしましたが,現時点での回路図ということでお願いします。

KATO KC-1 mod 回路2.jpgクリックすると拡大します 

プリント基板は33mm×70mmという大きさです。昔から何でも小さいものが好きという性格のため,相変わらず小さく作り過ぎちゃうのが困ったものですけど,非常にコンパクトにできました。

プリント基板.jpg 完成した基板

プリント基板2.jpg 部品配置

さて,とりあえずプリント基板ができたら十分チェックしてから通電します。

調光用とモータ用のボリウムを回して出力モニター用に設けたLEDの明るさが変化すれば成功です。調光用のボリウムは最大デューティが10%くらいなので,それほど明るくはならないはずですが,最近のLEDは非常に輝度が高いのでこれくらいのデューティでも明るく点灯すると思います。

さっそく,うまくいったらオシロで波形を確認してみます。

高周波パルス+低周波パルス.jpg 低周波+高周波混合パルス

通常使用時はこのように低周波のパルスの隙間に高周波のパルスが出ます。 高周波(調光用)のボリウムを左に回すと高周波パルスが停止し,低周波のパルスのみとなります。周波数は58Hzでした。ちなみに高周波は21kHzでした。

低周波パルス.jpg 低周波のみのとき 

低周波はOKで,ちゃんと0%から100%までスムーズにデューティが変化します。ギリギリ100%になっていませんが,波形を見る限り,ほぼ100%と言ってもよいと思います。 

低周波パルス(100%).jpg ほぼ100%となります。

KATOのオリジナルのKC-1は最大デューティは90~95%くらいですが,本機はほぼ100%となります......(^^;)/

ところが......。 う~~ん,予想してはいたんですけど......。

高周波パルス(ドライバなし).jpg 高周波パルスはこんなに太いです。 

調光用の高周波パルスが予想より太く,最低デューティは25%くらいです。設計値としては最大で10%だったので,こんなに太くなるはずはありません。もっと細くできるはずなんですけどね.....。 

原因は出力(終段)のMOS-FETの入力容量です。使用した2SK2412は最近のMOS-FETではなく,20年ほど前の開発なので入力容量は小さめですが,それでも860pFもあります。最近のものだと2000pFを超えるものもが多いので,もっと悪くなります。

MOS-FETをスイッチング回路に使用した場合,この入力容量が邪魔をしてなかなかonにならないし,いったん,onになったあと,今度はoffにするのに時間がかかっちゃいます。つまり,ゲートしきい値電圧VGS_thに達するまで充電するのに時間がかかるし,onになったあと,今度はゲートに溜まった電荷を逃がさないとなかなかゲート電位が下がらないのでoffになりません。

これじゃ,いくらMOS-FETがスイッチング速度が速いといっても,意味ないんですけど....。

むしろ,バイポーラTrはスイッチング速度がMOS-FETより遅いんですが,入力容量が非常に小さいのでこのような問題は生じません。そもそもベースに電流を流して制御する素子なので,電荷が逃げるのも速いんですね。また,同じ電圧制御素子である真空管はグリッドとカソードが離れているし,入力容量は小さいのでこの問題は高周波のときだけで,低周波だと気にしなくてもよいです。だからiruchanはアンプ作るときはバイポーラか真空管なんですよね......(^^;)。

そういうわけで,MOS-FETは電圧制御素子なので電圧だけでいいや,と考えて設計してはいけません。

やはりバイポーラTr同様,電流を流してドライブするように設計する必要があります。だから,今をさかのぼること40年前,日立が最初のオーディオ用MOS-FET2SJ49K134などのシリーズを発表したとき,ドライバ段を省いて電圧増幅段に直結する回路がよく使われましたけど,やはりバイポーラ同様,プッシュプルのエミッタフォロアを入れてドライブした方がよいと思います。

と言う次第で,今回のドライブ回路をどうするか考えて結局,PNPトランジスタによるエミッタフォロアを入れました。本当だとPNP-NPNのコンプリメンタリによるプッシュプルエミッタフォロアにしたいんですけど,さすがに大げさですからね。 

最近はPICやAVR,ArduinoなどのマイコンでMOS-FETをドライブしてモータを制御することが多いと思います。この場合,マイコンとMOS-FETのゲートを直結するだけで普通はOKなんですが,MOS-FETの入力容量のせいであまり低いデューティにできません。携帯電話やラジコンなど,それほど低速を必要としないモータ制御の場合はこれでもよいのだと思いますが,鉄道模型の場合はデューティが10%以下の部分が重要ですから,下記の配慮が必要だと思います。

実は,ここまで研究してきて,コアレスモータを使用している模型がうまく運転できないのはひとつはこのせいではないかと思っています。コントローラの最低出力デューティが10%くらいになっていて,コントローラからパルスが出力された時点ですでにデューティが大きすぎ,前照灯が点灯すると同時に模型が走り出してしまうのではないかと思います。

もちろん,こういう場合についてはすでに研究されていて,本などに▼のようなドライブ回路が載っています。

MOS-FETによるスイッチングに際して,出力されたパルスの幅が広い場合,コンプリメンタリのTrを▼のように接続すると高速でドライブできるので非常に狭いパルスを出力することができます。 C-MOSのロジックICには出力がこのようになっているものがあります。もちろん,その場合は出力はP ch.とN ch.のMOS-FETのコンプリですけどね。 

マイコン出力回路.jpg プッシュプルドライブ回路 

もっとも,プッシュプルにするのは面倒なので,上側のNPN TrをスイッチングDiで代用することが多いです。今回,この回路を採用させていただきました。実際,今回使用したTL494は出力にNPN Trを持っていて,エミッタから出力を取っているので,上側のNPN Trはもとから不要です。 

マイコン出力回路1.jpg 変形版です。

なお,蛇足ですが,この回路の出力電圧はマイコンのほぼ出力電圧そのものとなり,増幅作用はありません。最近のマイコンは3V出力のものが多いので,MOS-FETがonしないことがあります。その場合はプッシュプルドライブか,別のドライブ回路が必要となります。  

では,以上のドライブ回路を挿入してシミュレーションしてみます。さすがに低周波側のパルスにはドライバを入れませんでした。 20msもパルス幅があるのに,数μsの応答時間は問題になりませんので。やはり問題は高周波のパルスです。

KATO KC-1 mod. driver simulation.jpg 最終シミュレーション回路 

ドライブ回路なし(MOS-FET).jpg 

     終段MOS-FET(ドライブ回路なし)のとき

ドライブ回路なし(BPT).jpg 

     終段がバイポーラ(ドライブ回路なし)のとき

終段の制御TrをダーリントンTrにしたときです。バイポーラトランジスタなので,ベースに電流を流して使用しますし,入力容量はごく小さいのでパルス幅はかなり狭くなります。ただ,MOS-FETに比べれば狭いですけど,まだ少し幅が広く, やはりドライバが必要な感じです。

と言う次第で,ゲートドライブ用にもう1個,Trを追加してドライバを挿入すると, 

ドライブ回路あり.jpg 

     ドライブ回路あり(終段MOS-FET)

ドライブ回路あり(拡大).jpg 波形の拡大

高周波パルスoffと同時にQ5の2SA1020がonし,終段のMOS-FETのゲートに蓄積された電荷を放出していることがわかります。

出力の高周波パルスもほぼTL494の出力と同じくらいの幅になることもわかりますね。

2SA1020によるドライバ回路を挿入して最低デューティは1%以下となりました。 本当は2SA1015にしたかったのですが,若干,コレクタ電流が大きくて少し発熱したのでひとつ大きめのTrにしました。

高周波パルス(ドライバあり).jpg 高周波パルスの最小デューティです。

思い切りオーバーシュートしてますけどね.....。MOS-FETなのでスイッチングが高速なためです。 

☆ 

【保護回路について】

なお,今回,保護回路は電流遮断式として,過電流を検知したら完全に出力電流を0とする回路としました。こちらの方がはるかに安全です。通常の電流制限型の回路はショートした場合でも設定した値の電流を流し続けますので,放置すると危険です。

一方,このせいでリセットボタンを押さない限り,再度,電流が出力されませんのでご注意ください。まあ,実物の電車も又入れスイッチを押さない限り,再起動しないんで同じですけどね。

iruchanもいつかはこういう安全な回路を設計したいと思っていましたが,R-Sフリップフロップを使ったらずいぶん簡単にできました。

R-Sフリップフロップはセット(S)信号が入ると出力がhighとなり,以後,いくらS信号が入ってもlowとはなりません。一方,リセット(R) 信号で解除できます。以後,同様にR信号が入ってもセットされません。最初に入った信号を保持できるので,メモリ回路として使用されるのはご存じの通りです。

     _  
出力はQとQの2つがありますが,これらは常に反対の動作をするので,今回,利用するのはQ出力のみです。

R-Sフリップフロップはメモリのほか,実際の応用としてよく使われるのはチャタリング防止です。

プッシュボタンやリレーなど,機械的な接点は必ず接点がバウンドし,多数のパルスを生じます。これをチャタリングと言いますが,これをデジタル回路につかうといくつものビットが発生してしまうため,これを防ぐため,R-Sフリップフロップが使われます。一度,onになっちゃうとずっとonのまま,と言う風にできますので。

ただ,実際にチャタリング防止は今はシュミットトリガを使うことが多いですし,そもそもこういう機械的なスイッチを使うようなICは入力にこういう回路を持っているのが普通で,R-Sフリップフロップを使うことはほとんどありません。

それに,74シリーズなどTTLのICではTフリップフロップやDフリップフロップ,J-Kフリップフロップはあるのに,R-Sフリップフロップだけありません。 

....と,iruchanはずっと思っていました。実際,iruchanが電子回路に興味を持って勉強し始めた中学生の頃,本にもそう書いてありました。

ところが,今探してみるとあるんですね~~~!!

74LS279がそれですので,あまり売っていませんが,見つけたら買っておかれるとよいと思います。また,C-MOSだと今回使用した,CD4043がそれです。もとからC-MOSはR-SフリップフロップのICがあったようです。

でも,どちらもやはり入手は意外に難しいようで,昔,iruchanが勉強したように,入手できない場合はNORゲートを使って自分で作るのがよいと思います。

でも......,実はR-Sフリップフロップは2種類あって,NANDでも作れちゃうのです。本も書いてあるのが2種類あるようで,どっちが正しいんだ!? って思っておられる方も多いかと思います。

実は,正論理のR-SフリップフロップがNORゲートで,負論理版がNANDなのです。

どういうことかというと,セットSがhighのとき,出力QがhighになるのがNORで,逆にSがlowになったとき,QがhighになるのがNANDです。

普通,highを1と考えるのが正論理で,この場合のR-SフリップフロップがNORです。反対にhighを0と考えるとNOR版というわけです。 

  R-Sフリップフロップ.jpg R-Sフリップフロップ1.jpg

別に働きとしてはどちらも同じですが,本機では2SA1015が過電流を検知するとSがhighになるように設計しましたので,使用するのはNOR版です。

もし,CD4043が入手できない場合,CD4001を使って上図のように配線すると正論理版のR-Sフリップフロップが作れますので,ご利用ください。

ちなみにC-MOSは負論理版のR-Sフリップフロップがあり,型番はCD4044です。TTLには負論理版はありません。

                               _  _

本当いうと,これは区別しないといけないし,親切な本には負論理版はR - Sフリップフロップと書いていますが,半導体メーカの規格表を見るとテキサスや東芝の規格表には "Quad R-S latches" などと書いてあり,R-Sフリップフロップと同じ表現です。

なお,やはりR-Sフリップフロップを使った回路を使用したくない,と言う方は従来どおり,ポリヒューズを使う回路をおすすめします。

Littel FuseのRXEF050がいいかと思います。あれ,レイケムじゃなかったの? と思ったら昨年3月に買収されちゃったようです......orz。

トリップ電流が1Aで,保持電流が0.5Aというものです。0.5~1Aの間のどこかでトリップし,以後,0.5Aをずっと流し続ける,と解釈してください。それに,トリップする電流は必ずしもこの間とは限りません。室温が低いと2~3Aくらい流さないと飛ばないこともあります。このあたり,どうもポリヒューズって信用できないんですよね。うっかり,IC=2AというTrを使うとポリヒューズが動作する前にTrが飛んじゃいます。そういうわけなので,今回,使用するTrやFETはICなりIDが3~5A以上のものを使ってください。今回使った2SK2412はID=20Aなので余裕ですけど。

PWM式LED調光器回路MOS-FET出力回路2.jpg MOS-FET使用時

なお,出力の制御素子はダーリントンTrであれば置き換え可能です。iruchanはバイポーラTrが好きなので,いずれ2SD560(なつかし~~!)なんかに交換したいと思います。

RSはパルスoff時にゲートの電位が0Vとなるようにするものです。なくてもいいのですが,ゲートに溜まった電荷を逃がす経路が必要ですので,入れておいた方がよいです。

RGは寄生発振防止用です。MOS-FETは高入力インピーダンスなので数MHzのオーダーで発振することがあります。その対策用です。オーディオのアンプの場合,必ず入れますが,パワーパックの場合はなくてもOKです。

ダーリントンTr出力回路.jpgダーリントンTr使用時

MOS-FETが高価で,品種も少なかった頃はダーリントンTrが使われていました。今じゃ,MOS-FETの方が安いくらいなので,出番が少なくなってしまいました。

ただ,▲にも書きましたとおり,ダーリントンTrの場合は1W以上の損失が発生しますから,放熱器が必要です。 MOS-FETだと1/10以下になるので放熱器は不要ですが,最大出力を2Aなどとする場合はMOS-FETでも放熱器をつけてください。また,ベース抵抗RBはTrの場合は必ず必要ですので,忘れずに入れてください。

そのほか,フリーホイーリングDiは今回のように高周波でスイッチングする場合,普通のシリコンDiではダメで,高速でスイッチング可能なショットキータイプが必要です。 

蛇足ですけど,フリーホイーリングDiと言うのが正しく,フライホイールDiというのは間違いです。米電気学会IEEEでもFree Wheeling Diodeと書いてあります。といって,規格表に思いっきりフライホイールDiと書いているメーカーさんが多いのですけどね.....(^^;)。

☆ 

さて,いよいよバラックの状態で試運転してみます。電源は簡単に9VのACアダプタを使用しました。

KATO D51ギースルエジェクタ.jpg KATO D51ギースル機

まずは調光用の高周波のボリウムを少し回転させ,前照灯や出力のモニター用LEDが点灯するくらいで止めておきます。回しすぎるとやはり機関車が走行しちゃいます。

次に,走行用の低周波ボリウムを回すと,機関車が走り始めます。やはり,予想どおり,モータのうなりは少なく,かすかにジ,ジーッと音がするくらいです。300Hzだと盛大にプーッという音を出しますが,低周波の方がよいようです。また,本機は高周波のパルスを出力するのでモータには循環電流が流れてモータの電流は途切れないのでうなりは少ないはずです。

さて,走行テストをしてみます。

まずは作った本人が驚いちゃいました......(^^;)。

     [晴れ][晴れ][晴れ] 驚くほど スロー で動きます [晴れ][晴れ][晴れ]

実測してみると,1周3.24mのエンドレスを123秒かかって一周しました。計算すると,2.6cm/sと言うことですね!

とはいえ,もちろんこれはやはりKATOのコアレスモータの性能によるところが大きいと思います。比較のため,先日購入したKATOのEF70で試験してみるとやはり低速が倍くらいで,一周するのに63秒,5.1cm/sでした。やはりコアレスモータ恐るべし!!! 

しかし,実際,非常に遅いです。普通のコントローラではこんな低速では走らないと思います。iruchan現用のTomix 5001PWM改造コントローラではこんなスピードでは走りません。

また,最初の目的である,常点灯への対応についてですが,非常にクリティカルですけど,調光用ボリウムを走行しないギリギリに設定すれば,走行用のボリウムを回転させて,機関車が起動するまでの "遊び" を確保することできて,無事に常点灯に対応しました。

KATO D51ギースルエジェクタ1.jpg ちゃんと常点灯にも対応します。

▲のD51や▼のEF70は停止中の状況です。走行用のボリウムを左に絞って機関車が停止しても前照灯がついたまま,という状況を実現できるのはちょっと感動しちゃいました。 

それに,若干,高周波パルスのせいで,停止するときにすこし走行距離が伸びます。若干,惰行しているような感じがするのもいい感じです。もっとも,高周波パルスのデューティが大きすぎるとそのまま走行してしまって某JRが天王寺駅に突っ込んだり,某私鉄が新岐阜駅に突っ込んだりしたような事故を起こしますのでご注意ください.....。 

KATO EF70-1.jpg EF70もOKです。

次回はちゃんとケースに入れて最終調整したいと思います。また,残念ながら保護回路がやはり頻繁に誤動作するので,対策を検討したいと思います。 


コアレスモータ対応PWM式鉄道模型用コントローラの開発~その2・KATO KC-1の研究~ [模型]

2017年2月8日の日記

前回,コアレスモータを使った鉄道模型のコントローラとして,PFMまたは2周波PWM式コントローラがよいのではないかと推測しました。

PFMはパルス周波数変調(pulse frequency modulation)の略で,すでにスイッチング電源のコントローラで高効率化のため使用されています。 パルス幅を固定とし,off期間を可変してモータの速度を可変するものです。

回路をハードウェアで実現するのはちょっと難しそうなのでこちらは後回しです。PICを使えば簡単,と言う気もするんですけどね。

一方,自作した201系用のPWM式コントローラTomixの5001パワーユニットを改造したPWM式コントローラは出力のパルスの周波数を201系同様の300Hzにできますが,これで運転すると常点灯に対応することがわかりましたので,低周波のPWMがよいのでは,と推測できました。

ただ,これは要注意で,まず,かなりの騒音を発します。モータの電流がパルスごとに途切れ,モータがステッピングモータみたいに起動と停止を繰り返している状態です。次に,PWMは前回書きましたが,低周波ほど損失が増え,モータが発熱することが予想されます。

これを解決するため,モータ用の低周波PWM波と前照灯&室内灯制御用の高周波のPWM波を組み合わせることを考えました。

もちろん,これはiruchanのアイデアではなく,すでに過去,KATOがこのようなコントローラを発売していました。KC-1がそれですね。

KC-1は低周波に50Hz,高周波に20kHzの発振器を用い,それぞれを出力で合成して模型用のコントローラとして使っています。低周波のパルスの隙間に高周波のパルスが出ていて,これが前照灯を制御するようになっています。

今でもKC-1は低速が効くコントローラとして人気があり,某掲示板などでも評価が高いですし,Yahoo!でも結構高価で落札されます。

iruchanはコントローラは自作するので,メーカ製のコントローラを買うことはないんですけど,このコントローラは昔から気になっていました。

KC-1がいつ製造中止になったのか,わかりませんが,もう10年以上前だと思います。PWM波生成にはスイッチング電源用の制御ICである,NECのμPC494Cが使われています。

μPC494Cの規格表がネットに出ているので見てみますと,NECのものとルネサスのものがあり, NECのは1987年版で,ルネサスのは2007年版となっています。おそらく,1987年頃に製造が始まり,ルネサスのはすでに新規採用非推奨となっているので,その頃には製造中止になったものと思います。

と言う次第で,μPC494Cを使って作りたいのですが,秋葉などでまだ手に入るんですけど,製造中止から10年くらい経っているようですので,入手が難しくなりつつあり,結構探さないといけません。でも,そもそもμPC494CはNECがオリジナルではなく,テキサスのTL494のセカンドソースなのですから,オリジナルのTL494を使えばいいんですね。

μPC494C, TL494IN.jpg NECのμPC494CとテキサスTL494 

何のことはない,秋月電子でTL494INがたった50円でした。なぜか,もう1種類販売されていて,TL494CNだと60円です。何が違うの?,と思ったら使用温度で,INが-40℃~85℃なのに対し, CNが0℃~70℃です。これならINの方が高くてもおかしくないんですけどね~。

おそらく,製造工程はどちらも同じで,INの方は選別品だと思います。手間がかかっている分,本来はINの方がはるかに高いはずなんですけど,意外に秋葉などの部品屋さんではこういうことがあります。新日本無線のOPアンプNJM4580も低雑音の選別品NJM4580DDの方が安かったりしますね。

と言うことで,iruchanは-40℃から使えるTL494INを買いました。まさか,厳寒の朱鞠内湖で野外鉄道模型運転会なんてする気はないんですけどね.......(^^;)。 

それにしても,日本のメーカは需要がなくなるとさっさと製造中止しちゃうので昔から非常に困ったものなんですが,米国の半導体メーカはこういう古いICでも製造してくれるので助かります。今どき,DIPのICというのも貴重ですしね。TL494もテキサスのホームページを見るとステータスが "ACTIVE" となっていて,今も製造中のようです。米国だと軍とか宇宙用とかで今も何か需要があるのでしょうか....。

さて,TL494は中のブロック図を見ると,iruchanが今まで作ってきた,PWM式コントローラと同じで,三角波の発振器とコンパレータの組み合わせとなっています。もっとも,TL494の場合は三角波じゃなくて,鋸歯状波ですけどね。そのほか,デッドタイムコントローラがついていたり,出力段が2組あるのが特徴です。CTとRTの端子に接続したCとRで発振周波数が決まります。発振周波数 fs は 1/C・R です。

ただ,どうも仕上がってみると周波数は高めで,20kHzのつもりだったのに,24kHzです。まあ,誤差かなと気にしていなかったのですが,富士通の互換品MB3759の規格表を見たら 1.2/C・R と書いてあります。なあんだ,やっぱり高めに出るんですね。 

TL494 block diagram.jpg TL494内部ブロック図 

今ではもっと新しい,スイッチング電源用のPWMコントローラICもあるのですが,TL494がいいのは低い周波数のスイッチングができること。▼のグラフでは10Hzまで表示されています。ほかのICだと縦軸の単位はkHzです。

TL494 switching frequency.jpg TL494のスイッチング周波数

と言うことはTL494だとKATOのKC-1みたいに50Hz近辺で発振させることも可能だと思います。

と言う次第で,組み立てていきます,と行きたいところですが,いきなり組み立ててもうまく動作するかどうかわかりませんので,事前にSpiceで動作を確認しておきたいと思います。

iruchanが使っているLTspiceはリニア・テクノロジー社のICしかないのでTL494のモデルは苦労しそうですが,幸い,ネットを探すとSpiceモデルがありましたので,活用させていただきます。残念ながらシンボルファイルがおかしくて,ピン配置がでたらめだったので,シンボルファイルを編集して正規のDIP版のTL494と同じに修正しました。

これさえあれば百人力ですね!! さっそくシミュレーションしてみます。オリジナルの回路についてはいわたさんがブログで報告しておられますので,参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。

KATO KC-1 original simulation circuit.jpgKC-1オリジナルシミュレーション回路 

うまくシミュレーションも動作しました!

出力波形はこんなで,低周波のパルスとその隙間に高周波のパルスが出ています。となっている部分は高周波パルス部分です。

それに,KC-1はTL494のソフトスタート機能を使っているようで,低周波のパルスは徐々にデューティが上がっていくのがわかります。スイッチング電源は立ち上がりから大きなデューティで動作すると誤動作することがあるので,ゆっくり起動するようになっています。

KATO KC-1 original 波形.jpg t=0sec.からの状態

低周波のパルスはこのように,最初,狭くはじまって徐々に設定値に落ち着いていくようになっています。 

KATO KC-1 original 波形拡大.jpg 波形の拡大です。

波形を拡大するとこういう感じで,24kHzのパルスが48Hzの低周波パルスの隙間を埋めている感じです。

なお,この高周波パルスと低周波パルスの間には電圧差があり,大体,1V程度,高周波パルスの方が高いようです。実物も同じ状況のようです。まあ,これはたいした問題じゃなく,おそらく過電流検出用の抵抗など,回路の違いによるものです。

また,KC-1は低周波パルスの最大デューティは95%くらいです。100%にはならない,と言うのが特徴です。これはKATOの原設計が発振電圧(CT)を,基準電圧であるデッドタイムコントロール(DTC)と比較してPWM波を作っているためで,テキサスの規格表を見るとわかるとおり,CTには0.1Vの "げた" が履かせてあり,DTCは決してCTより大きくならないようになっているからです。こうやってコンパレータのoff期間が最低でも5%くらいになるようしてあります。このため,KC-1では最大デューティは95%くらいです。この理由はスイッチング電源だと出力段の2つのNPN Tr を同時に使ってプッシュプル動作をさせることがあるのですが, これらが同時にonすると電源をショートして過大電流が流れるため,一瞬,offにするようになっているためです。このDTCはテキサスの規格表を見ると5~100%の間で設定できるようです。

iruchanはパワーパックなら最大デューティ100%としたいと思うので,自作する際には改良するつもりです。Tomixの5001パワーユニットをPWM化するときも最初の設計では100%にならず,結構苦労しましたので。

実際,シミュレーションでも最大デューティは約90%となりました。の線がDTCの端子電圧で,の線が発振器の出力(CT)です。これをコンパレータで比較してCT>DTCの間だけ,出力にパルスが出るようになっています。

このようなスイッチング電源用ICを使ってPWM波を作る場合,普通はDTCではなく,FB端子を使うはずですが,何らかの理由があったのかもしれません。 

KATO KC-1 duty max.jpg KC-1の最大デューティ

また,▼のモータの電流波形を見てみると,予想どおり,低周波のデューティが低い状態でも0にならず,連続して流れています。これでKC-1はモータが唸らない,という特長がありますが,その理由がわかりました。 

KATO KC-1 iruchan mod. 波形拡大.jpg 拡大波形 

     ☆    ☆    ☆ 

さて,次はiruchanバージョンを作っていきたいと思います。

仕様としては,低周波のデューティは0~100%,高周波のデューティは0~5%くらいとしたいと思います。もちろん,最大出力電圧は12Vにしますので,電源は安定化電源とします。といって,今どきトランスを使った安定化電源だと重いので,スイッチング電源を使います。

また,KATOのKC-1は非常に凝った過電流保護回路がついています。過電流が流れると自動的に電流を遮断し,ALARMのLEDが点灯するようになっています。

簡単に実現するにはブレーカを使うことですけど,これは高いし,応答速度も遅いのでうっかりすると制御Trを飛ばしてしまうので,純粋に電子式にしたいと思います。

でも,これは意外に難問なんです。 

よく,安定化電源などの保護回路に使われるのは電流制限型と呼ばれるもので,Tr1石と抵抗を1本使うものです。iruchanもいつも使っているタイプです。

電流制限型保護回路.jpg 電流制限型保護回路

これは,抵抗Rの両端に生じる電圧が0.6Vを超えるとQ2がonし,Q1のベース~エミッタ間電圧VBEを小さくするので,電流を絞ることができます。

非常に高速で応答するので,制御Trが飛ぶのを防ぐことができます。そのため,安定化電源では必須の回路で,iruchanもいつも挿入しています。

ただ,この方法の問題点は,確かに設定された電流値以上の電流は流れないようになっているのですが,ショートしても設定された値の電流がずっと流れ続ける,と言うことにあります。たとえば,imax を1Aと設定したとすると,ずっと1Aの電流を流し続けてしまいます。

Nゲージの模型に1Aも流し続けるとモータが発熱し,ボディが変形してしまうことが考えられます。もちろん,短時間なら問題ないし,我々マニアは機関車が停止したらすぐにボリウムを絞るクセが身についているので大丈夫だと思いますが,長時間,過電流保護回路が動作した状態でフルノッチにしておかないことが肝要です。

定電圧電源でこのようなことを防ぐために考案されたのがホールドバック型保護回路で,過電流を検出すると自動的に電流を絞ってくれます。グラフがカタカナの "フ" に似ているのでフの字型保護回路とも言います。

ホールドバック型保護回路.jpg ホールドバック型保護回路

これだと安心で,実際,金田式DCアンプのシリーズレギュレータなどに使用されていました。

ただ,この回路の問題は抵抗が3つあり,それぞれ計算して決めますが,Nゲージのパワーパックなんで最大電流 imax を1A,最小電流 imin を0.1Aくらいにしたいのですが, このとき,3つの抵抗値を決めることができません。解がないんですね。どれか,抵抗が負になっちゃいます。

ということでこの回路をNゲージのコントローラに使うことはできません。 

そのほか,最近はポリヒューズ(ポリスイッチとか,PTCサーミスタの名称があります) を使う人が多いと思います。単に負荷に直列に挿入するだけだし,セラミックコンデンサみたいに小さな部品なので実装上も簡単です。

ただ,これもヒューズの名前があるくせに電流を遮断してくれるわけじゃないのが問題で,▲の電流制限型同様,トリップ電流以上の電流が流れない,と言うだけの素子ですし,その上,トリップ電流を上回ったら直ちにトリップするものじゃなく,実際にトリップするまでに電流差と時間差があり,実際に動作する電流はもっと大きいですし,時間的にも高速で電流制限してくれるものではありません。それにしばらくすると勝手に復帰しちゃってまた過電流が流れる,と言う問題があります。 

ということで,いったん過電流を検知したら回路をしゃ断して,完全に電流が0になるようにする回路,というのは結構難しいのです。

そこで,KATOのKC-1はサイリスタを使った凝った回路になっていて,過電流を検知するとリセットボタンを押さない限り,電流が二度と流れないようになっています。

本来,鉄道模型の過電流制限にはこういう回路が必要だと思いますので,今回,取り組んでみます。

しかし,KATOの原設計の回路は非常に複雑だし,いまどきサイリスタを使うのもなんだよな~という気がするので,もっと簡単な回路にしたいと思います。

今回,▲の電流制限型回路に使われているのと同様,抵抗で電流を検知して,R-Sフリップフロップでその状態を保持するようにしました。 過電流が流れるとQ3がonし,R-Sフリップフロップをセットして,そのQ出力が high となります。こうなるとQ2がonしますので,制御FET Q1のゲート電位をほぼ0にして制御FETがカットオフします。リセットするにはR-Sフリップフロップのリセット端子を high にすればよいのです。ちょっと複雑に見えますけど,かなり簡単な回路だと思います。

と言う次第で,出力部の回路は次の通りとしました。

R-Sフリップフロップ過電流保護回路3.jpg  出力部および保護回路 

KATOのKC-1の回路では出力段はPNP Trを使っていて,出力もエミッタから取っていますが,今回,もっと一般的なNチャンネルのMOS-FETを使うことにし,出力もドレインから取ることにします。マイコンを使った回路ではこちらの方が便利ですし,最近のパワーパックはこのようになっていると思います。iruchanも前回作った,LEDライトの調光器で採用しました。MOS-FETを使うと非常に高速だし,何より損失が小さく,放熱器が不要となることも期待できそうです。

なお,CD4043のS入力にパラに入っているコンデンサ(0.1μF程度)はノイズによる誤動作防止用です。これがないと頻繁に誤動作しますし,リセットもできなくなりますのでご注意ください。特に,電源投入直後に保護回路が動作して,起動するたびにリセットSWを押さなきゃいけない,というコントローラはこのノイズ対策がないものです。 

EKI04047, 2SK2382, 2SK2412.jpg MOS-FET

  左からEKI04047(サンケン), 2SK2382(東芝), 2SK2412(NEC) 

いずれも秋月電子で売られているものです。今回,使用したのは右のNEC 2SK2412です。

VDS(V) ID(A) PD(W) VGS-th(V) RDSon(mΩ) Ciss(pF)

EKI04047 40 80 90 2.0  4.1 2410

2SK2382 200 15 45 1.5~3.5 130 2000

2SK2412 60 20 30 1.6 50 860

2SK2412はゲートしきい値電圧 VGS_th が小さく,2Vくらいで on します。MOS-FETは VGS_th が大きいのが多く,4Vくらいになるものありますし,外国製だともっと高いです。TL494はVccに9Vをかけますので出力電圧が高くていいですが,TTLやPICを使うと5~3Vほどなので,下手すると on しないMOS-FETもあるので,VGS_th の小さなMOS-FETを使う必要があります。また,2SK2412は入力容量 Ciss が小さく,860pFほどなのもいいです。

最近は小さくても100A程度の大電流が流せるMOS-FETが発売されていますが,Ciss が2000pFを超えるものが多いので困ったものです。 iruchanはオーディオマニアなんですけど,入力容量はローパスフィルタとして作用しますから,これは小さい方がいいに決まっています。真空管やバイポーラTrはごく小さな値ですからね。だから,2000pFなんてiruchanにとっちゃ,天文学的数字なんですけど......。

いくらMOS-FETはスイッチング速度が速いといってもこんなに入力容量が大きいと溜まった電荷を抜くスピードを速くしないとスイッチングが遅くなっちゃいますので,ドライブ回路の工夫が必要になります。2SK2412 は20年ほど前の開発なので,Ciss は小さいのですが,その代わり,あまり大電流は流せません。

ドライブ電圧はKC-1はμPC494Cのコレクタ出力C1,C2から取っていて,出力のTrもPNP Trを使っていますが,E1,E2から取ることにしました。 こうすれば,出力段はMOS-FETのドレイン出力にできます。2SD560などのNPNのダーリントンTrを使うことも可能です。むしろ,バイポーラTrの方が入力容量ははるかに小さいので,先ほどの問題は生じません。

また,KC-1は高周波,低周波でそれぞれ別々の出力回路を持っていますが,PWM信号をOR回路で和を取れば1個の出力回路で済みますので,そうしました。といって,わざわざ74LS32などのOR回路を使うのはスペース的にもったいないので,単にDiと抵抗のネットワークにしました。 

保護回路はR-SフリップフロップCD4043を使いました。TTLだと7402NORゲートを使ったICで配線しないと作れませんが,C-MOSには最初からR-Sフリップフロップがあるので便利です。それに,#4000シリーズのC-MOSは電源電圧が3~15Vと広いので,TTLのように5Vの3端子レギュレータが不要です。今回,直接,12Vで動作させています。#4000シリーズの開発は真空管の雄RCAですが,非常に便利なICを作ってくれたものだと感心します。

なお,TTLのR-Sフリップフロップというのは7400NANDゲートでも作れますが,この場合は負論理となり,論理が反転しちゃいますので,今回の回路には使えません。 

KATO KC-1 iruchan mod. simulation circuit.jpg 

     KATO KC-1iruchan改シミュレーション回路

低周波パルスのデューティを最大100%にするのはかなり苦労しましたが,DTCとFBを接続すると可能であることがわかりました。

KATO KC-1 iruchan mod. 波形.jpg t=0 sec.からの波形です。 

高周波パルスの立ち上がりは遅く,ゆっくりと立ち上がります。といって,ほんの数msec. の間のことなので,人間の目にはわかりませんけどね。 

KC-1同様,高周波パルスとのミックスになっています。また,高周波と低周波パルスの波高値をできるだけそろえました。

KATO KC-1 mod. test.jpg 完成した基板。

基板も作りました。ちょっと長くなっちゃいましたので,工作についてはまた次回です。どうも申し訳ありません。 

テスト出力波形.jpg 出力波形です。

ちゃんと高周波と低周波の2波PWMとなっています。使用しているアダプタが9V出力のものなので,パルスのピーク値も9Vくらいになっています。


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